クソ好き男を精神分析する!
前記事からのつづき。
東京地裁531号法廷(52席)で13時15分~16時45分、「侮辱」の新件。
地裁の刑事の新件は人気なうえ、13時15分からの新件は滅多にない。恐怖の夏休み、大変なことになりそう。
11時30分過ぎ、531号のそばの一般待合室へ私は行った。無人だった。
ちょと事務作業をしつつ、おにぎりを食べた。今日は特別、いつものオニギラズではなく、白米とシャケのおにぎり(自作)だ。
食べたら座ったまま目を閉じ、うとうとして、法廷前がにぎやかになり始めたら並ぼう、10番目ぐらいでもいいや、そう考えた。
11時45分、法廷前から人声が。早っ。公務員か新人社員風な、若い女性2人と中年男性1人。警察関係かな。にしても、開廷の1時間半前って、早すぎだろっ。
だがこの3人は、並んでいるのではなかった。12時頃、検察官が1人来て、いっしょに去った。
悪気はないとしても、恐怖の夏休みに、早々行列のふりを装うのは勘弁してくれえ!
そんなことがあり、行列4番目の私はドアそば1番に繰り上がった。眠くてたまらない。
12時15分頃からか、行列が伸び始めた。12時52分頃、私のカウントで52人を超えた。
12時55分頃、やけにうるさい、強引そうな中年男性が2人来た。並ばずに、こんなことを、よく通る声で言った。
「(たぶん被告人本人が)隠しておくのもなんだから、10時頃にTweetしますって…(だからこんなに並んでる)たぶん20何人かの法廷でしょ、困ったな~」
うち1人は、あっ、維新の会の音喜多駿・元議員か。被告人の知り合いらしく思われた。
13時05分頃、ドアの施錠が解かれた。検察官側の取置席(特別傍聴席)が2席あった。だから一般傍聴席は50席だ。
裁判所の職員が、20人ずつ、10人ずつ、という感じで人数を絞って入廷させた。それは良い。一気に雪崩れ込めば大変なことになるだろうから。
こうして、「“モノ言う株主”「趣味は炎上」のインフルエンサー田端信太郎がメルカリ社員をSNSで侮辱した疑いで書類送検…被害者は複数? 本人を直撃すると「事実です」」など多数ヒットがある事件の、第1回公判が始まった。
被告人は非身柄。50歳、黒スーツに黒っぽいネクタイ。長身で日焼けして濃い坊主頭で大きなプラフレームの眼鏡、声がでかく、やたら迫力がある。
公訴事実は2件。メルカリの、氏名の読みからして男性と女性、各1人に対し、「男としてクソを出せ」「女の腐ったような人材」「クソな無能」「クソジライ(地雷?)の人材」「ほんとこんなクソな無能を」などとX(旧Twitter)で侮辱したんだという。
「クソ」が大好きな界隈(かいわい)、確かにあるようだ。「クソゴミ」「ゴミクソ」と連発する人もいる。『クソ好き男を精神分析する』なんて新書が出たらいいね。
被告人は、迫力たっぷりの無罪主張だった。
検察官の冒頭陳述のあと、弁護人3人のうち1人、どなただっけ超有名な年配弁護人(高野隆弁護士?)が証言台のとこへ出てきて、右に左に位置を変えながら(裁判員裁判における弁護人の作法か)、長々と冒頭陳述をおこなった。
要するに、言論の自由の範囲内だ、可罰的違法性がない…。
14時24分、被告人質問が始まった。まずは弁護人(2人目のヨシダと名乗る女性)から主質問。被告人はどんなに立派な経歴の人物か、経歴紹介が始まった。
うわあ、これはもう楽勝で有罪でしょ、と私は思った。
裁判所的には、言論の自由はもちろん大切だが、「クソ」を連発しての罵倒は言論の自由とは別物、刑法の侮辱に優に当たる、とされるでしょ。
興味を失うと同時に、私は眠気が爆発。数秒間、気を失う、というのじゃなく、ほんとにぐっすりという感じで居眠りしてしまった。
14時55分、主質問が終わり、10分間休廷。「ねた~」「よくねた~」と傍聴ノートに書き、私は法廷を後にした。
15時30分~16時30分、東京地裁、民事の634号法廷(20席)で「××××(ホテル名)宿泊時の更衣室、プールサイド、風呂場、シャワーサンダル使用の恫喝、強要事件の損害賠償」の弁論(本人及び証人尋問)。
原告は本人訴訟(代理人なし)。外見も含め、じつに何というか個性的な人だった。こんな部分があった。
原告 「僕はこんな裁判、100いくつできる人間ですんで、とことんやります!」
これも途中で出て、とっとと帰る!
アルベルト・モラヴィア作『眠くて死にそうな勇敢な消防士』ならぬ、眠くてたまらないのに裁判所へ出かけてしまった、勇敢な傍聴人…。

