X線手荷物検査機とゲート式、ハンド式金属探知機と
さすが地元紙、河北新報が立て続けに詳報している。
6月17日 <仙台地裁切り付け>被告は保釈中 刃物5本所持
6月17日 <仙台地裁切り付け>衝撃「まさか法廷で」
6月18日 <仙台地裁切り付け>実刑判決に不満か
裁判所の警備について、現実をよく知らないまま「警備を厳しくしろ!」とか騒ぐと、ろくなことにならない。
私の場合、裁判傍聴マニアになって15年目、近頃は裁判傍聴ジャーナリストを自称してる。
裁判所内で警備の職員を見かけるや「おっ!」となり、その布陣──布陣は大事なのですよ──から警備対象の法廷を推認し、「なんだなんだ?」と傍聴する。
職員諸氏は笑ってるでしょ、「また今井が来やがった」と。
<仙台地裁切り付け>衝撃「まさか法廷で」
「まさか法廷で」。仙台地裁で起きた被告の男による殺人未遂事件に、裁判員制度導入後、「開かれた司法」を掲げてきた裁判所関係者は大きな衝撃を受けた。事件は警備体制の「抜け穴」を浮き彫りにする一方、警備強化は憲法が保障する「傍聴の自由」を制約しかねず、地裁関係者は頭を悩ませている。
捜査関係者によると、殺人未遂の疑いで逮捕された淀川聖司容疑者(30)が法廷に持ち込んだ刃物は、果物ナイフ3本とカッターナイフ2本。判決宣告中に突然立ち上がり、「でたらめ裁判だ」と叫んで上着から果物ナイフとカッターナイフを取り出した。
傍聴していた宮城県警の警察官3人が取り押さえようとした際、2人が顔や背中などを切られた。県警幹部は「命を賭してよく取り押さえてくれた。裁判所を見学中の児童にけががなくてよかった」と話した。
地裁によると、金属探知機などを使った所持品検査は暴力団関係者が絡む事件の公判が大半。裁判官の判断で検査の有無を決めるが、月1、2件程度しか実施していないという。
近年、全国の法廷内で起きた事件は表の通り。高裁がある全国8カ所の裁判所では東京、札幌、福岡が常時、所持品検査を実施。仙台を含む5カ所は自由に出入りできる。
「傍聴の自由」は憲法で保障された権利。地裁総務課は「所持品検査を含め、警備体制の見直しを慎重に検討する。警備レベルを上げると市民が入りにくくなる懸念もあり、安全確保とのバランスを取りたい」と語った。
この記事に「金属探知機など」と出てくる。「など」は、ボディタッチや目視や手荷物預かりをいうのかな。
私は2011年に東京高裁から、「平成23年2月3日付け経理局長依命通達 金属探知機の購入契約に関する給付確認のための検査及び受入手続について」(片面で8枚)の開示を受けた。メルマガの第414号、第415号で詳述した。そこから一部を以下に。
文書に出てくる金属探知機は、ゲート式金属探知機とハンド式金属探知機。
ゲート式金属探知機はこうだ。
ASTROPHYSICS WT2000 数量3台 単価45万円(税抜き)
SCANNA ゲートスキャンポータブル DESC-0232 数量8台 単価42万8000円(税抜き)
いずれも外国製で、納入場所一覧によれば、WT2000は東京高裁に1台、東京地裁に2台。DESC-0232は、新潟、大津、福井、松江、大分、秋田、高松、高知の各地裁に各1台。
ハンド式金属探知機はこうだ。
CEIA PD140 数量15本 単価1万9500円(税抜き)
納入場所は、川崎支部が2本、宇都宮が3本、岐阜と福井が各2本、長崎が1本、仙台が2本、函館と徳島が各1本。
開示を受けてすぐ、ネットで調べてみた。PD140は東京地裁、高裁で見かけるのとは、ずいぶん形が違う。
もう1件、「東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎の1階入口に設置されているX線手荷物検査機の契約書(仕様書を含む)」の開示も受けた。
契約金額 467万2500円(消費税込み)
引渡期限 2001年3月22日(月)
引渡場所 東京高等裁判所
品名(品目) X線手荷物検査機
規格(仕様) 日立エンジニアリング・アンド・サービス社製 BIS-X-C755A
数量 2台
モニタ
17インチ液晶モニタ2台 歪み補正機能付き 画像保存機能13,000枚
X線条件等
定格出力140kV 縦一方向照射 防護カーテン及び非常停止ボタン付き
照射線量及び検査対象物が受ける線量 2μSv/h
外部漏洩線量(装置外面部 1μSv/h 防護カーテン部 2μSv/h)
東京(東京高地簡裁合同庁舎)の場合、一般入庁者は東側と西側の玄関から、または東京家裁との間の地下通路からしか入れず、東西の玄関で、および東京家裁の東西の玄関で、次のようなことが必ず行われている。
1、手荷物を警備員(民間)に預けてトレイに載せ、X線手荷物検査機をくぐらせる。
2、本人はゲート式金属探知機をくぐらせる。
3、反応があれば、ハンド式金属探知機で調べ、金属物を別途トレイに出して再びゲート式金属探知機をくぐる。
4、十徳ナイフ、ハサミ等は預けさせ、預かり札を交付する。
行列が数人ならいいが、30人、50人のこともある。
上記1番のところで、トレイに手荷物を入れてゲート式金属探知機をくぐるまで、スムーズな人で4~5秒かな。7~8秒、10秒ほどかかる人はよくいる。
10人か15人に1人は、自分の番になってからポケットを全部2度ずつ探ったりする。
ズボンのベルトを抜き、コートを脱ぎ、上着を脱ぎ、チョッキを脱ぎ、もう1度ポケットを探り…。
10秒の人が6人いれば、その6人だけで60秒つまり1分を食う。
1分の人が6人いれば、その6人だけで6分を食う。
東側の玄関(いわゆる正面玄関)に行列が50人ほどいれば、私は直ちに反転し、西側の玄関へ急ぐ。西側へは急ぎ足で約3分。そっちに行列があることは滅多にない。東側で行列に並ぶより2分以上早く庁舎に入れる。
そのほか、特定の事件について、法廷へ入る前に、手荷物を預けて預かり札を受け取り、かつ、ハンド式金属探知機で全身を調べられることがある。財布の中、タバコの箱の中も見られる。
ある民事の裁判で、一般の傍聴人や記者はスルーなのに、原告だけが法廷の前で厳重チェックってこともあった。
以上のチェックとはまた別に、警備の職員が多数、法廷前の廊下を、また法廷内を見張ることがある。
もっといえば、裁判所は、なるべく一般人に傍聴させたくないとき、そんなに傍聴人が押し寄せる事件じゃないのに傍聴券抽選とし──当然定員割れで全員に傍聴券が配られるわけだが──傍聴券を持った者にしか傍聴させない、トイレ以外でいったん法廷を出たら二度と入れない、したがって傍聴席はガラガラ、というやり方をすることもある。これはよくある。
記者クラブは希望してないのに、かつ記者クラブには知らせず、38席のうち5席に「記者席」の白いカバーをかけて一般傍聴人を座らせない(=空席とする)こともあった。
それはいくら何でもズル汚い。やめてと申し入れてもやめず、おとなしくて面倒事が嫌いな私なのに、民事の裁判をやったことがある。
裁判所側の見解は「傍聴する権利も傍聴させる義務もなく、騙して空席を設けることを違法とする法律も判例もない」だった。公式見解、というか司法の本性をはっきり知ることができ、よかった。
X線手荷物検査機とゲート式金属探知機で一般入庁者全員をチェックしているのは、私が見てきた限りでは、東京高地簡裁と東京家裁と札幌高地裁だ。
たしか山口地裁だったように記憶するが、廊下のなんつーか窪んだところにゲート式金属探知機が置かれていた。必要に応じて使うんだろう。
福岡地裁は昔々に行ったきり、最近は知らないが、2015年1月から「入庁時に金属探知機等を使用した所持品検査」を始めたという。「等」にはX線手荷物検査機が含まれるのか不明だ。
そんな感じで裁判所の警備は行われているのである。長くなってしまった、とりあえずそこまでで。
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先日古書店でこれを買った。タイトルはしょぼいけど、おっもしろいわ!
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