安倍元総理銃撃殺人、公判前整理手続きとは!
「安倍元総理銃撃 山上徹也被告が初めて公判前整理手続きに出席 奈良地裁」と1月23日、TBS NEWS DIGが報じた。
刑事事件なので「被告」ではなく被告人ね。
山上徹也被告人の裁判は、裁判員裁判の対象事件だ。
法務省と最高裁が推進した「司法改革」、あのときの目玉である裁判員制度、といっしょに「公判前整理手続き」は登場した。
「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(以下裁判員法)の第49条がこう定めている。
(公判前整理手続)
第四十九条 裁判所は、対象事件については、第一回の公判期日前に、これを公判前整理手続に付さなければならない。
手続きの詳細は刑事訴訟法の「第二節 争点及び証拠の整理手続」の「第一款」が定めている。「かん」と読むのかな。
第一款は「第一目」から「第三目」まである。
法律に「款」とか「目」とか私は見慣れない。大きなNew手続き(第317条から第317条の27まで27ヵ条)を従来の法律の途中に割り込ませるに当たり、そのようにしたんだね。
それでだ、公判前整理手続きは、長くかかることが多い。2年以上かかることもある。
なぜ?
裁判員法を見てほしい。
(趣旨)
第一条 この法律は、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。
(裁判員の負担に対する配慮)
第五十一条 裁判官、検察官及び弁護人は、裁判員の負担が過重なものとならないようにしつつ、裁判員がその職責を十分に果たすことができるよう、審理を迅速で分かりやすいものとすることに努めなければならない。
裁判員制度は何のためにあるのか。刑事司法に対する国民の理解の増進と信頼の向上、そこなのである。
裁判員の多くは、傍聴席に座ったことさえない、いわば素人さんだ。
素人さんに負担をかけないよう、検察官、弁護人(被告人)双方の主張・立証を、公判(公開の法廷での刑事裁判)の前に、密室で、削り整えてしまう、それを裁判員裁判は必ずやるのである。
「司法改革」以前は、「殺人」の裁判でも、特別に何かなければ、犯行から2カ月ぐらいで第1回公判だった。
自白事件だと、2時間ほどで証拠調べを終え、第2回で論告・弁論、第3回で判決だったりした。
否認事件は大変だ。
検察官と弁護人が、互いに取調べ請求した書証の何点かを、ときに多くを不同意(裁判官の判断材料にするな)とし、ま、要するに、丁々発止の攻防が展開される。
そこが裁判傍聴の醍醐味だった。
当然、公判は回数を重ねることになる。
長引くけれども、なぜ長引いたのか、どっちがくだらん抵抗をしたのか、公開の法廷で傍聴人が知ることができる。醍醐味でしょ。
ところが裁判員裁判では、そこんとこが密室で削り整えられてしまう。
整えられたものが法廷へ出てきて、素人さんに対するアピール合戦みたいになる。
裁判員裁判が始まる前、検察は劇団の人から発声法とか教わった、なんて報道された。
裁判員裁判が始まった頃、開廷が細かく分刻みのことがあった。分の下1桁が「5」でも「0」でもないことがあった。
整えられた演目を、予め決められた時間内に演ずる、なんだそれ、と私みたいなのは思う。
もちろん、私とは異なることを思う方もおいででしょう。私は、自分が絶対正義で偉い、と思い込めるタイプの人間ではない。
それでだ、山上被告人の裁判(刑事裁判)の、気になるのは、傍聴券抽選なんである。
その話、長くなる。もうだいぶ書いたんだが、切り取って保存し、次回にまわします。
『自民党という絶望』、いま見つけた。タイトルが格好いいじゃないか。読もう!
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