もうすぐ私は神だ、間違いない!
国語辞典編纂者、飯間浩明さんの、「役に立つ文語文」という書き物が、9月1日付け日経新聞の夕刊にあった。
古典とは「古今和歌集」や「源氏物語」など昔の作品である。
文語文とは、「昔のことばで書かれた文章の大半」だそうだ。
古典は現代語訳もできるが、文語文を知らねば、古典を読めないどころか昔の文献を読めない、研究できない…。
なるほど。
そうして、こう続くのだ。
コロナ禍が拡大した時期、アマビエという妖怪が話題になりました。幕末の肥後国(今の熊本県)に出現し、こう言ったそうです。
<私ハ海中ニ住アマビヱト申者也。当年ヨリ六ヶ年之間、諸国豊作也。併病流行。早々私ヲ写シ、人々ニ見セ候得>
(京都大学付属図書館所蔵の幕末の資料による)
フリガナ(ルビ)が打たれている。住=すむ、併=しかし、候得=そうらえ、などと。
これから豊作が続くけれども、浮かれてると病気が流行るぞよ。怖い妖怪の絵を見てびびれ、日々の暮らしを戒めよ、そういうことなんだろうねえ。
じつに理に叶っているではないか。昔の人は大したもんだ。
「今の苦しみは先祖の怨念ゆえだ。偉い教祖様に献金すれば、怨念は解けるぞよ。献金の額は先祖1代につき×百万円ぢゃ。なぬ、解けない。もっと遡らねばならぬ。場合によってはデニソワ人まで」
これも、騙す者はめっちゃ儲かり、騙される者は偉大な教祖様にすがり金策に集中することで、苦しみを少し忘れられる、一石二鳥、理に叶っている。
このようにして、人間社会のことはすべて合理的に説明がつく、難しいことは何もない、との境地に私は至り始めている。もうすぐ神だ、間違いない(笑)。
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