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カテゴリー「交通/無免許」の131件の記事

2025年9月 8日 (月)

被告人を拘禁刑5月に処する。お~!

 2025年6月1日、拘禁刑がスタートした。 ←リンク先は法務省矯正局

 法務省から聞いたところによれば、犯行日が6月1日以降の被告人が拘禁刑に処され、それとはまた別に、刑務所内の拘禁刑の処遇は6月1日から始まるそうだ。

 

 シンプルな刑事事件は、検挙からだいたい2カ月程度で法廷へ出てくる。8月には相当数が出てきたはずだ。
 しかし8月は恐怖の夏休み! 私は週1程度しか裁判所へ行かなかった。

 

 そして9月5日、とうとう遭遇しました!

 東京地裁、「道路交通法違反」、新件(第1回公判)。
 被告人は非身柄、58歳男性、会社員。

 2025年6月14日の、シンプル極まる無免許運転だった。
 前科・前歴・違反歴は一切なし。昔は略式により罰金30万円で済んだ事件だ。
 いつ頃からだっけ、済まず公判廷へ出てきて執行猶予付き懲役刑に処されることが多くなった。全件ってことはなかろうと思うが、わからない。運用上の厳罰化、である。

 検察官がこう述べた。

検察官 「被告人を拘禁刑5月に処するを相当と思料します」

 お~! これまではこうだった。

検察官 「被告人を懲役5月に処するを相当と思料します」

 「懲役5月(ごげつ。以下同)」が「拘禁刑5月」になった。「刑」の1文字がくっついた。なぜ?
 その理由は刑法にある。以前の刑法はこうだった。太字は私。

(刑の種類)
第九条 死刑、懲役、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。

 それがこうなった

(刑の種類)
第九条 死刑、拘禁刑、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。

 だから「拘禁刑5月」と言うんである。
 でも「罰金刑30万円に」とは言わない。なんか私はおケツがかゆい(笑)。

 

 シンプルな事件なので直ちに判決が言い渡された。

裁判官 「主文。被告人を拘禁刑5月に処する。この裁判が確定した日から2年間その刑の執行を猶予する」

 お~!
 こういうところに感慨を覚えるタイプの、私は裁判傍聴マニアなのである。よしっ。

2025年8月26日 (火)

ADHD、無免許運転、無罪!

 8月25日(月)1400~1430、東京地裁刑事第3部、寺尾亮裁判官、414号法廷(20席)で「道路交通法違反」の判決。

 

 これを私は、今年5月21日の審理の期日から傍聴した。

 無免許の故意を否認する、無罪主張の事件だった
 無免許は、過失犯の処罰規定がない。過失なら処罰できない=起訴したなら無罪、なのだ。

 

 本件は、運転免許の更新を忘れての無免許運転だった。
 なぜ忘れた? 元号の変わり目だったから?

 いや、なんと、ADHD、だった。
 被告人は医師。要するに、仕事のほうは過集中して有能なんだけど、光熱費の支払いとか何かの契約とか事務的なことは全く苦手。母親と妻に頼りっきり。運転免許の更新のことなど完全に忘れていた…。
 更新のお知らせのハガキ(シールハガキ)を母親から渡され、そのハガキは、自家用車の物入れから、未開封のまま見つかったという。

 過失犯であることは明らか、と思えた。

 

 しかし! これは裁判である。
 起訴された以上、被告人はもう助からない、私はそう思った。
 求刑は懲役5月。執行猶予は間違いないが、猶予付きでも懲役刑だと、医師は医業停止になる。可哀想に…。

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 そうして8月25日、判決の日が来たんである。ああ、可哀想に、と傍聴席で想う私。判決が言い渡された

裁判官 「主文。被告人は無罪

 えっ…!!! 私は思わず小さく声をもらしてしまった。詳しいことはあとで雑誌に。

2025年8月14日 (木)

警察官もツライよ…交通取り締まりの理想と現実

 過去にどんな記事を書いたか、どんどん遠くなってしまう。
 とりあえず、車雑誌『ドライバー』のWebサイトに書かせてもらったぶんのみ、記事のタイトルと日付を、ときどき当ブログに載せている。

 

 2023年2月の途中から3月の途中まで → 2023年4月2日に。
 2023年3月末から5月初めまで → 2023年5月15日に
 2023年5月の途中から同月末まで → 2023年6月11日に
 2023年6月の途中から8月の途中まで → 2023年8月8日に。
 2023年8月の途中から9月の初めまで → 2023年9月2日に。
 2023年9月の途中から10月の中頃まで → 2023年10月14日に。
 2023年10月の中頃から11月末まで → 2023年12月1日に。
 2023年12月から2024年2月初めまで → 2024年2月14日に。

 その後、現時点までに、以下の記事がアップされた。

 

2024/02/20 「運転させてよ!」…電動キックボードを16歳未満が運転したらどうなる?
 新しいカテゴリーの登場と同時に、道交法第64条の2が新設。その第2項により、16歳未満に電動キックボード(特定小型原動機付自転車)を貸すと、無免許運転者への車両提供罪に! これほとんど誰も知らないのでは?

 

2024/03/21 どの標識にどう従えばいい? ややこしすぎる電動キックボード
 自転車と原付バイクとの中間、のような電動キックボード。進入禁止などの標識に「自転車を除く」と補助標識がある場合はどうなるの? クイズの問題にばっちりだと思う。

 

2024/04/12 2023年の交通違反別取り締まり件数が公表された。減った違反、増えた違反は?
 速度違反の取り締まり件数は右肩下がり。かつて200万件を軽く超えていたのに、2022年に100万件を割った。そんな中、逆に増えている取り締まりは? 高速道路では?

 

2024/04/19 【まとめ】可搬式(移動式)オービスはいかにして生まれたのか?「神出鬼没だからヤバイ」で終わらない話
 警察庁が可搬式の導入へ向け表立って動きだした2013年から、ずっと注目し続けてきた。まさかこんなことになるとは、警察庁も完全に想定外だったはず。私も完全に予想外。でも、駄目と分かっても退かないのは…。

 

2024/06/24 高速道路の落下物、「落とし主」がわからないケースが多数…取り締まりは何件?
 高速道路でのガス欠や「積載物の転落」は、どういう法令でどう禁止され、取り締まりはどうなっているか。日本人の9割が、いやたぶん99%が知らない事実。

 

2024/06/26 オービスは何キロオーバーから取り締まりの対象になるのか?
 固定式は赤切符の違反を取り締まる。しかし超過30(高速道路等では40)キロピタリの取り締まりはしないようだ。その理由は…。一方、可搬式(ネット用語は“移動式”)は青切符も取り締まる。超過15キロ未満の取り締まり件数の、興味深い変化。

 

2024/07/19 夏休みに行きたい人気スポット!? 東京地裁の傍聴席争奪戦に勝つための「10の極意」
 夏休みには傍聴人がどっと増える。裁判所はデートスポットとしても認知されているようだ。初めて傍聴する方へ、これを知っておくとおかないとでは、大変な違いですよ!

 

2024/07/24 自転車で“ひょっこり”妨害運転、2度の実刑判決を受けながら、なぜまたやった?
 自転車でセンターライン付近を走り、対向車が近づくや、ひょいとセンターラインを超え…ドライブレコーダーに捉えられたその様子が、テレビニュースでもう繰り返し繰り返しさんざん流された、あの事件の裁判を、千葉地裁・松戸支部で傍聴した…。

 

2024/07/25 大阪・兵庫、固定式オービスの設定速度が下げられた? 都道府県別の整備数と撮影枚数から推測
 兵庫は6台、大阪はなんと30台も、前年より減った。なぜ? 一方、東京の固定式の撮影枚数は前年より半減。なかなか説明のつきにくい現象が起こっている。

 

2024/10/25 警察官もツライよ…交通取り締まりの理想と現実
 「取り締まりの目的は交通安全、事故防止である」「安全運転を心がけていれば取り締まりを受けない」という甘い幻想は、すっぱり捨てるべし。その理由とは…。

 

2025/04/07 制限50キロの道路でも原付バイクは30キロ、日本人の0.1割も知らない根拠とは!
 高速道路の法定速度は100キロ。けど標識が120キロなら120キロまでOK。法廷速度が30キロの原付は、標識が50キロでも…おかしくないですか?

 

2025/06/02 交通違反の「罰金」、「反則金」、「放置違反金」、その決定的な違いは?
 3つの金銭ペナルティは、法律的な意味も、払い方も、払わなかったらどうなるかも、全く異なる。知らないと意外な損をすることも!

 

2025/06/03 酒気帯び運転の呼気検査は、ぶっつけ本番「1回こっきり」・・・「2回検査はできません」とはどういう意味か?
 0.14mgならセーフ、0.15mg以上だと数十万円の罰金か拘禁刑(懲役刑)、加えて免許停止、取り消し処分、場合によっては懲戒免職にもなる、あの呼気検査は、じつは非常にヤバイという、誰も知らない怖ろしい話を…。

 

2025/07/25 「免許返納後に」「実技検査が不合格で」高齢者の無免許運転・裁判傍聴・・・氷山の一角?
 昭和18年生まれのお爺ちゃんは、運転免許を返納後も運転を続け…。昭和13年生まれのお婆ちゃんは、技能検査に2度落ちて免許更新できず、しかし運転を続け、とうとうアクセルとブレーキを踏み違え…!


2025/07/29 オービスの測定値はホントに信頼できるのか?まさかの「抜け落ち」を発見した【知らないと損する交通違反】
 長年にわたり多数のオービス裁判を傍聴してきた。みな同じ論法で有罪になっていく。オービスは信頼できるのか。いや、逆の事実が浮かび上がってくるのだった!

 

 以上、ほとんど全部、テレビ・新聞が報じないことばかりだ。
 だからって「マスゴミは闇の勢力に支配されているっ!」とか私は言わない。誰にだって都合や制約はあるのだ。私だっていろいろ、ねえ。

2025年3月14日 (金)

犯罪集団のリンチ、ドンキで買った性玩具を肛門に

 最近傍聴したのを少し。

 

 「道路交通法違反」、東京地裁、判決。

 高齢で免許更新の要件を満たさず、取消しに。その後も無免許運転を続け、前科なし、懲役5月、執行猶予2年。
 ちょい昔は罰金30万円が相場だった。運用の厳罰化が密かに始まっているとは、しかし普通は知らず「捕まっても罰金」と思っているだろう。
 本件のお爺ちゃん(会社経営)もそうだったんではないか。

 

 「過失傷害」、東京簡裁、審理。
 確認のためちらっと傍聴。やっぱり飼い犬の咬み付き事件だった。

 

 「過失運転傷害」、東京地裁、新件。

 普通自二、赤信号看過、約45キロの速度で直進、交差点出口横断歩道、左方から右方へ小走りで出てきた9歳女児に衝突…。
 私は思うのだ。
 不注意な運転者、普段は注意深いのについうっかり注意を怠る運転者、そんなの存在して当たり前。
 一方、歩行者は、「青信号の横断歩道は聖域」とすり込まれている、洗脳されている。
 東京地裁の刑事法廷へ出てくる交通死傷事故は、ほとんどが青信号の横断歩道上で起こっている…。

 

 「強制わいせつ致傷」、東京地裁、裁判員裁判、判決。

 被告人(身柄、拘置所)は、俳優顔というのか、んまぁ格好いい若者だ。
 深夜、スマホとイヤホンで独り帰宅途中の女性を、酔っ払って背後から襲い、ひざをすりむくとかさせたのか? 違った!!!

 女性を風俗店に売って稼ぐスカウト組織(機動班とか色々役割分担)の、被告人は幹部。
 組織内での金銭の貸し借りとギャンプルは禁止、なのにそれをやった29歳男に制裁を加えることに。
 複数人で取り囲み、全裸にして苛烈な暴行を加えたうえ、性玩具(仲間がドンキで買ったディルド)を被告人が肛門に挿入したんだという。

 肛門ぶち込み動画は、見せしめのため組織内で共有されているという。
 それでも仲間から金を借りギャンブルに突っ込む者はいるわけだ。


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2024年8月14日 (水)

同乗者らを盛り上げるため高速度で信号無視!

 最近傍聴したのを少し。いろんな事件があった。

 

過失運転致傷、道路交通法違反
 被告人は80歳代、医師。助手席に妻を乗せようと、パーキングメーター内で少し右前方へ車を動かしたら、右後方から来た自転車が急制動。そこへ、接近して追従していた自転車が衝突し…。

 

道路交通法違反
 アマゾンの配達で拠点へ向かう途中のこと。時間帯によって拠点によって報酬が異なるので、どこの拠点へ向かうか、道端に停車してスマホで調べていたら、自転車が追突。
 救護義務違反と、無免許運転とで起訴された。

 

傷害致死
 殴ったあと、父親が死亡。判決は控訴棄却と聞き、頭を抱える。

 

道路交通法違反
 被告人は特定少年。無免で保護処分を受け、免許取消処分。かまわず自二を運転し続け。近隣から通報され…。

 

傷害
 40歳代無職男、50歳代男と友人関係、ナメてバカにした態度に怒り、カッターナイフで切りつけた。きっぱりした男!



詐欺
 1千万円融資の担保に4千万円相当のフェラーリを預かり、直ちに500万円で売却してキャバクラで費消。

道路交通法違反
 被告人は医師。酒気帯びで免許取消処分を受けたが、意に介さず自二を運転し続け罰金2回、そして本件。
 判決は執行猶予付き懲役刑。医業停止のこと、被告人も弁護人も完全スルー。

 

邸宅侵入
 路上で強制わいせつは起訴猶予に。暑いから窓を開けているだろう、裸を見られるかも、とマンション敷地内に入り。

 

詐欺
 出し子で懲役2年6月を服役。その仮釈放中に受け子をやり、知らなかったと否認。

 

危険運転致死傷、道路交通法違反
 飲食店の同僚5人を乗せカラオケ店へ。朝まで大量飲酒。同僚らを乗せて運転開始、盛り上げるため高速度で赤信号無視、2人死亡、3人重軽傷。
 原判決は懲役9年(求刑10年)、控訴棄却。被告人は不出頭。

 

 若い人が、車内を盛り上げるためムチャな運転をし、事故って死傷者多数、という事件がときどき法廷へ出てくる。
 おそらくそういうのだろう、と思われる死傷事故の報道がよくある。

 毎年、たぶん何十人か、“盛り上げ運転”で命を失う。
 重い後遺傷害の人も含めれば、百数十人かもっとか。

「バカな奴、ちゃらい奴の車には絶対同乗するな!」

 義務教育でしっかり教える、、、そんなことは絶対に起こらないだろうと思う。
 理由は長くなる。またね。

2024年7月14日 (日)

被告人をあからさまに見下す弁護人

 最近傍聴した事件を少し。

 

 東京簡裁で「窃盗」の判決。

 開廷時刻、被告人だけがいない。
 弁護人(中堅男性だったかな、珍しく私は人着をメモってない)が携帯電話を持って廊下へ。

 すぐに被告人とともに戻った。
 あれっ、汚れた感じの黒色半袖Tシャツで痩せたその被告人、10分ほど前から廊下にいましたけど?

 

 なぜか裁判官は人定質問をおこなった。
 生年月日からするに54歳。職業を尋ねられ…。

被告人 「仕事も、見つからない…とにかく病気(の治療)が先なんです。今、何てんですか、○○病、2週間に1回血液検査いかないと…」

 裁判官は遮り、判決を言い渡した。

裁判官 「主文。被告人を懲役10月に処する。次に理由を述べます」

 実刑だ。
 累犯となる前科も含め同種3犯。生活保護を受けていたが、タバコやスマホゲームの課金に費消して所持金が少なくなり、スーパーで万引きしたそうな。

 

 訴訟費用(国選弁護人の費用)は不負担。言い渡しが終わり、帰り支度をしながら弁護人が被告人に冷たく言った。

弁護人 「控訴します? 今回で私、任務終わりなんで、決めてください」
被告人 「だからどうしようか、困ってんです」

 累犯含め同種3犯では、控訴したってどうにもならんでしょ。下獄の日を先延ばしするだけでしょ。しかしそんな説明を弁護人は一切せず…。

弁護人 「(控訴を)しなければ収容されます」
被告人 「収容されると、困る…」
弁護人 「じゃ分かりました、不服申立しときます」

 そう言って弁護人はさっさと出て行った。
 私は傍聴ノートに、ペンの色を変えてこう書いた。

ノート 「なんだこの弁護人、ひっでーな、あからさに見下し、どうでもいい感、丸出し」

 こういうシーンをしっかり目撃し、必要に応じて報告する、それが裁判傍聴師の役割である。

 

 続いて「窃盗」の判決。

 2週間ほど前の前回期日を私は傍聴した。被告人は見た感じ80歳ぐらいの女性。万引きで執行猶予中の万引きだ。
 前回、何を問われても弾かれたように「もうしません!」「ハイしません!」と繰り返した。
 動脈硬化ならぬ思考硬化、あるいは、他者を拒絶する生き方なのか。
 求刑は懲役1年6月。無残に実刑判決となるのを見届けようと、私はこの法廷へ来たのだ。

 ところが、被告人が現れない。裁判官は10分待つという。たぶん来ないだろう。

 

 間もなく、東京地裁のほうの某法廷で「道路交通法違反」の判決が始まる。
 どうにも気になる理由があり、私はそっちへ急いだ。

 こっちの被告人は、現場仕事風の年配男性だ。

裁判官 「主文。被告人を懲役6月に処する。この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。訴訟費用は被告人に負担させない」

 相場的に無免許運転か、にしてはちょっと軽いな…。

 判決理由に驚愕の4文字があった。「一般原付」の無免許運転だという!

 

 2023年7月1日、いわゆる電動キックボードを道路交通法に取り入れ、「原動機付自転車」の定義(第2条第1項第10号)が変わった
 「一般原動機付自転車」と「特定小型原動機付自転車」に分かれ、従来の原付バイクは前者に、電動キックボードは後者に含まれることとなった。

 そうして今回、東京地裁の無免許運転の裁判で、「一般原付」という4文字を初めて私は耳にしたのである!
 この興奮、みんなわかってくれるよね、うんうん。 ←わっかんねーよっ(笑)

 

 このあと、原審無罪の「殺人」の控訴審を少し傍聴した。
 精神鑑定を行った医師(ハキハキと頭良さそうな中年女性)の尋問をやっていた。
 殺人の動機として被告人が語ること等々が、まあとんでもない内容だったりして、女医さんは何度も「正常な判断ができる状態ではなかった」と述べた。

 

 なんでもそうだが、はまる人、はまらない人がいる。
 裁判傍聴に、私ははまったね。

 今年6月20日、私は70歳になった。今の調子で傍聴できるのは、せいぜいあと10年か。
 いやいやもっと傍聴して、世界最高齢の裁判傍聴マニアとして世界傍聴マニア大会で記念講演をする、そこを目指そうじゃないか。

 そうしてある日、ルキノ・ヴィスコンティ監督の名画『ベニスに死す』のラストシーンをまね、傍聴席で静かに息を引き取る。

 なぬ、迷惑だから傍聴席で死ぬな? 裁判所の敷地を出て歩道で行き倒れろ?
 ま、それもいいよね。とにかく、長患いとかせず、ぽっくり死ねと、家人からきつく言われているのだ。

2024年2月21日 (水)

煉獄コロアキに嵌められた事件

 ・自白でも否認でも可搬式オービスの事件
 ・固定式オービスの測定値の否認事件
 ・妨害目的運転(いわゆるあおり行為)

 この3つを傍聴したい。
 なので裁判所(東京高地簡裁合同庁舎)へ行ったとき、空いた時間になるべく「道路交通法違反」の法廷を覗く。

 しかし、滅多に当たらない。
 もしあなたが見つけたなら、事件番号と被告人氏名と、できれば係属部を、是非是非お教えください~!

 

 そうして昨日、空いた時間に、ギョギョッとなる「道路交通法違反」に遭遇した。
 なんと、あの「煉獄コロアキ」により強引に嵌められた! と解される事件だ。
 被告人は、たぶん刑務所へ行くことになるだろう。

 YouTuberってのは、ああやって金を稼ぐのか。
 そうやって稼ぐYouTuberを面白がって支える連中がいるのか。

 この事件、ここに少し書いたんだがヤメた。
 やっぱり『ドライバー』のweb記事に書かせてもらうことにしよう、かどうしようか、悩み中。


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 ところで、「コインランドリーで「大便を撒き散らした男」が裁判で語った“衝撃理由”…前科16犯、ホテルのテレビに尿をかけたことも」と2月20日付け『SPA!』。
 あの「建造物侵入、器物損壊」の傍聴席に、この「学生傍聴人」氏もいたわけだ。

 東京地裁、いろんなことがあるね。

2023年7月22日 (土)

ストーカー、女性のSNS投稿から引越先を突き止め

 東京地裁の716号法廷で、、、

 13時20分~13時30分、「恐喝未遂」、判決。
 13時30分~14時30分、「ストーカー行為等の規制等に関する法律違反、強要未遂」、新件。

 

 今日この庁舎(東京高地簡裁合同庁舎)にいる傍聴人の大部分が集合する可能性あり。
 私は13時ちょい前に行った。

 きゃらきゃら可愛く笑うセーラー服の女生徒さんが4人、引率の女性が1人いた。私は6番目だ。
 それから傍聴マニア諸氏が少し来て、女生徒さんの連れが3人来て、さらに…。

 

 716号法廷は傍聴席20席だ。ぎっしり満席となり「恐喝未遂」の判決が始まった。

 被告人は身柄(拘置所)。スリムな、というか細長い高齢男性だ。
 共犯者らが被害者を脅して「迷惑料1億円」を払うという誓約書を作成させた、被告人はそこへくっついて行ったのかな。
 判決は懲役2年、未決90日算入、執行猶予3年。

 

 終わっても、誰1人席を立たない。みんな「ストーカー」の新件が目当てでここにいるのだ。

 「恐喝未遂」の判決言渡しの間、そして「ストーカー」が始まってから、傍聴席の後ろのドアがバッタンガッタン鳴った。
 今日この庁舎にいる傍聴人の大部分が集合する可能性あり、とは考えなかった人が大勢いるってことだ。
 でもそれが普通だよね。東京地裁は異常なのだ。

 

 「ストーカー」の被告人も身柄(拘置所)、茶髪の中年男性だ。
 なんと人定質問なしで始まった。前回、人定質問まで終わり、なので今日の開廷表は「新件」だったのか。
 まさか、人定質問を忘れたってこたぁないよね?

 微信(wechat)で知り合った中国人女性とデートを重ね、肉体関係を求めたが拒絶され、待ち伏せなどするうち女性は引っ越し…。

検察官 「被害者のSNS投稿内容等から、被害者の場所(引越先)を特定し…押しかけ…外出のためドアを明けた被害者に対し…手紙を…プレゼントをドアノブにかけ…座り込み…110番通報…警告…」

 SNS投稿から自宅住所がバレることがある、気をつけろ、と昔から言われるが、ほんとなんだ!

 13時51分、弁護人立証が始まった。被害者に二度と近寄らない等の誓約書とか一切なく、弁護人(ショートヘアの素敵な女性)は被告人質問のみ求めた。

 被害者とどう知り合って、どんなデートを重ねたか、詳細にわたり弁護人は延々と尋ね続けた。
 被害女性にこそ問題があった、被告人がやったことはやむを得ない面もある、と言いたいかのように。
 被告人は前科なし。本件は執行猶予判決に決まってる。釈放され、またつきまとうんじゃないの?

 14時12分、交際時についての質問はまだまだ続きそう。私はそっと出た。

 

 14時30分~15時50分、828号法廷(20席)で「道路交通法違反」、新件。

 8階東南角のこの法廷は、ドアが閉まらない。ドアクローザーによっては閉まらず、人が手で強制的に閉める必要がある。
 この法廷の天井裏に、全館への送風機械があるのか、ゴオオオオオオとものすごい音が響いている。
 濁点付きのオが法廷内を埋め尽くしているというか。
 でも、しばらくすると、あんまり気にならない。人間の認知機能の不思議ってやつだね。

 被告人(非身柄)は、敏腕、辣腕で有名なTVプロデューサーなのである。
 傍聴人は、修習生らしき2人と、記者と思しき1人も含め、合計7人ぽっち。阿曽山大噴火さんはしっかり来た。さすがだ。

 無免許で罰金30万円の前科がありぃの、無免許運転だった。
 検察立証(書証の要旨告知)が終わり…。

裁判官 「今後…」
検察官 「余罪がございます…8月中に送致予定…他の地検で…」

 余罪も無免許か、はたまた薬物か、次回期日は9月某日と指定し、10分ほどで閉廷。

2023年4月15日 (土)

江口大和弁護士を被告人とする「犯人隠避教唆」

 毎日新聞がこう報じた。

取り調べ映像、異例の提出 地裁勧告、被告の民事裁判で
2023年4月5日 17時46分 (共同通信)
 横浜地検の独自捜査により犯人隠避教唆の疑いで逮捕、起訴された弁護士江口大和被告(37)が、担当検事から「ガキ」と侮辱されるなど違法な取り調べがあったとして国に1100万円の損害賠償を求めて訴訟を起こし、取り調べの録音・録画データの一部が今年2月に証拠として東京地裁に提出されたことが5日、分かった。地裁が国に勧告していた。代理人の宮村啓太弁護士が取材に明らかにした。
 宮村弁護士は、検察の独自捜査の録音・録画が民事裁判で証拠として扱われるのは異例だとし、映像を公開の法廷で流すよう求めている。
 江口被告は昨年3月に提訴した。訴状によると、2018年10月15日に逮捕された。

 

 「横浜地検の独自捜査により」ってなんか違和感あり。記者氏は何を意図したんだろう。 

 それはともかく「犯人隠避教唆」、何の犯人を隠避した(隠れ家を提供する以外の方法で処罰から逃れさせようとした)のか。

 

 じつは私、こんな事件とは知らず偶然に、横浜地裁で、この事件に関連する別の被告人2人の「道路交通法違反(無免許者への車両提供罪)、犯人隠避、犯人隠避教唆」の判決言渡しを傍聴した。

 閉廷後、大変なことがあった! メルマガ第2212号「よくある道交法違反、犯人隠避等の裏に、まさかのとんでも事件が!」でレポートした。メルマガは昨年11月末で終了しておりもう読めない。以下同。

 

 その後、マニア諸氏から期日を教わったりして、江口大和弁護士を被告人とする「犯人隠避教唆」の、横浜地裁の期日を何回か傍聴した。
 無免許者への車両提供罪、を隠すうそを、江口大和弁護士がつかせた、要するにそういう公訴事実だ。

 判決も傍聴してメルマガ第2375号「江口大和弁護士の犯人隠避教唆、普通に考えて無罪では?」でレポートした。
 中身的には江口弁護士は無罪と思えたが、やっぱりねえ、別の被告人2人を「江口が悪い」説を前提に有罪にしちゃったもんだから、引き返せなかったんだろうか、判決は有罪だった。

 懲役2年、未決180日算入、執行猶予5年

 上掲報道に2018年10月15日逮捕とある。そこから丸々半年プラス何カ月か、勾留されたんだねえ!

 

 江口さんは控訴した。二審・東京高裁の期日を私は傍聴した、またもマニア諸氏から期日を教わり(ほんとお世話になってます)。
 その控訴審判決をメルマガ第2675号「江口大和弁護士の「犯人隠避教唆」、有罪の可能性を徹底的に探し…」でレポートした。
 当ブログでは「「考えられないとまでは必ずしも言えない」で有罪」で少し書いた。
 江口さんを有罪に仕立て上げるレトリックに震撼した。こうだ。

裁判長 「しかし…だからといって…あり得ないとは必ずしも言えない」

裁判長 「およそあり得ない事態とは言えない」

裁判長 「現実的に考えられないとまでは必ずしも言えない」

 んなこと言われたら誰でも何でも有罪になってまうわ。

 

 それでだ、上掲報道の民事の裁判、次回期日は4月27日(木)13時30分、421号法廷と指定された。
 取調べの録音・録画を、有罪にするため以外に用いることは、ぶっちゃけ目的外使用といえる。いったいどうなるのか、注目だ!

 ちなみに上掲報道は「江口被告」としている。
 民事裁判は原告vs被告だ。江口さんは原告なのに、なぜ「被告」?

 それはね、刑事裁判は検察官vs被告人なんだけども、被告人を「被告」と報じる、それがメディアのルールなのだ。

 江口さんは刑事の手続きでは被告人、民事では原告のところ、「弁護士=犯罪者」にインパクトがあるため、かつ、一般世間の人たちは原告だの被告人だの意味不明と見て、原告を「被告」と報じた、そういうことなのだろうと私は想像する。

※2023年10月15日追記: Web記事「無免許死亡事故、そこに隠されたまさかの冤罪!」として書きました。

 

 あからさまな冤罪といえば、メディアは「仙台筋弛緩剤殺人事件」と呼ぶ「北陵クリニック事件」である。
 守大助さんは無期懲役の牢獄に今もいる。

2023年2月 7日 (火)

救急車のドアミラーを木刀で叩き壊し

 今日、東京地裁に「強盗致傷、詐欺未遂、窃盗」(裁判員裁判)の新件があった。
 事件名からして、特殊詐欺の受け子、出し子をやり、さらに今話題の特殊強盗(リモート強盗)もやったとか?

 しかし私はそっちへ行かず、あちこちの法廷で“細かい事件”を忙しく傍聴した。以下はその一部だ。

 

道路交通法違反
 飲酒運転で免許取消→間もなく無免許で捕まり懲役10月、執行猶予3年→その猶予中に無免許1件→猶予満了後に無免許3件、合計4件で爺ちゃんは刑務所へ。

 

建造物侵入、窃盗、詐欺
 前刑(何か不明)の保釈中にコンビニの事務所へ侵入、現金1万3千円を窃取、そのとき20歳。
 その窃盗は保護観察付き執行猶予に。その猶予中に家出、仕事を探しながらの流浪生活に困窮し、ホテルに4回無銭宿泊…。

 

建造物損壊、器物損壊
 酒に酔っての粗暴犯前科を複数有しながら、今回もまた酒に酔って、救急搬送中の救急車の左ドアミラーを木刀で叩き壊すなどし、損害額50万7603円。その約10分後、コンビニの多目的トイレのドアを木刀で突いて凹損させ、損害額11万3300円。
 今回の判決(懲役実刑)で前刑の執行猶予が取り消される見込みだという。

 

傷害
 名のこの漢字2文字、まさかこう読むんじゃないだろうな? と思ったらそう読むのだった!
 苦労しなかったはずのない生い立ちで、若いのに同種前科3犯。酒で脳が壊れるタイプらしい。
 しかし、その反省悔悟の言葉に、心打たれるものがいくつもあった。素直ないい人間なのだろう、酒さえ飲まなければ。

 

過失運転致傷、道路交通法違反
 見通しの悪い交差点へ、一時停止の標識を無視して35~40キロの速度で直進。右方からきた自動二輪に衝突。
 ケガは全治まで約1週間の擦過傷。楽勝で不起訴だったはず。
 ところが、救護義務、報告義務を怠り逃げたがゆえに…。

 

 帰宅後、「強盗致傷、詐欺未遂、窃盗」の氏名でネット検索してみた。
 「元ホストが客と勘違い、女性の首絞めて金奪う「顔にコンプレックス…整形したくて」」という読売記事がヒットした。
 特殊強盗じゃなかったと知り、こんな言い方は申し訳ないが、ほっとする私がいる。

 

 青林書院? もしや! と思って書棚を見た。『刑事裁判実務体系(4-ⅱ)道路交通(2)』があった。冒頭の画像はその目次の一部だ。 ※当ブログ容量オーバーが判明。画像は削除。

 「(1)」もあるかも。買ったのは20年以上前かと思われる。なんでそんな難しい、高い本を? マニアだから…。

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