新宿署留置場における暴虐事件
報道を見て「あっ、それ傍聴したよ」となることが多い。今回のこれもだ。
6月11日、朝日新聞が「留置場で手足拘束したまま排尿、排便後に手で拭かせる 都に賠償命令」と報じた。
記事の冒頭はこうだ。
警視庁新宿署の留置場に収容された20代男性が、手足を拘束された状態で排尿させられるなど非人道的な扱いを受けたとして、東京都に損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、東京地裁であった。篠田賢治裁判長は「合理的な理由なく男性の品位と尊厳を著しく傷つけた」として、都に33万円の賠償金を支払うよう命じた。
どこから話そう。時系列に沿うなら、始まりは2023年2月だ。
その日、東京地裁で「強盗致傷、詐欺未遂、窃盗」(裁判員裁判)の判決を傍聴した。
新宿歌舞伎町で、「朝ホス」というのか朝のホストクラブへ行く30代女性を襲ったと、2022年に報道された事件だ。
その逮捕報道では被疑者は、住所不定、無職、21歳だった。
起訴され法廷に現れた被告人(身柄、拘置所)について、私は文字でこうスケッチした、「えっ、格好いい男じゃーん。真っ黒たっぷりヘア。目は優しげ」。
30代女性に対する強盗致傷と、特殊詐欺(のうちオレオレ)などで…。
裁判長 「主文、被告人を懲役5年に処する。未決購入日数中200日をその刑に算入する」
そして2024年10月、東京地裁の民事の開廷表に「国家賠償請求事件」(国賠法による民事訴訟。本件の被告は東京都)の、弁論(証人尋問)の期日を見つけた。
原告の氏名にうっすら見覚えがあり、直ちにスマホ検索、「あの事件の被告人か!」となり傍聴した、ように記憶する。 ※刑事は検察官vs被告人、民事は原告vs被告。
13時15分~16時30分の期日だ。まずは証人2人の宣誓から始まった。
上背はそうないが横に巨体で短い坊主刈りの男性と、メガネのスリム男性、2人ともスーツにネクタイ。
2人並んでの宣誓は、宣誓書を同時に読み上げるのが一般的(これまで私が見てきた範囲では)だが、本件では1人ずつ読み上げた。ほぅ。
巨体男性のほうは、ハンカチで汗を拭きふき、呼吸が苦しそう。「体調不良」ということで、こっちから尋問することになった。
被告指定代理人 「令和4年(2022年)…留置業務…」
証人 「11年ほど」
ええっ? と私は思った。11年間も?
被告指定代理人 「留意していることは」
証人 「逃走防止…自殺させない…留置場の秩序、平穏を守ること…」
被告指定代理人 「戒具の使用は」
証人 「毎月、各4係…使用訓練を実施…」
私は、ほかにどうしても傍聴したい刑事裁判があり、14時23分に出た。14時56分に戻り、15時52分、また出て、今度は戻らなかった。
傍聴ノートはB5サイズでぎっしり16ページにわたる。
トラブルが起こったときはビデオカメラで撮影することなっており、本件でも撮影したと言うのだが、原告が暴れている(と被告は主張する)場面だけが、上手い具合にというか、スイッチの調子が悪かったりして、録画されていないのだった。なるほど~。
そうして2025年6月11日、その訴訟の判決が出たわけだ。
当時の傍聴ノートに、証人の氏名がある。漢字は不明だ。いま、警視庁新宿警察署とそのカナ氏名でネット検索してみた。
新宿署の留置場がらみの、別の事件がヒットした。取り急ぎそこまで。
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