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2025年12月22日 (月)

刑務所志願の達人に、司法は無力なり!

 調べに対して容疑者は「逮捕されて刑務所に行きたかった」などと供述している、てな報道を見かけるでしょ。
 被告人氏名でスマホ検索したら、ずばりそういうのがヒット。傍聴してみた、東京地裁で「銃砲刀剣類所持等取締法違反」の新件を。

 

 被告人は身柄(拘置所)、濃い白髪の67歳。被告人席でなんか手と膝を動かし、口元を尖らせ、ふてくされぇな、居直ってるぅな感じだ。

 いかにもわっかい(若いの感嘆表現)検察官が堂々と起訴状を読み上げた。
 東京は原宿、竹下口交差点に近いコンビニで、刃体長6.3cmのカッターナイフを携帯したものであるっ。

 累犯2犯を含む前科4犯。累犯とは要するに、刑の終了(仮釈放は関係ない)から今回の犯行までに5年間の空白がない、という意味だ。「常習累犯窃盗」の累犯とはまた違う。

 

 この事件、いやはや驚いた。
 メルマガでなら4、5時間かけて詳細にレポートしたところだが、今回ここではさわり(要点)のみとしたい。

 要するにだ、年金と生活保護で施設暮らしが嫌になり、10月15日支給の年金13万数千円を受け取るや、北海道から新幹線で上京。 ※13万数千円ってことは、ちゃんと働いていた期間がけっこうあるってことだ。

 「グルメと風俗」で使い果たし、「刑務所で金を貯めよう」と、コンビニへ行き、少ない残り金でカッターナイフを購入し、開封し、刃を出さずに店員に突きつけ「警察を呼んでください」と申し向けたんだそうだ。なにそれ、である。

 冒頭の、ヒットした報道は、16年も前のものだった。匿名掲示板の、メディア報道の転載を、まんま転載したものが、残っていたのである。被告人は同種の犯行をくり返していたのである。

 

 今回、新幹線は2万5千円ほど、函館駅までのタクシー代が3千円ほど。グルメが何を意味するか、明かされなかったが、1万2、3千円を遣ったという。
 風俗は、嬢を2人呼び、3時間半と90分、合計7万円。ラブホ代が1万4千円…。そうした金額をテキパキ答えた。

被告人 「持ってるぶんを使い切ろうと思ってましたので」

検察官 「(逮捕時の)所持金は1757円…全財産…」
被告人 「あと通帳に500円ぐらい」

 なぜ新幹線に乗ってまで東京へ。

被告人 「東京は…そういう店が多いですし、可愛い子、美人の子が…けっこう選べるので」

 ああ、この事件は、てかこの被告人は、私の長い傍聴人生でもベストテンに入るだろうインパクトだった、ゆえにちょっと書いても長くなる。強い心で短くまとめたい。

 「刑務所で金を貯めよう」とはどういうことか。そこである。

 2カ月に1回、偶数月に13万数千円が振り込まれる。刑務所では衣食住が保障され、金を遣わずに暮らせる、年金は丸々貯まっていく。100万円ほど貯めて娑婆へ戻りたい、そういうことなのだった。
 カッターナイフの刃を出さなかったのは、刑期をいわば調節するためなのだった。

 わっかい検察官も、しっかりエリートな裁判官(部総括判事)も、まったく無力と思えた。この被告人は本格の達人だ。

「あなたには参りました。現在のところ司法は無力です」

 と検察官も裁判官言ってしまえばいいのに、私は傍聴席でつくづくそう思った。
 無力さを認めない者は、いつまでも無力なまま落ちぶれる。無力さを真摯に認めてこそ未来がある。

 

 求刑は拘禁刑1年。相場的には、判決は拘禁刑8月(はちげつ)か。起訴前の勾留期間も含め、ちょうど100万ほど貯まるはず。
 もしも、もしもですよ、判決が罰金10万円、年金の通帳から差押え(自動引落し)を食らったら、被告人は「ぎゃふん!」でしょ。

 なんとしても判決を傍聴したい!

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