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カテゴリー「刑事/その他刑事」の704件の記事

2025年11月11日 (火)

立花孝志、勾留理由開示と鑑定留置理由開示

 兵庫県警が立花孝志「NHKから国民を守る党」党首を逮捕した。
 11月11日付け神戸新聞「立花孝志容疑者の口裏合わせや証拠隠滅警戒、逮捕を決断 兵庫県警」はこう報じている。

 一連の捜査は、警察庁の判断も仰ぎ、神戸地検とも協議。最高検の意向も踏まえて進めていた。

 被疑者(起訴後は被告人)がどう抗弁、抵抗しても、ドバイなどへ逃亡しない限り、確実に有罪にできると踏み、逮捕したのだろう。

 

 私は「名誉毀損」の裁判を、けっこう狙って傍聴してきた。

 名誉毀損がらみの民事裁判多数と、刑事裁判だけど中身がほぼ分からない数件と、すでに一審を傍聴した事件の控訴審数件を除き、いったいどんなのを傍聴してきたっけ、罪名に「名誉毀損」の4文字が含まれる刑事裁判を、超絶マニアックデータからだーっと拾ってみた。74件もあった。

 

 んまあ、じつにいろんな事件がある。
 交際のもつれ的な事件が多いが、そうじゃない恨みが動機のもの、政治がらみのものもある。

「名誉毀損程度では普通は逮捕勾留されない」なんてネットでは言われたりしているようだが、「身柄(拘置所)」「身柄(留置場)」「保釈中」というのがだいぶある。
 懲役の実刑判決も、けっこうある。

 

 立花孝志被疑者の場合、「勾留理由開示」の法廷へ、まずは出てくるかもね。
 「勾留理由開示」の裁判とは何か、当ブログ「ルフィ事件の勾留理由開示」で簡単に書いた。

 立花被疑者の事件では、一件(いっけん)記録から被疑事実は優に認められ、関係者と通謀して罪証隠滅のおそれが優に認められ、執行猶予中の身でもあることからドバイへの逃亡のおそれが、とか裁判官が勾留理由を開示、被疑者が10分間陳述(好き放題演説)をし、30分間足らずで閉廷、そんな感じになるのかな。

 

「被告人は双極性障害の躁(そう)状態が続き心神耗弱の状態だった」
「数々の動画をご覧いただけば明らかなとおり被告人は是非善悪の弁別能力が欠如しており、心神喪失のド真ん中である」

 などと弁護人が主張する可能性も視野に、精神鑑定をやるかも。「鑑定留置理由開示」の裁判については、当ブログ「「殺人」の鑑定留置理由開示」で書いた。

 どっちも絶対、傍聴券抽選になるでしょ。外れる可能性がめっちゃ高い抽選を目指して神戸地裁へ夜行バスで行こう、とまでは私は思わねっす💦

 

 過去の報道によれば、立花被疑者は2022年1月20日に東京地裁で、「脅迫、不正競争防止法違反、威力業務妨害」により懲役2年6月、執行猶予4年、罰金30万の判決を食らっている。

 立花孝志被告人(当時)は東京高裁へ控訴し、さらに上告。2023年3月23日に東京スポーツが「立花孝志氏の懲役2年6月、執行猶予4年の判決が確定へ 最高裁が上告棄却」と報じた。

 控訴、上告したため、刑の確定が1年2カ月延び、猶予期間の満了は2027年3月になった。現在、ばりばり猶予中なわけだ。
 罪名は今回と違うが、似たような事件だ。今回はもう執行猶予はないだろう。刑務所行きは、ほとんど確定といえるんじゃないか。


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 下獄すれば、派手な街宣活動も、YouTubeで派手に暴れることもできない。人気は急速に萎む(しぼむ)だろう。
 派手に目立ってドーパミンを得る日々から、閉所へ隔離、、、急速に鬱(うつ)の状態へ移行するんではないか、私はそこが心配だ。同情はしにくいけども。

2025年11月 6日 (木)

無罪の証拠を隠して有罪、しかし逆転無罪に

 髙野傑弁護士のTweet(現ポスト)を拝見し、あっ、そういえば、となった。

 伝説のメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代」、2010年8月19日発行の第225号「証拠隠しが濃く疑われる事件 逆転無罪!」を、適宜加除訂正のうえここにアップしよう。

   🐱  🐱  🐱

 8月17日(火)16時から東京高裁506号法廷(岡田雄一裁判長)で「公務執行妨害」の判決。

 

 原審は東京地裁(江見健一裁判官)。午前3時頃の新宿歌舞伎町で、警察官多数と被告人の仲間多数とで混乱状態となり、応援に駆けつけた警察官に対し被告人が暴行、という公訴事実だった。

 被告人のほうは「暴行なんか加えてない。こっちが理不尽にも投げ飛ばされた」旨の主張をしていた。
 後述するように、冤罪っぽい事件なのだが、原審判決を私は傍聴してない。とくに前科とかなければ、懲役1年、執行猶予3年ぐらいだろう。
 その後、被告人は控訴した。

 

 控訴審は、第1回が今年3月25日。今日の判決が、控訴審として6回目の公判になるはず。

 「これ、おかしいっスよ!」と、阿曽山大噴火さんがずっと追っかけていた。私も何度か傍聴してきた。どこがおかしいって…。

 歌舞伎町は、監視カメラ(俗称防犯カメラ)のメッカともいえる地域だ。現場はコマ劇場の前付近であり、当然、複数の監視カメラにさらされている。検察官はその録画映像を出し、法廷で取り調べ(再生)がおこなわれた。私も見た。

 ところがっ! 本件犯行と関係ない映像も提出されてるのに、ズバリ、本件犯行とその直前の映像が約38秒間だけ、ぬわいのだ!

 あの監視カメラの映像は、1週間で上書きされ、警視庁の生活安全課で管理され、捜査員は、理由を告げて映像のコピーをもらう、というふうなシステムになっているところ、本件のその約38秒間についてだけ、出てこないんである。

 理由は? 警察官が証人出廷して以下の旨を述べた。

警察官 「本件犯行の立証には不必要だった。プライバシーに関係するものが映っていた。どんなプライバシーかは言えない」

 なんだそれ。再生映像には、当然にいろんな人が映っていた。犯行(があったとされる)場面の約38秒間だけ、とんでもないプライバシーが映っていた? んな阿呆な話があるかいナ(笑)。


 被告人は控訴した。で、今日、控訴審判決なのである。

 被告人は、私が初めて傍聴したときからずっと、非身柄で黒スーツ。頭髪が、ホスト風というのか、「お前、その前髪、切れよっ!」と私は小一時間、説教したくなる感じ(笑)。

 16時00分、傍聴人はぜんぶで11人だったかな。16時01分、裁判官3人が登壇し…。

裁判長 「主文。原判決を破棄する。被告人は無罪

 おお~! 無罪が無罪になったことに驚く私(笑)。

 同時に、3人ほど傍聴席から出た。阿曽山さんによると、うち1人か2人は検察庁の職員らしく、間もなく傍聴席に戻ったという。
 検察庁としても、この事件はムリスジと承知してたわけかな? それでも有罪主張で押しまり、「やっぱ無罪でした!」と御注進、哀れだ。

 裁判長は、当法廷で取り調べられた証拠を説明し…。

裁判長 「被告人が公務執行妨害を行ったことを十分認められるようにも見える」

 とまぁ、いちおう検察側と一審の江見裁判官の顔も立てたうえで、こう続けた。

裁判長 「しかしながら子細に検討してみると…」

 映像の「欠落部分」について、こう述べるのだった。

裁判長 「(欠落部分には本件と)高度な関連性が認められ、重要な意味合いを持つ映像が含まれていると…(欠落部分を証拠採用するかは)当事者双方の弁論を経て決められるもの…捜査段階で消去してしまうのは許されない…」

 そうして…。

裁判長 「個人のプライバシーが含まれる映像もあったかと思われるが、他の部分にはまったく関係ない人物が含まれている…(警察が言う)理由は、いささか説得力を欠くと言わなければならない。意図的かどうか…妨げられたと言わなければならない…(欠落を)被告人に不利な形で考慮することはできないというべきである。被告人の供述を信用できないものとして排除するのは困難である。被告人が暴行を行ったことを、合理的な疑いを超えて認定できる証拠はない…犯罪の証明がないことに帰する。よって…」

 16時28分、言い渡しは終わった。被告人は「ありがとうございます」と頭を下げた。

 この逆転無罪は、この逆転無罪は、警察による証拠隠しが濃く疑われる、ニュース性のある事件と思うのだが、被告人氏名ではもちろん、「東京高裁 無罪」で検索しても拾えない…。

   🐱  🐱  🐱

 こんなヤバイ事件を検察官はなぜ起訴したのか。原審はなぜやすやす有罪だったのか。

 検察が無罪の証拠を隠して有罪を勝ち取ることは合法、そこが日本の刑事司法の背骨に、普通に連綿とあるから、との認定は論理則、経験則等に照らして合理的と言わなければならない。 ←高裁判決によく出てくる言い回し(笑)。いやちょと待て、ここ1年ほど聞かないかも。偶然かな。今後、気にしてみよう。

2025年10月28日 (火)

明け方に襲えそうな泥酔女性を探して街を

 奈良地裁で今日から始まった裁判員裁判は、正しくはどんな罪名(事件名)なのだろう、銃刀法の何条何項の違反とされたのだろう。傍聴席は何席で、特別傍聴席はどんな立場の人にそれぞれ何席ずつ振り分けられたんだろう。裁判員と補充裁判員の、性別とおおよその年齢はどうなんだろう。

 それらを知りたかったら、私が自分で傍聴するほかないんだわね。
 裁判員の選任で、検察官と弁護人はそれぞれ何人ずつ、どんな理由ではじいたのか、知りたいけど、そういうのは司法機密なのかな。

 などと思いつつ私は東京地裁(東京高地簡裁合同庁舎)へ。

 

過失運転致傷」、東京地裁、判決

 被告人は非身柄。暗色スーツに地味なネクタイ。きちーんとしてる。
 禁錮1年、執行猶予3年。またまた横断歩道上の事故だった。

裁判官 「罰金刑を選択するのが相当な事案とは言えない」

 被告人は、執行猶予付きでも禁錮刑だと資格や仕事を失うため、罰金刑を求めていたんだろうか。
 それは原則無理だ。どうしても罰金刑を望むなら、起訴前に検察官に対して主張・立証しなければ。

 

賭博開帳図利」、東京地裁、判決

 被告人は身柄(拘置所)、長身の中年男性だ。
 拘禁刑10月、未決60日算入。 ※今年6月から懲役、禁錮が「拘禁刑」になった。
 港区内のカジノ賭博店で、キャッシャーとして現金の管理などをしたんだという。そんなのなぜ実刑なのか。2019年11月に「賭博開帳図利幇助」で懲役8月、執行猶予3年を食らってるんだという。

 

建造物侵入、窃盗未遂」、東京簡裁、審理

 法廷前(私の歩測で約100mの中央廊下の最南端)に人だかりが。裁判所の職員も複数人。何だナンダ? と傍聴してみたの。
 被告人は身柄(拘置所)、痩せて可愛い感じのいかにもお爺さんだった。

 弁護人は、親兄弟はもう誰もいないことを、叔父(伯父?)さんはいるが90歳ぐらいなことを言わせ、こう尋ねた。

弁護人 「持病は?」
被告人 「………知的障害………4度…」

 施設で育ち、18か19歳から42歳まで「病院に入院」し、本件は福祉施設か保護施設か、そういうとこの倉庫への侵入だった。
 そうして、あの放浪の画家、山下清氏がいたのと同じ施設名が、その所在地名ともに出た! ノーベル書房の『裸の大将放浪記』を過去に私は全巻読んだのですよー! 

 

住居侵入、不同意性交等、性的姿態等撮影、不同意わいせつ」、東京地裁、新件。

 「乗客に睡眠薬、性的暴行容疑=元タクシー運転手を再逮捕―50人被害か・警視庁」と今年5月21日に時事通信が報じた事件だ。
 この情報をいただき、タクシー運転手なら私の守備範囲といえる、てことで今日はこれを傍聴に来たのだ。

 まずは3件の起訴状が読み上げられた。被告人の認否は…。

被告人 「分かりません…憶えてません…」

 たくさんやったのでいちいち憶えていないのか、と思ったら違った。

弁護人 「故意は争いません。しかし当時、心神喪失…無罪であると主張します」

 被害女性の1人(18歳)を、タクシー車内でレイプし、性交場面や性器を撮影し、コインパーキングにか放置、見つけた通行人が通報、昏酔強盗事件として警察は捜査を開始、8日後に被告人方を家宅捜索、動画等が入ったUSBメモリが発見され…。
 明け方に、襲えそうな泥酔女性を探して、タクシーで街を流していたらしい。

 弁護人は証拠意見を留保、追起訴が複数あるそうで、続行。

 

過失運転致傷」、東京高裁、判決。

 被告人は不出頭。中型貨物で居眠り運転をして信号待ち車両に激突…。
 前科なし。原審は罰金70万円、量刑不当の主張、控訴棄却

 量刑不当といっても「罰金70万円より執行猶予付き禁錮刑のほうがよっぽどいい!」という主張ではなかったようだ。

 

過失運転致傷」、東京地裁、判決。

 被告人は非身柄。きちんとして、如何にもただものじゃない感じの年配男性だ。
 禁錮1年、執行猶予3年。一時停止後に発進、安全確認不十分なまま漫然時速2~3キロで進行したところ、左方から自転車が突っ込んできたんだという。前科なし。

 弁護人席には、いかにも私選な感じの弁護人が2人。こんなの執行猶予以外あり得ないのに、何十万円か弁護人は受け取るんだろうか。

 帰宅後、被告人氏名でネット検索してみた。なんと、もともと名があるうえ、ある事件でどーんと有名になった人だった。
 職業とか、どんな事件かとか、言えば即バレそう。

 

 それが終わったのが15時04分。まだまだいろいろ開廷はあったが、私は転げるように逃げ帰った、のであった。

2025年10月 1日 (水)

人を殺すのは、端的に言って気持ち悪いことですから

 「「助けてくれと叫んでいた」東京・町田市で70代女性が腹など刺され死亡 40歳の男を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕 「誰でもいいから殺そうと…」と供述 警視庁」と9月30日付けTBS NEWSDIG。合掌。

 

 過去に傍聴した刑事裁判「銃砲刀剣類所持等取締法違反」を私は思い出す。
 正当な理由なくナイフ1本を携帯、の事件だ。携帯のうえ何をやらかしたかは措き…。

 

弁護人 「毎日働くことは考えなかったですか?」
被告人 「いろいろ考えましたが、完ぺきに自己否定になってしまい、情けないんですが自虐的な生活に……表へ出るのが怖くなってしまい……血湧き肉躍るような仕事をいつもしたいと! しかし仕事やってると嫌~な気分になり、誰にも会いたくない、いつもいつも逃げ回っている……」

弁護人 「自殺したいというのは?」

 被告人は大きな声でハキハキと答えた。

被告人 「自らを捨てたかったんです、破棄ですっ! 僕は理想がものすごく高いんです! ケチな人間のくせに、たえず人と自分を比べてしまうんですね!」

 うーむ、極端な自己誇大感と劣等感との間で苦しみ抜いてたったことなんだろうか。

弁護人 「死刑になるような重大事件も考えたということですが……」

 当然、考えたんだろうねぇ。

弁護人 「やめたのはどうしてですか?」
被告人 「人を殺すのは、端的に言って気持ち悪いことですから、できませんでした」

 人を殺して己の人生を仕舞いたい、そんなことを考える者が一定数いて、うち一部が実際に、、、

 こういう人たちを、レイシズム、ヘイト、ニッポン凄いぞ、などが掬(すく)い上げ、伸張する、そんな面もあるように思えて。

2025年9月27日 (土)

不正DNA鑑定と交通取締り

 警察捜査は大変だなあ、と裁判傍聴でつくづく感じることはある。
 
一方で、捜査官の見立てを裏付けるものを得る、有罪に必要な証拠を得る、のが捜査という面もある、ともつくづく感じる。

 

 「不正DNA鑑定 県警科捜研「調査はし尽くした」県議会議員が視察【佐賀県】」と9月26日付け、サガテレビニュース。

 インチキ鑑定であっても、見立てに沿う鑑定結果なら、インチキは見過ごされるだろう。
 
見立てがいつも正しいなら、7年間、約130件、インチキ鑑定の影響は受けていない、問題はなかった、と発表できる。

 

 交通取締りのジャンルでは、都道府県公安委員会(以下、公安委)の決定がない(=違法な)交通規制、をもとに長期間たくさんの取締りをおこない、発覚、遡って取り消す、反則金を返還、というケースがときどき報道される。

 運転者が反則金を納付せず争えば、刑事手続きの扱いになる。
 公安委の決定(の写しの抜粋)は、有罪に不可欠な証拠だ。
 決定がなければ、警察、検察は気づく、げーっとなる。

 決定がないのに長期間たくさんの取締りをおこなえたのは、運転者たちがみんな唯々諾々(いいだくだく)と反則金を納付してきたから、といえる。

 

 佐賀のDNA鑑定の件も、早い時期に、見立てに反するインチキ鑑定があれば、7年間もインチキを続ける事はできなかったはず。
 うーん、なんかうまく言えた気がしない。ま、いっか。ちょと寝よう。


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2025年9月23日 (火)

前回は仲間がドジってパクられたってとこあったんで

 2020年4月1日、「覚せい剤取締法違反」が「覚醒剤取締法違反」になった。
 変わる前の、心に残る「覚せい剤取締法違反」の裁判を1件、伝説のメルマガからお届けしたい、若干の加除訂正等をして。いつものように、メモしきれなかったところは「…」でつなぐ。

 

 東京地裁刑事第3部、岡部豪裁判官、1430~1530、727号法廷(20席)。

 被告人は身柄(拘置所)。42歳、坊主頭、黒Tシャツにボーダー柄の、パジャマのようなズボン。
 開廷前、刑務官2人に挟まれて座る被告人が、手錠をかけられたまま、手の指をパキポキッと器用に鳴らし、思いっきり、のけぞった。チョー悪そ~!

 渋谷区内において、職務質問による任意の所持品検査により、アルミ箔に包まれた覚せい剤約0.064gの所持が発覚。尿を任意提出。使用も発覚。翌々日、家宅捜索。自宅に0.618g所持。

 2年前に東京地裁で、覚せい剤により懲役1年6月、執行猶予3年を宣告されている。今回、実刑(&前刑の執行猶予取消し)はもう確実だ。

 弁護人は、ちょっと見かけない年配男性。老人というほどではなさそうなのに、頭が固そう。
 弁護側の立証は、被告人質問のみ。

 この被告人質問、私は非常に感激した。珍しく、やりとりのほぼ全部を書き出す。長くなるけど、許してねっ。

弁護人 「生まれて1年足らずで、ご両親、離婚…知ったのは?」
被告人 「え~、中学校の2年か3年です」
弁護人 「お父さんは、後添えの方と…あなたは継母(けいぼ)に育ててもらった…」
被告人 「物心ついたときには(継母だった)…」
弁護人 「それまでは本当のお母さんだと?」
被告人 「当然そうです」
弁護人 「(継母だと)知ったきっかけは?」
被告人 「生みの親(実の母親)のお姉さんだか妹だかが、(実の母親が)交通事故で死んだらしくて、お墓参りに来てくれって、初耳で、意味が分からなくて、親に相談したところ、まぁ、じつは、と」

 へぇ~、そんな人生もあるんだ~。ショックだよね~。

弁護人 「それ聞いて、継母との間、おかしくなったとか?」

 弁護人は、犯行の原因はそういう生い立ちにもあるのだと、したいようだった。だが被告人は、きっぱりこう即答した。

被告人 「ないですね」
弁護人 「定時制高校は、働きながら通ったんですか?」
被告人 「仕事は、田舎なんで、そんななくて、半分くらい…」
弁護人 「それでも定時制高校へ通ったのは、どうしてですか?」

 弁護人は、不幸な境遇で全日制へ通えず、しかし頑張った、としたいようだった。だが…。

被告人 「単純に自分が勉強したくなかったんで、でもまぁ、学校くらいは出とけと…」
弁護人 「25歳くらいから、鉄筋工として働いてきたんですね」
被告人 「平成×年まで15年間…」
弁護人 「鉄筋工とはどういう仕事ですか?」
被告人 「棒状の鉄で、柱、壁、床、天井をつくる仕事です」

 なんと明解な説明。いいねっ。

弁護人 「刑務所出ても、仕事を続けられますね?」
被告人 「そうですね、雇ってくれるとこがあれば」
弁護人 「逮捕されたときは、××の××で働いてましたね?」
被告人 「はい」

 え~、それって有名な老舗ソープランドじゃん!

弁護人 「昼の12時から夜は2時、3時まで働いてたんですね?」
被告人 「はい」
弁護人 「そうすると、すぐ帰宅できない。それで(店に)泊まり込んでたんですね?」
被告人 「そうですね」
弁護人 「休みは月に2、3回…きつかったですか」
被告人 「肉体労働には慣れてますんで、時間の拘束は長いですけど、きつい感じは、さほどはなかったですね」
弁護人 「仕事きつくて、薬に手を出したとか…」

 被告人は、きつくないと言ってるのに、仕事のストレスで薬を、という形にしたいんだなぁ。被告人はきっぱり答えた。

被告人 「仕事は関係ないです」
弁護人 「(逮捕の前日に外国人から買った覚せい剤を)何回くらい使用したんですか?」
被告人 「捕まるまでに、ですか? 回数というか、(小分けした包みを)4つ持って捕まった…同じ内容量で、10…12~13回は使ってます」
弁護人 「(残念そうに)は~、そんなに…」
被告人 「(きっぱりと)イッちゃいます」

弁護人 「前日も休みでしたか」
被告人 「連休です」
弁護人 「映画を観に、渋谷へ」
被告人 「はい」
弁護人 「映画館や何かのトイレで、お札を丸めて(あぶりで)吸引…」
被告人 「煙自体は臭いはほとんどないので、バレないはずです」

 被告人は、映画を観に渋谷へ出かけるに当たり、睡眠不足で居眠りしそうだったので、覚醒するために覚せい剤を持って出かけた、というのである。
 そういえば某裁判所内で薬物の売人が商売をやってると聞いたことがある。傍聴席での居眠り防止? まさかね。

弁護人 「あなたは、自分自身で考えたとき、それなりの中毒症状になってるんですか?」
被告人 「でもまぁ、月に2、3回しかない休みのとき以外は、とくにやりたくないとか…禁断症状、出るでもないんで、そんなに中毒でもないのかな、と」
弁護人 「注射での使用は?」
被告人 「ないです」
弁護人 「パイプ吸引の理由は?」
被告人 「注射、嫌いなのと、注射だと効きがいいんで抜けたときちょっとつらいと、そういうのもあって(注射には)手を出さないように」

弁護人 「平成×年に執行猶予判決、そのとき覚せい剤についてどう思ってた?」
被告人 「単純に、そのときはヤメようと思ってました」
弁護人 「一定期間、服役することになりますが、どういうように考えてるのか、きちっと、この場で言ってもらえますか」
被告人 「そうですねぇ、前回もヤメようと思ってたんですが…年齢的に、次もその次もでは、やり直しきく歳じゃないんで、自分の中では、きっぱり手を切ろうと」
弁護人 「覚せい剤…常習…大きな犯罪…たいへん危険なものだと…」
被告人 「はい」
弁護人 「絶対これ最後に、手を出さないですね?」
被告人 「(きっぱりと)大丈夫です」

 弁護人からの質問は15分間だった。
 15時07分、次は検察官から。検察官は、黒いパンツスーツの、素敵なお姉さんだ。これが良かったス。

検察官 「35歳頃から覚せい剤を…どうして?」
被告人 「20歳くらいのとき、大麻で捕まって、そのとき留置された人(同房者)が覚せい剤で、そういうこと、話聞いて、それで、街へ行ったとき(売人から)声かけられて、モノは何だ、覚せい剤だ、じゃ、やってみようか、と」

 やっぱり、留置場や刑務所は、犯罪の種を植える場所なんだねぇ。

検察官 「そういうこと、聞いた、とは?」
被告人 「やったときの感じ…しゃきっとして、寝ないで仕事できると、その人も職人さんで…(街で)声かけられて、大麻はどういうものか分かってたんで、大麻はヤメてた。覚せい剤か、そっちもいいかな、と」
検察官 「今回も外国人から声をかけられて…かけられやすいとこ、あるんですか?」
被告人 「(声を出して笑い)なぁ~いです!」
検察官 「なんで断らなかったんですか」
被告人 「ま~、意志が弱かったんでしょ」
検察官 「いっしょに使う仲間は?」
被告人 「いません。前回はいっしょにパクられた…」

検察官 「いつもどこで使用してました?」
被告人 「自宅です」
検察官 「公共の場所で使ったことは?」
被告人 「あります」
検察官 「勤務先のお店(ソープランド)の中では?」
被告人 「わ~、ないです」

検察官 「小分けされた覚せい剤(が、たくさん自宅から発見されているが)、あらかじめこんなに小分けしとく必要あるんですか」
被告人 「ないですけど、なんか、やり始めると止まらなくなって、テレビ見ながらやっちゃうとか」

検察官 「(売人から)1回買うと、注射器がついてくるんですか」
被告人 「4本」
検察官 「4本もオマケについてくるんですね。それを2本ずつ封筒に入れて…これ、なんで?」

 そういう封筒も、被告人宅からたくさん発見されているんだそうだ。

被告人 「2本にして、絞ってポケットに入れて、仕事の帰りにコンビニのゴミ箱へ捨てようと思って」
検察官 「しかし捨てなかったのは?」
被告人 「家に帰れなくて、パクられたからです。普段(家に)帰ったら、掃除なんかしないですから、休みが連休でとれたのは久しぶりだったんで」
検察官 「1本だけの袋もあるし、8本のもあるし」
被告人 「それは、ばーっと入れたやつ。(覚せい剤を)やってキマってるときは、けっこう考えずにいろいろやってるんで」

検察官 「空のビニール袋は?」
被告人 「中身、こびりついてますんで。売人の電話番号とか聞いてなかったもんですから、ちょっと1回やりたいなって、なったとき、連絡がつかないと、けっこうガクッとくるんで」

 要するに、こびりついたものがもったいないという趣旨かと聞こえた。

検察官 「けっこう中毒になっていたと?」
被告人 「あればあるだけやっちゃいますけど、なきゃないで…」

検察官 「執行猶予中に、どうして(また覚せい剤に)手を出したんですか」
被告人 「前回は仲間がいて、仲間がドジってパクられたとこあったんで、自分が気をつけてれば捕まらないと…」

 なるほどね~。しかし、職務質問を受け、任意の所持品検査でパクられた…。いったん狙いをつけたら絶対逃がさない、プロフェッショナルな職質だったのか。


検察官 「覚せい剤で眠気を覚ましてまで、観たい映画があったんですか?」
被告人 「ありましたね。×日(逮捕の翌々日)までの映画で、そのあと、いつ休みか分かんないし、前日は買い物で忙しいし、連休の2日目に映画、観に行こうと」

 残念ながら、映画のタイトルまでは明かされなかった。

検察官 「覚せい剤、ヤメられますか?」

 ヤメると答えれば、前回もヤメると約束したではないか、と検察官は突っ込むはず。

被告人 「前回ヤメると言って、今回このザマですんで」

 次は裁判官から。
 この岡部豪裁判官は、眉毛に特徴があって、まだ数回しか私は傍聴してないけど、へ~んな人だ。←今井に言われたかねぇよっ!

裁判官 「ご両親は?」
被告人 「はい、おります」
裁判官 「連絡は取ってるんですか」
被告人 「月に1、2度は」
裁判官 「今回のこと、ご両親は知ってるんですか」
被告人 「知ってます」
裁判官 「情状証人として来てもらうことは、考えなかったんですか」
被告人 「手紙、1通出して、報せただけなんで」
裁判官 「なぜ?」
被告人 「ま、自分のやったことで、いちいち来てもらうのも悪いかなと。自分独りのことですんで、親兄弟引っ張り出すのも悪いかなと」

裁判官 「捕まるまでは、覚せい剤と映画以外、楽しみはないと?」
被告人 「同僚と酒飲んでるのも楽しいし、ま、いろいろと」
裁判官 「じゃどうして…」
被告人 「少ない休みの日に、仕事の人間、からまないところで、好きなこと、思いっきりやりたい、というのがあったんだと思います」

 うーん、なるほどねぇ。私はウンウン肯いた。
 私は、傍聴席の最前列中央付近、裁判官から見れば被告人のすぐ後ろにいる。私がウンウン肯いているのは、裁判官にも当然見えるだろう。

 もちろん、法廷に真実がぜんぶ出てくるわけじゃない。
 被告人は、覚せい剤をやってデリヘルとか呼び、自宅で大いに楽しんでいたかもしれない。小分けにした覚せい剤や注射器を、何か対価を得て譲り渡していた、かもしれない。

 そういう可能性はあるけれども、傍聴席から見ている限り、説得力のあることをずばずば言う、好感の持てる被告人だった。

裁判官 「なにか、あなたを見てると、ちょっと突っ張っているところが…」
被告人 「誰に対して、ですか」

 いいねえ、その返し。「司法の威厳に対して」とは裁判官は言わず…。

裁判官 「周囲の人に対して」
被告人 「仕事場の人間に対してですか」
裁判官 「家族、呼ばないっての…」
被告人 「関係ないですから」
裁判官 「関係ないの」
被告人 「どうしてあるんですか」

 おお~!

裁判官 「そういうふうに思ってるから、あなた犯罪をくり返す…」
被告人 「そうかもしれないですね」
裁判官 「自分がどうなっても家族に影響ないと?」
被告人 「あると思いますけど、呼ぶのは悪いかなと」
裁判官 「こうなったこと、家族に対し申し訳ないと思いませんか」
被告人 「思ってます」
裁判官 「それを直接、伝えようとは?」
被告人 「思ってます、出所してから伝えようと」

 被告人質問が終わると、被告人は被告人席に戻り、すんごくのけぞった。

 15時23分、論告。求刑は懲役2年
 15時25分、最終弁論(弁護人による最終意見)。

弁護人 「25歳から前回の逮捕まで15年間、被告人は鉄筋工としてマジメに働いてきました。前回逮捕されたことと、建築業界の不況で…×年×月、風俗店従業員となり…客観的判断として勤務が重労働だったと…」

 ここで、検察官が苦笑して異議を述べた。

検察官 「この点、被告人は否定してますが」
弁護人 「だから弁護人の意見です」
検察官 「それ、本人が違うと」
弁護人 「だけども弁護人としてのひとつの評価と…」
裁判官 「ま、そういうことで(笑)」

 弁護人は、昔ながらのテンプレートで弁論をまとめようとし、どんな弁論だろうが判決にそう影響しないのに、マジメなお姉さん検察官は引っかかった…そういう“図”が見えて、私は可笑しくて可笑しくて。

 そして被告人の最終陳述。被告人質問のときとは違う、なーんか妙な節回しをつけ、軽やかにきっぱりと述べた。

被告人 「はいっ、これを機にきっぱり断ち切るようにしたいと思いますので、よろしくお願いしますっ、以上ですっ!」

 7月5日(月)、判決も傍聴した。懲役1年6月、未決10日算入。
 前刑(懲役1年6月)の執行猶予(3年)が満了するまで、あと約1年。控訴、上告で満了を迎えるのは、困難だろう…。

2025年8月22日 (金)

受領証を全部手書きって!

 当ブログ、容量オーバーが判明。画像をざくざく削除中。量が多く私はこう見えて忙しく、何カ月もかかっている。

 下書きの状態になっているのも削除しなければ、と思って今回のこれに気付いた。
 これ、どうやら、2023年6月9日に、公開を選択せず、下書きを選択して、保存のボタンをクリック、そのままになっちゃったと思われる。

 もったいないので、ここに公開します~。

 

  ⚡  ⚡  ⚡

 6月7日(水)、頑張ってさいたま地裁へ行った。
 行ってよかった、すっげえのを傍聴しましたぞ!

 「建造物不退去」。被告人(50代男性)は、埼玉県の宮代町役場へ、情報公開のことで行き、トラブルになり、役場側が退去命令を発し…という事件だ。

 

 都道府県警察が情報公開条例の実施機関に、つまり条例の対象になり始めたのが2000年、警察庁(全国警察の総元締め)が情報公開法の対象になったのが2001年だったか。
 そこから私は、もうね、手数料と郵送料、手間と時間をね、どんだけ注ぎ込んできたか。

 そんな私の経験をまず語らせてもらえば…。
 開示請求書に、どんな文書を開示してほしいのか書き、手交(しゅこう)、郵送、FAX、電子申請で出す。
 すると、手交の場合でいえば、開示請求書を職員がコピーし、日付入りの受領印を押して、いわば受領証を渡してくれる。
 それがどこでも普通の手続きであって、コピー代を求められたりしない。

 

 ところが、である。本件被告人は宮代町役場から、受領証に10円を請求されたという。はあ?
 被告人は、おかしいじゃないかと突っ込んだ。そしたら、宮代町役場はどうしたと思う?
 全国の情報公開担当の方、当ててみてください。いや誰も当てられないっしょ。

 

 ぬわんと、宮代町役場は、というか特定の個性的な職員が、ではないかと私は思うんだけど、ぬわんと、開示請求の文書名等々、A4の紙にぜんぶ手書きして渡したんだという。
 請求がたとえば10件なら、10件ぜんぶ手書きするんだという。

 ぶっ飛んでるう!!!
 マンガ(コミック)なら、びよーんと飛び上がって頭が天井にめり込むところだ(笑)。

 

 そんな宮代町役場と被告人(開示請求人)とのトラブルが、刑事裁判の法廷へ出てきたのである。
 立会検察官(スリムな中堅男性)が、なんだか不愉快そうな不機嫌そうな感じなのが印象的だった。

 裁判官は片多康さん。あの高知白バイ事件に氏名が出てくる…。
 次々回、問題の担当職員の尋問がおこなわれそう。大変だ!

 

 それから私は、昼食抜きで急ぎ東京地裁へ。
 再度の執行猶予、あるいは罰金判決もあり得る事件、とは弁護人はぜんぜん考えてない! という事件の判決が13時20分にあり…。

2025年8月17日 (日)

誰にも言わないでね、もうやだ、学校行けないと8歳女児

 久しぶりに、最近傍聴したのをちらっと。

 

 東京地裁の傍聴席20席の法廷で「傷害」の新件。

 被告人は身柄(拘置所)。44歳。同種3犯を含む前科5犯。本件と累犯(刑期の満了日から本件犯行まで5年以内)の関係にあるのは2犯。

 終電で赤羽へ行き、友人とスナックで飲酒、明け方、居酒屋へ。
 背後のテーブルの1人客がテーブルにジョッキを置く音が、うるさい自分たちへの当てつけかと因縁を付けたところ、無視され、その客の頭をアイスペールで殴りつけ、髪を掴んで顔面を何度も殴り、加療約1カ月間の鼻骨骨折、頭部挫創等の傷害を負わせた…。

 客は頭部も服も血まみれ。店員の1人ががタブレットで一部始終を撮影していたという。
 世の中には、何千人かに1人、こういう男が混じっているのだ…。

 

 同じく20席の法廷で「麻薬及び向精神薬取締法違反」の新件。

 被告人氏名でスマホ検索、飲食店を手広く経営している人物がヒットした。ずばりその人物だった。
 被告人は非身柄、45歳、開廷前までの約10分間、弁護人の隣に座り、ずっとスマホをいじっていた。

 2年ほど前、路上でスマホ(アイホン)を落とした(遺失した)。
 拾った人が警察署に届け出た。なんと、スマホカバーの間に、ビニ袋入りのMDMAが隠匿されていた。

 警察は被告人を取り調べなかったようだ。否認されたら立件は難しいと考えたのか。
 被告人のほうでは、大丈夫とホッとして、また薬物を使い始めた。

 そうして今回、コカインとMDMAとLSDで逮捕され…。

 

 やはり20席の法廷で「不同意わいせつ」の審理。

 スマホ検索で逮捕報道がヒットした。被告人は85歳男性!
 それで頑張って約30分前に行った。法廷前は無人~。
 約23分前から行列ができ始め、約15分前には傍聴席数を超えた。

 被告人は身柄(拘置所)。痩せて禿げた、いかにも高齢者だ。書記官が補聴器を付けさせた。

 本日は、検察書証に対する弁護人(私の目には男装の令嬢風)の意見から。
 同意、不同意を確認し、検察官(メタルフレームの眼鏡の知的な感じの男性)が同意書証の要旨を告知。

 甲2号証は、被害女児Aに対する司法面接の反訳、被害状況。

甲2号 「おじさんから、くちとくちでキスされ、怖くなって、走って逃げた…」

 甲3号証は被害女児の年齢。「8歳」だという。
 甲4号証は、その母親の調書。

甲4号 「いつも元気な娘…このときは静か…泣きながら手を洗って…何があったの? …誰にも言わないでね…もうやだ、学校行けない…」

 

 そのへんで私は出た。
 出て非常階段を駆け上がり、東京地裁の52席の法廷、「窃盗」の新件へ!

 しまった、とっくに行列ができており、私は23番だった。
 23番なら楽勝じゃんと、あなたは思うかもしれない。だが、私はノートを広げてがっつりメモる、被告人等の様子を見ながらメモりまくる、それをやりやすい席は限られるのだ。

 

 別の法廷での裁判が長引いたとかで裁判官が15分も遅刻した。

 被告人は非身柄。51歳。職業を「はい、無職になります」と答えた。
 「「申し訳ありませんでした」火災現場から現金盗んだ警視庁捜査1課元警部・政野亮二被告(51)初公判で起訴内容認める 都内3か所の現場から現金あわせて約640万円盗んだ罪」とTBS NEWS DIG。この事件である。

 犯行を目撃した消防官が、警視庁の通報窓口に通報したのだそうだ。

 横浜地裁で傍聴した巡査長の事件と、似たものを私は感じた。
 すなわち、「魔がさした(tempted by devil)」である。ついやってしまい、激しく後悔するのだけれども、次々やってしまう…。

 

 ま、そんなところで。
 8月は、なるべく、できる限り、強い心で、裁判所へ近寄らないようにしたい。原稿を書かねば!

2025年8月12日 (火)

夏休みの東京地裁、被告人の身内が傍聴できないのはあるある!

 1週間ぶりにまた東京地裁(東京高地簡裁合同庁舎)へ行った。

 

 夏期休廷期間の部が多く、開廷数がほぼ半分になるところへ、夏休みの生徒さん等々が押し寄せる。も、たぁいへん!
 できれば行きたくない、のだけれども、しかし今日は、11時と16時にどうしても傍聴したい事件があり、行ったわけ。

 

 例によって、20席の法廷前に行列がどんどん延び、あと数分で20人を超えそう…。
 そばの待合室にいる3人は、キャスターバッグを持っているのが、13時25分からの「覚醒剤取締法違反」の判決の被告人で、あと2人はお身内っぽい。

 どうしよう、行列先頭の私は、しばし悩んだ末、行列が10数人になったところで声をかけた。
 弁護人が特別傍聴席をとってますか? ないなら、並ばないと傍聴できなくなりますよ、と。 ※立ち見は不可。

 そのあといろいろあったけれども、なんとか2人は傍聴席に座れた。
 保釈を取り消されて収監される被告人と、別れを惜しむことができたようだ。よかった。

 

 それとはまた別に、若い娘さんから親しげに声をかけられたり、ほんと今日はいろいろあったス。

 東京地裁へ行くなら、「夏休みに行きたい人気スポット!? 東京地裁の傍聴席争奪戦に勝つための「10の極意」」、これを読んでおくべきと、私は言いたいです。

2025年7月31日 (木)

誰も知らない、夏休み、傍聴席争奪戦

 7月22日(火)から、東京都千代田区霞が関の東京高地簡裁(以下東京地裁)は、恐怖の夏休みに突入した!

 

 夏休み(夏期休廷の期間)は開廷がガクッと減る。
 私の手帳に傍聴予定がほとんどない。あっても、なるべく行きたくない。恐怖の夏休みだから。

 

 7月30日(水)、東京地裁へ私は出かけた。
 11時30分から気になる判決がある。どうしても傍聴したいわけじゃない。パスしよう。いや、でも、もう2週間も休んでるから、と出かけたわけ。

 

 10時59分に法廷へ。20席の傍聴席の、すでに18席が埋まっていた! 壁の開廷表には…。

 1100~1110 「法人税法違反、地方法人税法違反、消費税法違反、地方税法違反」、判決。
 1110~1120 「覚醒剤取締法違反」、判決。
 1120~1130 「常習累犯窃盗」、判決。
 1130~1140 「性的姿態等撮影」、判決。

 

 脱税事件の判決(被告会社は罰金2500万円、被告人は懲役1年2月、執行猶予3年)は、傍聴席に関係者がいたようで、終わると数人が出た。
 そのため覚醒剤の判決(同種を含む服役前科4犯。懲役2年、未決10日算入)が始まるとき空席が少しあった以外、ずっと満席!

 

 常累盗の判決(累犯2犯を含む服役前科3犯。懲役2年2月、未決20日算入)が11時23分に終わり、私は席と出入口ドアとの中間に立った。裁判官が言った。

裁判官 「申し訳ないんですけど、次の法廷の準備がありますので…」

 聞き終える前に私は、席の鞄を引っつかみ、即出てドアそば1番に立った!

 映画でいえば観客の入替え、あれをやることがたまにある。せっかく早々と席をとっていても、入替えでもたつくと、傍聴できなくなる可能性あり、そいつに我々マニアはおびえるのだっ。 ←我々って誰だよ(笑)

 

 私の後ろに、みるみる行列がのびた。

 引率らしき若い弁護士(男女)と、中学生ぐらいの女子5人、合計7人が、行列に加わらず、法廷前にばらばらと立った。
 裁判官と取り決めがあり、優先的に傍聴できることになってるんだろうか。それとも、傍聴するつもりはなく、ここで仲間とか待ってるんだろうか。

 間もなくドアの施錠が解かれ、傍聴人たちが雪崩れ込んだ。
 4席に特別傍聴席の札があった。被告人2人の関係者席を4つを取る(札を置く)、それが「準備」だったんだね。

 残り16席。行列は20人ほどになっている。そこへ、行列に加わらなかった7人も座ろうとした。

傍聴人 「ここはさっきこの人が座ってたから!」

 という声(弁護士2人ではない)が聞こえた。さっきの席など関係ないのに。
 誰がどう我慢したのか、特にトラブルはなかったようだ。が、しかし、我慢のきかない者もいるだろう。
 「恐怖の夏休み、血みどろ傍聴席争奪戦争に気をつけろーっ」なのである。

 引率らしき弁護士2人は、そういう事情を知らなかったのだろう、知ってるほうがおかしい。
 だ、か、ら、私のようなマニアによる傍聴案内は極めて貴重なのだと思う。いま、本を書いている。今年中に書き上げたい。

 

 11時30分からの盗撮の、第1回公判を私は傍聴している。2人で組んでの悪質な盗撮だ。
 同種で懲役1年、執行猶予3年、付保護観察、の判決を受けている被告人は、今回は懲役1年2月、未決50日算入(求刑1年6月)。
 同種で罰金前科のみ、のほうの被告人は、今回は懲役1年、執行猶予3年(求刑1年)。

 

 この法廷は続けて11時40分から「麻薬及び向精神薬取締法違反」の審理(だっけ?)があるのに、ほとんど残らなかった。
 みんなどこへ行ったんだろ。早々と昼食?
 あとで分かった。別の法廷で11時45分から「不同意性交等」の判決があるのだった。なるほど~。

 
 麻薬(たぶん大麻リキッド)の被告人は、透き通るような白い肌の若い女性だった。
 6年前に大麻で執行猶予判決を受けている。そのときいっしょに捕まった男と、切れずにまたやったのだった。
 求刑は懲役2年「の実刑」&麻薬を没収。

 

 ほかに何を傍聴したか、長くなる、ページを改めよう。

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