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2025年5月の15件の記事

2025年5月31日 (土)

手コキ30分1.5万円の15歳少女をレイプ、中出しで妊娠させ

 マニア氏から情報をいただき(ありがとうございます!)、5月30日(金)13時30分~14時30分、「占有離脱物横領、邸宅侵入、窃盗」の新件を傍聴した。

 すでに報道されている。「涙ながらに「家の買い換えや老後の不安が…」警視庁蒲田警察署の元巡査部長が起訴内容認める アパートから現金計約3000万円盗むなどした罪 東京地裁」などと。

 警察官の犯罪を、狙ってだいぶ私は傍聴してきた。10年以上前、何件かまとめてレポートさせてもらったこともある。

 今回の事件は、まじめな警察官が本当に「その瞬間、魔がさした」ということだったのか。
 どうなんだろ、組織内でイジメられていた、なんて事情があったのでは、とは私独自の妄想的深読みである。

 求刑は懲役2年6月。判決は執行猶予がつく、とは私独自の予想である。


 

 それが終わって同じ法廷で14時30分~15時30分、「道路交通法違反」の新件があった。
 続けて傍聴した。たまげた!

 首都高9号線下り、江東区木場付近の固定式オービス(TKKのループコイル式)による、なんと63キロ超過(測定値123キロ)の事件だった。

 求刑は罰金10万円! 判決も罰金10万円、しかも訴費(8万円ほどか)負担!

 もう30年近く、首都高のオービス裁判を傍聴し続けてきた私にとって、ちよと震撼する事件だった。 ※ちよと池波正太郎さんの時代小説風。

 

 15時30分~17時、3つ下のフロアの法廷で「不同意性交等、児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反」の新件があった。

 帰り際、ボーチン(冒頭陳述)まで聞いて帰ろう、とっとと帰らねば、と傍聴してみた。
 しかし出られなくなり、17時07分まで傍聴してしまった。

 要するに、X(Twitter)に「プチ30分1万5千円、今からこられる人」とか手コキの客を、15歳少女が募集。
 被告人(長身でイケメン。現在保釈中)はこれに応じ、自宅(渋谷のタワーマンション)へ呼び、要するにレイプ、中出しで妊娠させたという、いやはやなんともな事件だった。

 求刑は懲役6年。だいぶ高額を支払って示談したというが、実刑は動かないのではないか。たとえば…。

裁判官 「主文。被告人を懲役3年に処する…」

 執行猶予は主刑が3年以下のとき付することができる。3年まで下げ、執行猶予5年、実刑ぎりぎりで助かった、ほっ、と普通は安堵する。ところが…。

裁判官 「主文は以上です」

 どうなるか、次回判決は見届けたい。
 あとで、被告人氏名でネット検索してみた。報道ヒットなし。被告人の仕事のヒットは複数あった。

 

 私はねえ、なるべく裁判所行きを減らしたいと思ってるの。あれもこれも、いろんな期日をあきらめてるの、強い心で。
 しかし、なかなか、そういうことってあるよね💦

2025年5月29日 (木)

どこの地獄から出てきた動物!?

 最近傍聴したのを少し。

 

 「わいせつ略取、準強制性交等、準強制わいせつ、強制わいせつ、児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、準強姦」、東京地裁、審理。

 「傍聴速報 睡眠薬を用いて女性に暴行した美容クリニック院長初公判 | 高橋ユキの事件簿 #188」、この事件である。

 初公判は2022年10月4日だ。追起訴、追起訴、追起訴の期日が続いた。
 2023年1月20日の期日を傍聴して、被告人について私は傍聴ノートに書いた、「魂が抜けたよう」「目力(めじから)、生気がない」と。

 さらに追起訴が続き、2025年5月28日。
 脇のドアから刑務官2人に伴われ、手錠・腰縄で出てきた被告人、を見て私は驚いた。
 どこの地獄から出てきた動物!? 人としての外形も崩れつつある、そんな感じがした。

 この日は被害者数人の意見陳述が行われた。パーティションの中から本人が述べたり、参加代理人の弁護士が述べたり。
 うち1人は「21番目の被害者」だった。
 次回は論告弁論。もしかして求刑は20年を超えるか。

 

 「窃盗、銃砲刀剣類所持等取締法違反」、東京簡裁、判決。

 身柄(拘置所)。頭髪は剛毛密集、背が丸い。
 飲料水の万引きと、穴あき包丁1本(刃体長12.9cm)の携帯。罰金30万円、未決勾留日数の1日を5千円に換算して満つるまで算入。

 前科4犯なのに罰金刑で済んだ。なぜ? 前科はいずれも薬物犯罪なのだそうだ。

 

 「詐欺」、東京高裁、判決。

 原判決は懲役3年6月、未決480日算入。控訴棄却、当審未決80日算入。訴費不負担。

 詐欺の中身は不明だが、前科なしってところと、量刑と未決算入の多さからして、特殊詐欺の受け子、出し子を相当に多数回やったのかも。
 詐取金または報酬は、借金返済や競艇代に当てたという。
 競艇で勝った金で被害弁償を考えたんだという。そうですか…。

 

 「不同意性交等、強制性交等、強制わいせつ、児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反」、東京高裁、第1回。

 被告人は不出頭。原判決は懲役7年。量刑不当の主張。事実調べ請求はなく、判決の期日を決め、3分足らずで閉廷。
 スポーツインストラクターの男が男子中学生にキスをしたとか報じられたが、懲役7年だったとは。
 事件報道のほとんどは、逮捕止まり。逮捕=犯人、逮捕=刑罰…。

2025年5月26日 (月)

勾留停止の被告人が逃げた理由は

 「「人権侵害」か「罪証隠滅の恐れ」か 保釈判断に揺れる裁判官たち」と5月25日付け毎日新聞。

 数年前に傍聴した事件を私は思い出す。病院受診のため勾留を停止された被告人が逃走と、当時大きく全国報道された事件だ。

 

 その逃走を知人女性に手助けさせたという「犯人隠避教唆」の控訴審(原判決は懲役1年2月。未決算入は不明。量刑不当の主張)を私は傍聴し、伝説のメルマガでレポートした。
 一部ちらっと転載しよう。

 

 病院受診は嘘、詐病だったのか。
 いやいや、本当に重病でも、徹底的に詐病を疑い、死なせてしまうこともある、それが当局の基本姿勢だ。詐病ごときで勾留停止になるはずがない。

 詐病じゃないなら、なぜ逃げたのか。テレビも新聞も報じない、驚きの理由が明かされた!

被告人 「自分の持ってる病気の治療を(拘置所に対し)お願いしていたのですが、保釈がとおらず…」
弁護人 「原審の裁判官は、動機が身勝手だと…その点をどう思いますか?」

 弁護人は病名を言わなかったが、被告人(40代男性)は難病で、半年に1回、専門の病院で検査と治療を受ける必要があるという。
 治療とは…。

被告人 「最初、触診…MRI、CT、血流、心電図…髄液を抜いての検査…」
弁護人 「そして免疫グロブリンを投与してもらう…治療の目的は?」
被告人 「現状維持を目的として…悪化や進行を防ぐ…治療を受けないと、ほぼ歩けなくなる…」

 半年に1回の検査&治療を受けないと、太股や腕や手足の指先に針で刺されるような激痛があるという。

 勾留中に、お願いにお願いした末、11カ月経って免疫グロブリンの点滴を受けることができた。
 しかし遅すぎたため、予後は非常に良くないという。

 今回の勾留停止で治療のため与えられたのは3時間…。

被告人 「治療…(勾留停止の)3時間では、問診で終わってしまう(=検査も治療もできない)…もうそこで…3時間の執行停止で…絶望的になってしまいました…で、もう…」

 今後どうなってしまうのか不安で、逃げてしまったのだという。
 最後に裁判官に言いたいことがあれば、と弁護人から向けられ被告人は述べた。

被告人 「はい、治療をお願いして、やっていただいたんですが…11カ月かかってしまいました…11カ月待たなければ、今回の事件、起こさすに済んだ、というのが、自分の中にあります…やはり今…すぐ対応…そういう、知っていただきたい一心で、控訴しました…このたびは…」

 

 裁判官にそんなことは関係ない。興味もない。
 1カ月後に言い渡された判決は、普通に控訴棄却、当審未決120日算入だった。

 

 拘置所、刑務所の傷病治療が劣悪だという話は普通によく聞く。
 その状況が改善されるのは、かなり困難だろうと、傍聴席からは見える。

 「行政無謬の原則」もあり、行政官僚自身が自らの行政の不備、誤りを認めるはずがない。
 「犯罪者を甘やかすのか!」との攻撃心が、広く世間にあるだろう。

 だから表に出ず、埋もれている苦しみがたくさんあるんじゃないか。

法務省 「刑務所、拘置所等は、犯罪者どもを痛めつける施設です。病気でもまともな治療はしません。それが嫌だったら罪を犯さなければいい。一般予防(見せしめ)の観点から、身をもって思い知らせ、犯罪防止に資するのです」

 はっきりそう言えばいい。正直に言ってこそ、改善の可能性がある。闇に隠しては改善もなにもない。私はそんなふうに思ったりなんかするのだ、世界の隅っこで(泣)。

2025年5月24日 (土)

Amazon法務部、裁判傍聴ツアー!

 最近傍聴したのを少し。

 

 「過失運転致死」、東京地裁、新件。

 2年前の午前0時過ぎ、67歳の男性がタクシーに乗ろうとした。運転手は断り、発進。被害男性は第2車線へ倒れたという。
 酔っ払って運転席側へ回り、もめた?

 その第2車線へ被告人(現在83歳男性)が通りかかった。当時どうもタクシー運転手だったらしい。
 路上横臥の男性を被告人が左前輪で礫過し、腹部臓器損傷で死亡させた…。

 認否は次回ということで、数分で閉廷。弁護人もなぜ認否を留保したのか、追っかけねば。

 

 「窃盗」、東京地裁、判決。

 マッチングアプリで会った男性と食事しつつ、男性の高額腕時計を借りて着け(要するに着け逃げ&売却)と報道さ れた事件である。
 被告人は逮捕時26歳。今法廷で、立体マスクから出た顔の部分は、チョー可愛い美女だ。

 被害は合計470万円余り。親が弁償して示談。判決は懲役2年、執行猶予4年
 弁償、示談がなければ実刑だった旨を裁判官が言った。その通りだと、被告人は思ったろうか。

 

 「建造物侵入、強盗致傷、銃砲刀剣類所持等取締法違反、公務執行妨害」、東京地裁(裁判員裁判)、判決。

 被告人は身柄(拘置所)。長身で、やや薄いがきれいな白髪。若いときはモテモテだったろうと思わせる顔立ちだ。
 「《東京都江戸川区・強盗致傷で逮捕の前期高齢者》無収入で4か月前からまともに食事をとれず弁当を買うため…■■夫容疑者(71)の空腹強盗「ゴミに埋もれた」孤独素顔」と2023年12月28日、週刊女性PRIME(■は私)、この事件である。

 裁判員は1番から順に、私の一瞥(いちべつ)印象によれば、30歳女性、60歳女性、50歳女性、30歳男性、20代女性、30代男性。

裁判長 「主文。被告人を懲役7年に処する。未決勾留日数中430日をその刑に算入する…短刀1振りを没収する」

 被告人の苦境についてはこう切り捨てた。

裁判長 「同上する余地がないわけではないが、考慮するにも限界がある」

 これはね、切り捨てるときの決まり文句、慣用句だ。気にしないでほしい。

 

 以上を傍聴したのは5月23日(金)だ。

 この日、法廷前の行列に並びたがらない、ちょっと異様な感じの傍聴グループ(女性3人、男性1人)があった。
 傍聴マニア歴丸22年の私は、どうも妙な感じを受けた。
 4人は手に手に同じタイトルデザインの文書(A4サイズ、数枚綴り)を持っていた。何のグループなのだろう。

 

 別の法廷で、同じタイトルデザインの文書を持つ傍聴人を見た。やはり4人。いわゆる白人の男女が各1人、日本人ぽく見える女性が2人。
 文書のタイトルが見えた。

 裁判所傍聴ツアー
 Amazon法務部

 えーっ!!!
 Amazonとその関係の人たちが、仕事の関係で、ナマの裁判を目にしておこうという話になり、Amazonの法務部が案内を作成した、つーことなのかな。

 私に傍聴案内をやらせたら、格段に深い傍聴ができたと思いますよ。
 今そっちの本を書いてるのでお楽しみにっ。

2025年5月22日 (木)

元ウクライナ義勇兵がフリーの駐車監視員に!

 21歳のとき、だからつまり50年前、私は大学を中退して漫画・コミックの原作者を目指した。
 高校の3年間を映画に狂った影響が大きい、と思う。

 懸賞で何度か賞をいただいた。たとえば、タイトルは今ちょっと定かじゃないが…。

 ある中学生がひきもこりに。
 元活動家でマルクス主義者の父親は、学校に何か問題があると鋭く察知した。息子を救わねば。

 新学年の新学期、父親は息子に成りすまして登校する!
 絶対バレるだろと思いきや、教員は生徒の顔など見ておらず、生徒は「お前、なんか老けた? 俺も血糖値が高くてさぁ」と、誰も気づかない。

 父親はまんまと潜入に成功し、屋上から「立て万国の中学生、団結せよ!」とかビラを巻いたりするのであった。バカである。
 そうして、追い詰められ自殺しそうな女生徒と出会い、このマルクス親父は本気で救おうとする…。

 

 『そのゆえにエドムと呼ばれた』、これはタイトルを憶えてる。
 ひと皿の平豆のために族長の座を譲り渡した、という聖書のエピソードに由来する。

 家畜(輸出用)の食欲を増進させる薬剤はすでにある。ジャンクフード産業のため人間の食欲を増進させる添加物を、ある多国籍企業が開発していた。

 管理のずさんさから、実験に使われたマウスが東京湾のゴミ処分場に違法に廃棄され、カラスが食べた。
 カラスには多くの添加物が蓄積されており、劇的な効果を顕した。すなわち、異常な飢餓により手当たり次第に食いつく、ゾンビに変身したのである。

 カラスが清掃車の運転手に食いつき、運転手はカラスを撃退したものの、帰りの銀座付近で突然ゾンビに変身、通行人を襲い始めた。
 感染は広がり、通行人が通行人を襲う。銀座はパニック! 地下鉄によって瞬く間に都内全域に広がる。
 主人公はその多国籍企業の下っ端研究員で…。

 

 そんな感じの習作を重ねたが、いっこうに芽が出なかった。
 出ないうちに、交通違反専門の物書きとして仕事をするようになった。

 そうして夢が叶った。四半世紀を経て、小学館の『ビッグコミック スピリッツ』で『交通被告人 前へ!!』の原作を担当させてもらえることに!


 

 人気がなければすぐ連載を打ち切られる厳しい世界で、連載は半年間も続いた。
 すぐに第2弾をとなり『駐禁ウォーズ!!』の原作を担当、おかげさまで丸1年間ほど連載は続いた。

 

 裁判所で複数の弁護士さんから「読んでます」「読んでました」と言われた。
 たまたまあれらを読んでいて、たまたま裁判所で私を見つけるって、希有な確率かと思う。うれしかった。

 

 でも、あの成功は、コミック作家のウヒョ助(現、塚脇永久)さんと担当編集者氏のおかげと痛感する。
 私は交通違反のマニアであり、ドラマ作家には向かないと痛感した。

 なのに、新しいシチュエーションが閃いたりする。たとえば…。

 2040年、日本はいよいよ破滅的超高齢社会に。
 富は安倍晋造大統領(2030年の憲法破壊で永久独裁者に就任)とそのお友だちが独占、貧困と犯罪が荒れ狂う時代…。

 駐車違反の放置違反金は、反則金や罰金と違って、取り締まりをおこなった都道府県に入る。
 地方にとって放置違反金はひとつの重要な財源である。

 もっと大胆に効率的に取り締まれるよう、道交法を変更。フリーの駐車監視員が誕生した。
 取り締まりに必要な携帯端末を1日1千円、1週間なら5万5千円で借りる。
 稼ぎは歩合制。放置違反金1万5千円の違反を1本とれば、その3割、4500円が稼ぎになる。

 クルマやバイクはなかなかとれないが、道交法の変更により自転車もとれることになった。

 そこにおいて、主人公はフリーの駐車監視員である。
 ウクライナで義勇兵を2年やった。そしてじつは、行方不明の妻子を探している。
 たかが駐車違反の裏に、さまざまな犯罪、さまざまな人間模様があり…。

 

 あ~、そんな夢想をしてないで、仕事の原稿を書こうょ💦

2025年5月20日 (火)

660万円のリフォーム詐欺、罰金50万円って!

 最近傍聴したのを少し。

 

 「建設業法違反」、東京地裁、判決。

 「無許可リフォーム工事容疑で29歳男逮捕 「スーパーサラリーマン清水」グループの1人か」と3月12日付け産経新聞。ずばりこの事件だ。

 被告人は共犯者の1人で、黒Tシャツに暗色スーツ。大柄でヘアがばっちりキマってる。見事な和彫りを背負っていそう、私の目にはそんな雰囲気だ。

裁判官 「主文。被告人を罰金50万円に処する。その罰金を完納できないときは金5千円を…」

 えっ、罰金なのっ?
 500万円以上の契約をするには建設業法の許可が必要なのに、契約を複数に分けて許可を受けなかった…。

裁判官 「被告人が手法を考えたわけではない…罪を認め…共犯者らと関係を断ち…反省…前科がない…妻が上申書…」

 それは表面的なとりつくろいに過ぎず、50万円程度が相場なのだろう。
 詐欺でも立件しながら今回建設業法違反だけで判決を言い渡した、とはどうも考えにくい。660万円は激しく高額だが、通常の商取引の範囲ってことか。
 じゃあ、499万円なら完全セーフ、やり放題やってるんかもねえ。

 

 「ストーカー行為等の規制等に関する法律違反、暴行」、東京地裁、審理。

 「小嶋陽菜さんを待ち伏せし暴行加えた罪のジャオ・レイ被告「直接好きだと伝えればチャンスをもらえるかもしれないと…」」とFNNプライムラインがすでに報じている。

 私が付け加えるなら、被告人は身柄(拘置所)。
 小嶋陽菜さんがよっぽど好きだったらしい。勢いよく早口でしゃべるしゃべる、しゃべるしゃべる、中国語で。
 通訳人のお姉さんはだいぶ困っていたようだ。困りながらうつむいて、マスクをつけたまま通訳するもんだから、聴き取れない部分がよくあった。

 被告人は、自分の頭の中の強い考えと、外界とがなかなか折り合いがつかないのか、弁護人、検察官と問答がかみ合わないシーンがだいぶあった。
 弁護人は、被告人がどう述べようと、自分が用意してきた質問を淡々と繰り返した。
 検察官は、被告人がどう呼べようと、定番の攻め(責め)に終始した。これは裁判なのだ。

 次回、論告弁論。

 

 「偽計業務妨害」、東京地裁、新件。

 被告人は身柄(拘置所)。なんというか、ちょっと普通じゃない感じだった。
 大阪府内の自宅から、ペッパーフードサービスを通じて、大阪府内の飲食店のひれステーキ重、合計41万3850円ぶんの嘘注文をし、松屋フーズの弁当予約サイトから大阪府内の弁当店へ、合計102万9870円ぶんの弁当を嘘注文し…。
 追起訴はなくなったという。

 親に弁償させ執行猶予で決まりの事件、今日結審、と裁判官(有能さがほとばしる感じの若い男性)は見込んだようだ。
 ところが、地味にまじめそうな感じの女性弁護人が、地味に丁寧な弁護を予定しており、有能な裁判官は当然、封じるわけにいかず…。

 次回はどうするか、決めるのに23分間ほどかかった。こういうのが裁判傍聴の醍醐味と思う私は裏街道ですか💦

 

 「麻薬及び向精神薬取締法違反」、東京地裁、新件。

 これも大麻だった。2019年に「大麻取締法違反」で懲役6月、執行猶予3年を食らっており、今回の求刑は懲役1年6月。

 

 「あへん法違反」、東京地裁、新件。

 この罪名は私は初めてだ!
 タイからドライフルーツに偽装したあへん1816.048gを、国際スピード郵便で密輸入し、足立区内のアパートで受け取り、に関与した…。
 被告人は身柄(拘置所)。認否(起訴状に対する意見)で…。

被告人 「あへんの密輸には関わっておりません」

 きっぱり否認し、3月6日の逮捕からずっと続いている勾留が如何に不当、不要か、切々と述べ始めた。

検察官 「認否を超えています」
弁護人 「認否だけの時間じゃない」
裁判長 「(左右陪席の意見を確認し)承りますが…(短めに)」

 次回期日は追って指定となった。

 いろんな事件が次々とある。裁判傍聴、なかなか抜けられない…。

2025年5月19日 (月)

中居正広氏と「不同意性交等」

 元超有名芸能人、中居正広氏の行為について「性暴力」じゃないとかネタになっているようだ。

 裁判傍聴マニアの立場から、ちらっと。

 

 私が傍聴マニアと自称できる日々を勝ち取った頃、刑法第177条はこうだった。以下、太字は私。

(強姦)
第百七十七条 暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

 

 13歳未満に対しては「暴行又は脅迫を用い」なくてもアウトだぞってことね。
 「3年以上」は無限じゃない。刑法第12条により上限は20年。併合罪で上限は30年だ。

 加えて「準強姦」というのもあった。それは第178条第2項で、こうだった。

2 女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、姦淫した者は、前条の例による。

 

 ゲームと称してテキーラ等をショット飲みさせ泥酔させ、あるいは女子がトイレに立ったすきに飲み物に睡眠剤を入れ、という「性犯罪あるある」はアウトだぞってことね。

 

 2017年7月13日から、第177条は変わった。

(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

 

 「女子」という2文字が消えた。
 漠然と「姦淫」だったのが「性交、肛門性交又は口腔性交」、まとめて「性交等」とされた。
 かつ、「三年以上」から「五年以上」になった。
 第178条の「準強姦」は「準強制性交等」になった。

 

 そうして2023年7月13日、第177条はさらに大きく変わった。こうだ!

(不同意性交等)
第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

 

 「前条」とは第176条。こうだ。びっくりするよ。いちいち太字にしません。

(不同意わいせつ)
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
  暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
  心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
  アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
 四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
  同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
 六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
  虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
  経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

 

 どうですか、びっくりするでしょ。
 そもそもそれらは人としてアウトなところ、2023年7月13日から突然、刑法的にアウトになったわけだ。

 人としてアウトだから処罰する、とはいかない。罪刑法定主義の観点から。
 そこで2023年7月13日、こんなふうにしたわけだね。

 

 中居正広氏の行為は「性暴力」かどうか、以上、ご参考になれば。
 「暴行又は脅迫」さえなければオッケー、それが大手を振る時代ではないのだ。

2025年5月17日 (土)

大麻は麻薬となり懲役5年→7年

 13時20分~13時30分、東京地裁の813号法廷(52席)で「偽計業務妨害、威力業務妨害」の判決。

 被告人が5分遅刻した。反対方向の電車に乗ったとかで。

 主文は懲役1年6月、執行猶予4年
 犯罪事実は、2023年8月のが1件、同年12月のが2件。

 「三菱UFJに爆破予告疑いで逮捕 ネット投稿、25歳男」と、なぜか報道日の明示を避けるかに共同通信。この事件だ。以下はその一部。

 逮捕容疑は昨年8月24日、警視庁ホームページ(HP)のお問い合わせフォームに、東京都内のゲーム関連会社を名指しし「同時爆破テロを実施させていただくナリ」と投稿。同12月6日には三菱UFJ銀行のHPに「我々恒心教は三菱UFJ銀行本社を爆破する」と書き込み、警視庁や同銀行の業務を妨害した疑い。

 恒心教。カルト?
 「「恒心教」の元大学院生に懲役3年の有罪判決 爆破予告など繰り返す」と昨年6月13日朝日新聞。以下はその一部。

恒心教は、特定のネット掲示板で弁護士らへの中傷を繰り返す人たちの行為を指す言葉。

 なんだそれ~。

 

 言渡しが終わったのが13時31分。
 13時30分から別の法廷(20席)で傍聴したいのがあったが、もうだめ。どうしよう。

 続けて813号法廷で「麻薬及び向精神薬取締法違反」の新件があった。おお、と思って傍聴した。

 

 被告人(身柄、拘置所)は大柄な35歳。「暴力団」の所属らしい。
 今年2月の、「麻薬である大麻」39.859gの所持だった。麻薬である大麻!

 起訴状朗読の最後、罰条の部分、「66条1項」とばっちりメモ、しゃっとアンダーラインを引きましたぞ!
 以下は麻薬及び向精神薬取締法の第66条だ。

第六十六条 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第六十九条第四号若しくは第五号又は第七十条第五号に規定する違反行為をした者を除く。)は、七年以下の懲役に処する。
 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、一年以上十年以下の懲役に処し、又は情状により一年以上十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
 前二項の未遂罪は、罰する。

 

 第1項には原則として項番号をつけない。詳しい理由は『法令作成の常識』(林修三著、日本評論社セミナー叢書)に。

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 第1項の丸カッコ内の第69条第4号とかいうのは、麻薬営業者、麻薬輸入業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者なんかの規定であり、一般人には関係ない。

 大麻も麻薬と定義されている。大麻は「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬」に当たる。よって大麻の所持は、麻薬及び向精神薬取締法により7年以下の懲役なのだ。

 

 以前の大麻取締法では、こうだった。

第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。

 2024年12月12日、所持の罰則は麻薬及び向精神薬取締法のほうに取り込まれ、7年以下の懲役とされた。
 そして、大麻取締法は「大麻草の栽培の規制に関する法律」にかわり、所持の罰則はこうなった。

第二十四条の二 削除

 

 交通死傷事故は「業務上過失致死傷」から「自動車運転過失致死傷」になり「過失運転致死傷」になった。「強姦」は「強制性交等」になり「不同意性交等」になった。

 裁判官たちは次々に移動する。新井紅亜礼(くあら)さんは久しぶりに東京地裁へ戻ってきた。園原敏彦さんは今、東京簡裁に!

 昔は東京簡裁にあれほど多かったオービスの否認事件は、いつしか皆無となり、東京地裁へ稀(まれ)に出てくる程度となった。

 さまざま移り変わり、傍聴マニアだけが傍聴席に居続ける、楽しいよねえ(笑)。

 

 メモ:「東京地方裁判所刑事部の概況(令和3年12月期)」なるものを発見した。

 第5表「刑事訴訟事件新受人員の推移」が興味深い。
 1993年からぐいんぐいん増え、2004年をピークに、崖から落ちるように急減している。この異様なカーブは何なの。

 そういえば2004年5月21日、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が国会で可決成立した。
 裁判員法の成立へ向かって刑事裁判はぐいんぐいん増え、成立したら真っ逆さまに急減、偶然かなあ、、、

2025年5月15日 (木)

大麻取締法が消えた!?

 「通行妨害で懲役1年4月求刑 「ひょっこり男」無罪主張」と5月13日付け共同通信。
 私もそれを傍聴した。千葉地裁松戸支部で。

 

 空いた時間に「麻薬及び向精神薬取締法違反」の新件(第1回公判)を傍聴した。コカインかな。
 いや、大麻の乾燥植物片32.08gの所持だった。ん?

 追起訴分のコカイン(麻薬)を開廷表に書き、本起訴分の「大麻取締法違反」を書かなかったのか、いい加減だなあ(笑)。
 ところが、検察官が書証の要旨告知で言った。

検察官 「甲5、6号証…鑑定嘱託…鑑定書…麻薬である大麻と判明…」

 ん? なんだそれ、意味わかんねーよ!

 

 翌日、法律を見てみた。
 「麻薬及び向精神薬取締法違反」の第2条は「定義等」を定めており、第1項は第48号まである。
 以下は第2条の柱書きと、第1項の、第1号の2までだ。

第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 麻薬 別表第一に掲げる物及び大麻をいう。
 一の二 大麻 大麻草の栽培の規制に関する法律(昭和二十三年法律第百二十四号)第二条第二項に規定する大麻をいう。

 さかのぼってわかった。
 2024年12月12日より前は、

 一 麻薬 別表第一に掲げる物をいう。

 こうなっており、第1号の2なんてないのだった。

 

 じゃあ、「大麻取締法」はどうなった? 見てみた。
 ぎょぎょっ、「大麻取締法」はなく、「大麻草の栽培の規制に関する法律」ちうのが出てきた。

 どうも2024年12月12日に、大きな変更があったらしい。私は全然知らなかった、ふ、不覚っ。

 これから「麻薬及び向精神薬取締法違反」を狙って沢山傍聴しなければ。
 そうして、まずは起訴状朗読の最後、「罪名及び罰条」の罰条を必死にメモしなければ。

 いやあ、間抜けにも程があるよねえ、申し訳ないっ💦

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※これ私のアフィリエイト。「大麻膏」って大麻成分配合の軟膏か。んなものが販売されているとは!

2025年5月14日 (水)

統一教会vs鈴木エイト、双方の意見陳述を傍聴した!

 さてさて、5月8日(木)13時10分~13時40分、東京地裁民事第44部、606号法廷(52席か42席)で「プライバシー侵害に基づく損害賠償請求事件」の第1回口頭弁論期日、マニア氏から情報をいただき(ありがとうございます!)、防虫もとい傍聴しました!

 

 開廷表では、原告は「(閲覧制限)」、被告は「鈴木エイトこと(閲覧制限)」。統一教会側が鈴木エイト氏(以下エイト氏)を訴えた裁判だ。

 13時02分に行くと、すでに行列があり私は26番目だった。開廷時にはほぼ満席に。

 原告席は、前列に3人、後列に1人。3人のうち真ん中のメタボな中年男性が原告本人とあとでわかった。
 「BAN苦死慰」という方が法廷画をアップしている(https://x.com/BAN_9_4_1/status/1921017530279239792)。見事に特徴をとらえている。じつに上手い!

 被告席は、前列に3人、後列に7人。前列の真ん中が鈴木エイト氏。グレーの良い感じのスーツだ。

 

 13時10分開廷。まずは双方の訴状、答弁書を陳述扱い。甲は26号証まで、乙は5号証まで提出扱いとし、双方から意見陳述。
 原告席で原告が立ち上がり、書いてきたもの(陳述書か)を読み上げ始めた。
 以下、メモできたところから一部拾う。メモできなかった部分及び拾わない部分は「…」でつなぐ。

原告 「まず、このような匿名の裁判…率直な気持ちを…エイト氏…いつの間にか、勝手に私を撮影…私の名前を晒してバラ巻く…信仰が広く知られてしまい…日頃から、息を潜めるように暮らしていかなければならず…エイト…生活を脅かす危険人物…恐怖…どこで何を…私…ボランディア…子ども食堂へ突然…私は戦慄しました…子ども食堂…私に対し、縁を切る…」

 原告の様子は、顔を赤くして興奮、泣きそうな感じだ。
 ええっ、エイト氏ってけっこう人非人(にんぴにん。ひとでなし)なのか?

原告 「板橋…講演会…私のフルネームを晒し…ボランティア団体を晒して…人生真っ暗…どん底に落ちた…『まるまるさん、有名な統一教会だったんですね』…板橋区を盛り上げようと楽しくやっていたのに…」

 このあたりで原告は、拳(こぶし)で原告席(大きな机)を叩き、泣き声になった。だいぶ興奮しているようだ。

原告 「信仰…ために生きる…子どもたちの喜ぶ姿を見て…私は大変な絶望感…自殺も…私のボランティアを、正体隠しだと…いっしょに、ために生きる…幸福感を味わっていただけ…」

 エイト氏はいろいろ暴露したという。

原告 「シモムラ議員…国政報告会…たまたま居合わせただけです…シモムラ議員…私の名前も知らないでしょう…私をパイプ役だとか…正体を隠して伝道だとか…鈴木エイト氏による行き過ぎた報道のせいで…私の、全人生を賭けた、訴状でございます!」

 原告の興奮は頂点に達し、泣いた、ように見えた。
 私は傍聴ノートに、ペンの色を変えて「がんばって泣く」と書いた。正直な感想として、どうも演技性のものが感じられ…。

 

 13時20分、続いて被告エイト氏の陳述。

 立ち上がったエイト氏を見て私は驚いたね。だいぶ長身だ。足元に台があって、そこに乗っているのか? いや、上半身の長さからして、台は無さそう。
 しかも、グレーのスーツが似合ってる。うむぅ。 ←なぜ唸る(笑)

被告 「原告の主張自体が失当…支離滅裂…週刊文春の記事…取材を受け…原告自身…青年部長…LinkedIn(?)…実名と顔写真を…板橋…クラブ…偽装ボランティア…イッシン(一心?)教育センター…正体を隠した団体…2D…ツーデイズ合宿…その講師を務め…正体隠し…世界日報…原告…ネットに出している…シモムラハクブン…街頭での政治活動は目線不要…ピースロード板橋…講演…××という人物が勝手に撮影…××も別働隊…勝共連合…子ども食堂…公益性の高い情報…実名…幹部であることを示す必要がある…今回…一連の訴訟…(教団は)『エイト三部作』と呼び…」

 原告のさっきの陳述の内容を、あらら、ぜんぶひっくり返しちゃった、という感じだった。
 私は傍聴席から、原告の顔を覗き込んだ。難しそうな顔で、固く目を閉じていた。

被告 「原告…常日頃から、顔を出して宗教活動…街頭演説…ブログ…自分や家族の写真も公開している…大きな齟齬や矛盾が…むしろ、自ら信仰を進んで公開している…」

 13時30分の30秒ほど前に陳述は終わった。

 原告の準備書面に対する被告の対応を待ち、7月11日にweb会議で弁論準備手続き(非公開)を行うと決め、13時33分閉廷。

 統一教会の選挙支援は非常に力強かったはず。だからこそ自民はあそこまで入れ込んだのだろう。
 その支援を得にくくなった自民は、今度はどこにすり寄るか、非常に心配だ。

 そこにおいて「うちらがその力強い支援を頂いちゃおう」という政党もあらわれたようで、近々ある東京都議選、夏の参院選はどうなるんでしょ💦

2025年5月12日 (月)

お漏らし新時代!

 伝説のメルマガ、第2312号「11カ月の女児がズボンの裾をつかんだからと腹を立て」の編集後記に書いたこれ、当ブログにはどうも出してないみたい。
 出します。衝撃ですぞ!

 

 凄い話を聞いた。ネットじゃなくリアル交友関係の中で。

 ある女子が電車に乗車中、座席に座ったら、おしっこでぐっしょり濡れており…!
 女子は外出をあきらめ、帰宅して衣服をぜんぶ洗濯、シャワーを浴びたという。

 その話を家人にしたら、怒られてしまった。
 なに言ってんの、あんたほんとになんっにも知らないのね、そんなの当たり前よ! と。

 家人は、東京の高級デパートのエスカレーターそばで、休憩用の椅子に座っている高齢男性がじゃーっとお漏らしするのを見たという。床はたちまち水びたし、というか尿びたしになったという。

 また、駅のエスカレーターを降りたところに大量の脱糞があり、通行人(女性)が気づかずに滑って転んだという。
 駅等の雑踏の通行人の中に、お漏らししている高齢者は珍しくないんだという。えーっ!!!

 関係ないけど、ぼけると、女性は雲古をもてあそび、男性はちんちんをいじるという。
 女性と男性のその違い、何かあるはずだ。
 心理学者、脳科学者は学術誌に論文を書いてたりするんだろうか。

 私は駅等の雑踏で、「警察官が職務質問したくなるのはこういうタイプかな?」「頭が煮詰まって通り魔殺人とかしそうな奴はいるか?」とは注意して見ているけれども、お漏らしには全く考えが及ばなかった。不覚だ!

 

 子ども叱るな来た道ぢゃもの、年寄り叱るな往(い)く道ぢゃもの。
 高齢者を罵って済む話ではない。やがてあなたも、少なくとも予備軍にはなるのだ。
 エスカレーター付近の脱糞が高齢者によるものとは限らないし。

 今井はどうなんだ? ま、その話はまたの機会に、うふふ。 ←なんだそれーっ(笑)

 

 ふと思いついて、楽天のアフィリエイトを検索してみた。
 男女兼用、こんなのがあるんだね~。備えるか? いやあ、何百枚も来ちゃっても困るしぃ💦

2025年5月11日 (日)

交通トラブル(あおり運転)アラカルト

 2019年、「あおり運転」に熱狂、ともいえる状態になった。

 あおり運転、昔は「交通トラブル」と呼んだ。
 刑事裁判の法廷へもぽつぽつ出てきた。私はだいぶ傍聴した。

 2019年8月、どんなのを傍聴したっけ、超絶マニアックデータに当たり、少し拾ってみたんだね。
 それを列挙したものを、いま発見した。

 せっかくなので、以下に載せよう。
 【 】内の数字は、エクセルの表の、行の頭の番号だ。「××号」とあるのは、メルマガのことだ。

 

危険運転致死【789】 交通トラブルから猛スピードで幅寄せし、自二を信号柱に激突死させた。 →懲役4年6月

暴行【1655】 酔って交通トラブル。車を傘で叩き、運転手を殴った。糖尿病で生活保護。 →罰金20万円

傷害【2134】 交通トラブルで80歳が18歳を殴って鼻骨骨折。結核でマスク配布。 →罰金50万円

傷害【2252】 自転車を運転中、車に抜かれたからと口論、激烈暴行。父親が220万円で示談。 →懲役1年2月 →原判決破棄懲役2年、猶予4年

傷害【2986】 トレーラーを運転中、ミラーがこすったと相手車を停め暴行。相手が対向車線へ倒れて対向車にはね飛ばされ。原審懲役2年 →控訴棄却

傷害【3085】 タクシー同士の交通トラブル、殴ってない、当たっただけだ。 →不明

傷害【3308】 突かれて転倒した被害者(62歳)は高次脳機能障害のおそれ。向かってきたので払ったら勝手に転倒したと否認。 →不明

道交法違反【3452】 酔って右折時の交通トラブル、仲裁の警察官に酒気帯びが発覚。しかし被告人は運転してない、バイクを押していたと。 →罰金40万円

自動車運転過失致死傷【3500】 深夜、高速バスの前に回り込んで走行車線上に停め、そのバスに激突したトラック運転手が死亡。 →懲役1年4月 →控訴棄却 ※1989号

暴行【3528】 バイクを運転中、被害者の車に追い抜かれたからと停め、路上で肩付近を突いた。 →罰金10万円 →控訴棄却

殺人未遂【3529】 交通トラブル。相手をボンネットに乗せ走行、振り落として加療2カ月の骨折等。 →懲役7年 →控訴棄却

傷害致死【3572】 自転車で通行中、被害者から蹴られ、絞め殺した。原判決後2000万円を準備したのに。 →懲役4年

道交法違反、傷害【4047】 飲酒してバイクを運転。タクシーの急ブレーキに、同様の急ブレーキで死んだ親友を思い出し、苛烈な暴行! →懲役1年6月、猶予4年

暴行【4069】 普通車でバイクに追突。モメて首付近を殴った、殴ってない。 →不明

傷害【4091】 深夜、ぎりぎり信号無視をしたらバイクのライダーが因縁を付けケンカに。ライダーは殊更「殺される、助けてぇ!」と叫び。 →不明

傷害【4110】 飲酒して自転車で帰宅途中、交通トラブルで相手車両の窓ガラスを割り、腹に膝蹴り。 →罰金10万円

傷害【4123】 原付2人乗りでノロノロ蛇行するのに腹を立て、1人の足を轢き、1人を約300m引きずった。示談金210万円! 懲役2年6月、猶予3年

傷害【4186】 前科6犯。2003年の渋谷通り魔男。バイクと自転車の交通トラブル、サインペンで顔を突き刺し。 →懲役1年2月 ※1006号

傷害【4378】 元タクシー運転手。禁煙場所での同僚の喫煙を注意してケンカ。タクシー乗務中、交通トラブルでケンカ。 →罰金50万円 →控訴棄却

暴力行為【4877】 交通トラブル、進路を塞いで殴りに来た相手にのこぎりを振り上げた? 完全否認。年寄り。 →懲役10月、猶予3年

暴行【5576】 短気で職を転々、トラック運転手のときJRバスと交通トラブル。略式の罰金20万円高いからと。 →罰金15万円

暴行、道交法違反【5613】 奈良地裁、免許停止中に無免許運転し、原付バイクと交通トラブル。 →罰金50万円 ※1531号

傷害、器物損壊【5826】 交通トラブル、ドラミラーを蹴り壊し、急発進して振り落とし。 →懲役1年、猶予3年

道交法違反(追い越し方法)、暴行【6286】 交通トラブルで幅寄せ。追越違反と暴行で起訴され否認! →不明

暴行【7421】 クラクションは違法、タクシー運転者も悪いからと。 →原判決(罰金10万円)を破棄、罰金5万円に!

暴行【7422】 略式経由、クラクションを鳴らしたタクシーに腹を立て、謝罪させ引きずりだそうと。 →罰金10万円

暴行【7479】 交通トラブル、食いつき野郎に抵抗して逆に捕まったか? →罰金20万円

傷害致死【7942】 交通トラブル、逃げようとして相手(46歳)が死亡。懲役5年6月! →控訴棄却(原審求刑8年)

傷害(認定罪名 傷害、暴行)【7959】 暴走族を徹底矯正する50歳オヤジ。路上で、成人式で。 → 原判決(懲役8月、猶予3年)破棄、懲役6月、猶予3年、一部無罪! ※2131号

窃盗【8269】 19歳のとき交通トラブルの相手から脅されて特殊詐欺の受け子をくり返し、実刑。 →原判決(懲役2年6月)破棄、懲役2年

過失運転致傷、道交法(ひき逃げ)、道路運送法、車両法【8233】 2015年、タクシー運転手時代に交通トラブルで執行猶予あり。ナンバーを偽造した白タクで事故って逃げた。

傷害【8371】 自転車トラブル。生活保護、うつ病。 →罰金40万円 ※2280号

暴行【8383】 元国交官僚、新潟へ出張。酒を飲み荒くれと交通トラブル。 →罰金20万円 →控訴棄却 ※2294号

 

 だいぶ時間がかかったろうに、なぜ抜き出した?
 【3500】で「1989号」の事件は、そういえば「ビートたけしのTVタックル」という番組のスタジオで話した記憶がある。
 そういえば、皆さん面白くしゃべるなあ、さすがだなあ、とぼんやりしてたら阿川佐和子さんから「今井さん」とふられ、話したんだ。
 その関係で、あらかじめ頑張って抜き出した、のかもれない。

 

 超絶マニアックデータは現在、約1万1400件だ。
 最近は、電動キックボードと電動アシスト自転車との交通トラブルなんてあった。

 世の中には、カッとなって暴力的な言動をする者が一定数いる。
 「馬鹿な奴だなあ、いずれ痛い目をみるでしょ」とスルーせず「ナンダこの野郎」と応じて、、、その一部が刑事裁判の法廷へ出てくるわけだ。

 交通事故や交通取締りのためにもドライブレコーダー、必須と思いますよ。

 

2025年5月 9日 (金)

サイクルトレーラーの事故に遭遇!

 締切り原稿と裁判所通いで超忙しくしておりまして💦

 最近傍聴したのを少し。

 

詐欺、強要、不同意性交等、道路交通法違反、犯人隠避教唆、恐喝」、東京地裁、新件、合議。

 2026年~2019年、こと名暁千琥」の「詐欺」の裁判が東京地裁であった。その人物の再犯である。
 人定質問で職業を「経営コンサルタント」と称した。身柄、拘置所。

裁判長 「今後は東京地裁で…いろんなとこにかかっている事件を…従前…福岡地裁で審理していた…第1回公判…7月29日付けと、8月9日付け、起訴…認否…間違いありませんと…改めてききたい…変えておきたいこと…」
被告人 「ないです」
裁判長 「それでは引き続き…」

 ここで弁護人が発言し、おやおや?な展開になった。
 今いる弁護人は国選だが、被告人は私選弁護人と契約したと言い…。

被告人 「今年1月15日に契約したので…1月末には印紙…契約書を交わして…」

 ところが、その私選と連絡がとれなくなってしまったという。
 どうもおかしなことをいろいろやっているのか、5人の弁護人の姓が出た。が、1月末に契約書を交わしたという弁護人の名は、記録に綴じられていないという。
 弁護人のことをはっきりさせてから起訴状朗読からやりましょう、ということで12分間で閉廷。 

 一般論として、世の中には、嘘をつくとかじゃなく、存在全部が嘘の中にある、とでもいうようなケースがあるやに思われる。もしや本件もその方面か?
 「道路交通法違反、犯人隠避教唆」があるので、これは追っかけようと思う。

 

監護者性交等、児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反」、東京高裁、判決。

 被告人(身柄、拘置所)は、じつに独特な容貌、容姿の、見た感じ50歳ぐらいの男性だ。
 控訴棄却当審未決50日算入。原判決は懲役9年、その未決算入は不明。量刑不当の主張。

 遅くとも養女が小学5年生の頃から、性的行為をくり返し、本件は14歳から15歳にかけての、性交5件、児童ポルノ作成3件。
 「誰かに報せれば自分は死ぬ」「離婚になる」と養女を黙らせたのだそうだ。
 本件に救いがあるとすれば、実父でないことか。鬼畜な養父、実父が次々に法廷へ出てくる。暗数は数千、数万か!

 

過失傷害」、東京簡裁、新件。

 この時刻これを傍聴するのをころっと忘れ、別の法廷をうろうろ。あっと気付き26分ほど過ぎて入った。
 甲号証の要旨告知をやっているところだった。

 また犬の咬み付きか? 違った! なんと、歩道上での、サイクルトレーラー(被告人)と自転車(被害者)との事故だった。そんなの初めてだ!

 弁護人は刑事裁判が得意と思しき2人(男女)。証人を何人も呼ぶことになるらしい。追っかけさせてもらいます!

 

麻薬及び向精神薬取締法違反」、東京地裁、判決。

 被告人は非身柄。私の表現では「わっかい可愛い娘ちゃん」。
 2021年に、某有名芸能人の交際相手がコカインで逮捕と報道あり。いっしょに逮捕され、相被告人となり、ともに懲役1年6月、執行猶予3年とされた、のが本件被告人なのだ。

 その猶予は明けている。本件は自首が成立するという。ならば執行猶予かな。いや…。

裁判官 「主文。被告人を懲役1年2月に処する。主文は以上です」

 大伴慎吾裁判官である。しらっとこういう判決をしそうに見える裁判官ではある。
 いや、再度の執行猶予とするには、刑訴法の定めにより、主刑を1年まで下げねばならない。そこまでは…?

 なんにしても、被告人は深く後悔したろう、嗚呼、自首なんてするんじゃなかった!

 

道路交通法違反」、東京地裁、新件。

 被告人は非身柄、75歳。脳の機能が一定程度停止してるんじゃなく、刑事司法、官僚司法とかみ合う回路が脳内にないんでは? と思えた。ある意味、健全かも。

 同種前科3犯、それを検察官はこう述べた。

 昭和59年7月20日、懲役6月執行猶予4年
 平成29年12月29日、略式で罰金30万円
 令和5年3月29日、略式で罰金30万円

 昭和、平成、令和、この検察官、馬鹿だろ! 間に何年あったか、早見表で調べろってかぃ!

 いやいや、検察官個人を責められない。極右カルトというべき団体が、草の根運動を展開して自民党を動かして元号法を制定させ、公務員は元号の呪縛から逃れられなくなったらしい、私はそう理解している。
 統一教会の選挙支援を得にくくなった自民党は、その極右カルトにだいぶすり寄ってるように、私には見える。

 政治的なことを書くな? いやぁ、私も70歳、ちらっと書くのも社会的責任かなと。ごめんね~💦

2025年5月 5日 (月)

統一教会のご婦人と裁判所前で立ち話

 東京は霞が関の裁判所前、の歩道で時々、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」(※)の信者たちが街宣をやってる。

 ※印の名称は、もらったチラシ(発行:信教と自由と人権を護る宗教者連絡会)より。

 

 信者のご婦人と、ちょい立花氏もとい立ち話をした。
 完全に洗脳されきってるなあ! と、ある意味感動した。

 洗脳されきってる信者に、路上であれこれ説いても全く無意味だ。統合失調症の病者の方に説くより遥かに無意味だと思う。
 なので、へえ、ほぅ、といろいろ話を聞いた。

 勝共連合は、共産主義に勝つんじゃなくて、共産主義に勝る(まさる)んです、と。へえ~。

 

 レイシストなんかもそうだと思う。


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 あれは、こじれた劣等感みたいなところから自然に湧いてくるものであり、正当性を主張するにはデマにすがるしかない。
 「これこれの事実から、それはデマですよ」といくら説いても無意味だ。

 デマに酔う/哀しきさだめの/レイシスト

 ただ、デマを誤って信じ込む人がなるべく出ないよう、非レイシストへ向け「それはデマです」との説明を掲げておくことは大事と思う。

 

 もしもレイシストと立ち話とかするときは、とりあえず、へえ、ほう、と話を聞くのが良いんじゃないか。デマに取り込まれちゃっては困るんだけど💦

 また、たとえばトランプ大統領。
 「日本でアメリカの車1台も走ってない」と言ったとか。
 これに対し、「そんなことはないです。走ってます」と事実を説いても無駄だ。

「日本でアメ車は1台も走っていない、そうおっしゃいましたね。米国大統領がご存知のことを私は知らなかった。なんたる不明! 知らずに関税交渉に臨んでいたとは、恥辱の極み! 責任を取るには切腹しかございません。ただ、腹を切る前に、本当にアメ車が1台も走っていないか、確認したく存じます。確認できましたならば、必ずや、古来の作法にのっとり切腹して果てまする!」

 こう述べて、全世界に報道してもらう。日本の人気、爆上がり! だめっすか?

 

 トランプといえば、5月4日付け日経新聞2面に「直言 Think with NIKKEI ソフトパワー失う米国 ジョセフ・ナイ ハーバード大名誉教授」と大きな記事が。
 こんな部分がある。

 彼の著書『ジ・アート・オブ・ザ・ディール(交渉の技)』では、相手を混乱させ、予測不能さを保つことの重要性を強調している。

 

 なるほど。
 日本の日々のニュースで「アメリカのトランプ大統領は…」と毎度やってるけど、あれはトランプが望むがままの垂れ流し広報、といえるんではないか。

 ま、そんなことで。

2025年5月 2日 (金)

侮辱罪、9千円から20万円へ厳罰化!

 5月1日(木)東京地裁で、いずれも11時から2件、こんな審理の期日があった。

 → 532号法廷(20席)「傷害」。司法書士事務所で働きつつ両親に苛烈な暴力。父親はギャンブル依存か。
 → 713号法廷(52席)「営利略取、傷害」。「闇バイト、バールで殴ってホストをさらえ」の事件。

 ※ここで先に言っておく、これらの次回期日とかご存知の方、お教えください~。

 

 11時からの2件、両方とも気になる。是非傍聴したい。でも体はひとつ。どうする。

 713号のほうは論告弁論だ。数分で終わる可能性が高い。
 よし、まず713号へ行き、それから532号へ行こう。532号の傍聴席は20席だが、被告人は男性であり事件名に「性交」や「わいせつ」の文字がない。ガラガラだろう。

 

 完璧な計画を立て、早めに裁判所へ。まずは1階のタブレット開廷表を見てみた。

 どっかーん! 同じ11時から簡裁728号(20席)に「侮辱」の新件が!
 「侮辱」は非常に珍しい。どど、どうするっ?
 私の脳内コンピュータ(960MB。笑)は忙しく動き…。

 

 「侮辱」の新件。阿曽山大噴火さんも来て、始まる時点で傍聴人は、主にマニア諸氏が11人(私も含め)。

 被告人は非身柄、65歳、もっと老けて見える。
 前科なし。日本を牛耳る某お役所の、元職員。離婚して単身だという。

 都内の某大規模店で、欲しい商品の場所が見つからず、女性店員に声をかけた。
 ところがその女性は店員ではなかった。女性の調書はこうだ。

調書 「背後で男の人が何かしゃべっていた…よく聴き取れない…あまり関わりたくない…突然、オイと…振り向くと…お前だよ、態度悪いと…再度背を向け…お前だよお前…不愉快…(被告人から肩に触れられ)…触らないでください…お前…態度悪いよ、ブス、などと」

 女性はスマホで動画撮影した。被告人は撮影に気付かず、言い放題言ったようだ。
 「ブスは黙ってろ」「白粉(おしろい)持ってきてやろうか、小麦粉でいいか、お化粧落としたら見れない顔だな」「しっかしあんたほんとブスだ」「(侮辱されて)ダメージ受ける顔じゃない」「ドブス」などと。

 

 ここで、我が軍の超絶マニアックデータを見てみよう。

 私は以前、「侮辱」のみの事件を2件傍聴した。
 1件は、女性駅員に「ブス、でぶ、豚、キモイ、口臭えよ」などと言った事件。判決は科料9千円だった。
 もう1件は、区役所前での演説がうるさいと、何だっけ、何か侮辱をぶつけた事件だった。判決は科料9千円。

 当時の「侮辱」(刑法第231条)の法定刑は「拘留又は科料」だった。
 科料は「1万円未満」(刑法第17条)であり、だから9千円なのね。

 

 2022年7月7日、改正刑法が施行され「1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」になった。
 その後、「侮辱」を含む罪名の裁判は3件だったか傍聴した。が、「侮辱」のみの裁判は今回のこれが初めてだ。

 本件は、簡裁の法廷へ出てくるからには罰金刑なのだろう。金額相場を知ることができる。知りたい!

 

 弁護人は防犯カメラの録画を証拠請求し、検察官が同意し、長々と再生することになった。
 裁判的には無意味と思えるが、弁護人は刑事裁判に慣れないのか、ほんのちょっとしか早送りせず、長々と再生させた。
 これが早く終われば532号へ行こうと思っていた私は、勘弁してよって感じ。

 そして被告人質問。
 被告人は、反省は述べるものの、述べるたんびに「ただし」と付け加えるのだった。ただし、店員じゃないならはっきりそういえばいいのにオンナも悪い、と。

 検察官は、東京簡裁の立会(りっかい)としては珍しく若い人で、無意味な(と私には思える)反対質問を長々とやった。
 そうして、普通は弁護人が言うことを言った。

検察官 「最後にこの事件、ふり返って思うこと、裁判官の前で…」

被告人 「…ただし、私が全部悪いんじゃない。彼女にも非がある…」

 

 11時58分、ようやく論告。

検察官 「…令和4年(2022年)7月7日に法定刑が引き上げられた経緯も踏まえ…」

 求刑は罰金20万円だった。ほ~。それを私は知りたかったのだ。

 弁護人は4分間も最終弁論をやり、最後に言った。

弁護人 「…科料9千円が相当と…」

 

 12時05分閉廷。13時15分に判決を言い渡すこととなった。
 そう、こんなの即日判決の、というか本来は略式で処理する事件なのである。「彼女にも非がある」と被告人があくまで言い張り続けるから、公判請求(正式な裁判への起訴)になったのだろう。
 弁護人と検察官が無意味な(と私には思える)被告人質問を長々やらなければ、12時前に判決も終わったに違いない。

 判決を私は傍聴しなかった。求刑どおり罰金20万円、換刑1日5千円、訴費不負担、かな。

 

 ともあれ、偉ぶる魂、見下し主義で「ブス」とか連発したがる諸君、「侮辱」は9千円ではなく20万円が相場のようですぞ。この際ちょっと考え直してみては…。
 いや、偉ぶり見下すのは、いわば魂の奥底から出てくるものであって、考え直しなんぞの対象ではないのかも。ま、そういうことってありますよね。

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