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カテゴリー「行政処分」の13件の記事

2019年6月 1日 (土)

池袋暴走事故の元エリート官僚(87歳)は不起訴か!?

 だいぶショッキングなことが報じられた。忙しいのでごく簡単に。
 以下は5月31日付け産経新聞、の一部だ。

池袋暴走事故、元院長の免許取り消し処分を決定 都公安委
 東京・池袋で乗用車が暴走し母子2人が死亡した事故で、東京都公安委員会は31日、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(87)の運転免許を取り消す行政処分を決定した。
 警視庁によると、手続きを経て、免許取り消し処分が執行される見通し。飯塚元院長と代理人は同日、警視庁本部で実施された違反についての聴聞会を欠席したという。

 違反にも事故にも点数が付されている。いわゆる事故点数(交通事故の付加点数)は、本人の責任が重い場合の死亡事故だと20点(リンク先は警視庁)。
 行政処分歴がゼロ回、累積点数がゼロ点でも、15点で免許取消処分の基準に該当する。20点はばりばり該当する。
 取消処分の前には「意見の聴取」がある。本人または代理人が出席しなければ、公安委員会(実質は警察)が決めたとおりの処分量定で処分が執行される。

Img_1425  通常、処分までけっこう何カ月もかかるようだ。半年程度が普通だった頃もある。
 現在の期間を私はよく知らないが、事故から約1カ月半というのは異例の早さかと思われる。

 ところが産経新聞は「意見の聴取」ではなく「聴聞会」と報じている。
 これ何を意味するか!
 「意見の聴取」を行わなくていいケースの1つに「認知症であることが判明したとき」というのがある(道路交通法第103条第1項第1号の2および同第5項)。
 「飯塚幸三元院長(87)」は認知症と判明したのか!?
 その場合に聴聞を行なう根拠法令は何か、今ちょっと調べている暇がない。
 とにかく、認知症と判明したなら、刑事処分は不起訴の可能性がある。「上級国民を認知症で逃がしてやったのか!」と、また祭りになるんじゃないか。
 だからこれ、だいぶショッキングな報道なのだ!

 ……ただ、聴聞ではなく「聴聞会」となっているところが、ちらっと気になる。
 マニアックにいえば、道路交通法でも行政手続法でも「聴聞」に「会」なんて付かない。
 どう申し上げていいのか、たとえば道路交通法など見たこともなく、処分を逃れたいだけの人なんかは「意見の聴取」を頑として「聴聞会」と呼ぶことがあるようだ。
 産経新聞の本件記事を書いた人も、校閲の人も、たまたま偶然そういうところにどっぷり浸かってきた人で、警視庁は「意見の聴取」と正しく記者発表したのに、自らの常識にしたがってあえて「聴聞会」にした…というのは、うーん、交通違反マニアの妄想が過ぎますか?

 ←6月1日0時40分現在、週間INが110で3位~。

2018年5月20日 (日)

あおり運転は「危険性帯有者」

 以下は5月15日付け名古屋テレビ、の一部。

「あおり運転」で19歳男子大学生に運転免許停止の行政処分 岐阜県で初めて
 「あおり運転」が理由で運転免許停止の行政処分が出たのは、岐阜県では初めてです。
 120日間の運転免許停止の行政処分を受けたのは岐阜県各務原市の男子大学生(19)です。男子大学生は2017年11月愛知県岡崎市の東名高速で、前を走る車に急接近やパッシングなどの「あおり運転」を繰り返し車を停止させたことで、5台が絡む多重事故を引き起こしたとされています。岐阜県公安委員会は処分の理由についてこうした「あおり運転」が交通の危険を生じさせる行為だったためとしています。

 「交通の危険を生じさせる行為」とは何か。
 以下は道路交通法第103条の、第10項まであるうちの第1項のみだ。

(免許の取消し、停止等)
第百三条
 免許(仮免許を除く。以下第百六条までにおいて同じ。)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。ただし、第五号に該当する者が前条の規定の適用を受ける者であるときは、当該処分は、その者が同条に規定する講習を受けないで同条の期間を経過した後でなければ、することができない。
 一 次に掲げる病気にかかつている者であることが判明したとき。
  イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて政令で定めるもの
  ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて政令で定めるもの
  ハ イ及びロに掲げるもののほか、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの
 一の二 認知症であることが判明したとき。
 二 目が見えないことその他自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある身体の障害として政令で定めるものが生じている者であることが判明したとき。
 三 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者であることが判明したとき。
 四 第六項の規定による命令に違反したとき。
 五 自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき(次項第一号から第四号までのいずれかに該当する場合を除く。)。
 六 重大違反唆し等をしたとき。
 七 道路外致死傷をしたとき(次項第五号に該当する場合を除く。)。
 八 前各号に掲げるもののほか、免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき

 普通に違反点数の累積による行政処分は、第5号を根拠とする。
 「あおり運転」を理由とする処分は第8号だ。『執務資料道路交通法解説 16-2訂版』によれば、そのようなおそれがある者を「危険性帯有者」というのだそうだ。

 危険性帯有者に対する行政処分は、違反点数によらない。
 点数によらなくても処分できる根拠は、道路交通法施行令第38条にある。以下は、第38条の、第7項まであるうち第5項の柱書と、その第2号のみ。

第三十八条 

 免許を受けた者が法第百三条第一項第五号から第八号までのいずれかに該当することとなつた場合についての同項の政令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。

 二 次のいずれかに該当するときは、免許の効力を停止するものとする。
  イ 一般違反行為をした場合において、当該一般違反行為に係る累積点数が、別表第三の一の表の第一欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第七欄に掲げる点数に該当したとき。
  ロ 別表第四第四号に掲げる行為をしたとき。
  ハ 法第百三条第一項第八号に該当することとなつたとき。

 これにより危険性帯有者は停止処分の対象となるのである。
 ややこしいでしょ。私も昔は、ややこしくてムカついて頭から煙が出たもんだ。それで禿げたのか、ちっきしょぉ。

 危険性帯有者の停止処分は何日間?
 法第103条第1項の柱書に「六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる」とあった。よって180日以内、なのである。
 逆にいえば、どんなにすごい危険性を帯有していても、それゆえに免許取消しになるってことはないのだ。

 どういう行為が何日の停止になるのか。そこは『点数制度の実務 六訂版』(啓正社)に解説が載っている。
「道路以外の場所で自動車等を運転して故意により建造物を損壊したとき」
「免許を受けた者に対し、法定の除外事由なしに麻薬、覚せい剤等の譲渡し等をした者」
「他人を指揮して暴走行為をさせたとき、又は暴走行為を率先助勢したとき」
 などが180日停止の対象とされている。

 ちなみに、危険性帯有の停止処分を受けても、いわゆる処分の前歴1回にはカウントされないのだそうだ、なるほど。

 どうです、このうんちく、スナックで語ればモテモテですな。 ←どんな特殊スナックやねん(笑)。

 ←5月20日0時20分現在、週間INが140で2位~。

2015年5月 4日 (月)

蓮舫さんをナメきった警察利権

「今井君、大丈夫か。このニュースに沈黙とは君らしくないぞ。体を壊してないか? もし困窮してるなら言ってくれたまえよ」
 と警察庁から、ありがたい電話があった。
 以下は4月21日付け産経ニュース。

免許更新の講習時間を勝手に短縮、業務受託法人の県警OBを注意処分
 埼玉県警運転免許センター(鴻巣市)で1月6日、県警から業務を受託している一般社団法人「県指定自動車教習所協会」が、法令で義務付けられた免許更新者向けの講習時間を短縮していたことが21日、県警や協会への取材で分かった。
 教室の割り振りにミスがあり、部屋が足りず予定通り受講できない人が出る恐れがあったためという。協会は、短縮を決めた県警OBの協会幹部2人を注意処分とし、県警も協会に口頭で注意した。
 県警や協会によると、1月6日午前、「違反運転者講習・初回更新者講習」(2時間)で、安全運転の項目が省略され約20分間短くなった。講師は「受講者が多いため」と説明した。
 受講していたさいたま市議が協会に抗議し発覚。県警は協会から報告を受け調査したが、過去にはなかったという。受講者は約60人で、県警が補習などを検討している。
 協会は「県警と協議し部屋を確保すべきだった。勝手に判断して申し訳ない」とコメントしている。

 電話の件はウソだけどさ(当たり前だろ、バカ野郎っ)、確かに沈黙は俺らしくない。手短にコメントしとこう。

 「県警OBの協会幹部」ってとこからも分かるように、「指定自動車教習所協会」(略して指定協)は警察の天下り先だ。全国のそれを束ねる「全日本指定自動車教習所協会連合会」(全自協)へは、警察庁のお偉いさんが天下る。
 こういう天下りは日本においては当たり前のことであって、警察に特殊なことじゃないと、いちおう弁護させてもらう。だから100円ちょうだい。

 運転免許の更新業務は、かつて都道府県の「交通安全協会」(安協)に独占委託されていた。
 民主党が政権を取ったとき、ほら、あの蓮舫さんで一躍有名になった事業仕分けでその独占委託も問題にされ、民間を参入させることになった。
 でもって参入したのが、埼玉県では指定協だったわけだ。

P1030959 ちなみに、年間数千万部の超ベストセラー、更新時講習のテキスト『交通の教則』は、全日本安協が長年独占を続け、あれも蓮舫さんが突っ込んだ。
 やはり民間を参入させると警察庁は言い、結果、参入したのは全自協。
 蓮舫さん、完全にナメられきったわけだが、いやいやしかし、自民党政権ではそんな突っ込み自体が永遠にあり得なかったのだ。
 「民主党は頼りない」とか言って次の選挙で自民党を圧勝させた人たちは、カレーの味が悪いと文句を言って雲古を食う人たちだ。 ←その喩え、ヤメてよねっ。

 とにかく、更新時講習の本質は、指定協に委託費を落とさせるための装置なんである。非常に分かりやすい例を挙げれば…。

 優良運転者講習は、法令で30分間と決まってる。が、昔は、いろいろ展示されてたりする講習室に入り、素通りするだけOKだった。
 ところが2000年に、俺と寺澤有さんと星野新一さんの3人が原告となって、「あんなものに実質的な意義はなく、安協に金を落とすだけ。講習料を返せ」という趣旨の訴訟をやった。
 その直後から、素通りOKはナシになり、教室に30分間閉じ込めて「講習」なるものをやるようになったのだ。
 俺が次の免許更新に行ったとき、「30分? なんで? あたし忙しいのよ!」と怒ってるおばさんがいた。申し訳ない、それは俺らが裁判をやったせいなのです。

 もともとそんな講習ゆえ、受講者の都合を考え、2時間の「違反運転者講習・初回更新者講習」を20分間短くしてもよかろうと、「県警OBの協会幹部」らは考えたんだろう。それはうなづける。
 でもっ、形を整えてこその利権というか、杓子定規に法令どおりやらねばならない。でないと妙な連中に訴訟を起こされる(笑)。

 20分短い講習を受けた人たちは、適法な講習を受けてないので免許更新は無効。運転すれば無免許運転となる。めんどくさいことを、埼玉指定協はやっちゃったもんだと思う。俺に相談してくれたらよかったのに。ま、そういうわけにもいかないか。

 ちなみに蓮舫さんは、俺が初めてテレビ出演したときのメインの司会者だった。そのときのエピソードはまたの機会に。

 ←これをクリックいただくと「週間IN」が10ポイント増え、1週間にわたり順位に影響するらしい。5月4日00時05分現在、「週間IN」の合計が220ポイントで11位~。

2015年1月10日 (土)

性転換者、露出狂、のぞき魔などの運転免許更新を禁止?

 以下は1月10日付け新華社ニュース。

ロシア 新道路交通法は性転換者、露出狂、のぞき魔などの運転免許更新を禁止
台湾サイト「中広新聞網」の報道によると、ロシアが発効した新しい道路交通法は性転換者、トランスジェンダーなどの性障害者の運転免許更新を禁じる。そしてフェティシズム、露出狂、のぞき魔なども精神障害と見なして運転を禁止する。
ロシア当局は、心身健康の視点から道路交通法を強化するのは自動車の事故率を減らすためだとしている。病的賭博、盗癖のある人も運転禁止対象になっている。
精神障害を持つ人の来院が一層減るのではないとして精神科専門家と人権団体がこの政策を非難している。
(翻訳 崔蓮花)

 これ絶対ウソぴょんだと思う。
 いっくらロシアだって(という言い方自体失礼だわね、ごめんなさい)、各法律にはその目的が定義され、道路交通法の目的は交通の安全・円滑、事故防止のはず。
 「性転換者、露出狂、のぞき魔など」の者が、その目的を阻害する危険運転者であるという、奇矯な屁理屈じゃなくて合理的理由を見出すことは、不可能でしょ。

 最近、飲酒運転に対する世界の制裁はすごいことになってる、エルサルバドルは初回で銃殺、ブルガリアは2度目で銃殺などというツイートがあった。直ちにウソぴょんと分かる、面白秀逸ツイートだと俺は感心する。
 秀逸ゆえにか、ネットでは話題となったようで、俺んとこへも、某テレビ番組方面から、世界の飲酒運転に対する罰則はどうなってるんだという問い合わせがあった。申し訳ない、俺は、日本の道路交通法、道路交通法施行令、道路交通法施行規則なら、頭から煙りを吹かずに(笑)読めるようになったけど、世界の法令まではとてもとても。
 

 本件新華社ニュースなるものは、サイトアクセスを増やすため、などの理由でアップされたネタだろうと、現時点では俺は推測する。これからどんなネタばらしがアップされるのか、楽しみだ。

 もしも、もしも本件新華社ニュースの内容が本当だったら、我が国の安倍晋三首相に対する大きな応援となる。
 日本の運転免許の行政処分の根拠として、「自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの」というのがあり(道路交通法第103条第1項第1号ハ)、制令は閣議決定だけでOKなのだ。
 安倍晋三首相は、閣議決定ですんごいことをやってのける技をお持ちのようで、「ロシア、やるじゃーん!」と意を強くするかも。

 そうして俺は、お年寄りから聞いた、日露戦争の頃の“しりとり歌”を思い出す。陸軍の、乃木さんが、凱旋す、すずめ、めじろ、ロシヤ、野蛮国、クロパトキン、金の玉…。

 ←クリック先の画面の右下に当ブログの順位表示あり。1月10日21時25分現在20位~。

  

  

2014年9月14日 (日)

幻覚の症状を伴う極右病又は極左病であつて政令で定めるもの

 103条1項8号処分が最近よくニュースネタになるね。以下は9月12日付け神戸新聞、の一部。

自転車でひき逃げ、車免停 西宮市職員、兵庫県で初処分
 自転車に乗って歩行者と衝突し、重傷を負わせたのにそのまま立ち去ったとして、兵庫県警は11日、西宮市職員の男性(54)を180日間の自動車の運転免許停止処分にした。県警への取材で分かった。自転車の事故や違反で免許を停止するのは県内初で、全国で9例目という。
 自転車が歩行者をはねる事故は増え、全国で高額賠償判決が相次ぐ中、県警は事態を重くみており、男性が車でも事故を起こす可能性があると判断した。

 その運転免許停止処分は、何に基づくのか。以下は道路交通法第103条第1項。

(免許の取消し、停止等)
第百三条
 免許(仮免許を除く。以下第百六条までにおいて同じ。)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。ただし、第五号に該当する者が前条の規定の適用を受ける者であるときは、当該処分は、その者が同条に規定する講習を受けないで同条の期間を経過した後でなければ、することができない。
 次に掲げる病気にかかつている者であることが判明したとき。
 幻覚の症状を伴う精神病であつて政令で定めるもの
 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて政令で定めるもの
 イ及びロに掲げるもののほか、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの
一の二  認知症であることが判明したとき。
 目が見えないことその他自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある身体の障害として政令で定めるものが生じている者であることが判明したとき。
 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者であることが判明したとき。
 第六項の規定による命令に違反したとき。
 自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき(次項第一号から第四号までのいずれかに該当する場合を除く。)。
 重大違反唆し等をしたとき。
 道路外致死傷をしたとき(次項第五号に該当する場合を除く。)。
 前各号に掲げるもののほか、免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき。

 自転車の事故やひき逃げで免許停止、危険ドラッグ所持で免許停止というのは、この第103条第1項の、最後んところの第8号に基づく処分なのである。
 免許取消しも可能なように読める。が、同法施行令の規定により、第8号の処分は免許停止のみなのである。
 そのへん、『ドライバー』の来月号の連載コラムで分かりやすく詳述しようかと。

 ところで、国会および地方議会の議員に立候補する者は「議員免許」を取得・保有しなければならず、そんでこんな規定があったりしたら面白いよね。

(議員免許の取消し、停止等)
第百三条
 議員免許を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者の立候補地を管轄する国民委員会は、政令で定める基準に従い、その者の議員免許を取り消し、又は十年を超えない範囲内で期間を定めて議員免許の効力を停止することができる。
 次に掲げる病気にかかつている者であることが判明したとき。
 幻覚の症状を伴う極右病又は極左病であつて政令で定めるもの
 発作により戦争又は原子力発電をもたらす病気であつて政令で定めるもの
 イ及びロに掲げるもののほか、国政の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの
 法律又は条例の制定に関与することが著しく世界における平和の危険を生じさせるおそれがあるとき。

 意味わっかんないんですけど(笑)。
 てかさ、もしもそんな制度・規定ができたら、自民党がやり放題やるためにのみ使われるのは明らかだと思いますけど。

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2012年11月24日 (土)

自転車の違反でクルマの免許を停止処分

 以下は11月21日付け東京新聞。

自転車事故で免停処分 奈良の男性
 自転車に乗ってバイクと接触事故を起こし、相手にけがを負わせたのに逃げたとして、奈良県警は二十日、奈良市の無職の男性(61)を百五十日間の自動車などの運転免許停止処分にした。県警によると、自転車の運転で免許停止になるのは異例。県警は「自動車に乗っても同様のことをする可能性があるため」と処分理由を説明している。
 男性は五月、奈良市の片側一車線の市道で、自転車で道路を横断中に後続のバイクに接触、ともに転倒した。バイクの男性会社員(37)が左鎖骨骨折で二カ月の重傷を負い、「救急車を呼んでほしい」と求めたが、救護せずに立ち去った。男性は道交法違反(ひき逃げ)などの疑いで十月に書類送検された。
 同法は、自動車などの運転で交通の危険をもたらすおそれがある場合に免許の取り消しや停止にできると定めている。大阪市でも一月、自転車で国道を横断した際に死亡事故を誘発したとして、六十代男性が免許停止処分を受けている。

 今年1月の大阪での処分は、180日停止だった。その処分のことについて、すぐに『XaCAR(ザッカー)』に書いた記事、の以下は一部。

 そんな処分ができるのか。できるのである。道路交通法第103条は、第1項第8号で、
「免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」
 にも運転免許の行政処分ができるとし、同法施行令第38条第5項第2号が、その処分は停止処分としている。
 これを「危険性帯有に係る処分」という。違反点数や事故点数は関係ない。『点数制度の実務 六訂版』(啓正社)にその基準がいろいろ載っている。
 免許証を偽造したり、他人になりすまして免許を取得したり、そういう場合の「処分量定基準」は60日停止。
 180日停止は、たとえば運送会社の安全運転管理者が、仕事に穴を開けたくなくて、酒気帯び(0・25mg以上)や無免許と分かっている者にトラックを運転させるとか、あるいは、死傷事故を起こしたとき同乗者がドライバーに対し「逃げちゃえ!」とそそかすとか。
 前出の産経新聞によると、今回の自転車の男性の処分は「札幌市で2005年、自転車で脚立にぶつかり、乗っていた男性を死亡させたなどとして逮捕された男に続き2例目」だという。
 警察庁はここ数年、自転車関連の法改定と取り締まりに力を入れている。自転車の違反や事故を理由にクルマの免許を停止することが、これから増えるかもしれないね。

 ただ、自転車の事故でクルマ・バイクの免許を停止しても、自転車は免許がないから自由に乗れる。ナンダソレ? である。
 そこをテレビのコメンテーターとかに批判させ、自転車免許へいくのか、免許や処分はともかく高額な“自転車違反者講習”の義務付けへいくのか、なんにしても、“自転車違反金”と併せ、交通利権とか通り越した巨大なビジネス市場が近い将来、誕生することになるんだろう、自転車ナンバーの義務付けを取っかかりに。
 こういうのを内需拡大というのか、私は経済のことは分かんなーい。

2012年6月18日 (月)

酒酔い危険運転、幇助で免許取消処分

 以下は6月17日付け読売新聞。

酒提供者、免許取り消し…兵庫・加西の飲酒事故
 兵庫県加西市で昨年12月、皆既月食を観測していた小学6年の生田敦弘君(当時12歳)と同2年汰成君(同8歳)の兄弟が飲酒運転の車にはねられて死亡した事故で、県公安委員会は、危険運転致死罪で起訴された建築業■■■被告(54)に酒を提供した同市内の飲食店経営の男(49)とスナック経営の女(62)に対し、酒酔い運転のほう助にあたるとして、運転免許取り消しの行政処分をした。
 処分は14日付。
 道路交通法施行令では、交通違反の点数累積以外に、重大な交通違反をほう助した場合も免許の取り消しができると規定。県公安委は経営者2人について、■■被告が飲酒運転する恐れがあることを知りながら酒を提供したとして、酒酔い運転のほう助にあたると判断、処分に踏み切った。
 2人は今年1月、道路交通法違反(酒類提供)容疑で書類送検されたが、不起訴となっている。

 まだ詳しくは調べてないんだけど、「道路交通法施行令では」というのは、施行令第33条2第1項第4号をいうのかな。
 もとになるのは道路交通法第103条第1項第6号だろう。

(免許の取消し、停止等)

 

第百三条  免許(仮免許を除く。以下第百六条までにおいて同じ。)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。ただし、第五号に該当する者が前条の規定の適用を受ける者であるときは、当該処分は、その者が同条に規定する講習を受けないで同条の期間を経過した後でなければ、することができない。

 

      (略)

 重大違反唆し等をしたとき。
      (略)

 検察庁は、裁判員裁判が手間がかかって大変なので罪名落としや不起訴(起訴猶予)をがんがんやってる、という事情があるとしても、今はまだ刑事政策的に飲酒運転を叩く時期なのだから、無惨な被害を生んだ事件で酒類提供を軽々しく不起訴にするとは考えにくい。

 

 たとえば、「飲食店経営の男」と「スナック経営の女」は、■■被告人(「起訴」とあるので被告でなく被告人でしょ)が飲酒後に運転するとは知らなかった、知り得る状況にあったとは到底言えないとか、さすがの裁判官も有罪にしてくれない事情があると考えた、そう推測するのが合理的かと思う。

 

 しかし警察は、重大違反唆し(そそのかし)に当たる酒類提供があったとして行政処分を執行したわけだ。
 もちろん、拙著でさんざん言ってるように、刑事処分と行政処分はその目的も手続きも違うのだから、こういう処分があり得るのは分かる。だが…。

 

 まずは、本件被告人が「飲食店」と「スナック」へどんなふうに行き、どう飲酒して店を出たのか、そこが知りたい。
 でも、新聞はそもそもそのような取材をする媒体ではないし、私はといえば、裁判傍聴とメルマガ執筆に日々のほどんどを費やしており、兵庫県で動き回る時間も資力もない。
 若い気鋭のジャーナリストがガツンと取材してどこかに発表してくれるといいのだが、これは世間的にはマイナーなネタだろうからなぁ、うーん、と唸る私は6月20日で58歳。思えば遠くへ来たもんだ、うーん。 ←いつまでも唸ってろ。

2012年4月 5日 (木)

違反点数の抹消上申、まとめて107件って!

120405 現在発売中の『ドライバー』で、警視庁の「抹消上申」のことを書かせてもらってる。抹消上申とは、交通取締りを行った所属(署や隊)から、交通部長(運転免許本部)に対し、理由を示して、交通関係法令違反点数の抹消を上申する文書だ。
 非常に興味深い文書で、かつ大量にゲットしてしまったので、半分に分けて次号(4月20日発売号)でも取り上げる。
 いま、そのための後半部分の読み込みを進めてる最中なのだが、なんと107件まとめて抹消上申というのがあった ん? そういえば…。
 以下は2011年11月26日付け朝日新聞、の一部。

右折禁止標識2カ所、誤認取り締まり116件 警視庁

 警視庁は25日、一昨年12月~今年10月に東京都内の交差点2カ所で右折禁止の交通標識をめぐり計116件の誤認取り締まりをしたと発表した。うち4件で運転免許の取り消しや停止の処分につながったという。同庁は対象者に謝罪して違反点数を取り消し、反則金を還付する。また、通行方向を限定する標識の設置場所約5万2千カ所について点検を進めている。
 警視庁交通部によると、今年6~10月、板橋区前野町4丁目の交差点を右折した車両について、志村署が道路交通法の通行禁止違反で107件を誤って取り締まった。交差点の入り口に設置された右折禁止標識は、並行する2本の道路のうち手前の道路への右折だけを規制するものだったが、署員が奥の道路も右折禁止と間違えたためという。

 志村署の交通課長から志村署長への報告によれば、その右折禁止の規制について、あることから、ある巡査長が交通規制係の巡査部長に確認したところ、規制の効力は交差点全体に及ぶと回答があったことから、巡査長は取締りを開始、しかし違反者から「申出」があり、本庁の交通部交通規制課に確認したところ、規制が及ぶのは交差点手前の一方通行路に対してのみと「判断された」…。

 そのほかにも、「違反不成立」が多くて多くて。しかも、外部からは想像もつかない、いろんなケースがあるんだね。「氏名詐称」事案で、ぎょっとなるのがあったし。交通取締りも、ああ見えてなかなか大変なんですね~と。
 こういうのが雑誌記事になるのは本邦初だと思う。だって、こんな文書を大金かけて入手し、マニアックに興奮するのは私だけだろうから。ひーん。

追記: 本邦初じゃないです。『ドライバー』2009年3月号で1回やってました。『改訂新版 なんでこれが交通違反なの!?』のQuestion114にも書きました~。

2010年12月31日 (金)

蓮舫さ~ん、警察庁はナメきってますよ~

 フリージャーナリストの西島博之さん、週プレで交通利権のことをよく書いてる人だ。その西島さんが、じつは爆笑スクープネタを掴んでて、11月に一杯やりながらその話を聞いたとき、私はマジ笑い転げた。きゃぁ~、も、最高っ

 

P1020529  運転免許の更新時講習の教本として配布される(ただし代金は講習手数料に含まれてる)あの『交通の教則』、あれが2010年5月の事業仕分けでネタになったでしょ。
 あのとき警察庁は、もはや全安協(全日本交通安全協会)の独占ではない、入札を取り入れ、すでに全安協以外の教本を使ってる自治体が複数あると、素敵な蓮舫さん(白いスーツがよく似合って、ああいう中では飛び抜けて美人だょ)に対し堂々と言っていた。

 

P1030959  全安協以外…。どこだ? 地元の元警察官僚がやってる会社か? 地方紙の子会社とすれば、新たに警察から天下りを受け入れ、ますます…。いろいろ想像するよね。
 だって、『交通の教則』は実質、天下り利権のためにあるということができ、一般の業者が参入しちゃったら、『交通の教則』の存在意義、つか免許更新の意義自体、大いに失われてしまうもの。

 

 じゃあ、「全安協以外」ってどこなの。そこが、西島さんのスクープなのである。私がマジ笑い転げたのは、そこなのである。
 すぐにも「今井亮一の裁判傍聴バカ一代」(月105円)や雑誌に書きたかったが、やっぱ仁義ってもんがある。西島さんより先に出しちゃうわけにはイカナイ。ぐっとガマンの日々…。

 

 ようやく西島さんが「THE INCIDENTS インシデンツ」で発表してくれた。「事業仕分けもなんのその、警察庁の『交通の教則』利権は不死身」、上、中、下、である
 蓮舫さ~ん、警察庁はナメきってますよ~。

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2008年2月19日 (火)

行政不服審査の「刷新」をなぜ言いだしたのか

 ワタシ的には「おお~っ!」というニュースが、2月8日付け朝日新聞に。
 以下はその一部。

ずさんな行政不服審査、刷新 今国会に法改正案
 総務省は、国や自治体の処分に対し、国民が不服を申し立てる行政不服審査制度を大幅に改める方針を固めた。行政処分に関与した職員が審理にあたったり、20年以上も裁決しなかったりするなど、公正・迅速と言い難いケースがみられるためだ。同省は処分にかかわっていない職員に審理を担当させ、第三者機関への諮問手続きの導入を柱とする行政不服審査法改正案を今国会に提出し、成立から2年後をめどに新制度を導入したい考えだ。1962年の施行以来初の全面改正となる。
 行政不服審査は訴訟より手続きが簡素なメリットがある半面、公正さや客観性、迅速さに欠ける問題点が指摘されてきた。総務省の調査では、国の機関に対する申し立てのうち05年度に裁決や決定を出したのは約1万6700件。このうち申立人の主張が認められたのは約2500件にとどまり、裁決・決定までに1年を超えたものが約2300件もあった。原子力安全・保安院が原発工事などに関する81年の申し立てにいまだに裁決を出さないなど、事実上たなざらしにされる例もある。
 現在2種類ある申し立てのうち、審査請求では反論書の提出など申立人の主張をより詳しく聞き取る手続きが定められているが、異議申し立てではこうした手続きが規定されておらず、不公平で分かりにくいとの指摘があった。改正案では二つの手続きを一本化して「審査請求」とし、これらの手続きを整備する。

070805  行政不服審査法に基づく「不服申立」には、「審査請求」と「異議申立」の2種類があった。処分庁と審査庁との関係によって、どっちか決まるわけだが、それを「一本化」するのは良いと思うし、実現できるだろう。

 しかし、公正・迅速化となると、なにをいまさら? ほんとの狙いはどこにあるの? という気がする。

 運転免許の行政処分、および駐禁レッカー(の手数料の督促処分?)についての不服申立を長く見続けてきた私からすれば、不服申立の手続きを設けておくことの意味は、
「処分を執行する前にアンタの言い分を聞く必要はない。事後救済の手続きが設けられてるんで、不服があるなら、処分を受けてから申し立てなさい」
 と一方的に処分を執行するため、そして、
「一方的に処分するわけじゃない。あとでちゃんと審査するようになってるんですよ」
 という体裁をつくるためのはず。
 その基本をひっくり返すようなことを、行政側が自発的にするはずがない。
 いや、べつに、良いとか悪いとかじゃなくて、行政とはそういうもんでしょ。行政機関は必要だけれど、民と行政とは利害が対立する関係にあるので、行政が民を害しないよう、行政の良い部分だけを引き出すよう、民が不断の努力をしていく、そういうもんでしょ。

 この「刷新」は、「裁判の迅速化に関する法律」との兼ね合いもあり、原則2年以内に裁決するよと決め、とりあえず公正らしさもアピールしとこう、そういう話じゃないのかな。
 「第三者機関への諮問手続きの導入」なんて、ニュースになるような話題の処分についてだけ、1年に(または10年に?)1件やる程度で終わるんじゃないかな。

 あと、マニア的に憶測するなら、今後、行政処分を飛躍的に増やす予定があるので、簡易・迅速に処理できる手続きを(公正らしさを装って)設けておく、つーことなんじゃないかな。
 被処分者の言い分を聞かずに処分を執行してしまえる(つまり、被疑者の言い分を聞かずに刑罰を科してしまう、に相当する)のは、行政側にとって非常に便利だ。
    犯罪 → 非犯罪化
    刑罰 → 行政罰
    罰金 → 行政制裁金(現在の「放置違反金」はそれに近い)
 という形で、とうとう、道路交通法違反および自動車運転過失致死傷を非犯罪化する…そっち方面へゴゴゴと動いてることは確かだろう、と私には思える。

※ 画像は、警察庁で開示を受けたもの。これでもこの年は「審理中の事件数」がだいぶ少ないんだよね。

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