自転車事故の天国と地獄
以下は9月18日付けTOKYO MXの一部。
東京都、自転車保険加入を義務化 罰則なし
東京都議会は9月18日、第3回定例会の閉会日を迎えました。この日の議会で、自転車を利用する都民に損害賠償保険への加入を義務付ける条例改正案が可決・成立しました。
18日の都議会で可決・成立した条例は、自転車の利用者やその保護者に損害賠償保険の加入を義務付けるもので、2020年4月に施行されることになります。東京都によりますと、現在、都民の自転車保険の加入率は53.5%にとどまっています。
関連して少しコメントしとこう。
私は自転車事故の刑事裁判を、事件名としては主に「重過失傷害」を狙ってたくさん傍聴してきた。
くっきりハッキリ分かったのは2つのことだ。
まずは、ありふれた日常の一瞬の不注意で、というかいつもの不注意が一瞬のタイミングで、大変なことになる!
そして何より、被告人が、またはその同居の親族が「個人賠償責任保険」に加入しているかいないかが、被告人にとっても加害者にとっても天国と地獄の差ですぞ!
個人賠償責任保険は、洗濯機の水漏れで階下を水浸しにしてしまったとか、デパートで買い物中に高額商品を落として壊してしまったとか、そういう事故をカバーする。じつは自転車の事故もカバーするのである。同居の親族が起こした事故もカバーする。掛け金は安い。自動車の任意保険や火災保険の特約として知らずに加入している人も多いはず。
そんなことを私はもうさんざん書いてきた。私自身、安い傷害保険の特約として上限3億円の個人賠償責任保険に加入した。3億円なので掛け金はちょと高い。半年間で1650円だ。
しかし…。
錆サビのチェーンがきゅるきゅる重そうに走っている人をよく見かける。パンクの原因でいちばん多いのは、空気が抜けたタイヤで勢いよく段差を越え、チューブがつぶれて破れるパターンだという。ブレーキワイヤーがのび、ブレーキシューが減ったままの人もいるだろう。
上記「天国と地獄の差」など気にする人はあんまりいないだろうと思う。
25歳の男性を被告人とする「重過失傷害」(被害者は脳挫傷などで加療約9カ月間の重傷)の裁判で、弁護人がこんなことを述べた。
弁護人 「被告人は、月8万円のアパートを、もっと安いところ、敷金、礼金不要のアパートに引っ越しまして、早朝6時から夜9時まで弁当屋で掛け持ちのアルバイトをする、それを現実のものとしますと少なくとも月に7万円を支払える。10年間にわたってお支払いし、少しでも慰謝に努め、円満示談をと……」
安アパートに引っ越し、朝から夜まで賠償のためだけに働く日々を、35歳まで送ることになるわけだ。身近で手軽な自転車の、一瞬の不注意から。個人賠償責任保険に加入していなかったばっかりに。
そして歩行者にも申し上げたい。歩道の、横断歩道入口の脇に電柱が立っていることがよくある。歩行者信号が青に変わり、電柱の陰からひょいと横断し始める。それが危ないですぞ! 信号無視の自転車が突っ込んでくることがありますぞ! 特に車道を右側通行してくる自転車に、横断歩行者は気づきにくい。
運よく保険によって賠償されても、健康や命が失われたら戻りませんので。
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