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2024年3月の15件の記事

2024年3月31日 (日)

偉そうに言うなら見本を見せてくれと被告人

23032254_20240331102001 被告人 「私自身、ベストを尽くしてこうなってしまった…とりあえず…墓を管理するのは僕しかいない…世話…7年間やってきたんですけど…できるだけ早く家に帰って…自治体…社会貢献できるよう…自分は変わりもんだと…趣味…写真芸術…これやるためにずっと生きてきた…」

 

 東京地裁で13時30分~14時30分、「傷害」の新件。
 途中から傍聴席に座り、傍聴ノートを出してペンを持ったとき、弁護人に問われて被告人は長々とそう語り始めた。メモしきれなかった部分を「…」でつなぐ。

 被告人は身柄(拘置所)、濃い坊主刈りで、50歳代か、60歳ぐらいか。
 続いて検察官が反対質問。

検察官 「この7年、お母さんが死んでから7年間、たいへんだった…今回のこと、避けることはできなかったんですか」

被告人 「………………うーん…………たらればになってしまうんですが、やっぱり、施設に、もっと積極的に入れることができれば…大腿骨を骨折…要介護3が出て、でも父は強い意志で、自宅へ戻って…介護用ベッドと、あと僕が我慢すればよかった…」

検察官 「介護疲れで、腹が立ってしまうのは…それを行動に移すかは別…しつけのつもりで何度か暴力…やむを得なかったと…正直な気持ち…」

被告人 「介護してるときは…排泄物とか、あまりにもひどい…やむを得なかったかなって思ってたんですが…半狂乱の状態…やはり、孤立してると、あっ、これでいいのかな(しつけが功を奏したのかな)…やっぱり、排泄物、悪意があったんじゃないかと、そのときは…」

 あとでわかった、92歳の父親に対し、背中を押して転倒させ、頭部に加療2週間の傷害を負わせたんだという。

検察官 「お父さん、悪意があったと今、思うんですか」

被告人 「半分、半分です…若い頃からけっこう、人を困らせること、するんです…たとえばひとつの…」

 ここで私は、赤いペンでこう書いた、「まー、えんえん、しゃべるしゃべる、ほっときゃ1時間ずっとしゃべるだろ」。

検察官 「おそらくお父さん、悪気はなかったと思うんですね」

 なんだそれ、孤立して余裕がなかったという本件介護の、その修羅場を見ず、試験を勝ち上がってきただけの者が、どんな感想、想像を述べとんねん!
 さすがに裁判官が「それ、質問ではない…」と指摘したよ。

 

検察官 「改めて、こういう結果になって、お父さん…」

被告人 「残念……………自分がベストを尽くしてきたのに、こうなってしまった…同時に、なんとかならなかったのか、残念………」

検察官 「叩くようになったのは」

被告人 「えーと、特に増えたのは2021年以降です。事件起こる前、1年、排泄物、家の清掃が、たいへんだったんで、おしおきのつもり…」

 いま2024年3月。事件が起こったのはだいぶ前だったんだな?

検察官 「介護…社会で問題に…みんなが暴力をふるうわけではない。どう考えます?」

 修羅場で孤立していた者に対し、なんと空疎な言い分か、と私は感じた。
 被告人はこう答えたね。

被告人 「見本、見せてくれって…」

 おお~!
 裁判官はこう尋ねた。

裁判官 「お父さん、要介護の3、当時、デイケア、ショートステイは…」

被告人 「僕が、年1回、撮影旅行へ行きたいとき…土日だったら、全土日、デイケアが入る…2回やりました…1回5600円かかるんですよ…僕が栃木、群馬へ撮影…ちょっと高い…1時間だけみてもらうのは、毎週じゃなきゃ駄目って」

 

 14時32分、ようやく論告・弁論が始まった。求刑は懲役1年。
 弁護人の最終弁論中、こんな部分があった。

弁護人 「7年前に母親が亡くなり…1人孤立し、限界を感じながら…被告人はベストを尽くした…偶発的…排泄…体を汚してしまい…洗おうとしたが、なかなか浴室に入らない…被害者は、結果、亡くなっていますが…」

 えーっ、父親は死亡したんだ。
 しかし「殺人」でも「傷害致死」でもない。因果関係の立証ができなかったのか。あるいは…。
 「殺人」も「傷害致死」も裁判員裁判対象事件だ。めんどくさいので“罪名落とし”の面もあったのか。

 きっかり1週間後の16時40分に判決。時刻的に都合がつかず、私は傍聴しなかった。ま、懲役1年、執行猶予3年で間違いないだろう。執行猶予が4年だったらちょとびっくりだ。

 ←3日31日10時20分現在、週間INが60で2位。

2024年3月28日 (木)

ギャンブル、客を依存症にさせてなんぼの商売

 たとえば「「カジノはほぼ皆行ってたよ」大谷翔平“元通訳”水原一平は日ハム時代からカジノへ「選手に賭け方を指南していた」《元日ハム有名選手が実名証言》」と週刊文春4月4日号。

 アメリカの大リーグの大谷翔平選手の元通訳・水原一平氏のことで、ギャンブルという語が日々あふれるようになった。

 

 私の超絶マニアックデータその1(現時点で約1万940件)の備考欄から「ギャンブル」とあるものを拾ってみた。
 ギャンブルがらみはこれだけ、ではない。尾行欄に「ギャンブル」の文字があるものを拾った。

 

・ギャンブルに狂いサラ金から逃げ回り、サウナの無施錠のロッカーから9万5千円等窃取。

・ギャンブルはもうしないと誓ったのに、生活保護費をパチンコに費消してしまい、東急ストアで豚肉380円を万引き。

・43歳まで板金工としてまじめに働いていたが、ギャンブルに狂って離婚。転落。

・パチンコ店へ出勤後、妻が離婚届を出したことを知り、自暴自棄になり店の金庫から約2300万円窃取。逃走しつつギャンブルで全部費消

・ギャンブルに狂い、パチスロ台の上の財布を置き引き。パチンコ店内のカード窃取で猶予中。

・ギャンブルをし、無為徒食の生活を送り、換金目的で用意周到にバッグ等8点、高価なものを万引き。

・友人との飲食やギャンブルに持ち金を使い果たし、所持金を超える缶ビールを万引き。警備員の指に噛みついた。

ギャンブルの軍資金を闇金から借りて返せず、棒引きにするから銀行口座を作ってこいと

・池袋のロッテリアで働いていたがギャンブルにのめり込んで辞め、度々侵入して金品を窃取していた。

・3人家族へ義母と義弟(ギャンブル狂い)が来て、自分の派遣仕事(12~14万円)で家族を支え、生活苦から万引き? 盗癖でしょ。

・ギャンブル&借金男。自分名義では借金できないので兄の名を妄用して免許証再交付。しかし、立派に更生してるのだった。

・ ギャンブル依存、絶ちがたい盗み癖、また空き巣。

・20代、ギャンブル癖、換金目的の万引き。

・73歳、同種前科11犯、生活費の不足をギャンブルで埋めようと空き巣。

・会社を辞め借金を重ねてギャンブル。他人も不幸にしたいと民家の車のカバーに放火。弁償も借金も全部父親が。

・生活保護費は即酒とギャンブルに使い果たし、マックで手慣れた置き引き。もうダメな男。

・ギャンブル依存症、パチスロ店で客のICコインを盗み8千円引き出し。

26歳の検察事務官がギャンブルに狂い、保管金300万円を盗んだ。弁償は25万円のみ。

・ギャンブル狂い、保釈中に逃走してすぐまた車上荒らし。境界域か。

・福島で除染作業中、同僚の金をギャンブルで使い込み、逃げる際、事務所からデジカメ3台と車を盗み、無免許で東京へ。

・普通の若者に見えるのにギャンブル癖で換金目的万引き、累犯2! また実刑。

・目隠しヘアの31歳、ギャンブルで生活を立てていたが…。

・前科多数、出所後、生活保護費をギャンブルに費消、換金目的で血圧計を万引き。

何十年で娑婆にいたのは何カ月、ギャンブル好きで空き巣常習。

・羽田空港の航空有印郵便から現金書留を抜取り、通勤の天空橋駅でエスカレーター盗撮。ギャンブルから。

・他人の免許証でレンタカーを詐取し、ネットカフェのシャワールームで盗みを。ギャンブル依存。よくしゃべる男。

・ギャンブルの借金を度々親に精算してもらい、母親のタンス預金を50万円盗み、発覚を逃れるため放火!

・生活保護の女。内夫あり。保護費をギャンブルに費消して万引き。

・仕事で稼いだ金をギャンブルで浪費、生活費に困窮して50歳女性からひったくり。自転車を盗んで職質で発覚。

・ギャンブルに狂い、社員寮のテレビなどを勝手に売却、雇用主が情状証人に。

 

 

 私の場合、高校生の頃から、30歳代の半ば頃までだっけ、パチンコをやっていた。
 終わりの頃の1年間ほど、月平均11万円の収入になった。地味なお仕事、という感じになってしまい、面白みが薄れた。

 入りにくい穴に玉が1回入ると、チューリップがぱっかんぱっかん10数回開くタイプと、絵柄が3つそろうとバカバカ玉が出るタイプ、つまりギャンブル性の高い台が主流になり始め、店内のトイレの便器等を破壊する者が現れ始めた。

 こんなクズな場所に入り浸ってたら駄目だ、アホらしくもなり、きっぱりヤメた。勝ち逃げした。

 

 ギャンブルもゲームも、客を依存症にさせてなんぼの商売かと思う。
 人をわくわくさせ、射幸心をあおり、痺れる快感をたまに与え、時間と金を吸い上げるのだ。

 ギャンブルをやらないんじゃなく、そもそも近寄らない、それがいちばんかと思う。
 でも、いっぺん見学に行くのは良い、とも思う。
 その場合、少額を投じて「ああ、こんなものか」と去るべし。

「負けちゃった。原因はたぶんこれだ。なのでこうやれば勝てるかも」
「勝っちゃった。今のやり方でいいんだ。じゃ、もう1回だけ」

 そうなったとき、あなたは転落人生の崖っぷちに立っているのだ。
 転落とまではいかなくても、稼ぎの何割かをギャンブル産業に捧げ続ける人生って、アホらしいでしょ?

 ある裁判官が、こんなふうなことを言ったよ。

裁判官 「地道に生きた先に、小さな幸せもあるわけで…」

2024年3月27日 (水)

塩を備える義務違反で書類送検

 「 「塩」を備えなかった疑い 死因は「熱中症」60代男性が死亡 草刈り作業中に倒れる 農業生産法人と役員を書類送検」と3月25日付け長野放送。
 合掌。

 農業生産法人と役員が「労働安全衛生法違反」の疑いで書類送検されたという。
 ニュース中に、こんな部分がある。

法律では「多量の発汗を伴う作業場には塩と飲料水を備えなければならない」とされてますが、当時、塩分を摂取できるものが用意されていなかったということです。

 なにそれ、と思って「労働安全衛生法」を見てみた。
 どうにも見つからない。

 

 念のため「労働安全衛生規則」(労働省令)を見てみた。あった!

(発汗作業に関する措置)
第六百十七条 事業者は、多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与えるために、塩及び飲料水を備えなければならない。

 これに違反すると…。

第二十三条 事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。

 この第23条の違反になり、罰則は法第119条第1号、6月以下の懲役または50万円以下の罰金、たぶんそういうことかなと。

 

Screenshot-20240327-at-024922-000905329p  「労働安全衛生規則」、第617条ってすごっ、と思ったでしょ。
 なんと第678条(警報及び標識の統一)まで、多岐にわたって細かく定められてる。よっくもそんなに、である。つくるとき、大変だったろうねえ。
 右の画像は、労働局か労働基準監督署かそっち方面のパンフより。

 

 「労働安全衛生法違反」の刑事裁判を、何件か私は傍聴したことがある。
 1件はメルマガ第1800号「自動車部品工場の頭部粉砕骨折、逆転有罪」でレポートした。
 第147条第1項違反の事件だった。

(射出成形機等による危険の防止)
第百四十七条
 事業者は、射出成形機、鋳型造形機、型打ち機等(第百三十条の九及び本章第四節の機械を除く。)に労働者が身体の一部を挟まれるおそれのあるときは、戸、両手操作式による起動装置その他の安全装置を設けなければならない。
 前項の戸は、閉じなければ機械が作動しない構造のものでなければならない。

 傍聴席に遺族がいて泣き、なんとも胸がつまる思いの裁判だった。

 

 「労働安全衛生規則」は、人は事故を起こすもんだとの前提で、防ぐために、機械装置や設備について、いっろんなことを定め、義務付けている。
 その理由を裁判長はこう述べた。

裁判長 「人間の注意力には限界があることから…」

 だから機械装置や設備について、いっろんなことを…。しかし! 結局は人間のやること、それでも事故は起こる。人が死傷する。

 

 一方、交通事故はどうか。
 青信号で右左折する自動車が、同じく青信号で横断歩道を横断する歩行者や自転車(以下、歩行者等)を、という死傷事故が、もう次から次へと法廷へ出てくる。
 自動車の運転者に常時完全な注意義務を課す。
 注意義務を怠ったら警報が鳴るとか、んなこたない。

 そして歩行者等は、青信号の横断歩道は聖域とすり込まれている。
 死傷事故が次から次へと起こって当たり前、当たり前中の当たり前ではないか。

 なんてこった! と私は傍聴席で思い続ける…。


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2024年3月25日 (月)

オービス裁判、常軌を逸した求刑、なぜっ?

2205195-2_20240325201901  今日、めちゃくちゃ珍しいのを東京地裁で傍聴したよっ!

 

 開廷表の事件名は「道路交通法違反」。しかも新件じゃなく審理の期日。
 しかもしかも、開廷は13時30分。つまり地裁の午後の新件が一斉に始まる時刻。
 当然に、始まる時点で傍聴人は、警察官かと思われる大柄な男性1人、と私。総勢2人(笑)。

 これは、首都高の50キロ制限の区間でオービスにより105キロ(55キロ超過)で測定・撮影され、「写真の運転席にいるのは自分ではない」と、犯人性を否認している事件だ。
 事件番号の年は「平成 令和4年」=2022年。ずいぶん長く争っている。

 今日は論告・弁論。
 首都高の超過50キロ台は、罰金8万円が相場だ。
 判決は求刑の8掛けとか言われるが、通常は略式で処理される罰金事件では8掛けはない。
 求刑も判決も罰金8万円。それが当たり前だ。 

 速度違反の法定刑は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金。
 真っ向争うと、検察官はムカつくのか、上限の罰金10万円を求刑することがある。
 そういう場合、相場を知り、しかし検察官の顔も立て、罰金9万円の判決とする裁判官もいる。
 相場を知らないのか、罰金10万円の判決とする裁判官もいる。

 ところがなんと、本件の求刑は懲役3月(さんげつ)!
 懲役3月ってのは、首都高での超過80キロ台の鉄板相場だ。
 相場は罰金8万円なのに、罰金の上限を飛び越し、懲役3月って、うわお、である。そんなの私は初めて見た!

 被告人は特に前科がないみたい。常軌を逸してる。なぜ?

 この「犯人性の否認」、私はねえ、うそだろと最初は思ってたの。
 んが、審理が進むにつれ、うそじゃないかも、と思えてきた。
 じつは犯人性は怪しく、捜査にいろいろ落ち度があり、しかし公判立会(りっかい)検察官としては無罪は自分の重大な落ち度になるんで、ぶっ飛んだ求刑で裁判官にプレッシャーをかけたのか? との妄想も可能だ。

 次回判決。
 裁判官は、懲役求刑なのに罰金判決(たぶん10万円)とするところを落とし所とするんじゃないか。絶対傍聴しなければ!
 もしかしたら、前科についての部分を私は聞き漏らしてる、かもカモしれない。判決で分かるだろう。

 

 そのほか、「有印私文書偽造・同行使、詐欺、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律違反」なんて事件の審理を途中から傍聴した。
 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」、略称は「番号法」または「マイナンバー法」か。

 「「レディにラーメンはないよ」大田区・24歳サバ読み老女(72)は勤務先で年下男性を漁っていた「自分は48歳。年下の男としか付き合わない」」と2023年10月29日付け週刊文春。この事件だ。

 被告人は非身柄。黒系の珍しいタイプのマスクを着け、長い茶髪で、目の感じがちらっとGaijin風。
 両手を胸の前に重ね、足を組み、なんか女優風。

 乙2号証は、犯行動機についての調書。

乙2号 「好きな仕事を長く気分良くやっていきたかった…年齢を気にせず仕事をしたかった…警備会社…年齢による差別…決めつけ、悪口…多かった…70歳以上だと…若くても仕事できない人ほど、年齢で悪口を言う…」

 今日予定されていた追起訴は間に合わず、次回、追起訴から結審まで、の予定。
 被告人質問を聞きたい。傍聴したい!

 そんなこんなで、裁判傍聴はヤメられない、とまらない。

 


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 裁判所へ往復の電車内で、今これを読んでる。3冊200円の1冊として古書店で買った、2016年の本だけど、おっもしろいよう。
 日光を見ずしてけっこーと言うなかれ、Do not say kekko,before you see Nikko.日本会議を知らずして日本を語るなかれ、だと思う。

 ←3日25日19時50分現在、週間INが50で2位。

2024年3月23日 (土)

大麻取締法は目的のない法律

 「去年1年間の大麻による検挙人数およそ6500人で過去最多 初めて覚醒剤の人数を上まわる」と3月21日付けTBS NEWS DIG。

 警察庁によると、2023年の大麻事件の検挙は、前年より1140人増えて6482人、過去最多だという。
 年代別では、20代が3545人、10代が1222人、いずれも前年より大幅に増えて過去最多だという。

 

 私は大麻の刑事裁判も、まあまあ傍聴してきた。
 「大麻取締法違反」は「道路交通法違反」と似たところがある。
 どちらも、リアル社会でそれなりに、またはかなり活躍している人が被告人であることが、他の犯罪より多い、私が傍聴してきた限りでは。

 そんな立場から、警察は発表せず、したがってニュース報道にならないことを、述べておきたい。

 

 大麻は、使用はセーフ、所持がアウト、とは近頃は多くの方がご存知だろう。
 だがそれは、「リラックスするため」「興味本位で」などといった場合についてだ。

 「大麻取締法」第4条第1項は「何人も次に掲げる行為をしてはならない。」として4つの行為を掲げており、うち2つはこうだ。

 

二 大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のため交付すること。

三 大麻から製造された医薬品の施用を受けること。

 

 大麻由来の医薬品の処方や使用(施用)を、わざわざ明文で禁止している。
 第24条の3第1項に「次の各号の一に該当する者は、五年以下の懲役に処する。」とあり、その第2号はこうだ。

 

二 第四条第一項の規定に違反して、大麻から製造された医薬品を施用し、若しくは交付し、又はその施用を受けた者

 

 大麻由来の医薬品となると、使用(施用)もアウトなのである。

 

 いったいなぜ、医薬品をわざわざ明文で禁止するのか。
 多くの法律は第1条に目的、守ろうとする法益を定めている。
 たとえば「覚醒剤取締法」はこうだ。

(この法律の目的)
第一条 この法律は、覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締りを行うことを目的とする。

 

 たとえば「麻薬及び向精神薬取締法」はこうだ。

(目的)
第一条 この法律は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もつて公共の福祉の増進を図ることを目的とする。

 

 たとえば「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」はこうだ。

(目的)
第一条 この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

 

 では、「大麻取締法」はどうか。第1条はこうだ。

第一条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。

 

 いきなり定義から始まっている。
 目的がないのである。掲げるべき目的がなく、ただ禁止し処罰するための法律なのである。


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お医者さんがする大麻とCBDの話 [ 正高 佑志 ]
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 大麻は、治療用はもちろん嗜好用も、世界的には解禁の方向へどんどん向かっているという。
 依存性等の害はアルコールより格段に小さいことが広く明らかになってきている。

 ゆえに、罪悪感なく大麻に手を出したくなる人は少なくないだろう。
 治療や苦痛の緩和のために、という人もおいでだろう。

 だが! そんなの関係ねえ、そんなの関係ねえ!
 大麻のいちばんの怖さは、依存症とかじゃなく、日本では禁止されていること、そのこと自体なのである。オッパッピーなのである。

 

 世界には、独裁者に逆らえば殺される国もあるという。
 日本は、「大麻から製造された医薬品」すら禁じて刑罰を食らわす国なのである。
 良い悪いじゃない、捕まるかどうか、なのである。
 そこんとこ、特に若い方々に、きりきり知ってほしい。肝に銘じてほしい。

 私の声は若い方々には届かないだろう。
 これをお読みになった方が、お子さんやお友達に伝えてくれることを願ってペンを置く次第だ。 ←なんか偉そう(笑)

 

 ちなみに、違法薬物の刑事裁判では「親和性、常習性、依存性」が悪情状の3点セットなのだが、「大麻取締法違反」の裁判では、裁判官は依存性を言わなくなったね。
 検察官もあんまり言わない。

 言うのは弁護人だ。「依存症治療の専門医療機関へ通院します!」と、被告人によく言わせたがる。
 あーぁ、と私は傍聴席から見ている。1段高い法壇で、裁判官は目を伏せている…。

2024年3月21日 (木)

残りの人生はどぶろくでいこうと思った件

 古書店で、3冊200円じゃないほうの本を買った。

2403212  『保守の遺言』(西部邁さん、平凡社新書)を300円で。
 『1945 わたしの満州脱出記』(稲毛幸子さん、ハート出版)を250円で。
 『事故がなくならない理由』(芳賀繁さん、PHP新書)を200円で。

 どれも面白そうでしょ。

 『事故がなくならない理由』は、一般的には売れないんだろうけど、私としては、交通事故を考えるとき参考になりそう。

 

 それらを、どれひとつ1ページも読まないうちに数日後、古書店じゃないほうの書店へ行き、2冊買った。

2403202  『詭弁社会 日本を蝕む“怪物”の正体』(山崎雅弘さん、祥伝社新書)を930円+税で。
 『メガトン級「大失敗」の世界史』(トム・フィリップスさん、訳は禰宜田亜希さん、河出文庫)を980円+税で。

 

 買って外へ出たら、えっ、雨が!

 しょーがないので近くのマクドナルドへ入り、ホットコーヒーのMサイズ(180円)を買い、1人席で、まずは『メガトン級「大失敗」の世界史』を読み始めた。
 こうして私は年に1回ぐらい、どうかすれば年に2回ぐらい、マクドナルドのお客になるのです。

 

 『メガトン級「大失敗」の世界史』、なんだこれー、めんどくさいのを買っちゃったか(笑)、と最初は思ったが、いやいや、読み進めるうち、これは面白い! となった。
 禰宜田亜希さんの訳が良いのか、もとの英語文章も強烈なんだろうねえ。

 禰宜(ねぎ)って神職の職名か何かでしょ、禰宜田さん、何者?

 本は良いねえ。スマホに夢中になってる人の気が知れない、と私は思うけど、人それぞれ、強要などしませんです。

 

 今日、楽天で発注したどぶろく2本セットが届いた。ずばりこれだ。

 これは私のアフィリエイト。これを見てAmazonで探すのは勘弁してくださいね(笑)。
 楽天は、Amazonに負けまいと、いろいろポイントとかサービスしてるみたいです。

 

 受け取ってサインしてから、配達の人に「ありがとうございます、これ、どぶろくなんすよ」と言ったら、にっこり笑ってくれた。
 んなこたどうでもいい、さっそく飲んだ。我慢できず、2本とも開けちゃった。

 900㎖で2本2200円、税込みで送料無料って、東京で居ながらに手に入るものとしてはバカ安でしょ。
 アルコールが12%と低いせいですかね。

 お味は? うーん、私としては、3月11日に書いたどぶろくに比べて、なんつーか、さわやかすっきりなのが、ちょと気に食わない。
 でも、あっちより酸味があり、そこは面白い。

 とにかくね、もうね、普通の透明な酒(清酒、日本酒)は、つまんない、残りの人生はどぶろくでいこうよ、と思う。
 だって、お肌にも良いそうなので😃

 ←3日21日21時30分現在、週間INが70で2位。

2024年3月19日 (火)

【独自】心神喪失で不起訴は370人

Screenshot-20240319-at-205554  事件数で1万1千件超を傍聴してきた立場から、少しコメントしてみたい。

 「夫を殺害した男性は、心神喪失で不起訴になった。裁判官と受け答えができていたのに…「どうして殺されたの?」真相を求める遺族の苦悩は続く」と3月19日付け共同通信。画像はそのスクリーンショットだ。
 以下は刑法。

(心神喪失及び心神耗弱)
第三十九条 心神喪失者の行為は、罰しない。
 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

 

 これはほとんど空文、と傍聴席からは思える。

 犯行後に逃げたなら「是非弁別能力あり」とされる。
 ひとけがなくなるときを狙って襲ったなら「行動制御能力あり」とされる。
 完全に狂ってるっぽい場合は「病気の影響は否定できないがその影響は限定的だった」とされる。

 起訴されたらもうアウト、有罪確定、と傍聴席からは見える。
 何を処罰すべきかは検察の守備範囲、裁判所の役割は、処罰を法的に正当化しお墨付きを与えること、そこが基本と、ぶっちゃけ傍聴席からは感じる。
 いちおう断っておくと、私の場合、良い悪いは措き、とりあえずありのままに見るよう心がけている、つもりだ。

 

 そういうなかで、検察のほうで、心神喪失により不起訴とすることはある。
 2022年(それが最新)の検察統計の「8 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員-自動車による過失致死傷等及び道路交通法等違反被疑事件を除く-」によれば…。
 既済の総数は30万6659人。うち14万6617人が不起訴で、うち370人が「心神喪失」だ。

 起訴した場合に裁判官が悩みそうなケースは不起訴、そういうことかなと。
 特に「殺人」は裁判員裁判の対象事件だ。裁判員に難しい判断は無理。裁判員裁判の判決を高裁でひっくり返したら批判を招きかねない。そういう深謀遠慮もあるかも。

 

 そんなことを踏まえて、今回の事件、どうなんだろう。

「犯罪者に権利など不要。法律が犯罪者を守るなどおかしい! ぶっ殺せ!」

 そうした声が大きく響きやすい社会状況であるといえる。
 ならば、起訴して…。

「思考盗聴やストーカー云々(うんぬん)など、被告人が統合失調症の迫害妄想に支配されていたことは明らかである。しかし、殺人がよくないこと自体は認識していた。被害者が1人になるところを狙っており、行動制御能力もあった。刑事責任能力は完全にあったと認められる。よって被告人を主文の刑に処し、未決勾留日数中600日をその刑に算入する」

 との判決を得ることも、可能だったはず。
 なぜ本件は不起訴だったのか。
 担当検察官が、だいぶんに変わり者だったのか、あるいは、本件がよっぽど特殊な事件だったのか。うーん。

 

 私としては、370人をすべて、「〇〇起訴」とかいう呼び方で起訴してはどうか、なんてちらっと思ったりする。
 すなわち、検察官は不起訴を主張し、その理由を述べる。公益弁護人みたいな人が意見を述べ、被害者遺族も意見を述べる。でもって裁判官が判断する、そういうのはどうかなと。

 検察が密室で不起訴と決め、その理由としては「心神喪失」の4文字しか明かさない、それよりは良さそうな気が…。

 ←3日19日21時50分現在、週間INが60で2位。

2024年3月17日 (日)

最高裁の裁判官は過労死寸前?

P1000461_20240317211201  貧乏性なのか、日々配達されてくる日本経済新聞の朝夕刊を、真っ直ぐに回収袋に放り込むことが、私はできない。

 今年1月15日付けの夕刊の、「人間発見」のコーナー、「元最高裁判事 日本カメラ財団理事長 桜井龍子さん」の第1回を読んだ。
 見出しは「少数意見ためらわず」「職責の重さは格別■「寿命が縮んでも仕方ない」」。
 こんな部分がある。

 最高裁には長官と判事が計15人いて5人で小法廷を構成します。

 15人全員で構成するのを大法廷という。小法廷、大法廷は、単に法廷の大きさのことではないのだ。

 

 各小法廷が年に扱う上告事件は約2000件。民事に刑事、労働裁判に土地の境界争いなど多様ですが、一つ一つが原判決に判例違反か憲法違反があるとして終審判断を求める重い訴えです。

 15人で年に2000件! 単純に割り算すれば1人当たり約133件だ。
 たったそれっぽちか、と地裁、高裁の裁判官は言うかもしれないが。

 

 ただ2000件のうち95%は、あらかじめ調査官が意見を付けた書類をまとめ、5人が順に審査する「持ち回り事件」になります。書類を熟読し、明らかに棄却相当などと判断できた場合、判を押し、次の判事に回して最高裁の決定とするのです。

 最高裁の調査官はだいぶエリートだと聞く。東京地裁の裁判官に、その調査官の経験者がしばしばいる。
 調査官は数十人らしい。ネットで検索すると「私がいたときには調査官は37人で…」なんてのがあったりする。

 2000件の95%=1900件は、実質は調査官が審理し、裁判官はチェック、追認する、そんな感じで回してるのかな。
 調査官が判事にどんな「書類」を渡しているのか、気になるっす~。

 

 判事の稼働日数は年約200日。持ち回り事件の判断は1日10~20もあった。

 ここは紙面では太字になってる。桜井元最高裁判事の語りの部分に対して、いわばドラマのナレーションの部分だね。

 てかさ、1日10~20件って、なんだそれ!
 「重い訴え」の書類を、多いと1日20件も「熟読」するって、まじっすか?
 で、語りの部分がこう続く。

 

 机に書類が山積みで、家に帰っても考え続けることが日常的。“労働状況”は大学教員と比べものにならないほど過酷です。「健康管理は自分で」と他の判事に言われましたが、寿命が縮んでも仕方がないと腹をくくりました。

 おい~! と私なんかは思う。
 日々のすべてを事件処理に捧げ、おそらくは人としての余裕がなく、過労死寸前みたいな状態って、だいぶんにまずいんじゃないでしょうか。
 司法のてっぺんというべき最高裁が、じつはそんな状態だと、当たり前のように語る、大丈夫なのか。

 いや、桜井龍子さんが最高裁判事だったのは2008年からで、2017年退官だという。
 今は“働き方改革”だ。最高裁判事は30人になってるかもしれないじゃないか。 ←そんな話は聞かないぞっ。

 てかそもそも今回の記事は第1回だ。第2回、第3回へどう続くんだろ。

 そんなふうにキャーキャー言いながら(笑)、“古新聞”を少しずつ読んだりなんかしておる次第です。

 ←3日17日21時00分現在、週間INが40で2位。

2024年3月15日 (金)

だいぶ有名歌手の薬物裁判、傍聴人は15人

2312254  1970年前後のものしか、歌については私はほぼ興味がない。
 そのせいもあってか知らなかった、ある歌手がだいぶ有名だってこと。
 今回、その芸名プラス逮捕でYahoo!検索したところ、約92万3千件のヒットがあった。

 そう、ある有名歌手が薬物で逮捕されたと、ネットで話題になっているのだ。

 

 ある傍聴人氏から情報をもらい(ありがとう!)、傍聴した。

 念のため前日、裁判所の傍聴券情報のページで確認した。
 傍聴券抽選ではなかった。
 今回の期日は世間に知られていない、と解することができる。
 あまり焦って行くこともなかろう。

 そうは思いつつも、「もしや既に大行列だったらどうしよう」と焦りつつ、開廷25分前に私は法廷前へ行った。
 若い女性が1人、ぽつんといるのみだった。まともそうな女性だ。

 

 開廷10分前にドアの施錠が解かれ、開廷5分前に早々と裁判官が登壇した。
 その時点での傍聴人は、私を含め10人ぽっちだった。
 開廷2分前には、15人になった。
 先頭だった若い女性、私、若め女性5人組(服装、雰囲気的にファンとは考えにくい。傍聴見学か)、若いカップル、若い女性2人組、若い男性2人組、ピアスの若い男、そして、おお、ある著名人、合計15人。

 

 違法薬物の裁判だけど、覚醒剤か大麻かその他の薬物か等々、事件名すら伏せる。傍聴席の数も伏せる。
 現れた被告人が、在宅か保釈中か身柄か、またその容姿、人定質問でどう答えたかも伏せよう。

 

 この日は、起訴状と追起訴状の朗読、認否(自白)、検察冒陳、書証(弁護人は全部同意)の要旨告知までで終わった。
 次回は、さらに追起訴だ。

 

 全部終わったら、何らかの形で書くかもしれない。
 ネットにすぐ書けばPV(page view)をどっかん得られそうな事件は、ときどきあるのですよ、ひっそりと。
 たとえば、超有名歌手の父親のスピード違反とか、超々有名タレントのマネージャーの交通事故とか、それらはメルマガ(有料)でレポートしてきたけど。

 ←3日15日21時20分現在、週間INが50で2位。

2024年3月13日 (水)

弁護士に対する大量懲戒請求、反撃の民事裁判を傍聴した件

Screenshot-20240312-at-145036-19-x 右の画像は、3月11日付け「ささきりょう」氏のTweet(現ポスト)、のスクリーンショットだ。
 大量懲戒請求事件…あっ、それって前にメルマガでレポートしたあれじゃん?

 

 その事件の、東京地裁の裁判をいくつか私は傍聴したことがある。
 司法の歴史、レイシズム界隈の歴史に残るだろう事件の一端を、傍聴マニアも目撃した、ともいえる。

 2019年2月26日のある訴訟の口頭弁論期日を、同日付けのメルマガ第2221号「弁護士に対する大量懲戒請求、反撃の民事裁判を傍聴した!」で私はレポートした。
 だいぶ端折り、少し書き加え、以下に再掲しよう。

 

 あれ? 私ってば何のワードでネット検索してたの? そうなること、諸君もあるでしょ。私はよくある。

 何かでネット検索していたら、「「余命💓ななこ」に天誅!余命三年時事日記の嘘とワナを暴く。 」というページを発見した。
 なんと、たとえば「大量懲戒請求 賛同した女性「洗脳状態だった」」と昨年10月23日付け毎日新聞にある事件、あれで懲戒請求された側の弁護士が、した側を提訴した事件の、期日等をどんどん伝えるページなのだった!

 毎日新聞の記事に「女性があおられたとするのは「余命三年時事日記」と題された匿名の筆者によるブログ」とある。
 あおられて懲戒請求をした者たちが、逆に訴訟を起こされたわけだ。へえ~。

 興味をひかれ、東京地裁の次回弁論期日を次々手帳にメモった。ちょうどタイミングがよければ傍聴してみようかと。

 

 そして2月26日(火)、ちょうど空いた時間に、いくつかメモった弁論期日のうち1つがあった。傍聴した。

 午前11時、東京地裁806号法廷(42席か52席)。だいぶエリートな氏本厚司裁判長。合議)で「損害賠償請求訴訟」。
 開廷表の原告欄は「金竜介」。メディア報道などに画像付きでコメントしている弁護士だ。
 被告欄は、男性名がひとつ。あとでネット検索してみた。おそらく本人のTwitterが見つかったが、どんな人物か、うかがわせるものは一切なかった。

 

 法廷内、原告席には若い男性が1人いた。黒スーツでノータイ。金竜介弁護士とは別人だ。代理人弁護士なのだね。
 被告席には、ちょいメタボ系の中年男性が1人。黒スーツにネクタイ。頭髪や顔貌等の特徴をメモった(※)が、伏せとこう。どうやらこの人が被告本人らしい。 ※私は法廷で絵は滅多に描かず、文章でスケッチする。


 傍聴人は、私のほかに4人。みな非スーツの中年男性だ(中年といっても幅が広い)。刑事裁判でよく見る一般傍聴人とは明らかに感じが違う。何らかの関係者なのだろう。
 裁判官3人が登壇し…。

裁判長 「えーっと、原告第3準備書面、これ陳述するということでいいですか? …原告第5準備書面…」
被告席 「あと第4準備書面もございます」

 そんなふうに始まった。
 書面の提出を確認し、本日公開の法廷で陳述したことにする、という民事の定番のやりとりだ。

裁判長 「進行は…」
原告席 「原告としての主張は行いました…立証についても陳述書を…しましたので結審し…」

 もう結審して次回判決でよろしく、というわけだ。裁判長は被告に対し意見を求めた。

被告席 「はい…えーと…30秒…15秒くらいでひとつだけ主張…」
裁判長 「なんすか?」
被告席 「原告は人種差別と言ってますが…在日コリアンの思い込みであり…」

 声が小さく、私には全く専門外、あとはメモしなかった。
 速度違反の刑事裁判で「現認状況報告書」とか「写真撮影報告書」とか「定期点検成績書」とか出てくるなら、略語を駆使してばっちりがっちりメモするんだけど(笑)。

裁判長 「それはこれまでも…」

 これまでの提出書面に同じことが記載されている、ということなのだろう。

被告席 「あ、はい、口頭で…(述べたかった)」

 「じゃちょっと合議してきます」ということで裁判官3人が、奧へ下がった。
 30秒ほどで戻り…。

裁判長 「裁判所としてはこれで口頭弁論を終結します」

 判決言渡しは4月23日と決め、11時05分閉廷。

 私は立ち上がり、見た。被告席の傍聴席側の端っこに、背を傍聴席へ向け置かれた書籍2冊、いったい何だろと。
 外患誘致罪、共謀罪、という文字が読み取れた。
 今日の弁論には関係なさそう。何かの宣伝、アピールで、あるいは心の拠り所として置いたんだろうか。

 終わって私は、廊下(小廊下)へ出て、開廷表をメモった。
 4人の傍聴人も出てきた。うち、どうだっけ3人か2人は、被告のお仲間なのかどうか、被告と連れだって奥の一般待合室へ行った。

 

 帰宅後、このメルマガ記事を書くに当たり、上掲「「余命💓ななこ」に天誅!余命三年時事日記の嘘とワナを暴く。 」をまた開いた。
 ぎょぎょっ!
 そこにこうあった。 ※■部分は私が伏せた。

 2月26日11:00 傍聴4名(■■■之、■■■人、■■■士 他1名)
 被告 余命著書を2冊被告机に置く「外患誘致罪」「共謀罪と日韓断交」(傍聴席に向け)
 被告「30秒いや15秒くらいでひとつだけ主張したいのですがいいですか?えーっと、原告は人種差別と主張しているんですけど、これは在日コリアンの思い込みであり在日コリアンに対して批判に対して差別ということで攻撃しているものに過ぎないかなと思いました、以上です」
 (裁判官三名別室合議後)弁論終結
 4月23日13:00 判決

 そうそう、まさにそんなことを被告は言ったのだ。

 てことは、つまり、「傍聴4名」のうち3名は誰か特定されおり、「他1名」が私なのだ!
 
5人目の傍聴人が「…嘘とワナを暴く。」の筆者または情報提供者なのだ。

 

 深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いている、とはフリードリヒ・ニーチェ氏。
 傍聴人は、誰からどう見られているか、そこは話が長くなる。また今度。

 


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 あの『菊と刀』のルース・ベネディクト氏がこんな本を書いていたとは、不覚にも知らなんだ。読もう!

2024年3月11日 (月)

にごり酒とは違う、どぶろく、である

 にごり酒とは違う、どぶろく、である。

 どぶろくは発酵食品だそうで、抗酸化作用、腸内フローラ、アンチエイジング、コラーゲン、肥満抑制、血圧上昇抑制、血糖値上昇抑制、便通改善、等々あれこれいろいろ体に良いんだそうだ。

 「どぶろくが4月21日の「所さんの目がテン」で取り上げられました

 「健康コラム48 「腸内フローラにも美肌にも効果抜群、「どぶろく」の科学的パワー」

 「第15回 全国どぶろく研究大会 どぶろくの美味しさと健康効果について考える

 

 画像のやつ、商品名が「どぶろく」ってアリなのかどうか、とにかく東京では、私が自転車でけっこう広範囲を巡回する限りでは、どぶろくはこれしか見出せていない。 ※当ブログの容量がやばくなり画像は削除。すみません~。

 720㎖、アルコール14%、1本1500円ぐらい(+税)するんだけど、量を呑むわけじゃないんだから、旨くて満足できるものを飲もうよと、スーパーのポイントの倍率が高い日、奮発して2本も買った。

 ポイントの倍率が高いと、「消費税3%セール」や、場合のよっちゃ「消費税廃止セール」と同じわけで、購買意欲が高まりますわ。

 

 今時は、居酒屋に複数種類の清酒(日本酒)があり、選べる。
 各清酒の特徴がメニューに書かれていたりする。

 すっきり、まろやか、さわやか、フルーティ、飲みやすい…。
 私としては、つまらん。水の飲み比べじゃないんだから。

 どぶろくは、その対極だ。
 飲むんじゃない、噛んで味わうのだ。初めての人はびっくりするでしょ。

 

 どぶろくに、焼肉や串揚げは合わない、と私は思う。
 合うのは、煮魚、煮染め、高野豆腐、菜っ葉のおひたし、かな。

 そんな惣菜と、どぶろくを出す、小洒落た居酒屋があったら、女性に大人気、テレビが押し寄せ、「時代はどぶろく!」なんてことになるんじゃないか。

 

 上掲は私のアフィリエイト。これ、安い! アルコールが12%だから?

 思いついた。酒粕(さけかす)を買って、焼酎甲類につけ込む、梅酒じゃなくて酒粕酒、試してみよう!

 ←3日11日6時50分現在、週間INが50で2位。

2024年3月 9日 (土)

詐欺メール、人間の営みって、、、

 ちょっと面白い詐欺メールがきた。
 メールのタイトルは「【bitFl yer】アカウ ント制限のメール!」。本文はこうだ。

 

お客︉様が b⁡itFlye⁡r ⁡にログインされました︉ので、お知らせいたし⁡ます。

■ログイ⁡ン情⁡報
・ログイン⁡日時: 2024-03-08 10:19:12(日本時間)
・IPアドレス: 8c7e:f0fe:2e57:d989:7486:b624:8fce:fc15 (アメリカ)

■第三者ログイン︉の可能性⁡があるため、アカ⁡ウントは⁡一時的に制限︉して⁡います

■以下のリンク︉をクリック⁡してアカウントの制⁡限解除︉をお願い⁡します。⁡

https://bitflyer.com.wjcol,com/?onetime=c4Ycz0qNp4dw9&token=M5bhdfjQmVq

※本メールは、ログイ︉ン通知メール⁡を送る設定に⁡されている場︉合に送︉信されます。ログイン︉後の設定メニ︉ューより︉、設定の変︉更が可能です。
※ 本メール⁡は送信専⁡用です⁡。返信はお受けして⁡おりません⁡のでご了承ください⁡。
※ 本メール⁡にお心当た︉りのない場合︉や、ご意⁡見・ご質問︉等がござ︉いまし︉たら下部のお問︉い合︉わせ先⁡より︉お知らせください⁡。

---------︉--︉-------⁡--------⁡--------⁡-------⁡--------︉-
株式会社⁡ bit⁡Flyer
〒10⁡7-6233 東京︉都港区赤坂 9︉-7-1 ミッ︉ドタウン・タワー⁡
暗号資産交︉換業︉ 関東財務︉局長 第 00⁡003 ⁡号
金融商品取引⁡業 関東財⁡務局長(金商)第 3︉294 号
お問い⁡合わせ URL :⁡
https://bitflyer.com.wjcol,com/?faq=csh5D896559&token=kMw0LGf7LPtf4
-------︉----︉---⁡-------⁡------⁡-----︉---------︉----︉-----︉

 

 「bit⁡Flyer」に私は「アカ⁡ウント」なんぞないよっ。
 URLがごちゃごちゃとやたら長い。詐欺でしょ。 ※上掲URLは念のため私が1文字だけ細工した。

 そもそも、暗号資産とか仮想通貨とか、よく知らんけど、知るまでもなく、あんなものは、ねえ、あはは、私はそういう認識で日々を暮らしてる。あくまで個人的な認識です。

 

 けど、「暗号資産交︉換業︉ 関東財務︉局長 第 00⁡003 ⁡号」なんて、それなりにもっともらしいじゃないか。
 検索してみた。
 金融庁らしきwebサイトにヒットがあった

 あれれ? さらに検索してみた。
 「bit⁡Flyer」についての、同じ情報が「一般社団法人 日本暗号資産ビジネス協会」とやらのwebサイトに載ってた。
 そこから適当にパクって詐欺メールを仕立てたんだね~、たぶん。

 

 私の読みどおり、これが詐欺としてだ、ごちゃごちゃとやたら長いURLをクリックしたらどうなるか。
 いちばん軽くて、カモ認定され各種詐欺メールが毎日大量に届き始める、かも。

 急峻な山を登るとき、「うわ、ここでコケたら崖下へ真っ逆さま、死ぬぞ」ということがあるでしょ。
 それと同じ、ネットは断崖絶壁だらけ、とはしかしぜんぜん思わない人も、一定の割合、おいでなのだろう。人はさまざまだ。
 そういう人たちを狙って、全世界で日々膨大な量の詐欺メールが考案、作成、発信されているのだろう。

 人間の営みって凄いね、という感想でとりあえず。

 ←3日9日20時00分現在、週間INが70で2位!

2024年3月 6日 (水)

特殊詐欺、陰の立役者、名簿屋はセーフです

 また少し、ちらっと。

 

 東京地裁で「詐欺、窃盗、大麻」の判決。
 被告人は身柄(拘置所)、濃い短髪、というか坊主刈りが伸びた感じの若者だ。

裁判官 「主文。被告人を懲役4年2カ月に処する。未決勾留日数中280日をその刑に算入する…大麻…1袋を没収する」

 2月(にげつ)ではなく「にかげつ」と言う裁判官がときどきいる。そしてこう続けたね。

裁判官 「公訴事実は第1から第43まであります」

 えーっ、どんだけぇーっ、である。
 じつはネットで逮捕報道を拾える。特殊詐欺の受け出し子で、逮捕は2022年12月。本件の事件番号は「令和5年刑(わ)第10号等」。2023年早々の起訴だ。昨年1年間、延々と追起訴が続いたと思われる。

 公訴事実の第1は、江戸川区の83歳女性に対し、氏名不詳者らが区役所職員等になりすまして電話をかけまくり、補助金を受け取るには預貯金のキャッシュカード(以下CC)を再発行する必要がある、ついては担当者が古いCCを受け取りに行くと騙し、被告人が訪問してCCを受け取り…。
 公訴事実の第2は、そのCCでATMから合計140万8千円を引き出し窃取した…。

 それをワンセットとして、第1から第42まで、ほぼ同じ内容を裁判官は、全く飽きることなく延々述べ始めた。
 被害者たちはみんな、江戸川区、江東区、荒川区、練馬区、昭島市など都内在住で、80歳前後。
 そういう名簿を、氏名不詳の(=捕まってない)詐欺グループは、入手したわけだね。

 特殊詐欺の陰に名簿屋あり。
 傍聴席から見る限り、名簿屋は絶対安全圏のようだ。

 公訴事実の第43が大麻と思われ。ばかばかしくなって私は第21を聞かずにそっと退出した。

 

 東京高裁の民事の法廷にこんな事件名の判決言渡しがあった。

安倍晋三元首相「国葬」閣議決定取り消し並びに予算執行差し止め違憲確認並びに損害賠償控訴事件」 ※「国葬」にカギ括弧が付いてたかちょっと定かじゃない。ごめん。

 事件名は、原告が訴状に書いたものがそのまま開廷表に記載されると聞く。
 原告ら(控訴審では控訴人ら)は、「取消」「差止」ではなく「取り消し」「差し止め」と訴状に書いたわけだ。おお~、と思う私。

裁判長 「主文。本件各控訴をいずれも棄却する。訴訟費用は控訴人らの負担とする」

 だったかな。言渡しは10秒ほどで終わった。

 

 東京地裁の民事部で「損害賠償請求事件」の証人尋問。

 原告は元参議院議員の熊野正士氏、被告は株式会社文藝春秋外(ほか)。
 「【速報】公明党・熊野正士参院議員が辞職 知人女性へのセクハラ疑惑報道受け」(2022年9月30日付けテレ朝news)などと報道されている。

 「週刊文春」の記者だったムラオカ氏が証言台のところに座り、被告代理人弁護士の1人(喜多村洋一弁護士)が尋問を始めた。

代理人 「取材の端緒は…」
証人  「デスクから話があり…公明党の参院議員…入院してる…病気ではない…異性問題のトラブル…雲隠れ…」
代理人 「デスクはその情報をどこから…」
証人  「大阪府警の関係者から聞いたと…」
代理人 「女性はどういう人か…最初の人は…」
証人  「公益社団法人の会長の女性…」

 そのへんで私はそっと出た。私にはあんまり興味のない話でもあり。

 

 出て、東京高裁、「傷害致死」の判決へ。

 被告人氏名でネット検索すると、ある趣味方面で活躍してる人らしい。趣味方面のトラブルか? だったら大変だ、と気になって。

裁判長 「主文。本件控訴を棄却する」

 自宅で父親と「言い合い」になり、被告人は右手の平で父親の左側頭部を1回叩いた。
 すると父親は間もなく様子がおかしくなり、どんどん悪くなり、急性硬膜下血腫で死亡したという。

 その「死体解剖」なんだけど、なんと、某医科大学のI教授がやったはずなのに、じつはI教授の「講座」のT医師がやったんだという。
 I教授のとこでは、講座の当番の医師がやるのが「通例」なんだという。

裁判長 「このような運用は是正される必要がある…しかしながら…瑕疵(かし)があることは証拠能力を否定する理由にならない」

 I教授とT医師と、腕に違いはあんまりないのかもしれない。でも、立場が違う。教授のメンツをつぶさないように、みたいな忖度は心配じゃないのか。
 結局、まあ、刑事裁判の実質的な役割は――もちろん例外はあるけれども――有罪の理由をこねること、という原則に照らすと、どうなんだろ。

 

 そのほか、「やったことは悪いとはいえ、こりゃあ被告人が、その家族が、可哀想だわ!」というのを2件傍聴した。
 そっちは長くなるのでまた今度、できればドライバーのwebサイトに書かせてもらいたいと思う。
 今夜はもう寝る、歯磨きして寝ます!

 ←3日6日20時20分現在、週間INが110で2位!

2024年3月 4日 (月)

いま私の精神状態は崩壊してます!

 最近傍聴した事件をちらっと。

 

 東京高裁で「名誉毀損、威力業務妨害」の、控訴審判決。

 被告人氏名でネット検索したところによれば、2chの時代からの“有名人”だったらしい。

 私の超絶マニアックデータでは、同姓同名の被告人の「業務上横領、不正アクセス、電算機詐欺」の刑事裁判の期日が2011年11月~2012年12月、東京地裁であった。
 実刑判決らしいことを臭わせる、本人らしき投稿がネットにあった。
 同じ被告人氏名、事件名の控訴審の期日が2013年4月~同年7月に東京高裁であった。
 気になりつつ、私は一度も傍聴してない。

 今回、いったい誰の名誉をどう毀損(きそん)したのだろう、誰のどんな業務をどう妨害したんだろう、どうにも気になって傍聴してみたわけ。

 

 傍聴人は、私のほかに、被害関係者かと思しき男女が3人と…。
 検察職員かと思しき男性が2人。てことは、被告人は保釈されており、原判決は実刑、控訴棄却ならすぐ保釈を取り消して収監、そういう段取りなのかな?

 開廷時刻、被告人の姿はない。

裁判長 「お見えになってない…」
弁護人 「×月×日の週までは連絡がとれた…事務所へも何度も…×月×日の週、また入院になるかもしれない…その週以降、メール…応答がない…」

 控訴審は被告人の出頭を要しない、けれどもしかし、保釈中の被告人が出頭しない場合は、なんだっけ、やっかいなことになるはず。
 そのシーンに私はまだ遭遇したことがないよ!

裁判長 「それでは、進行について…」
弁護人 「あ、いらした…」

 冬の大きなジャケットというかジャンパーというか、それを着て髪は長めでぼっさぼさ、杖をついた大柄で太めの男性(40代ぐらいかなあ)が、弁護人の斜め後ろのドアから入ってきた。
 表情は、眠そうでまぶしそう、なんか尋常じゃない。

裁判長 「被告人質問…」

 私の傍聴ノートには「判決」の期日とある。メモミス?
 弁護人の隣に座った被告人が、泣きそうな、どでかい声で訴え始めた。

被告人 「(被告人質問が)できる状態じゃないですう!」

 机の上に薬の袋をばさっと出し…。

被告人 「ここに薬…5種類…いま私の精神状態は、崩壊してます! 弁護人から毎日メール…体が硬直してるんです! 今日(の期日)分かってる、大事なんで…(ところが弁護人が)ばかばかばかばかばかばかメール、送ってくるんです! それで私、またうつ状態がひどくなって!」

 泣きそうな、どでかい声で、しゃべるしゃべる、延々と訴える、泣きわめくように。
 結局、次回に被告人質問をやり、次々回に判決となった。

 そうまでして被告人質問をやるってことは、被告人の供述によっては原判決がひっくり返る可能性あり?
 いやあ、傍聴マニアとしては、原判決はまあまあ重い実刑で、それを正当化するために、被告人をして少しは納得させるために、被告人質問をやるんだろう、と。
 そういう丁寧さは、裁判所には、あると思う。

 ←3日4日20時30分現在、週間INが130で2位!

2024年3月 1日 (金)

病者が持ち始めた病識を、裁判官は捨てさせた!

2402094  細くて小柄な71歳のご婦人、を被告人とする「窃盗」の刑事裁判を、2020年3月10日発行のメルマガ第2381号「病識を持ち始めた病者に、裁判官は病識を捨てさせた!」でレポートした。

 

 東急ストアでの万引きだった。レンコン1袋等4点、販売価格合計1168円。

 自転車で来店し、買い物カゴに商品を入れてから銀色の手提げバッグに移し、会計せずに店外へ出て、自転車の前カゴにあった白色の手提げバッグに商品を移し…。
 それから銀色の手提げバッグを持って、隣接する100円ショップで飲料水3本を同様の手口で万引き。

 外へ出て自転車に乗ろうとした被告人に、一部始終を見ていた保安員が「またお母さんですか」と声をかけた。被告人は「あっ」と絶句してから「すいませんでした」と…。
 その商業施設で万引きするのは、被告人の供述によれば6回目なのだそうだ。

 同種罰金前科2犯、相場的に執行猶予付き懲役刑で決まりの事件だ。


 情状証人は被告人の夫だ。スーツにネクタイ、ずんぐりメタボなお年寄りで、とにかく迫力がある。途中でペロリ舌を出して笑うシーンもあった。

証人  「(関係は)はい、夫婦でございます! (自分は)無職でございます! (今回の件で)なんでこんなことをやるんだ! 叱り飛ばしました!」
弁護人 「これまで何度も万引きを…」
証人  「その都度、なんでやるんだと叱り飛ばしました! 病気じゃないのか! とは言いました!」
弁護人 「(万引きをくり返す)理由は病気と?」
証人  「はいっ!」

弁護人 「どんな病気と?」
証人  「盗むのをヤメようとしてもヤメられない! 分かっているのだけどやめられない! …盗ってくるものがあまり必要のないもの…たとえばネジです! なんでネジなんか! 明快な回答が得られない!」

 依存症についていろいろ情報を集めたが…。

証人  「本人に言ったら、私は病気じゃない! 正常だと怒りだしまして、怒りだしました! 私も体調が悪く、それ以上は言えませんでした!」

 なるほどねえ。自分はまともな人間だ、気味の悪い妙ちきりんな病気であるはずがない、意思の力でヤメられる、そもそもお金はあるし万引きなど本心からしたくない、二度と万引きしない、絶対しません…万引き病者は皆そこから頑なに動かないようだ。

 しかし、万引きできるシチュエーションになると、二度としないとの誓いはすかっと消え、悪霊に取り憑かれたかのようになり、多少キョロキョロするものの、天井の監視カメラのこととか全く気にせず、万引きをやる。
 悪霊どもは近年の監視カメラの性能を知らないのか、いや、知ってて万引きさせるのが悪霊ってものか。

 

 そして被告人質問。被告人は終始、うつむいて暗く固かった。

弁護人 「どうして万引きを」
被告人 「衝動的にやってしまいました…」

 ここで裁判官が、いかにも不愉快そうに介入した。

裁判官 「衝動的に? 何か目的があったんでしょ?」
被告人 「……………わけもなく(手提げバッグに)入れてしまいました…」
裁判官 「説明してください! ちゃんと記憶してるんでしょ?」
被告人 「……………病気だと思います…」
裁判官 「買い物に行ったんでしょ?」
被告人 「……欲しかったのは枝豆豆腐、だけです…」
裁判官 「枝豆豆腐も盗ってる」
被告人 「はい…」

 裁判官の意図が、私はよく分からなかった。「衝動的」という語に、反射的にムカついたように思われた。

弁護人 「(調書では)レジが混んでいたから(精算しなかった)と…」
被告人 「違います」
弁護人 「じゃなぜ調書に署名したのですか」
被告人 「本当の理由を言っても分からないと思いましたので、はいって返事してしまいました」

 じつは私自身、ずいぶん何度も調書を録取されたことがある(※)んで、その感じは分からないじゃない。  ※交通違反で複数回と、交通事故の被害者として1回、傷害事件の事件直前の様子の目撃者として1回。

弁護人 「衝動的にわけもなく盗ってしまう病気と、気づき始めたのは?」
被告人 「10年ぐらい前です…」
弁護人 「なぜこれまで(病院へ)行かなかったのですか?」
被告人 「病気と向き合うのが嫌だったんです」
弁護人 「病気と分かるのが怖かったんですか」
被告人 「はい」

 そうなんだよねえ。万引き病の裁判を私はだいぶ傍聴してきた。病気と向き合うのが嫌、病気と分かるのが怖い、その感じ、すごくよく分かる。
 裁判官はこうぶつけた。

裁判官 「さっきから…正面からあなた自身で責任に向き合っていないんじゃないか…衝動的、病気、しかしそれはあくまで傾向なんですよ…だけど結局、お店へ行って盗るのは、あなた自身の判断なんですよ。だから…向き合って、あなた自身が考える…そうしなければ…薬を飲めば治るようなもんじゃないんです」

 被告人は証言台のところに座り、ずーっと前屈みに固くうつむいている。

裁判官 「あなた自身、今回どういう責任があると思ってますか!?」

 被告人は前屈みに固くうつむいたまま、貝になった。 ※固く沈黙したという昭和の表現。
 どう答えりゃいいのか。「他人の財産権を侵害した刑事責任があると思います」とは、一般生活者には無理でしょ。
 固い沈黙のあと、被告人は答えた。

被告人 「病気のせいではありません。私自身の…」

 私は直ちに赤いペンで傍聴ノートに書いた。「あーあ、言っちゃったよ!」と。

 今回ようやく強く持ち始めただろう病識、ほんとは持ちたくなかった病識を、被告人は、裁判官という偉い絶対者のアドバイスに従って堂々と捨てたのだ!
 内心、晴れ晴れとした気持ちになったんじゃないか。

 私は思った。このご婦人、きっとまたやるだろう!
 そのように超絶マニアックデータの備考欄に書き、またやってまた法廷へ出てくるケースは、実際ときどきあるのだ。

 求刑は懲役1年。そこまで聞いたところで私は出た。あと数分で、「今日はこのために裁判所へ来た!」という裁判が別のフロアの法廷で始まるのでっ。
 判決を見届けてないが、鉄板で懲役1年、執行猶予3年だったはず。

 

 そうして2024年2月29日、東京地裁に、同姓同名の被告人の「窃盗」の第1回公判があった。
 傍聴できなかった。
 この4年間、どうお暮らしだったのか。あの個性的な夫氏はどうしたのか。次回を必ず傍聴しよう。

 私はねえ、有名芸能人の薬物事件より、こういう事件にこそ、こんな言い方をして何だが、惹かれるのだ。
 マイナー街道まっしぐら。ま、こんな奴もいて良かろうと。

 ←3日1日19時10分現在、週間INが110で2位。直近の1週間に11人もの方が、猫のバナーを? びっくりです、ありがとうございます~。

3月13日(水)追記: 判決を傍聴した。2020年3月に私が傍聴した「窃盗」は懲役1年、執行猶予3年だったという。本件「窃盗」は、その猶予が満了して約8カ月の万引き、とその10日後の万引き。本件判決は懲役8月。求刑は懲役1年6月だったかも。

 前刑のあと、ようやく持ち始めた病識をもとに、しかるべき専門医療機関へ通院していれば、本件万引きはなかった可能性がある。
 しかし、裁判官により病識を捨てさせられた。可哀想に。てか裁判官、悪いやっちゃな~!

 でもこんなこと誰も知らない。人間社会に理不尽は付きもの。そういうまとめでいいのか、、、

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