フォト
2024年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
無料ブログはココログ

« 損保協会が税込み1100万円の可搬式オービスを寄付 | トップページ | いま私の精神状態は崩壊してます! »

2024年3月 1日 (金)

病者が持ち始めた病識を、裁判官は捨てさせた!

2402094  細くて小柄な71歳のご婦人、を被告人とする「窃盗」の刑事裁判を、2020年3月10日発行のメルマガ第2381号「病識を持ち始めた病者に、裁判官は病識を捨てさせた!」でレポートした。

 

 東急ストアでの万引きだった。レンコン1袋等4点、販売価格合計1168円。

 自転車で来店し、買い物カゴに商品を入れてから銀色の手提げバッグに移し、会計せずに店外へ出て、自転車の前カゴにあった白色の手提げバッグに商品を移し…。
 それから銀色の手提げバッグを持って、隣接する100円ショップで飲料水3本を同様の手口で万引き。

 外へ出て自転車に乗ろうとした被告人に、一部始終を見ていた保安員が「またお母さんですか」と声をかけた。被告人は「あっ」と絶句してから「すいませんでした」と…。
 その商業施設で万引きするのは、被告人の供述によれば6回目なのだそうだ。

 同種罰金前科2犯、相場的に執行猶予付き懲役刑で決まりの事件だ。


 情状証人は被告人の夫だ。スーツにネクタイ、ずんぐりメタボなお年寄りで、とにかく迫力がある。途中でペロリ舌を出して笑うシーンもあった。

証人  「(関係は)はい、夫婦でございます! (自分は)無職でございます! (今回の件で)なんでこんなことをやるんだ! 叱り飛ばしました!」
弁護人 「これまで何度も万引きを…」
証人  「その都度、なんでやるんだと叱り飛ばしました! 病気じゃないのか! とは言いました!」
弁護人 「(万引きをくり返す)理由は病気と?」
証人  「はいっ!」

弁護人 「どんな病気と?」
証人  「盗むのをヤメようとしてもヤメられない! 分かっているのだけどやめられない! …盗ってくるものがあまり必要のないもの…たとえばネジです! なんでネジなんか! 明快な回答が得られない!」

 依存症についていろいろ情報を集めたが…。

証人  「本人に言ったら、私は病気じゃない! 正常だと怒りだしまして、怒りだしました! 私も体調が悪く、それ以上は言えませんでした!」

 なるほどねえ。自分はまともな人間だ、気味の悪い妙ちきりんな病気であるはずがない、意思の力でヤメられる、そもそもお金はあるし万引きなど本心からしたくない、二度と万引きしない、絶対しません…万引き病者は皆そこから頑なに動かないようだ。

 しかし、万引きできるシチュエーションになると、二度としないとの誓いはすかっと消え、悪霊に取り憑かれたかのようになり、多少キョロキョロするものの、天井の監視カメラのこととか全く気にせず、万引きをやる。
 悪霊どもは近年の監視カメラの性能を知らないのか、いや、知ってて万引きさせるのが悪霊ってものか。

 

 そして被告人質問。被告人は終始、うつむいて暗く固かった。

弁護人 「どうして万引きを」
被告人 「衝動的にやってしまいました…」

 ここで裁判官が、いかにも不愉快そうに介入した。

裁判官 「衝動的に? 何か目的があったんでしょ?」
被告人 「……………わけもなく(手提げバッグに)入れてしまいました…」
裁判官 「説明してください! ちゃんと記憶してるんでしょ?」
被告人 「……………病気だと思います…」
裁判官 「買い物に行ったんでしょ?」
被告人 「……欲しかったのは枝豆豆腐、だけです…」
裁判官 「枝豆豆腐も盗ってる」
被告人 「はい…」

 裁判官の意図が、私はよく分からなかった。「衝動的」という語に、反射的にムカついたように思われた。

弁護人 「(調書では)レジが混んでいたから(精算しなかった)と…」
被告人 「違います」
弁護人 「じゃなぜ調書に署名したのですか」
被告人 「本当の理由を言っても分からないと思いましたので、はいって返事してしまいました」

 じつは私自身、ずいぶん何度も調書を録取されたことがある(※)んで、その感じは分からないじゃない。  ※交通違反で複数回と、交通事故の被害者として1回、傷害事件の事件直前の様子の目撃者として1回。

弁護人 「衝動的にわけもなく盗ってしまう病気と、気づき始めたのは?」
被告人 「10年ぐらい前です…」
弁護人 「なぜこれまで(病院へ)行かなかったのですか?」
被告人 「病気と向き合うのが嫌だったんです」
弁護人 「病気と分かるのが怖かったんですか」
被告人 「はい」

 そうなんだよねえ。万引き病の裁判を私はだいぶ傍聴してきた。病気と向き合うのが嫌、病気と分かるのが怖い、その感じ、すごくよく分かる。
 裁判官はこうぶつけた。

裁判官 「さっきから…正面からあなた自身で責任に向き合っていないんじゃないか…衝動的、病気、しかしそれはあくまで傾向なんですよ…だけど結局、お店へ行って盗るのは、あなた自身の判断なんですよ。だから…向き合って、あなた自身が考える…そうしなければ…薬を飲めば治るようなもんじゃないんです」

 被告人は証言台のところに座り、ずーっと前屈みに固くうつむいている。

裁判官 「あなた自身、今回どういう責任があると思ってますか!?」

 被告人は前屈みに固くうつむいたまま、貝になった。 ※固く沈黙したという昭和の表現。
 どう答えりゃいいのか。「他人の財産権を侵害した刑事責任があると思います」とは、一般生活者には無理でしょ。
 固い沈黙のあと、被告人は答えた。

被告人 「病気のせいではありません。私自身の…」

 私は直ちに赤いペンで傍聴ノートに書いた。「あーあ、言っちゃったよ!」と。

 今回ようやく強く持ち始めただろう病識、ほんとは持ちたくなかった病識を、被告人は、裁判官という偉い絶対者のアドバイスに従って堂々と捨てたのだ!
 内心、晴れ晴れとした気持ちになったんじゃないか。

 私は思った。このご婦人、きっとまたやるだろう!
 そのように超絶マニアックデータの備考欄に書き、またやってまた法廷へ出てくるケースは、実際ときどきあるのだ。

 求刑は懲役1年。そこまで聞いたところで私は出た。あと数分で、「今日はこのために裁判所へ来た!」という裁判が別のフロアの法廷で始まるのでっ。
 判決を見届けてないが、鉄板で懲役1年、執行猶予3年だったはず。

 

 そうして2024年2月29日、東京地裁に、同姓同名の被告人の「窃盗」の第1回公判があった。
 傍聴できなかった。
 この4年間、どうお暮らしだったのか。あの個性的な夫氏はどうしたのか。次回を必ず傍聴しよう。

 私はねえ、有名芸能人の薬物事件より、こういう事件にこそ、こんな言い方をして何だが、惹かれるのだ。
 マイナー街道まっしぐら。ま、こんな奴もいて良かろうと。

 ←3日1日19時10分現在、週間INが110で2位。直近の1週間に11人もの方が、猫のバナーを? びっくりです、ありがとうございます~。

3月13日(水)追記: 判決を傍聴した。2020年3月に私が傍聴した「窃盗」は懲役1年、執行猶予3年だったという。本件「窃盗」は、その猶予が満了して約8カ月の万引き、とその10日後の万引き。本件判決は懲役8月。求刑は懲役1年6月だったかも。

 前刑のあと、ようやく持ち始めた病識をもとに、しかるべき専門医療機関へ通院していれば、本件万引きはなかった可能性がある。
 しかし、裁判官により病識を捨てさせられた。可哀想に。てか裁判官、悪いやっちゃな~!

 でもこんなこと誰も知らない。人間社会に理不尽は付きもの。そういうまとめでいいのか、、、

« 損保協会が税込み1100万円の可搬式オービスを寄付 | トップページ | いま私の精神状態は崩壊してます! »

刑事/窃盗」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 損保協会が税込み1100万円の可搬式オービスを寄付 | トップページ | いま私の精神状態は崩壊してます! »