佐川が可哀想な気もするのだ
この事件、メルマガ第1819号「夫のゴルフの鞄からコンドームがぽろり」の編集後記で書いたとおり、俺は佐川の人たちが可哀想な気もするのだ。
以下は12月13日付け東京新聞の一部。
佐川急便社員ら6人再逮捕 身代わり出頭事件
佐川急便東京営業所(江東区)の社員らによる駐車違反の身代わり出頭事件で、警視庁交通捜査課は13日、犯人隠避と同教唆容疑で、東京営業所係長の■■■■容疑者(35)=■■区=や同●●●●容疑者(41)=●●市●●区=ら計6人を再逮捕した。
交通捜査課によると、身代わり出頭事件で13日までに、犯人隠避や同教唆容疑で逮捕や書類送検された佐川急便社員らは計34人となった。14日も別の運転手ら6人を書類送検する。
2006年6月1日、駐禁取締りの民間委託とあわせて放置違反金制度がスタートした。黄色い駐禁ステッカーを貼られたうち、だいたい8割くらいが放置違反金で決着している。
放置違反金は、車の持ち主へ納付書が送付される。誰が払ってもいい。違反者が誰であろうが関係ない。
放置違反金は、罰金や反則金のように国庫へ行かず、取締りを行った都道府県の収入になる。ダイレクトに稼げる。行財政改革により大幅な補助金カットの代わりに地方に与えられた収益事業なのである。財政難のおり、天恵だ! と報じられたこともある。
したがって当然、都道府県は予算を立てて取り締まる。2015年度の東京都の放置違反金予算額は58億8978万3000円だ。
だから、べつに危険も迷惑もない短時間の駐車でも取り締まる(=金を稼ぐ)んである。配達の車両とか、少し多めにみないと社会がまわらなくなる駐車も、見境なく取り締まる(金稼ぎの対象にする)んである。
駐車監視員を恨んでも仕方ない。こういう制度なのである。駐車監視員からこんな話を聞いたことがある。
駐車監視員 「彼ら(宅配)は仕事でやってるわけだし、べつに迷惑になってない駐車なら、我々だって無闇に取りたくないわけですよ。しかし見逃しはできない。我々は恨まれてますからね、見逃せば『あいつら業者から金もらってんじゃねえか』とか警察に電話が入りかねない。たまに警察が私服で我々を尾行してますし」
それでだ、あるトラックが何度も何度も放置違反金の納付命令を受けることになると、そのトラックが20日間とか30日間とか「使用禁止命令」を食らう。その命令を受けたことは前歴となり、次からの基準が厳しくなる。
これは会社側としては困る。
使用制限命令を心配しないためには、放置違反金で終わらせるんじゃなく、佐川男子(又は女子。以下同)が警察へあえて出頭すればいい。
そうすると、佐川男子は違反切符を切られ、反則金の納付書を交付される。これも、誰が払ってもいい。とにかく反則金が納付されれば、駐車違反の処理は終了する。
ここで大事な注意をしとかねば。「とくに迷惑のない短時間駐車でなぜ取り締まるんだ!」とか争って不起訴になっちゃダメですょ。
なぜなら、違反者が不起訴になると、トラックの持ち主である会社へ放置違反金の納付命令がいくから。
そんなバカな? 俺がバカなんじゃない。こういう制度なのだ。不起訴でも放置違反金の徴収はOKという判例もとっくにある。
駐車の迷惑性とか正義とか、その方面はタテマエまたは幻想。とにかく「カネ取ったるどぉ~!」という制度なんであるこれは。
違反切符を切られると、違反者(佐川男子)に違反点数が登録される。不起訴でも登録される。点数が累積すると、運転免許が停止になってしまう。
これは佐川男子側としては、いや会社側としても困る。
使用制限命令も受けず、佐川男子が点数登録されることもないためには?
そう、ペーパードライバーとかを身代わり出頭させればいいんである。
会社は困らない。佐川男子も困らない。ペーパードライバーは、少し謝礼をもらえばラッキー。
取締りそのものを逃れるため“2人乗車”とかすれば経費がかさみ、宅配料が値上げになるかも。その意味では消費者も恩恵を受ける(※)
都道府県は放置違反金の収入がそのぶん減るけれど、減収続きの反則金収入が増えるんで、ま、大きくはプラマイゼロだ。
てゆっか、違反点数が登録されることで、詳細は省略するがいろいろ潤う者が国家の側にいる。
近江商人は売り手よし・買い手よし・世間よしという「三方よし」の精神だという。今回の佐川がやったことは、その意味では、三方どころか四方も五方もヨシなのである。
ところが! 法律的には犯人隠避、犯人隠避教唆の罪になる。
なんとバカバカしい事件、と俺はとらえてる。この裁判、絶対傍聴しようっ。
※ 駐禁取締り対策で集配の効率が悪くなった業者、との関係で佐川はズルイ、という見方もあると思う。そこを検察官は突くか、突くことを予想して弁護人が何か準備しているか、そこがこの裁判の見所の1つかな。
※ 画像は新型パーメ! 某氏のスクープ撮だ。俺もあとで撮りに行こう。
今年も俺は左の手帳を買った、新宿の紀伊國屋書店で。ネットじゃロープライス758円だと? ちっきしょ~。
『反差別と暴力の正体』は、ヘイトスピーチがどうとか方面の本で、取材が深くて衝撃の内容らしい。読もうかな。
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僕は昭和より晩杯屋派です笑
投稿: 愛国心濃 | 2016年12月20日 (火) 10時33分
激しく同意です。
投稿: 愛国心恋 | 2016年12月20日 (火) 10時31分
財政難のキューバがチェコに対する債務をラム酒などで返済すると申し出ていたことが分かった。チェコ財務省が16日、明らかにした。
チェコ財務省がAFPに送った声明によると、キューバ側は債務返済に充てる物品のリストを提示。これには数銘柄のラム酒も含まれていたという。
↑の記事を読んで今井様の顔を思い出しました。つまりこうです。「今、金が無いのでメルマガの購読料はショウワのチケット一枚でお願いします」と…まさにキューバの狙いは呑兵衛を増やすこと(笑)
投稿: 愛国心薄 | 2016年12月18日 (日) 12時57分