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2024年8月の12件の記事

2024年8月30日 (金)

テレグラムのCEOをフランスは逮捕、日本では、、、

 いつ頃だっけ、特殊詐欺の受け子たちが「詐欺、詐欺未遂」「詐欺未遂、詐欺」の被告人として東京地裁の法廷へ続々と現れ、続々と懲役の実刑を食らい始めたのは。

 その頃、「テレグラム」という通信アプリを私は初めて知った。
 詐欺グループの上位者(いつも安全圏にいる氏名不詳者ら)が、末端の使い捨ての受け子に対し、

  黒スーツを着てビジネスバッグを持て
  〇〇駅へ行って待機しろ
  〇〇町〇丁目の〇〇公園へ行って待機しろ
  〇〇という家へ行き、〇〇〇〇から来た〇〇〇〇と偽名を名乗れ
  これこれを言って紙袋を受け取れ

 などと逐一指示し、しかし記録が残らない、詐欺犯必須のアプリだという。
 
 間もなく、預貯金のキャッシュカードを騙し取り、コンビニなどのATMでそれを使用し、現金を盗めるだけ盗むタイプがどっと増え始めた。
 やはりテレグラムが使われた。「シグナル」という同種のアプリも登場した。

「詐欺グループ御用達の便利なアプリ。ネットは何でもありだなあ」

 と私は思っていた。そしたら、なな、なんと…!

 

 「“犯罪を放置”の疑いでテレグラムCEOを逮捕 会社側「不正利用の責任負わせるのは不合理だ」今後のSNS規制に影響は?【news23】」と8月27日付けTBS NEWS DIG。
 「テレグラムCEOのドゥロフ氏、逮捕後にフランス億万長者とマクロン大統領に言及」と、これは8月30日付け中央日報日本語版。

 

 アプリだかプラットフォームだか、それらを使って悪い連中が悪事をやり放題。やればやるほど、アプリだかプラットフォームだかを提供する側はウハウハ儲かる、巨額の富を得放題。
 そういうものだと思っていたら、フランスさん、あんたって人は!

 

 その逮捕の頃、何か探してて偶然に、当ブログに「2chの投稿で脅迫・威力業務妨害」という記事を見つけた。2007年4月28日付けだ。
 その記事中で私は、同月27日付けで日経新聞にこんなニュースがあったと引用してる。

ネット掲示板、中傷放置の疑い・管理人を書類送検
 大阪市内の女子中学生を中傷する書き込みをインターネットの掲示板に掲載したまま放置したとして、大阪府警南署は27日までに、掲示板の管理人で大阪市の会社役員の男(26)を名誉棄損ほう助容疑で書類送検した。「この程度では削除する必要はないと思った」と供述している。
 同署によると、ネット掲示板での中傷を巡り、管理人を立件するのは全国でも珍しいという。
 調べによると、男は「学校裏サイト」と呼ばれるネット掲示板を管理。昨年8月下旬、当時私立中学1年だった女子生徒を名指しで「ブス」「うざい」などと中傷する書き込みがあるのを認識しながら、同年11月下旬まで削除せずに放置した疑い。

 

 このニュース自体はもう削除されてる。が、何らかのものが残ってやしないか。検索してみた。あった。
 「「名指しの中傷」ほったらかし 学校裏サイト管理人が書類送検」と同日付のJCASTニュースが残っていた。

 ついでにこんなのも見つけた。
 「書き込み放置 2ちゃん“管理人”書類送検」と、これは2012年12月20日付けニコニコ動画。

 「実質的な管理人を務める36歳の会社役員」(男性)を「麻薬及び向精神薬取締法違反幇助」の被疑事実で書類送検したという。へえ。

 

 これ、出版されて間もなく私は読んだ。
 その後、あの事件の犯人の1人の再犯の事件を東京地裁で傍聴したっけ。

2024年8月29日 (木)

裁判所にセーラー服おじさんが現れた日

 「「ふだんは会社勤め」「家族、恋人はいません」「楽しみはこの格好で飲みにいくこと」“街で見かけると幸せになる”と噂の“セーラー服おじさん”にインタビュー。過去に入店拒否をされたことも…」と8月5日付け集英社オンライン。

 

 この方、以前、東京地裁(東京高地簡裁合同庁舎)へ来たことがある。
 メルマガ第1003号「裁判所にセーラー服のおじさん現るっ!」(2013年3月1日付け)でちらっと書いた。
 少し加除訂正のうえ、以下に。

 

 おっと、忘れてた! 2月22日(月)、セーラー服のおじさんを見た件。
 その日、12時30分前後、裁判所1階の正面玄関側のロビーで、ソファーに座ってマニア諸氏と話してるとき、私はぎょっとなった

「ぎょっ、おじさん、お洒落じゃん、水兵さんルックか~」

 1秒たたず、気づいた、水兵さんルックの下はスカートだよ、それも、ミニのっ!
 てっぺんは禿げ、少ない白髪を乱れて垂らしたおじさん(推定60歳前後)が、ミニのセーラー服を着て、裁判所に現れたのであるっ、うっわ~!

 そっち方面で民事の裁判があるのか? 傍聴せねばっ。
 しかしおじさんは、若い人たちで人だかりの開廷表を見たがってる様子。

 5分か10分か経過して、おじさんは刑事の開廷表を、メモ帳を開いてしげしげ見た。
 どうやら、自分の事件があるのではなく、一般傍聴人としてきた…のかな?

 私はソファから立ち上がり、おじさんのそばを通って喫煙室へ。
 そのとき、おじさんが肩に掛けてる濃紺バッグに、なんだっけ、ピンク色の刺繍が見えた。
マニア向けの女子スクールバッグ?

 

 ミニのセーラー服のおじさんは、東京地裁の“男一匹傍聴人”の1人に加わるのか。
 いいじゃないか、
阿曽山大噴火さんも長年スカートだし。

 ちなみに、裁判員制度反対のバッヂを付けてると、裁判所に入れないらしい。
 なのに、禿げたおじさんのミニのセーラー服は、いいのである。
 こういう、さまざま“リトマス試験紙”(懐かしいなぁ)によって、裁判所の酸性、アルカリ性が浮かび上がってくる…。お~、私は今、うまいこと言ったかも(笑)。

 

 

 同じく東京高地簡裁合同庁舎の1階フロアで、リアル自動拳銃を目撃したこともある。
 その話はまた今度。

2024年8月27日 (火)

重い病気と認識しながら病気と認めない、裁判所こそが病気か

 最近ちょーっと忙しくて。
 キャパを超えることをやってて、何かがこぼれ落ちざるを得ない、というか。

 

 昨日(8月26日、月曜)、東京地裁で10時から「常習累犯窃盗」の審理。

 この被告人(女性)の氏名は2014年、2016年、2019年に東京簡裁の開廷表に「窃盗」の被告人としてあった。私は一度も傍聴せず、超絶マニアックデータに入力し続けてきた.
 いくらなんでも、もう傍聴しなければ。

 ただ、体力的にやばい。“計画寝坊”をして10時30分頃、法廷へ行った。

 

 被告人(どうだろ、40歳ぐらいの女性)を法廷中央、証言台のところに座らせ、裁判官が壇上から、まさに責め抜いている最中だった!

 要するに、被告人は病気(私が言うところの万引き病)であり、しかもだいぶ重く、がっつり治療しなければならなかったのに、

  ・専門の医療機関へ行かず、
  ・治すには5年、10年かかると言われていたのに、
  ・自助グループへの参加を3年半ほどで止(や)めてしまった、

 なんで止めたのか、裁判官は執拗に責めるんである。

  ・専門の医療機関は少なく、1年、1年半先でないと予約が入れられないと言われた。
  ・3年で、あるいは1年で回復した人もいたと聞き、自分はもう治ったと思ってしまった。

 と被告人は言うのだが、聞く耳を持たず、執拗に責めるんである。
 万引き病は、専門医による長期間の徹底治療が必要な、めっちゃ重い病気である、そこを前提としていることがもうありありと明らか!

 

 ところが、万引きという犯罪につながるそんな重い病気、の治療を、完全に本人に丸投げ、国は手を貸さないどころか、そもそもそんな病気と認めないのである。
 言ってること、わかりますかね。

 クレプトマニア(窃盗症。私が言う万引き病。以下同)と認めるための、アメリカの精神医学会とかの診断基準、のひとつに「有用でなく金銭的価値もないモノを盗む」というのがある。
 スーパーやコンビニに、金銭的価値もないモノは陳列されていない。
 よって被告人はクレプトマニアではない、とされるんである。

 裁判所、狂ってるよねえ。裁判所こそ重い病気だろ、と私はいつも思う。

 

 求刑は懲役3年。
 弁護人(ちょっとアイドル風な若め女性)は執行猶予判決を求めた。
 裁判官は、法律上執行猶予は無理と言い、検察官は、刑法第25条1項を見てもらえばわかると言い、弁護人は退かない、というシーンがあった。
 以下はその第25条第1項だ。

第二十五条 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
 一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
 二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

 本件被告人は、前刑の終了から5年経ってないのかな。

 次回判決。懲役1年6月か1年10月ではないかと私は予想する。

 

 それが10時57分に終わり、私はそばの非常階段をかけあがって「常習累犯窃盗、覚醒剤取締法違反、刑事訴訟法違反」の審理(11時~12時)へ。

 保釈中の不出頭という、マニアからすれば超重要な事件だが、事件名に「わいせつ」「性交」「性的姿態」などの文字がない。被告人は男性氏名。しかも新件じゃなく審理の期日。不人気に決まってる。傍聴席は52席、楽勝だな(笑)。

 と思ったら、ドアの前に数人いて、覗き窓から中を覗いてる。どしたんだ? 私はドアを開けて入った。
 なんと、がーん、ほぼ満席!

 

 かろうじて3席ほど空いており、私は傍聴できた。
 なかなかに見応えのある期日だったが、また今度。

2024年8月21日 (水)

病的窃盗、病的ギャンブル、摂食障害への対応!

 9月14日(土)、「条件反射制御法学会 第13回学術集会」というのがある。

 

 条件反射制御法、なにそれ? な方が多いだろう。
 私は、もう何年前になるか、万引き病の女性の裁判で知った。

 

 万引き病とは、私独自の呼び方だ。本人はどんなに万引きしたくないと思っても、まさに悪霊に取り憑かれたように万引きをやらかしてしまう、そういうビョーキだ。
 一般には窃盗症とかクレプトマニアとかいう。

 万引きで2回ほど罰金刑(だいたい20~40万円)を受け、それでも万引きをやって執行猶予付き懲役刑に、その猶予中にまた万引きをやって実刑判決をくらい、「どうか再度の執行猶予を」と(高裁へ)控訴し、その控訴審の途中でまた万引きをやらかす、刑務所へ堕ち、出所してすぐまた同じスーパーで万引きを…。
 信じられないほど“念入り”な病者も、私が知る限りでさえ何人もいる。

 病気なんだから、治療しなければならないんだが、検察も裁判官もそこはNoケアー、ひたすら量刑相場の階段を上らせるだけ、上りきったら何度でも刑務所へ落とすだけ。
 この人たちもまた明らかにビョーキだな、と私は傍聴席で思う。

 

 ある万引き病の女性の裁判に、独立行政法人国立病院機構 下総精神医療センターの平井愼二医師が証人出廷した。
 その証言、条件反射制御法についての“講義”を聞いて(2事件で傍聴した)私は「なるほどぉー!」と、ま、大感動したのね。
 専門家の貴重な講義をただで聴ける、傍聴マニアの役得というか。

 平井医師は言わないけど、報道などから、あの有名芸能人、あの有名スポーツ選手の治療もやったでしょ、私はそうにらんでる。

 それでだ、そんな条件反射制御法のイベントが9月14日にあるわけ。

 平井医師の「ご挨拶」はこうだ
 当日のプログラムはこうだ
 非常ぉ~に興味深い、面白そう。

 

 しかし! 私は行けない。リモートにも参加できない。
 持病からくる特殊な生活習慣のせい、プラス、ちょっと自分的に追い詰められてることがありまして。
 今週の裁判所行き、月曜は涙を飲んで断念、明日木曜も断念する予定。このブログもだいぶ何日も休んでしまった。

 刑事弁護をやる弁護士さん、万引き病、違法薬物あるいは性犯罪の常習の方、またそのご家族の方、参加を考えてみたらいいと思いますよ。

2024年8月16日 (金)

刺激に身を委ねるばかりで熟考の習慣を失った人々

 紙の日本経済新聞、8月11日付け朝刊の、一面の裏面、社説の隣にどでかい記事が載ってる。

 合理的なはずの人間が時として非合理な行動をとるメカニズムを考察してきたという、カナダ・トロント大学の哲学者、ジョセフ・ヒース教授、その人に対するインタビュー記事だ。
 「〈直言×テクノ新世〉情報中毒から理性守れ ジョセフ・ヒース氏 トロント大教授」とネットにある。これかと思われる。

 

 長い記事中から、少しだけ拾う。
 ビッグテックの企業群がスマートフォンの画面からとめどなく流してくる刺激的なサービスについて…。

 刺激に身を委ねるばかりで熟考の習慣を失った人々は非合理な判断に傾きやすい。思考停止、他者への攻撃的な態度、そして摩擦と分断。情報技術がもたらしたそうした状況を見るにつけ、今の社会は正気を失っていると思う。

 こうも言う。

 人間の認知の特性を研究したテック企業は様々な手法を用い、時間や注意力という私たちの貴重な資源を収奪する。だらだらネットを見続けるのがよくないことは誰だってわかっているが、弱点につけこまれあらがえない。まずこの現実に目を向ける必要がある。

 

 おお、まさにその趣旨のことが、『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)に詳しく説明されている。

 

 スマホを全く使わない(たぶん持ってない)生徒より、1日1時間以内の生徒のほうがテストの正答率が高く、スマホを使う時間が長くなればなるほど、どんだけ勉強しても、どんだけ睡眠をとっても正答率は明らかに下がっていく…。

 1日1時間以内の生徒は、自己コントロール力が鍛えられるから、との言及があった。

 

 おお、私は空腹時にスーパーの惣菜や焼きたてパンのコーナーを巡り、食欲と闘って自己コントロール力を鍛えている。やっぱりこれは大事なことなんだね! ※残念ながら全戦全勝ではない。

 

 結婚相手を探している方、あるいは企業の採用担当の方、以上のようなことも参考にしてみては如何か。

 おおそうだ、スマホ耽溺といえば、「この世界で君も僕みたいに迷子なの?」、この秀逸の動画、是非ご覧いただければ。

2024年8月14日 (水)

同乗者らを盛り上げるため高速度で信号無視!

 最近傍聴したのを少し。いろんな事件があった。

 

過失運転致傷、道路交通法違反
 被告人は80歳代、医師。助手席に妻を乗せようと、パーキングメーター内で少し右前方へ車を動かしたら、右後方から来た自転車が急制動。そこへ、接近して追従していた自転車が衝突し…。

 

道路交通法違反
 アマゾンの配達で拠点へ向かう途中のこと。時間帯によって拠点によって報酬が異なるので、どこの拠点へ向かうか、道端に停車してスマホで調べていたら、自転車が追突。
 救護義務違反と、無免許運転とで起訴された。

 

傷害致死
 殴ったあと、父親が死亡。判決は控訴棄却と聞き、頭を抱える。

 

道路交通法違反
 被告人は特定少年。無免で保護処分を受け、免許取消処分。かまわず自二を運転し続け。近隣から通報され…。

 

傷害
 40歳代無職男、50歳代男と友人関係、ナメてバカにした態度に怒り、カッターナイフで切りつけた。きっぱりした男!



詐欺
 1千万円融資の担保に4千万円相当のフェラーリを預かり、直ちに500万円で売却してキャバクラで費消。

道路交通法違反
 被告人は医師。酒気帯びで免許取消処分を受けたが、意に介さず自二を運転し続け罰金2回、そして本件。
 判決は執行猶予付き懲役刑。医業停止のこと、被告人も弁護人も完全スルー。

 

邸宅侵入
 路上で強制わいせつは起訴猶予に。暑いから窓を開けているだろう、裸を見られるかも、とマンション敷地内に入り。

 

詐欺
 出し子で懲役2年6月を服役。その仮釈放中に受け子をやり、知らなかったと否認。

 

危険運転致死傷、道路交通法違反
 飲食店の同僚5人を乗せカラオケ店へ。朝まで大量飲酒。同僚らを乗せて運転開始、盛り上げるため高速度で赤信号無視、2人死亡、3人重軽傷。
 原判決は懲役9年(求刑10年)、控訴棄却。被告人は不出頭。

 

 若い人が、車内を盛り上げるためムチャな運転をし、事故って死傷者多数、という事件がときどき法廷へ出てくる。
 おそらくそういうのだろう、と思われる死傷事故の報道がよくある。

 毎年、たぶん何十人か、“盛り上げ運転”で命を失う。
 重い後遺傷害の人も含めれば、百数十人かもっとか。

「バカな奴、ちゃらい奴の車には絶対同乗するな!」

 義務教育でしっかり教える、、、そんなことは絶対に起こらないだろうと思う。
 理由は長くなる。またね。

2024年8月12日 (月)

ファクトを示され、誤った信念にさらにしがみつく!

 『週刊プレイボーイ』の2021年6月21号、No.25を拾い読みした。


 古い雑誌でも、仕事場に見つければ、いちおうざっと見るのだ私は。
 イマジンならぬ暇人?
 いやあ、テレビは卒業したし、スマホは連絡など特定の用途にしか使わないので。

 

 その週プレの、橘玲さんの連載コラム「そ、そーだったのか!? 真実のニッポン」に面白いことが書かれていた。

 アメリカの研究者が、「誤情報の訂正にひとはどのように反応するのか」を調べた研究があります。

 

 結果、保守派はひどいけども、リベラルだって保守派をぜんぜん笑えない、いくつか例を挙げ…。

 このことは、「ひとは見たいものしか見ない」だけでなく、「見たくないものを突きつけられると、自分の誤った信念にさらにしがみつく」ことを示しています。ファクトチェックに効果があるのは、自分にとって都合のいい「ファクト」だけなのです。

 そしてこう続ける。

 もちろんこれは、「ファクトチェックなどやめてしまえ」ということではありません。多数を占める政治的に中立(穏健)なひとたちは、ファクトによって正しい認識をもつことが期待できます。

 なるほどねえ、と思いました。

 

   ☕  🍸  🍺

 

 しっかし暑い!

 かといってクーラー(冷房、今どきはエアコン?)の効いた部屋に閉じこもっているのは絶対まずい。
 裁判所(東京高地簡裁合同庁舎)へ出かけ、私の歩測で約100mの中央廊下等を忙しく歩き、非常階段を上り下りする日、でない日は、私は自転車で2時間ほど走りまわる。
 なるべく広い範囲を走りまわり、農家の野菜直売所を10数カ所チェック、特売品、見切り品を探してスーパー、ドラッグストアを複数チェックする。

 

 先日、思いついて、まあまあ広い公園へ自転車で乗り入れた。

 古い常緑樹がうっそうとあり、その下は草花だらけ。
 アスファルトの道路の焼け付く暑さは消え、うっわ、涼しい~! と感じた。
 ここならゆっくり昼寝できそう。寝ないけど。

 木々の葉が日差しを遮るだけでなく、植物の蒸散作用のおかげかと思う。
 光合成でどんどん酸素を放出していることも関係するのか、そこは私は不知。

 

 でも、こんな公園は金(かね)にならないんだわねえ、とも思った。
 木々をぜんぶ伐採し、地面はコンクリートで固め、巨大な商業施設をつくれば、数百億、千億の金が動き…。

 小池百合子都知事と、なんとか不動産が、目を付けませんように。先の都知事選がああだった以上、もはや祈るしかない。

2024年8月10日 (土)

特別公務員暴行陵虐、狙ってだいぶ傍聴した

 「プレサンス冤罪事件『当時の担当検事の刑事裁判』開く決定 大阪高裁が「特別公務員暴行陵虐罪」の嫌疑を認める」と8月9日付けTBS NEWS DIG。
 「【異例の決定文“補論”を全文掲載】「刑事司法の歴史が変わる」特捜検事を裁判所が“起訴”」と8月10日付け関西テレビ。

 

 以下は刑法だ。

(特別公務員暴行陵虐)
第百九十五条 裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、七年以下の懲役又は禁錮に処する。
 法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、前項と同様とする。

(特別公務員職権濫用等致死傷)
第百九十六条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。


 2022年(それが現時点で最新)の検察統計、「8 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員」によれば…。

 「特別公務員暴行陵虐」の既済は、公判請求が4人、不起訴が420人。
 「特別公務員暴行陵虐致死傷」の既済は、公判請求が0人、不起訴が166人。

 2022年のこの公判請求は、びっくりするほど、めちゃくちゃ多いんだよ。
 10年前の2012年は、公判請求がいずれも0人、不起訴が184人と235人だ。
 webサイト上でいちばん古い2006年は、暴行陵虐の公判請求が1人、不起訴が315人と152人だ。

 こっそり言うと、そのwebサイトの年は西暦になっている。統計を大事にする、まともな人がいるものと思われる。けど、日本会議に目を付けられたら、たちまち元号表記になるだろう。



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 そんな珍しいやつを、変わった事件好きな私は、狙ってだいぶ傍聴してきた。たとえば…。

 

特別公務員暴行陵虐
 40歳代の警察官が「覚せい剤取締法違反」で取調中の若い女性に姦淫した事件。
 身柄、拘置所。求刑は懲役5年。判決は報道で知った、懲役3年。未決算入は報道タブーなので不明だ。

 

特別公務員暴行陵虐
 50歳代の警察官。取調べ対象の30代女性に対し、スーパーの駐車場に駐車した自動車内で、みだらな行為をしたと懲戒免職。否認。
 原審は懲役1年、執行猶予3年、一部無罪。控訴審の判決は原判決破棄、懲役2年6月、原審未決180日算入。

 

特別公務員暴行陵虐、特別公務員暴行陵虐致傷
 40歳代の刑務官。犯行場所は東京拘置所内。清掃作業の受刑者を「自分の色に染め」ようと執拗に暴行。
 求刑は懲役3年。判決は懲役3年、執行猶予5年。

 

特別公務員暴行陵虐致傷
 新潟県警の30歳代の警察官が、千葉県内で内偵捜査中、捜査対象者にバレて逃げるに際し暴行、捜査対象者は骨折。
 これは付審判請求からの刑事裁判だ!
 千葉地裁の判決は無罪。東京高裁の控訴審判決は控訴棄却(無罪維持)。

 

特別公務員暴行陵虐致傷
 20歳代の警察官が職務質問等で、DNA検査と称して若い女性の口腔内へ綿棒や指を入れ、懲戒免職。
 求刑は懲役1年6月。

 

特別公務員暴行陵虐
 覚せい剤常習の女性に対し、警察庁舎内でわいせつ行為をしたとされる事件。
 真相は不明だが、試験エリートの裁判官が、最初から有罪と決め、有罪の型に填め込んだ、ようなものを感じた。
 求刑は懲役3年。判決は懲役2年、未決150日算入。

 

特別公務員暴行陵虐
 東京拘置所の刑務官(30歳代)が、房の扉の食器口から手を入れ、未決勾留中の被告人(30歳代)の陰茎を触った事件。
 求刑は懲役1年6月。判決は懲役1年6月、執行猶予4年。

 

 最後の事件、被害者の氏名がちらっと出た。私は仰天した。
 同時期に、同じ東京地裁で進行中の裁判員裁判、「強盗致傷、強盗未遂、詐欺、窃盗、住居侵入、強盗」の被告人ではないか!

 そっちの判決も傍聴した。
 特殊詐欺の受け出し子で懲役2年2月を打たれ、その仮釈放中に、闇バイトで強盗や特殊詐欺、という事件だった。
 懲役11年、未決600日算入。控訴審も傍聴した。控訴棄却、当審未決350日算入。

 

 メルマガ第2693号「あの特別公務員暴行陵虐の、なんと被害者の裁判も傍聴した!」の終わりに、私はこう書いた。

 娑婆では無茶苦茶をやらかす悪(わる)だったのに、逮捕され拘置所に長く勾留され、居室の食器口から差し入れられた刑務官の手で陰茎、陰嚢をもてあそばれる、どんな人生やねん、と私は傍聴席で思った。

 

 どんなもこんなも、いろんな人生があるのだ。

2024年8月 8日 (木)

隣人トラブル、モンスター隣人いろいろ

 「隣家に“生卵投げつけ女”逮捕…「クソばばあ覚えておけ」と暴言も」と8月7日付け日テレNEWS。

 隣人トラブル、モンスター隣人の事件もだいぶ傍聴してきた。
 以下、 超絶マニアックデータその1から少し拾ってみよう。

 

迷惑条例違反
 モンスター隣人、2回服役して戻り、またくり返し。完全に人格障害。脳障害か? 被害者は若夫婦。

 

迷惑条例違反
 懲役6月、未決50日算入、執行猶予3年、付保護観察。
 隣の家に徹底的に嫌がらせ。嫌がらせで刑事告訴も民事提訴も。

 

公務執行妨害、脅迫、公用文書毀棄
 懲役1年6月、未決120日算入。
 マンション内モンスター隣人。完全人格障害。

 

建造物損壊
 原審懲役1年。控訴棄却、当審未決70日算入。
 隣のドアは鉄棒でぼこぼこに。

 

迷惑条例違反
 私道のことで隣家とモメ、執行猶予中にまた。頭壊れた72歳。

 

暴力行為等処罰に関する法律違反、脅迫
 一般前科2犯、交通前科4犯、いわゆる右翼暴力団所属の57歳独身男、モンスター住民。

 

傷害(変更後の訴因 暴行)
 求刑罰金10万円。無罪。
 アパート上下の騒音トラブル。被害者証人が緊張しまくりで。

 

名誉毀損、暴行
 マンションの隣人トラブル。中傷ビラをまいたり殴ったり。派手な革ジャンの49歳。

 

殺人
 原審懲役9年(求刑15年)。控訴棄却。当審未決160日算入。
 アパート騒音殺人、不可解否認。

 

器物損壊、建造物損壊
 懲役1年6月、執行猶予3年、付保護観察。
 統合失調症、住民トラブルで自宅のある都営アパートに、広範囲に落書き、集合郵便受けに放火。

 

傷害
 原審懲役10月、執行猶予3年。控訴棄却。
 アパートの騒音トラブル。3室ともろくでもない連中で、被告人は嵌められた? 判決に激怒!

 

傷害
 隣人トラブル、隣室女性の耳を包丁で切り落とした。殺すより地獄の苦しみをと。

 

殺人、窃盗
 原審懲役18年。控訴棄却、当審未決50日算入。
 アパートの隣人トラブル。「あいつだけが生きているのが許せない」と。

 

傷害
 懲役1年、執行猶予4年。
 アパート隣人(精神疾患)の深夜の音に腹を立て、殴って包丁で斬りつけた。自首成立。酒止める。

 

廃棄物処理法違反
 求刑罰金20万円。罰金15万円。
 隣人宅前にゴミ袋1個を投棄。酔って覚えてないが「置いてない」と否認。なんと同居人が「自分が捨てた」と明白に証言。

 

傷害
 懲役1年6月、執行猶予3年、未決30日算入。
 隣人トラブル。加熱したフライパンを頭部に押し当て。精神障害第1種。

 

   ☕  🍸  🍺

 

 このへんにしとこう。

 怒りと憎しみが自己の脳内に、ふくらみにふくらみ、どうにも止まらない、そんなものが感じられることが多い。
 ひとつの方向にしか物事を考えられない。
 喩えていえば、常人は脳内に万の回線があるところ、1つか2つの回線しかなくそれがぶっとく強固、いったんつながったら大変! そんなものが感じられ、場合がある。

 自己の不満、不遇を、他人のせいにする、他人を憎むことで、自我の安定が得られる、自己の不満、不遇の本当の理由に向き合う勇気以前にそもそも自分をふり返る発想、習慣、脳内回線がない、そういう者は確かにいると思う。

 「被害妄想は甘美か」、あれはうまいことを言ってると思う。

2024年8月 6日 (火)

現住建造物等放火、死刑から無罪まで

 「埼玉県南東部で火災相次ぐ…連続放火の疑いも 桶川、伊奈、久喜で5件 住宅や店舗、農業用ビニールハウス焼ける 4時間のうちに半径3キロ圏内で」と8月5日付け埼玉新聞。

 捕まれば相当重い刑に処されるんではないか。以下は刑法だ。

(現住建造物等放火)
第百八条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

 

 超絶マニアックデータ その1から、罪名に「現住建造物等放火」とあるものを拾ってみる。
 「非現住建造物等放火」と「建造物等以外放火」は拾わない。

 放火といっても、全焼から一部焼損までいろいろだ。懲役5年より軽いケースもある。

 

現住建造物等放火、殺人
 原審懲役20年。原判決破棄、懲役15年、当審未決80日算入。
 妻を殺して罪証隠滅のため放火。否認。

 

現住建造物等放火未遂・火炎びん処罰法違反
 懲役7年、未決160日算入。
 20数年前に知り合った女性に対する怒りが再燃し、執拗に探したが見つからず、4カ所放火。

 

現住建造物等放火
 原審懲役3年、控訴棄却、当審未決50日算入。
 高額の買い物による借金で明日競売執行という深夜、夫と心中しようと自宅に放火。

 

住居侵入、現住建造物等放火、殺人未遂、殺人、強姦致傷、窃盗
 控訴棄却、当審未決50日算入。
 こいつもう人間じゃねぇ…。

 

現住建造物等放火、殺人未遂
 原審懲役4年、未決140日算入。控訴棄却、当審90日算入。
 夫は糖尿病、長男は発達障害、長女も発達障害気味で不登校、朝長男とモメてティッシュに火を付け…。

 

現住建造物等放火、業務上横領
 原審懲役6年、未決90日算入。控訴棄却、当審未決60日算入。
 勤務先の剣道具店に放火し39万円を横領。

 

現住建造物等放火、殺人
 原審懲役16年、未決230日算入。控訴棄却、当審未決230日算入。
 自宅に放火して母親(60)を殺害。否認。ほんとは別人の犯行と?

 

現住建造物等放火等
 懲役5年6月、未決180日算入。
 現住の故意がないとか、うつ病で心身喪失とか、なぜそんなことを争うのか。

 

現住建造物等放火予備、殺人予備、威力業務妨害、傷害、銃刀法
 懲役4年(求刑5年)、未決30日算入。
 大量殺人して有名になって死刑になりたい。アスペルガー。

 

住居侵入、逮捕監禁、殺人、現住建造物等放火、有印私文書偽造・行使、ストーカー
 死刑
 被告人質問を一部傍聴。裁判員からの質問がないようで退出。

 

傷害、器物損壊、現住建造物等放火
 懲役22年(求刑25年)、未決算入不明。
 代理ミュンヒハウゼン症候群。5カ月長男の両腕を折り、2歳になったとき大腿を折り、とうとう放火殺人。

 

現住建造物等放火
 懲役3年、未決310日算入。
 母親との確執から自暴自棄になり、住宅密集地の木造自宅に放火、全焼。

 

現住建造物等放火、住居侵入、殺人予備、銃刀法違反
 懲役6年、未決380日算入。
 パラノイアで責任無能力は駄目でしょう。補充裁判員が「あんな風に見えてたんだ~」と! ※前段は弁護人主張についての私の感想。後段は補充裁判員が判決を傍聴席から見ての感想(私は漏れ聞いた)。

 

現住建造物等放火
 原審懲役3年6月(求刑5年)、未決110日算入。原判決破棄、懲役3年2月、原審未決110日算入。
 学生時代の仲間3人、企業の資金をつくろうと、保険金目当てに、1人のアパートに被告人が放火。殺すと脅されたのは理由にならない。

 

詐欺、現住建造物等放火
 原審懲役7年、未決230日算入。原判決破棄、懲役6年6月、原審未決230日算入。
 上の「学生時代の仲間3人」のうち、殺すと脅した大学生。

 

住居侵入、窃盗、現住建造物等放火(変更後の訴因 住居侵入、窃盗)、住居侵入、窃盗
 原審懲役1年6月(求刑7年)、原判決破棄、東京地裁へ差戻し。
 放火が無罪とされ、未決算入で懲役1年6月はチャラ。その後、下着泥棒で捕まり徹底否認。

 

現住建造物等放火(変更後の訴因 現住建造物等放火、重過失致死、重過失傷害)、器物損壊
 懲役15年、未決230日算入。
 放火で服役、出所後1カ月余りでまた放火。酔って記憶がないからと犯人性を否認。

 

現住建造物等放火
 原審懲役3年6月。控訴棄却、当審未決70日算入。
 認知症の母から財布盗を疑われ、脅かしてやろうと自宅に放火。

 

住居侵入、現住建造物等放火(変更後の訴因 建造物侵入、現住建造物等放火)、建造物損壊、建造物侵入
 原審懲役5年、未決300日算入。
 闇サイトで依頼され報酬を受けて放火。

 

邸宅侵入、現住建造物等放火
 原審懲役5年6月。控訴棄却、当審未決80日算入。
 家賃払えずアパートを追い出され、窓を割って入り、こたつ布団に火を点けた。

 

住居侵入、現住建造物等放火
 原審懲役6年、未決390日算入。控訴棄却、当審未決170日算入。
 ある家に執拗に嫌がらせをし、とうとう放火、完全否認。

 

 きりがない。これぐらいにしとこう。

2024年8月 4日 (日)

学生スナイパーがホームの乗客を

 「「人を撃って反応をみてみたい」 エアガンで自宅から駅のホームの乗客を複数回撃ったか 大学生の男(24)を逮捕」と8月4日付けTBS NEWS DIG。
 記事はこうだ。■部分は私が伏せた。

JR総武線の駅のホームに向けて自宅のベランダからエアガンを撃ち、乗客に弾を当てたとして、男が逮捕されました。
逮捕されたのは、東京・■■■区の大学生・■■■■容疑者(24)で、先月下旬、自宅のベランダからJR総武線・■■駅のホームに向けてエアガンを撃ち、ホームにいた乗客の男女2人の背中などに、あわせて5発を当てた疑いがもたれています。
警視庁によりますと、ベランダからホームまでは40メートルほどで、ホーム上でおよそ80発のエアガン用の弾が発見されたということです。
取り調べに対し、■■容疑者は「人を撃って反応をみてみたかった」などと容疑を認めているということです。

 

 80発ってとこからして、BB弾を飛ばす、サバイバルゲームなんかで使うエアガンですかね。
 そんなことより、いったい何の容疑(被疑事実)で逮捕? と傍聴マニアはみんな思うでしょ。私も思った。

 テキスト部分じゃなく、テロップっていうんですか? 映像中の文字部分にこうあった。

暴力行為等処罰に関する法律違反の容疑

 

 へえ。「大正十五年法律第六十号(暴力行為等処罰ニ関スル法律)」を見てみた。それらしいのは、これかな。

第一条ノ二 銃砲若ハクロスボウ又ハ刀剣類ヲ用ヒテ人ノ身体ヲ傷害シタル者ハ一年以上十五年以下ノ懲役ニ処ス
前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
前二項ノ罪ハ刑法第三条、第三条の二及第四条の二ノ例ニ従フ

 

 「クロスボウ」は2022年3月15日施行の改正法で加わったんだね。

 それはいいとして、BB弾のエアガンが、この法律がいう「銃砲」に該当するか?

1、至近距離で肌に当たれば内出血、目に当たれば失明のおそれがあり、十分に危険な銃砲といえる。
2、今回は傷害の目的を遂げなかったので未遂罪に当たる。

 

 弁護人が争う可能性は高いでしょ。不起訴、ですかねえ。

 でも、いいのだ。

 被疑者の哀れな映像とともに全国報道されることにより、一般予防(見せしめ)の効果が期待できる。
 バカな奴を逮捕したと、警察威信の高揚になる。

 その効果は大きい。事件自体は不起訴でぜんぜんオッケー。

 

 その効果を高めるのがトレンドブログ(私の解釈では、ネットリンチの気分を煽って広告費で稼ぐ商売)だ。
 わりと珍しい氏名は、半永久的にネットを漂うだろう。学生君は、人生オワタ、かも…。
 アサルトライフルかスナイパーライフルを駅のホームへ向けたとき、そこまでの想像は、なかなかできないだろうよねえ。

 

 でもね、若さに失敗は付きものだ。私なんかもう、失敗だらけ、恥ずかしいことだらけだ。
 災い転じて福と成す。
 このことを理由に採用等を拒むような会社等は、きっとつまらない会社等だよ。最初からご縁がなくて良かったじゃないか、ねえ、ということで明るく頑張っていきまっしょい✨

2024年8月 3日 (土)

最終弁論に「初耳です」と検察官

「被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。」(刑事訴訟法第63条)

 

 国選弁護人、昔はお年寄りと新人の弁護士が多かった。

 耳がほぼ聞こえないお年寄りの弁護人がいて、なんちうか圧巻だった。
 ほぼ聞こえないけれども、シンプルな自白事件は、言ってみればテンプレートの儀式消化。特に支障はないんである。お見事!
 ただ、判決の期日、何月何日何時から、そこだけ何度も聞き返し、ああ、この人、じつはほぼ聞こえないんだと気づく、圧巻である。

 いちおう言っとこう。
 弁護人と弁護士、誤記じゃない。刑事裁判の、弁護人を弁護士が、検察官を検事、副検事が務めるのだ。

 

   ☕  🍸  🍺

 

 裁判員制度を目玉とする司法改革で、国は法曹人口を、特に弁護士をどっかん増やした。
 それから間もなく、お年寄りと新人以外の国選がどっと増えた。

 

 その前後のどの時期だったか、私は調べた。1回で結審のシンプルな自白事件、その国選の報酬は、地裁で8~9万円、簡裁で7~8万円だっけ。

 私選で受任するのに比べればバカ安だけど、事務所費の足しにはなる、自宅を事務所とする人は生活費の足しになる。


 国選を受けまくり、たぶんシンプルな民事も受けまくり、裁判所へ来る日は、それらの期日をぎっしり詰めるのだろう、法廷へは開廷時刻ぴたりか1分遅れで来る、そんな弁護士がいた。
 たまに2~3分前に来て、どうしたのかと思ったら、被告人との打ち合わせを法廷でちゃちゃっとやる、ときに判決の予想も告げる、あれにはびっくりしたよ。
 刑事裁判はテンプレートの儀式消化なので、十分(じゅうぶん)間に合うのだ。

 あの弁護士さん、もう1年以上かお見かけしない。どうしたんだろう。

 

   ☕  🍸  🍺

 

 新人だけじゃなく、ベテラン風でも、「この弁護人、刑事裁判をほぼやったことがないんだな」と思えることがある。

 検察官からの書証の取調べ請求に対し、「同意」(刑訴法第316条の16)以外の言葉で同意の趣旨を述べたり、人証請求に対し「同意」と述べたり。
 そのたびに裁判官が、「同意とうかがってよろしいですか」などと確認する、ときどきある。

 証拠に基づかない弁論も、たまに見かける。

 民事と違って刑事は、採用され取調べが行われた証拠、に基づいてしか、検察官も弁護人も意見を述べられない。
 ところが、弁護人が不同意として証拠採用されなかった書証、にあったことをもとに、とか、弁護人は被告人や家族から聞いてたんだろうけど証拠になってない具体的な情状を、最終弁論で述べる…。

検察官 「(立ち上がり)今の〇〇〇の部分、初耳です」

 などと言い、裁判官も「証拠に基づかない弁論は…」と言い、弁護人が戸惑う、そんなシーンを私は何度も見てきた。

 

 刑事と民事と、圧倒的に民事の事件が多い。刑事を1回もやったことがない弁護士もいるという。
 一方、検察官は、当たり前だが、刑事が専門だ。

 弁護人と検察官、力(ちから)の差は歴然、と傍聴席で思う、私はそういうタイプの傍聴マニアだ。メジャーにはなれない。なりたいと、ちっとも思わないけど、ま、しみじみ、裏街道だなあと。

 裏街道は、道端の野花がきれいだったり、けっこう素敵だよ、あなたもこっちへおいでよ。やだーっ(笑)。

 

 一方、民事もやるんだろうけど、刑事に注力する、刑事が専門という弁護士もいる。
 外国人女性を被告人とする、そりゃ普通に冤罪だろと見えるひどい事件があり、被告人の母国へ調査に行った弁護士もいた。私は驚き、感動しました。

 かつてのメルマガ第2269号「無理ムリな控訴棄却、裁判員制度のメンツを護ったのか!」などでレポートした。

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