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カテゴリー「裁判員制度」の110件の記事

2025年5月17日 (土)

大麻は麻薬となり懲役5年→7年

 13時20分~13時30分、東京地裁の813号法廷(52席)で「偽計業務妨害、威力業務妨害」の判決。

 被告人が5分遅刻した。反対方向の電車に乗ったとかで。

 主文は懲役1年6月、執行猶予4年
 犯罪事実は、2023年8月のが1件、同年12月のが2件。

 「三菱UFJに爆破予告疑いで逮捕 ネット投稿、25歳男」と、なぜか報道日の明示を避けるかに共同通信。この事件だ。以下はその一部。

 逮捕容疑は昨年8月24日、警視庁ホームページ(HP)のお問い合わせフォームに、東京都内のゲーム関連会社を名指しし「同時爆破テロを実施させていただくナリ」と投稿。同12月6日には三菱UFJ銀行のHPに「我々恒心教は三菱UFJ銀行本社を爆破する」と書き込み、警視庁や同銀行の業務を妨害した疑い。

 恒心教。カルト?
 「「恒心教」の元大学院生に懲役3年の有罪判決 爆破予告など繰り返す」と昨年6月13日朝日新聞。以下はその一部。

恒心教は、特定のネット掲示板で弁護士らへの中傷を繰り返す人たちの行為を指す言葉。

 なんだそれ~。

 

 言渡しが終わったのが13時31分。
 13時30分から別の法廷(20席)で傍聴したいのがあったが、もうだめ。どうしよう。

 続けて813号法廷で「麻薬及び向精神薬取締法違反」の新件があった。おお、と思って傍聴した。

 

 被告人(身柄、拘置所)は大柄な35歳。「暴力団」の所属らしい。
 今年2月の、「麻薬である大麻」39.859gの所持だった。麻薬である大麻!

 起訴状朗読の最後、罰条の部分、「66条1項」とばっちりメモ、しゃっとアンダーラインを引きましたぞ!
 以下は麻薬及び向精神薬取締法の第66条だ。

第六十六条 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第六十九条第四号若しくは第五号又は第七十条第五号に規定する違反行為をした者を除く。)は、七年以下の懲役に処する。
 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、一年以上十年以下の懲役に処し、又は情状により一年以上十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
 前二項の未遂罪は、罰する。

 

 第1項には原則として項番号をつけない。詳しい理由は『法令作成の常識』(林修三著、日本評論社セミナー叢書)に。

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 第1項の丸カッコ内の第69条第4号とかいうのは、麻薬営業者、麻薬輸入業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者なんかの規定であり、一般人には関係ない。

 大麻も麻薬と定義されている。大麻は「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬」に当たる。よって大麻の所持は、麻薬及び向精神薬取締法により7年以下の懲役なのだ。

 

 以前の大麻取締法では、こうだった。

第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。

 2024年12月12日、所持の罰則は麻薬及び向精神薬取締法のほうに取り込まれ、7年以下の懲役とされた。
 そして、大麻取締法は「大麻草の栽培の規制に関する法律」にかわり、所持の罰則はこうなった。

第二十四条の二 削除

 

 交通死傷事故は「業務上過失致死傷」から「自動車運転過失致死傷」になり「過失運転致死傷」になった。「強姦」は「強制性交等」になり「不同意性交等」になった。

 裁判官たちは次々に移動する。新井紅亜礼(くあら)さんは久しぶりに東京地裁へ戻ってきた。園原敏彦さんは今、東京簡裁に!

 昔は東京簡裁にあれほど多かったオービスの否認事件は、いつしか皆無となり、東京地裁へ稀(まれ)に出てくる程度となった。

 さまざま移り変わり、傍聴マニアだけが傍聴席に居続ける、楽しいよねえ(笑)。

 

 メモ:「東京地方裁判所刑事部の概況(令和3年12月期)」なるものを発見した。

 第5表「刑事訴訟事件新受人員の推移」が興味深い。
 1993年からぐいんぐいん増え、2004年をピークに、崖から落ちるように急減している。この異様なカーブは何なの。

 そういえば2004年5月21日、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が国会で可決成立した。
 裁判員法の成立へ向かって刑事裁判はぐいんぐいん増え、成立したら真っ逆さまに急減、偶然かなあ、、、

2025年1月 4日 (土)

山上徹也被告人の裁判が始まらない理由、公判前整理手続きとは

 うちにテレビがあった頃、「日本人の9割が知らない××」、みたいなバラエティ番組があった、と記憶する。
 このこともまた9割 or more がどうもご存知ないようだ、という話をしよう。

 昨年12月11日、当ブログに私は「安倍首相の銃撃殺事件、裁判が始まらない理由」との記事を書いた。
 その内容はくり返さず、以下のことを付け加える。

 

 法務省のサイトだろう、冒頭に「第6編 司法制度改革の推進」とあるpdfファイルがネット上で拾える。「1 公判前整理手続」とある。

 「平成18年」のデータが載っている。「平成18年」は、手帳の早見表によれば2006年だ。文書の作成は2007年かな。

 「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」は2004年5月に国会で可決成立。2009年8月に全国第1号の裁判員裁判が東京地裁であった
 そういう時期の、文書なわけだ。

 

 当ブログは容量オーバーで画像を載せられない。テキスト文書で一部転載しよう。

 公判前整理手続は,刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成16年法律第62号。以下「刑訴法等改正法」という。)により創設された手続であり(平成17年11月1日から施行),公判請求後,第一回公判期日前において,明確な審理計画を策定し,迅速な審理を実現するための手続である。

 

 日本語の文章なのに「、」をわざわざ「,」に変換している。みっともないったらありゃしない。なにか心を病むような事情があったんだろう。
 それは措き…。

 

 昔は、「殺人」でもなんでも争いのある事件では、検察官による証拠調べ請求に対し、弁護人が不同意の意見を(述べたければ)述べ、じゃあ不同意とされたネタを検察官はどうするか、撤回するのか、証人調べを請求するのか、弁護人による証拠調べ請求に対し、検察官は、、、という丁々発止(ちょうちょうはっし)の攻防があった。
 その攻防は、公開の法廷で、傍聴人(本来は司法の監視者)の前でおこなわれた。そこが、裁判傍聴のひとつの醍醐味といえた。

 

 とぉころが! 「殺人」など裁判員裁判対象事件では、必ず公判前整理手続きがおこなわれる。
 日程的に、分かりやすさ的に、素人裁判員に負担をかけないよう、丁々発止の攻防を、公判の前に、裁判官と検察官と弁護人とで(場合によっては被告人も参加して)密室でやっちゃうことになったのである。
 主張も立証も、公判(公開の法廷での刑事裁判)の前に、削り整えてしまうことになっちゃったのである。

 公判へは、削り整えられたものだけが出てくる。
 裁判員裁判が始まった当初、スケジュールが分刻みで決まってることもあった。なんだそれ!

 

 山上徹也被告人の事件、どうなっているのか。

 昔なら、いま密室で行われていることは――たとえば統一教会がらみの弁護人側の立証計画、に対する検察官の徹底抵抗とか――公開の法廷でおこなわれた。逐一、報道、レポートされたはず。

 

 今は昔と違う。今、公判前整理手続きにより、深く静かに潜行している。
 暗い海の中にもぐっていた潜水艦は、いつかぐわっと船体をあらわす。
 そして、暗い海中で決めたスケジュールをこなすのである。

 

 あそうそう、公判前整理手続きが終われば、裁判員の選任手続きが始まる。それにもだいぶ月日がかかりそう。
 統一教会の信者、またその被害者が裁判員に混じる可能性はないか、一悶着(ひともんちゃく)起こったりして。

 とりあえずそんなことを私のほうから、ちらっとね。

2024年11月22日 (金)

裁判員は隣の法廷の夢をみるか?

 11月20日(水)10時~17時、東京地裁で、裁判員裁判の第1回公判があった。
 TBS NEWS DIGは「教え子に性的暴行した罪などに問われた区立中学校元校長(57) 起訴内容を否認 東京地裁」と報じた。記事中にこうある。

 元校長は準強姦傷害の罪について起訴内容を否認しました。

 

 FNNプライムオンラインは「中学校の元校長・北村比左嘉被告(57)が女子生徒に性的暴行の起訴内容を一部否認「受け入れられていると認識していた」 東京地裁」と報じた。記事中にこうある。

 性的暴行を加えてけがをさせた罪や、別の教え子のわいせつな動画や画像を所持した罪などに問われています。

 

 その日、私は東京地裁にいた。この裁判員裁判を私は傍聴しなかった。ほかにどうしてもな事件がいろいろあったので。
 開廷表はメモった。

 事件名の欄に「準強姦致傷、児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反」とあった。

 

 上掲のとおり、TBSは「準強姦傷害」と報じている。
 「致傷」も「傷害」も実質あまり変わらないし、TBSに限らずテレビは基本的に、想定視聴者にとって「致傷」は初めて聞く言葉、読めないし理解できない、なら「傷害」にしとけ、おおむねそういうものらしい、と私は見ている。
 べつに皮肉じゃない。責めるつもりもない。物事を、善悪や主義主張に関係なく、客観的に見るのは大事と思う。

 

 「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反」については、そんな長いのは論外だし(笑)、なんか生々しい。
 いっそ、事件名は出さないことにしよう。裁判傍聴マニアじゃあるまいし、想定視聴者は事件名などどうでもいいでしょ、というところか。

 私は「児ポ法」と略す。
 児ポ法の第2条第1項に「児童」の定義が、同第3項に「児童ポルノ」の定義がある。その部分だけ抜き出そう。 ※第1項は「1」と記さない決まりだそうだ。

(定義)
第二条 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。

 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
 一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
 二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
 三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

 

 報道の範囲でぼんやり推測するに、そんな否認(性犯罪者特有の歪んだ妄想)が通るはずもなく、懲役の実刑は免れないんじゃないか。いや事件名だけでなく中身の報道も事実とは違う場合があるんで、報道から受ける印象であれこれ言うのは危ない、という前提での推測です。

 


 20日(水)は、ほかに裁判員裁判が3件あった。いずれも審理の期日だった。それらも私は傍聴せず、開廷表だけメモった。

 「殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反」。2022年に「騒音トラブルあった男性の首をはさみで刺した疑い 殺人未遂容疑で理美容室経営の女を逮捕」などと報じられた事件か。

 「殺人未遂、傷害、建造物侵入、窃盗」。「「2度と練馬を歩くな! 見かけたら殺す」他の客への”ほっぺチュー”だけで逆上した65歳被告の”身の毛もよだつストーカー行為”【フィリピンパブ殺人未遂事件裁判】」などと報じられた事件か。

 「監禁、強盗致傷、拐取者身の代金要求・同取得、電子計算機使用詐欺、出入国管理及び難民認定法違反」。ベトナム人グループの犯行か。

 

 この日は東京地裁に合計4件の裁判員裁判があり、それぞれに裁判員6人と、補充裁判員がたぶん2人、(6+2)×4=32人の「国民」が法壇から刑事裁判を見たわけだ。 ※東京地裁の場合、補充裁判員は法壇の、裁判員と裁判官の背後に座るのが通例のようだ。判決期日はまた違う。
 「俺はあっちの裁判が良かったなあ」「わたしはこっちで良かった」なんて思ったりするんだろうか。

 

 1階のタブレット開廷表(東側、西側に各9台)でメモをとっていると、近くへ制服の女生徒が10人弱来た。中学生か。
 別のタブレット開廷表、2台か3台をみんなで見ながら、きゃっきゃと楽しそうに「強制わいせつ」とか「強姦」とか口々に発した。

 可愛いけれどもしかし、「君たち、事件の当事者も裁判所にはいるんだから、あんまり楽しそうにしないほうがいいよ」と言おうか、どうしよう。
 顔を上げて女生徒たちを見やったら、グループの後ろのほうに立っていた女生徒とばっちり目が合った。
 私はにっこり微笑んだ。
 何も言わずメモを続けていると、その女生徒がクラスメートたちに声をかけたか、みんなすぐに去った。私はメモを続けた。

 

 現在、22日(金)の未明。

「400字詰めで70枚の小説、締切りは今日ですよ。任せてください、楽勝ですって今井さん、言ってたけど、大丈夫なんですか。1ページも書けてない? えーっ? 頭の中にあるから、脇目もふらずに書けば大丈夫? って今井さん、提出期限まであと1時間切ってますよ、どんなに急いでも物理的に無理では?」
「いや大丈夫、すぐかかります!」

 と言ってから、ど、どうしよう、どうする? となって午前3時頃、ぱっちり目が覚めた。無意識の焦りが夢に出たみたい、と気づくまでに10秒ほどかかったか。

 もう眠れずこれを書いてる次第。今日は朝一(あさいち)から傍聴したいのがあるけど、無理かも💦

2023年12月17日 (日)

支援女性に好意を抱き強制性交等致傷

 ちょっと時間が空いたので、もうダメかなあと思いつつ開廷15分前、東京地裁815号法廷(52席)へ。
 すでに大行列!
 法廷前の小廊下は、軽く60数人、たぶん70数人の大行列で埋まっていた。生徒さんのグループが多く見えた。
 「殺人」(裁判員裁判)の判決があるのだ。

 

 一瞥(いちべつ)して直ちに私は東京地裁531号法廷(52席)へ。
 「殺人」と同時刻から、こっちは「強制性交等致傷」(裁判員裁判)の判決だ。

 こっちの傍聴人はパラパラ程度だった。
 あっちの大行列の後ろのほうの人、どうせ傍聴できないんだから、こっちへ来ればいいのに、とはしかし、初めて裁判を傍聴に来る人たちは、夢にも思わないのだろうなあ、世の中そんなことがいっぱいあるわけで。

 「強制性交等致傷」の被告人は身柄(拘置所)。濃いめのグレーのジャージ上下。禿げめで坊主刈りで長身だ。年齢的には50歳前後だろうか。
 目つき、悪っ! その目つきと姿勢、動作等に、なんというか、如何にも尋常ではないという印象を私は受けた。

 

 裁判員が6人全員、男性だった。見た感じ20代から70代の、男ばっか。補充裁判員2人(書記官の隣に着席)もだ。
 裁判官3人も男性。こんなところで“男祭り”とは。

 

 法廷中央、証言台のところに被告人を立たせ、裁判長が主文を告げた。

裁判長 「主文。被告人を懲役8年に処する。未決勾留日数中320日をその刑に算入する」

 参入が320日ってことは、1年以上も勾留されているわけだ。

 いったい何をやったのか。
 夜中に1人歩きの女性を尾行、後ろから襲いかかってそばの駐車場へ連れ込み、という事件かと私は思った。そういうのが多いので。

 ところが!

 被告人は軽度の精神遅滞…。
 被害者(女性か)は、精神障害者の支援に従事しており、被告人を担当していた…。
 被告人は被害者に好意を持ち、自殺未遂のことで相談したいと被害者を被告人方へ呼び出し…。
 交際を求めたが断られたことに一方的に腹を立て…。

 アイスピックの先端を向けて「俺の言うことをきけ、死にたくなければ…」などと脅し、転倒させて馬乗りになり、首を絞め「殺すぞ、言うことをきけ」などと脅し…。
 約1時間にわたって性交や口腔性交をし、被害者に全治まで約1カ月を要する陰部裂傷等の傷害を負わせた…。

 なっ、なんだそれ!
 被害者は心身が不調となって退職を余儀なくされ、今もなお通常の生活に戻れていないそうだ。 

裁判長 「同種ではないが粗暴犯の前科がある…」

 私は帰宅後、超絶マニアックデータを調べてみた。
 2011年2月に東京高裁で、同姓同名の被告人の「傷害」の控訴審判決の期日あり。傍聴してない。

 

 

 この被告人氏名でネット検索しても完全ノーヒットだ。
 「軽度の精神遅滞」ゆえ匿名報道なのか。そう考えていろいろ検索してみたが、何も見つからなかった。

 

 「殺人」のほうは「東京・北区の老人ホームで入所者(当時92)殺害 元職員(51)に懲役17年判決 東京地裁」(12月15日付けTBS NEWSDIG)などと報道されている。

2023年4月 5日 (水)

18歳の裁判員ぜんぜんOKな件

P1000450  「「18歳成人」施行1年、浸透まだ 消費者被害に警戒続く」と3月31日付け日経新聞。
 記事中にこうある。

関連法令も年齢を下げ、裁判員は今年初めて18、19歳の計約3700人を候補者に。

 社会経験などないだろう18歳、19歳に、有罪か無罪か、懲役の実刑か執行猶予か、決められるの? なんて思った方が多いのではないか。

 最高裁、法務省にかわって私のほうで申し上げておきたい。
 以下は「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」、通称裁判員法の第1条だ。


(趣旨)
 第一条 この法律は、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。

 「司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上」、それが裁判員制度の趣旨、狙いなのだ。
 高校生、中学生、小学生に裁判員をやらせても、まったく趣旨に沿う。なんら問題ない。

 この件に限らず、勝手につくった、実体とは異なるイメージ、そういうのをもとにあれこれ言うのは、やっぱよくないだろうと私は思う。

 これ、妙なものを見つけたってことであり、お勧めするわけでは決してないです。

 ←4月5日6時40分現在、週間INが702位。

2022年3月22日 (火)

高校生の裁判員、ぜんぜんオッケー

1804246  「高校生の裁判員、欠席にせず不利益回避 文科省通知」と3月16日付け日経新聞。

 社会経験のない高校生に「殺人、死体遺棄」「傷害致死」「強制性交等致傷」(※)とか裁けるの!?
 多くの方がそう思うんじゃないか。  ※そういうのを裁判員裁判対象事件という。交通違反や万引や大麻なんかに裁判員は関与しない。

 おいおい、裁判官にどんだけ社会経験があるんだ、という話は別として、高校生が裁判員、ぜんぜんオッケー、かえって良いのですよじつは。
 その根拠は「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」だ。第1条にこうある。赤文字は私。


第一章 総則
(趣旨)
第一条 この法律は、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。

 適切に行われていた刑事裁判について、国民にもっと理解してもらい、もっと信頼してもらう、それが裁判員制度の狙いなのだ。
 裁判員制度をめぐっていろんな考え方はあるだろうけど、法律上はそういうことになっているのだ。

 社会経験を積んだおっさんが、裁判官の指導、誘導に従わない、なんてのは困る。社会経験のない高校生君たちに、人を裁く立場、統治者の立場を素直に味わってもらう、理解と信頼を深めてもらう、素晴らしいではないか。

 えーっと、この話、とくにオチはないです。忙しくてオチを練ってる暇がないのです。💦

 ←3月22日20時30分現在、週間INが40で2位。

2021年11月22日 (月)

裁判員ガチャ

 いま期日メモの整理をしている。

 11月18日(木)、東京地裁の3つの法廷で10時~17時、それぞれ裁判員裁判の審理の期日があった。

 

 刑事第18部、713号法廷で「保護責任者遺棄(変更後の訴因 保護責任者遺棄致死)」。
 第1回公判は11月17日(水)だったようで、TBSニュースが「「一生懸命育てた」赤ちゃん置き去りで死亡させた母が起訴内容否認」と報じている。右の画像はそのスクリーンショットだ。

 

 刑事第1部、531号法廷で「殺人」。
 メルマガ第2519号「大報道された殺人の、その男の12年前のトンデモ裁判を私は傍聴していた!」の、あの被告人の事件だ。

 

 刑事第7部、815号法廷で「覚せい剤取締法違反(変更後の訴因 覚せい剤取締法違反、関税法違反)」。
 報道は見当たらない。被告人の氏名は中国籍風だ。
 ちなみに「覚醒罪」ではなく「覚せい剤」とあるところから、本件の起訴は2020年4月1日より前とわかる。
 起訴から1年半以上経ってようやく法廷に出てくる、裁判員裁判のあるあるのひとつだ。

 

 同じ日の同じ時間帯に、3つの法廷に、各6人の裁判員と、通例各2人の補充裁判員が座っているわけだ。

「中国人のシャブ密輸なんて興味ねえよう。中国語の通訳がやたら長くて眠くなる。くっそう、どうせなら殺人がよかったなぁ」
「なんだこの殺人、勘弁してくれ! 関わりたくないよ。どうせなら赤ちゃん置き去りがよかったなぁ」
「この女性、可哀想すぎる。どう裁いていいかわかんない。シンプルな殺人のほうがよかったなぁ」

 なーんてそれぞれ思ってたりして。

 自分は自分の庭で咲く、他人の庭を気にするな。
 ではあるがしかし、「どうせならあっちが」と思っちゃう人もいるだろう。

 

 裁判員は、どの事件に当たるか選べない。
 流行語でいえば、まさに“裁判員ガチャ”だ。

 同時にまた、被告人のほうも裁判員を選べない。こっちも“裁判員ガチャ”だ。
 こないだ、裁判員6人も補充裁判員2人も全員女性! しかも、明らかに若いか若く見える女性ばかり! てことがあった。びっくりしたよ。

2019年12月 7日 (土)

裁判員制度ってなんなの?

 12月6日、テレビのリモコンをぷちぷちやってたら、主にタレントさんたちだっけ「裁判員制度ってなんなの?」と言っていた。

 以下は同月7日付けの東京新聞の一部。この話である。

あおり、高裁も「危険運転」 東名事故 審理は差し戻し
 神奈川県大井町の東名高速道路で二〇一七年六月、あおり運転を受け停車させられた一家四人が死傷した事故を巡り、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた石橋和歩被告(27)の控訴審判決で、東京高裁は六日、懲役十八年とした一審横浜地裁の裁判員裁判判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。地裁の審理手続きに違法があったと判断した。

 

 裁判員制度は国民の常識を反映させるためにできたはず。私たちの常識を職業裁判官がぽんぽんひっくり返すってなんなの? という方がきっと多いのだろう。

 だとすれば、みなさん、根本的なところで勘違いしてますよ。
 裁判員制度とはそもそも何か。「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(通称裁判員法) の第1条に明記されている。以下の太字は私。


(趣旨)
第一条 
この法律は、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。

 

 従来の刑事司法には問題があったので国民の常識を反映させて改善するとか、んなこた一言半句もない。
 すでに正しく行われている刑事裁判について、国民の理解を増進させる、信頼を向上させる、それが裁判員制度の趣旨なのである。

 だから法務省と最高裁は、制度スタート前に莫大な広告費をかけて宣伝したのであり、裁判所は茶菓を提供して裁判員をもてなすのである
 ところが、本来の趣旨をほぼすべての国民が知らない。勘違いしている。興味深い統治スタイルだと私は思う。

 

 それでだ、裁判員は素人国民だ。傍聴席にすら1回も座ったことのない人がほとんどのようだ。

 自身の仕事領域、生活領域、子育て領域等では大した人であっても、刑事裁判については、パソコンでいえばメモリーが小さい。理解のキャパが小さい。かつ、長く拘束するわけにいかない。そうじゃない人もいるだろうけど、裁判所側としてはそう考える。

 

 そこで、公判(公開の法廷での裁判)を可能な限りシンプルにし、かつ可能な限り短期間で終えられるようにしましょう。公判の前に、裁判員抜きで、主張も証拠も削り整えてしまいましょう、と裁判所側は考える。
 削り整える手続きを「公判前整理手続き」といい、裁判員裁判では必ずやる。

 一審・横浜地裁の公判前整理手続きに問題があったので、原判決を破棄します、横浜地裁で最初からやり直してください、というのが今回の東京高裁の判決なわけだ。
 一審の裁判長は深沢茂之さんだ。経歴を見ると…。って、あっもうこんな時刻。メルマガ原稿へ戻らねば!

 

※ 画像は2010年に東京地裁に対し開示申出をしてゲットした文書の一部。裁判員用に購入したもの。あのころ私は裁判員裁判用のいろんな機器の契約書とかいっぱいゲットしたもんだ。懐かしい。  ※当ブログ容量オーバーが判明。画像は削除。

2019年8月 5日 (月)

未決算入に裁判員も関与する!

 すごいことが分かった!

裁判官 「主文、被告人を懲役1年に処する。未決勾留日数中20日(にじゅうにち)をその刑に算入する」

 たとえばそんなふうに刑事の判決は言い渡される。
 刑期は11カ月と10日間ってことだ。

 勾留されたまま長く争い、実刑判決になったけれども未決算入で刑期は全部チャラってこともある。
 無期懲役にも未決算入がある、ことがある。

 未決算入はマスメディアにとってタブーのようで、絶対触れない。情報をマスメディアに頼っている人はほぼ100%知らないんじゃないか。

 

 それでだ、未決算入を何十日、何百日とるかについて裁判員は関与するのか、意見を言ったりするのか。
 最高裁に確認した。関与するんだそうだ!

 びっくりだが、なるほどとうなづけることもある。
 法的根拠など詳しいことはあとでメルマガで書く。いま忙しいのだ。あの腹痛というか食あたりで1日つぶれ、すべてが押せ押せで。

 東京地裁の法廷内でのある行為により傍聴マニアが逮捕された(としか考えられない)件、あれがどうなるかの予測には、じつは未決算入が大いに関係する。それはメルマガのあとでこのブログにも書こう、かなと思っている。じゃねっ。

2019年2月26日 (火)

裁判員制度、ばっちり改革案!

 ようし! 裁判傍聴マニアになって今年で17年目、裁判傍聴師を自称する私めが、渾身の見直し策を提案をしてさしあげようじゃないの。
 以下は1月15日付け朝日新聞。


裁判員制度10年 法務省が見直し検討する会議を設置
 法務省は15日、今年で実施10年を迎える裁判員制度の施行状況などを話し合うための検討会を設置すると発表した。法曹三者のほか、刑事法の専門家や犯罪被害者団体の理事ら11人で構成し、16日に初会合を開く。今後は1~2カ月に1回のペースで会合を重ね、裁判員制度の課題を洗い出し、見直しの必要性を検討する。
 市民が参加する裁判員制度は2009年5月に施行された。15年6月には裁判員法が改正され、審理に著しく時間がかかる「長期裁判」を除外できるようになった。改正裁判員法は付則で、施行から3年で政府が取り組み状況などを検討すると規定しており、今回の検討会はこれにもとづき設置される。(浦野直樹)

 

 裁判が公開とされているのは、国民に司法を監視させるためである。

 ところが現行の裁判員裁判は、裁判が始まる前に、長いケースでは1年も2年もかけて、非公開の密室で「公判前整理手続き」なるものをやる。検察・弁護人双方の主張も立証も削り整えてしまう。素人裁判員に負担をかけないために。素人にも分かりやすい裁判にするために。

 

 それ、裁判傍聴師にとっては全くダメ駄目である。

 被告人の言い分が公判中に二転三転するとか、弁護人の証拠調べ請求に検察官が徹底抵抗するとか、そういうシーンを国民に「ありゃりゃん!」と見せるのでなければ、裁判が公開である意味がない。

 なので、ずばり公判前整理手続きは廃止する。これが見直し策の第一だ。

 

 しかし、それだと公判が長引き、裁判員は耐えられない?
 だぁいじょぉぶ。裁判員制度のそもそも目的は何だと思ってるの。「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」の第1条に、はっきりこう定められている。


(趣旨)
第一条
 この法律は、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ……(以下略)。

 

 

 国民の理解と信頼を深めさせる、つまり国民の意識を変える、それが裁判員制度のそもそもの目的なのである。
 長い裁判にずっと付き合わせる必要は全くない。

 6人ずつ日替わりで法壇に並ばせ、評議室でリアル裁判官と(表面上)親しく話させ、記念品を与え、記念撮影をさせて帰せば、目的は十分に達成される。

 日替わりで次々素人が来たら、裁判官、書記官が疲弊する? そこは、裁判員接遇官、あるいは国民善導官のポストを設けることでクリアできる。
 困ったときは本来の目的に立ち返る、初心忘るべからず、これである。

 

 そんなんじゃ「市民(国民)の常識」が裁判に反映されない?
 ったく素人はこれだから困る。

「ウソの有罪証拠をでっち上げるとか、日本の優秀な警察官がやるはずがない、検察官が見逃すはずがない」
「無実の者が自白調書に署名押印するはずがない」

 という国民の常識を、裁判官は国民と同じく、あるいはもっと持ってます。

 

 以上、裁判傍聴師の裁判員裁判改革案、ばっちりでしょ。100円ちょうだいっ。 ←そのオチが分かんねーよっ。

 

※ 画像はさいたま地検の掲示板より。画像をよく見ると、ワイシャツにネクタイの人物がスマホでこれを撮影したことが分かる。誰? 俺だよぅ。 ※当ブログ容量オーバーが判明。画像は削除。

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