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2024年8月10日 (土)

特別公務員暴行陵虐、狙ってだいぶ傍聴した

 「プレサンス冤罪事件『当時の担当検事の刑事裁判』開く決定 大阪高裁が「特別公務員暴行陵虐罪」の嫌疑を認める」と8月9日付けTBS NEWS DIG。
 「【異例の決定文“補論”を全文掲載】「刑事司法の歴史が変わる」特捜検事を裁判所が“起訴”」と8月10日付け関西テレビ。

 

 以下は刑法だ。

(特別公務員暴行陵虐)
第百九十五条 裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、七年以下の懲役又は禁錮に処する。
 法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、前項と同様とする。

(特別公務員職権濫用等致死傷)
第百九十六条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。


 2022年(それが現時点で最新)の検察統計、「8 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員」によれば…。

 「特別公務員暴行陵虐」の既済は、公判請求が4人、不起訴が420人。
 「特別公務員暴行陵虐致死傷」の既済は、公判請求が0人、不起訴が166人。

 2022年のこの公判請求は、びっくりするほど、めちゃくちゃ多いんだよ。
 10年前の2012年は、公判請求がいずれも0人、不起訴が184人と235人だ。
 webサイト上でいちばん古い2006年は、暴行陵虐の公判請求が1人、不起訴が315人と152人だ。

 こっそり言うと、そのwebサイトの年は西暦になっている。統計を大事にする、まともな人がいるものと思われる。けど、日本会議に目を付けられたら、たちまち元号表記になるだろう。



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 そんな珍しいやつを、変わった事件好きな私は、狙ってだいぶ傍聴してきた。たとえば…。

 

特別公務員暴行陵虐
 40歳代の警察官が「覚せい剤取締法違反」で取調中の若い女性に姦淫した事件。
 身柄、拘置所。求刑は懲役5年。判決は報道で知った、懲役3年。未決算入は報道タブーなので不明だ。

 

特別公務員暴行陵虐
 50歳代の警察官。取調べ対象の30代女性に対し、スーパーの駐車場に駐車した自動車内で、みだらな行為をしたと懲戒免職。否認。
 原審は懲役1年、執行猶予3年、一部無罪。控訴審の判決は原判決破棄、懲役2年6月、原審未決180日算入。

 

特別公務員暴行陵虐、特別公務員暴行陵虐致傷
 40歳代の刑務官。犯行場所は東京拘置所内。清掃作業の受刑者を「自分の色に染め」ようと執拗に暴行。
 求刑は懲役3年。判決は懲役3年、執行猶予5年。

 

特別公務員暴行陵虐致傷
 新潟県警の30歳代の警察官が、千葉県内で内偵捜査中、捜査対象者にバレて逃げるに際し暴行、捜査対象者は骨折。
 これは付審判請求からの刑事裁判だ!
 千葉地裁の判決は無罪。東京高裁の控訴審判決は控訴棄却(無罪維持)。

 

特別公務員暴行陵虐致傷
 20歳代の警察官が職務質問等で、DNA検査と称して若い女性の口腔内へ綿棒や指を入れ、懲戒免職。
 求刑は懲役1年6月。

 

特別公務員暴行陵虐
 覚せい剤常習の女性に対し、警察庁舎内でわいせつ行為をしたとされる事件。
 真相は不明だが、試験エリートの裁判官が、最初から有罪と決め、有罪の型に填め込んだ、ようなものを感じた。
 求刑は懲役3年。判決は懲役2年、未決150日算入。

 

特別公務員暴行陵虐
 東京拘置所の刑務官(30歳代)が、房の扉の食器口から手を入れ、未決勾留中の被告人(30歳代)の陰茎を触った事件。
 求刑は懲役1年6月。判決は懲役1年6月、執行猶予4年。

 

 最後の事件、被害者の氏名がちらっと出た。私は仰天した。
 同時期に、同じ東京地裁で進行中の裁判員裁判、「強盗致傷、強盗未遂、詐欺、窃盗、住居侵入、強盗」の被告人ではないか!

 そっちの判決も傍聴した。
 特殊詐欺の受け出し子で懲役2年2月を打たれ、その仮釈放中に、闇バイトで強盗や特殊詐欺、という事件だった。
 懲役11年、未決600日算入。控訴審も傍聴した。控訴棄却、当審未決350日算入。

 

 メルマガ第2693号「あの特別公務員暴行陵虐の、なんと被害者の裁判も傍聴した!」の終わりに、私はこう書いた。

 娑婆では無茶苦茶をやらかす悪(わる)だったのに、逮捕され拘置所に長く勾留され、居室の食器口から差し入れられた刑務官の手で陰茎、陰嚢をもてあそばれる、どんな人生やねん、と私は傍聴席で思った。

 

 どんなもこんなも、いろんな人生があるのだ。

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