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カテゴリー「その他刑事・民事」の34件の記事

2024年9月 3日 (火)

ヘイトは実際にあると認めたうえでの法律!

 「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」、2016年6月3日施行。

 略称は「ヘイトスピーチ解消法」「ヘイトスピーチ対策法」「差別的言動解消推進法」だという。
 短い法律だ。附則も含め全文を引用しよう。

 この法律、なななんと、「前文」がある。珍しい。こうだ。

 

 我が国においては、近年、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、適法に居住するその出身者又はその子孫を、我が国の地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動が行われ、その出身者又はその子孫が多大な苦痛を強いられるとともに、当該地域社会に深刻な亀裂を生じさせている。

 もとより、このような不当な差別的言動はあってはならず、こうした事態をこのまま看過することは、国際社会において我が国の占める地位に照らしても、ふさわしいものではない。

 ここに、このような不当な差別的言動は許されないことを宣言するとともに、更なる人権教育と人権啓発などを通じて、国民に周知を図り、その理解と協力を得つつ、不当な差別的言動の解消に向けた取組を推進すべく、この法律を制定する。

 

 いわゆるヘイトが日本に実際あると認め、そこから出発している。
 こんな、ヘイターや極右からすれば「自虐」な前文が、どぉーして明記された? びっくりするでしょ、ねえ。

 前文のあと、こう続く。「2」とあるのは第2項の意味だ。附則にある「1」「2」は項なのか私は不知。

 

第一章 総則


(目的)
第一条 この法律は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、その解消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定め、これを推進することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの(以下この条において「本邦外出身者」という。)に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。

(基本理念)
第三条 国民は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を深めるとともに、本邦外出身者に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない。

(国及び地方公共団体の責務)
第四条 国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を実施するとともに、地方公共団体が実施する本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を推進するために必要な助言その他の措置を講ずる責務を有する。
 地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとする。

第二章 基本的施策

(相談体制の整備)
第五条 国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動に関する相談に的確に応ずるとともに、これに関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう、必要な体制を整備するものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じ、本邦外出身者に対する不当な差別的言動に関する相談に的確に応ずるとともに、これに関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう、必要な体制を整備するよう努めるものとする。

(教育の充実等)
第六条 国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動を解消するための教育活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うものとする。
 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じ、本邦外出身者に対する不当な差別的言動を解消するための教育活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うよう努めるものとする。

(啓発活動等)
第七条 国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性について、国民に周知し、その理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うものとする。
 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じ、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性について、住民に周知し、その理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うよう努めるものとする。

附 則

(施行期日)
 この法律は、公布の日から施行する。

不当な差別的言動に係る取組についての検討)
 不当な差別的言動に係る取組については、この法律の施行後における本邦外出身者に対する不当な差別的言動の実態等を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとする。

 

 なるほど、立派なことを言っている。
 でも、基本理念、基本政策であり、罰則がない。
 本当は罰則を設ける予定だったが、激しく反発する一派があり、罰則を設けない代わり、あの前文を設けた、という深読み、うーん、外れかな(笑)。

 罰則はないけれども、こういう法律がある以上、国も地方も、ヘイト、ヘイターに対し無策でいることはできない。
 罰則はなくても、国の法律にこううたわれている以上、ヘイト、ヘイターは民事で訴えられたら勝ち目がないんじゃないか。

2024年8月30日 (金)

テレグラムのCEOをフランスは逮捕、日本では、、、

 いつ頃だっけ、特殊詐欺の受け子たちが「詐欺、詐欺未遂」「詐欺未遂、詐欺」の被告人として東京地裁の法廷へ続々と現れ、続々と懲役の実刑を食らい始めたのは。

 その頃、「テレグラム」という通信アプリを私は初めて知った。
 詐欺グループの上位者(いつも安全圏にいる氏名不詳者ら)が、末端の使い捨ての受け子に対し、

  黒スーツを着てビジネスバッグを持て
  〇〇駅へ行って待機しろ
  〇〇町〇丁目の〇〇公園へ行って待機しろ
  〇〇という家へ行き、〇〇〇〇から来た〇〇〇〇と偽名を名乗れ
  これこれを言って紙袋を受け取れ

 などと逐一指示し、しかし記録が残らない、詐欺犯必須のアプリだという。
 
 間もなく、預貯金のキャッシュカードを騙し取り、コンビニなどのATMでそれを使用し、現金を盗めるだけ盗むタイプがどっと増え始めた。
 やはりテレグラムが使われた。「シグナル」という同種のアプリも登場した。

「詐欺グループ御用達の便利なアプリ。ネットは何でもありだなあ」

 と私は思っていた。そしたら、なな、なんと…!

 

 「“犯罪を放置”の疑いでテレグラムCEOを逮捕 会社側「不正利用の責任負わせるのは不合理だ」今後のSNS規制に影響は?【news23】」と8月27日付けTBS NEWS DIG。
 「テレグラムCEOのドゥロフ氏、逮捕後にフランス億万長者とマクロン大統領に言及」と、これは8月30日付け中央日報日本語版。

 

 アプリだかプラットフォームだか、それらを使って悪い連中が悪事をやり放題。やればやるほど、アプリだかプラットフォームだかを提供する側はウハウハ儲かる、巨額の富を得放題。
 そういうものだと思っていたら、フランスさん、あんたって人は!

 

 その逮捕の頃、何か探してて偶然に、当ブログに「2chの投稿で脅迫・威力業務妨害」という記事を見つけた。2007年4月28日付けだ。
 その記事中で私は、同月27日付けで日経新聞にこんなニュースがあったと引用してる。

ネット掲示板、中傷放置の疑い・管理人を書類送検
 大阪市内の女子中学生を中傷する書き込みをインターネットの掲示板に掲載したまま放置したとして、大阪府警南署は27日までに、掲示板の管理人で大阪市の会社役員の男(26)を名誉棄損ほう助容疑で書類送検した。「この程度では削除する必要はないと思った」と供述している。
 同署によると、ネット掲示板での中傷を巡り、管理人を立件するのは全国でも珍しいという。
 調べによると、男は「学校裏サイト」と呼ばれるネット掲示板を管理。昨年8月下旬、当時私立中学1年だった女子生徒を名指しで「ブス」「うざい」などと中傷する書き込みがあるのを認識しながら、同年11月下旬まで削除せずに放置した疑い。

 

 このニュース自体はもう削除されてる。が、何らかのものが残ってやしないか。検索してみた。あった。
 「「名指しの中傷」ほったらかし 学校裏サイト管理人が書類送検」と同日付のJCASTニュースが残っていた。

 ついでにこんなのも見つけた。
 「書き込み放置 2ちゃん“管理人”書類送検」と、これは2012年12月20日付けニコニコ動画。

 「実質的な管理人を務める36歳の会社役員」(男性)を「麻薬及び向精神薬取締法違反幇助」の被疑事実で書類送検したという。へえ。

 

 これ、出版されて間もなく私は読んだ。
 その後、あの事件の犯人の1人の再犯の事件を東京地裁で傍聴したっけ。

2024年3月23日 (土)

大麻取締法は目的のない法律

 「去年1年間の大麻による検挙人数およそ6500人で過去最多 初めて覚醒剤の人数を上まわる」と3月21日付けTBS NEWS DIG。

 警察庁によると、2023年の大麻事件の検挙は、前年より1140人増えて6482人、過去最多だという。
 年代別では、20代が3545人、10代が1222人、いずれも前年より大幅に増えて過去最多だという。

 

 私は大麻の刑事裁判も、まあまあ傍聴してきた。
 「大麻取締法違反」は「道路交通法違反」と似たところがある。
 どちらも、リアル社会でそれなりに、またはかなり活躍している人が被告人であることが、他の犯罪より多い、私が傍聴してきた限りでは。

 そんな立場から、警察は発表せず、したがってニュース報道にならないことを、述べておきたい。

 

 大麻は、使用はセーフ、所持がアウト、とは近頃は多くの方がご存知だろう。
 だがそれは、「リラックスするため」「興味本位で」などといった場合についてだ。

 「大麻取締法」第4条第1項は「何人も次に掲げる行為をしてはならない。」として4つの行為を掲げており、うち2つはこうだ。

 

二 大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のため交付すること。

三 大麻から製造された医薬品の施用を受けること。

 

 大麻由来の医薬品の処方や使用(施用)を、わざわざ明文で禁止している。
 第24条の3第1項に「次の各号の一に該当する者は、五年以下の懲役に処する。」とあり、その第2号はこうだ。

 

二 第四条第一項の規定に違反して、大麻から製造された医薬品を施用し、若しくは交付し、又はその施用を受けた者

 

 大麻由来の医薬品となると、使用(施用)もアウトなのである。

 

 いったいなぜ、医薬品をわざわざ明文で禁止するのか。
 多くの法律は第1条に目的、守ろうとする法益を定めている。
 たとえば「覚醒剤取締法」はこうだ。

(この法律の目的)
第一条 この法律は、覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締りを行うことを目的とする。

 

 たとえば「麻薬及び向精神薬取締法」はこうだ。

(目的)
第一条 この法律は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もつて公共の福祉の増進を図ることを目的とする。

 

 たとえば「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」はこうだ。

(目的)
第一条 この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

 

 では、「大麻取締法」はどうか。第1条はこうだ。

第一条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。

 

 いきなり定義から始まっている。
 目的がないのである。掲げるべき目的がなく、ただ禁止し処罰するための法律なのである。


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 大麻は、治療用はもちろん嗜好用も、世界的には解禁の方向へどんどん向かっているという。
 依存性等の害はアルコールより格段に小さいことが広く明らかになってきている。

 ゆえに、罪悪感なく大麻に手を出したくなる人は少なくないだろう。
 治療や苦痛の緩和のために、という人もおいでだろう。

 だが! そんなの関係ねえ、そんなの関係ねえ!
 大麻のいちばんの怖さは、依存症とかじゃなく、日本では禁止されていること、そのこと自体なのである。オッパッピーなのである。

 

 世界には、独裁者に逆らえば殺される国もあるという。
 日本は、「大麻から製造された医薬品」すら禁じて刑罰を食らわす国なのである。
 良い悪いじゃない、捕まるかどうか、なのである。
 そこんとこ、特に若い方々に、きりきり知ってほしい。肝に銘じてほしい。

 私の声は若い方々には届かないだろう。
 これをお読みになった方が、お子さんやお友達に伝えてくれることを願ってペンを置く次第だ。 ←なんか偉そう(笑)

 

 ちなみに、違法薬物の刑事裁判では「親和性、常習性、依存性」が悪情状の3点セットなのだが、「大麻取締法違反」の裁判では、裁判官は依存性を言わなくなったね。
 検察官もあんまり言わない。

 言うのは弁護人だ。「依存症治療の専門医療機関へ通院します!」と、被告人によく言わせたがる。
 あーぁ、と私は傍聴席から見ている。1段高い法壇で、裁判官は目を伏せている…。

 ←3日23日4時30分現在、週間INが60で2位。

2024年3月17日 (日)

最高裁の裁判官は過労死寸前?

P1000461_20240317211201  貧乏性なのか、日々配達されてくる日本経済新聞の朝夕刊を、真っ直ぐに回収袋に放り込むことが、私はできない。

 今年1月15日付けの夕刊の、「人間発見」のコーナー、「元最高裁判事 日本カメラ財団理事長 桜井龍子さん」の第1回を読んだ。
 見出しは「少数意見ためらわず」「職責の重さは格別■「寿命が縮んでも仕方ない」」。
 こんな部分がある。

 最高裁には長官と判事が計15人いて5人で小法廷を構成します。

 15人全員で構成するのを大法廷という。小法廷、大法廷は、単に法廷の大きさのことではないのだ。

 

 各小法廷が年に扱う上告事件は約2000件。民事に刑事、労働裁判に土地の境界争いなど多様ですが、一つ一つが原判決に判例違反か憲法違反があるとして終審判断を求める重い訴えです。

 15人で年に2000件! 単純に割り算すれば1人当たり約133件だ。
 たったそれっぽちか、と地裁、高裁の裁判官は言うかもしれないが。

 

 ただ2000件のうち95%は、あらかじめ調査官が意見を付けた書類をまとめ、5人が順に審査する「持ち回り事件」になります。書類を熟読し、明らかに棄却相当などと判断できた場合、判を押し、次の判事に回して最高裁の決定とするのです。

 最高裁の調査官はだいぶエリートだと聞く。東京地裁の裁判官に、その調査官の経験者がしばしばいる。
 調査官は数十人らしい。ネットで検索すると「私がいたときには調査官は37人で…」なんてのがあったりする。

 2000件の95%=1900件は、実質は調査官が審理し、裁判官はチェック、追認する、そんな感じで回してるのかな。
 調査官が判事にどんな「書類」を渡しているのか、気になるっす~。

 

 判事の稼働日数は年約200日。持ち回り事件の判断は1日10~20もあった。

 ここは紙面では太字になってる。桜井元最高裁判事の語りの部分に対して、いわばドラマのナレーションの部分だね。

 てかさ、1日10~20件って、なんだそれ!
 「重い訴え」の書類を、多いと1日20件も「熟読」するって、まじっすか?
 で、語りの部分がこう続く。

 

 机に書類が山積みで、家に帰っても考え続けることが日常的。“労働状況”は大学教員と比べものにならないほど過酷です。「健康管理は自分で」と他の判事に言われましたが、寿命が縮んでも仕方がないと腹をくくりました。

 おい~! と私なんかは思う。
 日々のすべてを事件処理に捧げ、おそらくは人としての余裕がなく、過労死寸前みたいな状態って、だいぶんにまずいんじゃないでしょうか。
 司法のてっぺんというべき最高裁が、じつはそんな状態だと、当たり前のように語る、大丈夫なのか。

 いや、桜井龍子さんが最高裁判事だったのは2008年からで、2017年退官だという。
 今は“働き方改革”だ。最高裁判事は30人になってるかもしれないじゃないか。 ←そんな話は聞かないぞっ。

 てかそもそも今回の記事は第1回だ。第2回、第3回へどう続くんだろ。

 そんなふうにキャーキャー言いながら(笑)、“古新聞”を少しずつ読んだりなんかしておる次第です。

 ←3日17日21時00分現在、週間INが40で2位。

2024年3月13日 (水)

弁護士に対する大量懲戒請求、反撃の民事裁判を傍聴した件

Screenshot-20240312-at-145036-19-x 右の画像は、3月11日付け「ささきりょう」氏のTweet(現ポスト)、のスクリーンショットだ。
 大量懲戒請求事件…あっ、それって前にメルマガでレポートしたあれじゃん?

 

 その事件の、東京地裁の裁判をいくつか私は傍聴したことがある。
 司法の歴史、レイシズム界隈の歴史に残るだろう事件の一端を、傍聴マニアも目撃した、ともいえる。

 2019年2月26日のある訴訟の口頭弁論期日を、同日付けのメルマガ第2221号「弁護士に対する大量懲戒請求、反撃の民事裁判を傍聴した!」で私はレポートした。
 だいぶ端折り、少し書き加え、以下に再掲しよう。

 

 あれ? 私ってば何のワードでネット検索してたの? そうなること、諸君もあるでしょ。私はよくある。

 何かでネット検索していたら、「「余命💓ななこ」に天誅!余命三年時事日記の嘘とワナを暴く。 」というページを発見した。
 なんと、たとえば「大量懲戒請求 賛同した女性「洗脳状態だった」」と昨年10月23日付け毎日新聞にある事件、あれで懲戒請求された側の弁護士が、した側を提訴した事件の、期日等をどんどん伝えるページなのだった!

 毎日新聞の記事に「女性があおられたとするのは「余命三年時事日記」と題された匿名の筆者によるブログ」とある。
 あおられて懲戒請求をした者たちが、逆に訴訟を起こされたわけだ。へえ~。

 興味をひかれ、東京地裁の次回弁論期日を次々手帳にメモった。ちょうどタイミングがよければ傍聴してみようかと。

 

 そして2月26日(火)、ちょうど空いた時間に、いくつかメモった弁論期日のうち1つがあった。傍聴した。

 午前11時、東京地裁806号法廷(42席か52席)。だいぶエリートな氏本厚司裁判長。合議)で「損害賠償請求訴訟」。
 開廷表の原告欄は「金竜介」。メディア報道などに画像付きでコメントしている弁護士だ。
 被告欄は、男性名がひとつ。あとでネット検索してみた。おそらく本人のTwitterが見つかったが、どんな人物か、うかがわせるものは一切なかった。

 

 法廷内、原告席には若い男性が1人いた。黒スーツでノータイ。金竜介弁護士とは別人だ。代理人弁護士なのだね。
 被告席には、ちょいメタボ系の中年男性が1人。黒スーツにネクタイ。頭髪や顔貌等の特徴をメモった(※)が、伏せとこう。どうやらこの人が被告本人らしい。 ※私は法廷で絵は滅多に描かず、文章でスケッチする。


 傍聴人は、私のほかに4人。みな非スーツの中年男性だ(中年といっても幅が広い)。刑事裁判でよく見る一般傍聴人とは明らかに感じが違う。何らかの関係者なのだろう。
 裁判官3人が登壇し…。

裁判長 「えーっと、原告第3準備書面、これ陳述するということでいいですか? …原告第5準備書面…」
被告席 「あと第4準備書面もございます」

 そんなふうに始まった。
 書面の提出を確認し、本日公開の法廷で陳述したことにする、という民事の定番のやりとりだ。

裁判長 「進行は…」
原告席 「原告としての主張は行いました…立証についても陳述書を…しましたので結審し…」

 もう結審して次回判決でよろしく、というわけだ。裁判長は被告に対し意見を求めた。

被告席 「はい…えーと…30秒…15秒くらいでひとつだけ主張…」
裁判長 「なんすか?」
被告席 「原告は人種差別と言ってますが…在日コリアンの思い込みであり…」

 声が小さく、私には全く専門外、あとはメモしなかった。
 速度違反の刑事裁判で「現認状況報告書」とか「写真撮影報告書」とか「定期点検成績書」とか出てくるなら、略語を駆使してばっちりがっちりメモするんだけど(笑)。

裁判長 「それはこれまでも…」

 これまでの提出書面に同じことが記載されている、ということなのだろう。

被告席 「あ、はい、口頭で…(述べたかった)」

 「じゃちょっと合議してきます」ということで裁判官3人が、奧へ下がった。
 30秒ほどで戻り…。

裁判長 「裁判所としてはこれで口頭弁論を終結します」

 判決言渡しは4月23日と決め、11時05分閉廷。

 私は立ち上がり、見た。被告席の傍聴席側の端っこに、背を傍聴席へ向け置かれた書籍2冊、いったい何だろと。
 外患誘致罪、共謀罪、という文字が読み取れた。
 今日の弁論には関係なさそう。何かの宣伝、アピールで、あるいは心の拠り所として置いたんだろうか。

 終わって私は、廊下(小廊下)へ出て、開廷表をメモった。
 4人の傍聴人も出てきた。うち、どうだっけ3人か2人は、被告のお仲間なのかどうか、被告と連れだって奥の一般待合室へ行った。

 

 帰宅後、このメルマガ記事を書くに当たり、上掲「「余命💓ななこ」に天誅!余命三年時事日記の嘘とワナを暴く。 」をまた開いた。
 ぎょぎょっ!
 そこにこうあった。 ※■部分は私が伏せた。

 2月26日11:00 傍聴4名(■■■之、■■■人、■■■士 他1名)
 被告 余命著書を2冊被告机に置く「外患誘致罪」「共謀罪と日韓断交」(傍聴席に向け)
 被告「30秒いや15秒くらいでひとつだけ主張したいのですがいいですか?えーっと、原告は人種差別と主張しているんですけど、これは在日コリアンの思い込みであり在日コリアンに対して批判に対して差別ということで攻撃しているものに過ぎないかなと思いました、以上です」
 (裁判官三名別室合議後)弁論終結
 4月23日13:00 判決

 そうそう、まさにそんなことを被告は言ったのだ。

 てことは、つまり、「傍聴4名」のうち3名は誰か特定されおり、「他1名」が私なのだ!
 
5人目の傍聴人が「…嘘とワナを暴く。」の筆者または情報提供者なのだ。

 

 深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いている、とはフリードリヒ・ニーチェ氏。
 傍聴人は、誰からどう見られているか、そこは話が長くなる。また今度。

 


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 あの『菊と刀』のルース・ベネディクト氏がこんな本を書いていたとは、不覚にも知らなんだ。読もう!

 ←3日13日4時30分現在、週間INが40で2位。

2024年2月 1日 (木)

ルフィ一味の強盗、約3200万円を強取して報酬は

1108245  最近、東京地裁と東京高裁で傍聴した中からほんの一部、のほんの一部を。

 

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反、性的姿態等撮影」 判決

 昨年7月13日に「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」が施行された、同じ盗撮でも、施行前は条例違反、施行後は新法の違反になるのだ。

 コンビニやドラッグストアのトイレ(男女共用)の洗面台の下に小型カメラを仕掛ける、という手口。
 条例違反のときにカメラを発見され、その後も続けて新法の違反になり、この罪名になったわけだ。
 合計13名の被害者のうち少なくとも1人は男性で、用便中の性器付近及び臀部を盗撮されたという。

 前科前歴なし。判決は懲役10月、執行猶予3年、訴訟費用負担。

 

損害賠償請求事件」 弁論(本人及び証人尋問)

 原告も被告(※)も動物保護関係の団体っぽい。なので傍聴してみた。 ※この被告は、メディアが刑事裁判で誤用する「被告」ではなく、正しい意味での被告。

 被告が原告を中傷する投稿をネットで行い、大変なことになって、というふうな事件らしかった。私は途中で出た。

 

危険運転致傷」 新件(第1回公判)

 念のため傍聴してみたら、びっくり!
 中型貨物(50代男性)が、軽自動車(20代女性)の車線変更に激昂し、追い越して前へ回り込み急ブレーキ、軽を衝突させ、横転させ、という事件。よーくしゃべる被告人で…。
 これは雑誌かweb記事で書かせてもらいます。

 

脅迫」 控訴審判決

 被告人は身柄。起立の仕方がヤンキー風で、あごを突き出し、偉そう。

 ある寺で、何かに激昂してクレームをつけてきた被告人、に応じていた住職および職員に対し「おまえら殺してやる」「みんな殺してやる」と生命身体に対する危害を告知、職員の1人が110番通報…。

 事実誤認の主張。「そんなこと言ってない」ではなく、「合理的な疑いを超える程度の立証があったとはいえない」との主張なのだった。
 判決は控訴棄却。私は途中で出た。事実誤認の主張なので、原判決の量刑には言及されなかったろうと思う。

 

住居侵入、強盗傷人、邸宅侵入、窃盗」 裁判員裁判、新件(第1回公判)

 たまたま時間が空き、たまたま通りかかった法廷にこれがあり、入ってみた。

 「中野区の強盗事件、7人目の容疑者逮捕 フィリピンから帰国時に確保」と昨年2月2日付け朝日新聞。その報道の容疑者が本件被告人だ。
 検察官席に4人並んでるうちの1人、若い女性が、よく通る声でかつれつよくテキパキと、証拠の説明をしていた。

 「統合捜査報告書6」によれば、約5分間の犯行で、被害金額は約3200万円、逃走の際に焦ったのかどうか、付近に500万円と200万円が遺留され、実行犯の1人、ワノが逮捕される際に遺留した分が290万円、残る実行犯らが杉並区のカラオケ店に集まって現金を数えたところ合計約2300万円あったという。

 本件「中野事件」で受領した報酬は…。フルネームは伏せる。

 大古某  不明
 永田某  250万円
 西本某  150万円(本件被告人)
 真栄城某 28万円
 山田某  なし
 福嶋某  なし
 ワノ某  なし(緊急逮捕)
 長谷川某 なし

 残りは氏名不詳の者たちが懐に入れたんだろうか。

 

 以上、ほんの一部の、ほんの一部だ。

 今年に入り、裁判傍聴に通いすぎてる。頑張って減らしてはいるが、もっと減らさねば。
 2月1日(木)は、早々と帰宅。警察庁へ大事な電話をしたり。こうでなくちゃいけないのだ💦

 

1108241  今回の画像は、輪島の朝市の真っ只中、あんどう履き物店で買った下駄。
 店名のシールを貼るだけあって、見事な仕上がりの下駄だった。なのに安くってもう。東京じゃ絶対あの価格で買えない!

 何年かにわたり、毎年2足ずつ購入していた。
 数年前、閉店セールになっており、ひーっとなってあれこれ買った。

 今回の震災による火災で焼け野原になった、あの中にあんどう履き物店はあった…。 

 ←1月29日7時30分現在、週間INが30で3位。直近の1週間に3人の方が猫のバナーをクリックした、という意味かと。

2024年1月19日 (金)

私は盗みをするような人間じゃありません

 1月18日に東京地裁で傍聴した裁判、の一部を。

 

 10時~11時、「不同意わいせつ」、新件。

 終わる頃に私は法廷に入った。
 被告人は身柄(拘置所)。メタボで頭部を前へ突き出し、明らかに様子がおかしい。
 「未来から来たロボットです」とか言っており、コミュニケーションが取りづらいんだそうだ。
 それでも普通に相場どおりの刑に処するのが裁判所の仕事といえる。決まりのテンプレートに嵌めて次々送り出すというか。

 

 11時30分~12時、「常習累犯窃盗」、判決。

 被告人が不出頭、言い渡せない。
 前回期日のあと、母親が起床したときには被告人(保釈中)は姿を消しており、行方不明だそうな。

 常累盗はどう転んでも懲役の実刑のはず。常累盗で保釈って、かなり珍しいのでは。
 いや、なんか最近、保釈を緩くし、そのかわり“逃亡罪”みたいなのを新設したんだっけ?

 弁護人と被告人の連絡状況を検察官は求め、弁護人は守秘義務の関係で出せない、令状による捜索差押えなら、利益考慮により任意の開示に応じられることはある…。

弁護人 「不出頭罪を立件するのとは別に、検察が被告人の所在を捜査することは…」
検察官 「当然、保釈の取消しもありますので、所在確認は…」
弁護人 「わかりました」

 おお~。以下は刑事訴訟法だ。

第九十五条の三 裁判所の許可を受けないで指定された期間を超えて制限された住居を離れてはならない旨の条件を付されて保釈又は勾留の執行停止をされた被告人が、当該条件に係る住居を離れ、当該許可を受けないで、正当な理由がなく、当該期間を超えて当該住居に帰着しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。
 前項の被告人が、裁判所の許可を受けて同項の住居を離れ、正当な理由がなく、当該住居を離れることができる期間として指定された期間を超えて当該住居に帰着しないときも、同項と同様とする。

 親が払ったんだろう保釈保証金、100万円かもっとか、それがパーになるのに逃げたとは。
 不出頭罪がどうなるのか分かれば、こう言っちゃなんだがマニア的には収穫だ。これは追っかけよう。

 

 この日13時30分から、地裁民事の421号法廷で、江口大和氏を原告とする国賠訴訟の、本人尋問がある!
 横浜地裁での刑事の一審から傍聴して「無免許死亡事故、そこに隠されたまさかの冤罪!」を書いた私として、絶対どうしても傍聴したい!

 しかし13時20分、地裁刑事の828号法廷で「道路交通法、有印私文書偽造・同行使」の判決がある。
 これはテレビの有名プロデューサー氏が被告人の事件だ。ずっと追っかけて傍聴してきた。判決を見届けたい。
 421号法廷は、前回の様子からして、満席には至らないだろう。
 なので有名プロデューサー氏の判決をまず見届けた。懲役2年、執行猶予4年。

 

 執行猶予の説明の途中で出て、私は非常階段を8階から4階へ駆け下りた。
 421号法廷、がーん、とっくに満席。空き待ちが2人いた。
 横浜地裁から傍聴してきて、ここでこんなことになるとは、なんてこった!

 なわけで時間が空き、傍聴予定じゃないのをいくつか傍聴した。

 

 13時45分、「住居侵入、窃盗」の控訴審判決(東京高裁)。

 被告人は身柄(拘置所)、坊主刈りの23歳。ヤンキー風には見えない。
 傍聴席に1人ぽつんと、まともそうな若い女性がいる。交際相手か。

裁判長 「主文。本件控訴を棄却する。当審における未決勾留日数中50日を原判決の刑に算入する」

 2020年12月に「住居侵入、窃盗」で懲役2年、執行猶予4年の判決(未決算入不明)を受け、その猶予期間中に、アパートに侵入して現金約千円在中の貯金箱1個を窃取、本件の原判決は懲役1年(未決算入不明)。
 20万円を支払って示談、宥恕(寛大な心での許し)を得たけれども…。

 婚約者が妊娠中だという。前刑の執行猶予は取り消される。出所して子どもに会えるとして、子どもは2歳ぐらいか…。

 

 13時30分~14時30分、「窃盗」、新件。
 終わる頃、ちらっと傍聴した。

 被告人はチュニジア人男性。通訳付き。短期滞在90日間の期間を過ぎ、「お酒2本」を万引きした…。

弁護人 「国に帰ったら迫害を受けて生活できない事情はありますか?」
被告人 「そういうふうなことはありません。だから早く(チュニジアへ)帰りたいです」

 求刑は罰金20万円。どうせ払えないので勾留しておいて「満つるまで算入」で処理する事件なのだ。
 最終陳述で被告人は述べた。

被告人 「私は盗みをするような人間じゃありません。このようなことになって驚いています。私はそのような人間ではないので、一刻も早く出て、チュニジアへ戻りたいと思っています」

 

 その途中で傍聴人がぞろぞろ入ってきて満席となった。
 同じ法廷で14時30分~15時30分、「ストーカー行為等の規制等に関する法律違反」、新件。

 被告人は若い女性で、マスク装着だが、おっそろしく素敵な美女と見えた。
 これがまあ、なかなかになかなかな事件で、被告人が最終陳述でものすごく意外なことを、可愛い声でゆっくり述べた。うわお!

 

 ちなみに…。
 精神的に不安定なところのある女性は、名作『ブラックジャック』の「ピノコ」ちゃんをイメージさせる、そんな仕草、動作を見せることが、わりとよくあるように思われ。あれは何なのだろう。

 ←1月19日7時00分現在、週間INが40で2位。

2023年12月 5日 (火)

久保利弁護士、妖精少女、人間力

Screenshot-20231205-at-041031-79-sponich  「日大会見で大注目 ド派手スーツ弁護士の正体 79歳、東大在学中に司法試験合格…破天荒スタイルのワケ」と12月4日付けスポニチ。

 ああ、久保利英明弁護士の服装のこと、私はメルマガでどう書いたっけ。ちらっと探してみた。

 

 2017年11月17日付けの第2011号「妖精少女、1人で自殺するのは寂しいので」。
 ホリプロが松居一代さんを訴えた民事の訴訟の、第1回口頭弁論期日が同月15日にあり、マニア氏から教わって私も傍聴した。
 服装について私はこう書いてる。

 14時27分、原告代理人弁護士が3人現れた。主任はなんと久保利英明弁護士!
 久保利弁護士は、こてこての日焼け顔で、鮮やかな紫色のスリーピース。あんなのどこで売ってんの。
 その隣の弁護士は、久保利弁護士に少し影響されてか、グレーのスーツにブルーのシャツにショッキングピンクのネクタイ。
 3番目の弁護士は、色的には地味だが、ワイシャツのえりが、ほら、水平に見えるというか、あれだった。

 

 その号、「妖精少女」とは「傷害」の女性被告人(23歳)だ。

 奥のドアから手錠・腰縄の姿で現れた被告人は、染めたか脱色したか金髪風でしかし根本のほうは黒く、色白で薄味で少女のような顔立ちなのだった。
 悲しそうでもあり、薄く微笑んでいるようでもあり、なんというかこの世のものではない、地上に堕ちた妖精、と言っちゃ言い過ぎか。

 1人で自殺するのは寂しいので、誰かを巻き添えにしようと考え、知人男性(35歳)を呼び出して飲食をともにし、その男性方を訪れ、用意していた包丁でいきなり…。
 加療約1カ月間を要する胸部刺創、左母指刺創の傷害を負わせ、200万円を支払って示談成立、前科なし。
 判決は懲役1年6月、執行猶予3年、付保護観察。

 以下はその号の編集後記から。

 某氏からこんな話を聞いた。

「自殺願望とか、ストレスで万引きとか、結局は人間力が弱いのよ。人間力は、幼い頃からつくられるの。底辺の人、偉ぶる人、縦横斜めでいろんな人に接しなきゃ人間の発達成長はないの。成長期にさまざまな他者に会う機会が、日本の子どもは他国と比べて突出して低いんだってさ」

 「突出して低い」ってどこのデータだ? とネット検索してみた。
 データを見つける前に、文部科学省の「参考資料2 各発達段階における子どもの成育をめぐる課題等について(参考メモ)[改訂]」というのを発見。読んでしまった。忙しいのに!

 某氏はさらに言うのだった。

「落ち込んだとき、どうすればいいか。幸せな他人から励ましてもらっても役に立たないの。もっと落ち込んでいる者に会うのがいちばんいいのよ」

 うーん、万引きが止まらない人が、万引きで起訴され検察官からぼろくそ責められ、実刑判決を食らう裁判(他人の裁判)を傍聴する、それは有用だろうと私は思う。

 

 2017年当時、万引き病の裁判を私は次々傍聴していたのだ、そういえば。
 さあ、締切原稿へ戻ろう。じゃね。

 ←12月5日4時40分現在、週間INが50で2位。

2023年9月22日 (金)

「ガーシー被告」を解剖する

 「ガーシー被告」、今年の流行語大賞にノミネートされるんじゃないか。

 東京地裁・刑事第6部、9月19日(火)13時30分~17時、広いほうの警備法廷425号法廷を使って「暴力行為等処罰に関する法律違反、名誉毀損、強要、威力業務妨害、証人威迫」の第1回公判があった。

 傍聴券抽選、11時50分締切。傍聴席は42席のところ、抽選の当たり券は18枚、そこに560人が行列をつくったという。
 行列の多くは、各番組等が雇った並び屋さんかと思われる。

 19日(火)、私は東京地裁へ行った。が、行列に加わろうとは思わなかった。
 「威力業務妨害」「証人威迫」は傍聴したい事件ではあるけど、有名人には特に興味がない、どうせ大行列、馬鹿馬鹿しい、時間がもったいないので。

 

 立花孝志氏が傍聴券をゲット、と報じられている。
 並んだマニア氏によると、立花氏は抽選に外れ、しかしどこかのメディア(テレビだっけ)から当たり券をもらったのだという。
 そのことは報じられてるのかな。

 

 さて、「ガーシー被告」である。
 開廷表の被告人氏名はこうだった。

 ガーシーこと東谷義和

 「ガーシー」の部分を「こと名(ことめい)」というらしい。
 2013年10月14日に解説記事を私は書いた。
 その記事以外に、現時点で「こと名」のヒットはない。おお~、である。

 次に、「被告」の部分。
 正しくは被告人だ。被告は、単に短くしたとか略したとかでは済まない。
 立派な誤用、誤報だ。

 刑事裁判 検察官vs被告人
 民事裁判 原告vs被告

 被告は民事の一方の当事者なのである。
 有名な話として、こんなのがある。

 民事の弁論期日で、裁判官が普通に「次に、被告から答弁書を陳述…」と言った。
 聞いた被告が怒った、「私を犯罪者扱いするのか!」。

 世間の人とって「被告=犯罪者」なのである。
 以前、裁判所内で、退官したばかりの元裁判官氏にばったりお会いしたとき、元裁判官氏はこう言うのだった。

 「刑事の被告人を『被告』とやるのは、あれはどうにかならんもんですかね(笑)」

 ほんとそうですよねえ(困)。

 

 なぜ被告人を被告と報じるのか。
 「ひこくにん」だと「ひこくみん(非国民)」に聞こえるから、という説がある。

 刑事の公判で裁判官が「では開廷します。被告人、前へ出なさい」と言った。
 聞いた被告人が激怒、「俺を非国民扱いするのかあ!」。

 戦後間もない頃、そんなことがあったんですかね。
 だけど、今どき非国民なんて語が頭にあるのは、一部の大日本帝国好きな方々と…って感じでは。

 ま、なんであっても、被告人を被告とする誤用、誤報は、永遠に改まらないだろうと私は予想する。
 そんなことはいくらでもあるでしょ。

 世間がどうであろうと、私は被告人を被告人と、被告を被告と書く。
 未決勾留日数の算入も、把握できれば書く。
 可搬式(オービス)を正しく可搬式と書く。
 マイナー街道まっしぐらだ、あはは。

2023年8月31日 (木)

刑務官が陰茎を触った事件、民事訴訟に

 「東京拘置所 男性収容者が刑務官から下半身を触られる性被害「拘置所が適切な対応を取らず」国賠訴訟を提訴へ 東京地裁」と8月30日、TBS NEWS DIGが報じた。以下はその一部だ。

東京拘置所で男性収容者が男性の刑務官から下半身を触られる性暴力を受けた事件で、「拘置所が適切な対応を取らなかった」として、収容者が国に対し損害賠償を求める訴えを起こすことが分かりました。

訴えを起こすのは、東京拘置所に収容されている男性の被告(33)です。この男性収容者はおととし12月、20代の男性刑務官からズボンと下着を脱ぐよう指示されたうえ、食器口から手を差し入れられ、下半身を触られたということです。

男性刑務官はその後、特別公務員暴行陵虐罪で有罪判決が確定しています。

 その刑務官を被告人とする刑事裁判「特別公務員暴行陵虐」(東京地裁)の第1回公判を私は傍聴。メルマガ(当時)に「第2692号 東京拘置所の刑務官が被収容者の陰茎を露出させて触り」とレポートした。

 その号の編集後記で、東京地裁に対する爆破予告について、騒動をリアルレポート。

 

 「特別公務員暴行陵虐」の第2回公判(判決)も傍聴。
 さらに私は、その被害者、上掲ニュースでは「男性収容者」を被告人とする「強盗致傷、強盗未遂、詐欺、窃盗、住居侵入、強盗」(東京地裁、裁判員裁判)の判決も傍聴。
 2つの判決を「第2693号 あの特別公務員暴行陵虐の、なんと被害者の裁判も傍聴した!」でレポートした。

 「特別公務員暴行陵虐」は2022年11月9日、懲役1年6月、執行猶予4年。
 「強盗致傷、強盗未遂、詐欺、窃盗、住居侵入、強盗」は同年11月7日、懲役11年、未決600日算入。

 あそうそう、上掲ニュースにこんな部分がある。

訴えを起こすのは、東京拘置所に収容されている男性の被告(33)です。

 東京拘置所に収容されてるってことは、東京高裁に控訴して、まだ終わってないわけ?

 とすれば現在まだ「被告人」の立場なわけだ。
 民事の訴えを起こしたなら「原告」だ。「被告」は国、代表者法務大臣かな。

 ところが「被告人」でも「原告」でもなく「被告」と報じる。面白いよねえ。 ※TBSが特別おかしいんじゃない。これはテレビ・新聞の決まりなのだ。

 

2024年7月11日追記: ブログの残り容量がヤバイことになり、この記事の画像を削除しました。

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