重い病気と認識しながら病気と認めない、裁判所こそが病気か
最近ちょーっと忙しくて。
キャパを超えることをやってて、何かがこぼれ落ちざるを得ない、というか。
昨日(8月26日、月曜)、東京地裁で10時から「常習累犯窃盗」の審理。
この被告人(女性)の氏名は2014年、2016年、2019年に東京簡裁の開廷表に「窃盗」の被告人としてあった。私は一度も傍聴せず、超絶マニアックデータに入力し続けてきた.
いくらなんでも、もう傍聴しなければ。
ただ、体力的にやばい。“計画寝坊”をして10時30分頃、法廷へ行った。
被告人(どうだろ、40歳ぐらいの女性)を法廷中央、証言台のところに座らせ、裁判官が壇上から、まさに責め抜いている最中だった!
要するに、被告人は病気(私が言うところの万引き病)であり、しかもだいぶ重く、がっつり治療しなければならなかったのに、
・専門の医療機関へ行かず、
・治すには5年、10年かかると言われていたのに、
・自助グループへの参加を3年半ほどで止(や)めてしまった、
なんで止めたのか、裁判官は執拗に責めるんである。
・専門の医療機関は少なく、1年、1年半先でないと予約が入れられないと言われた。
・3年で、あるいは1年で回復した人もいたと聞き、自分はもう治ったと思ってしまった。
と被告人は言うのだが、聞く耳を持たず、執拗に責めるんである。
万引き病は、専門医による長期間の徹底治療が必要な、めっちゃ重い病気である、そこを前提としていることがもうありありと明らか!
ところが、万引きという犯罪につながるそんな重い病気、の治療を、完全に本人に丸投げ、国は手を貸さないどころか、そもそもそんな病気と認めないのである。
言ってること、わかりますかね。
クレプトマニア(窃盗症。私が言う万引き病。以下同)と認めるための、アメリカの精神医学会とかの診断基準、のひとつに「有用でなく金銭的価値もないモノを盗む」というのがある。
スーパーやコンビニに、金銭的価値もないモノは陳列されていない。
よって被告人はクレプトマニアではない、とされるんである。
裁判所、狂ってるよねえ。裁判所こそ重い病気だろ、と私はいつも思う。
求刑は懲役3年。
弁護人(ちょっとアイドル風な若め女性)は執行猶予判決を求めた。
裁判官は、法律上執行猶予は無理と言い、検察官は、刑法第25条1項を見てもらえばわかると言い、弁護人は退かない、というシーンがあった。
以下はその第25条第1項だ。
第二十五条 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
本件被告人は、前刑の終了から5年経ってないのかな。
次回判決。懲役1年6月か1年10月ではないかと私は予想する。
それが10時57分に終わり、私はそばの非常階段をかけあがって「常習累犯窃盗、覚醒剤取締法違反、刑事訴訟法違反」の審理(11時~12時)へ。
保釈中の不出頭という、マニアからすれば超重要な事件だが、事件名に「わいせつ」「性交」「性的姿態」などの文字がない。被告人は男性氏名。しかも新件じゃなく審理の期日。不人気に決まってる。傍聴席は52席、楽勝だな(笑)。
と思ったら、ドアの前に数人いて、覗き窓から中を覗いてる。どしたんだ? 私はドアを開けて入った。
なんと、がーん、ほぼ満席!
かろうじて3席ほど空いており、私は傍聴できた。
なかなかに見応えのある期日だったが、また今度。
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