特殊詐欺を支え続ける「他人事バイアス」
裁判傍聴マニア、裁判傍聴師として、こういう発信をしておかねばならぬだろうょと、ちょっと。
「上半期の特殊詐欺認知件数9464件で過去10年最多に 被害額は193億円」と8月2日付けテレ朝news。
長年にわたり報道され続け、注意喚起され続けているのに、なんで毎年毎年何百億円も騙し取られ続けるのか。
いくつか大きな原因があるなかで、私としては「他人事バイアス」というものを、刑事裁判の傍聴席から感じる。
特殊詐欺被害も、窃盗など他の犯罪被害も、色情犯罪の被害も、交通事故の被害も、飲酒交通事故の加害も、どんだけ報道されても、結局は、他人事なのである。
いちいち自分の身にもいつ起こるか知れないとひりひりしていては、ストレスが大きい。
その意味で「他人事バイアス」は必要な脳の働き、普通のことといえる。
ゆえに、特殊詐欺の被害は普通に延々起こり続ける
どうすればいい?
「他人事」ではなく「自分事」に切り替えればいいんである。
どうやって?
詐欺グループ(かけ子)からの電話を録音して警察に渡したら×万円。
受け子らしき者が住宅街を歩いているのを見つけて通報したら×万円。
携帯電話で通話しながら銀行ATMを操作しているお年寄りを見つけ、送金を未然に防いだら×万円。
コンビニで高額プリペイドカードを買おうとしているお年寄りを見つけ、通報したら×万円。
詐欺メールを所定のフォームで警察に送ったら1件×円。
PCウイルス感染詐欺について同様に送ったら1件×円。
以上、ちょと極端だけど、要するにそういう発想で、いわば懸賞金制度により、自分事として捉えてもらうのである。
お年寄り諸姉(諸兄。以下諸姉)が、電話がかかってくると目を輝かす。
「あんた、録音オッケー?」「がってんだ!」。
受け子を探して住宅街を、多数の諸姉が散歩しまくる。銀行をコンビニを諸姉が見張る。
「なかなかいないわねえ」
「聞いた? 〇丁目の奥さん、間違えて空き巣(空き巣ねらい)を見つけたんだって」
「えー、ほんと?」
生き甲斐を得て歩き回り、健康寿命がのびて医療費大幅減、なんてね。
もちろん、危ない橋をわたって殺されたら困る。
住宅街を歩き回って熱中症で倒れても困る。
そのへんの手当ては、もちろんしましょう。
特殊詐欺の被害総額は劇的に減ると私は思うんですけどね。
しかし、それで引っ込むような特殊詐欺グループではあるまい。
スマホ(イヤホン)で操るリモート強盗、リモート誘拐へと“転進”し、今よりもっとやばいことになるかも。
じゃあどうするか。今回はここまで。
« 7月31日、東京地裁、夏休みの行列レポート | トップページ | 傍聴席からSNSに同時配信! »
「刑事/その他刑事」カテゴリの記事
- 立花孝志、勾留理由開示と鑑定留置理由開示(2025.11.11)
- 無罪の証拠を隠して有罪、しかし逆転無罪に(2025.11.06)
- 明け方に襲えそうな泥酔女性を探して街を(2025.10.28)
- 人を殺すのは、端的に言って気持ち悪いことですから(2025.10.01)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント