袴田事件、即時抗告審の大島隆明裁判長、すごい判決をやった!
メルマガの女性読者氏から情報をいただき、分かりました、私が必ず傍聴しましょう、と傍聴してきた。
4月11日(水)16時、東京高裁、第8刑事部、805号法廷(42席)、大島隆明裁判長裁判官、菊池則明右陪席裁判官、板津正道左陪席裁判官、「窃盗」の判決。
ただの窃盗じゃない。
万引きで執行猶予中にまた万引きをやり、普通はもう実刑判決のところ、再度の執行猶予、ただし保護観察付きとなった。保護観察中にまたやれば、次はもう法律上、実刑しかない。
ところが、重度の摂食障害の被告人(若めの女性)はまた万引きをやった! という事件である。
その摂食障害の重度さは、被告人の立ち姿から無惨なほど明らかだった。具体的には、骨格標本のようにガリ痩せで…。
裁判長 「主文、本件控訴を棄却する。主文は以上のとおりです」
あ~ぁ、原判決は懲役の実刑。前刑の執行猶予は取り消され、長く刑務所へ落ちるのだ、無惨だなぁ…。
と思ったらなんとびっくり、これは検察控訴なのだった!
原判決は、懲役の実刑ではなく、罰金刑(の実刑)!
罰金刑を破棄して懲役刑の実刑にすべきだと、検察官が控訴したのだった!
ちなみに、罰金刑なら前刑の執行猶予は通常取り消されない。量刑の階段は
1、罰金刑
2、執行猶予付き懲役刑
3、懲役の実刑
それが鉄板相場だ。2のあとに罰金刑なんて滅多にあるこっちゃない。
大島裁判長は、原審の罰金刑を維持した。なぜ?
その理由がもう、思い出しても涙が出そうになる!
私は長年にわたり病的窃盗、クレプトマニアの裁判を「うっわ、なんだこれ!」と狙って傍聴してきたが、今回のような論法、言いぶりを聞いたことがないっ。
こんなこと言っちゃ申し訳ないが、あり得ない素晴らしい判決だったと思う。どゆことっ?
じつはこの大島隆明裁判長は、袴田事件の再審の、再審決定に対して検察官がした即時抗告、を審理する裁判長なのである。
そんな裁判長が、摂食障害の万引きについて素晴らしい判決を…。
これをどう読むべきなのか。そこも含めてメルマガ次号で。いやそこも含めちゃうと前編、後編になるかも。
とにかくね、こういうのをレポートするのが私の社会的役割と承知している。同種事件を扱う弁護人、検察官、裁判官は…ま、強要はしません、お好きにどうぞ。
※ 画像は下駄コレクション。能登半島は輪島の履き物店で、何年にもわたって買ったのだ。1足4千円くらいだっけ。東京だと9千円くらいするでしょ。私はいちばん左の鼻緒が好きで、これは何足か買った。
猛暑で豪雨のときとか、私はときどき下駄で裁判所へ行く。音を立てないようそっと歩いているので、裁判所でも乗り換えの駅でも電車内でも、私が下駄とは誰も気づいてないはずだ、うむ。
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