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カテゴリー「交通事故」の196件の記事

2019年7月23日 (火)

池袋暴走事故の元官僚を重く処罰する方法

 申し訳ない、忙しいのでごく簡単に。
 「【報ステ】池袋暴走から3カ月 遺族が厳罰求める」とテレビ朝日。

1907212-2_20190722235401  私は高齢者の踏み間違い死亡事故の裁判を傍聴したことがある。スーパーの駐車場から出る際、ブレーキとアクセルを踏み間違えて直進暴走、対向車線側の歩道へ突っ込み、というとんでもない死亡事故だった。判決は禁錮3年、執行猶予5年。
 踏み間違え事故はほかにもいろいろ傍聴したが、すべて執行猶予判決だった。
 どんなに大切な命が無残に失われても、裁判的には善良な市民による過失の事故。執行猶予が当たり前なのだ。被害が負傷も死亡も含めての不起訴率は9割の手前だっけ、9割を超えてたっけ。

 しかし今回の「旧通産省・工業技術院の飯塚幸三元院長(88)」の事件を重く処罰する手はあると思う。
 検察官が裁判でこう主張すればいいのだ。

検察官 「ブレーキとアクセルという真反対の働きをするペダルを、目視することなく高齢者が毎回必ず的確に操作することは論理則、経験則等に照らして困難というべきである。かつ、高齢になるほど踏み間違いに気づくのが遅れ、足を動かしてブレーキを踏む操作が遅れることは当然である。アクセルを踏みっぱなしとなり重大事故を惹起する危険性は当然にあるというべきである。ゆえに、踏み違えた場合にアクセルをキャンセルする等、重大事故を未然に回避するための装置が市販されている。ところが被告人は、そうした装置を装着することなく漫然と本件自動車を運転したのであり、その責任は極めて重大といわなければならない。本件は未必的故意による殺人にも匹敵するというべきであり、一般予防(※見せしめ)の見地からも厳罰に処する必要があります!」

 私が弁護人ならこう弁護する。

弁護人 「ブレーキとアクセルという真反対の働きをするペダルを足下の暗がりに配置し、目視することなく絶対的確に操作させる、そういう車両は本邦では当たり前に販売されているのであります。被告人は、高齢ゆえに危険だとメーカー、販売店から指導されたことはありません。踏み間違え防止装置については、本件ののちに報道でちらっと見たのみです。我々の社会は本件のような重大事故を容認していたということができます。容認されて日々起こり続ける同種事故の、本件はたまたま1つに過ぎないのです。被告人が元高級官僚であるからと憎悪を集中して満足するのは、社会正義に反すると思料します」

 さぁ、裁判官はどうするのか。
 現実には、前例踏襲で執行猶予とするか、世論の盛り上がりに配慮してとりあえず軽めの実刑にするか、どっちにしても、同種事故はこれからも起こり続けるだろう。

 私はこの裁判を是非とも傍聴したい。検察官、裁判官が何を主張するのか聞きたい。しかし! 大報道された事件ゆえ傍聴券抽選となる可能性がある。傍聴券の事件となれば「おっ、何だなんだ!」と人が集まる。傍聴席52席の法廷を使うとしても抽選の倍率は高いはず。しかも、記者クラブが52席のうち15席ほど取るだろう。倍率はさらに高くなる。
 記者クラブ加盟社は全社どうせ決まり切った短報しかしないのに、なんで15席も埋めるのか、勘弁してよっ、と言いたい。1席を私にくれればすごい記事を出せますよ。なぬ、抜け駆けはできない? しょんなこと言わないでさ~(必死)。

※ 画像は先日農家の直売所で買った野菜。右下はみょうがだ。全品100円ぽっきり。だからなす2袋、プチトマト1袋、きうり1袋(4本)、みょうが1袋、重いキャベツ1個で合計600円。
 最近毎日なす焼きを食べてる。適宜の大きさに切ってごま油とか少し使ってフライパンでじんわり焼くと旨いのだよぅ。「亀甲萬 御用蔵醤油」、これで食べると味に深みが出て絶品。こんな醤油が世の中にあるのか! もう遅いかもしれないがお中元に最適と思う。

 ←7月22日23 時50分現在、週間INが140で3位~!

2019年6月 1日 (土)

池袋暴走事故の元エリート官僚(87歳)は不起訴か!?

 だいぶショッキングなことが報じられた。忙しいのでごく簡単に。
 以下は5月31日付け産経新聞、の一部だ。

池袋暴走事故、元院長の免許取り消し処分を決定 都公安委
 東京・池袋で乗用車が暴走し母子2人が死亡した事故で、東京都公安委員会は31日、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(87)の運転免許を取り消す行政処分を決定した。
 警視庁によると、手続きを経て、免許取り消し処分が執行される見通し。飯塚元院長と代理人は同日、警視庁本部で実施された違反についての聴聞会を欠席したという。

 違反にも事故にも点数が付されている。いわゆる事故点数(交通事故の付加点数)は、本人の責任が重い場合の死亡事故だと20点(リンク先は警視庁)。
 行政処分歴がゼロ回、累積点数がゼロ点でも、15点で免許取消処分の基準に該当する。20点はばりばり該当する。
 取消処分の前には「意見の聴取」がある。本人または代理人が出席しなければ、公安委員会(実質は警察)が決めたとおりの処分量定で処分が執行される。

Img_1425  通常、処分までけっこう何カ月もかかるようだ。半年程度が普通だった頃もある。
 現在の期間を私はよく知らないが、事故から約1カ月半というのは異例の早さかと思われる。

 ところが産経新聞は「意見の聴取」ではなく「聴聞会」と報じている。
 これ何を意味するか!
 「意見の聴取」を行わなくていいケースの1つに「認知症であることが判明したとき」というのがある(道路交通法第103条第1項第1号の2および同第5項)。
 「飯塚幸三元院長(87)」は認知症と判明したのか!?
 その場合に聴聞を行なう根拠法令は何か、今ちょっと調べている暇がない。
 とにかく、認知症と判明したなら、刑事処分は不起訴の可能性がある。「上級国民を認知症で逃がしてやったのか!」と、また祭りになるんじゃないか。
 だからこれ、だいぶショッキングな報道なのだ!

 ……ただ、聴聞ではなく「聴聞会」となっているところが、ちらっと気になる。
 マニアックにいえば、道路交通法でも行政手続法でも「聴聞」に「会」なんて付かない。
 どう申し上げていいのか、たとえば道路交通法など見たこともなく、処分を逃れたいだけの人なんかは「意見の聴取」を頑として「聴聞会」と呼ぶことがあるようだ。
 産経新聞の本件記事を書いた人も、校閲の人も、たまたま偶然そういうところにどっぷり浸かってきた人で、警視庁は「意見の聴取」と正しく記者発表したのに、自らの常識にしたがってあえて「聴聞会」にした…というのは、うーん、交通違反マニアの妄想が過ぎますか?

 ←6月1日0時40分現在、週間INが110で3位~。

2019年5月13日 (月)

右直事故の典型パターン

 滋賀県大津市の琵琶湖畔で保育園児らが死傷させられた、あれも「右直(うちょく)事故」だが、右直事故の典型的パターンは直進自動二輪(原付を含む)と右折四輪との激突でしょ、というのはしかしよく考えてみれば、30~40年前の“バイクブーム”の頃を知る者だけかも。
 いまや四輪対四輪の右直事故のほうが多いのかもしれない。

 メルマガ第2253号で「過失運転致死」の裁判をレポートした。
 昔を知る者からすれば典型的な右直事故だった。右折四輪の運転者は地味な小顔女子。直進自二は25歳の男子。その号の編集後記で以下のようなことを箇条書きの形で書いた。若干加筆等する。

P101086921、交通事故の多くは交差点及びその付近で起こる。人や車両が交差するのだから当たり前だ。
2、右折車は信号の変わり際に右折することが多い。
3、右折車の運転者は、対向直進自二の車体が小さいことから、実際より遠くにいると感じ、かつその速度を見誤りがちだ。
4、直進自二と右折車との右直事故は、自二にとっては典型的な事故パターンである。
5、直進自二は信号の変わり際の交差点へ突っ込むな!
6、法的にどっちが悪くても良くても、死傷するのは自二の側だ!
7、速度が高いほど回避しにくく、かつ死傷の程度は大きくなる!

 そのことを被告人も死亡被害者も教えられていなかったのか。なんてこった、と悔しくてならない。合掌。 ※画像は、だいぶ昔に通りがかりに撮影したもの。右直事故の現場ではなかろうと思う。
 さてメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」は、5月は以下の5号を発行した。

第2253号 典型的な「右直事故」、失われなくていい若い命がまた
 制限速度は40キロ。25歳男子のオートバイが90キロ前後の速度で、赤信号に変わった直後の交差点へ突っ込み、対向右折車(小顔女子)の乗用車に激突、死亡した。直進優先ゆえに、小顔女子が被告人として法廷へ立たされることに。同種の事故が起こり続け人が死傷し続ける理由がはっきり見えて…。

第2252号 センシス社の新型オービス、意外なことがいっぱい分かった!
 従来の国産オービスはガラパゴス! そう痛感させるSensys Gatso Groupの新型オービスの、測定値を否認して争う事件。今日は埼玉県警の担当警察官を証人尋問。マニアックに長々レポートしたくなるのを我慢して(笑)、新たに判明したことを9項目、箇条書きにしましたっ。

第2251号 手話で脅迫、ろうあ者を集めて貧困ビジネス?
 裁判官は冒頭、傍聴席に向かって手話の私語を禁じた。そうして手話とハングル文字とダブルの通訳で「強要」の審理が始まった。ろうあ者たちの暴力団、これもろうあ者の社会進出と厚労省は胸を張るのだろうか。

 以下の2号は5月7日にお知らせした。

第2250号 まだ22歳の可愛い女性被告人、いったいどんな人生を!?
第2249号 どこまで無茶苦茶な若者、しかし今は週5日仕事なのだという

 いま購読登録すると以上5号がどどっと送信される。そして5月末まであと8号が順次送信される。
 初月は無料。5月を過ぎてから、たとえば第2252号をどうしても読みたい場合、5月分の13号全部を108円で購入することになる。言ってること分かんないですか? 私も下手な説明だと思います~。

 ←5月13日20時30分現在、週間INが160でなんと1位。ありがとうございます~!

2019年5月 9日 (木)

同じ涙が流され続ける理由

 以下は5月9日付け京都新聞の一部。

大津園児死亡事故、衝突車両に大きな速度超過なく 縁石やガードレールない所で列に突っ込む、大津署見立て
 滋賀県警大津署は8日午後、園児の列に車が突っ込み、2歳の子ども2人の命が奪われた大津市の事故現場を検証した。散歩中に信号待ちをしていた園児たちや、列に突っ込むまでの2台の車の動きなど、痛ましい事故の当時の状況が明らかになってきた。

19050810  どう申し上げていいのか、こういう死傷がどこかで必ず起こることを前提に日本は成り立っているというか、こういう事故が起これば死傷者が多数出かねない形で社会をつくっているというか。
 そのことを私はもう長くあちこちで書き続けてきた。

 たとえば2017年11月に私はジャーナリストの桐島舜さんといっしょにスエーデン大使館へ行き、新型オービスのメーカー、Sensys Gatso Groupの方々から話を聞いた。翌年1月発売だっけ『ラジオライフ』に記事を書いた。
 以下はその記事の一部だ。

 交通安全思想の話へ移ろう。ユーロ圏では「ビジョンゼロ」という考え方が主流なのだという。
「交通事故の死傷は、従来は道路交通の利便性とのバランスで考えられていました。しかし、バランスを取るのではなく命と健康を最優先するのがビジョンゼロです。運転者に責任を負わせるのではなく、交通システムを提供している側が責任を負う。左右を見ない運転者やスピードを出す運転者はいます。人間は完璧ではないことを前提にシステムをつくるのです
 うわぉ! 私が知る日本は完全に逆方向だ。日本は、国が定めた規則を破るから事故が起こる、ゆえに事故を減らすには取り締まりを強化すべし、事故が起これば違反者を重く処罰して満足する、そういう考え方のもとにあるように見える。

P1010118  交通事故の半分以上は交差点またはその付近で起こる。進路が「交差」する場所ゆえ当たり前だ。衝突して、あるいは衝突を避けようとして進路をそれることは当然にあり得る。それた車両(2トン近い“鉄の塊”)が人に襲いかかったら大変だ、そういう発想が、ないとまではいわないが、一般的とは到底いえない状況に日本はある。

 大津市の今回の事故で、過失が大きいとされた側は「過失運転致死傷」で起訴(公判請求)されるのだろう。禁錮3年、執行猶予5年、または禁錮2年4月くらいの実刑になるかもしれない。
 そうして同じような死傷事故が今後も普通に起こり続け、同じ涙が流され続けるだろう。それが悔しいと地団駄を踏む私は、残念ながら少数派だ。

P1010120  上の昼間の画像は、昨日横浜で撮影したんだっけ。交差点で事故って進路をそれた車両が歩行者へ襲いかかるのを防ぐ、ためだけに設けられたのか知らないが、ボラードだ。
 下の2つの夜の画像は、だいぶ前にある事故現場を通りかかって撮影したもの。その交差点は事故が多く、角っこの商店に車両が突っ込むことが度々あり、ボラードが設けられたのだという。
 その日の事故では、地中のコンクリート部分を破壊してボラードを傾けた車両がボラードを乗り越え、歩道で信号待ちしていた自転車(母親と幼児2人が乗車)に突っ込んだ。車両の速度がだいぶ減じられたおかげか、母子は負傷ですんだとあとで聞いた。もしボラードがなければどうなっていたか、想像するのも怖ろしい。

 

 ←5月9日17時10分現在、週間INが60で3位~。

2018年12月17日 (月)

東名あおり危険運転、控訴審はどうなる

 そもそも「国民の常識」とやらを裁判官も存分に持っている。すなわち、警察が逮捕したら犯人で間違いし、マスコミがこぞって犯人視して世間が盛り上がった事件がまさか冤罪とは考えない、という常識だ。
 たとえ再審無罪になっても「ほんとはやってんじゃねーの?」との憶測を捨てきれない、それが世間の常識ってやつだろうと思う。

05081553_2 そんななかで、東名あおり危険運転である。
 国民が世間がこれだけ盛り上がる事件は滅多にない。司法の威信のためにも危険運転を適用せざるをない。結論を正当化するレトリックを立てる、それが裁判官の重要な仕事のひとつだし。

 ただ、何度も言うけど法律上は現場へ突っ込んだトラックの運転手の責任がいちばん重いのだ。
 なので私は、危険運転を適用しても、求刑23年のところ判決は懲役2年程度、世間の盛り上がりに目一杯押されてもせいぜい3年じゃないかと考えていた。

 念のため言っておくけど、これは「裁判的には」という話だ。本件被告人の罪が軽いとは毛ほども思っていない。被告人が懲役何十年に処されようと被害者の命は戻らず、空しいだけかもしれないが、しかし重罰に処されてほしいとは私も思う。

 14日の判決は懲役18年(未決算入は不明)。控訴はあるのか。

 控訴は被告人も弁護人も、そして日本では検察官もできる。
 検察官は、23年を求刑したのに18年は軽いからと控訴することは、ないはずだ。危険運転の認定と18年を勝ち取ったんだもの。

 被告人は控訴するか。
 自分がやったことの重さを反省悔悟し、控訴せず粛々と刑務所へおちる…。しかし私が8千件ほど傍聴してきたところによれば、そうじゃない被告人がよくいる。
 被告人が控訴したため、被害者・遺族の怒りが強まる、そんな控訴審をよく傍聴してきた。

 控訴は、被告人もできるし弁護人もできる。
 被告人は控訴しないのに弁護人がすることもある。被告人が控訴の取下げを求めることもある。
 本件は、被告人の意思にかからわず弁護人が控訴し、被告人は取下げを求めないんじゃないか。なんにしても、このまま確定に至るとはちょっと考えにくい。

 控訴審はどうなるのか。
 そこはほんと分からない。定年(65歳)間近の裁判官に当たるかどうかにもよるだろう。

1、危険運転についての、反対論も強くある解釈適用を定着させる。
2、原判決破棄、軽い量刑として、危険運転についての新たな法条をつくる。
3、本件は特例的にそのままとし(懲役18年を維持し)、新たな法条をつくる。

 司法の威信的には、3が落ち着きがいいのかなと思う。

 なんにしても! 控訴審は被告人の出頭を要しない。被告人は出頭せず、弁護人が法律論を述べる書面を提出したことを口頭で確認しておしまい、となる可能性が高い。
 だから! 傍聴してもたぶんつまらないです。傍聴券抽選になっても、並ばないようにしましょう! でないと私が傍聴できないかもしれないので。 ←それが言いたかったのだね、よしよし(笑)。

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※ 新しいパソコンになり、画像のサイズをこのブログに載せられる大きさに変更できるようになった。そんな当たり前のことが、前のパソコンではできなかったのだ。
 画像は、2005年8月15日に靖国神社でデジカメ撮影したもの。

 ←12月17日23時10分現在、週間INが220で2位~。

2018年12月14日 (金)

東名あおり危険運転、重罰のために安全運転義務を捨てた

 交通ジャーナリストで裁判傍聴師でもある私から少しコメントしとこう。以下は12月14日付けTBSニュースの一部。 

“危険運転”認め懲役18年、両親失った長女「危険運転認定に感謝」
 去年6月に東名高速で起きた夫婦死亡事故の裁判で、横浜地裁は危険運転致死傷罪の成立を認め、石橋和歩被告に対し、懲役18年を言い渡しました。
 石橋和歩被告(26)は去年6月東名高速で萩山嘉久さん夫婦の車を追い越し車線に無理矢理止めさせ、追突事故を招き夫婦を死亡させたとして、危険運転致死傷などの罪に問われています。

 私は、せいぜい懲役3年程度の実刑、の可能性ありと思っていた。なぜなら、何度も言うように、法律上もっとも重い落ち度は現場へ突っ込んだ後続のトラック運転手にあるからだ。
 ところが! 以下は2018年1月6日付け産経新聞。これを私は知らなかった。読者氏から教わった。ありがとうございます!

追突のトラック運転手を不起訴 東名夫婦死亡事故
 神奈川県大井町の東名高速道路で昨年6月、静岡市の夫婦が死亡した事故で、横浜地検は大型トラックで夫婦のワゴン車に追突したとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で書類送検された男性運転手(63)を不起訴処分とした。地検は処分の理由を明らかにしていない。
 この事故では、夫婦のワゴン車の進路をふさぐなど妨害行為を繰り返し、無理やり追い越し車線に停止させて事故を誘発したとして、福岡県中間市の建設作業アルバイト、石橋和歩被告(26)が同法違反の危険運転致死傷罪などで起訴されている。

 もっとも重い落ち度があるはずの者を、検察は不起訴にしたのである。なぜ?
 はは~、追い越し車線に停車していれば後続車が突っ込むのは当たり前=停車させた石橋和歩は極めて悪質! という形をつくりたかったのか! 私は直ちにそう思ったね。 ※念のため付言すると、こういう場合の「処分の理由」とは、起訴猶予とか嫌疑不十分とかそういう数文字だ。

05102111 だがそうなると今後、交通の状況に応じて安全に運転する義務(道交法第70条)は空文、ザル法ってことにならないか。
 というか、「後続車が突っ込むのは当たり前」なら、未必の故意による「殺人」で起訴し、「危険運転致死傷」を予備的訴因とするほうがすっきりストレートなんじゃないか。
 「後続車が突っ込むのは当たり前」という点について検察官は論告で、裁判官は判決で、どう言及したのかしなかったのか、そこが大事なのにっ。

 昼間ちらっとテレビを見たところによれば、求刑23年のところ懲役18年に下げた理由を裁判長は述べなかったそうな。
 量刑の理由に触れないってことはないはず。普通は、悪い情状と良い情状と並べ「以上を総合勘案して主文の刑が相当と判断しました」とか述べるものだが、下げる理由=良い情状に触れなかった、てことなのだろうか。
 私が傍聴していれば、そういったところもしっかり見て、他の多くの事件と比べてレポートできたろう。もちろん未決勾留日数の算入もお伝えできたのに、残念。

 評議において裁判官と裁判員はどんな意見を述べたのか、強硬な厳罰意見が出てモメたりとかあったんじゃないか、モメにモメ、“8掛け原則”に落ち着いたのか、すごく気になる。もし本当に、5年下げた理由を述べなかったなら、評議でかなりモメ、言えなかった、のかもね。
 しかしそこは制度上、永遠の秘密だ。裁判官は何も語らず、裁判員は表面的な当たり障りのないことしか言えない。この秘密は墓場まで持っていかねばならないのだ。

 控訴は、被告人も弁護人もできる。検察官もできる。東京高裁でひっくり返る可能性はありだと思う。
 ま、とりあえずそのへんで。忙しいのだよぅ。

 画像は今回の事件とは関係ありません。

 ←12月14日18時30分現在、週間INが180で3位~。

2018年12月11日 (火)

東名あおり運転、似た事件は懲役1年4月だった

 どうもおかしい、そう感じているのは私だけじゃなかろうと思うのだが。以下は12月10日付けFNNPRIME。

東名あおり運転 「反省していない」懲役23年を求刑
 神奈川県の東名高速であおり運転の末、一家4人が死傷した事故で、危険運転致死傷などの罪に問われている男の裁判で、検察側は、懲役23年を求刑した。
   (中略)
 一方、弁護側は、最終弁論で「あおり運転と死傷との因果関係は認められず、法の解釈は曲げられない」などと、危険運転致死傷罪は適用されないとして、重くて懲役7年が相当と主張した。
   (後略)

 弁護人の主張がそれっぽっちのはずがないと私は思うのだ。

181211 そもそも高速道路の本社線上に、故障か事故か理由を問わず、車両が動けなくなっていることはあり得る。ハシゴとかタイヤとか落下物があることもあり得る。
 そして運転者には安全運転の義務がある。ハンドルやブレーキを適切に操作し、交通の状況に応じて安全に運転しなければならない(道交法第70条)。

 東名高速での本件事故というか事件で、いちばん悪いのは法律上は現場へ突っ込んだ後続車なのだ。後続車の運転者の処罰はどうなったのか。どれくらいの刑に処されたのか、また処されなかったのか。
 本件被告人を、後続の運転者より重い刑に処することは相当とは言い難い。弁護人ならそのへんを主張したはず。「いやいや、後続の運転者に大した責任はない。いちばん悪いのは本件被告人だ」と弁護人自身が密かに思っている場合を除いて。

 また、一連の報道を見ていて私が感じるのは、この石橋和歩被告人は幼少期に虐待を受け、中学生頃からはヤンキー仲間から理不尽に殴られ蹴られてきたのではないかということだ。
 もしそうなら、弁護人はそこも主張したはず。生育歴、生育環境に同情すべき点があった、と。

 しかしそういう話は、私が見た限りでは、一切出ない、どうもおかしい、と思うわけ。
 私自身が傍聴すればいいんだが、傍聴券抽選でかつ横浜地裁としては珍しく“並び屋さん”が大挙動員されているそうで、とても出かける気になれず…。

 ちなみに私は2012年に東京高裁で、よく似た事件を傍聴している。
 東北道で44歳の男が、高速バスの車線変更に腹を立て、高速バスの前に回り込んで走行車線に停車させ、その運転手に対して降りてこいと執拗に食いつき、そこへ後続のトラックが突っ込み、トラックの運転手が死亡、高速バスの乗客多数が負傷したという事件だ。
 原審は宇都宮地裁で、懲役1年4月、未決30日算入。東京高裁の判決は控訴棄却だった。
 控訴審の中で、民事の賠償責任は、死亡したトラック運転手の側が7割、残り3割を高速バスの運転手と男が分け合うが、その割合がまだ決まらないという話が出てきた。メルマガ第1989号でレポートした。

 東北道のその事件と、東名高速の本件と、どこがどう違うか、すると予想される判決は…。ずっと勾留されているから、未決算入が250日か300日かあって…。そうなった場合、これまでタブーだった未決算入をマスコミは初めて報じるかも。

 とにかく、危険運転に新しいカテゴリーが設けられることになるのだろう。死傷事故にまで至らないけれどもチョー悪質な行為はあるわけで、道交法に新しい禁止規定が設けられることも十分に考えられる。

※ 画像は今朝自転車で農家の直売所(庭先販売)を回って買い集めたもの。ブロッコリーのみ2個で100円。ほか各100円。すべて税なしまたは税込み。黄色いのはゆず。こいつを3個、絞り器でぎゅうぎゅう絞ってグラスに入れ、25度の焼酎甲類を200㏄注ぐ、旨いよぅ。
 今朝も寒かった。自転車で頑張って走ると汗が出て、それはいいのだけど、頭が寒いっ。寒いのを通り越して痛くなり、頭蓋内の血管が収縮するのか軽く頭痛が。やばい。なんとかしなければ。

 どれがいいと思う? にっ2番かなぁ。これかぶって裁判所へ行ったら、玄関に入った瞬間ばかうけするだろうなぁ。そんで私は、ウィッグを外してX線手荷物検査のトレイに乗せるのだ。検査機を通過したトレイからウィッグを取り、かぶるのだ、恥ずかしげに顔を赤らめ。おお、その者、青き衣をまといて金色(こんじき)のウィッグをかぶるべし…言い伝えは本当ぢゃった。大婆(おおばば)様! なんの話やねん(笑)。

 ←12月11日13時10分現在、週間INが130で3位~。

2018年12月 3日 (月)

もうひとつの“撃墜あおり運転”

 9月3日(月)10時から横浜地裁で「危険運転致死傷及び暴行(予備的訴因監禁致死傷)、器物損壊、強要未遂」の第1回公判があると、マニア氏から早くに聞いていた。
 昨年、東名高速で悪質あおり運転の末、とんでもない死亡事件を引き起こした、メディア報道によれば動物のような男、を被告人とする事件だ。

18113014 傍聴席98席の法廷を使う可能性ありという。メディアの動員は東京地裁ほどは多くないはず。よし、行こう! 横浜は拙宅からは遠いけど、行って余人にマネのできないディープなレポートをしてやろう!

 ところが、前日にマニア氏からメールあり。いちばん広い法廷を使うものの、傍聴券抽選の当たり券は40枚ぽっちだという。
 記者クラブ等が58席もとるとは考えにくい。死傷被害者の関係者が、被害者参加人として検察官の横に座るほかに、傍聴席にもかなりの方が座るのだな? そうでなければ、裁判所は大きな法廷を使わないはず。

 嗚呼、と息を吐いて私はあきらめた。今月は、秘密の重要事件であちこちの裁判所へ行かねばならぬ。雑誌原稿も単行本原稿もある。3日(月)はあきらめよう。

 ところで、あおり運転は上記事件のようなものばかりじゃない。
 狙った相手に速度を上げさせるためのあおり運転もあるように思われる。いやネットを見ると、そういう者が確かにいるようだ。
 以下は、車雑誌『ドライバー』に以前書いた原稿の一部だ。若干加筆等する。

 午後10時半ころ、首都高速・都心環状線の外回り、新富町付近(制限50㎞/h)のオービスにより97㎞/hと測定・撮影された被告人の主張は、要するにこうだった。

被告人 「友人と、別の友人の幼児を乗せて、いちばん左の車線を走行中、フルスモークのグレーのベンツが右側に並んだ。ベンツの窓ガラスが開き、刺青のある腕が鉄パイプ様の棒を振り回してきた。棒は1度、こちらのガラスにゴンと当たった。私のクルマはランサー・エボリューションだ。私は〝走り屋〟ではないが〝走り屋つぶし〟がいると聞いていたため、パニックにおちいり、とにかく逃げなければとスピードを上げた。そのときオービスに撮影された」

 午後10時半ころ、首都高速7号線下り(制限60㎞/h)をスカイラインで走行中、錦糸町ランプ先のオービスⅢにより131㎞/hと測定された被告人はこうだった。

被告人 「当時の交通の流れにのった程度で走っていたら突然、黒いクルマが前方に割り込んで急ブレーキをかけた。そこで追い抜いたら、その黒いクルマはあおるようにくっついてきた。正直、あそこまで迫られたことは初めてだ。速度を上げて遠ざかるしかなかった。あの道路はほぼ毎日とおっておりオービスがあることは知っていたが、それさえ忘れるほど恐怖を感じた」

 環状7号線(一般道)内回り、高円寺付近(制限40㎞/h)のオービスにより93㎞/hで捕まった被告人はこうだった。

被告人 「新青梅街道のあたりから後ろのトラックがクラクションを鳴らしたり幅寄せしたりしてきた。無視していたが、トラックの窓から木刀か何かがふり回され始め、あんなもので殴られたらたいへんなことになる、これは逃げるしかないと思ってスピードを上げた」

 そうしたことを、どの被告人も法廷で必死に語る。でも、ほんとうかウソかわからない。どっちにしても確かな証拠がない。
 じつはそれは当然というか、そもそもオービスは、犯行に至る状況には関係なく、オービス設置地点にさしかかった瞬間のスピードだけで処罰しようとする機械なのである。そういう機械が全国に600基以上も設置され、日々粛々と取り締まりを行っているのである。

 もちろんパニック状態での大幅なスピード超過は危険だが、酌むべき事情は酌まなければならない。緊急避難とか正当防衛とか難しいことをいう以前に、刑法第66条がこう規定している。

第66条 「犯罪の情状に酌量すベきものがあるときは、その刑を減軽することができる」

 刑法の規定を無視するわけにはいかない。ではどうするか。検察官、裁判官は、こういう形へ持ち込もうとする。

裁判官 「暴走車が存在したという証拠がない。パニックだったという被告人の説明は、細かな点に矛盾を見出すことができる。よって暴走車は存在しなかったのだ。
 仮に暴走車が存在したとしても、地図によれば付近に交番や警察の寮がある。そこへ駆け込めばよかったのだ。停止してやりすごすこともできた。わざわざ追突するクルマなどいるはずがないし、追突すれば追突したほうが処罰されるなりすればいいのだ。相手はヤクザだと思ったと言うが、止まって確認したのか。確認せずにスピードを上げたのは悪い」

 この論法で、どの被告人もあっさり負けていく。相場どおりの罰金刑とされて終わる。

 こうして、いわば警察、検察、裁判所の協力を得て、狙った獲物を“撃墜”して遊ぶ者が、確かにいるようだ。
 しかし裁判所等は、そんなことを国民に伝えたりは絶対にしない。
 そこを伝え、国家の治安ではなく国民の安全を図る、それが裁判傍聴師のひとつの役割だ。 ←おお、風呂敷を広げたな~(笑)。

 冒頭の横浜地裁の事件で私が気になることのひとつは、死傷被害者の車両後部に激突した車両の、その運転手の処罰はどうなったか、である。
 法律上は、そっちの運転者(以下後続車)がいちばん悪い。私が過去に傍聴した事件では、民事の賠償責任は後続車が7割だったそうだ。
 本件では、被告人の罪を軽くするために弁護人が後続車の落ち度に言及するかもしれない。しかし世間は被告人をひたすら悪く言う流れなので(いや私も被告人がいちばん悪いと強く思うが)、メディアは後続車に触れない可能性がある。そのへん、横浜のマニア諸氏にお任せしたい。

※ 画像は、11月29日(木)だっけか「昭和」の帰りに裏路地の質店で買った腕時計。700円ぽっきり、皮革のバンドの色もつやもいい。これはお得だ。
 なぜ右手左手の内側なのか。高校生の頃、ヨーロッパ映画にかぶれた影響だ(笑)。 ※赤色部分、読者氏から指摘され誤記を訂正。ありがとうございます!

 ←12月3日0時50分現在、週間INが140で3位~。 

2018年10月28日 (日)

同じパターンの事故が起こり続けるわけ

 交通事故がなぜ起こり続けるか、典型的に分かる報道だと思う。
 以下は10月25日付け福井新聞。

交通違反者「大丈夫だと思った」 横断歩道事故受け取り締まり強化
 福井県福井市栗森町の県道交差点で10月16日、横断歩道を歩いて渡っていた女子中学生2人が車にはねられた事故などを受け、福井県警は道交法違反(横断歩行者妨害)の取り締まりを強化している。24日には同市若杉4丁目の県道で、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいるにもかかわらず一時停止しなかった運転手11人を摘発した。
 栗森町の事故は、生徒が歩行者用信号が青で渡っていたのに、軽乗用車が横断歩道に進入したとみられる。道交法では、横断しようとする人がいる時は一時停止が義務付けられている。
 24日の取り締まりは登校時間の午前7時半~同8時半、見通しのよい直線道路で行われた。横断歩道の脇に中高生らがいるにもかかわらず一時停止しなかった運転手に、福井南署員が青切符を切った。横断歩行者妨害の違反点数は2点で、反則金は9千円(普通車)。
 署員によると、違反者は「歩行者に気付かなかった」「気付いていたが通過しても大丈夫だと思った」などと話した。同署の西山晋太郎交通課長は「ルールを知りつつ守らない運転手が多い。取り締まりと周知を強化していく」と語った。
 このほか携帯電話使用2件、シートベルト装着義務違反4件を摘発した。県警によると、横断歩道での人身事故は昨年、県内で47件あった。

18102613 青信号の横断歩道を横断中の歩行者(および自転車、以下同)へ、不注意な車が突っ込む、刑事裁判の法廷へ出てくる交通事故のほとんどがそのパターンだ。
 元「モーニング娘。」の吉澤ひとみさんの事故は、まさにそのパターンだった。

 1、横断歩道は聖域と、歩行者は完全にすり込まれている。
 2、人間に不注意はつきもの。不注意な運転者は必ずいる。普段は注意深いのにある一瞬、不注意になってしまうことは必ずある。

18102617 そのふたつが重なって、同じパターンの事故が起こり続けるのである。
 どうすれば防げるか。
 横断歩行者妨害の取締りを強化すべし、というのが上掲記事、福井県警の取締りなわけだ。

 「歩行者に気づかなかった」。これがいちばんヤバイ、と言いたいところだが、どこにいる歩行者に気づかなかったのかによって話が違ってくる。そこは話が長くなるので省く。
 「気付いていたが通過しても大丈夫だと思った」。気づいているのだから上述のパターンから外れる。上述のパターンの事故を防ぐためには役に立たない取締りといえる。

 なんにしても、この取締りおよび報道によって得られる最も大きなものは、横断歩道は聖域とのすり込みの温存か、強化か、どっちかだろう。
 かくして同じパターンの事故がくり返される。

18102622 でも、警察がバカなんじゃないと思う。
 横断歩道での事故を防ぐにはどうしたらいいか、国民アンケートをやれば「厳しく取り締まれ!」が圧倒的1位になるでしょ。

 国民とはなにか。1人ひとりはまともでも、国民の立場を得た途端、無責任な匿名大衆になる、そういう定義の仕方もあり得るんじゃないかと。

 袴田事件北陵クリニック事件について、そんな国民の大多数はこう思ってるでしょ。

国民 「日本の警察、検察は優秀と聞いている。どんどん増える凶悪犯罪者をやっつけるため頑張ってもらわないといけない。そんな警察、検察が冤罪をでっち上げるとか、冤罪と気づいたけど認めず突き進むとか、あり得ない。まして日本は三審制だ。地裁、高裁、最高裁の立派な裁判官たちが冤罪と気づかないはずがない。冤罪なのに、全テレビ、全新聞があそこまで報道する?」

 そのように思うのは良いほうで、以下のように思う人がかなりいるだろう。

国民 「結局ほんとは殺してるのさ。共産党とか左翼が冤罪だぁ冤罪だぁと騒いでるだけなんだってば(笑)」

 そういう国民の常識を、裁判官は国民と同様に、あるいは国民以上に強く持っており、だから袴田巌さんは未だに死刑囚のままであり、守大助さんは無期懲役の牢獄にも今もつながれている、という見方もあるんじゃないかと。
 いやこの話、長くなる。このへんで。まだ旅の疲れが抜けなくて。

 ガッツレンタカーを初めて利用し、1泊4日で金沢と輪島へ行ってきたのだ。 ※1時間前後の仮眠は数回とりました。1回は3時間ほど寝たんだっけ。
 画像は近江町市場。いやはや外国人のカップル、家族、団体さんが多かった。そういう時代なのですね。
 どじょうの蒲焼きが、1本120円でその場で食べられるようになっていた。せっかくだからと私も食べた。私が子どもの頃は1本15円だったと記憶するが、ま、それはしょーがないとして、昔のせいぜい2分の1ほどしか串に刺さってないのだった。これで120円かーい!
 1尾600円のボタンエビか何かを食べ、スマホで撮影している女性グループもいた。立ち食いで1尾600円、私はムリだ~!
 一方、1杯1万円とかのカニを販売するだけの店には、誰も寄りつかない。おじさんがムスッと観光客をながめていた…。

 ←10月28日23時30分現在、週間INが140で1位~。 

2018年10月23日 (火)

酒酔い運転の「大丈夫バイアス」

 以下は10月22日付け朝日新聞、の一部。

4人死亡事故、飲酒運転130キロで追突か 男性聴取へ
 青森県つがる市の国道101号で9月、車4台が絡み4人が死亡した事故で、4台のうち1台の乗用車が飲酒運転の上に時速約130キロで暴走し、他の車に次々にぶつかったとみられることが、捜査関係者への取材でわかった。県警は自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いで、この乗用車を運転していた30代男性から事情を聴く。
        (中略)
 最初に追突した乗用車には30代の男性3人が乗っていた。関係者によると、3人は小中学校の同級生で、前日から運転者の自宅でバーベキューをして飲酒。さらに酒を飲もうと別の場所に移動する際に事故を起こしたという。運転者を含む2人が胸などを骨折する重傷、残りの同乗者1人は軽傷を負った。同乗者は朝日新聞の取材に「酔っていて覚えていない」と話した。

 この種の事件の裁判を私は何件か傍聴している。 
Img_1427 2008年のあの事件については、運転者本人の裁判と、同乗者2人の裁判を傍聴した。世間が思う悪質さとは異次元のレベル。運転者は懲役16年、同乗者は2人とも懲役2年とされたが、そんなことに何の意味があるのか、と思った。

 飲酒運転者への車両提供罪と要求依頼同乗罪を初めて適用された事件も、発生は2008年だった。
 その裁判について当時の『ラジオライフ』でレポートした。若干筆を入れて以下に再掲しよう。

 さらりと長い茶パツの、面長の女性(35歳)が、被告人席にひとりぽつんと座っていた。服装は上から下まで真っ黒。3人が死亡した事件の被告人として、喪に服しているのか。
 けれどよく見れば、襟元が大きく開いた膝丈のワンピースらしき服には、何やら目立つヒラヒラが。その下は、網目模様のストッキング、足首にストラップが付いたヒール。どれも真っ黒ではあるが、それって「シックに決めてパーティへ♪」の格好なのでは?

 この裁判を私は第2回公判から傍聴した。事件名が、1日に何件もある「道路交通法違反」のため、第1回公判をつい見逃してしまったのだ。
 だが、ただの道交法違反ではなかった!

 2007年9月19日、飲酒運転者への罰則が大幅強化。同時に“周辺者”の処罰規定が道路交通法に新設された。
 すなわち、①飲酒運転者への車両提供、②飲酒運転の車への要求・依頼しての同乗、③これから運転をする者への酒類提供、その3つが新たに処罰の対象とされたのである。最高刑は懲役5年。重い。
 今回の「道路交通法違反」は①と②の罪による、全国初の裁判なのだった。

 事件の内容は、すでに大きく報道されていた。東京都江戸川区内のアパートで2008年1月の夜、被告人は隣室の男性N(35歳)方で一緒に飲酒した。
 その後、自分の車をNに運転させ、被告人の子3人とNの子2人を乗せ、定員オーバーの合計7人でファミレスへ行き、さらに飲酒した。
 翌日未明、泥酔して猛スピードで運転したNはカーブを曲がりきれず街路樹に激突。Nと、被告人の長女(15歳)と次男(8歳)の3人が死亡。ほかは重軽傷…。

 ほぼ満席の傍聴人の前で、被告人質問が始まった。

弁護人 「前回(の裁判で)、あなたは『車で行こうよ』とは言ってないと、運転を依頼したこともないということでしたね?」

 N宅で酒を飲んでいるとき、「サイゼ(ファミレスのサイゼリア)へ行こう」という話になり、子どもが「チャリで行こう」と言ったが、被告人は「寒いからヤだよ。行くならタクシーで」と言い、最終的にNが被告人の車(日産グロリア)を運転して行くことになったというのだ。

被告人 「『車で行こうよ』と言葉では言ってないですけど、事実上依頼した事になるって(捜査段階で)言われました」
弁護人 「サイゼリアへ自分も乗って行くつもりだった、そこはお互い了解していたんだろうと?」
被告人 「はい」
弁護人 「そのことをもって依頼した事になるのは、よろしいか?」

  そう、「要求依頼同乗」は黙示の場合でも成立するとされている。
 しかし警察官は、習性とでもいうか、明示の要求依頼をしたと調書に取りたがる。

弁護人 「『車で行こうよ』と言ったと調書に書かれて、それは違うという話はしましたか?」
被告人 「しました」
弁護人 「訂正を求めましたか?」
被告人 「でも、結局はこういうことでしょって言われて…」
弁護人 「調書全体を読み聞かせてもらって、そのとき訂正は?」
被告人 「それまで直してくれなかったから、もう出来上がっちゃったし仕方ないかなって…」
弁護人 「調書には署名しないことができるって知ってましたか」
被告人 「知りませんでした」

 この点について、検察官は苛立った調子でこう責めた。

検察官 「調書に署名・指印するってどういう意味があるか、分かりますか!? それは常識的に知ってる事じゃないんですか。あなた、警察が書いたら何でも署名するんですか!?」

 あ~、またこれだ。調書でのこういうやり取りはしょっちゅうある。
 調書に署名・指印したら、そこに書かれたことが事実と違っていてももうオシマイ、とは一般人は知らないこと、警察は調書の訂正にはなかなか応じないことを、若いエリート検察官は知らないのだ。調書絶対信仰は根深い。

 Nが運転したグロリアは、ずばり被告人の所有とは言えないようだった。

被告人 「最初はNが欲しいって言って買って(カネを払ったのもN)、なかなか名義を変えてくれなくて、車検のとき、じゃ車検代は私が出すからって、私の100%所有になりました」

 しかしNはその後も自由にグロリアを運転し、いつも給油して返していたのだという。
 始まってから45分ほどで被告人質問が終わり、これで証拠調べは終了。
 検察官が論告・求刑を行った。

検察官 「Nは(サイゼリアで)次々と生ビールや焼酎のフルーツ割を飲酒し、血液中のアルコールは2.7ミリグラムもの酒酔い状態だった…」

 ええっ! 呼気1リットル中0.15ミリグラムまたは血液1ミリリットル中0.3ミリグラムのアルコールを保有していれば酒気帯び運転とされる。血液中2.7ミリグラムは基準の9倍だ!
 『図解交通資料集』(立花書房)に「飲酒酩酊度の区分表」がある。血液中2.5~3.5ミリグラムは「第三度(麻酔期・泥酔」とされ、「運動や知覚の中枢のほか、大脳や脊髄の反射機能は完全にマヒし、無意識無感覚の状態となり、水をかけても、針で刺しても全く感じなくなる…」とある。それを超えると「所かまわず倒れ、昏睡状態になり…大小便は垂れ流し…」だそうだ。

 Nの検査値はもう運転など到底できる状態ではなかったのだ。なのに運転し、毎時30キロ制限の道路を毎時80キロ近い速度で飛ばしたのだ、それもグロリアという大きな重い乗用車で。うわぁ! である。

 求刑は懲役3年。続いて弁護人が弁論。

弁護人 「車の名義は被告人だが、共同で支配していたとも言える。単独で所有する者が自由意志で車を提供したのとは大いに違う。被告人は悔やんでも悔やみきれない日々を過ごしている。残された長男に母親の存在は不可欠で、執行猶予の判決を…」

 最後に、被告人が証言台の前に立って最終陳述。

被告人 「私の軽はずみな行動がこんな事件を起こしてしまい、ほんとに申し訳ないと…」

 被告人の後ろ姿は、背が高くて足がすらりときれいだった。
 3週間後、判決が言い渡された。この日は報道のテレビカメラが入った。

裁判官 「主文。被告人を懲役3年に処する。この裁判が確定した日から5年間、その執行を猶予する。その猶予の期間中、被告人を保護観察に付する」

 懲役3年は執行猶予を付けられる上限だ。それを超えると猶予は付けられない。そして猶予期間は1~5年と決まっている。5年は最長。かつ保護観察付き。だからこれは、猶予付きでは一番重い、実刑ギリギリの判決と言える。
 この日の被告人は、膝丈のワンピースの下に、網目模様のレギンスだった。そんな服装に違和感を覚えるのは、私がオヤジだからであり、被告人の反省や悔悟にウソはないのだろう、とは思うのだが。

 あとになれば「悔やんでも悔やみきれない」ことを、つい調子に乗って、あるいは特に考えずやってしまう、それが人間ってものなのだろうと思う。
 どうすればいいのか。他人の事件・事故のニュースを見て、自分の行動を戒める?
 いやそれは期待できない。

検察官 「飲酒運転による悲惨な事故が度々ニュースになっている。あなたは見たことがないのですか」
被告人 「見ました」
検察官 「じゃあなぜ今回の飲酒運転を!」
被告人 「自分は大丈夫と思いました。結局(ニュースは)他人事だったというか…」

 これがまぁお決まりのパターンだ。
 正常性バイアスに似た「大丈夫バイアス」か。

 ←8月23日10時20分現在、週間INが170で1位~。 

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