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カテゴリー「刑事/色情犯」の220件の記事

2023年9月24日 (日)

ミニスカ&Tバックで尻、腿を女装露出

Screenshot-20230924-at-195030  なかなか興味深い、読み応えのある記事だと思う。
 「「アンダーブーブはファッション、ビキニは軽犯罪か」…あいまいな過多露出基準=韓国(1)」と8月21日付け中央日報/中央日報日本語版。 ※画像はその記事のスクリーンショット。

 こんな部分がある。

 キム代表が話した「昨年の似たこと」とは7、8月にインフルエンサーのイム・グリンとユーチューバーのBOSS Jがビキニ姿で江南駅と梨泰院(イテウォン)駅周辺でバイクに乗ったもので、当時、参加者は軽犯罪処罰法上の過多露出罪で立件され、同年11月に送検され、5月に略式起訴された。
  (中略)
 該当条項は公開された場所で性器・尻など身体の主要部位を露出して他人に恥ずかしい思いをさせたり不快感を与えた者は10万ウォン(約1万円)以下の罰金または拘留、過料の刑で処罰すると明示している。

 「過料」は「科料」の誤記かも。いや、わかりませんけど。

 

 日本の軽犯罪法にもそういうのがある。以下は第1条の柱書と、第34号まであるうちの第20号のみだ。

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
 二十 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者

 20号露出とでもいうべき「軽犯罪法違反」の刑事裁判を、私は何件か傍聴した。
 うち1件、東京高裁の控訴審判決について、メルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」(2022年11月末の第2697号をもって終了)から、一部転載しよう。
 被告人は不出頭、裁判長は後藤眞理子裁判官、主文は控訴棄却だった。

 

 刑法の「公然わいせつ」ではなく「軽犯罪法」、いったいどんな「仕方」で何を「露出」したのか。

裁判官 「午前3時30分頃…Tバック下着…ミニスカート…尻、腿を露出した…」

 「女装」という語が出てきた。被告人は男性なのだ。年齢は不明だが。
 弁護人(中堅男性。それが地なのか、つまらなさそうな目つき)は、あらゆることを主張していた。

 ことさらに露出する意図はなく、臀部は下部を露出したに過ぎない。第20号の構成要件に該当しない…。
 誰も注視しておらず、嫌悪の情をもよおす者はいなかった。不愉快に思う者は皆無と考えられる…。
 女装は被告人にとって性欲発散行為であり、これを咎めることは自由を侵害する…。
 自宅で女装を楽しんでいたところ、たまたま急遽(きゅうきょ)手紙を投函する必要があって外出しただけ…。

 裁判長はいちいちぴしゃっと退けた。「通常人の風俗感情のうえで不快の念を…」という言い回しも出てきた。
 外出については、捜査段階でか原審の法廷でか、被告人自身がこんな供述をしているんだという。

供述  「欲望を抑えられず、もう少し歩きたいと遠回りして帰宅した」

 原判決は拘留10日だという。弁護人は科料が相当と主張したが…。

裁判官 「いずれも同種…平成×年10月、平成×年(翌年)7月、科料の略式命令を受け…本件犯行は(平成×年7月の科料から)わずか8カ月後…」

 それじゃあ量刑相場的に拘留とせざるを得ないわねぇ。
 拘留の執行猶予? それは無理だ。執行猶予を付けられるのは「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」についてだけと刑法第25条第1項が定めているので。

 裁判長はこんなことも言った。

裁判官 「もはや監督する立場の者は存在しないと認められる…」

 「もはや」ってことは、離婚されたか、親御さんが亡くなったか、被告人を見放して去ったか…。
 孤独を深めてますます女装徘徊が生き甲斐になったりしないか、ちょっと心配な気がした。

 

 こんな哀愁の(?)レポートもメルマガには書いていたのですよ。懐かしい。
 被告人の氏名で今ネット検索してみた。完全ノーヒットだ。どんな人生をお暮らしやら。

 

 ヘンリー・マンシーニのこの曲が聞こえてしまうのは、いくらなんでも不謹慎だろうか。

 ←9月24日19時50分現在、週間INが402位。

※追記  以下は刑法。

(拘留)
 第十六条 拘留は、一日以上三十日未満とし、刑事施設に拘置する。
(科料)
 第十七条 科料は、千円以上一万円未満とする。

2023年9月15日 (金)

気が弱い、もっと触れると思い、さらに女児の胸を触った

2303224_20230915050501  東京地裁で「邸宅侵入、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反」。

 略して「迷惑条例違反」の部分は、盗撮とか、恋愛感情ではなく悪意の感情によるつきまといとか、いろいろあるけど、「邸宅侵入」との組み合わせでいちばん多いのは、あれかな。
 傍聴してみた。やっぱりそれだった。

 

 被告人は30歳代、髪が濃い。犯行時は会社員。
 午後から夜遅くまでの勤務で、19時頃に1時間の休憩あり。
 日常に何か刺激がほしい…。
 前の道路を、塾帰りの女児が2人、通りかかった。
 途中で2人は別れた。1人のほうを被告人は尾行。早く触りたいと興奮しつつ。

 女児はマンションへ。
 オートロックを2つクリアして被告人は尾行。
 女児はエレベータに乗った。タワーマンションかと思われ。

 女児に続いて被告人も乗った。
 被告人は、女児がボタンを押した階より上の階のボタンを押した。
 女児は、先に下りるため、エレベータのドアの近くに立った。
 後ろから被告人は、女児の「お尻の割れ目のところ」を触った。
 女児は振り向いて「やめてください」と言った。
 被告人は「すみません、寂しくて」と言い、寂しそうな顔をした。
 女児の声が小さかったことから、気が弱い、もっと触れる、と被告人は思い、さらに女児の胸を触った。

 そのとき女児の背後でエレベータのドアが開いた。
 女児は走って逃げ、自宅へ。
 迎えた母親によれば、女児は涙を浮かべ、見たこともないおびえた顔をしていたという。

 追起訴があり続行。

 

「信じられない、とんでもないクソ野郎がいたもんだ!」

 と世間の方は驚かれるだろうか。
 しかし裁判傍聴マニアからすれば、脳に性欲の寄生虫がわき、相手の気持ちはもちろん、自分が捕まってどうなるかも、全く思いつかない、考えられない、そんな男はうようよいる。
 夜間に女性(女児)を尾行し、マンションのエレベータ内で体を触る、それはあるあるだ。

 そういうものだとは女性たちは知らず、今夜も同様の被害、似たような被害が起こる、起こり続ける。
 裁判所は、淡々と、相場どおりの有罪判決を言い渡し続ける、飽きることなく。
 世の中どうなってんだ、という思いを深く味わえるのが、裁判傍聴の醍醐味か。


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 ←9月15日5時00分現在、週間INが402位。

2023年9月 9日 (土)

性加害の伏魔殿、大規模な黙認、のイメージなので

Screenshot-20230909-at-183510  偉大な芸能興行師であると同時に希代の性加害者でもあった。
 前者のパワーが大きかったため、メディアは性加害を黙認した、ゆえに性加害は止むことがなかった。
 そんな構造のもとでは、同種の性加害者が寄ってきたのではないか。

 「ジャニーズ事務所」は私の語力では「ジャニーの事務所」だ。
 希代の性加害者の名を冠して今後も進むって、ちょとあり得ない。黙認の姿勢を崩さないつもりか。

 とまあ、芸能方面は全く疎い私の、現時点での認識だ。
 それってあなたの感想ですよね? おっしゃるとおり。

 

 9月9日の日経新聞にこんな記事が。

ジャニーズ起用、見直し拡大 アサヒGHDやキリンHD、広告展開せず 人権侵害巡る海外の目厳しく
 ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川元社長による性加害問題を巡り、スポンサー企業で所属タレントの起用を見直す動きが広がっている。アサヒグループホールディングス(GHD)やキリンホールディングス(HD)は8日、広告や販促に起用しない方針を決めた。人権侵害を巡る対応には海外を中心に厳しい視線が注がれている。
 アサヒGHDは8日、ジャニーズ事務所のタレントを起用した広告や販促を展開しない方針を発表した。…

 私は紙の新聞で読んだ。

 酒方面の4社について書かれている。まずはアサヒから。

 アサヒGHDは8日、ジャニーズ事務所のタレントを起用した広告や販促を展開しない方針を発表した。「ステークスホルダーによる人権侵害を助長しないよう努めると定めたグループ人権方針に相反する」。

 「グループ人権方針」、そんなのがあるんやねえ。

 てかステークホルダー? なんだそれ。
 ATOKの変換候補に stakeholder とある。stakeとは、この場合は利害関係のことらしい。利害関係を持つ者か。ふうん。

 キリンはこうだ。

 キリンHDは家庭用ビールサーバー「ホームタップ」のテレビCMに重岡大毅さん、飲料「午後の紅茶」に目黒蓮さんを起用するが、契約満了をもって解除する方針。同事務所のタレントの起用は今後見送る。同社は「事務所が具体的な行動を起こすことが問題解決のために不可欠だが、それには一定の時間を要すると判断した」という。

 サントリーは、

 サントリーホールディングスは「被害者への救済や再発防止策を精査し、これからの対応を検討する」。

 様子見、ですかね。
 サッポロは、

 サッポロビールは「今回の件で契約終了はないが、マーケティング上の検討の中で変更の可能性はある」と含みを持たせた。

 

 私にとって「ジャニーズ事務所」は、性加害の伏魔殿、大規模な黙認、のイメージなので、ビールや酎ハイを飲むとき、やっぱ…。
 ちょと待て、私はテレビを卒業しちゃったから、どのCMにどのタレントさんが出てるか、知らない。

 外飲みのとき、店頭にアサヒのポスターが貼ってあったら「おっ、ここにしよう」とかそういうことはありそう。

 ←9月9日18時30分現在、週間INが402位。

2023年7月29日 (土)

美容整形外科医は「死んだ幽霊」に

22040235-2_20230729151101  東京地裁恒例、夏休み、恐怖の傍聴席争奪戦争。
 結局、数十人規模の団体さんが来ているか、何組来ているか、そこに大きく左右されるんだね。

 単純にいえば、平時は20人の行列だとして、40人の団体さんが加われば行列は60人。
 団体さんが10人ずつに分散して、傍聴席20席の法廷に入れば、残りは10席。
 10人ずつのグループが2つ来れば、20席は埋まってしまう。東京地裁名物、埋め尽くし傍聴である。

 

 7月28日(金)13時30分から東京地裁の422号法廷(52席)で「わいせつ略取、準強制性交等、準強制わいせつ、強制わいせつ」の審理の期日があった。
 これ、第1回は昨年11月、以来ずっと追起訴が続いてる。いくらなんでも、そろそろ(追起訴は)終わるんじゃないか。傍聴に出かけた。

 恐怖の夏休みにこの罪名はヤバイ!
 1階の開廷表を見ると、同じ法廷に13時15分から「業務上横領」の判決が入っていた。ヤバイ!

 私は焦って12時35分頃に行った。
 しかし、法廷前は無人~。がらーんとしている。
 13時00分、行列は11人。少なっ。こんなこともあるんだね。

 

 「業務上横領」の被告人は非身柄。長袖ワイシャツに黒ズボン、スリム体型でメガネで禿げめで、ま、サラリーマン風の中年男性だ。

裁判官 「主文。被告人を懲役1年6月に処する」

 実刑だ。そのあとを聞いて私は驚いた。

裁判官 「警視庁富坂警察署…警務課長代理…被害額…320万円余り…相応に狡猾…風俗店の遊興や、クレジットカードの支払のため…10万円を被害弁償…起訴外の…28万円を支払い…自首した…前科前歴がない…十分考慮しても…」

 被告人氏名では報道ヒットなし。「警察 320万円 横領」でヒットがあった。たとえば「警察職員が320万円横領 容疑で書類送検、免職―警視庁」と今年3月24日、時事通信が報じている。

 

 それから「わいせつ略取、準強制性交等、準強制わいせつ、強制わいせつ」の審理。

 「性的暴行で逮捕4回…美容外科医が初公判で語った「悪どい手口」」などと報じられた事件だ。
 今日も追起訴だった。
 追起訴状は3月20日付けと5月9日付けと5月23日付けと5月25日付け。被害者の呼称はHさんからOさんまで。
 顔の脂肪吸引手術などで来院した女性らにプロコフォールなどの麻酔薬を投与し、「処置室4」で、動画撮影をしながら口腔性交、性交等ヤリ放題…。

 私は傍聴ノートに被告人の絵を滅多に描かない。私の場合は、文字でスケッチする。
 私は傍聴ノートにこう書いた、「死んだ幽霊」と。
 まだまだ追起訴があるんだそうだ。判決は懲役10年を軽々超えるだろう。20年も超えるかも。

 

 14時30分か東京高裁の805号法廷(42席)で「傷害」の控訴審判決。

 「トー横キッズ」がらみ。路上飲みのオッサンが立ち小便、その小便が女の子たちのほうへ流れてきて、注意したがオッサンは…。頭にきて共犯者といっしょにボコボコに蹴る等した、というふうな事件。

 原審は東京地裁。懲役2年6月、未決360日算入。服役前科2犯なのだという。
 控訴審の判決は控訴棄却、当審未決80日算入。

 ←7月29日15時10分現在、週間INが602位。

2023年7月22日 (土)

ストーカー、女性のSNS投稿から引越先を突き止め

 東京地裁の716号法廷で、、、

 13時20分~13時30分、「恐喝未遂」、判決。
 13時30分~14時30分、「ストーカー行為等の規制等に関する法律違反、強要未遂」、新件。

 今日この庁舎(東京高地簡裁合同庁舎)にいる傍聴人の大部分が集合する可能性あり。
 私は13時ちょい前に行った。

Dsc_0069  きゃらきゃら可愛く笑うセーラー服の女生徒さんが4人、引率の女性が1人いた。私は6番目だ。
 それから傍聴マニア諸氏が少し来て、女生徒さんの連れが3人来て、さらに…。

 

 716号法廷は傍聴席20席だ。ぎっしり満席となり「恐喝未遂」の判決が始まった。

 被告人は身柄(拘置所)。スリムな、というか細長い高齢男性だ。
 共犯者らが被害者を脅して「迷惑料1億円」を払うという誓約書を作成させた、被告人はそこへくっついて行ったのかな。
 判決は懲役2年、未決90日算入、執行猶予3年。

 

 終わっても、誰1人席を立たない。みんな「ストーカー」の新件が目当てでここにいるのだ。
 「恐喝未遂」の判決言渡しの間、そして「ストーカー」が始まってから、傍聴席の後ろのドアがバッタンガッタン鳴った。
 今日この庁舎にいる傍聴人の大部分が集合する可能性あり、とは考えなかった人が大勢いるってことだ。
 でもそれが普通だよね。東京地裁は異常なのだ。

 「ストーカー」の被告人も身柄(拘置所)、茶髪の中年男性だ。
 なんと人定質問なしで始まった。前回、人定質問まで終わり、なので今日の開廷表は「新件」だったのか。
 まさか、人定質問を忘れたってことないよね?

 微信(wechat)で知り合った中国人女性とデートを重ね、肉体関係を求めたが拒絶され、待ち伏せなどするうち女性は引っ越し…。

検察官 「被害者のSNS投稿内容等から、被害者の場所(引越先)を特定し…押しかけ…外出のためドアを明けた被害者に対し…手紙を…プレゼントをドアノブにかけ…座り込み…110番通報…警告…」

 SNS投稿から自宅住所がバレることがある、気をつけろ、と昔から言われるが、ほんとなんだ!

 13時51分、弁護人立証が始まった。被害者に二度と近寄らない等の誓約書とか一切なく、弁護人(ショートヘアの素敵な女性)は被告人質問のみ求めた。
 被害者とどう知り合って、どんなデートを重ねたか、詳細にわたり弁護人は延々と尋ね続けた。
 被害女性にこそ問題があった、被告人がやったことはやむを得ない面もある、と言いたいかのように。
 被告人は前科なし。本件は執行猶予判決に決まってる。釈放され、またつきまとうんじゃないの?

 14時12分、交際時についての質問はまだまだ続きそう。私はそっと出た。

 

 14時30分~15時50分、828号法廷(20席)で「道路交通法違反」、新件。

 8階東南角のこの法廷は、ドアが閉まらない。ドアクローザーによっては閉まらず、人が手で強制的に閉める必要がある。
 この法廷の天井裏に、全館への送風機械があるのか、ゴオオオオオオとものすごい音が響いている。
 濁点付きのオが法廷内を埋め尽くしているというか。
 でも、しばらくすると、あんまり気にならない。人間の認知機能の不思議ってやつだね。

 被告人(非身柄)は、敏腕、辣腕で有名なTVプロデューサーなのである。
 傍聴人は、修習生らしき2人と、記者と思しき1人も含め、合計7人ぽっち。阿曽山大噴火さんはしっかり来た。さすがだ。

 無免許で罰金30万円の前科がありぃの、無免許運転だった。
 検察立証(書証の要旨告知)が終わり…。

裁判官 「今後…」
検察官 「余罪がございます…8月中に送致予定…他の地検で…」

 余罪も無免許か、はたまた薬物か、次回期日は9月某日と指定し、10分ほどで閉廷。

 ←7月22日8時50分現在、週間INが402位。

2023年7月14日 (金)

盗撮新法、罰則3倍アップ!

Screenshot-20230714-at-051950-10-tbs-new  「新法の施行日に逮捕 10代女性のスカートの中スマホで撮影の疑い 「撮影罪」は全国で初適用か」と7月13日、TBSNEWSDIG。 ※画像はそのスクリーンショットだ。
 裁判傍聴マニア、裁判傍聴師の立場から、少しコメントさせてください。

 

 痴漢や盗撮や客引き等を処罰するため、全都道府県に似たような、しかし細部が少し違っていて味わい深い、そんな条例がある。
 東京都のは「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」という。以下、迷惑防止条例と略す。

 東京簡裁、地裁の刑事法廷へ出てくる「迷惑防止条例違反」は、電車内痴漢が中心で、ときどき客引き、たまにダフ屋、昔はそんな感じだった。だいぶ昔、ピンクビラ貼りなんてのもあった。

 いつからだっけ、盗撮が増え始め、痴漢に追いついて追い越した。
 警視庁(いわば東京都警察本部)管内における盗撮と痴漢の検挙は、何年に逆転したか、そこは警視庁へ行って資料を見せてもらえばすぐわかる。
 年々の検挙数とスマホの販売台数を比較すると興味深い。
 

 現在、東京都の迷惑防止条例では、盗撮の罰則は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」だ。
 痴漢は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、なので盗撮のほうが2倍も重い。

 重いけれども、盗撮犯はそんなこといちいち気にしないようだ、捕まって続々と法廷へ出てくる。

 

 そうして2023年7月13日、新法が施行されたんだね。

 エスカレーターで後ろからスカート内を盗撮なんて、いちばんありふれた、シンプルな手口だ。
 逮捕されても、そんなもの普通はいちいち報道されない。
 ところが、新法施行の初日だったんで、実名で全国報道された、なんか可哀想な気がしないでもない。

 新法の罰則は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」。
 懲役と拘禁刑は違うけど、東京都の条例の3倍にアップされたわけだ。すごい。

 罰金の相場はどうなるんだろ。
 初犯で100万円とすれば、そのダメージはでかいよ。
 払えなければ、換刑処分、つまり財産刑を自由刑に換えるってことで「労役場留置」となる。
 留置の期間は、1日5千円か、1万円か。

 同種で執行猶予だとか、服役前科があるとか、罰金前科があるとか、の場合は公判請求されて拘禁刑を求刑されるだろう。

 どんどん傍聴したい。
 どんどん傍聴して、量刑相場をつかみたい。
 裁判傍聴、やめられない、とまらない、困るっす。

 

 7月13日施行の新法、以下はe-Gov法令検索より。附則は除く。

 

令和五年法律第六十七号
性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律

第一章 総則

第一条 この法律は、性的な姿態を撮影する行為、これにより生成された記録を提供する行為等を処罰するとともに、性的な姿態を撮影する行為により生じた物を複写した物等の没収を可能とし、あわせて、押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等の措置をすることによって、性的な姿態を撮影する行為等による被害の発生及び拡大を防止することを目的とする。

第二章 性的な姿態を撮影する行為等の処罰

(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
 一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
  イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
  ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
 二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
 三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
 四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2 前項の罪の未遂は、罰する。
3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。

(性的影像記録提供等)
第三条 性的影像記録(前条第一項各号に掲げる行為若しくは第六条第一項の行為により生成された電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録又は当該記録の全部若しくは一部(対象性的姿態等(前条第一項第四号に掲げる行為により生成された電磁的記録その他の記録又は第五条第一項第四号に掲げる行為により同項第一号に規定する影像送信をされた影像を記録する行為により生成された電磁的記録その他の記録にあっては、性的姿態等)の影像が記録された部分に限る。)を複写したものをいう。以下同じ。)を提供した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2 性的影像記録を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

(性的影像記録保管)
第四条 前条の行為をする目的で、性的影像記録を保管した者は、二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金に処する。

(性的姿態等影像送信)
第五条 不特定又は多数の者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 正当な理由がないのに、送信されることの情を知らない者の対象性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。次号及び第三号において同じ。)の影像送信(電気通信回線を通じて、影像を送ることをいう。以下同じ。)をする行為
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは不特定若しくは多数の者に送信されないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者の性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。以下この号において同じ。)の影像送信をし、又は十三歳以上十六歳未満の者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、当該十三歳以上十六歳未満の者の性的姿態等の影像の影像送信をする行為
2 情を知って、不特定又は多数の者に対し、前項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像の影像送信をした者も、同項と同様とする。
3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。

(性的姿態等影像記録)
第六条 情を知って、前条第一項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像を記録した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。

(国外犯)
第七条 第二条から前条までの罪は、刑法第三条の例に従う。

第三章 性的な姿態を撮影する行為により生じた物を複写した物等の没収

第八条 次に掲げる物は、没収することができる。
一 第二条第一項又は第六条第一項の罪の犯罪行為により生じた物を複写した物
二 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(平成二十六年法律第百二十六号)第三条第一項から第三項までの罪の犯罪行為を組成し、若しくは当該犯罪行為の用に供した私事性的画像記録(同法第二条第一項に規定する私事性的画像記録をいう。次条第一項第二号及び第十条第一項第一号ロにおいて同じ。)が記録されている物若しくはこれを複写した物又は当該犯罪行為を組成し、若しくは当該犯罪行為の用に供した私事性的画像記録物(同法第二条第二項に規定する私事性的画像記録物をいう。第十条第一項第一号ロにおいて同じ。)を複写した物
2 前項の規定による没収は、犯人以外の者に属しない物に限り、これをすることができる。ただし、犯人以外の者に属する物であっても、犯罪の後にその者が情を知って保有するに至ったものであるときは、これを没収することができる。

 新法の効果で盗撮が減るか。
 どうだろう、しばらくは少し減るけど、という感じじゃないのかな。
 捕まったらどうなるかを気にして犯罪をやる者はいない、の法則がしっかりあるので。

 それより、厳罰化は盗撮ハンターに利用されそう。
 盗撮犯を見つけて現金を脅し取る、そういう連中がいるのですよ。
 警察に捕まるか、盗撮ハンターに捕まるか、あなたはどっちがいいですか? というポスターを駅や商業施設に貼っては如何か。

 ←7月14日6時00分現在、週間INが502位。

2023年7月13日 (木)

不同意わいせつ、不同意性交等

2205198  以下は、e-Gov法令検索より、2023年7月12日時点における刑法の一部、第176条~第183条だ。

(強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

(準強制わいせつ及び準強制性交等)
第百七十八条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

(監護者わいせつ及び監護者性交等)
第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。

(未遂罪)
第百八十条 第百七十六条から前条までの罪の未遂は、罰する。

(強制わいせつ等致死傷)
第百八十一条 第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 第百七十七条、第百七十八条第二項若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。

(淫行勧誘)
第百八十二条 営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第百八十三条 削除

 

 2023年7月13日から、刑法第176条~第183条はこうなった。

(不同意わいせつ)
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
 一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
 二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
 三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
 四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
 五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
 六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
 七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
 八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

(不同意性交等)
第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしている
 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

第百七十八条 削除

(監護者わいせつ及び監護者性交等)
第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条第一項の例による。
 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条第一項の例による。

(未遂罪)
第百八十条 第百七十六条、第百七十七条及び前条の罪の未遂は、罰する。

(不同意わいせつ等致死傷)
第百八十一条 第百七十六条若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
 第百七十七条若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。

(十六歳未満の者に対する面会要求等)
第百八十二条 わいせつの目的で、十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
 一 威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。
 二 拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。
 三 金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。
 前項の罪を犯し、よってわいせつの目的で当該十六歳未満の者と面会をした者は、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
 十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為(第二号に掲げる行為については、当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る。)を要求した者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
一 性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態をとってその映像を送信すること。
二 前号に掲げるもののほか、膣又は肛門に身体の一部(陰茎を除く。)又は物を挿入し又は挿入される姿態、性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下この号において同じ。)を触り又は触られる姿態、性的な部位を露出した姿態その他の姿態をとってその映像を送信すること。

(淫行勧誘)
第百八十三条 営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 ずいぶん変わったねえ。
 主なところは…。

 「暴行又は脅迫を用いて」と「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」が、以下の要件に合体した。

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて

 膣性交、口腔性交、肛門性交だけでなく、たとえば肛門に指や“物”を挿入する行為であってわいせつなものも「性交等」に含まれた。
 かなり画期的なことかと。

 それから、そういう要件なしに処罰できる場合の相手、の年齢が「十三歳未満の者」から原則「十六歳未満の者」になった。
 自分の性器や性行為を他と比較、批評されたくない、性病感染を避けたいといった理由から、15歳前後の処女に現金をわたして性交する(買春する)男がいるわけだが、今後は、16歳未満ゆえに「五年以上の有期拘禁刑」とされるんである。

 さらに、「懲役」の一部が「拘禁刑」になった。

 

 「不同意わいせつ」「不同意性交等」を、刑事裁判の開廷表に見るのは、早くて9月中旬、10月1日前後になるか、今年中にはぽつぽつ出てくるだろう。
 是非傍聴したい!

 「強制性交等」の傍聴席は半分も埋まらず、「不同意性交等」はぎっしり満席、熱気むんむんに、果たしてなるだろうか。
 刑法になど興味がなく、「不同意ってしょぼい。強制のほうが凄そう、いひひ」、そんなエロ好き傍聴人はけっこういるんじゃないか。

 犯罪者も傍聴人もいろいろだ。
 まして非犯罪者、非傍聴人のいろいろっぷりはもう、ねえ。

 ←7月13日10時20分現在、週間INが602位。

2023年5月18日 (木)

性犯罪者の脳内エコーチェンバー

1911142  前記事「酎ハイを買ってくれるというので」の続きだ。

 「殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反」について、大事なことを書き忘れた。
 立会(りっかい)検察官は、いかにも新人風な、小顔の若い男子君と、中堅男性。
 起訴状の朗読を、若い男子君のほうがやった。

検察官 「…もって同人(被害者)に、全治まで約2カ月間を要する多発刺創の傷害を負わせたものである」 

 文言は正確じゃないかもしれないが、そんな感じで終えた。
 すると裁判長が、なにかちらっと言った。

検察官 「失礼しました」

 と応じ、銃刀法違反のほうを述べ始めた。忘れたんだねえ。
 けど、ずがーんとショックを受けあたふたする、という感じは全くなく、普通にすらすらと続きを述べた。

 

 さて、東京高裁の622号法廷、「強制性交等」の控訴審判決が10時45分に終わり、私は非常階段を急ぎ駆け下りた。
 11時から東京高裁の506号法廷で「消防法違反」という、これも希有な事件の控訴審判決があると、1階の開廷表で見つけていたのだ。

 傍聴席には、がっしりした男たちが9人と、ご婦人が1人いた。男はさらに2人増えた。
 「お久しぶりですね~」「元気?」などと、合計11人は全員お仲間のようだった。消防関係なのだろう。

 被告人は3分遅刻。だいぶ年配の男性で、白のポロシャツ風に黒ジャケット。襟に何か金色の大きなバッジが見える。左胸にはポケットチーフ。お洒落だ。

裁判長 「主文。本件控訴を棄却する。当審における訴訟費用は被告人の負担とする」

 ほ~、控訴審で訴費負担の言渡しは滅多にないよ。

 被告人が管理する倉庫には、消防法上は消火栓を設置しなければならず、設置するよう消防のほうから再三にわたって命令されたのに、被告人はどうしても応じなかったのだという。
 消防法違反の認識を欠き故意がないから無罪、の主張だった。

 


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 その言渡しが終わってすぐ、同じ法廷で11時20分から「住居侵入、強盗・強制性交等」の控訴審判決、これも傍聴した。
 「、」と「・」は私の誤記じゃない。「強盗・強制性交等」は昔の「強盗強姦」だ。

 被告人は身柄(拘置所)。小柄、小顔で黒スーツ、若い。

裁判長 「主文。本件控訴を棄却する。当審における未決勾留日数中130日を原判決の刑に算入する」

 原判決は懲役9年だという。その未決算入は不明。

 午前9時頃か、見ず知らずの女性(30歳代)のあとをつけ、住居か事務所かドアから女性が入るや、被告人も侵入。
 「お金を払うので帰ってください」と言う女性から6千円を強奪し、引き続き口腔性交し、腰をつかむ等して性交した…。

 捜査段階でか原審でか、被告人はこんなことを述べたという。

被告人 「声をかけて仲良くなり、昼頃まで話すつもりだった」

 これだよ!
 満員電車で痴漢し、恥じらう被害者が好きになり、結婚したく、つけ回してさらに痴漢した男(45歳)もいた。

 性犯罪者って、「脳内エコーチェンバー」とやらの中で、てめえの性欲に都合のよい女性像、普通に善良でモテる自己像に係るあれこれが反響しあい、ふくらんで固まり、ついに行動に移す、そんなふうなものが感じられる。

 性犯罪者は人間じゃない、頭が壊れた動物、なのでくり返す。怖いよ。

 ←5月18日6時50分現在、週間INが302位。

2023年1月19日 (木)

ストーカー男、DV男に共通するのは

Screenshot-20230119-at-065615-31-38-tbs-  「復縁を望んでいたか 逮捕の寺内進容疑者(31)は容疑認める 元交際相手の川野美樹さん(38)を殺害した疑い 福岡・博多」と1月19日付けTBSニュース。画像はそのスクリーンショット。

 「ストーカー行為等の規制等に関する法律違反」の裁判も私はけっこう傍聴してきた。
 今回、思いついて、超絶マニアックデータその1から、事件名に「ストーカー」とあるもの、ないけれども「(ストーカー的)」と付記されたものを抜き出してみた。
 118件あった。

 うち2件は民事で、1件の事件名は「組織的なストーカー行為に係わり犯罪に染まっている警察署を断罪する請求事件」だ。
 事件名からして統合失調症の迫害妄想が想像される。

 超絶マニアックデータの備考欄から少し拾ってみよう。

・15年前につきあった女性に話を聞いてもらいたく、ひまわりの花束を持ってベランダへ。
・同棲中に暴力をふるって逃げられ、もう一度付き合え、別れたいなら手切れ金をよこせと裸体写真を。
・キャバ嬢(24歳)に対し、金を注ぎ込んだのに相手にされないと嫌がらせ。執行猶予付きでも懲役刑だと失職するのでどうか罰金刑に。
・統一教会で合同結婚した女が脱会し、行方を捜して車にGPSを付け。
・若い新人女性検察官、最悪、被告人立派、よく言った!
・覚せい剤精神病。復縁を断り引っ越した娘の父親を木製バットでぼこぼこに。
・執拗な女ストーカー、「幸せな結婚をしたい。リミットはあと数年。刑務所へ行くと子どもを埋めなくなる」。
・電車内で見かけた女子中学生14歳に痴漢し、つきまとい。家庭は破壊寸前。
・三鷹女子高生殺人事件をうけて結成されたストーカー専従犯により逮捕。
・痴漢サイトを見て、痴漢犯人に好意を寄せてくれると思って16歳少女につきまとい。
・別れた交際相手への脅迫で罰金刑を受け、それを逆恨みしてさらに脅迫。
・73歳生活保護のアル中が、52歳の女性理容師に恋をして「うちへ飲みに来い」と執拗に。頭壊れてる。
・元交際相手が別の男性に支配されており助けなければならないと。
・婚姻を隠していた女から堕胎費、土産費を騙し取られ、挙げ句ストーカーで逮捕され。
・●●大学准教授、学生と不倫してつきまとわれ嵌められた?
・高齢ストーカー。別れの理由をどうしても知りたかった。結局、前科前歴すべて酒。抑制が外れるんだとか。
・強制わいせつで懲役3年服役。女の家へ押しかけ抱きつき。
・コンビニ店員を好きになり、男がいたことに腹を立て鍵穴に接着剤。
・電話277回、警察に注意されたがやめず、包丁に赤ペンで「死ね」等と書いて玄関先に。
・交際相手宅へ4階ベランダの窓ガラスを割って侵入。危険ドラッグのトラブルから救おうとしたのだと緊急避難を主張。
・同じ被害者に前科3犯。頭がおかしいらしい。
・執念の無茶苦茶ストーカー、悪いのは女だと無罪主張。
・相当強固なストーカー。同種累犯前科あり。きっとまたやる。
・かつて交際した26歳女性につきまとい懲役1年、保護観察付き執行猶予4年を受けて4カ月目の犯行。

 上掲は私のアフィリエイトだ。

 有名芸能人とじつは“両思い”との妄想が捨てきれず、つきまといをくり返してとうとう刑務所へ行った女性もいた。
 ストーカー犯の精神構造というか、心の中が少し見えることもある

・通院した若い医師への執拗ストーカー。なぜそうなったのか、なるほど!
・被害女性との幸せな思い出だけが人生。思い出とつながりを保ちたくて犯行に及ぶのに、誰もそこに気づかない。
・とことんストーカー男の胸中にあるもの。情状証人の雇用主が人格者で!

 ストーカー男やDV男に共通するのは何か。
 女性も普通に人間であり人格、感情がある、という認識がそもそも欠けており、自分の欲望、自分の思い込みしかない…。
 誰にもそんな面はあるのかもしれない。が、ストーカー男やDV男はその傾向が顕著、といえるように思う。

 

 昨日、東京地裁で「ストーカー行為等の規制等に関する法律違反、邸宅侵入、住居侵入、銃砲刀剣類所持等取締法違反」の審理の期日を傍聴した。
 被告人は身柄(留置場)、軽く首を傾けてのけぞり、見下ろすように見る、横方向は横目で見る、強情そうな印象を受ける。
 徹底否認しているらしく、書証の採否をどうするか、証人をどうするか、といった話でこの日は終わった。

検察官 「警告を受けたことに関して警察官1名、令和4年9月×日、現行犯逮捕した警察官1名、被害者の友人を検討、調整中、加えて被害者を…」

 被害者の証人尋問はビデオリンク方式でやることになりそう。

 ←1月19日8時20分現在、週間INが502位。

2022年12月13日 (火)

わいせつ略取、公然わいせつ、強制わいせつ

 最近のある日、東京地裁で傍聴した裁判のうち一部を挙げるなら…。

わいせつ略取、準強制性交等」の審理
 美容整形クリニックの院長医師が患者等を麻酔や睡眠導入剤で抗拒不能にさせ、という事件。最近も別件で再逮捕が報じられた。
 懲役刑は軽く10年を超えそうだ。

 

損害賠償及請求び謝罪広告等請求事件、損害賠償反訴事件」の弁論(判決言渡)
 被告は「世界平和統一家庭連合」。令和3年(ワ)第25289号という事件番号でヒットがある

 

過失運転致傷」の判決
 禁錮1年2月、執行猶予2年。交通事故で執行猶予2年はかなり珍しい。
 変形交差点で信号灯火(青色矢印)の指示を間違え…という事件だった。この被告人、医師ではないかと。

 

公然わいせつ」の審理
 いやはやびっくり、こんな事件は見たことがない! 刑事手続きのつぼを知ってれば不起訴もあり得たんじゃないか。

 

強制わいせつ」の新件
 6歳女児に路上で接吻をしたのだという。これはもうね、刑事司法の大原則をばりばり感じさせる事件だった。
 すなわち、病気由来の犯罪は病気を治さねば再犯を重ねることになるが、治療は完全に本人任せ。国は、「矯正施設」と称する刑務所へ送っておしまい。そうしてまた被害者が生まれる。

 

詐欺未遂、住居侵入」の審理
 検察官は被害女性の氏名も住所もはっきり明かした。私は帰宅後ネット検索。うわあ、なヒットがあった…。

 

 罪名に「わいせつ」の4文字がある事件を1日に3件も傍聴してしまった。

 メルマガ「裁判傍聴バカ一代」を発行していたときなら、次号にどれを書こうか悩んだところだが、もう悩まなくていいのだ。
 ものすごーく楽になった感じと、喪失感と、両方ある。

 ←12月13日5時05分現在、週間INが602位。

 

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