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2024年7月20日 (土)

傍聴人に対する退廷命令とは

 「【速報】東京高裁の法廷で傍聴人10人以上が大声を出し退去命令 反東京オリンピック関連の訴訟」と7月19日午後3時40分付けFNNニュース。

 私は19日(金)は休んだ。報道で見た範囲でだが、言えることを、ちらっと。

 

 勝手に声を発しそうな傍聴人がいるとき、また、傍聴人が勝手に声を発したとき、裁判官は「勝手な発言をしちゃダメ。したら退廷させる場合がある」旨の、警告の告知することがある。
 「退去」という語を法廷で聞いた記憶が私はない。「退廷」は普通に何度も聞いている。

 傍聴人が勝手に声を発しそう、と予想できる事情がちょっとでもある場合、警備の職員(以下単に職員)を呼んでおく。
 職員は傍聴人の数を軽く超えることが普通にある。

 さて、そのうえで、傍聴人が声を発するや…。

裁判官 「退廷!」

 すると、傍聴人1人につき職員が数人、わっと取り囲み、退廷させる。
 傍聴人の抵抗を封じるに当たっては、ズボンの後ろの部分をぐいっと持ち上げるのがコツらしい。
 足の踏ん張りがきかなければ、大した抵抗はできないのだなと、そのシーンを何度も見るうち私は気づいた。

 

 そんな事態になる予想がちょっとでもできる場合、いわゆる警備法廷を使い、傍聴人を減らす目的の傍聴券抽選を行うのが普通、と私は長年にわたり見てきた。
 蟻が一匹出そうなら、象を百頭連れてくる、若干大げさにいえばそれが裁判所の警備の要諦なのだな、と見てきた。

 しかし今回、傍聴券交付情報のページに、本件は載っていなかった。
 わざと載せなかった、可能性はあるかないか、うーん。

 

 退廷させられた人、複数人から聞いたところによれば、「退廷」というから法廷の外へ、つまり廊下へ連れ出されるのかと思いきや、中央廊下南端の貨物用のエレベーターで1階へ下ろされ、通常は人の出入のない南門から、敷地外へ追い出されたそうだ。へえ~。

 

 以下は裁判所法だ。

第七十一条(法廷の秩序維持) 法廷における秩序の維持は、裁判長又は開廷をした一人の裁判官がこれを行う。
 裁判長又は開廷をした一人の裁判官は、法廷における裁判所の職務の執行を妨げ、又は不当な行状をする者に対し、退廷を命じ、その他法廷における秩序を維持するのに必要な事項を命じ、又は処置を執ることができる。

第七十一条の二(警察官の派出要求) 裁判長又は開廷をした一人の裁判官は、法廷における秩序を維持するため必要があると認めるときは、警視総監又は道府県警察本部長に警察官の派出を要求することができる。法廷における秩序を維持するため特に必要があると認めるときは、開廷前においてもその要求をすることができる。
 前項の要求により派出された警察官は、法廷における秩序の維持につき、裁判長又は一人の裁判官の指揮を受ける。

 

 第71条の2は、けっこう味わい深いと思う。
 所轄の丸の内警察署じゃなく、警視総監(いわば東京都警察本部長)に派出を要求するんだね。
 実際に出張るのは丸の内警察署の警察官かもしれないが、法手続上はそういうことなんだね。

 その第2項、派出された警察官は、裁判官の指揮を受けるんだ、へえ、なるほどね~。

 退廷させた者を裁判所の敷地の外へ追い出すのは、庁舎管理規則だっけ規程だっけ。

 

 以上、ニュースを見るときの参考になれば。

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