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カテゴリー「刑事/色情犯」の323件の記事

2026年7月10日 (金)

懲役を拘禁刑にしたので原判決破棄!

 本日、裁判所(東京高地簡裁合同庁舎)内の廊下で、マニア氏(傍聴歴20年!)から、しゅんごい事件の話を聞いたよっ。

 

 東京高裁、4つの犯行から成る性犯罪、の判決。

 被告人氏名は「非表示」。少年か、父親か、学校の教員か。

 検察控訴、ええっ! 検察控訴は滅多にありませぬぞえ。

 

 控訴審の判決は、原判決破棄、懲役7年、原審未決220日算入。

 原審の判決は何だと思う? ぬわんと、拘禁刑7年、その未決算入が220日だったんだろう。

 

 拘禁刑の登場は2023年7月13日。4つの性犯罪のうち2つは、その前の犯行なのに、原審は、懲役ではなく拘禁刑にしちゃったんだという。そんなポカミスもあるんだね~。

 

 検察控訴でも破棄判決でも、どっちでも、控訴審における未決勾留日数は、全部算入(法定算入)となる。
 3カ月かかったなら90日。被告人からすれば、棚からぼた餅、だよね~。

 

 そういう珍しいケースが今井は大好きだろ、傍聴できなくて悔しかっただろ?
 事件の中身に全く関係のない、いわば「お役所手続き的」なことで破棄自判になった控訴審判決を私は過去に何件か傍聴してる。なのでべつに悔しくないもん、えーん💦

2026年6月18日 (木)

「痴漢されたい女の子じつは多い」

 被告人氏名でネット検索すると、3カ月前の事件(らしきもの)がヒットする。電車内で、座席の女子高生の前に立ち「公然わいせつ」をやらかし逮捕、と。

 その氏名の被告人の「不同意わいせつ」の新件を、東京地裁の傍聴席20席の法廷で傍聴した。

 

 被告人は非身柄。50歳代、無職。ぼさぼさヘアで、ヒゲ…。

 「公然わいせつ」の話は出ず、電車内の痴漢事件のみだった。
 片手をつり革に、片手でスマホの女子高生(17歳)に対し、パーカーの上からいきなり乳房を揉み、ちょっと間を置き、女子高生がパーカーを脱ぐや、今度はTシャツの上から乳房を複数回揉んだ…。

 同種3犯を含む前科5犯。

 少し前に、電車内での女子高生に対する「公然わいせつ」で罰金刑を受けており、今回の犯行はその確定前だという。

 もう二度とやらないと誓っても誓っても、またやる…。
 本件の数日前、被告人のスマホに「痴漢されたい女の子じつは多い」などの検索履歴があるという。うわあ。

 

 男の性欲に都合の良い妄想を、男自身が無から生むことは、あんまりないんではないか。いわゆる男尊女卑、男子男系などを畑とし、AVや匿名掲示板の匿名投稿などが、種をまき、煽って育てる、そういう面が否定できないんではないか。

 とにかくね、性犯罪者の脳内は、自己の性欲に都合の良い妄想に満ち、満ち満ちてあふれ性犯罪になる、そういうものを傍聴席で感じる。

 

 求刑は拘禁刑2年6月。電車内痴漢1件の求刑としては、従来になく重い。被告人は最終陳述で、

被告人 「ほんとに、被害者の方に、申し訳ない…心からお詫びを…今後は(性癖の)治療に専念し…」

 などと長々述べた。

 次回判決。執行猶予がつくだろう。いちばん重くて、拘禁刑2年6月、執行猶予5年、付(ふ)保護観察だろう。

 被告人は、心からの反省悔悟を裁判官は酌んでくれたと思うかも。だがそれは、とんでもない勘違いですぞ。
 被告人は、こういう「正式な裁判」は初めてだそうで、ならば、電車内痴漢1件程度では執行猶予が決まりなのだ。

 次にまたやった場合、もっと深く格段に深く反省悔悟し、高額の被害弁償をしても、今度は実刑が決まり(事実上の決まり)だ。
 その趣旨を、次回、違う言い方で、裁判官は述べるだろう。傍聴しよう。

 

※追記: 傍聴した。検察官が弁論再開を請求。他県での同種事件で、そっちの地裁へ起訴、こっちへ移送になる予定だという。次回期日は追って指定。2件併せても執行猶予、膣に指を入れていたらさくっと実刑、かなと。

2026年6月16日 (火)

いつもきれいで可愛いママへ…

 東京地裁、最近やたら傍聴人が多い。

 1階にタブレット開廷表が合計18台(常時少なくとも1台は故障中)あるけど、んもぉ人だかりで大変っ。

 そんななか、我が軍は、傍聴席20席の法廷における「ストーカー行為等の規制等に関する法律違反」の審理の期日の、傍聴を勝ち取った!

 

 被告人氏名で検索すると、あるSNSがヒットする。多数の主に女子アナの投稿に対し、とにかく「大好きです!」が強烈に伝わるだけ、何らの個性も感じられない、そんな返信投稿を重ねている。

 もしや、女子アナに対するストーカーか! と期日を調べて傍聴してみたのだ。

 

 累犯1犯を含む前科2犯、それらは女子アナが被害者だったのか、分からないが、とにかく本件の被害者は、普通に子育て中のママさんのようだった。
 上記女子アナへの投稿は、前刑の逮捕の前かと見ることができる。その後投稿はぴたり止まっている。

 

 今回、勤務先の社員寮が、被害者が住むマンションに近く、幼い子を自転車で保育園等へ送る姿をか、何度か見かけ、好きになり…。

 いつもきれいで可愛いママへ…大好きだよ、愛しているよ…エッチ…ごっくん…ザーメン…上の口、下の口…結婚して夫婦になりたい…子どもたちの前でママを犯してやりたい…アナル…顔射…ママのおしっこも飲みたいよ…愛し続けていくよ…等々、等々を書いた手紙を、3回にわたり、被害女性の自転車のある部分にひそませたのだという。

 それらの手紙は、アダルトビデオを視聴したのちに書いたのだという。

 

 AVに刺激された妄想を、自慰行為的に書き連ね、単にイタズラ気分で、ならば、ストーカー規制法の構成要件から外れる、おおむねその方向でか、弁護人は「無罪であります」と主張した。
 被害者との関係を期待しないからこそ、手紙に自分の氏名等を書かなかった…などと。

 でも、どうなんだろ。氏名等を書けば、

 ・直ちに逮捕される
 ・こんなに愛してる自分を被害者は受け容れてくれる

 どっちか半々と思い、いや、後者が8割と思うがしかし、前科を考えれば、2割のリスクといえども、と怖れて氏名等を書かなかった、と考えるのが合理的かどうか。

 そうした妄想を、AVは、つくり育てる面があるようだ、と色情裁判も多く傍聴してきて私は感じる。

 

 なんにしても、一般論として、性犯罪者は、被害者の恐怖等を想像しにくく、自分の欲望に都合よく妄想したがる、とは言えるんではないか。

 求刑は懲役10月。次回判決。

 被告人は拘置所の刑務官2人に挟まれて被告人席に座り、終始、難しい顔でうつむき、目を閉じていた、満席の傍聴人(うち半分=10人は男子高校生)から見つめられ…。

 

 地下の至誠堂書店へ。鈴木エイトさんの『アンビバレント』(講談社)が、おお、平積みになっていた。買った。

 帰りの電車内で、眼鏡を外して同書を顔に近づけ、読み始めた。分かりやすくて面白い! 何を熱読しているか、回りの乗客諸氏にバレちゃったかも、わはは。

 ちなみにアンビバレント、コトバンクに「相反する感情が同時に存在する様」とある。それそれ、まさにそれが、人間を考えるときに最も重要なことで、かつ、多くの人に、特に検察官や裁判官の職務に、最も理解されにくいこと、ではないかと。

2026年6月10日 (水)

アイドルのライブのチケットにからむ事件

 最近傍聴したのを少し。

 

 東京地裁720号法廷(42席)で「盗品等保管」の控訴審判決。

 被告人(女性氏名)は不出頭。高裁は被告人の出頭を要しない。

裁判長 「主文。本件控訴を棄却する。当審における未決勾留日数中150日を原判決の懲役刑に算入する」

 窃盗や覚醒剤等々で累犯前科2犯か。ナンバーのない普通乗用車(プリウス。時価約30万円相当)を盗品と聞いて譲り受け、自分でナンバーを取り付けた、と一審(水戸地裁かな)ではぜーんぶ認め、懲役10月、罰金20万円に。

 ところが「盗品と知らなかった」と控訴。原審の供述を180度変える理由は、明らかにされていないんだという。いったい何があったのか。

 

 東京地裁533号法廷(20席)で「脅迫、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反」の新件。

 被告人は身柄(警察留置場)、30代女性。これはびっくりな事件だった。

 要するにだ、アイドルか何かのライブの、個々人が正規に勝ったチケット、の交換がよく行われているらしく、被告人は自分が買ったチケットを本件被害者Aに譲り、Aが買ったチケットをもらおうとしたら、じつはAはチケットを入手しておらず、転売のチケットを入手しようとしたができず、頭にきた被告人が、脅しの文言を含むメールを送り、つきまといに当たることをした、というふうな事件と私は聴き取った。

 Aは被害者。一方、被告人は、逮捕されずっと勾留され、仕事も住居も失った。ファンとしての活動はもうできず、生き甲斐も失った…。

 長く裁判傍聴をやってると、「被害者になったもん勝ちの法則」が確かにあることを時々感じる。本件もそれなのかどうか、しかし刑事裁判はそんなこととは別次元にある。

 

 被告人質問で検察官は、本件が略式処理のはずの事件だったことを明かした。被告人は、きちんと裁いてほしくて略式に応じなかったという。
 てことは? そう、求刑は罰金20万円だった。判決は「罰金20万円、未決勾留日数中の1日を金5千円を換算して刑に満つるまで算入」だろう。

 ところが弁護人は、罰金刑の、きわめて希有な執行猶予を求めた。満つるまで算入で罰金は払い終えたことになるとしても、罰金の実刑は実刑。執行猶予のほうが刑罰としては軽い、そゆことか、うーん。

 なんにしても、人気アイドルのライブのチケットにからむトラブルが、ときどき法廷へ出てくる。何倍も何十倍も埋もれてるんじゃないか。
 次回判決、裁判官は何を言うか何も言わないか、傍聴しよう!

 

 東京簡裁826号法廷で「住居侵入未遂、住居侵入」の審理。

 色情系の臭いがする…ビンゴだった。

 容姿が好みの女性社員の、机の上にたまたまあった鍵の番号を、上司である取締役(被告人)が見て、合鍵をつくり、その女性宅(マンションの1室?)へ、女性社員の留守中に度々侵入し…。

 女性社員の精神的ショックは大きく(そりゃそうだろう)、仕事は続けられず、引越を余儀なくされ、引っ越しても不安は消えず…。

 あるあるな事件の、これもまた1件といえる。ただ、被告人は意外にも身柄(拘置所)だった。
 5分ほど休廷して判決。懲役2年6月、執行猶予4年。4年は長い。身柄のことと併せ、よっぽど悪質なあれこれがあったのか…。

 

 それから私はお向かいの警察庁へ。長年やってる大事な開示請求を、今年はころっと忘れていたことに気づき(やばっ!)、4件を請求してきた。印紙合計1200円。

2026年6月 8日 (月)

ストーカーの検挙、激増した!?

 警視庁(いわば東京都警察本部)の2022年の統計の、第68表「ストーカー規制法違反等の措置状況」、これについて2023年11月に書いた。

 今、2026年6月。2024年分の第68表「ストーカー規制法違反等の措置状況」のデータを、2022年分と比べてみよう。

 「ストーカー行為等に係る相談」は、2022年が1207件、2024年は1455件。250件ほど増えた。

 以下、法律にもとづく措置だ。各条がどんな規定か、2023年11月の記事のほうに書いた。気になる方はご参照ください。「ストーカー行為等の規制等に関する法律」。

 

 「警告書の交付(第4条)」は、504件から、438件へと減った。

 「禁止命令等(第5条)」は、164件から、399件へ、約2.4倍に増えた。

 「援助の実施(第7条)」は、742件から、717件へ、少し減った。

 

 「ストーカー行為罪(第18条)」による検挙は、166件から、248件へと1.5倍に増えた。

 「禁止命令等違反(第19・20条)」による検挙は、16件から、52件へと3倍以上に増えた。


 第18条はこうだ。

第十八条  ストーカー行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。

 第19条、20条はこうだ。

第十九条 禁止命令等(第五条第一項第一号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行為をした者は、二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金に処する。
 前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。

第二十条 前条に規定するもののほか、禁止命令等に違反した者は、六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

 

 2024年は集計方法を変更したため単純な比較はできないというが、ま、そんな感じ。

 

 「ストーカー行為等の規制等に関する法律違反」は、東京地裁の法廷へもときどき出てくる。

 「不同意わいせつ」や「不同意性交等」と並んで、傍聴人に人気が高い。傍聴席はぎっしり満席、ドアの外に空き待ちの行列が。

 そんな裁判を、ストーカー男(または女)はいっぺん傍聴してみれば、と思うがしかし、傍聴しないだろうねぇ。

2026年6月 6日 (土)

盗撮犯が968件・720人から102件・44人へ激減!?

 先日、久しぶりに警視庁へ。

 文書を1件(2年分)開示を受けたついでに、「警視庁の統計」の一部をコピーしてきた。

 

 その一部を今ちらっと見て、ぎょ仰天!!!

 「第67表 迷惑防止条例違反の検挙状況」の、「触れる行為」つまり痴漢と、「盗撮行為」つまり盗撮の、2023年と2024年のデータがこうなっていた。

 

痴漢 2023年=813件・746人 2024年=725件・676人

盗撮 2023年=968件・720人 2024年=102件・44人

 

 盗撮犯が、げっ激減!? いったいどうしたんだっ!? びっくりするでしょ、びっくりしたよぅ。

 

 5分以内に私は気付いた。2023年7月13日、盗撮新法こと「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」が施行されたから、と解される。

 盗撮事件の、東京地裁における開廷表の罪名は、ぜんぶかどうか「性的姿態等撮影」だ。そっちで検挙するようになり、「迷惑防止条例違反」での検挙は激減したんだね。なーんだ。

 うちの資料の棚に、2022年の同データがあった。盗撮は986件・789人だ。

 

 2023年7月13日、盗撮新法が施行され、刑罰は3倍になったこと、盗撮犯たちは知ってるか。いや、ほとんど知らないんじゃないかな。

 以前は罰金刑で済んだ事件が、執行猶予付き懲役、いや拘禁刑になることもあるだろう。執行猶予付きでも拘禁刑前科1犯。医師は医業停止、公務員は失職…。

 男の性欲、性的好奇心、性的工夫心(くふうごころ)は止まらないのだ。

2026年5月19日 (火)

脳内に「痴漢→快感」の回路が出来上がり

 伝説のメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」の第2374号「電車内痴漢をなぜやったのか、なぜ線路へ飛び降り逃げたのか」(2020年2月22日発行号)の編集後記に書いたこと、こっちへも、と思って下書きに保存し、ころっと忘れてた。

 少し手を加え、今ここに。

 

 

 痴漢もの、レイプもの、幼児陵辱もの、SMもの、いろんなAV(アダルトビデオ。※)等がある。 ※DVDでもビデオという決まりらしい。技術的なことは私はよくわかんない。

 で、たとえばこんなことが言われる。

 痴漢をやりたい男はいっぱいいて、痴漢もののAVで欲望が発散される。現実の痴漢犯罪の抑止になっている。

 果たしてそうか? と私は裁判傍聴を重ねて感じ始めた。

 

 若い男(年齢だけではないかも)の脳内は、結局は性的欲望、性欲でいっぱいといえる。

 たまたま、たとえば痴漢もののビデオ等に接し、「うわあ、すげえ!」と興奮し、のめり込むことはあるでしょ。

 

 毎日、痴漢もので“抜く”、自慰行為をして射精する、快感を得る、得続ける。

 痴漢で射精、痴漢で射精、やがて脳内に、「痴漢→快感」という回路、太い回路が出来上がる。 ※このへん、裁判傍聴で知った条件反射制御法の影響を私は受けている。

 

 そうして、ストレス(不快)をため込む日々が続いたとき、おとなしそうな好みの女性を電車内で見つけたとき、脳内のその回路に強い電気信号が走り、リアル痴漢を実行…そういうことってあるんじゃないか。

 表現の自由がどうこうとはまたべつに、あるいは同時に、そういうことも考えるべきか、なーんて、裁判を傍聴して悩む人、ほかにも10人以上いるよね? いてください~。

 

 加えて、痴漢犯罪者および痴漢犯罪予備軍が集まる匿名掲示板があるのだと、裁判傍聴で私は知った。
 痴漢できる路線、区間、号車、何番ドア付近、時間帯などの情報を交換するらしい。

 掲示板の参集者らが1人の女性を狙った、という事件もあった。
 東京の××線の××駅から××駅の間はやり放題とか掲示板で知り、地方からわざわざ上京した被告人もいた。

 そういう性欲男が、全体の中では一部としても、けっこうぼろぼろいるのだと、女性諸氏はご存知なのだろうか…。

2026年5月17日 (日)

月収280万円のDV男、離婚して養育費は月2万円

 2009年6月11日の記事が、いかにとやせむ、長すぎる。その一部を切り取り、こちらへ移す、若干の加除訂正等をして。

 

 11時から東京地裁719号法廷(江見健一裁判官)で、5月20日に第1回(818号法廷)を傍聴した「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律違反、傷害」の第2回。

 被告人(DV元夫)と被害者(元妻)の言い分が真っ向から食い違ってる事件だ。

 719号も20席。ヤバイぞと10時40分過ぎに法廷前へ。んが、法廷前はガラーン。そばの待合室に2人居るのみ。

 10時55分過ぎか、続々と傍聴人がきた。20人超えたんじゃないか。11時ちょうどにドアの施錠が解かれ、たちまちぎっしり満席。

 

 この日は11時10分から、4月22日に第1回を、5月11日に第2回を傍聴した「名誉毀損」(報道された事件)の判決が地裁716号法廷である。途中ちらっと抜けてそっちへ…と思ってたが、ムリっ。

 検察官が甲号証を何点か追加請求。

 弁護人(どえらく淡々として頭良さそうな男性)は、甲11号証、員面(司法警察員面前調書)を一部不同意とし、しかし書面は用意しておらず、「1ページ目、×行の『会うこと』から、×行の『すすめました』まで…」という具合に、淡々と延々と述べ始めた。いつまで続くんだ?

裁判官 「(甲11の員面は)ぜんぶで何ページあるんですか?」
弁護人 「21ページ…」

 ぬわにぃ~っ!! 私が目をむくより早く、裁判官が体を起こしてペンを投げた(といっても手元の机上に)。

裁判官 「延々続けるつもりですか?」

 どこを不同意とするか、検察官には伝えてるそうで(口頭で延々と伝えたんだろうか)、正式にはあとで書面で出すことにして、不同意部分を除いた部分について検察官が要旨を告知、という形で進行…。

 そして被告人質問。検察官からの最後の質問が圧巻だったというか。

検察官 「月2万円、養育費、精一杯ですか」
被告人 「これから何十年も払っていくことを考えると…」
検察官 「収入(月収)は?」
被告人 「280万円…」

 にっ280万? じつは被告人(20歳代後半、罰金前科1犯)は「会社役員」だそうで、犯行場所つまり犯行時の住居は東京湾岸のいわゆるタワマンなのである。

検察官 「現在、交際している人は居ますか」
被告人 「居ません」
検察官 「沖縄へ行くとき同伴していた人、妊娠してますが、誰の子ですか」
被告人 「私の子です」
検察官 「終わります」

 ええっ!? そんな話を、検察官はどっから仕入れてきたんだー!?

 続いて被害者(元妻)の意見陳述。ま~、見たこともない素敵な洋服の、背の高い女性だった。モデルさん?
 ずっと不動だった被告人が、陳述の途中、シャツの袖をいじったり、ベルトの辺りをいじったり、ニヤニヤしたり…。

 求刑は懲役1年。12時11分閉廷。

※2026年5月17日追記: 判決も傍聴した。懲役1年、執行猶予4年、付保護観察。些細なことから爆発的に激昂して暴力をふるい、興奮が収まると劇的に優しくなって謝罪し、二度としないと誓う、そのくり返し、というところを重くみたのか。

2026年5月16日 (土)

やり残したことはありますか?

 2009年6月8日の、やたら長い記事、その中程に、前代未聞というべき珍しいシーンが出てくる。その部分を切り取り、若干の加除訂正をして以下に移すこととした。

 

 6月5日(金)東京地裁、傍聴席20席の法廷はぎっしり満席だった。2、3席空けばすぐまた埋まる。まるで夏休みのようだ。

 判決が連続4件、うち3件目は…。

 

 16時15分から「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反、傷害」の判決。

 

裁判官 「(被告人を証言台の前に立たせ)判決の前に、何か言いたいことがありますか? やり残したこととか」

 ええっ? 最終陳述は前回で終わってるはず。判決期日にわざわざそんなことを言うって!

弁護人 「ど…どういう手続きなんでしょうか?」

 弁護人は、ときどき見かける、私が“格闘技系”と勝手に呼んでる人だ。

裁判官 「んーとね、どうしようかな、うん…今回とくに定まった住所もなく、このまま社会に戻ったあと、どうするんだ? と前回…。昔勤めてた池袋の会社へ戻ってきていいんだと…」

 確実に戻れるのか、という趣旨のことを裁判官は尋ねた。

被告人 「…連絡は取り合ってるんですけど…」
裁判官 「その結果(確実に戻れるならそのこと)を、この法廷に出すつもりはないのかな。はっきり言えば、(戻れるというのは)あなたの主観だけども、客観的な…(メモしきれず)…はないと?」
被告人 「戻ってきていいとは言われてたんですけど」
裁判官 「それ、一筆書いてもらうとか? 証拠がないんだよ…」

 ええっ? 釈放後に確実に仕事を始められるなら執行猶予を付ける、無職(&たぶん住所不定)の状態になるなら実刑、猶予か実刑かぎりぎりなので、安心して執行猶予を付けられる証拠があるなら出しなさい、とチャンスを与えてるようにしか、私が不勉強なのかどうか、聞こえないんですけどっ。

 一般に、裁判は紙の上で行われる。大事な情状は、本人の供述だけでは足りない、雇用主なら雇用主から一筆もらってほしい、あるいは法廷で証言してほしい、ということが確かにあるやに思われる。

 そして、一般に弁護人は、特に国選弁護人は、そういう頭がなく、機微が分からず、ありきたりな弁護しかしないことが、多いとまでは言わないけども、珍しくない。本件については詳細を知らないので何とも言えないが。

弁護人 「これは、調書に残すんでしょうか?」

 調書というのは、あれ、何ていうんだっけ、もう忘れちゃった。その期日にどんな手続きがあったか、書記官が簡潔に記載して記録に綴じ込む、そういう書類のことだ。

裁判官 「今のは調書に残りません。再開するかどうか決めるに当たって、事実上の取調べということなんで」

 裁判官は、弁護人と被告人で相談するよう言い、2人はその場でひそひそ話した。そして…。

弁護人 「事前に書面で申し上げたとおりです」

 最終弁論要旨のとおり、ということだね。すると…。

裁判官 「ほんとにそれでいいんですか? 刑の変わる可能性もありますんで。どうですか、ほんとにいいんですか?」

 執行猶予か実刑か、よっぽどぎりぎりなわけ?

被告人 「…しか…その会社…」

 何言ってるのか、ほとんど聴き取れない。

弁護人 「あの…不勉強か知れませんが、これはどういう手続きなんでしょう」
裁判官 「職権で再開するか決める…規則33条1項で当然できると思います。(調書には)結果だけ…経緯については残す必要ないと思います」

 刑事訴訟規則の、これのことかなぁ…いや、わかんない、別の規則かも。

(決定、命令の手続・法第四十三条)
第三十三条
 決定は、申立により公判廷でするとき、又は公判廷における申立によりするときは、訴訟関係人の陳述を聴かなければならない。その他の場合には、訴訟関係人の陳述を聴かないでこれをすることができる。但し、特別の定のある場合は、この限りでない。

 

 また弁護人と被告人がひそひそ話した。

被告人 「会社…というのが…へんな感じでヤメるようになってて…」

裁判官 「かえって聞きにくい(被告人は言いにくい)こと聞いちゃったかな? そうすると、とくに思い残すこと、やり残したこと、ない?」

 もう完全に、これで実刑が決まった、と聞こえる。被告人はどれくらい分かってるんだろうか。

被告人 「………でヤメたので、直接行って頭を下げて……って言えば、はい…」

 逮捕、勾留され長く姿をくらましていても、戻ればすぐまた雇ってもらえる、そういう業界、そういう関係、らしい。

裁判官 「今、労役場留置中だから、直ちに釈放されることないから、しょーがないのかな?」

 ん? 労役場留置中? てことは、前の罰金を払ってないまま本件をやったわけか、あら~。

裁判官 「じゃ、よろしいでしょうか」
弁護人 「それは、どう聞いてよろしいのでしょうか…」

 弁護人は、だいぶ戸惑ってるようだった。しかしきっぱり言った。

弁護人 「弁論再開、請求しません」

 ようやく判決が言い渡された。

裁判官 「主文、被告人を懲役8月に処する。主文は以上です」 ※8月=はちげつ

 判決理由によると、朝8時頃、総武線の電車内で痴漢をし、手をつかまれて振りほどき、勢いよくホームを走り、駅員を突き飛ばした(手で突いて転倒させた)という事件らしい。

 前科は、聴き取れたところによれば、2004年7月に痴漢で罰金30万円。同年11月に客引きで…(聴き取れず)。2005年3月に風営法で罰金20万円。2007年11月に痴漢で罰金50万円。その納付もしないうちの本件痴漢。駅員は宥恕の意思を示している…。

 

 公判請求が初めてで、懲役8月程度で実刑とは、私が1600件ほど傍聴してきた限りでは、だいぶ異例だ。

 罰金刑を受けても受けても次々と犯行を重ね、最後の罰金を払わず、同種犯行に及び、駅員を突き飛ばして逃走を図った、そのへんは悪質ゆえに、実刑が相当、でもでもしかし、稼働先が決まっているなら執行猶予を、ということだったのか。

 こんなシーンを目撃できるのが裁判傍聴の醍醐味だ、と興奮する私は裏街道、独り旅、じゃないよね?

2026年5月12日 (火)

盗撮ハンターも、ゴミ集積所からの下着ドロも、健在!

 5月11日(月)の夕方、都心の某所で草取りのお手伝いを命じられ。

 

 草取りは夕方頃から。そしたら我々マニアは考えるじゃないか。どうせ都心へ出るなら、午後からでもちらっと東京地裁へ、と。
 今日は傍聴予定がない。連休明けだから開廷は少ないだろう。傍聴席争奪戦になるはず。適当に何か少し傍聴できればいいや、と。ねえ。

 そしたら、なんとびっくり、東京地裁の刑事の開廷が98件も!
 平時はだいたい50~60件、70件だと多い、40件だと少なめ、のところ98件、びっくりだ。弁護士さんたちも連休は10(日)まで、だったのだね。

 

 13時過ぎ、811号法廷(20席)へ行くと、もうドアの施錠が解かれており、傍聴人が10数人いた。なんでっ?

 13時10分~13時20分、被告人が女性氏名の「覚醒剤取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反」が入ってるのだった。

 被告人(身柄、拘置所)は、長身でちょっと個性的女性俳優風。ただ、ちょっと、ぽやーんとした感じが。
 精神疾患があり、ダイエット目的で薬物を、だという。

 判決は、拘禁刑1年8月、未決20日算入、拘禁刑の一部である6月につき執行猶予2年、付保護観察、覚醒剤1袋没収。

裁判官 「ですから、1年と1カ月ちょっとを服役し、いったん社会へ出る…」

 と説明し、被告人は「はい、はい」と応じていた。しかしっ…。

 被告人は2024年3月に「麻薬及び向精神薬取締法違反」で懲役2年、執行猶予3年を受けてるんだという。本件を控訴、上告しても、猶予明けまで延ばせないはず。
 だから「1年と1カ月ちょっと」じゃなく3年ちょいを服役するわけだ。そんなに服役させ、釈放して、これから6カ月間は保護観察付き執行猶予2年ですって、古い温泉旅館の、今となっては意味不明の増築通路、みたいな? そうでもないのかな?

 

 13時13分閉廷。私以外の傍聴人がどっと出た。13時30分からの何か新件へ行くんだね、なんだろ。

 私は残った。13時20分~13時30分、「恐喝」の判決、これを傍聴したくて811号法廷へ来たのだ。もしかして盗撮ハンターかもしれないから。

 被告人(非身柄)は若い。20代か。ずばり盗撮ハンターだった!
 共犯者とともに盗撮犯から120万円を脅し取り、のちに共犯者が120万円、被告人が20万円を被害弁償したという。

 判決は、懲役2年、執行猶予4年。13時22分閉廷(期日の2分前に開廷していた)。

 盗撮ハンター、滅多に報道されないけど、地道に盗撮犯を食ってる、その可能性は大いにありだよね。

 

 中央廊下を北側へ急ぎ、816号法廷(20席)、13時30分~、「暴行、傷害、銃砲刀剣類所持等取締法違反」の新件。
 んもぉ、とっくにほぼ満席!

 

 あわてて非常階段を1フロア上り、715号法廷(52席)へ。13時30分~13時40分、「不同意わいせつ」の判決。

 こっちはガラガラだった。…んが、廊下の開廷表をメモっていると、後ろを、総務課の黄色い腕章を付けた職員が1人、小走りで奧の法廷へ。なんだっ?

 

 715号の奧の716号法廷(20席)は、13時30分~14時30分、「建造物侵入、窃盗、住居侵入」の新件が入ってる。傍聴人はパラパラ程度。うむぅ。どうするどうするっ? 私は「建造物侵入、窃盗、住居侵入」を選択した。

 被告人は身柄(警察留置場)、40代。なんと、女子寮のマンションのゴミ集積所へ窃盗の目的で違法に侵入し、「パンツ」など在中のビニール袋(4点で時価500円相当か)を窃取したんだという。

 その犯行スタイル、だいぶ何年も前に傍聴した。自室から大量の女性下着が発見され、多くをゴミ集積所から…という事件だった。そうやって集めた女性下着の量を自慢し合う匿名掲示板があることを、そのとき知った。以来、すっかり忘れていたが…。

 追起訴があり続行。13時45分閉廷。

 

 地下の至誠堂書店で、注文してあった『新書 世界現代史 なぜ「力こそ正義」はよみがえったのか』(講談社現代新書)を買い、エレベータで8階へ。

 

 14時30分~、816号法廷で「道路交通法違反」の新件。被告人(在宅)は、黒スーツにネクタイ、目かぶりヘアの、なんかホスト風の若者だ。

 東京からだいぶ遠い県で水産高校を卒業、漁師を3年やり、バーで2カ月働き、上京を決め、その送別会で酒を飲み、普通乗用車を運転、そこから先がちょっとややこしいのだが、ま、公訴事実は、物損事故の報告義務違反と、酒気帯び運転(0.23mg)。

 某県での事件だけども、被告人は上京してホストクラブに勤務。なので、東京地裁で裁判をやるわけだ。

 

 検察官からの被告人質問(反対質問)が始まったところで私はそっと退出、草むしりへ。

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