開かずの扉が開く理由
以下は8月28日付け福島民報。
新東名、最高速度110キロへ 11月1日から引き上げ
警察庁は28日、新東名高速道路の新静岡インターチェンジ(IC)―森掛川ICの上下約50キロについて、11月1日から最高速度を試験的に110キロへ引き上げると発表した。東北自動車道の花巻南IC―盛岡南ICでも引き上げる方針で、岩手県警などが開始時期を検討している。
100キロ超に最高速度が引き上げられるのは、専門家らによる研究委員会の提言を受けた措置で、国内最初の高速道路である名神高速が開通した1963年以降で初。
警察庁の担当者は「少なくとも1年間は試行を続け、交通事故や実勢速度の変化を分析する。その上でほかの路線や区間の引き上げを検討する」と話す。
1963年、東京で「吉展ちゃん事件」が起こり、アメリカでケネディ大統領が暗殺された年だ。当時の自動車の性能や安全装備はどうで、その後どう進化していったか、車雑誌が特集してくれるだろう。
高速道路の最高速度を上げろという声はずいぶん前からあった。しかし「開かずの扉」だった。
なぜ今、開こうとしているのか。
これは、いわゆるアメとムチの、アメの部分と俺は見る。開かずの扉をついに開けてまで、そうまでしてやりたい大がかりなことが、警察庁にあるのだ。
1、通学路の安全のためと称して新型オービス(現在の最新型は東京航空計器のLSM-300)を導入する。
2、現在のオービスは赤切符の違反(一般道路では超過速度が30キロ以上。非反則行為という)のみを取り締まるが、通学路でそんなのバカげている。当然、青切符の違反(超過30キロ未満。反則行為)も取り締まることになる。
3、オービスの取り締まりは、現場では速度測定と写真撮影を行うだけ。あとで違反者を警察へ呼び出して違反切符を切る。青切符の違反でまでそんなことをやってたら警察はパンクする。ずるずる出頭しない違反者への対応も大変だ。
4、そこで、現在の駐車違反取り締まりと同じく、写真に写ったナンバーから判明した違反車両の所有者に対し、「放置違反金」ならぬ「速度違反金」の納付書を郵送する。
5、そして駐車違反と同様、取り締まりを民間委託する。
そういうことを警察庁は狙っているのだと、古屋圭司・国家公安委員長が速度取り締まりについて「苦言を呈した」と大報道された2013年から、俺は言い続けてきた。現在も俺しか言ってないんじゃないかな。
オービスが反則行為も取り締まるとなれば、肖像権の問題はどうなるのか、そこを心配する向きもあるようだが、まったく問題にならないだろう。理由は省略。
さっさと進めるのは簡単だろうに、警察庁はなぜぐずぐずしているのか。
警察庁の奥底の狙いは「行政制裁金」(検察官、刑事裁判官が関与せず完全に警察限りで徴収できるペナルティ)の導入にあるはず。
しかし現行の法律では、交通違反が刑事手続きから完全に外されたら、交通違反を理由に逮捕することができなくなる。職務質問も難しくなるかも。そこをどう乗り越えるか、調整に手間取ってるのか。
あるいは、「行政制裁金」は刑事犯罪を警察が処理してしまうことを意味し、検察(法務省)がゴネてるのかも。
そのへんの内部事情は俺はよく分かんないけど、先のことは先のこととして、まずは上記5までやっちゃえばいいんじゃないの?
ぐずぐずしてると、「通学路の安全を守る」を真に受けて、ハンプ(かまぼこ状の路面の盛り上がり。凸部)を設ける動きが加速してしまうかも。通行車両の速度を落とさせるために確実に効果的なのはハンプであり、新型オービスなど阿呆らしいのは誰の目にも明らかだもの、ねぇ。
※画像上は、LSM-300についての文書より。
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