万引き病と水俣病
AbemaTIMESって何だか、申し訳ない、私はよく知らない。そのAbemaTIMESが3月11日付けで「「タダで盗れるパラダイスが終わって泣いた」万引き衝動に抗えない“クレプトマニア”、摂食障害と併存するケースも」と報じた、と読者氏から教わった。
ほほ~! なかなかの記事じゃないかと思った。私から少しコメントさせてもらえば…。
たとえば、ある地方で大変な“奇病”が発生する。前例がなく、原因となるウィルスも発見されない。しかし奇病は人間も猫も確かに襲っている。
医師らは、ある企業が湾に垂れ流した有機水銀が魚に蓄積し、その魚を食べて人間や猫がもだえ苦しむのだと発見する。
だが国家は認めない。そのため奇病は、被害は拡がる…。
万引きも似たパターンかと思える。
クレプトマニア、窃盗症(以下万引き病)は確かにある。
だが刑事司法(法務省と最高裁。具体的には検察官、裁判官。以下同)は万引き病を認めない。量刑相場の階段を上らせ、執行猶予中にまたやれば──てか病気ゆえにやるのだが──刑務所へ落とす。
その際、刑事司法は、ただ認めないだけでなく自己正当化を図る。
すなわち、病気ではなく結局は本人の意思の問題だと、被告人(病者)に言い聞かせるのである。せっかく病識を持ち始めていた病者からも病識を剥ぎ取るのである。
病者自身、「そんな薄気味悪い病気があるもんか」「たとえあっても自分は違う」「自分はマトモだ」と思いたがっている。かつ、無邪気にも検察官、裁判官は立派な人と思い込んでいる。ので、その言い聞かせに易々とのる。
また、刑事司法は刑務所をして「徹底的な矯正教育を行う矯正施設」であると言い張る。病者は、長く刑務所に“入院”したのだからもう大丈夫と思ってしまう。
かくして、病者は病識を持たず、刑務所で病気は悪化する。万引き被害は──病者による被害は限定的だろうとはいえ──くり返され、病者自身およびその家族は破滅の方向へ向かう。自殺に至った病者も相当数いるのではないか。
今回、AbemaTIMESが万引き病を取り上げたのは、元マラソン選手である原裕美子さんの万引き逮捕、あの影響がやっぱり大きいのだろうと思う。著名女性の万引きという話題性、である。
原さんの事件は、万引きで執行猶予判決(懲役1年、執行猶予3年)を受けて半年も経たないうちの万引きゆえ、原則実刑だ。今回は、相場的には懲役8月(はちげつ)かな。
その際、検察官、裁判官は、「病気のせいにするのか。背景に摂食障害があるとしても、結局は意思の問題だ。意思を強く持ちなさい」と言い聞かせるだろう。実刑判決を正当化するために。
執行猶予は取り消され、刑務所へ。自己肯定感の低下、さらなるストレス、出所後またやる可能性が高い。そんな女性はいくらでもいるのだ。そして自殺、ニュース番組やワイドショーが連日報じ、ようやく世間もちらっと気づく…。
いやいや、んなこたどうでもいい、原さん、死ぬな!
万引きが止まらない方、またそのご家族には、とりあえずこれらの本をお勧めする。今まで独りで苦しんできたこととは違ったものがきっと見えてくると思います。あと、私のメルマガのバックナンバーから、万引き事件のレポートをお読みください。“落ちていく他人”の姿を見ることで、新たな気づきがきっとあるはず。私は万引き病の事件を狙って傍聴し、月に何回かレポートしています。
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今頃申し訳ないです!
お尋ねの件についてはですね、拙著『なんでこれが交通違反なの!?』ですでに詳述しているところなのです。
「違反講習」が何か定かじゃありませんが、何にしても、違反切符(本件では交通反則告知書)の提出を求められるのは、交通反則通告センターへわざわざ出頭したときだけかと思います。lま、違反切符の持参を忘れても、それゆえに手続き(交通反則通告書の交付)を拒絶されることはないんじゃないかなぁ、と思います。もしかしたら拒絶され、後日郵送されるかもしれません。
意味分かんない説明でしょ? そのうち新しい解説書を何らかの形で出したいとは重いっているのですが、なかなか…。
投稿: 今井亮一 | 2018年5月27日 (日) 01時18分
読者です。
3月9日、一旦停止違反で警察ともめました。
警察(一人で取締り、記録証拠なし)→止まってない
私→止まった。
結果:
青切符の最後に、サイン、指紋拒否。
青切符、納付書→渡されず警察持ち帰り。
調書とられる→検察にあがるとの説明。
疑問:
サイン、指紋なしの青切符は無効では?
青切符渡されていない→そもそも今後どうしたらよいか途方にくれる。通常、切符は違反講習に持参必要では?
検察では、99.9%不起訴→行政処分の違反に関する訓告で、行政処分、違反点数化加算も無効では?
お時間のあるとき、ご教授ください。
投稿: 違反者 | 2018年3月12日 (月) 08時15分