「ガーシー被告」を解剖する
「ガーシー被告」、今年の流行語大賞にノミネートされるんじゃないか。 ※画像は9月21日付けのTBS NEWS DIGのスクリーンショット。
東京地裁・刑事第6部、9月19日(火)13時30分~17時、広いほうの警備法廷425号法廷を使って「暴力行為等処罰に関する法律違反、名誉毀損、強要、威力業務妨害、証人威迫」の第1回公判があった。
傍聴券抽選、11時50分締切。傍聴席は42席のところ、抽選の当たり券は18枚、そこに560人が行列をつくったという。
行列の多くは、各番組等が雇った並び屋さんかと思われる。
19日(火)、私は東京地裁へ行った。が、行列に加わろうとは思わなかった。
「威力業務妨害」「証人威迫」は傍聴したい事件ではあるけど、有名人には特に興味がない、どうせ大行列、馬鹿馬鹿しい、時間がもったいないので。
立花孝志氏が傍聴券をゲット、と報じられている。
並んだマニア氏によると、立花氏は抽選に外れ、しかしどこかのメディア(テレビだっけ)から当たり券をもらったのだという。
そのことは報じられてるのかな。
さて、「ガーシー被告」である。
開廷表の被告人氏名はこうだった。
ガーシーこと東谷義和
「ガーシー」の部分を「こと名(ことめい)」というらしい。
2013年10月14日に解説記事を私は書いた。
その記事以外に、現時点で「こと名」のヒットはない。おお~、である。
次に、「被告」の部分。
正しくは被告人だ。被告は、単に短くしたとか略したとかでは済まない。
立派な誤用、誤報だ。
刑事裁判 検察官vs被告人
民事裁判 原告vs被告
被告は民事の一方の当事者なのである。
有名な話として、こんなのがある。
民事の弁論期日で、裁判官が普通に「次に、被告から答弁書を陳述…」と言った。
聞いた被告が怒った、「私を犯罪者扱いするのか!」。
世間の人とって「被告=犯罪者」なのである。
以前、裁判所内で、退官したばかりの元裁判官氏にばったりお会いしたとき、元裁判官氏はこう言うのだった。
「刑事の被告人を『被告』とやるのは、あれはどうにかならんもんですかね(笑)」
ほんとそうですよねえ(困)。
なぜ被告人を被告と報じるのか。
「ひこくにん」だと「ひこくみん(非国民)」に聞こえるから、という説がある。
刑事の公判で裁判官が「では開廷します。被告人、前へ出なさい」と言った。
聞いた被告人が激怒、「俺を非国民扱いするのかあ!」。
戦後間もない頃、そんなことがあったんですかね。
だけど、今どき非国民なんて語が頭にあるのは、一部の大日本帝国好きな方々と…って感じでは。
ま、なんであっても、被告人を被告とする誤用、誤報は、永遠に改まらないだろうと私は予想する。
そんなことはいくらでもあるでしょ。
世間がどうであろうと、私は被告人を被告人と、被告を被告と書く。
未決勾留日数の算入も、把握できれば書く。
可搬式(オービス)を正しく可搬式と書く。
マイナー街道まっしぐらだ、あはは。
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