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カテゴリー「駐車違反/民間委託後」の151件の記事

2025年5月22日 (木)

元ウクライナ義勇兵がフリーの駐車監視員に!

 21歳のとき、だからつまり50年前、私は大学を中退して漫画・コミックの原作者を目指した。
 高校の3年間を映画に狂った影響が大きい、と思う。

 懸賞で何度か賞をいただいた。たとえば、タイトルは今ちょっと定かじゃないが…。

 ある中学生がひきもこりに。
 元活動家でマルクス主義者の父親は、学校に何か問題があると鋭く察知した。息子を救わねば。

 新学年の新学期、父親は息子に成りすまして登校する!
 絶対バレるだろと思いきや、教員は生徒の顔など見ておらず、生徒は「お前、なんか老けた? 俺も血糖値が高くてさぁ」と、誰も気づかない。

 父親はまんまと潜入に成功し、屋上から「立て万国の中学生、団結せよ!」とかビラを巻いたりするのであった。バカである。
 そうして、追い詰められ自殺しそうな女生徒と出会い、このマルクス親父は本気で救おうとする…。

 

 『そのゆえにエドムと呼ばれた』、これはタイトルを憶えてる。
 ひと皿の平豆のために族長の座を譲り渡した、という聖書のエピソードに由来する。

 家畜(輸出用)の食欲を増進させる薬剤はすでにある。ジャンクフード産業のため人間の食欲を増進させる添加物を、ある多国籍企業が開発していた。

 管理のずさんさから、実験に使われたマウスが東京湾のゴミ処分場に違法に廃棄され、カラスが食べた。
 カラスには多くの添加物が蓄積されており、劇的な効果を顕した。すなわち、異常な飢餓により手当たり次第に食いつく、ゾンビに変身したのである。

 カラスが清掃車の運転手に食いつき、運転手はカラスを撃退したものの、帰りの銀座付近で突然ゾンビに変身、通行人を襲い始めた。
 感染は広がり、通行人が通行人を襲う。銀座はパニック! 地下鉄によって瞬く間に都内全域に広がる。
 主人公はその多国籍企業の下っ端研究員で…。

 

 そんな感じの習作を重ねたが、いっこうに芽が出なかった。
 出ないうちに、交通違反専門の物書きとして仕事をするようになった。

 そうして夢が叶った。四半世紀を経て、小学館の『ビッグコミック スピリッツ』で『交通被告人 前へ!!』の原作を担当させてもらえることに!


 

 人気がなければすぐ連載を打ち切られる厳しい世界で、連載は半年間も続いた。
 すぐに第2弾をとなり『駐禁ウォーズ!!』の原作を担当、おかげさまで丸1年間ほど連載は続いた。

 

 裁判所で複数の弁護士さんから「読んでます」「読んでました」と言われた。
 たまたまあれらを読んでいて、たまたま裁判所で私を見つけるって、希有な確率かと思う。うれしかった。

 

 でも、あの成功は、コミック作家のウヒョ助(現、塚脇永久)さんと担当編集者氏のおかげと痛感する。
 私は交通違反のマニアであり、ドラマ作家には向かないと痛感した。

 なのに、新しいシチュエーションが閃いたりする。たとえば…。

 2040年、日本はいよいよ破滅的超高齢社会に。
 富は安倍晋造大統領(2030年の憲法破壊で永久独裁者に就任)とそのお友だちが独占、貧困と犯罪が荒れ狂う時代…。

 駐車違反の放置違反金は、反則金や罰金と違って、取り締まりをおこなった都道府県に入る。
 地方にとって放置違反金はひとつの重要な財源である。

 もっと大胆に効率的に取り締まれるよう、道交法を変更。フリーの駐車監視員が誕生した。
 取り締まりに必要な携帯端末を1日1千円、1週間なら5万5千円で借りる。
 稼ぎは歩合制。放置違反金1万5千円の違反を1本とれば、その3割、4500円が稼ぎになる。

 クルマやバイクはなかなかとれないが、道交法の変更により自転車もとれることになった。

 そこにおいて、主人公はフリーの駐車監視員である。
 ウクライナで義勇兵を2年やった。そしてじつは、行方不明の妻子を探している。
 たかが駐車違反の裏に、さまざまな犯罪、さまざまな人間模様があり…。

 

 あ~、そんな夢想をしてないで、仕事の原稿を書こうょ💦

2019年4月16日 (火)

デイリーランキング1位になった件

  「クリッカー」というサイトがある。

 先日そこに「駐禁ステッカー貼られても出頭しないほうがお得ってホント!? → 出頭しなければ違反点数ナシ!【取り締まりQ&A】」という記事を書かせてもらった。

 担当編集者氏からメールあり。デイリーランキング(同サイトの左下辺り)でその記事が1位になっていると。
 えーっ! と思った。

 

 あの記事は「とにかく分かりやすく平たく」を心掛けて書いた。
 私の場合、ついついマニアックな細道、隘路へ入り込みがち、と自分でも承知。なので、入り込みたい欲望を断ち切ってワンポイントに絞り、軽く余談を加えるスタイルで書いた記事なのだ。

 そういうのがいいのだなぁ、やっぱりねぇ、と思い知らされた、勉強になった。
 そういうふうに書けるネタは、た~っぷりある。しかし、如何にとやせむ、時間がない!

 これからすぐメルマガ次号を書かねば。ネタは、刑罰(主刑)は死刑、懲役、禁錮 、罰金、拘留及び科料とあるうち、求刑も判決も拘留だった事件のレポートだ。
 科料はたま~にあるが、拘留はチョー希有だ。私の傍聴経験からいえば、罰金刑の執行猶予より珍しい。これがまた人としてディープな事件でさ。ね、マニアックでしょう?

 でも、分かりやすく平たくを心掛けて書こう。じゃねっ。

 

※ 駐車監視員の取締りが始まったのは2006年6月1日。画像は、その頃の新聞の求人広告だっけ。 ※当ブログ容量オーバーが判明。画像は削除。

 「御祝い金10万円支給いたします」とある。今はどうなんだろう。聞こえてくるところでは、今も人手不足が深刻な業者があるらしい。

 私は駐車監視員資格者証を持っている。応募する? いやいや私と知らずに雇った業者は警察から大目玉を食らうかも。そんな可哀相なことは…てかそもそも時間がないのだ!

2019年2月 8日 (金)

放置違反金、消滅時効、不納欠損、滞納処分

 こういうニュース報道が最近ぽつぽつあるでしょ。以下は2月4日付け東海テレビの一部。


3回駐車違反し違反金滞納中の40代女性 警察に車差し押さえられる「次の給料日までには払う」
 駐車違反を繰り返し違反金が支払われなかった車1台を、岐阜県警が差し押さえました。
 岐阜県警が差し押さえたのは市内に住む40代の女性が使用していた、1台のワンボックスカーです。
 この車では2015年から去年にかけ3回の駐車違反が繰り返されていましたが、違反金と延滞金など合わせておよそ6万円が納付されておらず、岐阜県警は使用者である女性に何度も督促していました。
 しかし女性が納付しなかったため、岐阜県警は1月31日、このワンボックスカー1台を差し押さえました。岐阜県警が交通違反の違反金滞納者を対象に、車を差し押さえたのはこれが初めてです。

 

 こういうのを「滞納処分」という。家宅捜索による押収ならともかく、刑事手続きとは関係ない財産の差押えなんて警察官は苦手だ。私も苦手だ。 ←あんたは関係ないっつーの(笑)。

 

 だが、苦手と言っちゃいられない事情がある。

 放置違反金は5年で「消滅時効」、徴収できず「不納欠損」となる。滞納分はどんどん溜まる。どげんかせんといかん。

 そこで「放置違反金の滞納処分業務における警察庁指定広域技能指導官」というのを登場させた。最初の技能指導官は京都府警の警部補だ。この警部補を招いての「放置駐車違反に係る滞納処分実践塾」というのをあちこちでやっている。

 「捜索・差押は、難しいイメージがあったが、ハードルが下がり、やってみようという気持ちになれた」などと好評だそうだ。

 

 ただ、滞納分は膨大であり、なかなか追っつかない。
 そこで、こうして大きく報道してもらい、未納者たちがびびって自発的に納付するよう仕向けたい、そういうことなのだ。

 

 2006年6月1日、「逃げ得を許さないために」「民間委託で浮いた警察力を重要犯罪の捜査へ」と放置違反金制度、駐車監視員制度がスタートしたが、逃げ回る者は相変わらずいるし、そのほか警察はかえってややこしい業務が増えた、いやいや大変なのだ、という話を、駐車違反にまつわる5件の「交通指導だより」を紹介しつつ2月下旬発売の『ラジオライフ』の原稿に書いた。

 画像はうち2件の表紙部分だ。 ※当ブログ容量オーバーが判明。画像は削除。

 

 上掲報道では「放置違反金」という正しい語が一度も使われていない。

 昔はこれを「反則金」とか報道していたこともある。なので、その頃に比べれば「違反金」となっているだけ大いに進歩したといえる。

 また、これは東海テレビさんが特に意図したわけではなかろうと思うが…。
 ただ逃げたいだけの人は罰金、反則金、放置違反金の区別がつかない。とはいえ放置違反金では駐車違反限定感がある。「違反金」だと駐車違反限定のペナルティだという感じが薄れる。「交通違反の違反金」と念押しされている。

 反則金の未納者をもびびらせる効果が生じており秀逸、といえる。ディープな読みでしょ、ふふ。

 

 さてメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」、2月は以下の2号を発行した。


第2212号 道交法違反、犯人隠避等の裏に、まさかのとんでも事件が
 オービスの身代わり出頭の事件はときどきあるが、本件は無免許運転者への車両提供罪、の隠避だった。珍しい。そうして、その裏にとんでもない事件が隠れていた! 閉廷後に起こったことは…!

第2211号 新型オービス、たぶん本邦初の裁判、探して狙って傍聴しました!
 苦労して見つけましたょ、新型オービスのうちセンシス社の固定式による速度違反の、否認事件を! たぶん本邦初の裁判だ。検察官の立証予定は気合い全開。2013年から新型オービスを追い続けてきた私は大興奮し…!

 

 いま購読登録すると以上2号がさっと送信される。そして2月末まであと10号が順次送信される。

 今回、珍しく2号続けて交通関係だった。
 次号は自慰行為関係の事件、次々号は悪質な性的虐待の事件になりそう。あるいは住吉会系の事件になるか。前頭側頭型認知症の症状のひとつとしての万引きを裁判官はどうしたか、という驚きの話もご報告しなければ。裁判員裁判で実質無罪とされた男の、その後の2度目の下着泥棒は…。

 レポートしたいことが多すぎて、ただただ時間がない。私も大変なのですょ。

2019年1月11日 (金)

駐禁の違反金滞納、フィギュアを差し押さえ

 警察庁の交通指導課が全国都道府県警に対し送付する「交通指導だより」というのがある。

 9月に私は、保存期間内のものをすべて開示してくれと請求した。
 普通は30日以内に開示決定が出るが、これは延長決定をくらい、11月と12月に分けてた~っぷり開示された。マニアな私としては、しぇーっ、うれぴー! である。 ←なにがぴーだ、あほんだら(笑)。

 

 現在発売中の『ラジオライフ』で、11月に開示された5件を紹介した。メルマガでも速報した。新型オービスについてびっくり文書が含まれていた。こういうことがあるから開示請求はヤメられないのですょ。

 

 てか思ったのは、もしも私が私でなく、『ラジオライフ』のその号を買わず、メルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代」も知らず、無料のネット情報だけ見ている者だったら、あのびっくり文書のこと、永遠に知らずいるわけだ。

 そんなこと言ったらきりがない、のだけれども、テレビも新聞も全社、もっぱら同じことを同じように報じ、ネットの多くはそれをもとにあれこれ騒ぐばかり、というのは如何なものかと。西日本新聞はそこから脱しようとしているのか! と。

 

 今月下旬に発売の『ラジオライフ』では、12月に開示された14件のうち、全国の交通総務課長宛ての3件を紹介した。画像上が、その3件のタイトルが分かる部分だ。 ※当ブログ容量オーバーが判明。画像は削除。
 タイトルは堅苦しいが、中身は面白いのだよぅ!

 

 来月下旬に発売の号では、特に何か起こらない限り、全国の駐車対策課宛ての文書を紹介しようと思っている。
 画像下は、その文書の一部だ。「放置違反金の滞納処分業務における警察庁指定広域技能指導官の指定について」。へえ~! と読んでいたら、以下は1月9日付け京都新聞の一部。

差し押さえフィギュア、ネット転売 京都府警、違反金滞納で
 路上駐車の放置違反金を滞納する人が後を絶たない中、京都府警が、滞納者に対する財産の差し押さえを強化している。従来の車や預貯金だけでなく、昨年から全国に先駆けてゴルフクラブセットやフィギュアなど趣味の品々まで対象を広げたところ、慌てて支払いに応じる人が続出。インターネットのオークションサイトで想定以上に高値で売れる物もあり、府警担当者は「『逃げ得防止』の有効策になっている」と手応えをつかんでいる。
 「現金がなければ、代わりにゲーム機を差し押さえますが、どうします」。昨年10月下旬、違反金を滞納する30代女性の自宅を府警の職員4人が訪問した。女性は約20回にわたる納付命令や督促を無視し続けていた。しかし、職員の通告に対して「ゲーム機は手放したくない」と渋々、支払いに応じたという。
 放置違反金の滞納額は全国で累積約37億円(2006~17年度)に上り、府内でも約9100万円(同)に膨らむ。府警は悪質滞納者に対し、車や預貯金を差し押さえて対応してきたが、昨年からは対象をゲーム機やギター、フィギュアなどにまで拡大。こうした品々はネットオークションで高値で売れることが多く、中には想定の80倍で売却できた物もあるという。

 

 お~、京都のその警部補さんの指導により、頑張っているのですね!
 警察庁の方針に従い、差し押さえは広がり、広がる以上に大きく報道されるだろう。それはどういう意味か、『ラジオライフ』に書く予定。

 もったいぶってる、と見えるかもしれない。でもね、いわば当てずっぽうで開示請求をしまくり、交通費をつかって裁判所へ通い、好きなことをマニアックにやっていられるのは、原稿料、メルマガの購読料(の6割)、あとたまにテレビやラジオの出演料、週刊誌等のコメント料があるおかげなのだ。

 ギャラを払ってくれる媒体を、月108円とはいえ購読料を払ってくれるメルマガ読者諸氏を、裏切るわけにはいかない。そこはご理解いただきたい。もちろん、たぶんネットの奥底の深いところにある当ブログを見つけてくれた読者諸氏にも感謝しており、裏切らないよう頑張りたいと。

2018年10月20日 (土)

放置違反金、滞納処分と報道宣伝

 交通違反の不出頭者をまとめて何人逮捕しました、と同様、放置違反金の滞納処分をしました、という報道も年に何回か必ず見かける。
 以下は10月19日付け読売新聞の一部。

違反金滞納なら…漫画やフィギュアも差し押さえ
 京都府警は今年から、駐車違反の放置違反金の滞納者に対する差し押さえの対象を比較的、安価な漫画本やフィギュアなどにも拡大した。オークションサイトに出品して滞納金の回収に充てる。こうした物品まで差し押さえるのは全国でも珍しいといい、府警では「逃げ得は絶対に許さない」としている。
 放置違反金の滞納額は、昨年度までの累積で全国で約37億3000万円。京都府内でも約9100万円に上る。これまでは給与や車などを差し押さえていた。今年はすでに昨年の10倍以上、101件(12日現在)の差し押さえを実施し、競売サイトに出品するなどして換金している。
 競売での落札額は計約10万円にとどまるが、愛着のある物品を手放すのを嫌って差し押さえ前に支払うケースも多く、約300万円の回収につながっている。
 19日は京都市伏見区の集合住宅の一室を府警交通指導課員が訪問。住人の30歳代女性は約3年にわたって府警の納付命令や督促を計19回無視し、放置違反金と延滞金計3万8200円を滞納しており、ゲーム機などを差し押さえることを伝えると、知人に金を借りて支払ったという。

 

 「フィギュアも」というところがインパクトがあって良い記者発表だと思う。京都府警さん、二重丸です。警察庁の評価も高いはず。

 

 放置違反金の納付命令の件数は、「約束が違うじゃーん!」と地方自治体が泣きたくなるほど減少している。交通取締り全体も減少し、交通安全協会は火の車、という原稿は間もなく発売となる『ラジオライフ』に書いた。

 運転免許の更新時講習等のテキスト『交通の教則』はタイトルが変更され、なんと…! という話はメルマガ最新号、第2167号の編集後記に書いた。

 

 ところで諸君、大変なニュースがある。

 究極の居酒屋「昭和」が、嗚呼、諸行無常、11月30日で閉店、終了となる。昭和という時代が終わるのである。
 11月30日までの間、ひんぱんに「昭和」へ通いたいが、しかし単行本原稿があり…。単行本はいつでも書ける、「昭和」は今しかない、と言っては編集長氏からぼっこぼこに叱られる。ほらね、私もつらいのですよ。

 

 画像3点は10月18日の「昭和」の酒肴だ。
 画像上は、煮物と、フライドチキン。画像下はサンマ焼き。いずれもチケット1枚。画像中は、まぐろ刺身とシメサバ、の食べかけ。これはチケット2枚。チケットは10枚綴りで1200円。消費税なし。こんな店がなくなる、日本国にとって大きな損失と言わざるを得ない。諸行無常と分かっちゃいるが、でも悲しい。  ※当ブログ容量オーバーが判明。画像は削除。

2018年7月 2日 (月)

駐車監視員制度、お祭りの初日!

 いま、『ラジオライフ』の原稿を書いている。ネタは自転車取締りと自転車講習の最新データだ。

 じつは警察庁は2006年4月、自転車取締りを強化するよう全国都道府県警察に通達を発出している。2006年といえば、その6月1日に警察庁は駐車取締りの民間委託をスタートさせている。興味深い。

 

 当時、警察庁は何と言っていたのか、私が過去に書いた原稿を探した。そしたら、なかなか面白い記事を発見した。
 以下は、2006年7月発売の『ドライバー』に書いた記事だ。一部加筆等する。12年前、そんなことがあったのだ。懐かしい。

 

 たぶん私の出番が増えるんだろう、とはぼんやり予想していた。4月ころから雑誌、新聞のインタビュー、原稿依頼が多くなった。5月に入ると、ラジオ、テレビからの出演依頼が増えてきた。それは日を追うにつれ激しくなった。

 やがて、予想をはるかに超え、もうひっきりなしになった。スケジュールをやりくりするだけで精一杯。自分がいまどの番組のインタビューを受けているのか、ほとんどわからなくなる始末だった。

 

 でも、私のコメントの内容は、いつも同じだ。それは、本誌やブログなどに書いてきたことだ。奇をてらって事実や認識に反することを言うわけにはいかない。不安になり、いくつかの番組スタッフに尋ねてみた。

「あのう、私、すでにいろんな番組にお答えしてまして、同じことしか言えないんですけど、いいんでしょうか」
「ぜんぜんOKですよ。こういうことでコメントできるのは、今井さんしかないんですよ」

 そ、そうなのか? うむぅ…。

 

 そしてついに6月1日。駐車違反取り締まりの民間委託の、いよいよ初日がきたのだよぉ!

 朝5時50分、お迎えのハイヤーに乗車。6時すぎ、道端に停まってもらい、車内からFM東京に携帯電話で生出演。赤坂に着き、TBSラジオに生出演。同じハイヤーで渋谷警察署前へ。早く着いたので、向かいの立ち食いそば屋で、きつねそば、350円。これが、夜帰宅するまでの唯一の食事になろうとは、そのときの私は知るよしもなかった…。

 

 8時をすぎ、マスコミ各社が集まり始めた。渋谷署の正面玄関前で、担当警察官が「お願い事」を伝えた。

「勤務中の監視員へのインタビュー取材はお断りします。車道には出ないでください。皆さんが轢かれてしまうとニュースになってしまう。歩行者、自転車にはご注意を」

 いよいよ始まるのだ!

 

 集まったマスコミ陣のなかで、私がいちばんわくわく興奮していたと思う。

 だぁって、警察はこの種の制度にしたいと90年、93年、94年に大きく発表していたのだ。私は94年に『週刊金曜日』に記事を書いてからずっと、機会あるたびに批判してきた。それが、ようやくこんな形で華々しくスタートするのだ。かわいい子どもが小学校に入学するような、なんともいえない興奮を私は感じるのだった。

 

 8時36分ころ、おおう! 渋谷署の正面玄関からぞろぞろ出てきたよ、駐車監視員(以下「監視員」)が!

 緑を基調とした制服に、携帯端末と携帯プリンターなどを装備して。数は15ユニット、30人か。マスコミ各社が一斉に撮影。私も昨年買ったデジカメで撮りまくったよぅ。

 

 監視員たちはすぐに2手に分かれ、さらにまた分かれた。私は道玄坂方向のユニットを追った。歩く、歩く、すたすた歩いていく。あちこちに違法駐車があるが、目もくれない。取り締まり開始場所が決まってるんだろうか。

 109(マルキュー)の前で、3ユニットが止まった。携帯端末をなにやらいじっている。資格者証のデータを入力している。出発前にやっとけばよさそうなのに…。

 茶髪にサングラスのおじさんが通りかかり「こんなの愛国心じゃねえ!」と、しゃがれ声で監視員らに怒鳴った。

 

 道玄坂を上り、途中の信号のところでまた止まった。ここがスタート場所か?

 だが、なかなか出発しない。リーダーらしき若めの監視員が、携帯電話でしきりに連絡をとっている。「いま、監視員といっしょに××しておりまして」と聞こえた。目つきが冷酷そうで、他の監視員とは明かに感じが違う。元警察官? だとすれば、若いのになんで退職したのか。ヤバイことをやったのか。

 

 「1回落として…」とも聞こえた。電源を落とせということらしい。どうも携帯端末が不具合のようだ。
 若いカップルが「あっ、あれだ、駐車監視員だ」と通りすぎる。場所的に、ラブホテル帰りか。

 

  9時10分、1ユニットずつに分かれ、動き出した。私は、怖い目つきの監視員がいるユニットを追った。

 しかし、ぜんぜん確認事務(新しい取り締まり)を行わない。歩道上にでーんと置かれたジャマな大型スクータも素通り。そして結局、渋谷署へ戻ってしまった。他にも戻るユニットがあった。やっぱりどうも携帯端末が不具合らしい。なんだよ~。

 

 他の記者らとともに玄関前でうろうろしてると、いつの間にか、そばに1台の乗用車が路上駐車していた。駐停車禁止の標識のすぐ下。路面は赤くペイントされている。取り締まってくださいと言わんばかり。
 ヤラセか? などと記者らと話すうち、1ユニット出てきた。おうっ、やっと確認事務を見られるよ!

 けれど、監視員が写真を撮ってデータを入力している間に、ドライバーが戻ってきた。新しい取り締まりは、その場でプリントアウトした確認標章(新しいステッカー)が貼りつけられる前にドライバーが戻れば、セーフなのだ。

 

 それからそのユニットは、明治通りを広尾方向へ歩き始めた。やっとまともな巡回活動が始まるのか。テレビが2局に、紙媒体の記者、正体不明の男が2人と私、合計10人くらいがくっついて進む。

 

 銀行の前に、ハザードを点けたタクシーが駐車していた。運転手の姿は見えないがすぐ戻ってくるだろう。ところがそのタクシーに対し、監視員は確認事務を始めた。

 「運転者が車両を離れて直ちに運転できない状態の違法駐車」を「放置車両」といい、確認事務の対象になるのだが、それにしても、こんなタクシーを? とくに迷惑にはなってないのに。私は思った、「見境ねーな!」と。

 当然、運転手がすぐに戻ってきてタクシーは発車。確認事務はまた空振りだ。

 まあね、民間が取り締まるのだから、法が決めたとおり見境なくやるのが正しい、とはわかる。個々の業者、監視員の恣意が入っては困る。

 

 けど、そうであれば、そもそもの規制は、場所ごとの迷惑性を十分に考慮するなど、よほど合理的でなければならない。

 なのに今回の新制度は、一部の例外を除いて、従来の不合理な規制のまま「時間の長短に関係なく取り締まる。取り締まったらかならずカネ(反則金または放置違反金)を徴収する」という制度だ。
 それで見境なく取り締まったのでは、ドライバーたちの憎悪がたまるばかりではないのか。

 

 さらに歩いていくと、道端にタクシーが。あれ、さっきのタクシーでは? と思う間もなく運転手が降りてきて、監視員に食いついた。

「銀行の1分でもダメですか! ほんの1分でも!  やりすぎだよ!」

 殴りかからんばかりの勢いだった。
 監視員はみなし公務員とされ、殴れば公務執行妨害だ。初日にすごいシーンを撮れるぞ。テレビカメラが集まった。もちろん私もデジカメを向けた。
 タクシー運転手は気圧されたか、殴ることなく去った。

 

 そのあとも監視員は、宅配のトラック、納品の1BOX、工事車両、ダスキンの軽自動車など、運転者が乗ってないとわかると見境なく確認事務を始めた。が、みな運転者が数分で戻るため、ぜんぶ空振りのまま、渋谷署へ戻ってしまった。

 

 午後に1件だけ、高級そうなBMWに確認標章を取り付けるところを目撃できた。
 間もなく戻ってきた運転者は、子どもをピアノ教室へ送った若い奥さんだった。複数のテレビカメラの前でコメントを求められ、おどろいていた。

 

 私はその日、たしか6つのテレビ番組のインタビューに応じ、途中で少し渋谷を離れてニッポン放送のラジオに生出演。夜はNHKラジオに携帯電話でコメントした。
 気温は30度を超え、今年初めての夏日だという6月1日は、こうして終わった。女房殿から言われた。

「あんた、痩せたわね」

 仕方ないよ。これを皮切りに交通社会は大きく変わる。その〝お祭り〟の初日なのだから。

 

 制度スタートの前に私は、駐車監視員資格者講習を受け考査に合格、所定の手続きを経て駐車監視員資格者証を取っていた。

 インタビューでスタジオで見せまくった。「えぇい、頭が高い、控えおろう、この資格者証が目に入らぬか!」という調子で、というのはウソですけど(笑)。
 自転車取締り、スピード取締りもいずれ民間委託されるだろう。その資格者証も取らねば。大変だっ。

 

※画像は、ナンバーを隠した駐車中のバイクの確認標章(黄色い駐禁ステッカー)を取り付けたという珍しい写真。読者氏からの頂き物だ。 ※当ブログ容量オーバーが判明。画像は削除。

2017年9月11日 (月)

駐禁取締りはステッカーを貼り付けてアウトなので

 以下は9月5日付け産経新聞。太字は俺。


「なんべん貼るねん!」駐車違反ステッカーに立腹し暴行 容疑で男逮捕 大阪・港
 駐車違反の取り締まり中の監視員に体当たりするなどの暴行を加えたとして、大阪府警港署は5日、公務執行妨害の疑いで、大阪市港区の会社役員の男(40)を現行犯逮捕した。容疑を認めている。
 逮捕容疑は同日午後0時20分ごろ、同区磯路の路上で、路上に違法駐車していた乗用車に駐車違反の確認標章を貼り付けようとした駐車監視員の男性(62)に対し、胸に体当たりするなどの暴行を加えたとしている。監視員にけがはなかった。
 同署によると、男は過去に同様の駐車違反で標章を張られたことがあり、「なんべん貼るねん」と言って暴行に及んだという。監視員が110番し、駆けつけた署員が現行犯逮捕した。

 

 「確認標章」とは、駐禁取締りのあの黄色いステッカーだ。
 確認標章を使っての駐禁取締りは、確認標章を貼り付けて成立する。 ※細かいことを言えばそのあと不成立となることもあるが。

 

 確認標章を携帯プリンターで作成する前に、あるいは作成した確認標章の裏紙を剥がしてフロントガラスに貼ろうとしているところへ、運転者等が戻れば、それは放置車両(運転者がその場を離れて直ちに運転できない状態の違法駐車)じゃないから、駐車監視員は取り締まれない、確認標章を貼り付けられない。

 

 上掲記事には「確認標章を貼り付けようとした」とある。貼り付けようとした段階ではセーフなのだ。

 駐車監視員のほうでは、それでも仕事に着手したことが携帯端末に残るので、特に気にしない。あっさり去る。 ※中には知らん顔で貼ってしまうワルもいるそうだけど。
 そのことを承知のうえで暴行に及んだならいいが(よかないが。笑)、セーフの段階なのにアウトと思い込んでカッとなったなら、もったいないというか。

 

 ちなみに、確認標章を作成する前に運転者等が戻ってセーフとなったのを「中止」という。作成してから貼り付けるまでに戻ってセーフになったのを「警告」という。

 手元に、その件数をまとめた2013年の表(警察庁)がある。
 取付(貼り付け)の全国合計は166万4504件。中止は315万8207件。警告は31万0819件

 じつはセーフが断然多いのである。

 

 ただしこの表には誤りがある。埼玉は、中止より警告がどかんと多いでしょ。埼玉県警に確認したところ、間違えて逆に計上しちゃったんだそうだ。  ※当ブログ容量オーバーが判明。画像は削除。
 岩手県警にも電話した。中止と警告をあわせて153件なんだったかな、忘れた。

 

 

 これは駐車監視員資格者講習のテキストだ。俺は2005年6月15日発行の初版2刷りを持ってる。講習のときいろいろ書き込んで何度も読み返したんでもうぼろぼろだ。

2017年3月 7日 (火)

湾岸署の取締件数にびっくり!

 さてお待ちかね、マニア的びっくりデータのコーナーです~。

 画像は警視庁の「保管場所法違反取締状況(交通・地域)」、2016年の1~12月の累計だ。 ※当ブログ容量オーバーが判明。画像は削除。

 まず、11条1項、11条2項とは何か。以下は「自動車の保管場所の確保等に関する法律」(略称:保管場所法)。

(保管場所としての道路の使用の禁止等)
第十一条
   何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。
   何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
   自動車が道路上の同一の場所に引き続き十二時間以上駐車することとなるような行為
   自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き八時間以上駐車することとなるような行為
   前二項の規定は、政令で定める特別の用務を遂行するため必要がある場合その他政令で定める場合については、適用しない。

 

 「第十一条」のあとにあるのが第1項、「」が第2項だ。
 第2項は、ごく普通の、と言っちゃなんだが、夜間にあっては8時間以上の、夜昼問わず12時間以上の、長時間駐車のこと。
 昔から、保管場所法違反の取締りといえば、ほとんどが「2項違反」だった。

 

 ところが2016年のデータを見ると、警視庁の「1項違反」の取締り40件は、すべて東京湾岸署(以下湾岸署)の、それも地域課(つまり交番勤務の警察官)によるんである!
 かつ、2項違反の取締りについても湾岸署はぶっちぎりトップだ!
 いったいどうなってるのか。

 

 湾岸署といえば、その玄関からASKAさんが釈放されたことで有名だ。
 また、東京23区内で女子の留置場があるのは、西が丘分室のほかに湾岸署と原宿署だけと聞く。酒井法子さんが湾岸署の玄関から釈放されたこともある。

 しかし、ASKAさん、酒井法子さん、女子留置場と、保管場所法違反の取締り件数との間に、因果関係は見出し難い。 ←そりゃそだろっ(笑)。

 

 これは全くの憶測になるが、湾岸署の管内には、乗用車または貨物車を長時間置きたくなる道路、置ける道路があり、長時間置きたい事情のある人または事業所がある、つまり湾岸署に特有の事情がある、そういうことじゃないのかな。
 でなきゃこの突出状態は説明がつかないように思う。

 

 ところで、じつは保管場所法違反の取締りは、2006年に駐車監視員制度と放置違反金制度がスタートして以降、めっきり減った。駐禁レッカー移動ほどではないが、ほとんど壊滅状態だ。
 そのことも併せ見ると興味深いのだが、長くなる。またの機会に。

2017年1月18日 (水)

放置違反金、10年間で2166億4520万1844円!

 メルマガ「裁判傍聴バカ一代」の第1836号「闇の組織からきた前代未聞のSM強姦魔」の、その編集後記に以下のようなことを書いた。
 裁判傍聴と関係ないじゃん? いやいやこういうことを背景に、駐車監視員に対する公務執行妨害とか、犯人隠避・隠避教唆(身代わり出頭)とか出てくるわけで。

              

 2006年6月1日から、駐車取締りの民間委託とあわせて「放置違反金」の制度がスタートした。

 放置駐車違反(運転者が車を離れて直ちに運転できない状態の違法駐車)と認められ、駐車監視員または警察官または交通巡視員により、確認標章(黄色い駐禁ステッカー)を取り付けられた場合、違反者が警察へ出頭して違反切符を切られることもできるが、出頭せず、車の持ち主が放置違反金を払って終わることもできるようになった。

 

 2015年のデータでいうと、8割強が放置違反金で決着してる。

 その放置違反金の、全国の収納額はこうだ。 ※警察庁のデータ。2006年は6月から7カ月間分。1円単位があるのは滞納処分で利息等が加算されたりするから。間違いがないよう慎重に書き写す。

 2006年 197億1518万9829円
 2007年 300億9512万7763円
 2008年 288億6449万8504円
 2009年 257億8751万5766円
 2010年 215億1912万6877円
 2011年 213億7293万3037円
 2012年 198億3191万2336円
 2013年 182億5582万9172円
 2014年 165億4138万4395円
 2015年 146億6168万4165円
 合計  2166億4520万1844円

 2007年=制度スタートの翌年、をピークにどんどん減ってる。
 「約束が違うよっ!」と泣いてる方々もおいでだろう。

 

 放置違反金は、反則金や罰金と違って、取締りをやった都道府県の収入になるのである。なぜそんなことになったのか。毎度引用するが、以下は2003年12月6日付け毎日新聞の一部。太字は俺。


 小泉純一郎首相が指示した国から地方への補助金一兆円の削減を実現するため、駐車違反の反則金(年三百億円程度)を国から地方に移管し、二〇〇四年度の補助金削減実績に算入することが六日分かった。政府は年明けの通常国会に道路交通法など関係法改正案を提出、成立を前提に補助金削減実績に計上する。制度として反則金が地方自治体の財源となるのは〇六年度からの見通しだ。

 

 この報道は、翌年の国会へ法案が提出される前であり、当時は放置違反金という名称がなかった。
 新制度の前の反則金が(もっと正しく言えば反則金の約8割が)放置違反金と名を変えて都道府県の財源になる、ということだ。

 年間300億円、その8割としても240億円。約束が違うじゃーん!
 ただ、都道府県によってどえらいばらつきがある。10年間の合計の、ベスト3はこうだ。


 東京都   618億7248万4590円
 大阪府   342億7683万0186円
 神奈川県 212億7314万2744円

 この3都府県で、全国の総収納額の半分を超えるのである。
 最下位は山梨県で、なんと5579万9000円。ひ~。

 

 補助金がそれぞれどれだけ削減されたのか知らないが、一見してあまりに不公平。
 ここはひとつ、速度違反についても、車の持ち主に「速度違反金」とか払わせて都道府県の収入とすべきではないか。

 そんな動機ばかりではなかろうけれども、「速度違反金」制度のスタートと、速度取締りの民間委託へ向け、警察庁は今年ゴゴゴと動き出すはず。
 マニア的には楽しみでもうっ(笑)。

              

 以上が編集後記の内容。ごく一部加筆等した。

 ちなみに間もなく、東京航空計器のLSM-300の、契約書と仕様書が手に入る。将来「速度監視員」が使うことになるだろう、三脚に載せるレーザー式の新型オービス、いわば「どこでもオービス」だ。
 マジ楽しみぃ~。

 

 寒くなったね~。俺が昔オートバイ乗りだった頃、弟は夕焼けだった、じゃなくてぇ、ライダー用の高価な手袋を買えず、作業用品店の各種手袋を愛用してた。夏は皮クレスト、雨に備えてゴム引きの手袋を携行してた。皮クレストを常用してると手が黄色くなって…。

2016年12月17日 (土)

佐川が可哀想な気もするのだ

 この事件、メルマガ第1819号「夫のゴルフの鞄からコンドームがぽろり」の編集後記で書いたとおり、俺は佐川の人たちが可哀想な気もするのだ。
 以下は12月13日付け東京新聞の一部。

佐川急便社員ら6人再逮捕 身代わり出頭事件
 佐川急便東京営業所(江東区)の社員らによる駐車違反の身代わり出頭事件で、警視庁交通捜査課は13日、犯人隠避と同教唆容疑で、東京営業所係長の■■■■容疑者(35)=■■区=や同●●●●容疑者(41)=●●市●●区=ら計6人を再逮捕した。
 交通捜査課によると、身代わり出頭事件で13日までに、犯人隠避や同教唆容疑で逮捕や書類送検された佐川急便社員らは計34人となった。14日も別の運転手ら6人を書類送検する。

 

 2006年6月1日、駐禁取締りの民間委託とあわせて放置違反金制度がスタートした。黄色い駐禁ステッカーを貼られたうち、だいたい8割くらいが放置違反金で決着している。
 放置違反金は、車の持ち主へ納付書が送付される。誰が払ってもいい。違反者が誰であろうが関係ない。

 放置違反金は、罰金反則金のように国庫へ行かず、取締りを行った都道府県の収入になる。ダイレクトに稼げる。行財政改革により大幅な補助金カットの代わりに地方に与えられた収益事業なのである。財政難のおり、天恵だ! と報じられたこともある。

 したがって当然、都道府県は予算を立てて取り締まる。2015年度の東京都の放置違反金予算額は58億8978万3000円だ。

 

 だから、べつに危険も迷惑もない短時間の駐車でも取り締まる(=金を稼ぐ)んである。

 配達の車両とか、少し多めにみないと社会がまわらなくなる駐車も、見境なく取り締まる(金稼ぎの対象にする)んである。
 駐車監視員を恨んでも仕方ない。こういう制度なのである。駐車監視員からこんな話を聞いたことがある。

 

駐車監視員 「彼ら(宅配)は仕事でやってるわけだし、べつに迷惑になってない駐車なら、我々だって無闇に取りたくないわけですよ。しかし見逃しはできない。我々は恨まれてますからね、見逃せば『あいつら業者から金もらってんじゃねえか』とか警察に電話が入りかねない。たまに警察が私服で我々を尾行してますし」

 それでだ、あるトラックが何度も何度も放置違反金の納付命令を受けることになると、そのトラックが20日間とか30日間とか「使用禁止命令」を食らう。その命令を受けたことは前歴となり、次からの基準が厳しくなる。
 これは会社側としては困る。

 使用制限命令を心配しないためには、放置違反金で終わらせるんじゃなく、佐川男子(又は女子。以下同)が警察へあえて出頭すればいい。

 そうすると、佐川男子は違反切符を切られ、反則金の納付書を交付される。これも、誰が払ってもいい。とにかく反則金が納付されれば、駐車違反の処理は終了する。

 

 ここで大事な注意をしとかねば。「とくに迷惑のない短時間駐車でなぜ取り締まるんだ!」とか争って不起訴になっちゃダメですょ。
 なぜなら、違反者が不起訴になると、トラックの持ち主である会社へ放置違反金の納付命令がいくから。
 そんなバカな? 俺がバカなんじゃない。こういう制度なのだ。不起訴でも放置違反金の徴収はOKという判例もとっくにある。

 駐車の迷惑性とか正義とか、その方面はタテマエまたは幻想。とにかく「カネ取ったるどぉ~!」という制度なんであるこれは。

 

 違反切符を切られると、違反者(佐川男子)に違反点数が登録される。不起訴でも登録される。点数が累積すると、運転免許が停止になってしまう。
 これは佐川男子側としては、いや会社側としても困る。

 

 使用制限命令も受けず、佐川男子が点数登録されることもないためには?
 そう、ペーパードライバーとかを身代わり出頭させればいいんである。
 会社は困らない。佐川男子も困らない。ペーパードライバーは、少し謝礼をもらえばラッキー。

 取締りそのものを逃れるため“2人乗車”とかすれば経費がかさみ、宅配料が値上げになるかも。その意味では消費者も恩恵を受ける(※)

 都道府県は放置違反金の収入がそのぶん減るけれど、減収続きの反則金収入が増えるんで、ま、大きくはプラマイゼロだ。
 てゆっか、違反点数が登録されることで、詳細は省略するがいろいろ潤う者が国家の側にいる。

 

 近江商人は売り手よし・買い手よし・世間よしという「三方よし」の精神だという。今回の佐川がやったことは、その意味では、三方どころか四方も五方もヨシなのである。
 ところが! 法律的には犯人隠避、犯人隠避教唆の罪になる。
 なんとバカバカしい事件、と俺はとらえてる。この裁判、絶対傍聴しようっ。

 駐禁取締り対策で集配の効率が悪くなった業者、との関係で佐川はズルイ、という見方もあると思う。そこを検察官は突くか、突くことを予想して弁護人が何か準備しているか、そこがこの裁判の見所の1つかな。

 画像は新型パーメ! 某氏のスクープ撮だ。俺もあとで撮りに行こう。  ※当ブログ容量オーバーが判明。画像は削除。

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