放置違反金、消滅時効、不納欠損、滞納処分
こういうニュース報道が最近ぽつぽつあるでしょ。以下は2月4日付け東海テレビの一部。
3回駐車違反し違反金滞納中の40代女性 警察に車差し押さえられる「次の給料日までには払う」
駐車違反を繰り返し違反金が支払われなかった車1台を、岐阜県警が差し押さえました。
岐阜県警が差し押さえたのは市内に住む40代の女性が使用していた、1台のワンボックスカーです。
この車では2015年から去年にかけ3回の駐車違反が繰り返されていましたが、違反金と延滞金など合わせておよそ6万円が納付されておらず、岐阜県警は使用者である女性に何度も督促していました。
しかし女性が納付しなかったため、岐阜県警は1月31日、このワンボックスカー1台を差し押さえました。岐阜県警が交通違反の違反金滞納者を対象に、車を差し押さえたのはこれが初めてです。
こういうのを「滞納処分」という。家宅捜索による押収ならともかく、刑事手続きとは関係ない財産の差押えなんて警察官は苦手だ。私も苦手だ。 ←あんたは関係ないっつーの(笑)。
だが、苦手と言っちゃいられない事情がある。
放置違反金は5年で「消滅時効」、徴収できず「不納欠損」となる。滞納分はどんどん溜まる。どげんかせんといかん。
そこで「放置違反金の滞納処分業務における警察庁指定広域技能指導官」というのを登場させた。最初の技能指導官は京都府警の警部補だ。この警部補を招いての「放置駐車違反に係る滞納処分実践塾」というのをあちこちでやっている。「捜索・差押は、難しいイメージがあったが、ハードルが下がり、やってみようという気持ちになれた」などと好評だそうだ。
ただ、滞納分は膨大であり、なかなか追っつかない。
そこで、こうして大きく報道してもらい、未納者たちがびびって自発的に納付するよう仕向けたい、そういうことなのだ。
2006年6月1日、「逃げ得を許さないために」「民間委託で浮いた警察力を重要犯罪の捜査へ」と放置違反金制度、駐車監視員制度がスタートしたが、逃げ回る者は相変わらずいるし、そのほか警察はかえってややこしい業務が増えた、いやいや大変なのだ、という話を、駐車違反にまつわる5件の「交通指導だより」を紹介しつつ2月下旬発売の『ラジオライフ』の原稿に書いた。
画像はうち2件の表紙部分だ。
上掲報道では「放置違反金」という正しい語が一度も使われていない。
昔はこれを「反則金」とか報道していたこともあるので、その頃に比べれば「違反金」となっているだけ大いに進歩したといえる。
また、これは東海テレビさんが特に意図したわけではなかろうと思うが…。
ただ逃げたいだけの人は罰金、反則金、放置違反金の区別がつかない。とはいえ放置違反金では駐車違反限定感がある。「違反金」だと駐車違反限定のペナルティだという感じが薄れる。「交通違反の違反金」と念押しされている。反則金の未納者をもびびらせる効果が生じており秀逸、といえる。ディープな読みでしょ、ふふ。
さてメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」、2月は以下の2号を発行した。
第2212号 道交法違反、犯人隠避等の裏に、まさかのとんでも事件が
オービスの身代わり出頭の事件はときどきあるが、本件は無免許運転者への車両提供罪、の隠避だった。珍しい。そうして、その裏にとんでもない事件が隠れていた! 閉廷後に起こったことは…!第2211号 新型オービス、たぶん本邦初の裁判、探して狙って傍聴しました!
苦労して見つけましたょ、新型オービスのうちセンシス社の固定式による速度違反の、否認事件を! たぶん本邦初の裁判だ。検察官の立証予定は気合い全開。2013年から新型オービスを追い続けてきた私は大興奮し…!
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今回、珍しく2号続けて交通関係だった。次号は自慰行為関係の事件、次々号は悪質な性的虐待の事件になりそう。あるいは住吉会系の事件になるか。前頭側頭型認知症の症状のひとつとしての万引きを裁判官はどうしたか、という驚きの話もご報告しなければ。裁判員裁判で実質無罪とされた男の、その後の2度目の下着泥棒は…。
レポートしたいことが多すぎて、ただただ時間がない。私も大変なのですょ。
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