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カテゴリー「駐車違反/2009年度以降」の7件の記事

2019年2月 8日 (金)

放置違反金、消滅時効、不納欠損、滞納処分

 こういうニュース報道が最近ぽつぽつあるでしょ。以下は2月4日付け東海テレビの一部。

3回駐車違反し違反金滞納中の40代女性 警察に車差し押さえられる「次の給料日までには払う」
 駐車違反を繰り返し違反金が支払われなかった車1台を、岐阜県警が差し押さえました。
 岐阜県警が差し押さえたのは市内に住む40代の女性が使用していた、1台のワンボックスカーです。
 この車では2015年から去年にかけ3回の駐車違反が繰り返されていましたが、違反金と延滞金など合わせておよそ6万円が納付されておらず、岐阜県警は使用者である女性に何度も督促していました。
 しかし女性が納付しなかったため、岐阜県警は1月31日、このワンボックスカー1台を差し押さえました。岐阜県警が交通違反の違反金滞納者を対象に、車を差し押さえたのはこれが初めてです。

1902082_3 こういうのを「滞納処分」という。家宅捜索による押収ならともかく、刑事手続きとは関係ない財産の差押えなんて警察官は苦手だ。私も苦手だ。 ←あんたは関係ないっつーの(笑)。

 だが、苦手と言っちゃいられない事情がある。
 放置違反金は5年で「消滅時効」、徴収できず「不納欠損」となる。滞納分はどんどん溜まる。どげんかせんといかん。
 そこで「放置違反金の滞納処分業務における警察庁指定広域技能指導官」というのを登場させた。最初の技能指導官は京都府警の警部補だ。この警部補を招いての「放置駐車違反に係る滞納処分実践塾」というのをあちこちでやっている。「捜索・差押は、難しいイメージがあったが、ハードルが下がり、やってみようという気持ちになれた」などと好評だそうだ。

 ただ、滞納分は膨大であり、なかなか追っつかない。
 そこで、こうして大きく報道してもらい、未納者たちがびびって自発的に納付するよう仕向けたい、そういうことなのだ。

1902081 2006年6月1日、「逃げ得を許さないために」「民間委託で浮いた警察力を重要犯罪の捜査へ」と放置違反金制度、駐車監視員制度がスタートしたが、逃げ回る者は相変わらずいるし、そのほか警察はかえってややこしい業務が増えた、いやいや大変なのだ、という話を、駐車違反にまつわる5件の「交通指導だより」を紹介しつつ2月下旬発売の『ラジオライフ』の原稿に書いた。
 画像はうち2件の表紙部分だ。

 上掲報道では「放置違反金」という正しい語が一度も使われていない。
 昔はこれを「反則金」とか報道していたこともあるので、その頃に比べれば「違反金」となっているだけ大いに進歩したといえる。
 また、これは東海テレビさんが特に意図したわけではなかろうと思うが…。
 ただ逃げたいだけの人は罰金、反則金、放置違反金の区別がつかない。とはいえ放置違反金では駐車違反限定感がある。「違反金」だと駐車違反限定のペナルティだという感じが薄れる。「交通違反の違反金」と念押しされている。反則金の未納者をもびびらせる効果が生じており秀逸、といえる。ディープな読みでしょ、ふふ。

 さてメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」、2月は以下の2号を発行した。

第2212号 道交法違反、犯人隠避等の裏に、まさかのとんでも事件が
 オービスの身代わり出頭の事件はときどきあるが、本件は無免許運転者への車両提供罪、の隠避だった。珍しい。そうして、その裏にとんでもない事件が隠れていた! 閉廷後に起こったことは…!

第2211号 新型オービス、たぶん本邦初の裁判、探して狙って傍聴しました!
 苦労して見つけましたょ、新型オービスのうちセンシス社の固定式による速度違反の、否認事件を! たぶん本邦初の裁判だ。検察官の立証予定は気合い全開。2013年から新型オービスを追い続けてきた私は大興奮し…!

 いま購読登録すると以上2号がさっと送信される。そして2月末まであと10号が順次送信される。

 今回、珍しく2号続けて交通関係だった。次号は自慰行為関係の事件、次々号は悪質な性的虐待の事件になりそう。あるいは住吉会系の事件になるか。前頭側頭型認知症の症状のひとつとしての万引きを裁判官はどうしたか、という驚きの話もご報告しなければ。裁判員裁判で実質無罪とされた男の、その後の2度目の下着泥棒は…。
 レポートしたいことが多すぎて、ただただ時間がない。私も大変なのですょ。

 ←2月8日16時50分現在、週間INが130で3位~。

2017年9月11日 (月)

駐禁取締りはステッカーを貼り付けてアウトなので

 以下は9月5日付け産経新聞。太字は俺。

「なんべん貼るねん!」駐車違反ステッカーに立腹し暴行 容疑で男逮捕 大阪・港
 駐車違反の取り締まり中の監視員に体当たりするなどの暴行を加えたとして、大阪府警港署は5日、公務執行妨害の疑いで、大阪市港区の会社役員の男(40)を現行犯逮捕した。容疑を認めている。
 逮捕容疑は同日午後0時20分ごろ、同区磯路の路上で、路上に違法駐車していた乗用車に駐車違反の確認標章を貼り付けようとした駐車監視員の男性(62)に対し、胸に体当たりするなどの暴行を加えたとしている。監視員にけがはなかった。
 同署によると、男は過去に同様の駐車違反で標章を張られたことがあり、「なんべん貼るねん」と言って暴行に及んだという。監視員が110番し、駆けつけた署員が現行犯逮捕した。

 「確認標章」とは、駐禁取締りのあの黄色いステッカーだ。
 確認標章を使っての駐禁取締りは、確認標章を貼り付けて成立する。 ※細かいことを言えばそのあと不成立となることもあるが。

 確認標章を携帯プリンターで作成する前に、あるいは作成した確認標章の裏紙を剥がしてフロントガラスに貼ろうとしているところへ、運転者等が戻れば、それは放置車両(運転者がその場を離れて直ちに運転できない状態の違法駐車)じゃないから、駐車監視員は取り締まれない、確認標章を貼り付けられない。

Img_1485 上掲記事には「確認標章を貼り付けようとした」とある。貼り付けようとした段階ではセーフなのだ。
 駐車監視員のほうでは、それでも仕事に着手したことが携帯端末に残るので、特に気にしない。あっさり去る。 ※中には知らん顔で貼ってしまうワルもいるそうだけど。
 そのことを承知のうえで暴行に及んだならいいが(よかないが。笑)、セーフの段階なのにアウトと思い込んでカッとなったなら、もったいないというか。

 ちなみに、確認標章を作成する前に運転者等が戻ってセーフとなったのを「中止」という。作成してから貼り付けるまでに戻ってセーフになったのを「警告」という。
 手元に、その件数をまとめた2013年の表(警察庁)がある。
 取付(貼り付け)の全国合計は166万4504件。中止は315万8207件。警告は31万0819件
 じつはセーフが断然多いのである。

 ただしこの表には誤りがある。埼玉は、中止より警告がどかんと多いでしょ。埼玉県警に確認したところ、間違えて逆に計上しちゃったんだそうだ。
 岩手県警にも電話した。中止と警告をあわせて153件なんだったかな、忘れた。

 これは駐車監視員資格者講習のテキストだ。俺は2005年6月15日発行の初版2刷りを持ってる。講習のときいろいろ書き込んで何度も読み返したんでもうぼろぼろだ。

 ←9月11日9時10分現在、週間INが140で2位~。

2009年10月25日 (日)

またパーメの不正使用

 2007年11月5日、当ブログでこんな記事を紹介した。

パーキングメーターを誤作動させた運転手書類送検
 パーキングメーターを誤作動させてトラックを駐車し続けたとして警視庁交通捜査課は2日、偽計業務妨害の疑いで、佐川急便とヤマト運輸の運転手計7人を書類送検した。

 2007年11月2日付け産経ニュースの一部だ。
 そしてつい先日、2009年9月30日付けの読売新聞に同じような記事がある、との情報をいただいた。その記事の冒頭はこうだ。

 東京都内の貨物車用パーキングメーターを不正に操作して同じ場所に長時間駐車したとして、警視庁は30日、大手運送会社「佐川急便」の26歳と48歳の運転手の男2人を偽計業務妨害の疑いで書類送検した。

 え~っ。
 2008年10月20日発売の『ドライバー』の、長期連載「覆面パトは二度サイレンを鳴らす」に、私はこんな記事を書いた。以下、編集部の許可を得て…。
※ 『ドライバー』は毎月5日、20日発売であるところ、私の連載は20日発売号。

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「パーキングメーターを誤作動させてトラックを駐車し続けたとして、警視庁交通捜査課は、偽計業務妨害の疑いで大手運送会社2社の運転手7人を書類送検した」
 そんなニュースを昨年(※2007年)11月2日、マスコミ各社が一斉に報じた。私は「はあ?」と首をひねった。

 運転手らはパーキングメーター(パーメ)の白線内に料金300円を払ってトラックを駐車、規定の60分間が過ぎるころに「特殊な方法」を使ってパーメのセンサーを誤作動させ、いったんトラックが白線内から出たように見せかけ、また料金300円を払って駐車、ということを続けたんだそうだ。つまり、料金は払い続けていたわけだ。
「特殊な方法」については、パーメの車両感知センサーのところになにかをかざすとパーメは車両を認識しなくなる、とかいう“裏技”が昔からささやかれてた。それが今回、利用されたようだ。
 裏技はマズイとしても、料金は払い続けてるわけで、運転手らは実質的に悪いことはしてないんじゃないか。パーメは、いったん白線内から出て、再び白線内に入って駐車する、という形の継続駐車は、まったく合法なのだから。
 運転手らは、パーメを休みなく利用してくれたお得意さんといえる。感謝の粗品を……いや、粗品は裏技と差し引きでチャラとしても、「業務妨害」って、いったい誰のどんな業務をどう妨害したっていうのか。「誰の?」についてはこう報じられていた。
「メーターを管理する財団法人『東京交通安全協会』の業務を妨害した疑い」
 なるほど、都内のパーメの管理は交通安全協会(安協)に独占委託されている(※現在は一部他業者が入っている)。パーメにたまった100円玉の回収などの業務で、安協は毎年何十億円か稼いでる。それは事実だが、じゃあ、その業務をどう妨害したのか。しかし、
「パーメでインチキした連中が捕まったぞ!」
 という印象だけを与えて、報道は終わった。私は「はあ?」と首をひねったまま、日々の雑事に追われ、忘れ去ってしまった。

 ところが! それから11カ月近くたった今年(※2008年)9月末、『月刊交通』(東京法令出版)の9月号を見て「うわおっ!」となった。
 ちなみに『月刊交通』とは、警察内部向けの、A5サイズで100ページ程度、表紙以外ぜんぶモノクロなのに820円もする月刊誌だ。毎月末にその月の号が送られてくるところも、世間離れしてる(笑)。でも、たまに参考になる記事が載るので、私は10年以上前から定期購読してるのだ。
 同誌には、「こういう難しい交通事件をこう検挙した」というレポート記事がときどき載る。そんなレポートの1つとして9月号に、「大手運送会社運転手らによる偽計業務妨害(パーキング・メーター不正使用)事件の検挙について」という記事があったのだ!
 書き手は警視庁の交通捜査課の職員氏。「……不正利用していた悪質・巧妙な事件であり、この種事案を全国で初めて偽計業務妨害罪で検挙した経緯について紹介する」と始まっていた。

 捜査の端緒は、「大手運送会社の車両が荷捌きスペースとして1日中(パーメに)駐車している。何か違反にならないのか」という匿名の情報提供だそうだ。
 で、警察はどう動いたか。これがスゴイんだわ。8ページにわたるレポートから一部拾ってみよう。
 「同情報に基づき、事案の概要を把握するため現場確認」を行ったうえで、パーメはS署管内だったのでS署に「拠点を置き、同署、交通捜査課、駐車対策課による共同捜査本部を設置」。そして、「付近に林立するビルの実査、ビデオ等装備資器材の設置箇所の選定、ビル管理者等に対する協力要請を実施し、数カ所にビデオ等を設置し、犯行状況の撮影」を行い、「捜査員の張り込みによる被疑者の特定、犯行状況の現認等」を行い、「使用車両に対する尾行により、営業所の割出しを」行い、「営業所付近における張り込みによる使用車両の入出庫状況、使用車両の追尾による営業所から現場までの走行経路、現場における駐車場所の選別状況等の確認を実施した」。
 読みながら、私はわくわくしてきた。なんだか国際テロの重要犯人を追い詰めていくようで。

 偽計業務妨害の成立についてはこうだ。東京地検や関係課と検討、協議した結果、パーメの設置趣旨は「駐車可能な場所に同一の車両が引き続き長時間駐車しないよう制限することで駐車の回転率を高め、最小限必要な駐車需要に応じることにより、その地域における交通の安全と円滑を図ること」にあり、したがってパーメを誤作動させることは「設置者が意図する正常なパーキング業務を妨害することにほかならないことから、たとえ料金を払っていたとしても、偽計業務妨害罪の正否に影響を及ぼさない」「との結論に至った」。
 どうもなんだかムリヤリ感があるように思えるが、とにかくそういう結論に至ったんだという。
 そうして、「A社とB社の捜索差押えを実施」、犯行車両や運行日誌、タコチャートなど「多数を押収」し、「中でも悪質な6車両7名を事件被疑者として検挙」、2007年11月に地検へ送致したのだという。その発表をマスコミは一斉に報道したわけだね。

 『月刊交通』のこのレポートを私は電車内で読んだ。「はあ?」をとおりこし、びっくり仰天。思わず呻き声を漏らしたかもしれない。恥ずかしいよぅ(笑)。
 だってさ、地検や関係課と検討、協議してようやく「…との結論に至った」というような容疑で、いきなり運転者らを検挙するって、ひどくない? そんなもの、
「こっちで検討、協議したらこういう結論に至ったんで、今後はヤメなさい。次は検挙するよ」
 と、運転手および会社に対し、まず警告すべきじゃないの?
 ところがレポートは、そんな話は一切なく、「各報道機関にあっては……特番を組むなど、テレビ・新聞等で大きく報道し、社会的反響も大きく、悪質な違反の再発防止に寄与するなど警察威信の高揚に多大な効果があった」と結ばれているのだった。
 それってつまり、警告ですむものを「警察威信の高揚」のために利用したってことにならない? 「炎天下における長時間の張り込みや尾行等」をやらされていた現場警察官たちは、どう思ってたのか。どう思っても「警察威信の高揚」に酔う上司には、なにも言えなかったんだろうか。
 その後、運転者らは略式起訴されたという。不服があれば東京簡裁の法廷へ出てくるはず。私は東京簡裁の開廷予定を毎日チェックしてるが、偽計業務妨害の罪名はなかった。罰金を払って終わったのだろう。

    記事終わり

 その意味で、今回は警告なしで検挙、送致されても仕方ないといえる。
 しかしそれにしても、佐川急便は運転手(セールスドライバー)らに、パーメでそれをやっちゃダメょ、犯罪になるょと、指導してなかったんだろうか。当初は指導を徹底したが、月日が経って薄れたんだろうか。
 あるいは、薄れてはいなかったが、運転手らとしては日々の労働の負担を少しでも軽くするため、つい…ということなんだろうか。

 こういうニュースを読むとき、駐車違反はどれも必ず悪いこと、なくすべきこと、ではないことは念頭におかなければならない。駐禁取締りは地方自治体のハッキリと収益事業であり、そこにおいて駐車禁止規制は、カネを得るための理由付けに当たる。
 もちろん、その規制により迷惑駐車が違法とされることもある。が、だからといって迷惑駐車がソク取締りを受けるとは限らない。取締りはあくまで収益事業なのである。

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   裁判員制度はいらない!大運動 

2009年9月 9日 (水)

てめぇが違反しながら他人様の違反を取り締まる

P1030395  岩手県の『ドライバー』読者氏からお便りを頂いた。
 「抑止効果 着実に/盛岡地域導入3年/駐車違反の民間取締り/摘発は年間400~600件/目立つトラブルなく」という見出しの大きな、7月6日付け岩手日報夕刊の切り抜きをお送りいただいた。
 ネットでは「駐車違反の抑止に効果 盛岡地域、民間委託導入3年」との見出しでアップされてる記事だ。

 紙の記事の写真を見てほしい。
 駐車監視員が確認事務(要するに取締り)を行ってる車両の前に、青っぽい車両があるでしょ。これについて読者氏は言う。
「ジムニーの前に止まっているスズキMRワゴン(紺色)が、取締り員の車ですが、どう見ても路地(交差点)の5m以内に止まっています。(笑)」
 ここは盛岡市内、「おもちゃのこじま」前と思われ、読者氏が毎日見ている光景なんだそうだ。

 そのとおりだとしても、べつにおかしくもなんともない(笑)←これは読者氏と同じ意味の笑い。
 取締り用の車両といえども、交差点から5m以内など「法定駐車禁止場所」に駐車すれば駐車違反のうえ、運転者が乗ってなければ法律上は放置駐車違反なのだが、東京で私が見てきた限り、ミニパトの女性警察官たち自身、まったく無頓着、堂々と違反をくり返してる。ズルイぞと怒るのはすじ違い。これは収益事業であって善悪、正邪は関係ないのだ。

 てめぇが駐車違反して、他人様の駐車違反を取り締まる。
 あまりにも当たり前になってるから、こうして新聞に、「ありゃりゃ(笑)」という場面を載せられてしまうわけだ。もちろん、この写真のみを証拠に立件することはできないだろうけどネ。

 手元に、2006年3月29日に行われた(つまりニュー駐禁取締り初年度の)「放置車両確認事務委託」の入札調書がある。
 この調書には「予定価格」が載っていて、それが673万6800円
 予定価格にいちばん近い札は「第一商事(株)」で630万円。いちばん遠い札は「セコム(株)」で、ええっ? 3268万8620円!
 
落札者は「(株)M・K・G」で、なんと297万5000円。次点より約200万円も安い。
 これは一体なにを物語ってるんだろう。ま、漏れ聞く話も総合すると、「(株)M・K・G」はこの仕事を取りたくて、初年度は儲け度外視で安い札を入れたってことになるんだろうが、こうした入札に詳しい人は、もっといろんなこと言うかもしれないね。

 岩手の初年度の契約の委託期間は、2006年6月から2007年3月までの10カ月間
 2人1組で1ユニット。および統括責任者と代行者。待機場所や車両や制服や巻き尺や地図や、「携帯電話その他の無線通話装置」等は受託者の負担。
 それで月々(税込みで)31万2375円って、すごくね?

 岩手日報の記事によれば、駐車監視員の取締り件数は、
  2006年6月から1年間  512件
  2007年6月から1年間  671件
  2008年6月から1年間  411件
 それぞれ365日で割ると、約1.4件、約1.8件、約1.1件
 1日2件くらい取り締まればいいってわけだ。東京に比べればだいぶ楽ちん。駐車監視員の給料はだいぶ安いのかな?

※ この収益事業は、あんまり取り締まって違法駐車が激減してしまっては、続かなくなる。1日2件くらいというのは、そのへんとの兼ね合いもあるんだろう。

 ニュー駐禁取締りのことについてはこの本に詳しく書いたよ~。

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 9月9日23時30分現在、とうとう位へ落っこちた。

    裁判員制度はいらない!大運動 

2009年8月13日 (木)

駐禁取締りは収益事業

 自力HPは、容量をオーバーしたらしく不具合が生じて、いくつか重いページを削除する、ということを経験しており、なので、外へ出せるものはなるべく出すことに。
 この記事のURLは、自力HPの「参考記事」に置く。
 以下、『ドライバー』の長期連載「覆面パトは二度サイレンを鳴らす」の2009年6-20号に若干加筆訂正等したもの。
※ このように過去記事を私のサイトにアップすることは、編集部の許可を得ている。

 

                 

 

 『となりの駐車監視員』(太田出版)、おもしろい本が出たねぇ。「確認標章(駐禁ステッカー)の取り付け件数は6千件を超える」という駐車監視員による「2年9ヶ月にわたる勤務の総決算」だそうだ。
 これ、いわゆる“告発本”とはちがう。誇りをもって標章の取り付けを行う監視員の喜怒哀楽、苦闘の日々をレポートした本だ。私からすれば「ちょっと待てよ」と言いたい部分もあるが、そういうのを超えて非常におもしろい。
 同書によると、監視員は運転者や通行人から憎まれ、罵声を浴びせられ、ときに暴行・傷害を受けることもあるという。
 私は残念に思う。監視員が悪いわけじゃない。というか、これはもう良い悪いの問題じゃないのだ。
 じゃあ、なんなのか。まずは、最近ゲットしてきたデータを見てくださいな。うふふ。

 民間委託、つまり監視員に駐禁取り締まり(ステッカーの取り付け)をやらせることは2006年6月1日から全国でスタートした。取り締まりが最も多いのは、なんといっても東京だ。東京だけで全国の約3割を占めちゃってる。
 東京の民間委託は、06年度は43警察署の管内で始まった。その後どんどん拡大され、07年度は52署08年度は23区内の全署77署)、09年度は武蔵野市や八王子市など都内全域へと拡がった(島部は除く)。
 委託契約費の推移はこうだ。

  06年度   約23億3374万円
  07年度   約30億4931万円
  08年度   約41億6656万円
  09年度  約103億0717万円

 げえっ、突然100億を超えたよ!?
 いや、じつはこの約103億円は、契約期間が1年間のもの(もっぱら新たに拡大された市部)が17契約と、期間が3年間のもの(もっぱら都心部)が15契約とから成っている。
 3年契約の合計は約84億円。3で割ると約28億円。これに1年契約の約19億円を足すと約47億円。だから、こう考えるのが正しい。

  09年度   約47億2222万円

 東京都の支出はそれだけじゃない。ステッカーを取り付けたあと、運転者が警察に出頭しない場合(って8割くらいは出頭しないんだけど)、車の持ち主から「放置違反金」(以下違反金)を徴収することになっている。
 その違反金に関する「事務の全部または一部を会社その他の法人に委託することができる」(道路交通法第51条の15)。こっちの民間委託は、通知書等の発送やデータ入力など3つの契約に分かれている。いずれも単価契約で、単価に予定数量を掛けた推定総金額の合計は、たとえば08年度は約2億1180万円。
 また、監視員が持つ携帯端末、デジカメ、携帯プリンターはリース契約になっており、08年度は約8118万円だ。ほか、ステッカーの購入費などいろいろある。

 この不景気に、何十億円もの支出を抱えて東京都は泣いてる? とんでもない! 違反金はぜんぶ都の収入になり、都の一般会計予算書の「諸収入」の欄に、違反金がしっかり計上されてるんだね。その金額はこうだ。

  06年度     72億5760万円
  07年度   約61億0933万円
  08年度   約73億9764万円
  09年度   約89億9968万円

 支出より断然多い。
 もちろん、予算どおりに違反金が集まるとは限らない。06年度なんか「収入未済額」が約7億円もあり、実際の「収入額」は約47億円にすぎなかった。しかしそれでも赤字ではなかったはずだ。

 

 ここで、「ちょっと待てよ!」という方がおいでだろう。
「民間委託で駐車違反は一掃されるはずじゃなかったのか。だいいち、違反は本来あってはならないもの。そんな違反から生じるカネを予算に計上するって、あり?」

 その考えは、健全なように見えてじつは誤っている。民間委託のスタートは06年だが、国会で法律ができたのは04年。前年の12月に東京新聞がこう報じているのだ。
小泉純一郎首相が指示した国から地方への補助金1兆円の削減を実現するため、駐車違反の反則金(年300億円程度)を国から地方に移管し、2004年度の補助金削減実績に算入することが6日分かった……制度として反則金が地方自治体の財源となるのは06年度からの見通しだ」

 

 「反則金」は国庫に入ると法律で決まっているので「放置違反金」という新しい名称が登場したわけ。
 名称はともかく、駐車違反のペナルティは“小泉改革”によって地方に与えられた「財源」なのだ。
 地方は、国からの補助金を削減されたぶん、違反金をじゃんじゃん稼がないといけない。民間委託の経費のぶんだけペイすればいいってもんじゃないのである。

 

 だぁかぁら! 06年6月以降、やむを得ない事情によるほんの数分の、迷惑性などない駐車でも、かまわず取り締まるようになったのだ。駐禁取り締まりは純粋に地方の“収益事業”。交通の安全・円滑の観点から良い悪いを言うのは、およそ見当違いなのだ。
 違反を一掃しちゃったら、安定的な収益が見込めない。そこに配意してか、契約書には1日に活動するユニット(原則として監視員2人で1ユニット)数の上限がしっかり設けられてもいる。
 “末端の兵隊”にすぎない監視員をいくら恨んでも罵倒しても、なんにもならないのね。

※ こういう“小泉改革”の仕上げとして裁判員制度があるのだ。

 

 ところで、「反則金」(車の持ち主ではなく違反者が払うペナルティ)のほうはどうなったか。
 取り締まりを受けても8割くらいが出頭せず、持ち主の立場で違反金ですますってことは、そのぶん反則金の納付額が激減するってことだ。前出の報道だと駐禁の反則金は全国で「年300億円程度」。その8割なら240億円くらい減る?
 財務省のホームページの深いところに「交通反則者納金」というのがある。駐禁も含む交通違反の反則金の総納付額だ。その「予定額」の推移は次のとおり。

  04年度 約798億4037万円
  05年度 約792億6564万円
  06年度 約799億0999万円
  07年度 約775億9553万円
  08年度 約770億0750万円
  09年度 約776億2212万円

 

 減ってはいるが、20数億円程度でしかない。
 民間委託がスタートしたとき、こう言われたのをご記憶か。
「治安が悪化している。限りある警察力を重大犯罪の捜査へ向けるため、民間委託を導入します」
 なんのこたぁない、駐禁取り締まりを民間委託して浮いた警察力を、駐禁以外の取り締まり(つまり反則金稼ぎ)へ向ける腹だったんだねぇ。不景気とは無縁の世界。あぁ、うらやましい。ってそんなオチでいいのか?

 

※ 実際には、08年度までのデータでいうと、駐禁取り締まりは約2倍に増え、その約半分を警察官がやっているし、駐車監視員が取り締まったあとの処理は警察がやるので、駐禁取り締まりに関して警察力が浮いたとはいえない。だから、「交通」部門の警察官がかえって増員される、ということになるのだろう。

2009年7月30日 (木)

500人減るはずの警察官が121人増えた?

9年で警察官2万人を増員 負担人口の目標達成
 全国の警察官の人数は25万3682人(今年4月1日現在)で、相次ぐ不祥事を受け増員が始まった9年前に比べ2万892人増え、警察官1人当たりの「負担人口」は557人から509人に減少し、ほぼ目標を達成したことが29日、警察庁のまとめで分かった。
 1999年に発覚した神奈川県警警部補の覚せい剤使用もみ消しなどを受けて国家公安委員会が発足させた警察刷新会議が2000年7月にまとめた緊急提言で、監察の強化などとともに、負担人口が500人程度になるよう増員を求めていた。
 警察庁によると、増員数の部門別では、犯罪対策に重点を置き「生活安全・刑事・組織犯罪対策」に1万1695人。空き交番対策などで「地域」は6386人、収容者が増えた「留置管理」は2974人、被害者支援などを担当する「総務・警務」が1264人。
 駐車違反取り締まりを民間委託した「交通」は121人増にとどまり、過激派対策や大型の警備が減った「警備」は唯一、1548人減った。
 勤務場所別では、第一線の警察署が1万4903人、組織犯罪対策部門などが新設された警察本部が5989人。
 警察庁の安藤隆春長官は「財政削減が進む中、治安に対する配慮から増員が認められてきたが、諸外国の負担人口は300~400人台で、まだ十分ではないと思っている」と話した。

 と7月29日付け河北新報。太字は今井。

 ぎょっ いよいよ私の記憶は破滅的に壊れてしまったのか。深い不安を覚え、急ぎ引っ張り出してみたょ、2004年4月8日の参議院・内閣委員会の議事録。まさにその、駐車違反取締りの民間委託、の法案が出てきたときの議事録を。
 ほっ、壊れてなかった。警察庁の人見信男交通局長の答弁に、こうある。太字は今井。

 …約五百名程度の人員合理化がなされるものと、可能なものと、こう見込んでおるところでございます。

 民間委託により合理化された500人くらいの警察力を、重大犯罪の捜査へ振り向けたい、と言って駐禁取締りの民間委託は導入されたのだ。
 ところが、121人増。はあ?
 620人ほど増やすはずだったのが、民間委託による人員合理化により、121人増にとどまった…と考えれば、べつにおかしくないのか?

 ちなみに、2004年4月8日の参議院・内閣委員会で交通局長は、駐禁取締りに充てられいる警察力は、取締りに要する時間で割ると、約1200人相当とも答弁していた。

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 ということで、29日(水)は裁判所行きをサボったょ。
 14時頃、汗まみれで起き、腹ぺこの状態で有酸素散歩約1時間。
 腹ぺこで有酸素運動をやると、体が自動的に、蓄えてる何かを分解して血糖値を上げ、だから空腹を感じなくなり、デブは痩せる、のだそうだ。
 ま、たまに、分解がうまくいかず血糖値がぐんぐん下がるのか、膝や肘ががくがくして全身から力が抜け、動けなくなってしまうんだけどね。

 今日はだいぶ夏っぽい雲だった。高さ、大きさ、色、形、見た目の密度、流れの速さ、いろんな雲があって、飽きない。
 雲見坂(くもみざか)小次郎、宮本雲見斉(うんけんさい)なーんて、時代劇に登場してるのかな。雲見温泉というのはあるそうな。

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2009年4月18日 (土)

駐禁取締りは純粋なカネ集め

 原稿締切りが17日だと、16日の夜に気づき、17日(金)は裁判所へ行かなかった。簡裁で15時からの「器物損壊」、傍聴したかったのに…。

 その原稿が終わり、古いニュースを読んでるとこ。

車3台を公売し滞納金強制徴収 放置違反で県警
 駐車違反による放置違反金を支払わず滞納し続けたとして、県警駐車対策課は9日、尾張旭市のアルバイト男性(60)と、名古屋市西区の人材派遣業男性(38)の軽乗用車計3台を差し押さえ、公売で約85万8000円で売却する強制徴収を行った、と発表した。
 発表によると、アルバイト男性は2006年11月から08年10月にかけて計38回、人材派遣業男性は06年6月から08年11月にかけて48回の駐車違反をした。警察の指導も無視し続け、「車を持って行け」「絶対に払わない」と反発するなど悪質と判断、それぞれの車を売却して放置違反金に充てることにした。
 車3台の競争入札は8日、名古屋市昭和区の放置駐車対策センターで行われ、いずれも見積もり価格より約6万円から15万円高い金額で売却された。
 強制徴収は2006年施行の改正道交法で設けられた制度。これまでに約400人から、預金や給与、生命保険などを差し押さえ、約2990万円を徴収している。同課では「今後も悪質な滞納者は徹底的に処分する」としている。
(2009年4月10日  読売新聞

 無視し続けて「車を持って行け」「絶対に払わない」だなんて、取締りによっぽど腹が立ってたのかなぁ…と推察される。
 実際、ニュー駐禁取締りにものすんごくムカついてる人は多い。この本に、「ドライバーや通行人から投げかけられた数々の言葉」が載ってもいる.

 でもねぇ、それら腹立ちは“誤った幻想”に基づいてるんじゃないか。
 善良な運転者諸氏は、違反の悪質、危険、迷惑性とか、子どもやお年寄りの送迎のための、あるいは公衆トイレへ寄るための数分の駐車にすぎないとか、そういったことで、取締りが妥当かどうか、納得いくかどうか、考えがちなんだろうけど、ニュー駐禁取締りにそんなことは一切カンケーないのだ。
 ニュー駐禁取締りは、純粋なカネ集め事業なのだ。
 これは、皮肉で言ってるとか、そういうんじゃない。
 2003年12月6日付け毎日新聞の報道、の一部をまた引用しとこう。

小泉純一郎首相が指示した国から地方への補助金一兆円の削減を実現するため駐車違反の反則金(年三百億円程度)を国から地方に移管し、二〇〇四年度の補助金削減実績に算入することが六日分かった。政府は年明けの通常国会に道路交通法など関係法改正案を提出、成立を前提に補助金削減実績に計上する。制度として反則金が地方自治体の財源となるのは〇六年度からの見通しだ。

 「反則金」は駐車違反以外からも徴収でき、国庫に入ることに決まってる。だから、地方の財源にするカネに「反則金」の名称を用いることはできず、「放置違反金」となり、「見通し」のとおり2006年6月1日からスタートしたわけ。
 これは、国から地方への補助金を1兆円も削減するのと引き替えに、独自財源として地方に与えられた、駐禁取締りの形をとった純粋なカネ集め事業なのだ。

 違反の迷惑性とか、酌むべき情状とか、そんなこと言ってたら、カネはスムーズに集まらない。タイヤと路面にチョークで印を付けて15分なり30分なり待つとか、そんな悠長なことはしてられない。
 だから、外形的に違反だったら直ちに取り締まるようにし(つまり訓練を積めば誰でも取締りができるようにし)、じゃんじゃん取り締まる(=カネを稼ぐ)よう民間委託もしたのである。
 駐車監視員は、そのシステムの末端の、シンプルなロボットというべき立場であり、駐車監視員に怒りをぶつけても、まったく空回りだ。駐車監視員がつらくて心を病んでも、システム自体は痛くもかゆくもない。シンプルなロボットの替わりは、いくらでも居るんだから。

 なわけなので、運転者の側としては、迷惑駐車をしないのは、それはもう当局がどうこうには関係のない、運転者に課された当然の責務としたうえで、路上駐車をするに当たっては、うまくずるく、駐禁ステッカー(放置車両確認標章)を貼られないよう、貼る直前までには車へ戻るよう、しのぐべし、立ち回るべし…という社会になったのだ。

 ただね、当局が自分らのカネ稼ぎに都合が良いよう法律を勝手につくり、正しいことをやってるかのように装って、莫大なカネを汚く稼ぎ、こっちはうまくずるく立ち回る(真相を知らない人は、ひたすら腹を立て、警察などを憎む)…というのでは、社会全体のなんつーか荒廃が深まるっつーか、深いところで社会全体がじわぁっと悪くなるんじゃないか。たとえば、絶対正義のヒーロー(そんなの悪魔に決まってる)の登場を熱望し、登場したら熱狂するとか、そうしたことも心にとどめておくべきと思う.

 この本、ちょうど半分くらい読んだとこ。
 まぁね、「なるほど、パーメの料金未納のあのことはあえて書かないんだな」とかあるけど、そういうのを超えて面白い。私としては、とくに“駐禁詐欺”ともいうべきエピソード、面白かったよぅ。
 著者は本物の元駐車監視員で間違いなかろうと思う。
 雑誌で対談をやりたいょ。 

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