宮台真司さんの法廷証言をちらっと傍聴した件
12月29日の時点では、年内に続きを書くつもりだったの。
しかしいろいろあってねえ、締切りのあるもんでもなし、こんなに遅くなってしまった、申し訳ないです。
2003年の5月に車雑誌『ドライバー』に書いた原稿から、“宮台証言”についての部分を。
若干の加除訂正をし、かつ、※印で注釈を入れます。
先に時代背景を少し。
交通違反裁判の専門傍聴人から、いわゆる裁判傍聴マニアに私がなったのは、2003年3月頃だ。重要なきっかけがあったのだが今回は省略。
宮台証言を傍聴したのは、ちょうどその頃だったかと思う。
超絶マニアックデータへの入力を始めた頃か、まだ始めてない頃と思われ、宮台証言の裁判が入力されていない。
あと、2004年5月に裁判員法(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)が誕生。
その頃から、国策である裁判員制度を法務省、最高裁が多額の税金を投じて宣伝し、記者クラブメディアは関係ニュースをばんばん打った。
そうして傍聴人が爆発的に、まさに爆発的に増えた。
今回の話は、そのようになる前のことだ。
ゆえに、重要な裁判の法廷へ1分前に行くという、今じゃ考えられないことを、私はしらっとやっている。ほんと今じゃ考えられない!
ある日、午後2時20分から東京簡裁728号法廷(20席)で、光電式のスピード違反事件があると、私はマニア氏から聞いていた。
その日は午後1時15分から東京地裁528号法廷(52席)で「松文館事件」があると、これはどこかから流れてきた電子メールで知った。
松文館事件とは、詳しくは知らないが要するに、成人コミックの消し(網掛け)が薄かったから「わいせつ図画」を販売したことになると、担当編集者はもちろん社長と漫画家まで逮捕されたという事件だ。
んで、その日はなんと、論壇やテレビでも有名な宮台真司さん(都立大助教授で社会学の博士)が学者証人として来るという。
おもしろそうじゃん! どうせ霞が関まで出かけるならそっちも見てやれ。
つーことで行ってみた。
1分ほど前に法廷に入ると、すでに3人の裁判官が壇上に並んでいた。傍聴席はぎっしり。奥の隅っこに1人、立ち見がいた。
あれ? 立ち見は許さないのが通例だが、今日のこの法廷はOKなのかな?
ドアそばに立って見ていると、間もなく証人尋問が始まることになり、裁判長が宮台さんを呼んだ。
傍聴席の最前列右角から宮台さんが立ち上がり証言台のほうへ。
尋問は5時までらしい。途中で休憩が入るにしても2時20分までは宮台さんは戻らないだろう。
そう思って私は空いた席に座った。席の脇に宮台さんのカバンと傘が置かれていたが、まあいいやと。 ※いつ頃からか、証人は荷物をぜんぶ持ってバー(傍聴席の前の柵)の中へ入るようになった。盗難事件が起こったのかもね。
その直後、裁判長が言った。立ち見はできない。席がない人は外へ出なさいと。
あらら~。奥の隅っこに立っていた人は閉め出されてしまった。
私は「途中で出るから、それまでちょっと」と心の中で宮台さんに言い、座り続けた。
とまあそんなふうにして傍聴したわけだが、いやはや、さすが宮台さん、すごかったですよ。
わかりやすく緻密な社会学の講義をタダで聴かせてもらうようなものだった。
「オーラルセックス、つまりフェラチオやクンニリングスを……」
なーんて、男子中学生がもぞもぞしそうな言葉も飛び出してね。
社会学の方面はまるで無知な私なりに一部思い出して要約すると、次のような感じか。
「全体に貧しくて未熟な社会では、このようにあるべし、これを目指すべしといった価値観が共有されやすい。何をわいせつとすべきかといった倫理観もだ。しかし、生活財が行き渡り、需要は新規ではなく買い換え需要になるような豊かな成熟社会になると、全体が共有できる価値観や倫理観はなくなる。わいせつ図画については、それを見たくない者がたまたま見てしまうということさえなければ、禁ずる必要はなく……」
1時30分を少し過ぎた頃か、私の携帯電話がブブブと振動した。“講義”に夢中な私は切った。が、また振動。何か急用だろうか。
廊下へ出て通話。マニア氏からだった。
728号の2時20分からの光電式は期日取消になった。今日は1時30分から東京簡裁826号で、2時10分からは同534号で、それぞれ道路交通法違反事件がある。マニア氏は826号のほうへ行くと。
なんとぉ! “講義”は惜しいが、やはり自分の専門分野へ行かねば。
廊下にいた人に「宮台さんの席が空いてますよ」と声をかけ、私はエレベーターへ向かった。
当時も今も、東京簡裁の刑事係は534号、728号、826号法廷を使っている。いずれも傍聴席は20席だ。
同じ日の午後に、簡裁の3つの法廷にそれぞれ道交法違反があるなんて、絶対うそだと思うでしょ。
うそじゃないのですよ、あの頃はそんな時代だったのだ。
光電式は珍しく、ほとんどがオービス事件だった。
当時は可搬式なんてない。すべて東京航空計器か三菱電機の固定式だ。
それらを熱狂的に傍聴しまくった、あれが血となり肉となり、今の私がある、なんか格好良くね? ねえよっ(笑)。
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