政官財の不正を暴きまくる国会の狂犬集団!
2004年、つまり20年前、『ドライバー』(八重洲出版)の連載コラムに、突拍子もないことを書かせてもらった。
今回、ちょっと手を入れてここに。断っとくけど20年前の話だからね。
🚗 🚙 🚌
「あんたも議員になったらどうだ」
何度かそう言われたことがある。仕事柄というか、議員さんたちと接することも多く、そういう話も出てきたりするわけね。
でも、自分が実際に議員になるってのは、あまりに遠い。というか、どうも想像できなかった。ところが…。
きっかけは昨年9月。都庁へ情報公開の用事で行ったときのことだ。
ちょっと時間に余裕があった。私は議会棟へ寄り、後藤雄一さんにお会いした。
後藤さんは小さなパン店のご主人で、「行革110番」として“カラ宴会”や“カラ弁当”など税金の不正支出をこつこつ暴いてきた人だ。
その後、都議会議員に立候補し、2回目で当選したんである。
議会棟内の狭い事務所で、後藤さんは言うのだった。
「いやあ、議員になると(行政の不正を)10倍突っ込めますよ。そのぶん風当たりも強いですが、楽しいですよォ(笑)」
同年11月、衆院選があった。
社民党の東京比例区の候補者に保坂展人さんがいた。保坂さんとはNシステムのことで何度もお会いしている。
なので、雨の街頭での演説や、どこか公的施設の和室での小規模な集会などへ私は応援に行った。
見ていて、選挙ってのはたいへんだなあ、私にはとてもできんなあと思った。
結局、“2大政党”フィーバーの波に呑まれてか、保坂さんは落選。警察の広報や情報公開ではどうしても得られなかった資料を「質問趣意書」という議員の特権により簡単にゲットしてくれた北川れん子さん(兵庫県。同じく社民党)も落選した。うむむう…。
それから間もなく、唐突に思いついたのである、政官財の腐敗を鋭く突っ込んでるジャーナリストたちが政党をつくり、国会議員の立場を手に入れたらおもしろいんじゃないか。
なぜ政党か。
選挙は選挙区と比例とに分かれる。選挙区選挙では自民や民主に勝てっこない。
それなりの知名度を利用して比例(参院選の場合は全国区)で出るのがよかろう。
衆院選はよくわかんないけど、現職の議員を抱えてないと出られないとか、ややこしい規則になってるらしい。
しかし参院選(今年夏に選挙がある)のほうは公職選挙法第86条の3第1項第3号により、立候補者を10人そろえれば出られるという。だから政党なのである。
あちこち電話し、聞いてみた。
議員の歳費は月額123万7500円。税金や年金がかなり引かれるらしいが、貧乏ジャーナリストには十分に魅力的な額だ。
そのほか文書通信費などが月額100万円に、立法事務費が月額65万円。でかい! それだけの取材費を出す雑誌は滅多にないぞ。
さらにJR各社の無料パスが支給される。交通費タダで全国を取材にまわれるわけだ。
議事堂裏手の議員会館に、なんと家賃タダで事務所を持てる。
得票数によっては「政党交付金」てのももらえるらしい。ひ~!
素敵なのは、公設秘書を3人持てることだ。
政策秘書には約44万円、第一秘書には月額約41万円、第二秘書には約31万円の給料が税金から支給される。
この秘書を有能な新人ジャーナリストにすれば威力倍増だ。
しかも参議院事務局には調査室というのがあり、議員の手足となってくれるらしい。
政局がどうこうでうろうろせず、外交だの経済だのには目もくれず、ひたすら議員の特権を利用して政官財の不正を暴きまくる。暴いて雑誌にスクープを打ちまくる!
ダメ議員は辞職に、ダメ官僚は懲戒免職に、ダメ企業や天下り法人は廃業に、どんどん追い込まれる。ストップされる税金無駄遣いは数百兆円にのぼりますぞ。
党名は、可愛く駄洒落で「ジャーナリス党」。略して「ジャ党」「蛇党」。1文字なら「蛇」。
仲間のジャーナリストが不正をやれば、当然それにも食いつく。国会の狂犬集団と怖れられ、蛇なのに犬かよと笑われ…。
このアイデア、「おもしろそうじゃん。もし出るなら投票するよ」とのお声をいただいてる。
ただ、重大な問題がある。
立候補するには「供託金」が必要なんだね。参院選の比例の供託金は1人600万円。10人で6000万円、がーん!
ジャーナリストの小林道雄さん(講談社『日本警察崩壊』など)はこう笑っていた。
「ジャーナリストに必要な能力は、霞を食って生きられることだよ」
6000万円、「ジャ党」は非現実の夢物語か。
※追記: そういえば1992年に、私は参院選挙の説明会へ行った、というか紛れ込んだことがある(笑)。そのレポートはこちら。
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