東京高裁の辻川靖夫裁判長、珍しいことを!
7月2日、11時40分、東京高裁の2つの法廷で、こんなのがあった。
1件は「住居侵入、窃盗」の控訴審判決。
1件は「無免許過失運転致死、道路交通法違反、詐欺、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反」の控訴審第1回。
控訴審の判決は、もちろん裁判長のキャラにもよるけれども、けっこう詳しく中身が分かることがある。
控訴審の第1回は、控訴趣意書等の提出を確認して2、3分で終わることが多い。せいぜい原判決後の情状に限って数分、被告人質問をやる程度だ。
普通は判決のほうを傍聴するよね。
だが、今日の第1回のほう、私は一審・東京地裁の判決を傍聴していた。1月16日の当ブログにこう書いた。
バーを開店する、出資すれば毎月20万円支払うと騙し、合計800万円を詐取。無免許運転をくり返し、路上横臥者を礫過、血が流れているのを見ながら逃走。横臥者は多臓器損傷で死亡。
懲役5年、罰金50万円(換刑1日5千円)、懲役刑につき未決320日算入、犯罪被害財産の回復で350万円追徴。
そんな中身より先に、被告人の容貌、容姿を私は強烈に思い出した。獰猛な動物のよう、というか…。
なので第1回のほうの控訴審を傍聴した。
弁護人は、だいぶ前からよく見かけるスリムなお年寄りだ。国選弁護人をよくやってる。
開廷前、弁護人が書記官に小声で何か話しかけた。「この部の裁判長はいつもあんなことをするの?」みたいなことを。
裁判長は辻川靖夫裁判官だ、あんなこと? なんだっけ。
昨年の終わり頃からか、私は辻川裁判長の裁判をけっこう傍聴してきた。でも、特に思い当たらない…。
間もなく被告人(身柄拘置所)が入廷、裁判官3人が登壇して開廷。
普通、控訴趣意書の提出を確認、控訴の理由は量刑不当とか確認し、検察官の意見を求め…というふうに進行する。
ところが辻川裁判長は、いきなり弁護人に対し言った。
裁判長 「弁護人、弁論をどうぞ」
弁護人は、組織犯罪処罰法について事実誤認と、量刑不当の主張でありその理由はこれこれと述べた。
ええーっ。傍聴マニアになって23年、そんなやり方、初めて見るよっ。良いと思います。
そうして気付いた、あそうか! いつも判決を私は傍聴してたから、知らなかったんだねえ。
続いて被告人質問。検察官は、原判決後の情状に限って応じており…。
裁判長 「(弁護人からの請求は)8分となってますが、原判決後の事情に限って5分ほどで…」
これに対し、弁護人が述べた。
弁護人 「5分…裁判長から…制限…不当と思います」
裁判長 「そういうこと言ってる時間、もったいないですから…」
あらら~!
弁護人は、一般的なことを少し尋ね、被告人はきっぱりパキパキ答え、終わった。
終えてから、さっきの5分のことで文句を言い始めた。
弁護人 「5分に限定…」
裁判長 「5分ほどと申し上げました」
弁護人 「…言いますけどね、一般論…」
裁判長 「一般論はけっこうです…ですから5分ほどと…いま(の被告人質問は)3分…あなた、それ(5分ほど)を使わなかったんですよ」
裁判長は検察官に対し、反対質問があるか尋ねた。
検察官 「いえ、特にございません」
私はねえ、こういう珍しいシーンに裁判傍聴の醍醐味を覚えるのだ。裏街道、はぐれ旅、である、ふふ。
帰宅後、超絶マニアックデータを見て気付いた、同じ11時40分からの「住居侵入、窃盗」の控訴審判決、あの被告人と同姓同名の侵入窃盗を3事件、私は過去にメモっていた。
うち2事件をちらっと傍聴していた。
データの尾行欄に「ホストらしい。お客の女といっしょに何かを盗んだ?」(2012年4月)、「尖った外人顔のヤンキー」(2016年10月)とある。
今回、そっちも傍聴したかったなあ、と言ってちゃきりがないのだ。手の指の間から、たくさんのものがさらさらとこぼれ落ちていく、それが人生だと、私は裁判傍聴から学んだ、うむ。
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