2008年7月19日 (土)

拾った杖を使いブラジャーとショーツを

7月18日(金)その2

 14時00分から東京簡裁・刑事2室3係(田中芳和裁判官)728号法廷で、「刑の執行猶予言渡取消」の新件。
 この罪名の裁判は、過去に2回、傍聴したことがある。保護観察付き執行猶予の期間中に強盗とかをやったケースと、痴漢で保護観察付き執行猶予の判決を受けて2カ月後にまた痴漢をやったケースだった。
 この罪名の裁判は、かなり珍しいほうだけど、その後もときどきあり、しかし私はその後は傍聴しておらず、久しぶりに、と来たのだ。

 立会検察官は、さっきまでの普通の事件(最後のは窃盗で、被告人は21歳。事件記録符号は「ろ」)の日下部敏さんから、遠藤薫さんに交代した。その事件記録符号は「る」。遠藤さんは、以前からときどき東京簡裁の立会をやってる。
 遠藤検察官の隣に、硬そうな白髪混じりの、見かけない男性。
 傍聴席には、そのお仲間の官らしき男性が4人、日下部検察官、警察官かと思しき男性1人、若めのカップル、漫画雑誌らしきを持ったオッサン、など。簡裁の傍聴席としては、かなり多い。
 しーんとしたなか、みんなでしーんと待つ。私の後ろにいたカップルのどっちかが携帯電話を出したらしく、書記官が注意した。

 13時59分、奥のドアから被告人が、手錠・腰縄で現れた(勾留場所は拘置所か)。だいぶんにオッサンで、脳内出血をやったそうで片足をだいぶ引きずってるが、なんというかこう、精神的に崩れた感じがあまりない。
 60歳(もうすぐ61歳)。無職。住居地あり。弁護人なし。

 遠藤検察官が、普通の裁判の起訴状に相当するものを読み上げた。
 それをまとめると…。
 2004年7月28日に被告人は東京簡裁で住居侵入により懲役1年、保護観察付き執行猶予4年の判決を受け、同年8月3日に保護観察所へ出頭した。
 その後、2005年2月17日、覗き目的で他人の住居へ侵入し、2006年6月25日、女性用下着を窃取し、いずれも不起訴となったものの、保護観察官から再三の厳重注意を受けた。
 しかし2008年3月4日、足立区内で、杖を拾って使い、干してあったショーツとブラジャー計4点、1400円(?)相当を窃取、さらに同年4月10日、同じく足立区内で、今後はビニール傘を拾って使い、ベランダのキャミソール1枚、2000円相当を窃取。
 この2件については、東京簡裁へ起訴され、2008年7月3日、懲役2年の実刑判決を受けた。そのまま確定すれば、前刑の執行猶予は必要的取消しとされるはずだったが…。
 以下は刑法。太字は今井。

第二十六条  次に掲げる場合においては、刑の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
 猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき
 猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき。
 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき。

 被告人は控訴し、前刑の猶予期間の最終日が徒過することになるため、裁量的取消しにより執行猶予を取り消そうと…。

第二十六条の二  次に掲げる場合においては、刑の執行猶予の言渡しを取り消すことができる
 猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
 第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき
 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その執行を猶予されたことが発覚したとき。

 以下は、刑事訴訟法。太字は今井。

第三百四十九条  刑の執行猶予の言渡を取り消すべき場合には、検察官は、刑の言渡を受けた者の現在地又は最後の住所地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所に対しその請求をしなければならない
○2  刑法第二十六条の二第二号 の規定により刑の執行猶予の言渡しを取り消すべき場合には、前項の請求は、保護観察所の長の申出に基づいてこれをしなければならない。
 検察官が、保護観察所長の申出に基づいて、執行猶予の取消しを請求したと、そういうわけだ。
 でもって…。 

第三百四十九条の二  前条の請求があつたときは、裁判所は、猶予の言渡を受けた者又はその代理人の意見を聴いて決定をしなければならない。
○2  前項の場合において、その請求が刑法第二十六条の二第二号 の規定による猶予の言渡しの取消しを求めるものであつて、猶予の言渡しを受けた者の請求があるときは、口頭弁論を経なければならない
○3  第一項の決定をするについて口頭弁論を経る場合には、猶予の言渡を受けた者は、弁護人を選任することができる。
○4  第一項の決定をするについて口頭弁論を経る場合には、検察官は、裁判所の許可を得て、保護観察官に意見を述べさせることができる。
○5  第一項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

 それで、被告人が請求したもんだから、この裁判(口頭弁論)が行われることになったわけだ。

 続いて田中裁判官が被告人に、なにか述べたいことがあるか尋ねた。普通の裁判の罪状認否に相当する部分だ。
被告人 「なにもございません」
 ありゃ? じゃあ、なんで口頭弁論を請求したんだろう。うむぅ、それをやってる間に、前刑の猶予期間が終わると考えたんだろうか。
 そういえば、この期日は急に入ったようだ。日下部検察官も知らなかったようだ。前刑の猶予の満了日を徒過させないために、急遽期日を入れたんだろうか。

 続いて、証拠調べ。
 遠藤検察官が、書証の要旨を簡略に告知した。簡略といっても57号証もある。うわ~。書証はすべて、上記2008年の2つの下着ドロの刑事裁判で使ったものだという。

 続いて、保護監察官が意見を述べた。遠藤検察官の隣の見かけない男性が、保護観察官なのだった。そりゃ見かけないわけだ。
 ま、さっき遠藤検察官が述べたと同じ事実関係を述べ、
保護観察官 「…に当たると断ぜざるを得ず、この際、矯正教育にゆだね、…することが必要と判断し…」
 と結んだ。以下は、執行猶予者保護観察法

(検察官への申出)
第九条
 保護観察所の長は、刑の執行猶予の言渡しを受けて保護観察に付されている者について、刑法第二十六条の二第二号の規定により猶予の言渡しを取り消すべきものと認めるときは、本人の現在地又は最後の住所地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所に対応する検察庁の検察官に、書面で、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百四十九条第二項に規定する申出をしなければならない。

 そのあとの、裁判官、検察官、被告人のセリフ、やりとりは省略して、14時31分、
裁判官 「ではこれで弁論を終結しまして、決定宣告は2時(14時)50分に。それまで休廷します」

 14時51分、決定が宣告された。
裁判官 「平成16年(2004年)7月28日、住居侵入被告事件につき言い渡した、刑の執行猶予の言い渡しは、これを取り消す…」
 被告人に不服があるときは即時抗告ができることを告げ、14時55分閉廷。
 被告人は黙って再び手錠・腰縄をつけられ、奥のドアから出て行った。

 被告人は裁判官から、「どうしてそういうことをやったのか」と尋ねられ、
被告人 「どっちかというと、やっぱり意志の弱さで…」
 と答えていた。
 どっちかというと…?
 「どっち」のもう一方は、女性用下着を盗むとき、盗んだ下着を手に持つときの、めくるめくなにか、だったんだろうか…。

裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107) Book 裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107)

著者:今井 亮一
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 そういえば、府中刑務所で最近、労役場留置を体験した人が、作業はシール剥がし(ブラジャーとショーツのセットを取り付けるハンガーの、「C75」とかいうシールを剥がす作業)だとか言ってたっけ…。
 ハンガーを見て欲情するようになったら、本格的だ。ってなんの話や。

人気blogランキング ← 7月19日11時00分現在、390で11位~happy02

|

2008年7月18日 (金)

派遣社員がセクハラ→2chで名誉毀損

7月17日(木)その1

 ちょい電車が遅れて9時55分頃、裁判所着。正門と玄関の間に、40~50人の男女若者。うわぁ。引率の先生らしきが、何やら注意事項を告げてた。
「バラけて傍聴してください。大人数で狭い法廷を埋めないように」
 と言ってくれてるんだろうか…。 

clip 10時から東京地裁・刑事13部(佐藤晋一郎裁判官)802号法廷で、「名誉毀損」の新件。
 9時58分頃に入ると、セーラー服の女子中高生(中学生か高校生か、私ゃ区別つきません)が14人、同年代らしいがセーラー服ではない女子が3人。引率の先生らしきが1人。これで、20席の傍聴席が18席埋まってた。かろうじて座れた。

 被告人は身柄(警察留置場)。28歳。背骨の部分に縦線が3本入った、ジャージとしてはブランドものだろうグレーのジャージ上下。細いメガネ。目を半眼にして眉を吊り上げ、口先をちょっと尖らせる、それに近い面立ち。背は高め。
 ずらっと並んだセーラー服の女子中高生たちから、このシチュエーションで見つめられる気分は、どんなだろう…。

 起訴状・追起訴状の朗読および検察官の冒頭陳述、および甲号証の要旨告知によれば…。
 2006年3月、被告人は証券会社に派遣され、被害者B(37歳女性)に一方的に好意を寄せ、「Bさんの臭いが忘れられない。きれいだ」と抱きついてキスしようとしたり、エレベータで体を触ってきたりするようになった。エスカレートしてきたので被害者Bは怖くなり、上司である被害者A(49歳)に相談。Aが被告人に事実を確認すると、被告人は認めた。Aは派遣会社に連絡、2006年8月、派遣契約を打ち切った。すると被告人は、調査会社に依頼してBの住所を突き止め、車にイタズラするなどするようになった。Bはマンションを引っ越しせざるを得ないようになった。その後、被告人は、2007年の終わり頃(聴き取れなかった)から2008年1月にかけて、自宅や近所のネットカフェから、AとBの名誉を毀損する2chへの投稿を多数回にわたり行った。ヤフー掲示板にも、2chのそのスレッドのURLを掲載するなどした。AとBは警察に被害届を出した。AとBは、他に恨みを買う覚えがなく、投稿者は被告人しか考えられないと…。
 なお、罪状認否は、
「(起訴状に間違っているところは)ございません」
 だった。

 甲8号証までで、10時25分。
 10時30分から簡裁728号法廷で、今週3件目の「道路交通法違反」の新件があり、私はそっと退出。捜査段階でどんな調書を取られていたか、情状証人はあるのかないのか、被告人質問でなにを述べるのか、ぜんぜんわからないまま退出するのは無念だが、簡裁の「道路交通法違反」が最優先なのだ!
 802号法廷は北側の端っこ。728号法廷は南側の端っこ。急げ!

裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107) Book 裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107)

著者:今井 亮一
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

人気blogランキング ← 7月18日8時10分現在、350で12位~happy02

|

2008年7月 9日 (水)

元検察事務官、控訴棄却

7月8日(火)

 電車に乗り、乗り換えてから気づいた。
 火曜と水曜を間違えた! 今日は午後“出勤”でよかったのだ!
 眠くて眠くてたまんないのに。ま、そんなこともあるよね~。happy01

clip 10時から東京地裁・刑事18部(戸刈左近裁判官。それが実名って凄くない?)719号法廷で、久しぶりに「強制わいせつ」の新件を傍聴。
 4年前に迷惑防止条例違反(電車内の痴漢)で罰金50万円前科ありぃの、電車(JR常磐線)内での、22歳女性への痴漢。50万円で示談し、寛大な処分を求める嘆願書を書いてもらったそうだ。保釈の制限事項に、痴漢をしたその路線に乗らないことも入ってるそうだ。被告人の妻を証人尋問。弁護人は、たぶん初めて見る男性で、相当有能と思えた。
 求刑は懲役2年。相場からして執行猶予がつくだろう。しかし、この被告人、またやるんじゃないかな、という気がした。逮捕されて裁判になり、心底反省、再犯しないことを誓っても、満員電車で近くに女性の尻があれば、反省も後悔も誓いも妻子もぜんぶ脳からすっ飛んでしまうのが、色情系の常習者なのだ…。もちろん、全員が常習犯へと墜ちていくわけじゃないわけで…。

clip 11時から地裁・刑事6部(合田悦三裁判官)724号法廷で、「道路交通法違反等」の新件。「等」の部分は、業務上過失傷害と、私印偽造・同使用なのだった。
 被告人(中古車販売業)は2006年5月に点数の累積で免許取消処分になっていたところ、2007年9月、麻布十番で、路上のパーキングエリアに同棲相手の名義の車(セルシオ?)を駐車、右後方をよく確認しないままドアを開けたところに、ちょうどやってきたバイク便(41歳)のバイクが衝突(全治約1カ月)、麻布署で取調べを受ける際、実弟の氏名を謀用し(何のためらいもなくすらすら答えたので警察官は信じてしまった)、調書に実弟の氏名を書いて指印、被告人は実弟に口止め等しなかったため、今年1月、実弟は行政処分で警察へ出頭することになり、“なりすまし”が発覚、5月に逮捕→保釈。
 昨年9月の交通事故なら、自動車運転過失傷害(刑法211条2項)のはず。なんで業過傷害(211条1項前段)なの? ず~っと悩んでたが、あっ、そうか、駐車してエンジンを切ったあとの事故だから、か。ふぅん。
 求刑は懲役1年6月、被疑者供述調書の偽造部分を没収。

裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107) Book 裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107)

著者:今井 亮一
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

clip 13時40分の前に、地裁710号法廷(登石郁朗裁判官)で2件、高裁720号法廷(安廣文夫裁判長)で1件、判決を傍聴。
 地裁の2件うち1件、2007年1月に同種犯行により罰金50万円に処されていながら、10代の児童に現金を供与して性行為を行ったという、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反」。懲役1年6月、執行猶予3年、訴訟費用負担。
 地裁のもう1件は、信号交差点を左折する際の、横断歩道上での歩行者との事故。被害者は全治約6カ月。被告人は女性。禁錮1年2月、執行猶予3年。
 高裁のは、練馬区の路上で9歳の男児の胸ぐらをつかみ顔面を殴打(全治約3日)したという「傷害」。そのような暴行には及んでいないという事実誤認の主張。控訴棄却、当審における訴訟費用負担。

clip ようやく13時40分から高裁・刑事8部(阿部文洋裁判長)717号法廷で、今日はこれだけ傍聴すればよかった「有印公文書偽造・同行使、公務員職権濫用」の判決。
 6月24日に第1回を傍聴した、被告人が犯行時検察事務官の事件だ。さすが、記者が何人も来ていた。
 前科・前歴は当然ないし、元直属の上司(元副検事)の情状証人が効いて、原判決(懲役1年6月)は破棄され、執行猶予が付されるのかな、と思ったらなんと、控訴棄却、うわ!
 報道では、ストーカー被害の女性は「飲食店勤務」となっていたが、勤務先は「風俗店」だったんだそうだ。営業のための甘言を用いられて被告人は通い詰め、結婚を望み、多額の支出をし、すると女性は風俗店をやめ、被告人からの誘いをいろいろな理由で断り、それで被告人は職権を濫用して女性の身元を突き止め、女性が結婚していることを知り、さらに…という、聞いた感じどろどろの事件なのだった。
 人生、山あり谷あり。転落の先にこそ、幸せの門(それも格別の味わいの)が開けているはず…。

 同じ法廷で13時50分からの、「窃盗」の判決(寝泊まりの場所にするため、かつての勤務先の自動車を窃取。原判決は懲役10月。控訴棄却)を傍聴し、帰る…。

人気blogランキング ← 7月9日8時40分現在、310で15位~happy02

|

2008年7月 8日 (火)

警視庁築地警察署留置番号1号こと氏名不詳の男

7月7日(月)

 「仙台七夕まつり」の、「豪華絢爛」な飾り付けは、どの部分がそうなのか知らないが、仙台刑務所内の刑務作業でつくられているという。そしてその作業をやる囚人たちのなかに、おそらくは無実の無期懲役囚、守大助さんがいるそうだ。
 「仙台七夕まつり」の賑わいを、現場でまたニュースで見るとき、守大助さんを思い出してほしい。

僕はやってない!―仙台筋弛緩剤点滴混入事件守大助勾留日記 Book 僕はやってない!―仙台筋弛緩剤点滴混入事件守大助勾留日記

著者:守 大助,阿部 泰雄
販売元:明石書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 ウィスキィを飲みつつ原稿を書き、寝たのが午前5時半頃。これではもう午前の傍聴は無理か…。ところが、なぜか8時に、大した苦労もなく起きてしまい、裁判所へ。

 今日は、今年初めて、Tシャツの上に半袖のブルゾン、ジーンズ、下駄で出かけた。もう、これから原則、半袖と下駄で行くよ。こう暑くちゃねぇ。下駄については、だいぶ逡巡、躊躇してたんだが、考えてみりゃ、毎日スカートで来る男だっているんだもん、下駄だってえぇじゃないか、えへへ。

clip 10時から東京地裁・刑事13部(佐藤晋一郎裁判官)802号法廷で、被告人が「警視庁築地警察署留置番号1号こと氏名不詳の男」の、「窃盗」の新件。※ 前は1号だったが、今は20号だと被告人は言っていた。
 「窃盗」自体は、銀座のHMVでCD16点、5万140円相当を万引きし、店外へ出てすぐ捕まったといういうもの、なのだが、いやいや、はやはや、いやはや、これはびっくりの事件だった。
 被告人の容姿、仕草、そして何より、氏名も出身地も言わないその理由! 要するに、小学三年生の頃から、父親からひどい虐待を受け続けていて、中三か高一のとき家出して補導された際、絶対に戻りたくないと黙秘していたが、警察や家裁の説得に負けて白状したら、さっそく家に伝えられてしまったというエピソードがあり、もう誰も信用できないから言わない、と。
 しかもこの被告人、まだ19歳。家裁から逆送された事件なんだね!
 その家出の非行歴があるだけで、前科はナシ。家出のときは指紋を取られなかったので、今回、被告人が話さなければ本人特定できないわけだ。
 氏名不詳のままでは、執行猶予をつけるわけにもいかないだろう。懲役(実刑)にするしかないのか…。
 そしたらなんと、検察官の求刑は罰金20万円!
 うわ! そうだよ、2006年の5月末頃から、窃盗に罰金刑の選択肢が設けらてるんだ。罰金求刑の窃盗を初めて傍聴したよ! この被告人に罰金求刑とは、検察官、あんたって人は…と大いに感激したが、聞けば、家裁から逆送のとき、罰金刑に処するのが適当との意見が付されていたんだという。そっかぁ…。
 で、判決はどうするのか。裁判官によると、被告人が少年(未成年)の場合、労役場留置に換刑できないのだという。つまり、「満つるまで算入」(『裁判中毒』参照)で解放するわけにはいかないのだ。以下は少年法

(換刑処分の禁止)
第五十四条  少年に対しては、労役場留置の言渡をしない。

 しかし、被告人には資力がない。住所もない。捕まったときはマクドナルドやスーパー銭湯を転々としていたそうだ。罰金刑を言い渡して釈放した場合、刑の確定後に罰金の請求書類を、マクドナルドかスーパー銭湯に送る? そういうところに泊まるカネも、もう尽きるはず。
 いったいどうするんだろう。

clip 11時から東京高裁・刑事17部(植村立郎裁判長)717号法廷で、「ストーカー行為等の規制等に関する法律違反」の判決。
 被告人は、見た目60プラスマイナス数歳のオバサン。ちょっと男っぽいといえるか。被告人は女性、ストーカーの被害者も女性、という珍しい事件だ。原審は東京地裁。たしか私は一度も傍聴してない。
 被告人は最初、なんだか思い詰めた風に座っていて、植村裁判長が「本件控訴を棄却する。当審における訴訟費用は被告人の負担とする」と判決を述べ始めると、鼻水をすすりだし、「元職場の同僚であった本件被害女性…甲女(こうじょ)としますが、甲女48歳に対し…」という部分から、うううと声を出してさめざめ泣き始めた。
 控訴の趣意は、事実誤認。恋愛感情うんぬんではなく、謝罪を求めたのだ、という主張。しかし、「交際願望の意志を示していないからといって(ストーカー行為)にならないことはありません」と植村裁判長。
 ははぁ、「脅迫・威力業務妨害」の裁判で、つまり、本人がいくら「その行為が××に当たるとは思わなかった。××する気もなかった」と言い張っても、誰が見ても××としか言いようのない行為をすれば、それは××なのだ、という考え方を、ふむ、そりゃそうだわねぇ、と聞いたが、この認定もそれのようだった。
 言い渡しの途中、
被告人 「(鋭い泣き声で。以下同) 電話かけてませぇん!」
裁判長 「静かにしてください」
 ………
被告人 「謝罪してませぇん!」
裁判長 「静かにしてください」
 ………
被告人 「聞いただけですぅ!」
裁判長 「これ以上発言すると、退廷を命じます」
 ………
被告人 「面会要求なんかしてませぇん!」
裁判長 「ほんとに静かにしてください」
被告人 「(聞こえない風に) 冗談じゃないですよ!」
裁判長 「じゃ、退廷を命じます」
 廷吏(若い男性)が被告人のそばへ行って声をかけると、被告人は憤然とした風に、バッグを持って、傍聴席側のドアから出ていった。
 それから、「精神病院に措置入院させられ…」と裁判長が判決理由を読み上げてるとき、傍聴席側のドアにごそごそ音が! 被告人が戻ってきたのか? 見ると、阿曽山大噴火さんが入ってきたのだった。ずこっ。
 閉廷後、廊下に被告人の泣き声が聞こえており、一般待合室を見たら…!

clip 11時30分から高裁・刑事11部(池田耕平裁判長)715号法廷で、6月10日に第1回を傍聴した「過失傷害」(自転車の交通事故)の判決。
 検察官は、佐藤仁志さんというのかな、眉が濃く、時代劇のお役者風。廷吏は、初めてみたとき、「誰かに似てる。誰だっけ」とずっと悩み、「あっ、永島慎二さんの漫画の登場人物だ!」と気づいて、なんだか涙が出そうになった、娘さんだ。傍聴人は、被告人の家族か関係者らしき女性2人と、この日裁判所のあちこちで見かけた若いカップル。
 判決は、控訴棄却、当審における訴訟費用は不負担。

run それが11時45分に終わり、地下の郵便局へ。
 少しカネを引き出そうとATMの前に立ったら、突然警報音が! なに? 現金の取出口に、前の人が取り忘れた現金が。手に取ると警報音は止み、現金を数えると6万円。あらま。窓口の職員に渡し、食堂へ…。
080420_14180001  そのとき、昨日のことが思い出された。私が昔、貧乏な頃、小さなパン店へコロッケパンか何か買いに行ったとき、店先の路上に1万円札が1枚落ちていて、私は「落ちてましたよ」と店のオバサンだったかオジサンだったかに渡したんだけど、その話になり、「なんて馬鹿なの。なんで警察に届けないの」と、昨日妻子からめっちゃ馬鹿にされたばかりなのである。
 それで、郵便局に戻り、こういう拾得についての手続きはあるのか尋ねてみた。すると、拾得者が申し出た場合は手続きがあるらしい。所定の書類に書き込んでたら、6万円を取り忘れた中年男性が来た。そりゃすぐに気づくよね。じゃもういいや。私は食堂へ。そば食堂で、かけそば210円+大盛り80円=290円。
 それから1階へ戻り、一服。突然、気づいた。携帯電話がないよ! 落としたのだ! どこで? 715号法廷で、携帯電話で時刻を確認したのは記憶してる。そのあとだ。でも、腰のベルトのポウチから裁判所の硬い床へ落とせば、嫌な音がして、気づかないはずがない。気づかないのは、どんなシチュエーション? 椅子…?
 そば食堂で尋ねたが、なし。裁判所の管理課へ行ったが、届けはなかった。
 うろうろしてるうち、さっきの取り忘れの男性にばったり。私を捜していたのだという、謝礼のために。いやそんなのぜんぜんいいですよと固辞。拾得の手続きをしたのは、妻子に言い訳するためだし、だいいちねぇ、そんな謝礼を受け取ってる場合じゃないし(笑)。
 昼休み中で申し訳ないけど、15階の高裁刑事11部へ。上述の娘さん(廷吏)がニッコリ、法廷を開けてくれた。でも、携帯電話はない。が、私は不思議と心配してなかった。すぐに戻ってくる確信のようなものがあった。
 結局、もう一度管理課へ行ったが届けはなく、念のためにと郵便局へ行ったところ、職員らがニッコリ。そりゃそうだ~、6万円を拾って自分の携帯電話を落っことしていった、珍しいオヤジだもの。かくして携帯電話は戻った。拾ってくれた方、ありがとございました。
 解決したことを伝えに、管理課と高裁刑事11部へ。あ~、今日は裁判所内を歩き回ったな~、下駄で(笑)。

clip 13時05分から、東京地裁・刑事11部(小池勝雄裁判官)405号法廷で、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反」の判決。
 電車内における痴漢行為で、懲役8月、訴訟費用負担。同種罰金前科があり、2004年5月には懲役8月、執行猶予3年の判決を受けており、その猶予経過後1年足らずでの犯行なんだそうだ。20万円を支払って示談し、寛大な処分を求める上申書を被害者から提出してもらったが、実刑である。
 言い渡しが終わると検察庁の職員が2人、バーのなかに入り、保釈取消の手続きを。ちなみのこの女性弁護人は、どこかで見たような。

 13時07分、405号法廷を出ると、隣の404号法廷の前に、開廷待ちが5~6人。13時30分から「死体遺棄」の新件があるのだ。21歳の母親が乳児の遺体をコインロッカーに遺棄したという事件。もう並んでるのかよ。てゆっか、こういう事件を狭い法廷(傍聴席20席)でやるなよぉ、この場をいったん離れたら、もうこれは傍聴できないだろな~、と思いつつ私は8階へ。

clip 13時15分から高裁・刑事9部(原田國男裁判長)805号法廷で、「不動産侵奪」の判決。
 被告人はお爺ちゃん。「移動飲食業」だという。市営住宅の敷地内に穴を掘って支柱を立て、適法な占有権限がないのに店舗(報道によればラーメン店)を設けたんだそうだ。器物損壊で懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受けての、その猶予中の犯行なんだそうだ。原審は、求刑が懲役1年6月で、判決は懲役10月。控訴審判決は、控訴棄却、当審における未決40日算入。お爺ちゃん、2年4月の刑期で下獄することになるのか。
 13時21分閉廷。

裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107) Book 裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107)

著者:今井 亮一
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

flair 404号法廷を念のため見に行くと、若いカップル(上述のカップルだっけ?)が出てきた。この時間に出てくるってことは、満席で座れなかったんだな。私は直ちに踵(きびす)を返し、本日の傍聴はこれでオシマイ。
 飯田橋の、警視庁遺失物センターへ。だいぶ前に、裁判所内で拾って管理課へ届けた18金の鎖状のネックレス、持ち主が現れなかったので、受け取りに行ったのだ。
 2時間半しか寝てないのに眠くならず、6万円拾って携帯電話を落とし、昔拾ったネックレスを受け取りに…。非常に珍しい日といえるので、帰り、思いついて宝くじを1000円分買ったょ(笑)。

人気blogランキング ← 7月8日4時30分現在、280で16位~happy02

|

2008年6月28日 (土)

学校をハーレムと勘違いした元総長に懲役実刑

6月27日(金)

 さんざん悩んだ末、午後から「脅迫」と「公用文書毀棄」のいずれも新件を傍聴せず、締切りを2日すぎた原稿を仕上げよう! と金曜の午前8時45分にようやく決心…した直後、午前10時から、50月30日に傍聴した「強制わいせつ(等?)」の判決があることに気づいた。大学の、というか学校グループの総長で理事長が、教職員の唇に強いて接吻したり乳房をつかんで弄(もてあそ)んだり、学校を「ハーレムとでも勘違いしたかのような行動は言語道断」と懲役5年を求刑された事件だ。
 しかし前科はない。合計2000万円を超える被害弁償、贖罪寄付、供託をしてる。相当の社会的制裁も受けてるといえる。執行猶予がつく可能性もある。こういう判決は傍聴席で見ておく価値はあるだろう。
 と、直ちに着替えて出かけた。

clip 東京地裁713号法廷(福崎伸一郎・戸刈左近・尾藤正憲裁判官)713号法廷は、記者の姿が多かった。
 被告人(身柄、拘置所)は、黒い半袖のポロシャツに、濃いグレーのジャージ、の裾をソックスの中に入れて、手錠・腰縄につながれ、半開きの口の下唇を突き出し、入廷。やつれてぶよぶよと鈍重な感じで、大学の総長だったとは到底思えない。
 裁判官3人が登壇し、全員で起立・礼。被告人を証言台の前に立たせ、判決が言い渡された。
裁判長 「主文、被告人を懲役2年10月に処する…」
 ずいぶん減じたな。執行猶予は3年以下につく。てことは、猶予をつけるのか。いや、だったら懲役3年でいいはず。2年10月にまで減じたってことは、実刑?
裁判長 「…未決勾留日数中、80日を、その刑に算入する…」
 実刑か? いや、未決算入して執行猶予をつけることも、ないわけじゃない。
 だが、実刑だった。私の傍聴ノートに「おっ!」とある。
 被告人は、見るからに大きくうなだれて、立ったまま判決理由を聞いた。
 言い渡しが終わって再び手錠・腰縄をつけられるとき、下唇をとがらせて上目遣いに弁護人(女性2人。同席の司法修習生も女性)を見たが、弁護人は机に視線を落として書類を片付け、被告人と目を合わさず…。
 ま、こうやって、「うわっ、実刑だ! マジ刑務所行きだ!」と本人および周囲を震撼させ、徹底的な反省・悔悟を示させ、控訴審で執行猶予を付する、というやり方(刑罰行政とでもいうやり方)もあるんだろう、とは思うが…。

Book 裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107)

著者:今井 亮一
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 裁判所へ出てきてしまったからには、午後の「脅迫」と「公用文書毀棄」も傍聴せざるを得まい。それまでの間、久しぶりに、即決裁判手続きの公判を連続傍聴してみることに。

clip 地裁・刑事19部(園原敏彦裁判官)426号法廷に、10時から16時まで30分刻みで9件の新件が入っていた。うち6件は覚せい剤、麻薬、大麻の事件。
 10時30分から、「覚せい剤取締法違反」。
 被告人(身柄、警察留置場)は25歳で、お姫様のような見事な長い茶パツで、女優の誰かに似ていた。「風俗店店員」で、新宿のレディースサウナの地下便所にて、覚せい剤を加熱して気化させ吸引したんだそうだ。
 被告人は美人なのだけど、目つき、表情がちょっと普通じゃなく、
弁護人 「人格障害との診断を受けてますね?」
被告人 「はい」
弁護人 「薬は飲んでますか?」
被告人 「はい」
 とのやり取りがあった。
 即決裁判手続きの早さは異様なほどだね! 検察官の冒頭陳述はなし。甲1号証、甲2号証…という書証の要旨告知もなし。被告人質問は5分程度。論告は10秒程度。直ちに判決。懲役1年6月、執行猶予3年、訴訟費用不負担。
 10時41分閉廷。傍聴席にいた母親といっしょに出て行き、母親が持ってきた白い靴に履き替えて…。

clip 11時から、「道路交通法違反」。
 こっちの被告人(身柄、警察留置場。57歳。韓国人)は、最初から黒い革靴を履いて入廷。
 物損事故を起こして通報され、無免許で酒気帯び(0.44mg)が発覚。前科は3年前の傷害、罰金10万円のみ。日本人なら、本件も罰金で済んだかも。直ちに判決。懲役6月、執行猶予3年、訴訟費用不負担。
 通訳付きなのに、15分ほどで閉廷。早っ!

 即決裁判手続きは、裁判所的には、1日に9件、ごそっと処理できてしまう(処理できると最初からわかってる)わけで、ありがたい制度なんだろう。でも、「迅速・便利」には弊害もある。私はこの制度には批判的だ。そのへん『裁判中毒』に書いた。

clip 11時30分からまた「覚せい剤取締法違反」(これも被告人は女性氏名)だったが、待て待て、11時から地裁・刑事17部(市川太志裁判官)723号法廷に入ってる「脅迫」を、どんな事件なんだか見ておこうと…。
 11時17分頃に入ると、被告人質問をやっていた。その弁護人が、東京簡裁のあの事件の弁護士だった。これで、あの事件のあとにお目にかかるのは4回目? 弁護士さんのほうも、「こいつ、どんだけ傍聴しまくってるんだ?」と思うのか、ちらちら私のほうを見てたよ(笑)。
 事件は、よくわかんないんだけど、妻が殺された事件に関係して(?)10年ほど服役し、出所後、かつてトラブルがあった会社へ、「お礼に行く」という趣旨の電話をし、脅迫で告訴されたと、そういうふうなことらしかった。

restaurant 11時48分、途中で出て、農林水産省・北別館の食堂へ。
 メインは、トレイを持って移動しながら、好みの総菜を取り、好みのご飯と汁を指定してトレイに載せ、合計金額をレジで払う、というカフェテリアスタイルなのだが、それだと800円くらいすぐにイッてしまいそうで、私はカツカレー580円を注文。
 カツは大きかった。カツて見たことないほど(笑)。肉厚もそれなりにあった。うほほ! 名古屋地裁の地下の「わらじカツカレー」は、こっちを見習うべきだと思う。…んが、私が疲れていたのか、肉の味がせず、カレーもカレーの味があまりしなかった。

 裁判所へ戻ったのが、12時10分頃。
 午後の「脅迫」は13時30分から。1時間以上待つのは、締切り原稿が遅れてる身にはつらい。どうしよう、帰ろうか…とぐずぐず悩んでると、親しい大学院生君を発見。ラッキー! ねぇねぇ、なに傍聴するの? 今日は「脅迫」と「公用文書毀棄」が注目だよぉ、と彼に託し、というかムリに押しつけ(ひでぇオッサンだな。笑)、私はとっとと帰る。

人気blogランキング ← 6月28日17時00分現在、460で11位~happy02

beer 農林水産省・北別館の食堂の夜の状況(18時15分から飲酒可)を、やはり今週中に取材しておかねば、鉄は熱いうちに打て(それ違う?)と、また霞が関へ。傍聴仲間の娘さん(昼間、土浦支部で無罪を傍聴してきたそうだ!)と合流。
 ところが、夜は一般開放していない、と警備員。がーん! 顔面蒼白、立ち尽くしてしまった。疲れた体にむち打って、往復700円の電車賃をかけて出てきたのに!
 でも、それであきらめる私じゃない。ダメもとで手を尽くし、なんとか潜入に成功した。が、居酒屋風に飲める状況では、まだなかった。お笑い芸人のあの人(誰だっけ)に似た責任者氏に話を聞き、緑茶ハイ350円を1杯飲む。これじゃあ酒飲みはおさまるはずもなく、総務省の地下でがっつり飲み直し…。

 そうそう、今週、傍聴ノートからエクセルに書き写したデータが、事件数で1000件を超えた。

|

2008年6月18日 (水)

裁判員制度で日本の犯罪処理は崩壊する!

 目が覚めたら8時半頃!
 寝たのは0時過ぎ。8時間以上まとめて眠ったのは久しぶり。寝過ぎた!
 なんとか9時58分に、東京簡裁・刑事1室3係(八木澤秀司裁判官)534号法廷に入ると、人定質問が終わったところ。
 定刻前に始まることはよくあるけど、検便もとえ勘弁してほしい。何のために裁判は公開かを考えれば、バーの内側の人員だけそろえばいいってもんじゃないはず。ま、私が早めに傍聴席にいて、かつ私が忙しいときは、定刻前に始めてもいいけど、ってオイっ(笑)。

clip 定刻だと10時からのはそれは、「売春防止法違反」の新件。
 東京簡裁では、わりと珍しい罪名なうえ、同じ法廷で10時45分から同じ罪名の新件が入ってるので、もしかしたら何か関連が見いだせるのかと、傍聴にきたのだ。昨日、阿曽山大噴火さんと同意見を確認したのに、2件とも阿曽山さんの姿はなかった。10時から地裁のほうで「貸金業法違反」の新件がある、そっちへ行ったんだろうか。私だってそっちが興味津々だけど、やっぱ私は軸足を簡裁に置こうと、こっちへきたのだ。

 10時からのは、新宿・歌舞伎町の北のほう、大久保病院前でのポン引き(つまり不特定の遊客に売春を周旋する行為)。
 被告人(身柄、警察留置場。58歳か59歳らしい)は、鳶工(とびこう)として1日1万5000円~1万8000円稼げるのだが、同僚とトラブルがあって飛び出し、1月の中頃から、カプセルホテル(3300円)かサウナ(1900円)に泊まりつつ、27年くらい前にやってたポン引き(その罰金前科5犯)を始めたんだという。

clip 10時45分からのは、これも大久保病院の付近でのポン引き。
 被告人(身柄、拘置所。52歳)は、空き缶やマンガを集めて「1日1000円ちょっと」で暮らしつつ、「キャバクラに勤めないかと声をかけ」ることを、いつもなのかときどきなのか、やっており、その日、街娼の女の子に「こういうことヤメてキャバクラ行かないか」と声をかけたがダメで、すると、その街娼に男性が声をかけて去ろうとしたので、周旋すればカネになるかと思いつき、「やるんだったら1万5000円、本番できるよ、やりたいんだろ、女の子を紹介してやるよ」などと申し向けたんだという。
 こっちの被告人は、私のメモに間違いがなければ、2005年7月に川崎支部で「公務執行妨害」により懲役1年6月、執行猶予3年、同年11月に東京簡裁で「窃盗」(勤務先の自動車を無断使用)により懲役1年、保護観察付き執行猶予3年を受けており、本件はそれら執行猶予中の犯行。

 10時からのは、4月11日の犯行。10時45分からのは4月16日の犯行。いずれも、声をかけた相手が私服刑事だったことから、現行犯逮捕。いずれも求刑は罰金5万円
 そういう検挙はよくあるんだろう。住所不定・無職、どうせ罰金払えないから、勾留しといて「満つるまで算入」とする、そういう処理もよくあるんだろう。でも、「売春防止法違反」が1日2件はもちろん、1週間に2件入ることも、珍しいといえるんじゃないか。
 売春のスタイル、歌舞伎町の性風俗が変わってきて、かつ、顔を知られてない新しい刑事が4月に入ってきた…ということなのか、それとも…たった2件であれこれ傍聴マニアは想像を巡らすのであった。

 10時45分からのが終わったのが、11時40分。11時15分から簡裁728号法廷に、これが男だったら怒るよ、という氏名の被告人の「占有離脱物横領」(普通は放置自転車のチョイ乗り)の新件が入ってるが、今頃行ってもなぁ、と534号法廷に居残ることに。

clip 11時45分から、「建造物侵入・窃盗」の判決。
 被告人は身柄(警察留置場)。50~60歳と思しき、ちょっとぽっちゃりした年配男性。他の2人と共謀し、2007年10月にゼロエミッション・オフハウスの出入り口ドアの施錠を破り、腕時計など19点、時価208万8000円相当を窃取、2008年1月、シャノアールの出入り口ドアをバールでこじ開け、現金119万2307円などを窃取。傷害の罰金前科1犯、財産犯の前歴1件あり。
 懲役1年2月、未決50日算入。訴訟費用不負担。

clip 11時55分から(12時05分までの予定で!)、「住居侵入、窃盗」の判決。
 再開して弁護人(若めの女性)が、債務整理の進行について立証。
 被告人(身柄、拘置所)は、坊主頭で若めの男。文京区大塚のマンションの自室ドアで、針金を曲げてつくった道具でサムターン回しの練習をし(!)、同じマンションの4つの部屋に侵入して現金等々を窃取しまくったのだという。被害者の一部(?)は、示談が成立して宥恕の情あり。前科・前歴なし。
 懲役2年6月、執行猶予4年。訴訟費用不負担。
 12時11分閉廷。

P1020528 train 電車で財団法人全日本交通安全協会へ行き、最新の『交通の教則』など6冊、合計811円を買う。
 もう帰って寝ようかと思ったが、16時から某弁護士事務所で打ち合わせが入り、それまで裁判所に居ることに…。

clip 14時から東京高裁・刑事5部(中山隆夫裁判長)803号法廷で、「神奈川県迷惑行為防止条例違反」の判決。
 被告人(30代かと思しきスーツの男性。日に焼けてカッコイイ系)の家族らしき傍聴人が多く、弁護人は3人で、司法記者らしき若者もいて、これは否認か、と思ったらそうだった。
 被害女性(18歳)と被告人との説明が真っ向から食い違っており、結局どっちが信用できるかに尽きるところ、被害女性の説明を完全に信じて控訴棄却。
 真実がどうか私は知らないが、被害女性の説明というのは、裁判官が有罪にしやすいよう、警察・検察により完全につくり上げられる面がある。そこを差し引くどころか、喜んで迎え入れ、そして被告人の説明については徹底的に疑い抜く、のが刑事裁判の鉄則といえる…。

clip 14時30分から東京地裁・刑事5部(山口雅髙裁判官)532号法廷で、「自動車運転過失傷害・道路交通法違反」の新件。この罪名の書き方は、前にも説明したが、いわゆる“ひき逃げ”である可能性が高い。ひき逃げは2007年9月19日から厳罰化された…。
 被告人は、女優のような洒落た氏名。それでか、14時26分頃に法廷(傍聴席20席)に入ると、もう数席しか空いてなかった。男が多く、ぎっしり感あり。
 ところが、被告人席についたのは、マジメなサラリーマン風の男性(47歳)だった。兄が経営する飲食店で働いてるのだという。仕事は早め早めにやらないと気が済まない質(たち)だそうで、肉の仕込みにわざわざ出かけてその帰り道の早朝3時47分頃、環状7号線の世田谷区・羽根木あたりを通過した際、道路に散乱した新聞を拾い集めていた新聞販売店の若者に、カーナビに脇見して気づかず、自車右前部を漫然時速50~60キロで衝突させ、左眼窩(がんか)骨折、尾骨骨折など1カ月の重傷を負わせ、一度は止まったものの、救護義務、報告義務(道路交通法第72条1項前段、後段)に違反して走り去ったんだという。
 動転したから? いや、何か硬いものにぶつかってミラーが取れたので、止まって見たけれども、散乱した新聞も被害者も見えず、まさか人をハネたとは思わず帰ったんだという。
 そこが、霞っ子クラブの毒人参さんの表現を借りれば「最近注目の狂犬・山口さん」「公家顔の狂犬裁判官・山口さん」の逆鱗(げきりん)に触れた! サイドミラーが取れたのに気づいて15~16メートル走って止まったなら、散乱した新聞等が見えないはずがない、この期に及んでウソをつくとは許せないと、ま~、怒るわ怒るわ、すっごい責め方。毒人参さんの表現はうなづける。
 …だけどさ、傍聴席で聴く限り、ありゃりゃ? であった。「衝突したのは人じゃないよな」と思ったのは、「人かもしれない」という認識があったからだ! と山口裁判官は断定するのだが、環7(東京の主要幹線道)の真ん中に人がいる(屈んでた?)とは露思わず、それでも、万が一にも人だったら大変と思い、念のため「人じゃないよな」と思うのは、別段不合理とはいえないのでは? だいたい、時速50~60キロで衝突して、サイドミラーが取れたのに気づき、明け方の環7で、15~16メートルで止まれる? その距離は、72条違反の故意が成立するよう警察がつくった距離じゃないの?
 結局、被告人は、人との認識はなかったと最後まで言い、弁護人は、困った末、未必的故意はあったかもしれないと言い、その線で結審した。山口裁判官の法廷で、故意を争っても、量刑が重くなるだけだろう。
 前科・前歴なし。被害者への見舞いや賠償は、かなり誠実にやっており、求刑は懲役1年2月。
 15時19分閉廷。

Book 裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107)

著者:今井 亮一
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

pen 事件数でもう1000件近く傍聴してきた。
 検察立証の中心は、警察がつくった調書や報告書だ。それらは、検察官が起訴しやすいよう、裁判官が有罪にしやすいよう、ポイントを押さえてつくられている。ほぼすべての被告人は、要領よくポイントを押さえた自白をした形になっている。
 裁判官は、ま、すべての裁判官があらゆる場面でとはいわないが、原則として疑わない。そんなもの疑ってたら、次から次へとぎっしりの事件を裁けない、じゃなくて、捌けない(←荷捌きの捌き、ね)。
 ここは、「警察官たる者が見も知らぬ被疑者をあえて罪に陥れるはずがない」という机上の斬り捨て文句でスパッと斬り捨て、目をつむり、警察調書は(暴行・脅迫等があったという録画・録音でも存在しない限り)疑わないことを前提に、右から左へ次々捌き流していかねば。でないと未済事件が溜まり、無能裁判官の烙印を押されてしまう…。
 したがって現実問題、警察捜査の段階で、もう有罪は決まり、といってよく、そうやって日本の犯罪処理は成り立っているわけだ。
 ところが、裁判員制度のからみで、捜査段階での調書等より公判廷の供述等を重視しよう、なんて話が出てるとか? もしもそんなことになったら、日本の犯罪処理は破綻し崩壊しちゃうんじゃないのか…。という見方は、当たってるのか外れてるのか。

人気blogランキング ← 6月19日11時20分現在、470で11位~happy02

|

2008年6月17日 (火)

レーダ式速度違反の否認に遭遇!

clip 13時30分から東京簡裁・刑事2室1係(武内晃裁判官)534号法廷で、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反」の審理。
 これは、4月8日に第1回を傍聴した、キャバクラの無許可営業の事件だ。第2回の5月13日は、いろいろごちゃごちゃあって裁判所行きをサボった。手帳を見ると、その後の期日が入ってないので、だから今日が第3回だろうと思う。

 ほんとは同時刻からの、東京高裁の「脅迫、名誉毀損」の判決を傍聴してからこっちへ来ようと思ったのに、コロッと忘れて最初からこっちを傍聴した。
 ちなみにその「脅迫、名誉毀損」は、被告人氏名で検索してもヒットなし。高裁判決を見逃したらもう、闇の底に沈んだようなもの。大失敗である。

 で、風営法の今日の期日は、論告・弁論。
 第1回公判よりも多くのことがわかった。被告人(女性)は2002年に、キャバクラ営業も可能と言われて開店しようとしたら、近所に学校法人の幼稚園があり、しかしすでに開店のために借金しており、後戻りできず開店した。何度か警察から警告を受け、2007年5月には、もうダメだ、ダイニングバーに切り替えようと思い、店の造作も変えた。が、店を任せていた店長はキャバクラ畑の人間だった。しかも、オーナーである被告人に月々50万円払うことになっており、売り上げ減少が直に響く立場にあった。そこで店長は、ずるずるとキャバクラ営業を続け、2009年9月に店は摘発された。店長はすぐに認めて略式で罰金50万円。被告人も、オーナーとしての責任を感じて略式に応じたところ、罰金100万円の略式命令を受けてしまった。100万円なんてないし、そもそもキャバクラ営業をヤメようとした自分がなぜ!? と正式裁判を請求した…とまぁ、縮めればそんな事件のようだった。
 すべての発端は、キャバクラ営業は可能と警察が言った、と少なくともそう被告人が思った、ことにある。警察は、間違ったことを断言調で言い切ることがときどきある、鵜呑みにしちゃいけないと、私は交通違反のご相談者にはよく言ってるんだが。
 求刑は罰金100万円。
 14時1分閉廷。

Book 裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107)

著者:今井 亮一
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

restaurant 地下のそば食堂へ。
 昨日気づいたんだが、かき揚げそば大盛りは、注文の仕方(食券の買い方)によって値段が違うんだね!
   かけそば210円 + 大盛り80円 + かき揚げ100円 = 390円
   かき揚げそば370円 + 大盛り80円 = 450円
 前者のかき揚げは、小皿でもらい、自分でそばの上に載っける。
 後者のかき揚げは、最初からそばの上にあり、その上に汁がかかり、かつ、ワカメがつく。かき揚げ自体は同じようだ。
 うーん。特別空腹員食券濫用罪…す、すんません。
 今日は、
   かけそば210円 + 大盛り80円 = 290円
 とした。通風の痛みがまだ完全には退かず、ときどきヤバイ痛みを感じるので。

clip 15時から東京高裁・刑事6部(永井俊雄裁判長)410号法廷で、「道路交通法違反」の審理。被告人氏名に見覚えナシ。
 ま、どうせ無免許か酒気帯びの常習で実刑を食らい、情状証人の都合か、車の売却かでずるずる続行になった…程度だろう。でも、空振り覚悟で傍聴を重ねないとね。
 と法廷に入ると、暗色のスーツの男性が証人カードに記入してた。はは~、会社の上司が情状証人で出るのかな、と思ったら、ぬゎんと! 3月に東京簡裁と東京地裁・八王子支部で尋問を傍聴し、7月3日には東京地裁で尋問予定の、日本無線のヨシナガアキオさんではないか! これは日本無線のレーダ式測定機、JMA-240の否認事件だったのだ。大ヒット! こんなこともあるんだよね~。
 私はたいてい、検察官席に近いのほう傍聴席に座る。ヨシナガさんもそばに座り、私は我慢できずに(笑)尋ねた、一審でも証人出廷したんじゃないですか? と。答えはイエス。一審で尋問した証人を、高裁でも尋問する、しかもスピード違反の事件で。相当レアなことでは?
 審理が始まってわかった。一審は横浜地裁・川崎支部だという。控訴審での証人申請は、検察官のほうからだった。スタートスイッチの押し遅れが、どうも争点になってるらしかった。私は、そんなことで誤測定しないだろうと思うんだけど…。
 次回判決。最初に裁判官が提案した期日は、弁護人が差し支えとのこと。そして決まった期日は、上述の東京地裁での尋問の途中。なんだよ~。しょーがない。途中で抜けてこっちの判決を傍聴し、すぐ戻ることにしよう。
 15時19分閉廷。
 検察側の証人と親しそうにしてる私を見て、被告人はどう思っただろうか。まさかアレが今井亮一とは、夢にも思わないよねぇ。そのへん、語ると楽しいのだが、またにしとこう。

clip 15時30分から、東京地裁・刑事9部(秋葉康弘裁判官)422号法廷で、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反」の新件。
 若い奴がネットでインチキしたのか、と思ったらぜんぜん違った。
 これは、どうレポートしていいのか、うわぁ…。ばりばり週刊誌的な事件と思うが、ネットでちらっと検索した限りでは、どっこも報道してないような。
 私は傍聴中ずっと、堤未香さんのあの本を思い出していた。

ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112) Book ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112)

著者:堤 未果
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 あの本に出てくる、アメリカ流のえげつない医療ビジネスを。被告人はその、一種の犠牲者なのか…と。検察官もそう思ったのかどうか知らないが、被告人質問はゆるかった。普通、
「その言い訳を聞いてると、ぜんぜん反省してるとは思えないんですよ!」
 とか偉そうに突っ込みまくるとこなのに。
 ま、すごいのを傍聴してしまった…。
 今日は昨日と違って充実してたなと、私は傍聴席を出たのだった。

人気blogランキング ← 6月17日21時55分現在、570で11位~happy02

|

2008年6月 5日 (木)

テレクラ→援助交際→裸体写真

6月3日(火)11時~

clip 11時から東京高裁・刑事10部(須田贒・久我泰博・横山泰造裁判官)812号法廷で、「名誉毀損」の控訴審第1回。
 被告人(身柄、拘置所)は、頭が薄く、メタルフレームの、レンズ面の大きなメガネ。顔が白いような赤いような。57歳だという。

 テレホンクラブで知り合い、2003年9月から半年間、援助交際的な関係だった女性(本件被害者)から、2004年暮れ頃に交際を断られ、2007年になり、4月に別居中の妻と離婚、8月には17年間勤めた会社を退職したことから、捨て鉢になり、被害者に会って肉体関係を持ちたいと思い、会ってセックスしようと申し向けたが拒否され、立腹のうえ腹いせに、交際時に撮影していた被害者の顔写真、裸体写真などを封筒に入れ、被害者が居住するマンションの集合郵便受けに多数(17袋)入れて、21歳の若い女性の名誉を著しく毀損した、と聞こえた。
 被害者は犯行時21歳…テレクラうんぬんのときは17歳くらいだったわけ?

 被告人は前科・前歴なし。社会復帰後は、退職後に働いていた某県の農園へ戻りたい、戻れないときは義理の兄を頼って仕事を見つけたい、と被告人は言い、それらが確実なら、原判決(懲役1年4月)を破棄して執行猶予、ということもあり得るんだろうに、農園にはすでに籍はなく、2度手紙を出しただけで返事はなく、義理の兄は面会にも来てないらしい。私の傍聴ノートに「だめだこりゃ~」とある。弁護人はそこんとこ、骨を折らなかったんだろうか。折ったけど相手にされなかったんだろうか。
 5分ほど休廷して判決。
 控訴棄却、未決40日算入、当審における訴訟費用は不負担。
 11時23分閉廷。

Book 裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107)

著者:今井 亮一
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

clip 11時15分から東京地裁・刑事8部(片岡理知裁判官)407号法廷で「道路交通法違反」の審理、を11時27分頃から傍聴。
 これ、10時からの409号法廷の「公然わいせつ」を傍聴したあと、毒人参さんと話しながら廊下を歩いていたとき、偶然見つけ、審理ってことは否認の可能性がある、地裁で道交法違反の否認はチョー珍しい、と傍聴してみたのだ。

 入ると、論告の最中だった。
検察官「(被告人の)妻は前刑でも証言したのに、その後の被告人の無免許運転に気づかず、今回も『言い聞かせる』と言うだけで…」
 と懲役6月、の実刑を求刑。
弁護人「執行猶予は終わっていたと勘違いしていた。しかしその前から(無免許運転を)くり返していた…」
 被告人は内装業で、刑務所へ行くことになれば、家族や従業員がたいへんに困るのだという。交通遺児育英会に、少なからぬ金額(20万円)の贖罪寄付をしたのだという。
 10分ほど休廷して判決を言い渡すことに。

 否認ではなかった。定刻から12分後に論告の最中だったということは、前回は妻の尋問が長引いたりして、被告人質問の全部または一部を今回へ持ち越したんだろうか、加えて何か、追加の立証があったんだろうか…。無免許の執行猶予中の無免許では、実刑は免れないだろうなぁ、懲役4月かなぁ…。

 と待つうち、片岡裁判官が戻り、判決。
裁判官「被告人を懲役4月に処する。主文は以上です」
 2003年5月16日に、無免許で懲役5月、執行猶予4年の判決を受け、2006年に仕事のためにと新車を購入し、本件は2007年5月5日の、まったく緊急性のない、無免許運転だという。
裁判官「…これ以上、3回目の執行猶予はあり得ないと…」
 えっ、2003年の前にも執行猶予付き懲役刑を受けてたわけ? それで2003年の猶予は4年だったわけ?
 内装業など建築関係で無免許の常習は、非常に多い…。
 訴訟費用は不負担。11時52分閉廷。

cancer 警視庁へ寄り、「再雇用職員及び専務的非常勤職員の報酬額の改定について(平成19年12月26日付け通達乙(警.人1.企1)第641号)」「平成20年度専務的非常勤職員の所属別・職務別配置表などの開示を受ける。この配置表は面白いよ~。
 画像をここにアップしたいところだが、パソコンを新しくしてから、なぜか読み取りができなくなった。PDFファイルをつくるソフトを買ったのに、封を開いてさえない。そういえばアフィリエイトのことも、その後すっかり忘れてる…。

人気blogランキング ← 6月5日9時20分現在、450で13位~happy02

 2日(月)、原稿締切りで傍聴できなかった公判の様子を、毒人参さんがレポートしてくれてる。助かるな~。

|

2008年6月 4日 (水)

無視されるのがいちばん寂しい

6月3日(火)10時02分~

 6月3日の記事のつづきですぅ。

 2分ほど遅れて10時2分頃、「公然わいせつ」の新件の傍聴席に着くと、ちょうど検察官による冒頭陳述が始まるところだった。
 被告人は身柄(拘置所)。濃い短髪で、細くて小柄。見た目、パッとしない感じだった。あとで毒人参さんに聞いたところによると、35歳だそうだ。

 冒陳によれば、中卒で無職。結婚歴なく独身。2005年6月に東京地裁で、電車内の痴漢により懲役10月(?)、保護観察付き執行猶予3年の判決を受け、2006年1月に東京簡裁で、「公然わいせつ」(陰茎露出)により罰金刑を受けているという。猶予中の同種の犯罪で、罰金ですんだ? 他に痴漢等の前歴が5件あると聞こえた。ん? 5件も歴ですむか?
※ 前歴とは、検挙されたけれども、不起訴で終わる等して、刑罰を受けるまではいかないこと。刑罰を受けると前科になる。

 捜査段階の供述調書によると、被告人はこう自白していた…。
 町をぶらぶらするのが好きで、池袋などをぶらぶらしていたところ、新宿のゲームセンターへ行きたくなり、新宿へ。ルミネで、30歳くらいで黒色スカートのきれいなお姉さんを見た。それまでも、きれいなお姉さんを見るとついていくことがあった。ついていき、自分のペニスを見せるのが好きだった。「恥ずかしがる様子を見て、あとで思い出してセンズリをするのが好きだった」←この部分、そんなことは言っていないと被告人は否認。
 書店へついていき、ペニスを5センチくらいズボンの外へ出した。被害女性は気づいたものの無視した。無視されるのがいちばん寂しい。もう何の反応もしてくれないだろうと離れたところ、警備員に捕まった。信じてもらえないかもしれませんが、もう二度とペニスは出しません…。

 被告人質問で、こんなシーンがあった。
弁護人「いま思うと、なんでこんなことをしてしまったんですか?」
被告人「自分にも(ママ)被害に遭ってました。××に住んでるとき、お金を盗まれたり。それで犯人が憎くて。それで、ボッタクリにも遭ったり、町で殴られたり」
弁護人「ニセの真珠を買わされたりしたことも、ありましたか?」
被告人「あります」
弁護人「ムシャクシャしたからと?」
被告人「……………………………………………………はい」
弁護人「性器を出すとすっきりする気持ちはあるんですか?」
被告人「……………………………………………はい」

 被告人は、保護司のところへは月2回、ちゃんと通っていたという。3月まで派遣の仕事、製本屋、ゴミ関係、下水管などの仕事を日替わりでやっていたが、
被告人「犯罪者っていうのが頭にあって、周りから冷たい目で見られて…」
弁護人「それが嫌になって、ヤメちゃったの?」
被告人「……(こくりと肯く)……」
 本件犯行は4月10日。

 被告人は「若干の知的障害が認められる」のだという。なるほど、意味が取れない部分は少しあるものの、知的障害者らしい、素直に正直に本心のままに、一所懸命に述べている感じが、存分にあった。そこらの“健常者”の供述より、よほど胸に染み入った。
 保護司との3つの約束を尋ねられ、被告人は即座に答えた。
被告人「はい、辛抱強くマジメに働くこと。女性にいやらしいことをしないこと。保護司を訪ね、報告すること」
 しっかり暗記していたのだ。私はちょっと涙が出そうになった。前科・前歴の「?」という部分も、そのへんが関係したのかも。
 被告人には、社会の理不尽な仕打ちに抵抗する術(すべ)がなく、陰茎を露出することで、自我とか自尊心とか、そのへんのバランスを取っていたのではないか。もちろんその行為は犯罪ではあるけれども、誇大な自尊心を守るため殺人へ走った、かのような事件が多いなかで、被告人の犯罪はまことにささやか…という気がした。裁判傍聴に通い詰めてると、感覚が麻痺してくるんだろうか。

 現在、前刑の執行猶予は取り消され、刑を受けている最中なのだという。
 求刑は懲役4月。次回判決。
 10時41分閉廷。

Book 裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107)

著者:今井 亮一
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

人気blogランキング ← 6月3日21時20分現在、430で13位~happy02

|

2008年6月 3日 (火)

あの被告人が執行猶予中にまた

 日曜に2本(せめて1本半)原稿を書けたら月曜は裁判所へ…との段取りは、少なからぬ被告人にとっての、「刑務所を出たら(あるいは執行猶予が付いて釈放されたら)マジメに働いて被害を弁償する(または立て替えてもらったカネを返す)」という哀しい段取りと似たようなもので…月曜は傍聴をサボった。

 そして本日火曜、台風だそうなので(梅雨入りもしたのかな)下駄で裁判所へ。
 これで3回連続、下駄で行ったが、やっぱ下駄は楽だな~。とくに雨の日は良い。水たまりもばしゃばしゃ小学生のように歩けるし。
 私はもともと下駄オトコであり、ネクタイ締めて革靴を履くほうが本来は異様なのであり…けど、下駄はやっぱ裁判所では目立つ気がする…目立たず普通に地道に生きるのが夢なので…ってそんなのを夢と言うこと自体、もうダメじゃん…。

 夢といえば、今朝みた夢は、なんか若い知的な女性としばらく生活することになり、しかしべつに話すこともないので、ぶらり外へ出たら、大きな通りを右へ折れたところに、東京都の巨大保養施設があるそうで、それに関連して何件か行政文書の開示請求をしようと思い、行ったことのない情報公開室へ行ったら、「今井さんが請求したいという文書は、みんなこの本の中にあるんで」と言われ、それは大判の重いグラビア本で、書名は『東京都と庭園』だったかな、へぇ~、こんな本があるんだ~と、ふと奥付を見たら、定価326万円! さっ、さんびゃく…ななっ、なにぃっ! こりゃスクープかぁっ! と目が覚めたのが今朝7時半頃。寝たのは4時頃なのに。

 ということで、9時55分から東京簡裁728号法廷で、5月27日に第1回を傍聴した、小学2年生女児に対する「暴行」の判決。
裁判官「被告人を罰金20万円に処する。その罰金を完納できないときは、金5000円を1日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。被告人に対し、仮にその罰金に相当する金額を納付すべきことを命令する」
 判決理由のなかで、被害女児とお友達の女児の調書の内容に「矛楯がなく」と述べていたが、それは当たり前じゃん、事実がどうだろうと。矛楯があるような調書を作成した警察官は、無能、不適格者の烙印を押されるよ。でも、とりあえず出てきた書類がそうなってれば…というのが裁判なのだ。
被告人「ボクはこのあと、40日間勾留なんですか?」
裁判官「罰金20万円です」
被告人「20万円については分割でもいいんですか?」
 アルコール依存症には思えない、しっかりした口調だった。

Book 裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107)

著者:今井 亮一
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 急いで階段を下り、南側から北側へ廊下を歩き、地裁409号法廷へ。近ごろ私がハマってる、「公然わいせつ」の新件が10時からあるのだ。
 10時2分頃に法廷に入ると、台風のせいか、狭い法廷(傍聴席20席)なのに、傍聴人はぱらぱらとしかいなかった。霞っ子クラブ毒人参さんが、最前列のいちばん良い席にいた。途中で阿曽山大噴火さんが来て、途中で出て行った。

                 ………次の記事へつづく。

人気blogランキング ← 6月3日21時20分現在、どんどん落ちて13位~。でもここから17位あたりまでが定位置かな~happy02

児童撮影目的で学校侵入容疑 執行猶予中の元教諭逮捕
 と6月3日付け朝日新聞。
 あれ? 被疑者氏名に見覚えが…と思ったら、なんと、昨年の今頃に東京地裁で傍聴した「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反・著作権法違反」の被告人ではないか。あの事件、7月5日に懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年が言い渡されている。彼は、元神奈川県警本部長の息子なんだよねぇ。なんと言っていいのか…。

|

2008年5月31日 (土)

大学総長のパワーセクハラ

5月30日(金)

 午前5時頃、ようやく原稿を1本送信。
 まだ通風が痛いし雨だし、下駄で裁判所へ。恥ずかスぃ。
 10時45分頃着くと、入り口に長蛇の列。戦争関係の国賠が傍聴券で、直前に抽選か配布が終わったらしい。←この日本語、おかしい? 傍聴マニアの間でなら通じるかなと思うんだけど(笑)。

 11時から424号法廷で、4月28日に第1回を傍聴した「脅迫(被害者は