ミニスカ&Tバックで尻、腿を女装露出
なかなか興味深い、読み応えのある記事だと思う。
「「アンダーブーブはファッション、ビキニは軽犯罪か」…あいまいな過多露出基準=韓国(1)」と8月21日付け中央日報/中央日報日本語版。
こんな部分がある。
キム代表が話した「昨年の似たこと」とは7、8月にインフルエンサーのイム・グリンとユーチューバーのBOSS Jがビキニ姿で江南駅と梨泰院(イテウォン)駅周辺でバイクに乗ったもので、当時、参加者は軽犯罪処罰法上の過多露出罪で立件され、同年11月に送検され、5月に略式起訴された。
(中略)
該当条項は公開された場所で性器・尻など身体の主要部位を露出して他人に恥ずかしい思いをさせたり不快感を与えた者は10万ウォン(約1万円)以下の罰金または拘留、過料の刑で処罰すると明示している。
「過料」は「科料」の誤記かも。いや、わかりませんけど。
日本の軽犯罪法にもそういうのがある。以下は第1条の柱書と、第34号まであるうちの第20号のみだ。
第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者
20号露出とでもいうべき「軽犯罪法違反」の刑事裁判を、私は何件か傍聴した。
うち1件、東京高裁の控訴審判決について、メルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」(2022年11月末の第2697号をもって終了)から、一部転載しよう。
被告人は不出頭、裁判長は後藤眞理子裁判官、主文は控訴棄却だった。
刑法の「公然わいせつ」ではなく「軽犯罪法」、いったいどんな「仕方」で何を「露出」したのか。
裁判官 「午前3時30分頃…Tバック下着…ミニスカート…尻、腿を露出した…」
「女装」という語が出てきた。被告人は男性なのだ。年齢は不明だが。
弁護人(中堅男性。それが地なのか、つまらなさそうな目つき)は、あらゆることを主張していた。
ことさらに露出する意図はなく、臀部は下部を露出したに過ぎない。第20号の構成要件に該当しない…。
誰も注視しておらず、嫌悪の情をもよおす者はいなかった。不愉快に思う者は皆無と考えられる…。
女装は被告人にとって性欲発散行為であり、これを咎めることは自由を侵害する…。
自宅で女装を楽しんでいたところ、たまたま急遽(きゅうきょ)手紙を投函する必要があって外出しただけ…。
裁判長はいちいちぴしゃっと退けた。「通常人の風俗感情のうえで不快の念を…」という言い回しも出てきた。
外出については、捜査段階でか原審の法廷でか、被告人自身がこんな供述をしているんだという。
供述 「欲望を抑えられず、もう少し歩きたいと遠回りして帰宅した」
原判決は拘留10日だという。弁護人は科料が相当と主張したが…。
裁判官 「いずれも同種…平成×年10月、平成×年(翌年)7月、科料の略式命令を受け…本件犯行は(平成×年7月の科料から)わずか8カ月後…」
それじゃあ量刑相場的に拘留とせざるを得ないわねぇ。
拘留の執行猶予? それは無理だ。執行猶予を付けられるのは「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」についてだけと刑法第25条第1項が定めているので。
裁判長はこんなことも言った。
裁判官 「もはや監督する立場の者は存在しないと認められる…」
「もはや」ってことは、離婚されたか、親御さんが亡くなったか、被告人を見放して去ったか…。
孤独を深めてますます女装徘徊が生き甲斐になったりしないか、ちょっと心配な気がした。
こんな哀愁の(?)レポートもメルマガには書いていたのですよ。懐かしい。
被告人の氏名で今ネット検索してみた。完全ノーヒットだ。どんな人生をお暮らしやら。
ヘンリー・マンシーニのこの曲が聞こえてしまうのは、いくらなんでも不謹慎だろうか。
※追記 以下は刑法。
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