2008年7月18日 (金)

原判決を破棄する。被告人は無罪!

7月18日(金)その1

clip 10時から東京高裁・刑事5部(中山隆夫・田村眞・中島真一郎裁判官)803号法廷で、「窃盗未遂」の判決。
 これ、原審(東京簡裁)から、ひょんなことで傍聴し、のめり込んだ、電車内でのスリ未遂の、真っ向否認事件だ。『冤罪File』の創刊号と、拙著『裁判中毒』に書いた。
 原判決は懲役1年6月、執行猶予3年。高裁の開廷表にその被告人氏名を見つけ、高裁の審理も傍聴した。第1回は見逃してしまったが、4月21日の第2回、ゴトー巡査の証人尋問、5月19日の第3回、被告人質問、6月11日の第4回、弁論を傍聴した。
 ちなみに、第3回までの構成は、中山隆夫・服部悟・田村眞裁判官。第4回の構成はメモしてない。

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 そして今日、判決。
 被告人の妻が、いつもの位置にいた。今日は白い眼帯をつけていた。
 ほか傍聴人は、白いシャツに黒いズボンの、役人風の男性が4人、ぱらぱらと。それと、傍聴マニア氏が1人。奥さんも含めて6人。私も含めて、広い法廷に7人。
 …でも、まぁ、ダメだろなぁ。奥さん、あんなに頑張ったのに、可愛そうに、また泣くだろうなぁ、と私は傍聴席についた。

 9時59分、3人の裁判官が登壇し、判決。
「主文…」
 私は傍聴ノートに「本…」と書き始めた。「本件控訴を棄却する」だろうと。
 ところがっ!!
「原判決を破棄する。被告人は無罪」
 ああっ!! 喉の奥から息が絞り出た。妻が弾かれたように「ありがとうございます!」と泣き声で言い、その後しばらく、激しく泣きじゃくった。

 被告人の供述について、判決は、信頼できないとした。
 でも、初めて逮捕されて刑事手続きのなかに放り込まれる一般人は、エリート裁判官による紙の上での検討、にさらされることを想定して最初から詳細かつ合理的に矛楯なく供述できるわけではない。つか、そんなの到底ムリだ。仮に、詳細かつ合理的に矛楯なく供述したとしても、捜査段階でそれを書き取るのは、いったん検挙・逮捕したからにはメンツにかけて後へ引けない警察官、検察官だ。被告人の供述のあちこちを拾って、こことこことが矛楯するとか指摘するのは、相当に危ないこと(冤罪を生む1つの原因)と思う。
 では、なぜ無罪としたか。
 結局、ゴトー巡査の証言が信用できない、と判決はした。
「検挙の確かさを強弁するための作為的なものと認めざるを得ず…」
「ゴトー巡査がいわば功を焦り、被告人の手を掴んだことがあり得た可能性が認められる」
「なんとか辻褄(つじつま)をあわせようとするゴトー巡査の証言態度を裏付けるものである…」
「いささか誇張を含むものが多く見られる…」
 最初から否認なのに、被害者(とされる女性)の財布の指紋、駅の防犯カメラの録画の採取・入手が何ら検討されなかったこと、逮捕を補助したウチダミツノリ警部補の、捜査段階での調書が一切ないこと、「私の現認があるからそれだけで十分と思った」というゴトー巡査の原審証言も指摘された。
 そして、
「ゴトー巡査の証言に依拠して、ひと1人を有罪にすることは、できないというべきである」
 と中山裁判長は述べた。
 最後にこう述べた。
「捜査が十分に尽くされていれば、起訴されなかったかもしれない。その意味で、警察にも(検察にも?)良い教訓になったと思います」
 10時46分閉廷。
 秋山仁美検察官が、帰り際、妻にニッコリ声をかけた。
「長い間、お疲れ様でした」
 妻はまた激しく泣いた。

 私は思う。決定的な無罪の証拠がなく、水掛け論になれば警察・検察の勝ち。これは日本の捜査・裁判の絶対原則のはず。本件も控訴棄却でおかしくなかったはず。なぜ逆転無罪になったのか。傍聴席最前列で、毎回(第1回も当然そうだったのだろう)大きな荷物を持って見守り続けた、必死さが誰にもひしひしと伝わる、あの被告人の妻、あの妻の必死さが天に届き、天から裁判官らへ“何か”が降りた…きっとそういうことなんだよね、と私は思ったス。
 あ~! すごいのを傍聴してしまった。これは報道されるんだろうか…。

clip しばらく興奮をさまし、11時30分から東京簡裁・刑事1室3係(八木澤秀司裁判官)534号法廷の、「窃盗未遂」の判決を傍聴してみた。開廷表では12時00分までとなっており、そんなに長いってことは否認なんだろう、まさか電車内でのスリ未遂? と。
 被告人は身柄(拘置所)。深夜の仮睡盗で、東京簡裁で懲役2年、執行猶予4年の判決を受け、その確定から3カ月後の、深夜のJR山手線の電車内での仮睡盗の未遂、なんだそうだ。
 本件判決は、懲役1年6月、未決80日算入。
 被害者の尻ポケットに被告人の手指が入ったところを仮睡盗警戒の警察官らは見ておらず、しかし、当たり行為(つまり獲物となる仮睡者の物色)をしていたなど、全体からすれば、物に対する事実上の支配をおかす行為、の着手があったと見なすことができる、というふうなことだった。
 言い渡しが終わったのは、なんと12時26分! そんなのアリ!?

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2008年7月 8日 (火)

警視庁築地警察署留置番号1号こと氏名不詳の男

7月7日(月)

 「仙台七夕まつり」の、「豪華絢爛」な飾り付けは、どの部分がそうなのか知らないが、仙台刑務所内の刑務作業でつくられているという。そしてその作業をやる囚人たちのなかに、おそらくは無実の無期懲役囚、守大助さんがいるそうだ。
 「仙台七夕まつり」の賑わいを、現場でまたニュースで見るとき、守大助さんを思い出してほしい。

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 ウィスキィを飲みつつ原稿を書き、寝たのが午前5時半頃。これではもう午前の傍聴は無理か…。ところが、なぜか8時に、大した苦労もなく起きてしまい、裁判所へ。

 今日は、今年初めて、Tシャツの上に半袖のブルゾン、ジーンズ、下駄で出かけた。もう、これから原則、半袖と下駄で行くよ。こう暑くちゃねぇ。下駄については、だいぶ逡巡、躊躇してたんだが、考えてみりゃ、毎日スカートで来る男だっているんだもん、下駄だってえぇじゃないか、えへへ。

clip 10時から東京地裁・刑事13部(佐藤晋一郎裁判官)802号法廷で、被告人が「警視庁築地警察署留置番号1号こと氏名不詳の男」の、「窃盗」の新件。※ 前は1号だったが、今は20号だと被告人は言っていた。
 「窃盗」自体は、銀座のHMVでCD16点、5万140円相当を万引きし、店外へ出てすぐ捕まったといういうもの、なのだが、いやいや、はやはや、いやはや、これはびっくりの事件だった。
 被告人の容姿、仕草、そして何より、氏名も出身地も言わないその理由! 要するに、小学三年生の頃から、父親からひどい虐待を受け続けていて、中三か高一のとき家出して補導された際、絶対に戻りたくないと黙秘していたが、警察や家裁の説得に負けて白状したら、さっそく家に伝えられてしまったというエピソードがあり、もう誰も信用できないから言わない、と。
 しかもこの被告人、まだ19歳。家裁から逆送された事件なんだね!
 その家出の非行歴があるだけで、前科はナシ。家出のときは指紋を取られなかったので、今回、被告人が話さなければ本人特定できないわけだ。
 氏名不詳のままでは、執行猶予をつけるわけにもいかないだろう。懲役(実刑)にするしかないのか…。
 そしたらなんと、検察官の求刑は罰金20万円!
 うわ! そうだよ、2006年の5月末頃から、窃盗に罰金刑の選択肢が設けらてるんだ。罰金求刑の窃盗を初めて傍聴したよ! この被告人に罰金求刑とは、検察官、あんたって人は…と大いに感激したが、聞けば、家裁から逆送のとき、罰金刑に処するのが適当との意見が付されていたんだという。そっかぁ…。
 で、判決はどうするのか。裁判官によると、被告人が少年(未成年)の場合、労役場留置に換刑できないのだという。つまり、「満つるまで算入」(『裁判中毒』参照)で解放するわけにはいかないのだ。以下は少年法

(換刑処分の禁止)
第五十四条  少年に対しては、労役場留置の言渡をしない。

 しかし、被告人には資力がない。住所もない。捕まったときはマクドナルドやスーパー銭湯を転々としていたそうだ。罰金刑を言い渡して釈放した場合、刑の確定後に罰金の請求書類を、マクドナルドかスーパー銭湯に送る? そういうところに泊まるカネも、もう尽きるはず。
 いったいどうするんだろう。

clip 11時から東京高裁・刑事17部(植村立郎裁判長)717号法廷で、「ストーカー行為等の規制等に関する法律違反」の判決。
 被告人は、見た目60プラスマイナス数歳のオバサン。ちょっと男っぽいといえるか。被告人は女性、ストーカーの被害者も女性、という珍しい事件だ。原審は東京地裁。たしか私は一度も傍聴してない。
 被告人は最初、なんだか思い詰めた風に座っていて、植村裁判長が「本件控訴を棄却する。当審における訴訟費用は被告人の負担とする」と判決を述べ始めると、鼻水をすすりだし、「元職場の同僚であった本件被害女性…甲女(こうじょ)としますが、甲女48歳に対し…」という部分から、うううと声を出してさめざめ泣き始めた。
 控訴の趣意は、事実誤認。恋愛感情うんぬんではなく、謝罪を求めたのだ、という主張。しかし、「交際願望の意志を示していないからといって(ストーカー行為)にならないことはありません」と植村裁判長。
 ははぁ、「脅迫・威力業務妨害」の裁判で、つまり、本人がいくら「その行為が××に当たるとは思わなかった。××する気もなかった」と言い張っても、誰が見ても××としか言いようのない行為をすれば、それは××なのだ、という考え方を、ふむ、そりゃそうだわねぇ、と聞いたが、この認定もそれのようだった。
 言い渡しの途中、
被告人 「(鋭い泣き声で。以下同) 電話かけてませぇん!」
裁判長 「静かにしてください」
 ………
被告人 「謝罪してませぇん!」
裁判長 「静かにしてください」
 ………
被告人 「聞いただけですぅ!」
裁判長 「これ以上発言すると、退廷を命じます」
 ………
被告人 「面会要求なんかしてませぇん!」
裁判長 「ほんとに静かにしてください」
被告人 「(聞こえない風に) 冗談じゃないですよ!」
裁判長 「じゃ、退廷を命じます」
 廷吏(若い男性)が被告人のそばへ行って声をかけると、被告人は憤然とした風に、バッグを持って、傍聴席側のドアから出ていった。
 それから、「精神病院に措置入院させられ…」と裁判長が判決理由を読み上げてるとき、傍聴席側のドアにごそごそ音が! 被告人が戻ってきたのか? 見ると、阿曽山大噴火さんが入ってきたのだった。ずこっ。
 閉廷後、廊下に被告人の泣き声が聞こえており、一般待合室を見たら…!

clip 11時30分から高裁・刑事11部(池田耕平裁判長)715号法廷で、6月10日に第1回を傍聴した「過失傷害」(自転車の交通事故)の判決。
 検察官は、佐藤仁志さんというのかな、眉が濃く、時代劇のお役者風。廷吏は、初めてみたとき、「誰かに似てる。誰だっけ」とずっと悩み、「あっ、永島慎二さんの漫画の登場人物だ!」と気づいて、なんだか涙が出そうになった、娘さんだ。傍聴人は、被告人の家族か関係者らしき女性2人と、この日裁判所のあちこちで見かけた若いカップル。
 判決は、控訴棄却、当審における訴訟費用は不負担。

run それが11時45分に終わり、地下の郵便局へ。
 少しカネを引き出そうとATMの前に立ったら、突然警報音が! なに? 現金の取出口に、前の人が取り忘れた現金が。手に取ると警報音は止み、現金を数えると6万円。あらま。窓口の職員に渡し、食堂へ…。
080420_14180001  そのとき、昨日のことが思い出された。私が昔、貧乏な頃、小さなパン店へコロッケパンか何か買いに行ったとき、店先の路上に1万円札が1枚落ちていて、私は「落ちてましたよ」と店のオバサンだったかオジサンだったかに渡したんだけど、その話になり、「なんて馬鹿なの。なんで警察に届けないの」と、昨日妻子からめっちゃ馬鹿にされたばかりなのである。
 それで、郵便局に戻り、こういう拾得についての手続きはあるのか尋ねてみた。すると、拾得者が申し出た場合は手続きがあるらしい。所定の書類に書き込んでたら、6万円を取り忘れた中年男性が来た。そりゃすぐに気づくよね。じゃもういいや。私は食堂へ。そば食堂で、かけそば210円+大盛り80円=290円。
 それから1階へ戻り、一服。突然、気づいた。携帯電話がないよ! 落としたのだ! どこで? 715号法廷で、携帯電話で時刻を確認したのは記憶してる。そのあとだ。でも、腰のベルトのポウチから裁判所の硬い床へ落とせば、嫌な音がして、気づかないはずがない。気づかないのは、どんなシチュエーション? 椅子…?
 そば食堂で尋ねたが、なし。裁判所の管理課へ行ったが、届けはなかった。
 うろうろしてるうち、さっきの取り忘れの男性にばったり。私を捜していたのだという、謝礼のために。いやそんなのぜんぜんいいですよと固辞。拾得の手続きをしたのは、妻子に言い訳するためだし、だいいちねぇ、そんな謝礼を受け取ってる場合じゃないし(笑)。
 昼休み中で申し訳ないけど、15階の高裁刑事11部へ。上述の娘さん(廷吏)がニッコリ、法廷を開けてくれた。でも、携帯電話はない。が、私は不思議と心配してなかった。すぐに戻ってくる確信のようなものがあった。
 結局、もう一度管理課へ行ったが届けはなく、念のためにと郵便局へ行ったところ、職員らがニッコリ。そりゃそうだ~、6万円を拾って自分の携帯電話を落っことしていった、珍しいオヤジだもの。かくして携帯電話は戻った。拾ってくれた方、ありがとございました。
 解決したことを伝えに、管理課と高裁刑事11部へ。あ~、今日は裁判所内を歩き回ったな~、下駄で(笑)。

clip 13時05分から、東京地裁・刑事11部(小池勝雄裁判官)405号法廷で、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反」の判決。
 電車内における痴漢行為で、懲役8月、訴訟費用負担。同種罰金前科があり、2004年5月には懲役8月、執行猶予3年の判決を受けており、その猶予経過後1年足らずでの犯行なんだそうだ。20万円を支払って示談し、寛大な処分を求める上申書を被害者から提出してもらったが、実刑である。
 言い渡しが終わると検察庁の職員が2人、バーのなかに入り、保釈取消の手続きを。ちなみのこの女性弁護人は、どこかで見たような。

 13時07分、405号法廷を出ると、隣の404号法廷の前に、開廷待ちが5~6人。13時30分から「死体遺棄」の新件があるのだ。21歳の母親が乳児の遺体をコインロッカーに遺棄したという事件。もう並んでるのかよ。てゆっか、こういう事件を狭い法廷(傍聴席20席)でやるなよぉ、この場をいったん離れたら、もうこれは傍聴できないだろな~、と思いつつ私は8階へ。

clip 13時15分から高裁・刑事9部(原田國男裁判長)805号法廷で、「不動産侵奪」の判決。
 被告人はお爺ちゃん。「移動飲食業」だという。市営住宅の敷地内に穴を掘って支柱を立て、適法な占有権限がないのに店舗(報道によればラーメン店)を設けたんだそうだ。器物損壊で懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受けての、その猶予中の犯行なんだそうだ。原審は、求刑が懲役1年6月で、判決は懲役10月。控訴審判決は、控訴棄却、当審における未決40日算入。お爺ちゃん、2年4月の刑期で下獄することになるのか。
 13時21分閉廷。

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flair 404号法廷を念のため見に行くと、若いカップル(上述のカップルだっけ?)が出てきた。この時間に出てくるってことは、満席で座れなかったんだな。私は直ちに踵(きびす)を返し、本日の傍聴はこれでオシマイ。
 飯田橋の、警視庁遺失物センターへ。だいぶ前に、裁判所内で拾って管理課へ届けた18金の鎖状のネックレス、持ち主が現れなかったので、受け取りに行ったのだ。
 2時間半しか寝てないのに眠くならず、6万円拾って携帯電話を落とし、昔拾ったネックレスを受け取りに…。非常に珍しい日といえるので、帰り、思いついて宝くじを1000円分買ったょ(笑)。

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2008年7月 2日 (水)

そしたらもう、野垂れ死ぬしかありません

 10時から東京簡裁・刑事1室3係(八木澤秀司裁判官)534号法廷で、「道路交通法違反」の新件。
clip 急いで法廷に入ると、前の「建造物侵入・窃盗」の判決を言い渡してるところだった。被害者は複数いて、1人は24歳のフランス人教師らしい。学校へ入り込んで教職員らの金品を窃取した、そんなふうな事件らしい。被告人は起立の姿勢がびしっとしており、服役前科あり? 八木澤裁判官は、こういう事件は被害者同士お互い疑心暗鬼になったり、そういう迷惑もあることをよく考えて…などと長々説示していた。窃盗の常習者にそんなこと言っても無駄だろうに、とは思うがしかし、明らかに統合失調症と思われる人に、病院へ行くよう、無駄を承知で勧めることも、もしかしてそのうち「あっ、やっぱり俺は病気なのか」という気づきにつながる可能性がある、という意味で有用だと、私は精神科医からアドバイスをもらったことがあるけど、ま、それと同じ面もあるのかもしれない。でも、とにかく、くどくど長い説示と思えた。

clip 10時1分から、「道路交通法違反」の新件。
 被告人は60歳。身柄(拘置所)。ひどく痩せてひょろっと背が高く、堀内信明・元裁判官を思わせた。
 月の収入は10万円前後、しかし会社から月4万円で普通貨物を借り、寮費が2万1000円で、残りから燃料代など出すと、ほとんど残らないという「古紙回収」の仕事をしており、食事は1日2回のとき、1回のとき、抜くとき、いろいろなんだそうだ。それで2004年に運転免許の更新時期がきたのはわかっていたが、4000円くらいの更新手数料をどうにも捻出できず、免許は失効し、そのまま運転し続け、今年5月、ナンバー灯が切れているとして(被告人によれば接触不良)、停止を命じられ…という事件。寮の荷物は身柄拘束中に「ぜんぶ捨てられちゃって、もう入れません」。
弁護人 「逮捕されてどう思いましたか?」
被告人 「これで…もう終わりだと思いました。仕事も何もかも」
弁護人 「人生、終わりだと?」
被告人 「はい」
弁護人 「今後、仕事が見つからなかったら?」
被告人 「そしたらもう、野垂れ死ぬしかありません」
 淡々とした口調が、気のせいか堀内・元裁判官に似てるような。

 最近、“派遣”だの“下層”だの話題になってるが、そうした若者たちの行く末として、この被告人はまだ良いほうなんだろうと思う。犯罪傾向はなく、業過の罰金以外に前科はなく、健康状態にとくに問題はないそうだから。
 被告人が捻出できなかったという免許更新の手数料、人件費は時給4千ナンボで計算され、どこからどこまで交通安全協会が独占契約していると知ったら、被告人はどう思うんだろう…。
 ちなみに、被告人の勤務先かどうか不明だが、「マツザワシギョウ」という業者名が聞こえた。えっ? それって、あの「世田谷リサイクル条例違反」(拙著『裁判中毒』参照)に出てきた業者では?
 10時30分閉廷。

clip 10時30分からの、東京高裁・刑事9部(原田國男・田島清茂・左近司映子裁判官)805号法廷の「道路交通法違反」の控訴審第1回を、10時37分頃から傍聴。
 これも無免許だった。
 無免許で執行猶予判決を受け、その猶予中、妻が運転する車に同乗していたところ、妻の具合が悪くなり(のちに警察で嘔吐)、ダンプなど交通量が多い道路だったため、路肩に駐車して休むのは危険と思い、少し先の駐車場までと運転を交代したところ、一時停止場所で、徐行はしたものの完全な停止を怠って捕まり…という事件。原審は懲役6月(実刑)。
 夫(被告人)が刑務所へ行けば、家のローン月々10万円(2053年まで)、車のローン1万円、子ども3人の教育費5~6万円、光熱費5~6万円、その他生活費7~8万円が払えなくなり、家族が路頭に迷う、のでどうか再度の執行猶予を、と。
 弁護人は、後期高齢者かと思えるお年寄りで、くどくど長い証人尋問と被告人質問だった。私はイライラしたが、裁判官らは無表情だった。
 10時58分閉廷。

 どうも体の調子がおかしい。これはあれだ、風邪ぎみなのだ。午後の傍聴はパスして、早く帰って薬を飲んで寝よう、でも、その前に、11時30分からさっきの534号法廷で、元総理大臣と同姓同名の被告人の「建造物侵入・窃盗」の新件(時間からしてたぶん即決裁判手続き)がある。それだけちらっと傍聴して…。

clip 早めに534号法廷に入ると、前の「窃盗」の被告人質問をやってた。
 品川駅構内での仮睡盗だった。
検察官 「こういう場所で仮睡盗をやると、縄張りがあるの、知ってます? 警察に捕まる前に、そういう人たちに…」
被告人 「あっ、知らなかったです」
 へぇ、仮睡盗に、窃盗団だか暴力団だか知らないが、縄張りがあるのか。仮睡盗をやるなら、許可を得て、稼ぎの一部を納めなきゃいけないのか。犯罪者もたいへんだ~。
 被告人(身柄、拘置所)は、ずんぐりしていて、肘から手首までの長さと、手首から手の指先までの長さとが、あまり変わらなかった。
 起立の姿勢がビシッと良く、累犯前科を含む前科・前歴多数なんだそうだ。求刑は懲役2年。

clip 11時35分頃から、「建造物侵入・窃盗」の新件。
 「自己の体内に」電子機器(新宿で中国人風の男性から20万円で買った「体感器」)を密かに取り付けて中野のグランパへ入り、回胴式の遊技機(つまりパチスロ)で大当たりを引いて遊技用メダル83枚を窃取したところ、防犯カメラのモニターを見ていた店員が、被告人の右手の動きに不審感を持ち、声をかけて発覚したんだそうだ。
 この即決裁判手続きの公判だけ、どきどき見かける立会検察官(氏名不詳者。頭薄い)に交代したんだけど、ま~、これほど偉ぶる検察官も珍しいんじゃないか。「俺は偉いぞ。お前はクズだ」というものが、全表情、全仕草から満ち満ちあふれてる、みたいな。
 直ちに判決。懲役1年6月、執行猶予3年、訴訟費用不負担。
 12時14分閉廷。
 どこの食堂へも寄らず、とっと帰る。原稿があと2本あるし。

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 3日(木)11時から東京高裁822号法廷で、第2次Nシステム訴訟の控訴審の第2回の口頭弁論期日があるよ~。

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2008年5月28日 (水)

特定の女性を狙ってのひったくり

5月27日(火)

 通風発作の痛みはだいぶ和らぎ、しかし靴はまだ履けず、下駄でひょこひょこ裁判所(東京千代田区霞が関の裁判所ビル)へ。あ~恥ずかしい。
 めっちゃ忙しいのだけど、簡単に報告を。

clip 9時55分から簡裁728号法廷で、働かない弟から逃れようと警察官を殴りに行った「公務執行妨害」の判決。罰金30万円、満つるまで算入
裁判官 「むしゃくしゃするってことは、社会でよくあると思いますが、警察官、ぜんぜん関係ないですからね」
 終わって、
弁護人 「あの、罰金全部チャラだからね」
被告人 「あっ、ありがとうございます!」

clip 同じ728号法廷で10時00分から、「道路交通法違反」(無免許)の判決。罰金25万円、満つるまで算入。
裁判官 「去年の10月に略式、無免許で受けてますよね。幸い、人身事故は起こしてないようだけども、違反もいっぱいあるようなんで、十分注意してください」

clip あと午前中に傍聴したいのは、10時45分から簡裁534号法廷の「窃盗未遂」のみ。 10時05分から「住居侵入、建造物侵入、窃盗」の判決が728号法廷であり、ついでに傍聴。
 若くて背が高く、イメージ的に悪そうな被告人。でもラーメン屋を開く夢があるんだという。無施錠のドアから侵入して盗むという手口で、被害総額約100万円。累犯前科あり。懲役1年4月、未決50日算入。

clip いったん728号法廷を出たが、廊下の開廷表に10時30分から「暴行」があるのを見つけ、傍聴してみることに。いやはや、これが、驚いた。10時45分から簡裁534号法廷の「窃盗未遂」はパスすることに。
 マンション下の公園で小学2年生女児に対し、からかってやろうと、足払いして倒し、馬乗りになって手をひねり、罰金20万円の略式命令を受けたが、不服があって正式請求した、という事件。10時45分からの「窃盗未遂」はパス、こっちを最後まで傍聴することに。
 被告人は、なかなか良い感じともいえる45歳なのに、アルコール依存症で、罪状認否や被告人質問でのやり取りが、漫画的というかなんというか、被害女児の母親の証言も含め、私の傍聴ノートは13ページにもわたってしまった。傍聴本の第2弾を出せるなら、ぜひ載せたい事件だった。
 求刑は罰金20万円。次回判決。
 11時15分までの予定だったのに、11時42分閉廷。

clip すぐに、11時15分からの予定の「窃盗・窃盗未遂」の被告人が、手錠・腰縄で入ってきた。ひどく待たされて、刑務官も被告人も可哀想。
 入ってくるなり、被告人は傍聴席の男を見て、
被告人 「あれっ、係長、どうしたの!」
 と、うれしそうにニッコリ。傍聴席の男は警察官のようだ。
 なんとなくこれも傍聴することに。
 起訴事実は2件。1件は、高田馬場の書店でのコミック本8冊の万引き。そしてもう1件が、びっくり。新宿で氏名不詳の男から、ある女性のバッグをひったくるよう、その女性宅の門が写った携帯電話写真を見せられて依頼され(報酬は1万円)、夜、待ち伏せたが女性は帰宅せず、翌朝、出かける女性をつけ、世田谷の代田橋の駅前でひったくろうとし、抵抗され、たまたまバスを待っていた会社員に私人逮捕された、というのだ。そんなひったくりって、あり? 氏名不詳の男の狙いはなに?
 検察官のほうで調べることがあるそうで、続行となった。
被告人 「うわ、めんどくさ! また来なきゃいかんよ」
 再び手錠・腰縄をつけられるとき、傍聴席の男に振り向いて言った。
被告人 「カトーレンゴーのケーが捕まっとるよ」
 そして、「早く終わらせてくれよ」とつぶやき、「3年だろ?」と検察官に声をかけ、刑務官に挟まれて奥のドアから出て行った。うわ~。
 12時20分閉廷。

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clip 13時15分から地裁725号法廷で、第1回を見逃した「公務員職権濫用・強制わいせつ」の判決。
裁判官 「被告人を懲役2年に処する……」
 なんだこの“間”は。執行猶予をつけるのか? 被告人は期待したに違いない。
裁判官 「……主文は以上です」
 実刑である。内容は報道されてる
 この片岡理知裁判官、私はお初。なんと言っていいのか、だいぶ変わった人だと思う。被告人は保釈で、実刑判決により保釈が取り消されることになったのか、検察庁の職員2人に連れられ、奥のドアから退廷。

clip 同じ法廷で、続いて13時30分から「業務上横領」の判決。営業主任をやっていた会社から、17回にわたり、総額1千万円を超えると思われるアルミニウム板、総計19トン弱を横領し、スクラップ屋に140万円くらいで売却したんだという。懲役2年、未決30日算入、訴訟費用不負担。

noodle さぁ、これで今日の傍聴は終わり。腹へった。1階へ降りると、例の娘さんがいて、毒人参さん(今発売中の『ドライバー』の「女一人で海外裁判傍聴の旅 世界の裁判ここにあり!」参照。北欧、東欧あたりのパトカー写真満載)と、某大学院生君にも会い、4人で国土交通省の食堂へ。途中、警視庁と警察庁へ寄り道して…。
 食後、合同庁舎2号館と3号館の間の、あの公園みたいなところで、4人で休憩。日差しが暖かく、幸せ~。

foot 帰宅して仮眠。足はもうだいぶ良くなった、明日には快癒だろう、と思ったのは一瞬、今度は同じ右足の、親指の付け根付近に嫌~な痛みが。だんだんと痛みは増し、赤く腫れてきた。息をするのも苦しいくらい。これってば、本格的な通風発作だ~! 中指の次は親指って、そんなのあり!? 28日(水)は11時45分から405号法廷で、5月21日に第1回を傍聴した「脅迫」の判決があるのに…。

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2008年5月23日 (金)

農林水産省に愛国ランチ?

 朝の丸の内線は、熱帯植物の温室のようだった。エアコンの故障なら故障と、アナウンスがあるはず。ないところを見ると、駅員は知らないわけで、これは通勤人たちを疲弊させて国力を減衰させ、かつイライラ犯罪の増加を期待する、敵国工作員の仕業かと思われ…。

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 9時50分から簡裁534号法廷で、5月14日に第1回を傍聴した「道路交通法違反」(首都高4号線下り赤坂のオービスによる62キロ超過)の判決。
 傍聴席に、丸5年間にわたり簡裁の道交法を傍聴し続けてきた私からすると、不似合いな若めの女性が。この人、昨日の地裁519号法廷の道交法違反にいた女性では? もしそうだとすると、何者?

 判決は、オービスのメーカーの言い分を理由もなく信じたうえで、その信じ込みを崩す特段の事情(要するに無実の証拠)が(そんものを殊更残さなくしてあるのがオービスなのに)ないからと、求刑どおり罰金10万円。
 それはまぁ、決まりきった判決であり、べつにいいんだけど(良くはないけど。笑)、八木澤秀司裁判官は、引っかかり引っかかり、ゆっくり長々述べたので、終わりが10時7分をまわってしまった。10時から地裁420号法廷で、5月16日に第1回を傍聴した「公然わいせつ」(逃げる女性を追いかけて自慰行為を見せつけ)の判決だったのに、間に合わなくなってしまった。

 んもぉうっ! と嘆きながら出たが…。
 阿曽山大噴火さんが法廷に残ってる。上述の女性も。他にも数人残ってる。なんで? ドアの外から小窓を覗くと、若く背の高い女性被告人が、留置場管理の警察官に挟まれて奥のドアから入ってきた。続いて覗いた礼田計さんが「あっ!」となった。その被告人の前刑の裁判を、礼田計さんは以前傍聴したんだという。おぉ~!
 つーことで、礼田計さんといっしょに直ちに傍聴席へ戻り…。

 (開廷表の時刻では)10時から「窃盗」の新件。
 杉並区のスーパーで缶コーヒーとコーラ、計184円を万引き。私服警備員が現認し、店外で私人逮捕。
 私は被告人を左斜め後ろから見ていたのだが、その角度からだと、かなりの美人。被告人席のすぐ後ろに痩せた母親がいて、俯いて目を閉じたその横顔は、ヨーロッパ方面の美人のよう。
 母親の知人を介してアパートを借りてもらったのだが、「めんどくさくて」働かず、最長1カ月くらい、一切食べずに籠もることもあり、電気はあまり使わないので止められても苦にはならず、「視野狭窄」で「孤立」していたんだという。しかしだいぶ本は読んでるようで、供述の端々に難しい熟語が混じるのだった。
 「アメリカンマイムの終焉」と聞こえたが、『アメリカン・マインドの終焉』なのだろう、その本のことが反省文に出てくるそうで、
裁判官「命について書かれてる…。生き方について悩んでたのかな?」
被告人「はい」
 というシーンがあった。だいぶ古い本だ。被告人は古書店で1冊100円で買ったんだろうか…。
 前刑は、同じく万引きで、懲役1年2月、保護観察付き執行猶予(3年2年。宣告は2006年7月14日、7月29日確定。礼田計さんによれば、同じ534号法廷で、堀内信明裁判官が言い渡したんだそうだ。おぉ~! しかし一度も保護観察所へは行かなかったという。今回、実刑は免れないだろう
 ちなみに、この弁護人、雰囲気的に被告人と逆なんじゃないかと思えた。人生、なにがどうなるか、ほんと、わからんものである。
 本件の求刑は、懲役1年4月。10時56分閉廷。

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 冒頭で触れた若めの女性は立たず、ちょっと癖がありげな傍聴人(次の被告人の関係者)が入ってきたので、引き続き傍聴することに。
 次は(開廷表の時刻では)10時45分から「窃盗」の新件。
 バイクの女性と2人乗りして獲物を探し、ドライバーで錠を開けての、車上荒らし。罪状認否は、
被告人「間違いありません」
 これも2008年の、2月に東京簡裁で、車上荒らしにより懲役1年6月、保護観察付き執行猶予3年の判決を受けており、実刑は免れないだろう。追起訴があり、他にも追起訴の可能性があるとのことで、弁護人は存分に弁護活動を行うつもりのようで、しばしモメ、続行。

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 もう眠くて眠くて、もう帰りたいのだが、15時まではなんとか居ようと…。
 地下で、かき揚げ付き、かけそば大、計380円を食べ、419号法廷の近くの一般待合室で座ったまま仮眠。左腕がしびれてしまった。
 礼田計さんに起こされ、地裁429号法廷で「道路交通法違反」の新件。
 首都高・環状線・外回り、港区芝2-2のオービスによる80キロ超過(測定値130キロ)。ま、ごく普通の事件、ではあるんだけど、いやはやなんとも。被告人のスーツ、靴、家族の事情、反省の弁、弁護人、検察官、そして園原敏彦裁判官の訴訟指揮、どこからどこまで「うっわ~!」な、興味深い裁判だった。詳しく書くと、そうとう面白いと思う。でも書くヒマない。ごめんね。
 求刑は相場どおり懲役3月。14時37分閉廷。

 そして15時から、簡裁728号法廷で、5月16日に傍聴した「住居侵入」(前刑[殺人で懲役10年]の出所後まもなくの犯行)の判決。懲役10月、未決20日算入、訴訟費用不負担。

 さて帰ろう。帰って少し仮眠してから、アジア記者クラブ2008年5月定例会<<「事件」など存在していなかった北陵クリニック冤罪事件 司法劣化、検察と報道の共犯関係を検証する捜査の現状を知る>>へ行かねば。

 …んが、帰る前に来週の高裁の予定をチェック。来週はもっと忙しくなりそうだから、と思いつき、農林水産省で、だいぶ前に開示決定が出ていた食堂関係の文書「06年07年度の食堂の公募要綱及び企画提案書及び企画提案があった社のリスト」4件の開示を受ける。こっ、これはすごいぞ! 「愛国ランチ」というにふさわしいメニューが義務づけられてたり。いいね!
 北別館の新食堂群は、6月1日は無理そうだが、6月中にはグランドオープンになるらしい。メディアの記者諸氏よ、報道するときは、私がゲットしたこの文書を見とくといいですよ。うわはは。なに? 開示請求マニアだからマニアックに喜んでるだけ? ふんっ。
 その開示を受けてる途中、最高検の情報公開の係から電話があり、検察庁へ。そうこうしてるうち17時に近くなり、また裁判所へ戻って来週の簡裁の予定をチェック。もう腹がへって疲れ果ててしまい、悩んだ末、上記定例会はパスすることに…。

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2008年4月 9日 (水)

ロッカー荒らしと仮睡盗

4月8日(火)10時30分~ 窃盗2件

 午前は他に傍聴予定がなく、そうだ、と思いついて簡裁の「窃盗」の新件を2件連続、傍聴してみた。略式で(つまり罰金で)すむはずだったのに、なにか不服で公判廷へ出てきた、という事件があるかもしれないので。
 窃盗の罰金に当たる確率は、ものすごく低いだろうけど(そのへんの詳しいことは『裁判中毒』参照)、地道に傍聴を重ねるしかない。

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 10時30分からのは、ロッカー荒らし
 被告人は40歳、身柄(拘置所)。中卒後、職を転々。少年時代に窃盗の前歴1、20歳になって窃盗(車上狙い)で懲役10月、猶予3年、同じ年に何かで科料3000円。
 3年前に父親が亡くなりその遺産100万円を相続したが、父親の借金を返したり、妹の借金を返したり、母親が脳梗塞で車が要るというので買ってあげたりで、もうない。母親や妹は自分の生活で精一杯で情状証人には来られない。
 建築現場や清掃のアルバイトをしながら、昨年からはカプセルホテル、サウナ、ネットカフェに泊まりつつ警備員の仕事(1日6000円)を勤勉にやっていたある日、大森北のカプセルホテルの浴室脱衣場で、たまたまそばのロッカーに鍵が刺しっぱなしになっているのに気づき、経済的に困窮していたことから、中にあった財布を窃取し、現金5万5000円を抜いて財布は公園の植え込みに捨てたものの、もともと高血圧で前に脳梗塞をやったこともあることから、ドキドキして具合が悪くなり、飯田橋の警察病院へ行き、警備員の仕事を休んでしまった…。
 防犯カメラの映像から人物を特定されたのだという。現在の所持金は2万円くらい。

 建築現場の日払いのアルバイト、という被告人は多い。
 私も昔、というのは20数年前か、やったことがある。便利屋「ザ・ゴリラ便」の仕事で。当時はバブルの時代。いろんな仕事があったのだ。
 ビルやアパートの建築・改装の現場で、ハツった瓦礫を、あれはなんていう呼称だっけ、ずだ袋に押し込んで、トラックに積んだり、トラックに満載の石膏ボードを数枚ずつ抱えて運んだり、エレベーターなんか動いてないから、相当の重労働だった。
 依頼者は1時間3000円+出張料(1000~3000円程度)を払う。そのうちバイトの取り分は、1時間1500円以上+出張料のほとんど全額、だったかな。1500円以上ってのは、3000円のときもあるってことで…。

 11時15分からのは、仮睡盗
 被告人は23歳、身柄(拘置所)。専門学校を退学になり、ヤクザにあこがれて上京、住吉会系の組に入ったが、昨年10月、破門に。暴力団員になる前に、占有離脱物横領、軽犯罪法、傷害・逮捕監禁など前歴4。
 2人の人物を捜すよう頼まれ、その人物らは早朝いつも山手線で寝ていることがわかっていたので、山手線を乗ったり降りたりして探したが見つからず、疲れて寝ようと座席に座ったところ、隣の男性が酔いつぶれて眠っており、ズボンの尻ポケットから財布(現金8万460円と40米ドル入り)を抜き取った(被告人によれば座席に落ちたのを拾った)ところを、スリ・置き引き等の警戒へ当たっていた警察官に現認され…。
 起訴されるまで否認しており、暴れるおそれがあるとされたのか、いつも2人の刑務官が3人だった。
 12時5分閉廷。

 いずれも求刑は懲役1年6月。
 いずれも東京簡裁・刑事2室2係、728号法廷。
 裁判官(小川利行さん)、検察官(日下部敏さん)、書記官、みんな新しい人たちだった。

 裁判所の地下の食堂は、長蛇の列。
 国土交通省の食堂でラーメン大盛り400円。
 途中、合同庁舎2号館(警察庁と総務省が入ってる)の地下食堂を見たところ、閉まっており、4月10日グランドオープンとポスターが。
「随意契約はいかん、公正な競争入札でやれ」
 というブーム(?)の影響で、あちこち激しく入れ替わってるんだろうか。
 ところが農林水産省の場合、ずばりの随意契約ではないものの、どうも入札とはほど遠いやり方のようだし、「公正な競争入札」にすれば大企業が独占するばかり…。
 やっぱ私が食堂省大臣にならんといかんですたい(笑)。

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2008年3月27日 (木)

他人の郵便通帳に入れた自分のカネを自分で引き出すと窃盗

 なぁにぃ~? やっちまったなー!
 3月7日に被告人質問を傍聴した「道路整備特別措置法違反」の、たぶん第5回公判、15時からだと思い、締切りを2日過ぎた原稿を書きつつご相談等に対応しつつ、13時40分頃、「16時からだったら助かるな~。念のため確認しとこ」と手帳を見たら、なんと13時30分からではないか!
  15時=午後3時
  13時30分=午後1時30分。
 似てる…。「3」が4つもあるし…。
 いや、じつは、もう10年以上か使ってた手帳を、今年から変えて、視覚から受ける時間帯についての感覚が、以前とはちょっと違う…てゆっかボケが進行してるのか? 心配…。

 しかしまぁ、おかげで最低2時間半くらいは浮いたので、昨日のもう1件の裁判についてささっと書いとこう。

3月26日(水)13時10分~

 3月12日に傍聴した「窃盗未遂の判決。
 氏名不詳者と共謀し、不正に入手した他人の通帳を、無修正アダルトDVD販売の代金の入出金に使っており、ある日、いつものようにカネ(被告人のカネ)を引き出そうとしたところ、通帳の持ち主から亡失届けが出ており、郵便局の者から誰何(すいか)されて逃走、110番通報を受けて現場へ向かう警察官が、着衣等の特徴から被告人を見つけ逮捕…その後、通帳の持ち主は亡失届けを撤回したが、郵便局の通帳は、譲渡、質入れ、第三者の利用はできないとされており…という事件。
 誰のカネを窃取しようとしたことになるのか、通帳の持ち主か、郵便局か、聞き取れなかった。じつは、午前4時頃から起きてて、昼食後はもう眠くて眠くて、少し居眠りしちゃったのだ。

 「公務執行妨害、傷害」で懲役1年6月、猶予4年の判決を受けてから2ヶ月足らずの本件犯行であり、別種の犯罪とはいえ、たまたま通帳を借りて使ったのではなく計画性を有する犯行なので、被告人に有利な点は量刑のうえで考慮するのが妥当…と、懲役10月、未決勾留中80日をその刑に参入。

 前回と同じく傍聴席に、乳幼児を連れた若い女性がいて、被告人の妻子かと思われるのだが、再び手錠・腰縄をつけられて去るとき被告人の態度は冷たく、女性はムッとしたような表情だった…。

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 それから「裁判員制度はいらない!大運動」の関係で某弁護士事務所へ寄り、新宿駅まで某氏のジャガーで送ってもらう。ジャガー(の助手席)に初めて乗ったよぅ。
 そして、ミニホール新宿Fuで、「100円すっとこ」なるライブを途中から少し、初めて観る。
 いちおうお笑いのジャンルになるのか、しかしほとんど、どこで笑っていいのか、わかんなかった(笑)。ま、私は交通違反マニアで裁判中毒人で、観客としてちょっと特殊なんだろうとは思うけど。ただ、みなさん、腹からしっかり声が出てた。あれは大したもんだと思ったス。心地よかったス。
 お客より出演者のほうが人数は多かった。
 よくは確認してないけど、お客は全員男性だったかな。
 これが18時からの「すっとこどっこい」になると、笑えるかな~という部分が少し増え、お客は出演者の2倍くらいにはなり、しかもお客のほとんどが若い女性になるんだよね。
 ま~、ものすごく特殊な、刺激的な世界ではあると思う。傍聴マニアが裁判所へ通い詰めるようにライブへ通い詰め、“ライブ中毒人”となり、お笑い芸人評論家として其の道の達人となる、そんなのも十分アリだと思う。すでにそういう人、いるのかな。

 とにかく諸氏よ、お時間があったらいっぺん、スケジュール表を確認して、怖いもの見たさで行ってくるといいと思いますよ。

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2008年1月31日 (木)

その髪を切ったら人生変わるんじゃないか

1月30日(水)

clip 10時30分から、東京高裁720号法廷で、「傷害」の判決。
 被告人は不出頭。
 千葉のコンビニで、菓子パン1個をズボンの右後ろポケットに入れ、カゴにカレーパン3個を入れてレジへ行き、後ろの客(柔術の心得あり)から「万引になっちゃうよ」と言われ、店長が警察を呼んだので立ち去ろうとして、止めようとした客を蹴った、というふうな事件。
 原判決(罰金20万円)破棄、罰金10万円。
「罰金20万円は、重きに失するといわざるを得ない」
 えーっ、控訴審で罰金の原爆もとえ減額って、初めて傍聴したんじゃないかな。

clip 10時45分から、簡裁826号法廷で、「道路交通法違反」の新件。
 ちょうど45分に入ると、前の「窃盗、占有離脱物横領」の被告人質問をまだやってるところだった。
 すべて同種の前科・前歴多数。累犯関係にある前科もあり。服役経験5回。最終刑を仮釈放後、1年たたずしての本件犯行は、ふすま1枚を隔てた同僚の部屋へ、ゴミ出しをしてやろうと入り、こたつに置かれていた財布を窃取、その後、安易に足にしようと他人の自転車に勝手に乗ったんだそうだ。
 43歳の誕生日を取調室で迎えたそうで、求刑は懲役3年。
 服役前科が多数ある被告人は、最終陳述をじつにすらすら上手に述べるのだった。

clip 11時をすぎてから、「道路交通法違反」の新件へ。
 身柄(拘置所)の被告人が入ってきて、一瞬、ギョッとなった。濃い髪が、口の上あたりまで垂れて、顔がぜんぜん見えない。
 起訴事実は無免許運転。車のチューンというか整備が好きだそうで、寄宿先の主人の車の、タイヤを交換してあげるに当たり、車を持ち込んだほうが安いからと、タイヤ屋を探して運転したらしい。
 木村昇一検察官の、ちょっと説教を交えた被告人質問に対する被告人の供述は、そんなの当然わかってるよ、車関係の仕事を始めることになってるんだから、任せとけよ、みたいな雰囲気がどうも感じられた。
 しかし(木村さんもしきりに心配していたが)無免許で車関係の仕事を始めるって、絶対ムリがあると思う。
 車を運ばねばならなくなったとき、どうするのか。
「知ってるレッカー屋がいるんで、そういう人に頼んで…」
 と被告人は言っていたが、他人の商売のためにそうそうタダでレッカーしてくれる者がいるはずもなく、結局は、儲けを出そう、赤字は避けようと、また無免許運転してしまうんじゃないか、それがお決まりのパターンなんだけどと、無免許運転の裁判だけで100件くらいの傍聴してきた者としては思わざるを得なかった。
 直ちに判決。罰金20万円、満つるまで算入。訴訟費用は不負担。
 あの髪をすっきり切ったら、人生だいぶ変わるだろうにと、薄い短髪の私は思うのだった。

clip 同じ法廷で11時50分から、「住居侵入」の判決。被告人は在宅。
 深夜、女性の肢体を覗き見るため、アパート玄関前の通路へ侵入したのだそうだ。
 同種罰金前科多数あり。本件犯行の1年足らず前に、同種事案で懲役1年、執行猶予2年の判決が確定しているのだという。
 判決は懲役1年。訴訟費用は不負担。
 終わって検察官が被告人に言ってた。
「確定したら検察庁で手続きしてね。いなくなったりしないでね。もし逃げたりすると全国手配がかかるから…」
 1階で、その被告人と弁護人が話してるのを漏れ聞いた。控訴するようだ。

 今日の826号法廷(刑事1室1係)は、岩垂正起裁判官ではなく、武内晃裁判官だった。武内裁判官の公判を、私は2004年から2005年にかけて15件傍聴している。その後、松本弘裁判官になり、2007年から岩垂正起裁判官になった。今日だけピンチヒッター?

flair ちょっとナゾのメッセージを。傍聴を重ねてると、冤罪臭いけど弁護人の弁護にも問題があるのでは、と思うことがある。「こんなの絶対無実だ! 警察、検察、裁判所が悪い!」とか、やたら息巻くのは、弁護人のやることじゃないはず。緻密に防御し、攻めなければ。なんであそこを突っ込まないの? と思うことがある…。

 農林水産省地下の第5食堂で、フライ盛り合わせ定食(半食)440円。満足~。

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clip 13時15分から、東京地裁415号法廷で、「業務上過失傷害」の判決。
 被告人(在宅)は、若めの女性。検察官は、以前簡裁のほうで立会いをやってた濱田立さん。禁錮1年2月、執行猶予2年。被告人は申請により免許の取消を受けたそうだ。

clip 13時30分から、東京地裁406号法廷で、「強盗等」の判決。
 1時間もとってるので、なんだろと傍聴してみた。傍聴席はパラパラだった。
 「等」は、暴行、強姦、強姦致傷など。そういう罪名も開廷表に書かれていたら、満席だったんじゃないか。
 懲役16年(求刑は20年らしい)、未決600日算入(事件番号は平成18年)、仕込みナイフ1本、手錠2個、ヒモ1本を没収、そして、一部無罪。
 被害者は、援助交際(売春とどう違うんだろ?)に応じた、いずれも20歳前後の女性ら、A嬢、B嬢、C嬢、D嬢、E嬢で、判決理由には、「両手両足に手錠をかけ」「口の中に放尿」などの言葉が聞こえた。避妊具を用いず、膣内に射精もしたらしい。
 1984年に、連続強姦で懲役13年を宣告され、仮釈放までだいぶ長期間服役したんだという。
 一部無罪は、E嬢のぶんで、E嬢は3回の公判不出頭をくり返したんだそうだ。したがって、弁護人が不同意としたE嬢の調書は採用できないからという、つまりは法律手続き上の無罪らしかった。

train 15時ちょいすぎ、角川書店へ。新書の校正刷りのチェック。

 お知らせ: 2月8日というのは私の間違いだったようで(ごめんなさいっ!)、2月1日、新雑誌『冤罪File』が創刊される。表4を除いて広告なし、128ページで380円。当面は季刊。私も、当ブログで少し紹介してきた「スリ未遂冤罪」について、どかんと6ページにわたってまとめさせてもらった。
 冤罪が次々と報道され、来年には裁判員制度がスタートする予定のこの時期、まことに時宜を得た創刊であり、今週発売のサンデー毎日、2月1日の「The Japan Times」、2月2日朝6時30分過ぎのTBSラジオなどで取り上げられるそうだ。

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2008年1月24日 (木)

弁護人と被告人の信頼関係が破壊

 またやってしまった! コピーせずに記事を送信し、全部消えた。いつに増して素晴らしい記事だったのに。餃子を焼けと電話があり、あわてたのがマズかった。って何の話だ。私は餃子を焼くのが上手なんだよぅ。

 もう時間がないので一部箇条書きする。

1月17日に第1回を傍聴した「廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反」の判決は、求刑どおり罰金40万円。略式命令の金額をムリに正当化する論法が感じられた。

・同じく1月17日に第1回を傍聴した「窃盗未遂」は、懲役1年6月、執行猶予3年。これはまぁ妥当なところなんじゃないだろうか。

・被告人の身柄が留置場で、執行猶予判決のとき、その場で釈放されて被告人は自力で留置場へ戻ることになるんだが、弁護人はそのことをぜんぜん知らなかったようで、非常に微笑ましいセリフが聞かれた。いいな~、心温まるな~と。

・もしや電車内でのスリ未遂の否認かと、「窃盗未遂」を2件チェックしたが、違った。そうそう当たるはずもないわね。ただ、うち1件(ひったくり未遂)は、たいへん哀しい侘びしい事件だった。

・今年初めての、簡裁の道路交通法違反の新件。おそらくは光電式の、ネズミ捕り、78キロ超過。否認。弁護人(若い女性。裁判所の職権で付された国選)が、イカにもタコにも嫌で嫌でたまらないという風情だなと思ったら、「私と被告人との間の信頼関係があまり…破壊されているようなので…」と言いだした。被告人も「こういう方針でやりたいと申したところ、それではヤリたくないと…」と。弁護士にとってはそんなことはいくらでもあるだろうに、あの態度はちょっといただけないのではないか。ま、お互い人間、最初はそれで始まり、やがて…ということもあるだろう。次回警察官を尋問の予定。

・霞が関倶楽部の方と話し、「そもそも現場を走行してない」という「自動車運転過失致死・道路交通法違反」(つまりひき逃げ死亡事故)の審理が地裁で続いていると聞いた。

・やっぱりどなたも、長く傍聴していると、「真実はわからない、証拠はどっちもどっち、のときは裁判官は有罪の理由だけ拾って有罪にする」と感じるようだ。無罪の可能性と有罪の可能性、4対6なら、もう完全に有罪。5対5でも6対4でも、言うまでもなく有罪。9対1でも、ま、普通は有罪。10:0でも、11対-1でも、起訴事実自体がないという主張だったら、有罪だろう。だから裁判所は検察・警察からナメられるのだ。警察庁の「冤罪防止」というのも、だいぶナメた話だと思う。「防止のポーズをとりましたから、裁判官殿は安心して有罪にしてください」ということか。

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 角川の新書のほうが、校正刷りを待ってあとがきとコラムを書く、という段階になり、少し余裕ができたのに、月曜から木曜まで裁判所へ通い、あれもこれもぜんぜんできないまま、雑誌原稿の締切りが近づき…。

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2008年1月17日 (木)

もしも傍聴マニアが弁護人になったら

 13時15分から地裁のほうで「集団強姦」の判決があったが、あまりに腹がへって、地下のそば食堂で、大がけ(かけそばの大盛り)280円。

clip 13時30分から、東京簡裁728号法廷(石井清弘裁判官)で、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反」の新件。
 この罪名、地裁ではときどきあるが、簡裁では超レアなんじゃないか。
 つーことは、
  ・何か不服があって略式に応じなかった
  ・いったん略式に応じてから、本人自ら正式を請求した
 のどっちかのはず、どんな不服があったのか、と傍聴したわけ。
 後者の事件だった。
 被告人は63歳。ま、要するに、こういう主張か。
「処分を頼まれた荷物のうち、どうしても残った冷蔵庫とタンス(111.9kg)を、レンタカーを返すに当たり、翌日まで道端に置いたところを現認されて検挙された。廃棄するつもりではなかった。罰金40万円は高すぎる」
 翌日またレンタカーを借りる予定という話は真実のようで、前後の関係からも、廃棄の意図まであったのか微妙な感じ。
 最初から一貫してそのとおり主張・立証していれば、不立件か不起訴だったかもしれないのに、どうも、こう考えたらしいんだね。
「廃棄と見られても仕方なかろう。でも、こういう事情なんだから、罰金といっても大したことなかろう」
 それはダメですよ、拙著にさんざん書いてるとおり。

 ま、それはそれとして、この被告人(63歳)と、さらに弁護人(被告人と同年代か若干年下?)が、個性的で個性的で。びっくりしたです。

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clip 被告人質問を途中で終えて、同じ法廷で14時20分から、「窃盗未遂」の新件。
 こっちの被告人も63歳。財閥系とでもいうのか、某有名企業の課長氏。
 電車内でのスリ未遂だった! 開口部の広い女性バッグの! うわあ!
 しかし…。
 最初は否認。以前スリ盗ったカード類を発見され、刑事(捜査3課!)から説得され、自白。
 警察官の氏名は、傍聴席からはわからなかった!
 スリの現場を目撃し、その後、開口部の広い女性バッグが目の前にあるのを見てつい…で始めるようになったんだという。
 前科はなく、盗犯の前歴が2つあるというのだが、いやはやそれがなんとも。いや、被告人が悪質だっていうんんじゃなく、なんといっていいのか、もしも被告人が言うとおりだとすれば、そんなことがあるのか、そんなものが「盗犯の前歴」になるのか、と…。
 求刑は懲役1年6月。次回判決。
 15時9分頃閉廷。

clip 15時10分から、さっきの廃棄物処理法違反の被告人質問の続き。
 の予定なのに、被告人と弁護人が戻ったのは15時13分。
 求刑は罰金40万円。
 弁護人が個性的な調子で弁論する間、裁判官がじーっと弁護人を見つめてた。
 15時49分閉廷。
 地裁のほうで15時から「名誉毀損」の新件があり、行ってみたが、もう終わってた。

pen 霞っ子クラブのユキさんと、いわば一匹狼(一匹子猫ちゃん? わはは)の娘さんと、今年初めてお話。
 長く傍聴してると、一般に、弁護人がちょっとなぁ、というケースが散見され、傍聴マニアのほうがよっぽど良い弁護をできるんじゃない? ということで意見が一致した。これ、一概に「思い上がりだよ」では片付けられないような気が。ま、どう弁護しようが判決は相場どおり、というなら仕方ないけども。
 今年は、「俺ならここはこう弁護する。こう準備して法廷に臨む」というのを、傍聴ノートに書き出してみようか、新しい色のペンで。

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2007年12月28日 (金)

警察官証人の旅費日当 控訴審判決

 先週打ち合わせ済みの雑誌原稿にかかろうと、担当編集者氏からの依頼メールを開いたところ、予想に反して大量で、真っ青に。
 でもそんなのカンケーねぇ! って嘘、ウソです~!
 11時10分から東京地裁421号法廷の、「警視庁葛飾警察署留置11号こと氏名不詳の男」という被告人氏名の窃盗の判決へも行かず、ぎりぎりまで原稿を書いて、ちょっと警視庁へ寄ったのち、13時15分から、東京高裁・民事10部(吉戒修一・藤山雅行・萩原秀紀裁判官)825号法廷で、「不当利得返還等控訴事件」の判決。8月3日が地裁判決(請求棄却)だった、警察官の証人出廷の旅費日当のアレだ。
 控訴棄却。訴訟費用原告負担。

 同じ法廷で、他に5件連続判決があり、1件は、野村沙知子さんを被控訴人とする「預託金返還等控訴事件」だった。これは確か、野村さんがワイドショーとかでボコボコ叩かれたときに東京地裁に提訴された事件だよね。
 控訴棄却。つまり野村さんが控訴審でも勝ったってこと。

 もう1件、群馬県選挙管理委員会を被控訴人とする事件があり、たいへんなシーンを目撃してしまった。
 原告らは、裁判官を忌避したのにナンで判決を言い渡すんだ、とか怒ってて、言い渡しが始まろうとするや、原告(だいぶ年配)が壇上へ近寄って抗議したのね。そしたら、高裁の職員と思しき、TVドラマに強面刑事かヤクザ役で出そうなカッコイイ若めの男(ジャンパーの上腕部分に「裁」のワッペン)が、年配原告の上着の後ろえり部分(えりの折り返しよりちょっと下の部分)をムンズとつかんで、吊り上げて振り回すように原告席に座らせたのだ! うっわぁ~っ! びび、びっくりしまスた!
 この判決が5件の最後で、原告の連れの、何年も前から裁判所の門前で拡声器で抗議行動をしてるオジサンにどうも似た人(もしかして同一人物?)が、「出て下さい」と言われて「やってもらおうじゃないか、どうやって出すんだよ」と言ったので、うわぁ、これはたいへんなことになるのか? と見ていたが、とくに何も起こらず…。

 「不当利得返還等控訴事件」の判決書きを、控訴人と代理人弁護士(山下幸夫さん)からお借りし、地下のコンビニでコピーさせてもらい(1枚10円)、喫茶室(店名をどうしても覚えられない。コレヒドール…じゃない。何だっけ)で、読む。
 「原判決の××末尾に次のとおり加える」とか「原判決の××から××までを次のとおり改める」とかあって、足りない部分を補ってていねいになっている、のだが、そうですねぇ、結局は原判決と同じく、私としては「ええっ?」と首をかしげたくなる解釈もあり、どっちにも解釈できるときは行政側に有利に解釈するというか、もしも行政側を負けさせるときは行政行為が明白に一義的に違法でないとダメというか、そういう原則に従った解釈のように思えた。
 ただ、警察官が扱い事件で証人出廷したときの日当は、所属警察の側で「調整」すべきことである旨の言及があり、今後、全国の警察はその「調整」をせざるを得ないんじゃないかな。

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 14時10分から14時40分にかけて、東京地裁・刑事1部(髙木順子裁判官)408号法廷で、常習累犯窃盗、住居侵入・窃盗、常習累犯窃盗、恐喝未遂、覚せい剤取締り法違反の判決あり。
 これがねぇ、事件の内容について「検察官作成の起訴状記載のとおり」と言うだけで、どんな事件かぜんぜんわからない。弁護人が私選とは到底思えないのに、訴訟費用についても言及しないし。上訴権の告知まで含めて1件あたり3分程度。
 髙木裁判官は、いつもあんなことやってるの?

 15時から、高裁・民事14部(西田美昭裁判長)824号法廷へ。
 群馬県を被控訴人とする、ある事件の判決を傍聴に行ったのだが、13件の判決が次々と言い渡され、11件までは控訴棄却で(私が傍聴に行った事件も棄却)、しかしそのなかに、被控訴人氏名が「セイン・××・カミュ」の「損害賠償・専属契約不存在確認等反訴控訴事件」というのがあった。「専属契約は存在しない。一審原告は被控訴人に××万円(桁数は2桁じゃないよ)を支払え」との判決だった。

 来年の地裁の開廷表をチェックし、さぁもう帰るぞ! 原稿書くぞ! と思ったが、15時30分から地裁403号法廷で、遺失物横領の判決あり。地裁で遺失物横領って、珍しくない? いやいや、そんなこと言ってたらキリがない。ここはスパッとあきらめねば。人間、攻めるときは攻め、退くときは退くのが肝心だ。
 とか決心した直後、15時29分、エレベータへ走る。検察官の冒陳だけでも聞こうと。行ってよかった。いやはやなんとも…な事件だった。
 しかし長々傍聴するわけにはいかず、被告人の父親が証言する前に、私は退廷。

 原稿が進めば、28日(御用納めの日)も裁判所へ行けるのだが…。

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