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2018年12月14日 (金)

東名あおり危険運転、重罰のために安全運転義務を捨てた

 交通ジャーナリストで裁判傍聴師でもある私から少しコメントしとこう。以下は12月14日付けTBSニュースの一部。 

“危険運転”認め懲役18年、両親失った長女「危険運転認定に感謝」
 去年6月に東名高速で起きた夫婦死亡事故の裁判で、横浜地裁は危険運転致死傷罪の成立を認め、石橋和歩被告に対し、懲役18年を言い渡しました。
 石橋和歩被告(26)は去年6月東名高速で萩山嘉久さん夫婦の車を追い越し車線に無理矢理止めさせ、追突事故を招き夫婦を死亡させたとして、危険運転致死傷などの罪に問われています。

 私は、せいぜい懲役3年程度の実刑、の可能性ありと思っていた。なぜなら、何度も言うように、法律上もっとも重い落ち度は現場へ突っ込んだ後続のトラック運転手にあるからだ。
 ところが! 以下は2018年1月6日付け産経新聞。これを私は知らなかった。読者氏から教わった。ありがとうございます!

追突のトラック運転手を不起訴 東名夫婦死亡事故
 神奈川県大井町の東名高速道路で昨年6月、静岡市の夫婦が死亡した事故で、横浜地検は大型トラックで夫婦のワゴン車に追突したとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で書類送検された男性運転手(63)を不起訴処分とした。地検は処分の理由を明らかにしていない。
 この事故では、夫婦のワゴン車の進路をふさぐなど妨害行為を繰り返し、無理やり追い越し車線に停止させて事故を誘発したとして、福岡県中間市の建設作業アルバイト、石橋和歩被告(26)が同法違反の危険運転致死傷罪などで起訴されている。

 もっとも重い落ち度があるはずの者を、検察は不起訴にしたのである。なぜ?
 はは~、追い越し車線に停車していれば後続車が突っ込むのは当たり前=停車させた石橋和歩は極めて悪質! という形をつくりたかったのか! 私は直ちにそう思ったね。 ※念のため付言すると、こういう場合の「処分の理由」とは、起訴猶予とか嫌疑不十分とかそういう数文字だ。

05102111 だがそうなると今後、交通の状況に応じて安全に運転する義務(道交法第70条)は空文、ザル法ってことにならないか。
 というか、「後続車が突っ込むのは当たり前」なら、未必の故意による「殺人」で起訴し、「危険運転致死傷」を予備的訴因とするほうがすっきりストレートなんじゃないか。
 「後続車が突っ込むのは当たり前」という点について検察官は論告で、裁判官は判決で、どう言及したのかしなかったのか、そこが大事なのにっ。

 昼間ちらっとテレビを見たところによれば、求刑23年のところ懲役18年に下げた理由を裁判長は述べなかったそうな。
 量刑の理由に触れないってことはないはず。普通は、悪い情状と良い情状と並べ「以上を総合勘案して主文の刑が相当と判断しました」とか述べるものだが、下げる理由=良い情状に触れなかった、てことなのだろうか。
 私が傍聴していれば、そういったところもしっかり見て、他の多くの事件と比べてレポートできたろう。もちろん未決勾留日数の算入もお伝えできたのに、残念。

 評議において裁判官と裁判員はどんな意見を述べたのか、強硬な厳罰意見が出てモメたりとかあったんじゃないか、モメにモメ、“8掛け原則”に落ち着いたのか、すごく気になる。もし本当に、5年下げた理由を述べなかったなら、評議でかなりモメ、言えなかった、のかもね。
 しかしそこは制度上、永遠の秘密だ。裁判官は何も語らず、裁判員は表面的な当たり障りのないことしか言えない。この秘密は墓場まで持っていかねばならないのだ。

 控訴は、被告人も弁護人もできる。検察官もできる。東京高裁でひっくり返る可能性はありだと思う。
 ま、とりあえずそのへんで。忙しいのだよぅ。

 画像は今回の事件とは関係ありません。

 ←12月14日18時30分現在、週間INが180で3位~。

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