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カテゴリー「刑事/窃盗」の182件の記事

2026年7月 6日 (月)

青柳勤裁判長の逆転執行猶予に俺は泣いた!

 青柳勤氏が東京高裁で部総括判事をやっていた頃、すっごいのを傍聴した。私はこういうのに痺れるのだ。当時のメルマガ記事を縮めてここに再掲しよう。

 

 ほぼ満席の東京地裁718号法廷(事件は「強姦致傷」だもの)の向かい、東京高裁720号法廷(青柳勤裁判長)で「窃盗」の控訴審判決。こっちはがらっがらだ。

 万引きをくり返して1年ほど前に北関東の某裁判所で懲役10月、執行猶予3年。約半年後の万引きで懲役6月(ろくげつ)の実刑判決を受け、どうか再度の執行猶予を、という事件だ。

 開廷時刻を過ぎても被告人が来ない。来るはずなのに来ないんだという。弁護人が被告人の携帯電話に架電しても出ないという。

 うわぁ、私は心底不安になった。来る途中、電車飛び込んでたりして!? なぜそんな不安にかられたか、2週間前の控訴審第1回にさかのぼる。

 

    ★  ★  ★

 

 その日、母親の証人尋問が行われた。今後、被告人をどう監督していくか弁護人は尋ね…。

証人  「そうですね~、ま、お互い、職を持ってる。この人(被告人)の休みにあわせて(自分も休みを取り)買い物についていく…摂食障害っていう病気、常に安定させないと…なんつーんですか?」
弁護人 「一審、摂食障害…食べ物を盗むの、くり返す…」
証人  「拒食と過食が交互にきてる、拒食になると、ほとんど(食べ物を)口にしない、1kg増えてもパニックになる。起きてるとおなかがすくので安定剤、大量に飲んで2日、3日、寝っぱなしのことも…今はずっといいです」

 弁護人は3分間で質問を終えた。やる気のない、ゆるい質問と私は聞いた。
 巨体の検察官(この人は個性的で私は好きだ)が立ち上がった。

検察官 「娘さん、だいぶ盗みをくり返してる」
証人  「はい」

 前科となったもの以外にも、いろいろあるらしい。

検察官 「病気のせいだから仕方ないという気持ちはありませんかねっ!」
証人  「あ~、それは思っておりませんけど、たぶんそのせいもあると…」
検察官 「ここで証言…それに伴う責任あるんだと、分かってますかっ! あなたの責任、どういう責任があるかっ!」
証人  「やっぱり、何でしょうね~、食べ物、欲しくなる…」

 なんかぜんぜん当事者感がないというか、「こりゃダミだぁ」の典型といえる。

検察官 「あなたの責任! ここにきて証言したことの責任ですっ! もしあなたのせいで(刑が)軽くなって、また万引きしたら、それはあなたにも責任が…!」

 ん? なんか妙な言い方だな…。裁判長が介入した。

裁判長 「あなたの責任は、娘さんをしっかり監督して、二度と窃盗、犯させないと…大丈夫ですか? 記録に残りますよ。しっかりみる約束できますね?」
検察官 「また娘さん、やったら、あなたの責任でもあるんですからねっ。さっきから聞いてると軽すぎますよっ!」
証人  「はい…」

 私は傍聴席で思った。なんだその突っ込み方は。もしや、裁判長も検察官も、逆転執行猶予の腹づもりなのっ!? 裁判長が、「あのね…」としてこう言った。

裁判長 「摂食障害を安定させることが極めて重要です。できるだけ、最大限の努力をして、(万引きを)二度とさせないように…わざわざあなたを呼んだのは、しっかり監督してもらうためです!」

 私は傍聴ノートに書いた、「逆転執行猶予、決まりか~!」と。

 そして被告人質問。被告人は40歳、暗く痩せた女性だ。弁護人は主質問を9分間やった。こんな部分があった。

被告人 「(自分の摂食障害は)過食、嘔吐、下剤濫用…ですね。食べないときは全く食べないし、食べるときはイッキに食べて吐く…」
弁護人 「刑務所、行かない形で更生したいと…今までと何が違うんですか?」

 そうそう、一審判決は懲役6月にまで下げてるのだ、さらに逆転執行猶予を得るには、一審後に何か新たな大きなことがないといけない。

被告人 「子どものためっての、今だんだんと感じてきたってのが…(今までは)お祖母ちゃんに預けっぱなし…」

 子どもがいるとは、なんか意外。というか、そんなことを今ごろ「だんだんと感じてきた」って…。
 検察官は、どこの病院へ通院しているのか尋ねた。被告人によれば、近くの医大の病院へ通っており、しかし摂食障害の専門医はいないという。

検察官 「正直、ちっともよくなってないようですけど、専門の病院へ行こうとは?」
被告人 「そういう病院、行きたいんですけど、宇都宮にないんです」
検察官 「正直、ダメなような気がする…今日ここへ来て、変わったことないですか」
被告人 「ここへ来て…深く深く反省してるし…」

 うーん、裁判的には全くダメダメだ。検察官は呆れたように「ハイ終わりますっ」と言い、席に座った。座るや、体を2つに折るように、検察官席(机)に突っ伏してしまった!
 そのbody languageを私流に超訳するなら、「裁判長は逆転執行猶予にするつもりなのに、んもぉ~っ!」か。この巨体の検察官のこういうところが私はとても好きだ。

 裁判長は、ドスの効いたどでかい声で、たたみかけるように言った

裁判長 「この程度盗んでも大きな会社だから問題ないと思ってる? スーパーってね、薄利多売って言ってね、今回、595円、これ盗まれたら、10倍くらい売らないといけないの。お店、どれだけ売っても利益上がらない、現につぶれちゃったスーパーだってあるんだよ。もう二度とやらない、大丈夫なのねっ? 今後、約束して下さいよっ?」

被告人 「はい…」
裁判長 「え? 聞こえないっ!」
被告人 「二度と人のもの盗ったり、迷惑はかけません!」

 昼休みに12分間食い込んで閉廷。裁判長は、判決期日には被告人といっしょに母親にも来るよう言った。異例だ。
 どうです、特に新たな情状はないんだけども逆転執行猶予にするつもりだな、と思えるでしょ。私はびんびん思えた。傍聴びんびん物語である。

 

 閉廷後の廊下で、弁護人が被告人に、明るく軽い調子でこんなことを言うのが聞こえた。

弁護人 「かなり厳しく言ってたので、軽くなる可能性はあります。6月が短くなるか…」

 ある裁判官から聞いたところによれば、窃盗の実務上の下限は懲役8月だという。それより低い6月を、さらに下げる? さっきの裁判長、検察官の様子からして、逆転執行猶予では?
 しかし弁護人は廊下で、被告人に対し明るくきっぱり言うのだった。

弁護人 「でも執行猶予は僕はないと思います」

 言われた被告人は、暗く無言だった。甘い見通しを伝えないほうがいいってことはあるにしても…。

 

    ★  ★  ★

 

 そんな控訴審第1回から2週間後の、判決。来るはずの被告人が来ない。連絡がつかない…。

 摂食障害でクレプトマニア(窃盗癖者)は、自己評価が低く、自殺しやすいらしい。執行猶予を取り消されてダブルで刑務所へ堕ちるのに耐えられず、うわぁ、裁判所へ来る途中、電車に飛び込んだりしてないだろうな? と私は心底心配になったわけ。

 

 定刻を10分ちょい過ぎて、被告人と母親が来たっ。
 東京駅からタクシーに乗り、なぜか最高裁のほうへ行き、渋滞に引っかかったそうな。私がどんなにほっとしたか。

 そうして控訴審の判決が言い渡された。

裁判長 「主文、原判決を破棄する。被告人を懲役6月に処する。この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予し、その猶予の期間中、被告人を保護観察に付する」

 ああ、やっぱり。裁判長は「情状特に酌量すべきものがあるから」としていろいろ言ったが、結局、特段の事情はないように思えた。最後に、ドスが効いてどでかい、しかし暖かみのある声で、こう言った。

裁判長 「もうヤメようよっ! ねっ! ヤメて下さいっ!」

 これは被告人の心に深く届いたろう、そう思えた。私は涙が出そうになった。正直、ちょと泣けた。青柳裁判長、なんでこんなことをやったのか。定年が近いのかしら…。

 

 その日の午後、1階のエレベータホールでのことだ。

 上階行き(8階以上に停止)のエレベータを待つ私のそばへ、スーツ姿の青柳勤氏(裁判中じゃないので氏)が。
 上階行きはなかなか来ない。エレベータホールの端っこの、18階まで各階止まりの箱の、あっ、ドアが開いてる。私はダッシュ。乗りかけてドアを押さえ、青柳氏を見た。
 青柳氏はその箱に乗ってきた、「ありがとうございます」と。しかも、私が8階で下りるときも「ありがとうございます」と小声で言った。

 「ありがとうはこっちですょ、さっき涙が出そうになりました」と言いたいのを堪え、私はその箱を出たのだった。

2026年6月24日 (水)

留学帰りの娘が母親の万引き病に万全態勢!

 今は少し遠ざかっているが、10年ほど前、万引き病(クレプトマニア、窃盗症)の裁判に私は熱中していた。
 深く心に残る裁判を1件、伝説のメルマガ2015年11月17日付けの第1598号「留学帰りの娘が母親の万引き病に万全態勢!」から、ここに載せとこう。一部加除訂正等する。

   ★  ★  ★

 2015年7月の第1522号「次はもう実刑と言われたのにまた万引き!」で、万引きで執行猶予中の万引きの判決(東京地裁)をレポートした。

 夫が癌なのでどうか再度の執行猶予に、というふうな主張だった。娘がアメリカに留学中で、大学を卒業したら現地の企業に就職が決まっている、という話も出てきた。

 でも、何があろうと、執行猶予中の再犯なら次は実刑、それが裁判のお約束だ。地裁判決は懲役10月だった。
 前刑は懲役1年、執行猶予3年。猶予は取り消され、そっちもあわせて服役することになる。

 

 そうして2015年11月、その懲役10月の「窃盗」の、控訴審を東京高裁622法廷(42席、井上弘通裁判長)で傍聴した。

 被告人は非身柄。柔らかそうな髪、メタルフレームの眼鏡、60代ぐらいのおばさんだ。なんだか表情が乏しい。
 弁護人席側の傍聴席に、グレーのもわっと大きめのタートルのセーターに黒のタイトスカート、長い黒髪の、素敵な若い女性がいる。被告人の娘か。

 弁護人は弁1~16号証を取調べ請求。多いね。検察官はほぼすべてを「必要姓なし、関連性なしで不同意」とした。ま、そんなもんである。

 裁判長は、16のうち5つの書証を採用し、こう述べた。

裁判長 「それから証人は、(立証趣旨が)原判決後の情状、医療…の態勢…被告人の生活状況の限度で採用します」

 

 傍聴席の素敵な若い女性が立ち上がり、バーの中へ入った。被告人の娘だった。

弁護人 「今回の(原審)判決の後、お母さんはどんな診断を受けましたか?」
証人   「前頭側頭型認知症との診断を受けました」

 クレプトマニアじゃなくて、認知症? このとき私は「前頭側頭型認知症」というのを初めて聞いたんだっけ。

弁護人 「いま思い返してみて、思い当たる変化はありますか?」
証人  「医師からいろいろ質問されて、あ、いまなら分かるということが…まず、私は高校生のとき、14歳からアメリカの高校へ留学…年1回、帰るたびに、どんどん物が散らかって、母の部屋に服が散乱して…あと、母の感情がたかぶったり、怒りっぽくなったり泣き出したり…外を歩くとき服装が乱れてきたり…毎年(自分が日本へ)帰ってくるたびに…変化がすごく分かりやすく…」

 私はあとでネットで調べた。なるほど前頭側頭型認知症(ピック病とも呼ばれる)は、そんな症状を呈するんだという。アルツハイマー型なんかと違い、もっとずっと若く発症することが多いそうだ。

弁護人 「あなたが小学生の頃のお母さんは、どんなお母さんでしたか?」
証人  「もともとはすごい社交的で、いつもおめかしして、友人も多く、部屋もきれいで、掃除が大好きなお母さんでした」

弁護人 「万引き問題を知ったのは?」
証人  「今回、母が逮捕されてからです…すごいショックでした。普段の性格から、ぜんぜん信じられない…娘だから頑張らなきゃと思って…」

 ここで証人は泣いた。被告人席の母親(被告人)は、表情に変化はない。

証人  「なんで万引きをくり返しているのか、自分でインターネットで調べて、原因を探しました」

 調べればクレプトマニアがヒットする。娘は母親を連れ、同種裁判でよく聞く横浜の大石クリニックへ。そしたらどうもクレプトマニアとは違う、認知症のようだ、と言われた。

 認知症? 途方に暮れた娘は、現在の弁護人に相談。認知症の専門医を紹介してもらってそっちへ。
 前頭側頭型認知症のせいで万引きをくり返していたのだと知るや、自治体の福祉係に相談し、介護保険、デイサービスと、娘はどんどん手を打った。

 同時期、父親つまり被告人の夫が末期癌(現時点でか余命3カ月)で、築地の癌センターへ通えず、自宅へ引き取り、こっちも介護保険を申請して自宅での医療ケアを…。

 アメリカで大学に進学し3年生になっていた娘は、7月の原判決(懲役10月)を知らされて帰国し、母と父のために奔走したのだった。それも、なんちゅうか尋常じゃない奮闘ぶりといえた。

証人  「母が行きそうなお店、スーパーとか…母の写真と医師の診断書を持って、10軒くらい…もし迷惑をかけたら一報をお願いしますと…○○警察署、××警察署へも相談に行きました」
弁護人 「警察はどんなことを言ってくれましたか?」
証人  「すごい親切で(泣く)、まず、母が裁判中(懲役10月に対し控訴中)だってことにすごいびっくりしてらっしゃって、警察には誰が認知症ってデータがないから、報せないと分からないって、長い時間、話を聞いてくれて…」

 じつは被告人は、7月の原判決後に3回も万引きしてるんだという。そんなの完全にアウトじゃん!
 ところが、娘の奔走のおかげで、事件になってないのだった! なっ、なんて娘だ。こっちが泣けてくるょ。

証人  「父はもう歩けない…ベッドで…父はほんとは自分の治療を…でもすごい母のこと心配して、自分の目の黒いうちは母の見守りを私といっしょにしてくれると…」

 このへんで娘は泣いた、かなり泣いた。被告人席の被告人は、ずっと無表情のように見えたが、少しわなわなし、ハンカチで目の辺りを拭いた。表情は変わらないように見えるが…。

証人  「母がやっと周りの人を信頼して頼ってくれるようになって、買い物代行サービスも最近…お買い物は週1回、私といっしょに…」

 原判決後、万引きをくり返す意外な原因がわかった。そこで、二度と万引きしないよう手を打ち、もし万引きしてもカバーできるよう、万全な態勢をつくった。こんな身内はいませんよ。これは逆転執行猶予の可能性ありだねっ!

 逆に言えば、検察官は窮地に立たされたことになる。

検察官 「認知症の人はみんな盗みをやるんですか?」

 あんたバカですか(笑)。認知症のうち前頭側頭型認知症だと、さっき言ってたじゃん。娘は答えた。

証人  「前頭側頭型認知症は特別で…記憶はあるが脳の一部が縮小して、衝動が抑えられない…前頭側頭型認知症…万引きは必ず出てくる症状といっていいと医師が…」
検察官 「GPSでどうするんですか」

 さっき娘は、母親にGPS(機能付きの携帯電話か発信器)を持たせ、母親の位置を知ることができるようにしたと言ってた。娘は平日は働いており、位置が分かってもどうしようもないじゃないか、と検察官は突っ込んだ。娘は答えた。

証人  「万が一、母が外へ出たとき、すぐ母に電話して、デイサービスにも連絡して、電話1本で迎えに行ける態勢になってます」
検察官 「(母親の)部屋は散らかってると?」
証人  「はい」
検察官 「(万引きして)物が増えたら、分かるんですか」

 本件の万引きは食品じゃない。婦人服等9点、販売価格2万7518円相当なのだ。娘はきっぱり答えた。

証人  「分かります。逮捕されてから毎日チェックしてます」
検察官 「散らかったままで?」
証人  「(きっぱりと)そうです!」

 母親に対する愛情の深さ、娘自身の有能さがばりばり感じられ、私はほんとに感動した。

 裁判長は、一家の生計について尋ねた。父親は何かを自営しており、寝たきりだけども月60万円の収入があり、娘は、母親のケアーの態勢が整ってから10月に就職し、月給は手取り約20万円、十分な経済力といえるだろう。

 さらに裁判長は、原判決後の、事件化されてない万引き3件の時期について尋ねた。娘いわく、8月下旬と9月下旬と10月上旬。
 くり返すが、原判決(懲役10月)が7月。控訴して、8~9月、3回万引き、しかし娘の話を聞いていた店側はすぐ娘に連絡し、被害届けを出さなかった。

 ケアーの態勢が整ってるとは言えないんじゃないか、との問いに、娘はきっぱり答えた。

証人  「いまのような万全な態勢までに…介護保険が通ったのは9月の万引きのあと…介護サービスの受け入れ状態が10月上旬は整ってませんでした」

 ちょっとでもスキがあれば、被告人は1人で出かけて万引きしてしまう、それを防ぐべく娘が万全の態勢をつくりあげたのだ。
 これでは分が悪いと思ったか、検察官は定番の尋問を持ち出した。

検察官 「この認知症にかかっていれば万引きしても仕方ない、連絡して処罰しないでほしいと、こういうことですか?」

 万引きでも何でも、犯罪はあくまで遵法意識の欠如と身勝手な利欲から生まれるのだ、認知症とか他の要素のせいにしちゃいけないんである、刑事行政的には。
 万引きしといて、認知症のせいだから許してくれは、刑事裁判的には、盗人猛々しいんである。

 そこんとこ、娘は少しは配慮するのか。いや、きっぱりこう答えた。

証人  「そうです!」

 俺は傍聴ノートに書いた。ほ~!

 

 こうして2015年11月の期日は終わった。翌12月、弁護人が弁論。2016年1月、判決が言い渡された。

裁判長 「主文。本件控訴を棄却する」

 上告審で救済されなければ、母親は今回の懲役10月と、前刑の懲役1年と、あわせて下獄する。
 留学帰りの娘がつくりあげた万全の態勢は水泡に帰し、前頭側頭型認知症は取り返しのつかないところまで進んでしまうだろう。

 裁判所は何を守りたいのか。はい、量刑相場です。そゆことだと私は見る。

2026年3月23日 (月)

「盗みたかった訳ではない」

 タイトルが秀逸! とはこれをいうのだ。以下は3月23日付けSTVニュース。

「盗みたかった訳ではない」 コンビニでお茶2本を盗んだ女を逮捕 所持金は当時0円 札幌市
札幌・中央警察署は22日、窃盗の疑いで住所・年齢などが不詳の成人の女を現行犯逮捕しました。
女は22日午前7時半ごろ、札幌市中央区北5条西4丁目のコンビニエンスストアで、お茶2本(販売価格合計276円)を盗んだ疑いが持たれています。
警察によると、女が持っていたトートバッグにお茶2本を入れ、会計をせずに店を出た所を店員が発見し、その後、警察に通報し、逮捕に至ったということです。
調べに対して女は「盗みたかった訳ではない」と容疑を否認してます。
事件当時、女の所持金は0円で身分証明書なども持っていなく、警察は女の詳しい動機などを調べています。

 

 「盗みたかった訳ではない」、実にキャッチーだ。

 コメント欄があるサイトに転載されれば「じゃあ盗むなw」等々、蔑(さげす)みの嘲笑がどどっと湧き、蔑み言葉、嘲(あざけ)り表現を競う、楽しいイベントみたいになりそう。

 

 しかし我々傍聴マニアは、蔑まず嘲らず、あれこれぐずぐず思う。

 「住所・年齢などが不詳の成人の女」ってことは、お婆ちゃんなのかどうか、見た目が少年法の「少年」では到底ないのだな。

 また、前科があれば指紋の登録があるはず。前科はないのだな。いや、前科のときも戸籍がなかったのかも。「××警察署留置番号×号こと氏名不詳の女」として有罪判決を受けたのかも。
 どう見ても普通に日本人のようだが、戸籍がない、ということはたまにある。

 

 「盗みたかった訳ではない」、そのとおりに被疑者は述べた、とは全く限らない。
 こういうセリフは、記者クラブ記者を集めて警察が発表した(記者レクをやった)中から、キャッチーな部分を拾っただけ、ということは普通にあるでしょ。

 

 「盗みたかった訳ではない」という趣旨を被疑者が述べたとして…。

 じゃあ、なぜ盗んだのか、ざまざま事情はあるだろう、けれども、本人の認識では「盗む意思はなかったが、気がついたら盗んでいた」ということが、どうやら本当にあるようだと、特に簡裁の「窃盗」の裁判をたくさん傍聴してきて、思う。

 そこんとこ、「低級動物霊 vs 霊格の高い守護霊」をお読みいただければ。

2026年2月 1日 (日)

低級動物霊 vs 霊格の高い守護霊

 やっぱりどうしても、これは言っておかねば。

 

 主に、というかほとんど女性被告人の、窃盗症、クレプトマニア、私の言葉では万引き病、の刑事裁判(「窃盗」)を、狙ってだいぶ傍聴してきた。

 万引きなんてしたくない、二度としません、絶対しません、どんなに固く誓っても、またやる、手癖が悪いとかでは説明がつかない。そんな女性が続々といる。

 生活困窮、ではない。財布に2万数千円入っていたり、1千万円を超える預貯金があったり、アパートを持っていたり、それでも数百円の万引きをやらかすのだ。

 万引きを重ね、微罪処分と不起訴が数件、略式で罰金20万円、罰金40万円、とうとう公判請求(正式な裁判への起訴)をされ、執行猶予付き懲役刑に、その猶予中にまた万引きをやり、執行猶予なしの懲役刑を食らい、どうか再度の執行猶予をと控訴し、その控訴審の最中にまた万引き、、、そんな女性も何人かいた。

 万引きで服役し、出所して数日後(翌日だっけ)、前刑のときと同じスーパーでまた万引き、という女性もいた。

 

 どうしてそうなるのか。独立行政法人国立病院機構、下総精神医療センターの平井愼二医師が、弁護側の証人として出廷、証言したことがある。私は二度だっけ傍聴した。非常に説得力があった。まさにそういうことなのだろうと思う。

 

 だが…ここから、それとはまた別に、異なる次元で、言いにくいことを言おう。
 つのだじろう氏の『うしろの百太郎』や『恐怖新聞』を読んで育った、私は世代だ。

 あれらを、どうしても思い出すんである。万引き病の女性たちは、低級動物霊に憑依されている、そう考えるとしっくりくるんである。

 憑依された女性は、悪い盗人(ぬすっと)の目つきでキョロキョロするが、天井に多数ある監視カメラ(通称防犯カメラ)を全く気にしない。ばっちり撮影されながら、悪い盗人の目つきでささっと万引きする。

 一部始終を目撃していた万引きGメン、から声をかけられるや、はっと我に返る。「警察にだけは言わないでください」と泣いて懇願したり、必死に逃げようとしたり。

 その頭上で低級動物霊が、けけけーっと笑う…。

 

 インチキカルトやインチキスピリチュアルを利するかも、との懸念はあるが、やっぱり言っておこうと思う。平井愼二医師のおそらくは正しい考え方とは別に、万引き病のご本人、およびご家族よ、こんなふうに考えてみてはどうか、と。

 万引き病は、低級動物霊の憑依による。本人の意思など全く無力だ。

 なぜ憑依されたのか。たぶん、低級動物霊が好む臭いを、心が発していたのだろう。私が見るところ、母親との確執がままあるようだ。

 低級動物霊の狙いは、本人を破滅させること。
 あらゆるスキを狙って破滅へ導く。なんだかんだと用事を、偶然のタイミングをつくって1人で外出させ、いつものスーパーへ誘導する。監禁(入院)させない限り、万引きは防げない。

 

 憑依を、どう解くか。『うしろの百太郎』的には、霊格の高い守護霊についてもらうのがいちばんだ。

 故・丹波哲郎さんは言う、明るく、素直に、あたたかく、そういう人を、霊格の高い守護霊は好むんだそうだ。そりゃもう間違いないと丹波さんが何度も言うので、私はおぼえちゃった、明るく、素直に、あたたかく。

 

 たとえばスーパーのレジで、「(精算を)お願いしまーす」「ありがとう」と言ってみ? 電車内で泣く幼児と目が合ったら、にっこり微笑んでみ? 低級動物霊はびびり、世界が変わりますぞ。
 とりあえず、にっこり微笑む練習をしましょう。最初はぎこちなく、引きつった笑みでも、そのうち柔らかくなりますよ。

 にっこり微笑み、店員さんに「ありがとう」と言うあなたを、いつの間にかあらわれた霊格の高い守護霊が、にっこり微笑んで見てる、そんなもんですよ。

 

 ちなみに、デマとヘイトをわめくYouTuberとかいるでしょ。あの者たちに私は、低級動物霊そのものを感じて…。

2025年12月 3日 (水)

悪いことしたら牢屋へ行くんだぉ

 前記事からのつづき。

 

 続けて別の法廷(大川隆男裁判官)で、やはり女性被告人の「窃盗」の判決を傍聴した。

 被告人は保釈中。白黒格子柄の長袖シャツに、白っぽいズボン。肩までの長さの焦げ茶色の髪は、染めたんだろう、50代くらいのおばさんだ。
 弁護人が再開請求、被告人の夫からの書面を証拠請求した。検察官は同意。

書面   「6月25日の裁判(第1回公判)以降、体調が優れず…癌は闘う病気で、妻がいなければ私は負けてしまう…ベッドのそばのトイレへも1人では行けない…娘は大学卒業後、海外勤務が決まり…最後の抗癌剤治療…家族と過ごさせてください…」

 再開したので、再度結審するにあたり、被告人の最終陳述、こう述べた。

被告人 「あの、主人が、やっぱり、おととい退院して、癌の最後の治療、これから大変だから、毎月、点滴打って、抗癌剤、あたしが…ぜんぶやってるから…わたし自身、クリニック、ミーティング、更正の道を…治療させてください」

 裁判官は壇上で少し書類をチェックして、判決を言い渡した。

裁判官 「主文、被告人を懲役10月に処する。主文は以上です」

 2012年に万引きで罰金30万円。2014年5月に万引きで懲役1年、執行猶予3年。そして今回、2015年4月、スーパーで婦人靴等9点、販売価格合計2万7518円を万引き。
 前回の期日で、癌の夫が証人出廷したという。

裁判官 「裁判所としても、配偶者の方の証言には心を動かされるけれども…犯した罪の責任を取ってもらうというのが…」

 言渡しが終わり、満席に近かった傍聴人がぞろぞろ出ていく頃、若い男女職員がバー(傍聴席の前の柵)の中へ入った。保釈を取り消し収監するのだ。

 最後まで傍聴席に残る2人…あっ、娘と夫なのだ! 夫は、顔色がものすごく悪く、完全に無表情だった。被告人は、被告人席に座ったまま斜めに夫へ体を向け、泣きそうな、強く叱られた子どものような表情をしていた。被告人が刑務所にいる間に、夫は独り死ぬのだろうか。

 

 絶対に再犯しないと、どんなに激しく誓っても、再犯すれば自分の家族も破滅と分かっていても、万引きできる瞬間がくれば全部吹っ飛ぶ。理性なんぞではどうしようもない、窃盗症、クレプトマニア、私は万引き病と呼ぶ。

 しかし、何も分からない幼稚園児は無邪気に言うだろう、「悪いことしたら牢屋へ行くんだぉ」。それを別の言い方で言えば「犯した罪の責任は取ってもらう」になる…。

 『塀の中のおばあさん』、これ東京地裁地下の至誠堂書店に注文しよう。

2025年12月 2日 (火)

次はもう実刑と言われたのにまた万引き

 伝説のメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代」から、心に残る裁判を少し。以下は2015年7月の第1522号「次はもう実刑と言われたのにまた万引き!」の一部である。

 

 2014年11月4日(火)、東京簡裁534号法廷(20席、大阪高裁部総括を定年退官して簡裁判事になった松尾昭一裁判官)で「窃盗」を傍聴した。

 私は傍聴ノートに絵を描かない。文字でスケッチする。本件についてはこうだ。被告人は非身柄。洒落た黒のスカートスーツ、たっぷりフリル付きのブラウス、髪はきれいなボブカットで、痩せて鼻が尖って目が大きめ…。そして率直な印象をこう書いた、整形美人。

 川沿いを歩いて「風呂」へ行く途中、コンビニで石けん(ボディソープ)163円を万引きしたのだった。松尾裁判官はこう言った。

裁判官 「万引きはくり返す人が多いんです。捕まったときは、もうやらないと言うでしょ。それはウソ言ってるわけではない。ところがまたくり返してしまう…もうあなた、あとがないですよ」

 求刑は懲役1年。松尾裁判官は理由なく懲役10月に下げ、執行猶予3年とした。そしてさらにこう言った。

裁判官 「あなたは盗み癖がある。ないとは言えない。今後、相当の決意がないと、またやってしまうのでは、という心配がある。1回だけは社会内で立ち直る機会を与えることにしました。次はほぼ間違いなく実刑判決になります。聞いてませんは通用しませんよ」

 被告人は深く頭を下げた。

 

 

 そうして2015年、また「窃盗」の被告人として、今度は東京地裁の法廷(丸山哲巳裁判官)へ出てきたんである。

 7月9日、判決言渡し。私はこうスケッチした。身柄(拘置所)。濃い髪はつやがあり、適度にルーズなクリーム色のサマーセーター、おっぱいの形が良く、しかし白黒縦縞のミニスカートから伸びた足は、やけに血色が悪い。年齢は50代前半のはずなのだが、年寄りの足のよう。整形美人風。

裁判官 「主文、被告人を懲役1年に処する。未決勾留日数中20日をその刑に算入する」

 夕方のスーパーでTシャツ1枚等5点、販売価格合計1万7992円を万引き。

裁判官 「同種前科…平成25年(2013年)4月、罰金50万円…平成26年(2014年11月懲役10月、執行猶予3年…わずか5カ月余りでまたもや…高齢の父親がいることを考慮しても…」

 松尾裁判官からああ言われ、深く頭を下げたのに、またやって今度は実刑判決。前刑の猶予は取り消され、2つ併せて(続けて)服役することなる。
 こうなることを見越して松尾裁判官は、求刑1年を理由なく10月に下げたのか…。

 つづく。

2025年11月20日 (木)

万引き窃盗、密かに厳罰化!?

 東京簡裁の刑事係は、東京高地簡裁合同庁舎において、かつて3つの法廷を常用としていた。826、728号、534号法廷の3つだ。

 ところが2023年、2つに減らした。826号法廷は地裁民事に譲った。そういえば開廷が減ったもんねえ、と思っていた。

 

 そうして最近、なんか、開廷が激減した。どしてっ? ここんとこ偶然に少ない? もしも偶然でなければ…。

 私はこんな仮説を立てるね。ずばり、これまで執行猶予付き懲役刑としていた万引き窃盗を、罰金処理とした!

 

 以下は刑法だ。

(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

 

 おおまかに言えば、窃盗は、微罪処分 → 不起訴 → 略式で罰金30万円 → 公判請求して執行猶予付き懲役 → 懲役の実刑、というふうに量刑相場の階段をのぼってきた。 ※2025年6月1日から懲役は拘禁刑に変更。

 公務員や国家資格等を持つ人は、執行猶予付きでも懲役刑だとダメージがでかい。でも、そうじゃない人たちからすれば、何十万円もの罰金刑より、執行猶予付き罰金刑のほうが断然ありがたい。

 

 けど、罰金刑(執行猶予付き懲役刑ぎりぎりなら罰金50万円)とされたら、痛いよね。30万円を食らったあとに、また50万円。そのダメージは計り知れない。 ※一部の富裕層を除く。

 罰金判決、略式命令には、刑訴法の定めにより、必ずこのセンテンスが付く。

裁判官 「その罰金を完納できないときは金5千円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する」

 「金」の1文字を言わないことが少し前に続いたが、最近また復活したかも。罰金額が大きいと換刑の金額も大きくなる。

 

 財産刑を自由刑に換え、自由を奪う期間を、罰金の額に応じて決めるんである。換刑処分という。
 労役場留置に執行猶予はない。払えなければ、いわゆる実刑である。

 万引き病(窃盗症、クレプトマニア)の場合、経済的には裕福な人は、やっぱり少数派だ。多くは金銭的に貧困な方々だ。
 財布に大きなダメージを食らうか、100日の実刑か、どっちか、って執行猶予付き懲役刑より、ぜって重いでしょ。

 運用面での厳罰化、そっちへ舵を切った? というのが私の仮説である。

 

 運用面での厳罰化は、すでにある。
 酒気帯び運転、無免許運転は、かつては罰金前科が2回ぐらいあって公判請求され、正式な裁判の法廷に被告人として立たされ、執行猶予付き懲役刑、それが当たり前だったが、いつからだっけ、軽い物損事故を伴ってたりすると、さくっと執行猶予付き懲役刑、そんな裁判をしょっちゅう傍聴するようになった。

 酒気帯び、無免許の罰金の相場は現在、普通車で初犯で30万円だ。被告人の多くは、日々働いており、30万円は痛いとはいえ出せない金額じゃないように見受けられる。 

「うわ、運用の厳罰化だ。でもこの厳罰化を、検察も裁判所も、警察も、世間に報せないんだなあ。へえ~」

 と私はおどろき、メルマガや雑誌に書いてきた。ネットでも書いたと思う。

 

 はてさて、簡裁刑事の開廷が激減したのは、窃盗について運用の厳罰化が動きだしたから、という仮説は当たりか外れか。学生さん、卒業論文にどうですかね。

 

※追記: 2024年の検察統計から、公判請求(正式な裁判への起訴で通常は懲役求刑)と、略式命令請求(法廷を開かず罰金処理)のデータを見てみる。

 窃盗  公判請求=2万3960人 略式命令請求=5707人
 道交法違反  公判請求=7274人 略式命令請求=3万4348人

 窃盗の、運用面での厳罰化は、多くの被告人たちにとって実質的な厳罰化といえると同時に、司法の負担軽減という面もあると。 

2025年11月10日 (月)

刑務所を出て、無施錠の家やクルマを探して徘徊

 最近傍聴したのを少し。

 

 東京地裁の52席の法廷で「重過失傷害」の審理。

 被告人(非身柄)は、知人から借りたスポーツタイプ(前傾姿勢)の自転車で、雨天時、車道左側を、ウインドブレーカーのフードをかぶり、路面を見て走行し赤信号を看過。青信号の横断歩道へ出てきた歩行者に衝突し、後遺症の残る重傷を負わせた…。あるあるの自転車事故である。

 幸運にも個人賠償責任保険に加入しており、1千万円が支払われることで示談。それとは別のお詫びとして20万円を振込み。求刑は禁錮1年4月。 ※2025年6月1日以降の事件なら拘禁刑

 

 東京地裁の20席の法廷で「覚醒剤取締法違反」の判決。

 被告人(非身柄)は50歳代か、ちょと強面(こわもて)な感じだ。判決は懲役2年、執行猶予3年訴費不負担。

裁判官 「初犯は1年6月というのがおおむね相場なんですが…」

 そうそう、懲役1年6月、執行猶予3年が鉄板相場なので、慣れた人たちは「イチロクサンネン」というようだ。

 被告人は10年以上前に同種の服役前科があるという。10年以上前で、今回2年は重くない?
 あとで私のデータに当たってみた。9年前に、駐車取締りの警察官に対する公務執行妨害で懲役10月、未決30日算入という、同姓同名(珍しめ)の事件を私は傍聴していた。その影響もあるのか。

 

 東京地裁の42席の法廷で「道路交通法違反」の審理。

 今回気づいた、弁護人はあの有名俳優さんにそっくりじゃん! 弁護士会でも有名でしょ。俳優名は今は伏せとこう。

 オービスⅢ(スリー。東京航空計器(TKK)のループコイル式)の測定値を否認する事件だ。「確立された採証法則」のとおり、今日はTKKのK氏を証人尋問。
 検察官は、なんと50分間も。昔、同種の否認事件が東京簡裁で多かった頃、20分程度で終わることもよくあったのに。

 弁護人は22分間。測定の「誤差」にこだわっていた。私のネット記事「オービスの測定値はホントに信頼できるのか?まさかの「抜け落ち」を発見した【知らないと損する交通違反】」を見ていないことが明らかと思えた。もしそうなら、他の全ての事件と同様、あっさり無残に有罪とされるだろう。残念だ。

 

 東京地裁の52席の法廷で「道路交通法違反」の新件。

 この被告人(身柄、留置場、33歳)はインドネシア人だ。そういうのも傍聴しておこうと。傍聴人は私を含め2人ぽっち。

 今年2月に入国、9月、在留資格はあったが帰国しようと思い、その旅費を得るために飯場(はんば)仕事か何かやり、仲間らとクルマで戻る途中、運転の友人の足が吊った。それで自分が運転をした、日本の運転免許証はないのに。

被告人 「(通訳人を介して)9月11日父が亡くなった…チケット買うお金がなく…チケットのお金を稼ぐため仕事した…15日は(インドネシア)へ帰るつもり…」

 ところが9月13日に無免許運転で逮捕され、勾留されたまま11月に第1回公判…。母と妻と子どもに早く会いたいと泣いた。

 

 東京地裁の20席の法廷で「住居侵入、窃盗」の新件。

 被告人(身柄、留置場、46歳)は証言台のところに、手を独特のお椀型にしてピシッと立った。窃盗、強盗等で複数の服役前科があり、少年時の前歴も4件あるという。

 婚姻歴なし、母親と同居。府中刑務所を出てから酒を飲んだりパチンコをしたり、ある日、パチンコで交通費も使い果たして正午過ぎ、セキュリティが緩いアパートを探し、無施錠の玄関ドアから侵入…。

乙3号 「中から声が聞こえていた…2、3人いると思った…危険性を当時は考えていなかった…」

 同種の追起訴があるそうで続行。
 帰宅後、被告人氏名でネット検索してみた。犯行場所的にも被害金額的にもずばりこの事件と思われる報道がヒットした。
 それによると、当時被害者宅へは買取業者が訪問しており、奥の部屋で着物や宝飾品を査定中だったという。やばい業者でなければいいんだが…。

 

 同じ法廷で「常習累犯窃盗」の新件。

 服役を繰り返し、離婚歴あり。網走刑務所を出所後、生活保護を受けつつ、朝から無施錠の自動車を探して徘徊。荷下ろし中の自動車内から現金3812円入りの財布等3点在中のリュック時価1650円相当を窃取し、現場にいた警察官から声をかけられ…。

 これも、年齢的にもその他あれこれ的にもずばりこの事件と思われる報道がヒット。被害車両は駐車中のリサイクル収集車だという。まさかこれも高齢者狙いの訪問業者だったりして?

2025年8月30日 (土)

動物脳と人間脳、システム1とシステム2

 じつは、新しいパソコンを買った。20数万円の、今度はノートではなくデスクトップを。1週間か10日ほど前に。

 

 webブラウザも、メールソフトも、日本語変換も、これは私の好み&能力の問題ではあろうが、Microsoftのは使いづらくって。
 webブラウザは、よそのやつを何とかインストールした。

 これなしじゃ原稿を書けない一太郎、ATOKも、数日を掛けて苦労の末、インストールした。

 しかしメールソフトがどうにもこうにも。
 もうMicrosoftのでいいや、とあきらめたが、それも開けない。

 一昨日か、ようやく、偶然に、非Microsoftのメールソフトをインストールできた。
 以前のノートPCと行ったり来たりしつつ、なんとか平常業務はできるようになった、みたいだ、なんとか。

 デスクトップは良い。何年か十何年かノートPCに浮気していたが、やっぱデスクトップは良い。

 

  ⚡  ⚡  ⚡

 

 「刑罰は違法行為を止められるか~拘禁刑における「指導」とは何か~

 条件反射制御法学会、第14回学術集会のテーマだ。
 条件反射制御法、なんだそれ? という方が多いだろう。私も以前はそうだった。んが…。

 

 その平井愼二医師の証人尋問(弁護側証人)を、東京地裁(刑事)で私は2度、傍聴した。
 万引き病(クレプトマニア、窃盗症)の裁判と、覚醒剤の裁判だった。
んまあ、驚いた。感銘を受けたね。

 

 私なりの理解を、シンプルに言えば…。
 人間の脳には、動物としての動物脳と、理性の人間脳とがある。動物脳のほうが基本的には優位。

 これ、その後、東大の購買部のベストセラーだっけ? そんなこと言われた『ファスト&スロー』の、直感のシステム1と、知的活動のシステム2、あれとダブる。

 万引き病でいえば、「もう二度と万引きはしません! したくない!」と法廷でどんなに人間脳が誓っても、万引きできるシチュエーションになれば、動物脳はするすると万引きをやってしまう。

 万引きで執行猶予中にまた万引きをやり、とうとう実刑判決を受け、控訴して再度の執行猶予を求め、その控訴審の間にまた万引き、ついに刑務所へ堕ち、出所してすぐまた万引き、動物脳は止まらない…。

 そこで、動物脳に働きかけて万引きを止める、というのが条件反射制御法だ。

 

 スピリチュアルな方面に利用されそうで、あまり言いたくないんだが、私はこう感じてる。
 万引き病は、尻尾が9つに分かれた邪悪な狐が取り憑いて、本人の意思とは関係なく万引きをやらせる。狐のこととて、監視カメラなんぞ全く気にせず、邪悪な目つきで軽くキョロキョロし、大胆に万引きをやらかす。
 その狐を引き剥がそう、というのが条件反射制御法だ、私のたとえ話でいえば。

 

 邪悪な動物霊に憑依されたように、万引きや覚醒剤、盗撮や痴漢を繰り返してしまう人、またそのご家族、弁護をする方は、今回の学術集会、ぜひ、と私は思います。

2025年6月 3日 (火)

特殊詐欺も人手不足、中国に人員供給ルートが?

 最近、「へえ!」となったことが2つ。

 

 「詐欺、詐欺未遂」、東京地裁、判決。

 この事件名は普通、特殊詐欺の使い捨ての末端者、受け子だ。

裁判官 「主文。被告人を懲役4年6月に処する。未決勾留日数中70日をその刑に算入する」

 複数の者と共謀して警察官等を名乗り、金地金や現金などを騙し取ったのだという。役割分担しての組織的犯行で、被害額は合計3500万円余り。
 金額がだいぶ大きめだが、まあ普通の特殊詐欺だ。

 

 ところが! 中国語の通訳が入った。被告人(身柄、拘置所、若い)は中国人なのだ。
 片言の日本語で、受け子をやった? いや、日本国在住の中国人を騙す特殊詐欺が広がってる?

 どっちでもなかった。

裁判官 「指示を受ける立場…報酬目当てにわざわざ来日…(携帯電話をどうこうする)サポート役…金品の回収役…不可欠の役割を…」

 なるほど、それならやれる!

 いちばん捕まりやすいのは最末端の受け子、出し子だ。サポート役、回収役は捕まりにくい。ゆえに被害額の合計が3500万円にまでふくらんだのだね。

 特殊詐欺業界も人手不足。中国に人員供給ルートを開拓した、つーことなんだろうか。へえ、である。

 

 「住居侵入、窃盗」、東京簡裁、新件。

 被告人(身柄、拘置所)は67歳、住所不定、無職。いかにも高齢者風のスリムな男性だ。
 前科13犯、福島の刑務所を出て、土地勘がある東京の池袋へ。所持金の多くをパチンコで費消。

 DVD鑑賞店に宿泊中、別の客が個室に施錠せずトイレへ。被告人は個室を見て、財布があることを確認。
 午前1時52分頃、その客が無施錠で就寝した隙に、財布を持ち去った。
 現金を抜き取り、現金を窃取。防犯(監視)カメラの録画から発覚…。

 DVD鑑賞店? なんだ?
 店名が出たので、あとでネット検索してみた。

 多種大量のDVDが棚にずらーっと並び、さまざまなタイプの個室あり。狭いけど1人だけならゆったり、大きなモニターでDVDを鑑賞できる。ナイトコースは12時間約3千円とか各種コースあり。シャワーは数百円。

 漫画喫茶、ネットカフェに続く、そんな“亜”宿泊施設があるとは、私は知らなかった。へえ。

 

 人生で大事なことはみんな裁判傍聴で学んだ。なんつって💦

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