嘘の情報を垂れ流す工場を止める必要がある
10月13日付け日経新聞の第2面、下欄の書籍広告以外の記事部分は、右側に細長く社説が2本あり、左側は「ポピュリズム考」(上)というどでかい記事で埋まっている。
そのどでかい記事の右側は「タイ首相 チュアン・リークパイ氏」からの聴き取りで、「大衆迎合、社会を弱体化」「産業育成で甘え断つ」との大きな見出しあり。
左側は「21年ノーベル平和賞受賞者 マリア・レッサ氏」からの聴き取りで、「偽ニュースが民衆扇動」「怒りの拡散、亀裂招く」との大きな見出しあり。
マリア・レッサ氏のコメント部分から一部を、空行を挟みつつ以下に引いてみる。
米マサセチューセッツ工科大学(MIT)の研究によれば、嘘は事実より6倍速く広がるという。
SNSには情報の拡散に報酬を与える「怒りの経済」とも呼ぶべき構造がある。情報が広がれば広がるほど、巨大IT企業がお金を得る仕組みになっている。SNSを運営するプラットフォーマーは私たちの感情を利用し、扇動的なコンテンツを拡散させることで巨額の利益を得ている。
この構造にポピュリストが結びついている。ポピュリストはSNSを使って怒りをあおり、排他的な極右勢力などが台頭しやすくなっている。国民の印象が操作されているときは政府も統治できなくなる。
SNSに流れる情報は、必ずしも事実に根ざしたものではない。プラットフォーマーは人々がスマートフォンの画面をスクロールし続けてくれればいいので、事実を確認しないし説明責任も負わない。
そうして、こう結ばれている。
情報の生態系の腐敗を止める法律を確立しなければならない。情報の流れを川にたとえる、川の水をくみ取って浄化するのではなく、嘘の情報を垂れ流す工場を止める必要がある。事実に基づかなければ、人権も法の支配も成り立たない。
このインタビューをしたと解される「マニラ=藤田祐樹」氏のコメントが下のほうに短くあり、こんな部分が。
欧米では企業に偽情報対策を義務付ける動きがあるものの、X(旧ツイッター)を保有するイーロン・マスク氏らは「表現の自由」を主張し、投稿を管理する仕組みに消極的だ。偽情報を織り交ぜて世論を操ろうとする政治家は後を絶たない。
映画『ターミネーター』の通称シュワちゃんは、AIが暴走して人間を殺戮する未来からやって来たわけだが、それよりは、AIで巧妙につくった偽ニュース、デマの大量拡散により、人間同士が勝手に憎み合って殺し合って滅亡する、そっちの未来のほうが近そうではないか。
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