「実刑確定の男」とは
「実刑確定の男」、聞き慣れない表現だ。
ある犯罪で逮捕・勾留され、起訴後に、あるいは検察側証人の尋問が終わってからとか、被告人は保釈されることがある。
最近、無免許運転で逮捕・勾留され、起訴後もしばらく勾留され、保釈保証金100万円を納めて保釈された被告人がいた。 ※メルマガ第2259号「どうも不可解な無免許裁判、なんと過去に「殺人容疑」で…!」。
一審(簡裁または地裁)で実刑判決を受けると、保釈は直ちに取り消されて収監される。
具体的には、判決言渡しの期日に検察の職員が原則2人傍聴席にいて、主文が実刑(執行猶予なし)だと直ちに1人が廊下へ出る。収監するので準備を、と担当部署に連絡するのだろう。そしてすぐ傍聴席に戻る。
実刑に決まっている事件、実刑の可能性が高い事件では、被告人は大きな荷物を持って来ているのが普通だ。
実刑判決の言渡しが終わって裁判官が閉廷を宣すると、傍聴席から2人の職員が立ち上がり、バー(傍聴席の前の柵)の中に入って保釈取消の書面手続きをする。
弁護人は、すぐ再保釈の請求をする旨を職員や被告人に言うことがある。
で、「じゃ行きましょうか」と職員が言い、大きな荷物を持った被告人を連れて奥のドアへ3人で去る。
控訴審(高裁)でも、控訴棄却(実刑維持)が見込まれる場合、保釈中の被告人が大きな荷物を持って来ていることがある。
しかし、実刑維持となっても、直ちに保釈が取り消されることはない。
なぜ? 私は法令の根拠を調べてないが…。
一審と違って控訴審は、被告人の出頭を要しない。出頭しない被告人はよくいる。
出頭した被告人は直ちに保釈を取り消され、出頭しなければまだしばらく娑婆にいられる、そりゃあおかしい、ということはあるでしょ。
控訴審判決の翌日から2週間を経過すると、その実刑判決は確定する。
この段階で「実刑確定の男」なるものが生まれるわけだ。
それから検察は、収監するのでどこそこへ出頭せよという郵便を保釈制限住居へ送る。なかなか出頭しない者もいるはず。
以下は刑事訴訟法第96条第3項。
○3 保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。
没収ではなく「没取」なのだ。BOSCHのぼっしゅだ。
さて急ぎメルマガ次号を書かねば。
次号は、すんげぇ控訴棄却判決をお届けする! ちら聞きする限り評判の良いあの裁判長が、あんなぼろぼろな有罪維持をなぜやったのか。落ち目の裁判員制度にこれ以上ケチをつけられない、論理則経験則等に照らしてその推認は不合理とは認められない。 ←これは控訴審判決の決まり文句ね。
※ 画像は、銀座の晩杯屋へ行く途中にあった店。最近できたはず。なんかお洒落だよねぇ。若い女性グループ、男性グループが続々と入って行った。なんだろ。
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