飲酒運転、メディア報道にコメントしてみる
交通違反マニアで裁判傍聴マニアの私めから少し解説、コメントしてみます。
「「被害者や放送局に迷惑かけた」。知人手配のタクシーに乗らず飲酒運転、トラックと衝突――元フリーアナウンサーの女(43)に執行猶予判決 鹿児島地裁 」と10月17日付け南日本新聞。こうだ。
酒気を帯びてトラックに衝突する物損事故を起こしたとして、道交法違反(酒気帯び運転)の罪に問われた、東京都渋谷区、元フリーアナウンサーの会社員女被告(43)の裁判で、鹿児島地裁は17日、懲役8月、執行猶予3年(求刑懲役8月)の判決を言い渡した。この日が初公判で、即日判決となった。
検察は冒頭陳述で、「知人宅でワインボトル1本、焼酎を1、2杯飲んだ。知人が手配したタクシーに乗らず、近くに止めていた車を運転した」と述べた。被告は起訴内容を認め、被告人質問で「被害者に、お世話になった放送局に迷惑をかけた」と謝罪した。
検察は論告で「運転に緊急性はなく、危険かつ悪質」と指摘。弁護側は「前科もなく反省しており、社会的制裁も受けた」として寛大な判決を求めた。
判決によると、2月27日午後11時ごろ、鹿児島市下荒田2丁目の市道で、基準値の0.15ミリグラムを超える酒気を帯び、乗用車を運転した。
「元フリーアナウンサー会社員女被告」とある。
【元フリー】 特定の放送局の社員ではないので「フリー」。どこかの事務所に所属していたが、そこを辞めたので「元フリー」、つーことなんだろうか。
【女】 被害者や一般人は「女性」、加害者や被疑者、被告人は「女」、使い分けるのが記者クラブメディアのルールらしい。
【被告】 刑事は「検察官vs被告人」、民事は「原告vs被告」のところ、記者クラブメディアは刑事裁判の被告人を徹底的に「被告」と報じる。長年にわたり続けてきたせいか、週刊誌等も「被告」と書く。なんとびっくり、被告人を「被告」と呼ぶ刑事裁判官もたまにいる。私は被告人を「被告人」と書く、徹底的に(笑)。
【懲役8月】 これに私はおどろいた。実際の言い渡しはこうだったはず。
裁判官 「主文。被告人を懲役8月(はちげつ)に処する。この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する」
「8月」は刑の重さ。「8カ月」は長さをあらわす。懲役1年というが、懲役1ヶ年とはいわない。私はそう理解している。懲役5月は「ごげつ」、懲役1年6月は「いちねんろくげつ」だ。
ところが記者クラブメディアは、「8カ月」と報じるのがお約束だ。メディア報道に親しみ過ぎたか「懲役8カ月」と言い渡す裁判官もたまにいる。
ああそれなのにそれなのに、南日本新聞の今回の記事は「8月」、おお~、非常に珍しいぞ!
【即日判決】 結審して直ちに判決は、道交法違反のような謂わば定型的な事件では珍しくない。
【懲役8月】 飲酒運転は、酒気帯びか酒酔いか、物損事故ありか、前科はどうか、によって懲役(犯行日が2025年6月1日以降は拘禁刑)6月から1年ぐらいが多いかな。
【執行猶予3年】 普通だ。初犯の速度違反は執行猶予2年が今や一般的といえる。
【基準値の0.15ミリグラムを超える酒気を帯び】 以上ってどんだけだよと、もどかしく感じる方もおいでだろうけど、呼気1ℓ当たりのアルコール0.15mg以上が刑罰の対象なので、そう書くのだ。
アルコールは危険な合法薬物。飲酒運転に限らず、傷害、器物損壊、威力業務妨害等々、アルコールで脳の前頭葉のどこかが一時的に壊れ、とんでもないことをやらかして仕事をしくじる、自他の生命、健康に取り返しのつかないダメージを与える、そんなケースが刑事裁判の法廷へ続々と出てくる。
アルコールは危険な合法薬物だってこと、せめて成人式で、がつんと周知させたらいいのに、と思う。
アルコール12%、ちびちびと噛んで飲む、この2本セットは最高、安い! どぶろくはお肌に健康に良いそうだ。
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