侮辱罪、9千円から20万円へ厳罰化!
5月1日(木)東京地裁で、いずれも11時から2件、こんな審理の期日があった。
→ 532号法廷(20席)「傷害」。司法書士事務所で働きつつ両親に苛烈な暴力。父親はギャンブル依存か。
→ 713号法廷(52席)「営利略取、傷害」。「闇バイト、バールで殴ってホストをさらえ」の事件。
※ここで先に言っておく、これらの次回期日とかご存知の方、お教えください~。
11時からの2件、両方とも気になる。是非傍聴したい。でも体はひとつ。どうする。
713号のほうは論告弁論だ。数分で終わる可能性が高い。
よし、まず713号へ行き、それから532号へ行こう。532号の傍聴席は20席だが、被告人は男性であり事件名に「性交」や「わいせつ」の文字がない。ガラガラだろう。
完璧な計画を立て、早めに裁判所へ。まずは1階のタブレット開廷表を見てみた。
どっかーん! 同じ11時から簡裁728号(20席)に「侮辱」の新件が!
「侮辱」は非常に珍しい。どど、どうするっ?
私の脳内コンピュータ(960MB。笑)は忙しく動き…。
「侮辱」の新件。阿曽山大噴火さんも来て、始まる時点で傍聴人は、主にマニア諸氏が11人(私も含め)。
被告人は非身柄、65歳、もっと老けて見える。
前科なし。日本を牛耳る某お役所の、元職員。離婚して単身だという。
都内の某大規模店で、欲しい商品の場所が見つからず、女性店員に声をかけた。
ところがその女性は店員ではなかった。女性の調書はこうだ。
調書 「背後で男の人が何かしゃべっていた…よく聴き取れない…あまり関わりたくない…突然、オイと…振り向くと…お前だよ、態度悪いと…再度背を向け…お前だよお前…不愉快…(被告人から肩に触れられ)…触らないでください…お前…態度悪いよ、ブス、などと」
女性はスマホで動画撮影した。被告人は撮影に気付かず、言い放題言ったようだ。
「ブスは黙ってろ」「白粉(おしろい)持ってきてやろうか、小麦粉でいいか、お化粧落としたら見れない顔だな」「しっかしあんたほんとブスだ」「(侮辱されて)ダメージ受ける顔じゃない」「ドブス」などと。
ここで、我が軍の超絶マニアックデータを見てみよう。
私は以前、「侮辱」のみの事件を2件傍聴した。
1件は、女性駅員に「ブス、でぶ、豚、キモイ、口臭えよ」などと言った事件。判決は科料9千円だった。
もう1件は、区役所前での演説がうるさいと、何だっけ、何か侮辱をぶつけた事件だった。判決は科料9千円。
当時の「侮辱」(刑法第231条)の法定刑は「拘留又は科料」だった。
科料は「1万円未満」(刑法第17条)であり、だから9千円なのね。
2022年7月7日、改正刑法が施行され「1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」になった。
その後、「侮辱」を含む罪名の裁判は3件だったか傍聴した。が、「侮辱」のみの裁判は今回のこれが初めてだ。
本件は、簡裁の法廷へ出てくるからには罰金刑なのだろう。金額相場を知ることができる。知りたい!
弁護人は防犯カメラの録画を証拠請求し、検察官が同意し、長々と再生することになった。
裁判的には無意味と思えるが、弁護人は刑事裁判に慣れないのか、ほんのちょっとしか早送りせず、長々と再生させた。
これが早く終われば532号へ行こうと思っていた私は、勘弁してよって感じ。
そして被告人質問。
被告人は、反省は述べるものの、述べるたんびに「ただし」と付け加えるのだった。ただし、店員じゃないならはっきりそういえばいいのにオンナも悪い、と。
検察官は、東京簡裁の立会(りっかい)としては珍しく若い人で、無意味な(と私には思える)反対質問を長々とやった。
そうして、普通は弁護人が言うことを言った。
検察官 「最後にこの事件、ふり返って思うこと、裁判官の前で…」
被告人 「…ただし、私が全部悪いんじゃない。彼女にも非がある…」
11時58分、ようやく論告。
検察官 「…令和4年(2022年)7月7日に法定刑が引き上げられた経緯も踏まえ…」
求刑は罰金20万円だった。ほ~。それを私は知りたかったのだ。
弁護人は4分間も最終弁論をやり、最後に言った。
弁護人 「…科料9千円が相当と…」
12時05分閉廷。13時15分に判決を言い渡すこととなった。
そう、こんなの即日判決の、というか本来は略式で処理する事件なのである。「彼女にも非がある」と被告人があくまで言い張り続けるから、公判請求(正式な裁判への起訴)になったのだろう。
弁護人と検察官が無意味な(と私には思える)被告人質問を長々やらなければ、12時前に判決も終わったに違いない。
判決を私は傍聴しなかった。求刑どおり罰金20万円、換刑1日5千円、訴費不負担、かな。
ともあれ、偉ぶる魂、見下し主義で「ブス」とか連発したがる諸君、「侮辱」は9千円ではなく20万円が相場のようですぞ。この際ちょっと考え直してみては…。
いや、偉ぶり見下すのは、いわば魂の奥底から出てくるものであって、考え直しなんぞの対象ではないのかも。ま、そういうことってありますよね。
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