添付忘れで原判決破棄!
メルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」(2022年11月末で終了)をやっていたときなら絶対載せたろうすごい事件を、次々に傍聴している。
それもそのはず、メルマガを終了して時間的に余裕ができたぶん、裁判所通いがひどくなってるような気がする。ダメじゃーん!
つい先日、めっちゃメルマガ向けのに遭遇した。
「詐欺、窃盗、電子計算機使用詐欺」の控訴審判決だ。
被告人は身柄(拘置所)。真っ黒で濃い髪の、むっちりした若者だ。20歳代か。
「氏名不詳者ら」と共謀して(実際には言われるがままに動き)特殊詐欺の受け子、出し子等をやり、被害総額は1316万円。よくある事件といえる。
どこがメルマガ向けなのか。
裁判長 「主文。原判決を破棄する。被告人を懲役3年4月(よんげつ)に処する。原審における未決勾留日数中60日をその刑に算入する」
おお、原判決後に、親御さんがさらにだいぶ被害弁償し、懲役3年6月が3年4月に減ったのか? 私は傍聴席でそう思った。
だが、続きがあった。
裁判長 「結論としては、3年4月は維持するということです」
ええーっ、そっちかぁ!
要するに、被告人がたくさんやった犯行の日時等々について別紙1、別紙2と判決書きにありながら、別紙が添付されてないんだという。
明らかな誤記なら更正決定で済むが、別紙の添付なしはダメ。
よって原判決には理由不備の違法があり破棄は免れない。
そのうえで、別紙を踏まえて懲役3年4月、未決60日算入が相当である、としたのだ。
破棄判決なので、控訴審における未決勾留日数は全部算入(法定算入)となる。一般的には90日ぐらいかと。
被告人からすれば、裁判所のミスのせいで、3カ月ぐらいが刑期から引かれるのである。超ラッキーだ。こういうことがたまにある。
こういう珍事が報道されることは、絶対にないとは断言できないけど、まず期待できない。
テレビ新聞の視聴者読者に理解してもらうには長い説明が必要という以前に、視聴者読者には興味がない、あるはずがない、とテレビ新聞の側は考えるだろうから。
たまたま遭遇できなければ、知らないまま一生を終えることになる。
こういうのに遭遇できることが、裁判傍聴の醍醐味の大きなひとつであると、私は声を大にして言いたい!
本件の一審は東京地裁だった。刑事第何部だったか、ノートを調べればわかる。でも調べない。
こういうミスは、もちろんないほうがいいけども、偉そうに責めることを私はしない。
ミスは誰にだってある。「文書を添付します」とメールに書いて添付を忘れるなんて、私はしょっちゅうだ。
それとは重みが違うとはいえ、シンプルなミスではある。
裁判官がやって許されないのは、そんなことじゃないでしょ、と考える私はマイナー路線だ。そもそもパンダになんぞ全く興味がないし、って話が変な方向へ行きそう。今夜はここまで。
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