津田大介さん、香山リカさんらの書類送検、たぶん世間が知らない話
「起訴求める意見付けず…津田大介さん,香山リカさんら書類送検 リコール署名巡り高須院長が告発」と9月9日付け東海テレビ。
別の報道では「書類送付」となっていた。刑事犯罪関係で初めて目にする4文字かと。
身柄なしで検察へ事件を送致するのを、メディアは普通「書類送検」という。今回のは犯罪とは到底いえない送検なので、という趣旨か。
犯罪とは到底いえない、起訴を求めない検察送致を行う、そんなことってあるの?
じつはあるのだ。
以下は2020年の検察統計の、全犯罪のデータだ。公判請求とは正式な裁判への起訴。略式命令請求とはつまり罰金処理。法廷は開かない。丸カッコ内は不起訴の理由の一部だ。
公判請求 6万8351人
略式命令請求 3万8239人
不起訴 15万2569人
(起訴猶予) 10万5986人
(嫌疑不十分) 3万1798人
(嫌疑なし) 1741人
嫌疑なしの不起訴は極めて少ない。そこんとこ頭において、「殺人」のデータを見てみよう。殺人には罰金刑の選択肢がない。
公判請求 242人
略式命令請求 0人
不起訴 722人
(起訴猶予) 22人
(嫌疑不十分) 255人
(嫌疑なし) 214人
嫌疑なしがめっちゃ多い。「死人に口なし」じゃ説明がつかないぐらい、めっちゃ多い。どうなってんの?
私は昔、びっくりして検察か警察の職員に尋ねたことがある。こんな話を聞いた。
「殺人」の統計には未遂も含まれる…。
世の中にはいろんな人がいて、「俺は殺されそうになった!」と騒いで殺人未遂で告訴する人もいる…。
んで、全部なのか一部なのか、警察は受理し、受理したからには検察送致する。そういうのは、もともと殺人未遂に相当する事実などないので、さくっと嫌疑なしの不起訴になる…。
警察が検察に事件を送致するとき、どこそこ検察庁の検事正検察官殿、と「送致書」を作成する。
うちの書棚には、ややこしい本がいっぱいある。画像はその一部だ。もっと高価でぶ厚い本もたーくさんある。 ※当ブログ容量オーバーが判明。画像は削除。Twitter(旧X)のほうへ。
たとえば『新版 交通事件捜査書類作成要領』(立花書房)を見ると、無免許運転の送致書の「犯罪の情状等に関する意見」として「…その行為は極めて悪質と認められるので厳重処分を願いたい」とある。
たとえば『記載要領 捜査書類基本書式事例(改訂版)』(立花書房)を見ると、「処分に関する意見」として「厳重な処分を願いたい」のほかに「起訴相当と思料する」「軽く処罰願いたい」などがある。起訴猶予が相当と目されるときは「寛大な処分を願いたい」と書くんだそうだ。
嫌疑なしが相当と目されるときはどう書くのか、そこは分からない。他の本をぜんぶ当たる余裕はない。
本件の「処分に関する意見」はどう書かれたのか、知りたいよね~。
以上、メルマガ第2571号「盗撮常習の元教員、監視カメラの録画をもとに3カ月後に逮捕って」の編集後記より。
ネット記事1本に軽くなりそうなことを、たかが月額110円、1本当たり13円程度のメルマガの編集後記に書いている、私はほんとバカだと思う。なんとかしなければ💢
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