次はもう実刑と言われたのにまた万引き
伝説のメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代」から、心に残る裁判を少し。以下は2015年7月の第1522号「次はもう実刑と言われたのにまた万引き!」の一部である。
2014年11月4日(火)、東京簡裁534号法廷(20席、大阪高裁部総括を定年退官して簡裁判事になった松尾昭一裁判官)で「窃盗」を傍聴した。
私は傍聴ノートに絵を描かない。文字でスケッチする。本件についてはこうだ。被告人は非身柄。洒落た黒のスカートスーツ、たっぷりフリル付きのブラウス、髪はきれいなボブカットで、痩せて鼻が尖って目が大きめ…。そして率直な印象をこう書いた、整形美人。
川沿いを歩いて「風呂」へ行く途中、コンビニで石けん(ボディソープ)163円を万引きしたのだった。松尾裁判官はこう言った。
裁判官 「万引きはくり返す人が多いんです。捕まったときは、もうやらないと言うでしょ。それはウソ言ってるわけではない。ところがまたくり返してしまう…もうあなた、あとがないですよ」
求刑は懲役1年。松尾裁判官は理由なく懲役10月に下げ、執行猶予3年とした。そしてさらにこう言った。
裁判官 「あなたは盗み癖がある。ないとは言えない。今後、相当の決意がないと、またやってしまうのでは、という心配がある。1回だけは社会内で立ち直る機会を与えることにしました。次はほぼ間違いなく実刑判決になります。聞いてませんは通用しませんよ」
被告人は深く頭を下げた。
そうして2015年、また「窃盗」の被告人として、今度は東京地裁の法廷(丸山哲巳裁判官)へ出てきたんである。
7月9日、判決言渡し。私はこうスケッチした。身柄(拘置所)。濃い髪はつやがあり、適度にルーズなクリーム色のサマーセーター、おっぱいの形が良く、しかし白黒縦縞のミニスカートから伸びた足は、やけに血色が悪い。年齢は50代前半のはずなのだが、年寄りの足のよう。整形美人風。
裁判官 「主文、被告人を懲役1年に処する。未決勾留日数中20日をその刑に算入する」
夕方のスーパーでTシャツ1枚等5点、販売価格合計1万7992円を万引き。
裁判官 「同種前科…平成25年(2013年)4月、罰金50万円…平成26年(2014年)11月、懲役10月、執行猶予3年…わずか5カ月余りでまたもや…高齢の父親がいることを考慮しても…」
松尾裁判官からああ言われ、深く頭を下げたのに、またやって今度は実刑判決。前刑の猶予は取り消され、2つ併せて(続けて)服役することなる。
こうなることを見越して松尾裁判官は、求刑1年を理由なく10月に下げたのか…。
つづく。
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