月日(月)
電車で隣の席に座った女性の、こっ、この香りは 丁子(ちょうじ)とシナモンとベビーパウダーが混じったような、脳の奥深いどこかをとろかす、初めての香り…。
香りは脳に大いに影響を与える、場合があるんだという。取調室には、自白したくなる芳香剤。再犯防止効果のある携帯芳香スプレー。そのうち登場するかも…。
痴漢事件でよく聞く埼京線。座席を畳んで乗客を詰め込めるようになってるんだね。ラッシュ時はどんだけ混むのか。そんな埼京線を中浦和で下車、炎天下を15分ほど歩いて、さいたま地家簡裁へ。
ここは、ずいぶん昔に取材できたことがある。近くの弁護士事務所で会議があり、通りかかったことがある。けど、傍聴したことはないと思う。
今日、さいたま簡裁で「道路交通法違反」の新件があると聞き、全国第2号の裁判員裁判が先週行われたさいたま地裁も見ておくか、天気も良いし、と出てきたのだ。
11時から、さいたま簡裁104号法廷(大島哲雄裁判官)で「道路交通法違反」の新件。
東京地簡裁の傍聴席20席の法廷の、1.5~2倍くらいだろうか。傍聴席は、以前東京地簡裁にもあった硬い樹脂製のベンチ。こっちは3連(3人掛け)。それが7つと2人掛けが1つ。合計23席。
傍聴人は私と礼田計さんのみ。冷房がほどよく効いて快適だ。
事件は、首都高速9号線上り、江東区木場付近での52キロ超過(測定値112キロ)。
それがなぜ、東京簡裁ではなく、さいたま簡裁なのか。いったん略式に応じた被告人が、正式裁判を請求したのだった。
※ 略式は通常、被告人の住所地を管轄する簡裁で行う。正式裁判の請求は、略式命令を出した簡裁に対して行う。
木場付近にはオービスがある。でもそれは下り線。冒頭陳述で検察官(2人のうち1人)が、力強い大きな声で述べた。
検察官 「警視庁…3mの区間の間を…測定装置を設けていた…112キロと測定・算出すると同時に自動撮影しました!」
3m…自動撮影。光電式の移動オービスだぁっ
移動オービスの取締りは、私が情報公開で得た資料によれば激減している。そんなのを傍聴できるとは、被告人には申し訳ないが、超ラッキー
検察官が請求した甲号証は、3点のみ。甲1号証を弁護人は不同意としたので要旨告知はなかったが、たぶん、移動オービスの写真を貼付した速度違反認知カードのようなものなんだろう。甲2号証は、速度規制についての公安委員会告示。甲3号証は被告人車両(ベンツ)の車検証。
たったそれだけ? いや、今後警視庁から取り寄せて証拠請求するんだという。いろんなものが東京にあり、東京区検経由でやる“作業”もあるんだそうだ。
つまり、略式はほんとに簡単な書類だけで処理しちゃうわけだね。毎年膨大な件数の取締りを行えるのは、運転者がほぼ全員、それぞれの理由はともかく、反則金または略式による罰金をスムーズに払うから、なのだねぇ。国は、それでも面倒だってんで、現場の現認だけで直ちに徴収できる「放置違反金」の制度を、とりあえず駐車違反について2006年6月1日に導入した。
東京簡裁へ移送しようかという話は出ず、10月にとりあえず警視庁の警察官をたぶん2名、証人尋問することにして、11時19分閉廷。
がらがらの法廷(他に居ても礼田計さんのみ)で、速度違反の否認をじっくり傍聴する、やっぱ私の原点はここだょ。この夏を境に、原点へ立ち返れっ!
でも、「公然わいせつ」と、「威力業務妨害」のうち2chでの犯行予告と、裁判は窃盗に始まり窃盗に終わると言われる(って私が勝手に言ってんの?)「窃盗」と、あと…ってアンタ。
104号法廷には14時10分(14時ちょうどだっけ?)から「さいたま市屋外広告物条例違反」というのが入っていた。そんなの東京では見たことない。そりゃそうだ、さいたま市の条例だもの。
せっかく出てきたんだから、それを傍聴していくか。←さっそく原点を忘れてるょ。
ということになったので、私の大好きな食堂探し(笑)。
B棟に食堂があり、定食550円。旨そうだが、500円を超えてはイケナイ。
向かいの埼玉県庁へ行ってみた。古い建物のようで、地下の廊下は天井の配管がむき出し。一般が入館できてた頃の農林水産省のよう。
地下に大きな食堂があった。ショーウィンドゥの前でしばし悩む。うーん、うーん、うーん…。この時間が楽しいのだょ。うふふ。
端にそば食堂がある。地味にかけそば大盛りにしとくか。ところが、かけそば300円、大盛り100増し。合計400円! 東京の裁判所の地下は、210円+80円=290円なのに。ま、味はわかんないけど。
ええぃ、埼玉の裁判所へきたんだから、裁判所で食べよう。旅気分で財布のひもをゆるめて。
550円の、A定食だっけ、ポークジンジャーとカニクリームコロッケ。いずれも熱々。グリンピースと人参が入ったスパゲティサラダに、キャベツとレタスと水菜とトマトのサラダ。小鉢(といってもけっこう大振り)付き。味噌汁はワカメとモヤシとあと何か入り。なかなか良かった。店の人も元気が良くて、これで550円は一般的にはお得だと思う。
13時10分から104号法廷で「占有離脱物横領」の新件。
窃盗などで懲役前科4犯、仮釈放数日間、友人宅にいて、その後公園で寝泊まり。仕事をもらいに川口へ歩いていくのが辛く、公園にあった無施錠の自転車(氏名不詳者が遺留したもの)を自己の用途に供するため持ち去った…。現在、残りの刑期を服役中。
求刑は懲役1年…。
途中、だいぶ居眠りしてしまった。睡眠4時間のところに満腹し、何の手も打たず傍聴席に座ったのがマズかった。
廊下の自販機で、缶入りブラックコーヒー90円。冷たいブラックコーヒーは(私の場合)効くのだ。これでもう640円。ひぃ~。
14時10分(14時だっけ?)から「さいたま市屋外広告物条例違反」の新件。
所持金が尽きて寝食に困り果て、しかし職は見つからず、越谷市内のあるパチンコ店へ行けば貼り紙の依頼人が声をかけてくることを知っていたので行き、「150万円以上、女の子募集、24H」と電話番号が書かれた、A4サイズで裏が粘着シールの貼り紙24枚を紙袋に入れ、午前5時頃、車に乗せられ降ろされ、最初の1枚を道路標識の支柱に貼り付けたところを、密行警戒中の警察官に現認され、現行犯逮捕…。
捜査段階の調書に、
「3度目の逮捕なので、常習に見られるかもしれないが、生きていくためにしたことです」
とあるそうだ。
途中、「だるまの仕事」という言葉が出てきた。だるま?
裁判官 「その“だるまの仕事”とは、なんですか」
被告人 「暮れから新年にかけて、売りに行く…」
裁判官 「つくって売るんですか」
被告人 「はい」
はは~、川越のだるま市で売るだるまを、もうつくり始めるのかな?
求刑は罰金20万円(同種前刑は10万円)。直ちに判決。罰金20万円、満つるまで算入、訴費不負担。
今日の裁判は3件とも、弁護人が中堅どころというか、おおよそ40歳前後のマジメそうな弁護士だった。お年寄りは1人もいなかった。ま、3件だけであれこれ言えないが。
午後の2件は2件とも、勾留中に書いた反省文ナシ。弁護人の被告人質問はけっこう長かったが、検察官はじつに簡潔。裁判官もじつに簡潔。ま、事件の内容のせいでもあるんだろうが。
しっかし、硬い樹脂製のベンチは、やっぱりケツが痛くなる。移動オービスの証人尋問のときは、座布団を持ってこようか。
15時ちょい前に裁判所を出て、また15分ほど歩き、埼京線に。新宿まで各駅で35~40分くらいなのかな。たっぷり眠ってしまった。
そうして地下鉄に乗り換え、霞が関の東京高地簡裁へ。
ちょっと確認しておきたいことがあったのだ。今週はたいへんなことになりそうだ。 夏休みの時期が終わるまで、あと少しの我慢…。
8月18日7時40分現在位~
最近のコメント