普段はおとなしくて優しい子なんです
開廷表を見ながら「道路交通法違反」の被告人氏名でスマホ検索してみた。
同姓同名者がめちゃくちゃ多そうな氏名だ。「逮捕」の2文字を添えて。
当然というか、いろいろヒットがあった。
恐喝未遂、闇金、覚醒剤、青少年条例違反…。
タクシーの運賃を払わずタクシーを奪った、というのもあった。これか?
いやあ、乗り逃げもタクシー盗も「道路交通法違反」じゃない。
けれどもしかし、警視庁へ行くまで少し時間がある。ちらっと見てみよう。
ということで「道路交通法違反」の新件を傍聴したわけ、東京地裁の傍聴席52席の法廷で。
傍聴人は、私と、年配女性のみ。書記官が証人カードを書かせている。被告人の母親なのだな。
広い法廷に傍聴人は2人か、不人気だなあ(笑)、と思ったら阿曽山大噴火さんが来た。なんで?
被告人は非身柄。黒スーツに渋い暗色のシャツ、目つきや表情がちょとヤンキー系か。
驚いた、ずばり上記タクシーの事件なのだった。
平成20年に酒酔い運転で罰金40万円。
令和元年に飲酒運転で懲役5月、執行猶予2年。平成31年には免許取消し731日間の行政処分を受けており…。
刑事裁判は徹底した元号主義だ。
合理的な改善能力がないことをアピールしているのか。あるいは、裁判は儀式性が強いから元号がふさわしいという判断か。
不便な元号を理由もなしに使い続けることはなかろう、と思う。
今年9月、被告人は仕事を終えて19時過ぎから自宅で飲酒、500ミリリットルのハイボール缶を2本。
知人から電話あり。ラーメン店へ飲みに出かけた。2人それぞれ酎ハイを6、7杯飲んだ。
被告人が酔ったので、知人がタクシーを呼び、被告人を乗せた。それが23時35分頃。
自宅近くで被告人は「ここだ」とタクシーを停めさせた。
運賃を払わずに降車し、すたすたと歩き去った。
タクシーの運転手も降車し、被告人を追った。
運転手の調書 「脇道へ入って行ったので、ついて行った…ふり返って襲いかかってきた…一目散に逃げた…110番していたとき、私のタクシーが走り去った…」
それが23時55分頃。
0時過ぎ頃、交通誘導の警備員が…。
警備員の調書 「黒いタクシーがのろのろ運転…縁石に乗り上げて停車…ドアが開き、40歳前後の男がふらふらと出てきた…後方の歩道上に、あぐらをかいて座った…頭を上下に揺らして、眠っているようにも…」
警察官が臨場。3時12分頃の呼気検査の結果は0.77ミリグラム。 ※0.15ミリグラム以上が処罰の対象となる。
酒臭は強かったものの、歩行も直立もでき、酒酔いではなく酒気帯びと無免許運転で公判請求されたのだった。
母親を証人尋問。
弁護人 「息子さんの性格は」
母親 「普段はおとなしくて優しい子なんです。飲まないときはぜんぜん…」
弁護人 「仕事はマジメに」
母親 「はい」
見届けたいけれども、警視庁へどうしても行かねばならず、私はそっと出た。
酒(アルコール飲料。以下同)で前頭葉のどこかが一時的に壊れ、とんでもないことをやらかす者がいる。刑事裁判の法廷へ続々と出てくる。
本件は人的被害がない。その意味では非常に善良な事件といえる。
酒はコカインやヘロインよりずっと、大麻より遥かにヤバイ薬物だと、どこだっけ外国の研究機関だっけ発表してたよね。
だがしかぁし、はっきり言っておかねばならない。
どっちがヤバイとかそんなことは全く関係ないんである! 酒は合法飲料、大麻は違法薬物!
そんな法律はおかしい、と思う人もいるでしょ。おかしな法律の正当性を護持するためにはどうすると思う? 大麻を徹底的に取り締まるんである、当然である。
日本で大麻をやるのは、中国やロシアで政府批判をするのと同じ! 説得力あるでしょ。お役所のポスターのコピーに採用してほしい。
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