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2013年11月16日 (土)

東京地裁で進行中の「刑事訴訟法違反」について

 国家による“司法改革”がとうとう牙をむいたというべき「刑事訴訟法違反」。現在、東京地裁で進行中だ。
 俺は裁判傍聴師としてずっと傍聴してる。やむを得ず途中ちょっと席を空けた期日もあるのだが。

 第1回は今年4月25日、メルマガ第1050号「司法改革が牙をむいた、刑事訴訟法違反!」でレポートした。
 第2回は6月20日、同第1098号「全国第1号起訴は刑罰権の目的外利用!」でレポートした。
 第3回は7月17日、傍聴したが、他の事件をレポートした。
 第4回は8月13日、同第1132号「弁護人が週刊誌に調書の写真を売った?」でレポートした。
 第5回は9月12日、同第1149号「裁判長、お前こそ人生から退廷だっ!」でレポートした。
 第6回は11月1日、同第1180号「病気の女性は許す、刑事司法が方針変更?」で簡単に触れ、同第1181号「危険運転の点数(44点~)による処分が不服」でも触れた。

 雑誌『ドライバー』(八重洲出版)でも記事を書いた。今年の9月号だったと思う。ぜんぜん知らない方も、手軽に全体を把握できるんじゃないか。
 以下、筆者(俺だよっ)と編集部の許可を得て、その原稿を。一部加除訂正、改行等ある。

     book    book    book

 オービスの写真、と聞けば多くの方がイメージするでしょ。走行中のクルマが1台、斜め上から写り、端っこに測定値などが焼き付けられたモノクロの写真を。
 オービスに捕まったことがなくても、雑誌やインターネットで見たことある方が多いはず。
 あの写真、どうやって入手したんだと思う?

 オービスに測定・撮影されて警察から呼び出され、こう電話するドライバーがいる。
「とりあえず写真を送ってもらえますか。写真を確認したら罰金を払いますんで」
 出頭して、こうお願いするドライバーもいる。
「この写真、せっかくなんで記念にもらえます?」
 どっちもダメっ。警察はオービスの写真を絶対に渡さない。
 あの写真は、正式な裁判になって初めて入手できるのだ。

 正式な裁判の検察立証はこう始まる。
「甲1号証は速度違反認知カードです。自動速度取り締まり機、いわゆるオービスの写真1葉が添付されております」
 ほか、現場の制限速度についての公安委員会の決定や、速度標識および警告看板についての写真撮影報告書等々。測定値に争いがあると、年2回の定期点検の成績書なども出てくる。

 これらの証拠書類(書証)を被告人(起訴されたドライバー)は、裁判の前に検察庁へ行き、閲覧することになっている。
 弁護人が選任されていれば、弁護人が検察庁でコピーし、被告人に見せる。争いがある場合、さらにコピーして被告人は自宅へ持ち帰り、じっくり検討する。
 その写真が、雑誌やネットに出てくるのだ。本誌でも、誤測定を訴える裁判のレポートで、被告人から写真のコピーをもらって掲載したっけ。
 交通事故では、被告人の側も被害者・遺族の側も、現場見取り図やクルマの損傷状況、血痕の付着位置の写真などを雑誌やネットに出すことがある。

 そうやって警察の捜査を、また裁判を、みんなで検証することができる……というのは昔の話。
 同じことをいまやると犯罪になり逮捕されるんである!
 エイプリルフールはとっくに過ぎたぞ? いや、ウソじゃないっす。以下は刑事訴訟法第281条の5第1項

 被告人又は被告人であつた者が、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、前条第1項各号に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 「前条第1項各号」ってのは要するに、裁判手続きのためってこと。冤罪の検証とか体験レポートとか、それは裁判外。ゆえに検察書証の「目的外使用」という犯罪になるのだ。

 俺の手元に2001年の六法全書がある。第281条に「の5」なんてものはない。「の2」までしかない。これは2004年に裁判員法が誕生したとき、いっしょに設けられた規定なのだ。

 そして今年3月7日、「目的外使用」の規定がついに牙をむいた。3月8日付けの日経新聞がこう報じてる。

 自らが被告となった事件の証拠の写しを動画共有サイト『ユーチューブ』に投稿したとして、東京地検は7日、愛知県○○市の会社役員、○○○○容疑者(47)を刑事訴訟法違反(証拠の目的外使用)容疑で逮捕した。

 その会社役員(不動産会社、以下Y氏)の全国第1号の裁判「刑事訴訟法違反」が4月25日、東京地裁で始まった。第2回は6月20日。〝裁判傍聴師〟を名乗る俺はもちろんぜんぶ傍聴したっ。
 弁護人が冒頭陳述で、まずこう述べた。
「この事件は、Y氏の、権力との闘いの物語です」
 なぁに芝居がかったことを? いんや、まさに「物語」なのだった。その冒頭陳述を要約するとこうだ。

 Y氏の会社の仲介で不動産を買った人物(X氏)が、建替え制限があることを告知されなかったからと民事の裁判を起こした。じつは制限はなかったのだが、X氏は裁判所をだましきった。最高裁もまんまとだまされ、Y氏の敗訴は確定した。
 その後、今度はY氏のほうがX氏を相手に裁判を起こした。地裁はY氏の負けだったが、高裁で逆転勝訴! なんとその判決書きにこうあるのだ。

 (X氏による)前訴判決の取得は……巧妙に虚偽事実を主張立証した結果であり……欺罔(ぎもう)手段による前訴(ぜんそ)判決詐取(さしゅ)は……理不尽なものであり……著しく正義に反するというべきであるから……既判力の制約を受けない特別の場合であるというべきである。

 「既判力(きはんりょく)」とは、一度確定した判決は絶対という考え方。しかし、いくらなんでもウソでだまし取った確定判決は無効だ、と高裁は言ったんだね。ほぉ~!

 X氏側は上告。すると最高裁は弁論(法廷での審理)をやると決めた。通常、最高裁が弁論の期日をとるのは、高裁の判決をひっくり返すときだ。  ※実際、後にY氏の“再逆転敗訴”となった、既判力を理由に。最高裁としては、裁判所が判決を詐取されたという部分が気にくわなかったんじゃないかな。

 第3小法廷でのその弁論で、尋ねたいことがあるとY氏は裁判長に言った。裁判長は、あとで聞くと言い、さらに、法令解釈のことしか答えられないと言った。
「憲法違反に関することです」
 とY氏。裁判長は言った。
「答えません」
 なんだそれ? Y氏は憤った。
「国民をバカにしてるのですか」
 裁判長はY氏に退廷を命令。待機していた警備職員が8人ほどY氏に襲いかかり……。

 この先、とんでもないことになるのだが、省略しよう。とにかくY氏は「口唇裂傷」を負わされ、思わず警備職員の手を咬んだ。それが「公務執行妨害、傷害」とされ、1年ほどたって起訴されたのである。

 その「公務執行妨害、傷害」の刑事裁判に出てきた検察書証は、Y氏いわく「デタラメ」だった。しかも最高裁は、Y氏の無罪を証明できる録音・録画を「記録していない」と突っぱねた。
 Y氏は、裁判所に期待してもダメだ、この理不尽を世間に訴えようと考えた。で、「真実の告発! 最高裁の隠蔽」等々のフレーズとともに検察書証の一部を「ユーチューブ」にアップ。それが「刑事訴訟法違反」だと逮捕され、別口で起訴されたのである。
 権力との闘いの物語、なるほどねぇ、と俺は傍聴席で思った。

 裁判員制度は「司法に国民の常識を」とか言われる。ところが、誕生した法律をよく見れば、司法に対する国民の理解と信頼を深める制度になってる。評議でどんな意見が出たのか、多数決は何対何だったのか、しゃべれば処罰される。検証不能
 そうして、国民が法廷外で裁判を検証するために、分かりやすい検察書証を使うことを禁じた。これが国による「司法改革」なのだ。
 俺はつくづく思う、司法官僚は頭がいいなぁ!  煎じて飲む用に司法官僚の爪の垢が1g1万円で販売されてる……直ちにウソと笑い飛ばせないのがシュールだ。

※以下追記 

 第7回は12月10日(火)、メルマガ第1200号「暴力団や性犯罪を理由に新罰則をつくる手法」でレポートした。
 第8回は2014年2月6日(木)13時30分~15時30分、双方の弁論の予定。2時間もかからないはず。

 この「刑事訴訟法違反」のもととなった「公務執行妨害、傷害」を、全部ではないが俺は傍聴してる。
 
 「公務執行妨害、傷害」の第1回は2012年9月25日(火)、たまたま傍聴してびっくり! 同第872号「ちゃんと裁判せねば首をへし折ってやる!」でレポートした。
 第2回は同年10月11日、第3回は同年11月30日、いずれも傍聴しなかった。
 判決(第4回)は2013年1月18日(金)、懲役1年6月、執行猶予3年。同第968号「欺罔(ぎもう)手段により判決を取得?」でレポートした。

 その控訴審第1回は2013年7月8日(月)。傍聴したが未レポート。
 判決(第2回)は同年9月10日(火)、控訴棄却。同第1149号「裁判長、お前こそ人生から退廷だっ!」で、「刑事訴訟法違反」の第5回公判と併せてレポートした。

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コメント

刑事裁判とは何か。国家の秩序、治安、威信を護るための装置、そう考えると、いろんなことがすっきりするように思います。

権力に逆らうと、こうなるのだとの見せしめ。私だって、世に訴えたい理不尽な事はあるけど、それを押し進めると自分が苦しくなるから、「人間は生まれながら悪い人は居ない」との信念で断ち切る。
裁判は、けして平等なんかじゃない。そして正しいほうの味方でもない。
時々考える、裁判て何?

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