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2019年9月 3日 (火)

鳩に餌くれて罰金10万円、たけーかなと

 鳩の餌やり、モンスター餌まき人の映像がテレビでよく報じられる。
 現時点で私は8400件事件以上の主に刑事裁判を傍聴している。テレビの事件報道を見るとだいたい「ああ、その種の事件は傍聴したっけ」となる。鳩の餌やりもそうだ。
 メルマガ第2058号「鳩のエサやり事件がついに法廷へ出てきた!」から、証人尋問が始まる前の「おいおい!」なこと等をすぱっと省き、一部だけ以下に転載しよう。もちろん著者(俺だよぅ)の承諾を得て。
 東京簡裁、罪名は「暴行」、被告人は50代半ばのタクシー運転手だ。なお、「被告人」とあるのはメディアがいう「被告」のこと。民事は原告vs被告、刑事は検察官vs被告人なのだが、メディアは必ず刑事も「被告」とする。

 事件が起こったのは昨年4月10日の朝、JR中野駅の北口のロータリー
 証人は中野区役所の職員で、まとめるとこんなことがあったのだそうだ。

証人   「北口の改札を出て…腰掛けて鳩にエサをやっていた…ヤメてください、ヤメないと写真撮りますよ…うるせーな、関係ねーだろ…注意して…鳩のエサを最後まであげたあと…歩き出した…私は(追って)声をかけ続けた…(被告人は)ふざけんな、とか何か言いながら…」

 そして証人は被告人から、頭部を「3回くらい」「殴られるというかひっぱたかれるというか」されたのだという。
 検察官は、叩いた手は左右どちらか、どんな動作で叩いたか、手のどの部分が証人の頭部のどの部分にどう当たったか、詳細に尋問していった。
 そのへんのことは員面、検面にがっちり固まっているはず。こういう尋問は、それら調書の内容を口頭で確認して証人尋問調書に記録する手続きといえる。
 こんな部分があった。

検察官 「被告人以外にも、鳩のエサやり…注意したことは…」
証人   「職務上、管理している場所なので、エサやり以外にも注意していました」
検察官 「悪態をつかれることも…」
証人   「もちろんあります。粘り強く説得するしかない…よほど悪質な人に対しては、警察の方の応援を依頼したり…あきらめるということはありません」

 なるほど。注意しても相手が退かない場合、引っ込めば相手は図に乗り、それを見ていた周囲の者も、なんだべつに平気なんだ、とかなるだろうからねぇ。

 10時42分、証人は傍聴席へ戻り、被告人質問が始まった。
 被告人質問は、私の傍聴ノート(B5サイズ)で7枚半になる。一部拾うと…。

弁護人 「(被害者から)注意されてどう思いましたか」
被告人 「うるせぇなぁ、といったような…」
弁護人 「(注意された後)エサはどうしましたか」
被告人 「残ってたんで全部まいちゃったと」

 暴行行為については…。

被告人 「しつこく寄ってくるんで、右手でふりほどいたってのは憶えてる…その行為が暴行っていうのかなって俺は思ってる…とりあえず、ぐだぐだ言ってくるもんだから手を振った…ちょっと指先が触ったと思う」

 裁判官の頭の中で、有罪の事実認定の文章がほぼ固まったろう(笑)。
 こんな話が出てきた。

弁護人 「どのような処分を予想していましたか」
被告人 「とりあえず、鳩のエサ…1万か2万の罰金だったらいいかなって」

 しょぼい交通違反じゃあるまいし、暴行の罰金が1万円や2万円のはずがない。

弁護人 「実際、どうなりましたか」
被告人 「10万だと思います(裁判所から支払命令が)きたのは…鳩にエサくれて10万の罰金、たけーかなと、ちょっと不服…電話かけたんだ」

 略式に応じて罰金10万円の支払命令を受け、不服があると正式裁判を被告人から請求した、そういうことかと推認できる。

 どこの駅前もだいたい、エサやりが禁じられており、中野駅北口も禁止されていることを、被告人は知っていたんだという。
 なのになぜエサやりをしたのか。

被告人 「毎日(エサを)やってる人、3~4人いるのでまぁ大丈夫かなと…動物に癒やされる…慣れてくると手に乗ってくる鳩もいるんで、かわいい…ま、めっかって注意されたらよせばいいかなと…110円のムスビ(おにぎり)買って少しほぐしてやってたんで…残りを早めにまいて逃げればもう終わるかなって」
検察官 「駅前はなぜエサやりが禁止か分かりますか」
被告人 「まぁ、とにかく汚れるからってのが」
検察官 「汚れるし、病気が発生するかもしれない」
被告人 「分かります」
検察官 「大量の鳩に嫌悪を感じる人もいると」
被告人 「うーん、うちは群馬の農家…牛も飼ってたんで…ほこりがたっても…微量な細菌が肺に入って免疫力が上がる…微量…接してないと人間力が下がってしまう…」

 人間力ねぇ! なるほど、おきれいでスマートなIT社会へ進むにつれ人間力は下がっていくのかも。


 

 求刑も判決も傍聴した。求刑は略式と同じ罰金10万円。判決はなんと罰金8万円だった。略式に応じなければ不起訴(起訴猶予)で終わる事案だったからか。
 いちおう説明しておくと、「正式な手続きの裁判を受けられることも分かりましたが略式でけっこうです」旨の承諾の署名押印を本人がしなければ略式の処理はできない。その署名押印をすれば原則必ず相場どおりの罰金刑になる。
 署名押印をしなければ、検察官は公判請求(正式な裁判への起訴)か不起訴かどっちか決めることになる。

 ←9月3日9時30分現在、週間INが70で3位~。

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