フォト
2025年11月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ

« 謹賀新年 | トップページ | 寄生虫と極悪細菌 »

2025年1月 4日 (土)

山上徹也被告人の裁判が始まらない理由、公判前整理手続きとは

 うちにテレビがあった頃、「日本人の9割が知らない××」、みたいなバラエティ番組があった、と記憶する。
 このこともまた9割 or more がどうもご存知ないようだ、という話をしよう。

 昨年12月11日、当ブログに私は「安倍首相の銃撃殺事件、裁判が始まらない理由」との記事を書いた。
 その内容はくり返さず、以下のことを付け加える。

 

 法務省のサイトだろう、冒頭に「第6編 司法制度改革の推進」とあるpdfファイルがネット上で拾える。「1 公判前整理手続」とある。

 「平成18年」のデータが載っている。「平成18年」は、手帳の早見表によれば2006年だ。文書の作成は2007年かな。

 「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」は2004年5月に国会で可決成立。2009年8月に全国第1号の裁判員裁判が東京地裁であった
 そういう時期の、文書なわけだ。

 

 当ブログは容量オーバーで画像を載せられない。テキスト文書で一部転載しよう。

 公判前整理手続は,刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成16年法律第62号。以下「刑訴法等改正法」という。)により創設された手続であり(平成17年11月1日から施行),公判請求後,第一回公判期日前において,明確な審理計画を策定し,迅速な審理を実現するための手続である。

 

 日本語の文章なのに「、」をわざわざ「,」に変換している。みっともないったらありゃしない。なにか心を病むような事情があったんだろう。
 それは措き…。

 

 昔は、「殺人」でもなんでも争いのある事件では、検察官による証拠調べ請求に対し、弁護人が不同意の意見を(述べたければ)述べ、じゃあ不同意とされたネタを検察官はどうするか、撤回するのか、証人調べを請求するのか、弁護人による証拠調べ請求に対し、検察官は、、、という丁々発止(ちょうちょうはっし)の攻防があった。
 その攻防は、公開の法廷で、傍聴人(本来は司法の監視者)の前でおこなわれた。そこが、裁判傍聴のひとつの醍醐味といえた。

 

 とぉころが! 「殺人」など裁判員裁判対象事件では、必ず公判前整理手続きがおこなわれる。
 日程的に、分かりやすさ的に、素人裁判員に負担をかけないよう、丁々発止の攻防を、公判の前に、裁判官と検察官と弁護人とで(場合によっては被告人も参加して)密室でやっちゃうことになったのである。
 主張も立証も、公判(公開の法廷での刑事裁判)の前に、削り整えてしまうことになっちゃったのである。

 公判へは、削り整えられたものだけが出てくる。
 裁判員裁判が始まった当初、スケジュールが分刻みで決まってることもあった。なんだそれ!

 

 山上徹也被告人の事件、どうなっているのか。

 昔なら、いま密室で行われていることは――たとえば統一教会がらみの弁護人側の立証計画、に対する検察官の徹底抵抗とか――公開の法廷でおこなわれた。逐一、報道、レポートされたはず。

 

 今は昔と違う。今、公判前整理手続きにより、深く静かに潜行している。
 暗い海の中にもぐっていた潜水艦は、いつかぐわっと船体をあらわす。
 そして、暗い海中で決めたスケジュールをこなすのである。

 

 あそうそう、公判前整理手続きが終われば、裁判員の選任手続きが始まる。それにもだいぶ月日がかかりそう。
 統一教会の信者、またその被害者が裁判員に混じる可能性はないか、一悶着(ひともんちゃく)起こったりして。

 とりあえずそんなことを私のほうから、ちらっとね。

« 謹賀新年 | トップページ | 寄生虫と極悪細菌 »

裁判員制度」カテゴリの記事